説明

発光表示装置及び遊技機

【課題】今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現可能にすると共に、前方導光板の刻装絵柄と、表示シートの表示絵柄とが互いに干渉することを防止することができて、前方導光板の刻装絵柄をより際だたせることができるようにした発光表示装置等を提供する。
【解決手段】前記後方発光体(81)を消灯させ前記前方発光体(82)を点灯させて前記中間導光板(75)を面発光させることにより、前記表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板(70)に形成された刻装絵柄(92)を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面発光体を使用した発光表示装置及びその発光表示装置を用いた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機の表示部に面発光体を用いることが行われている。例えば特許文献1に示すように、面発光体の手前側にグラフィックシートを配置して、遊技機の正面側から絵柄を視認できるようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−325904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年では、正面パネルに大型の液晶表示装置を用いて、種々の演出表示を行うようにした遊技機が開発されているが、大型の液晶表示装置はコストがかかるという問題点があった。また、前記したような従来の面発光体では表示パターンに限界があり、遊技者を飽きさせない演出を行うことが難しかった。
更に、2種類の表示絵柄を有する透明板を配置して、それぞれの透明板に光源を持たせて、前方の透明板の光源を点灯して、後方の透明板の光源を消灯することにより、前方の透明板の表示絵柄を表出させ、前方の透明板の光源を消灯して、後方の透明板の光源を点灯することにより、後方の透明板の表示絵柄を表出させるものを検討している。
【0004】
かかる場合、後方に位置する透明板の表示絵柄が、光源を消灯しただけでは、正面側からうっすらと見えてしまい、前方に位置する透明板の表示絵柄と重なって干渉してしまうという問題点があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1及び2) すなわち、請求項1及び2記載の発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現可能にすると共に、前方導光板の刻装絵柄と、表示シートの表示絵柄とが互いに干渉することを防止することができて、前方導光板の刻装絵柄をより際だたせることができるようにした発光表示装置を提供しようとするものである。
【0005】
(請求項3) 請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。すなわち、請求項3記載の発明は、刻装絵柄の一部を表示させることができて、更に、表示パターンを変化させることが可能な発光表示装置を提供しようとするものである。
(請求項4) 請求項4記載の発明は、次の点を目的とする。すなわち、請求項4記載の発明は、今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現可能にすると共に、前方導光板の刻装絵柄と、表示シートの表示絵柄とが互いに干渉することを防止することができて、前方導光板の刻装絵柄をより際だたせることができるようにした発光表示装置を備えた遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1)
(特徴点) 請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。すなわち、表示絵柄(91)が表示され透光性を有する表示シート(71)と、前記表示シート(71)の背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板(72)と、前記後方導光板(72)を面発光させるための後方発光体(81)と、前記表示シート(71)の手前側に配置されると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する中間導光板(75)と、前記中間導光板(75)の手前側に配置され、凹凸(74A)による刻装絵柄(92)が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄(92)の凹凸(74A)が正面側に反射することにより前記刻装絵柄(92)が正面側から可視可能となる前方導光板(70)と、前記前方導光板(70)の刻装絵柄(92)を発光表示させると共に前記中間導光板(75)を面発光させるための前方発光体(82)と、前記後方発光体(81)及び前方発光体(82)の発光を制御するための発光制御部(200)とを少なくとも備え、前記後方発光体(81)を点灯させ前記前方発光体(82)を消灯させることにより、前記中間導光板(75)及び前記前方導光板(70)を通して、前記後方導光板(72)の面発光に照射された表示シート(71)の表示絵柄(91)を正面側から視認可能とし、前記後方発光体(81)を消灯させ前記前方発光体(82)を点灯させて前記中間導光板(75)を面発光させることにより、前記表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板(70)に形成された刻装絵柄(92)を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とする。
【0007】
前記表示シート(71)は、例えばプラスチックフィルムの表面全体に絵柄を印刷したものとすることができ、この発光表示装置を遊技機に用いる場合には、遊技機の機種に特有の絵柄(キャラクターの絵柄や当選役の種類など)を表示したものとすることができる。
また、前記後方導光板(72)は、いわゆるバックライト導光板(72E)であって、端面側、すなわち板面の上下左右方向から照射される光を、背面側に形成された凹凸(74B)が反射して、正面の全体が発光するようになっているものとすることができる。前記後方発光体(81)は、冷陰極管やLEDとすることができる。
前記前方導光板(70)は、透明な板部材の背面にプレス加工又はレーザーカット加工によって絵柄を刻装したものとすることができ、この刻装絵柄(92)は、板面の一部に形成されているものでもよい。前記前方発光体(82)は、LEDとすることができ、発光色の異なる複数の発光体を設けると好適である。
【0008】
前記発光制御部(200)は、後方発光体(81)及び前方発光体(82)からなる発光体(80)の点灯、消灯、点滅を行わせるためのドライバであり、どのようなパターンで発光体(80)の点滅をさせるかについては、例えば遊技機の制御装置(6)からの出力信号に基づくものとすることができる。
なお、発光表示装置(7)としては、上記以外にも、例えば各部材の間に配置されるスペーサーや、光拡散シートなどを備えていてもよい。また、収納ケース(ユニットケース60)に前方導光板(70)、表示シート(71)、後方導光板(72)、発光体(80)を収納して一体的な取り扱いを可能としてもよい。
【0009】
(作用) 本発明によれば、後方発光体(81)と前方発光体(82)を別個に点灯制御することにより、表示絵柄(91)のみの表示と、刻装絵柄(92)のみの表示との少なくとも2パターンの表示を行うことができる。従って、この発光表示装置(7)を遊技機に用いた場合には、従来の導光板を用いた表示装置に比べて豊富な表現パターンを実現できる。
そして、後方発光体(81)を消灯させ、前方発光体(82)を点灯させて中間導光板(75)を面発光させることにより、中間導光板(75)の後方にある表示シート(71)の表示絵柄の正面側からの視認を阻害する。これにより、表示シート(71)の表示絵柄を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート(71)の表示絵柄を見えなくさせることができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。したがって、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)と、表示シート(71)の表示絵柄とが干渉するようなことを防止することができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)をより際だたせることができる。
【0010】
また、液晶表示装置に比べて格段に低コストであり、導光板自体の加工も容易であることから、例えばスロットマシン(S)の正面パネル(34)にこの発光表示装置(7)を使用した場合、発光表示装置(7)よりも奥側に位置する回転リール40の図柄を視認可能とする図柄表示窓(37)を、発光表示装置(7)に設けることも容易にできる。
(請求項2)
(特徴点) 請求項2記載の発明は、次の点を特徴とする。すなわち、表示絵柄(91)が表示され透光性を有する表示シート(71)と、前記表示シート(71)の背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板(72)と、前記後方導光板(72)を面発光させるための後方発光体(81)と、前記表示シート(71)の手前側に配置されると共に、前記表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害する阻害状態、及び、阻害しない非阻害状態とを切り換え可能な中間介在板(300)と、前記中間介在板(300)の手前側に配置され、凹凸(74A)による刻装絵柄(92)が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄(92)の凹凸(74A)が正面側に反射することにより前記刻装絵柄(92)が正面側から可視可能となる前方導光板(70)と、前記前方導光板(70)の刻装絵柄(92)を発光表示させるための前方発光体(82)と、前記後方発光体(81)及び前方発光体(82)の発光を制御するための発光制御部(200)とを少なくとも備え、前記後方発光体(81)を点灯させ前記前方発光体(82)を消灯させて、非阻害状態の前記中間介在板(300)及び前記前方導光板(70)を通して、前記後方導光板(72)の面発光に照射された表示シート(71)の表示絵柄(91)を正面側から視認可能とし、前記後方発光体(81)を消灯させ前記前方発光体(82)を点灯させて、前記中間介在板(300)を阻害状態にすることにより、前記表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板(70)に形成された刻装絵柄(92)を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とする。
【0011】
なお、前記表示シート(71)、前記後方導光板(72)、前記前方導光板(70)、前記発光制御部(200)、発光表示装置(7)は、請求項1の特徴点で追加して説明した記載と同一である。
また、中間介在板(300)は、所定の切り換え操作により、表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害する阻害状態と、表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態とを、実現可能なものであれば良いものである。具体的には、例えば、中間介在板(300)としては、高分子分散液晶(PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal))である。この高分子分散液晶は、印加電圧の変化により、ガラスのように透明な状態から、曇りガラスのように白濁した状態まで変化するものである。中間介在板(300)は、高分子分散液晶のかかる状態変化を利用して、ガラスのような透明な状態の非阻害状態と、曇りガラスのように白濁した阻害状態とを作り出すことができる。
【0012】
また、例えば、中間介在板(300)としては、表示シート(71)の手前側に配置される不透明な板であって、かかる不透明な板をソレノイド等の駆動手段により表示シート(71)の前面側に出し入れ(移動)することにより、表示シート(71)の正面側からの視認を阻害する阻害状態と、表示シート(71)の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態とを切り換え可能とするようなものでも良い。
(作用) 本発明によれば、後方発光体(81)と前方発光体(82)を別個に点灯制御することにより、表示絵柄(91)のみの表示と、刻装絵柄(92)のみの表示との少なくとも2パターンの表示を行うことができる。従って、この発光表示装置(7)を遊技機に用いた場合には、従来の導光板を用いた表示装置に比べて豊富な表現パターンを実現できる。
【0013】
そして、後方発光体(81)を消灯させ、前方発光体(82)を点灯させて、中間介在板(300)を、表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害する阻害状態とすることにより、中間介在板(300)の後方にある表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害する。これにより、表示シート(71)の表示絵柄(91)を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート(71)の表示絵柄(91)を見えなくさせることができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。したがって、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)と、表示シート(71)の表示絵柄(91)とが干渉するようなことを防止することができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)をより際だたせることができる。
【0014】
(請求項3)
(特徴点) 請求項3記載の発明は、上記した請求項1又は請求項2記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。すなわち、前記前方発光体(82)は、前記前方導光板(70)の周囲に複数設けられ、前記複数の前方発光体(82)の一部を点灯させることにより、前記刻装絵柄(92)の一部が可視可能となることを特徴とする。
(作用) 本発明は、前方発光体(82)の一部を点灯させることにより、前方導光板(70)を部分的に照射して、刻装絵柄(92)について表示される部分と表示されない部分とを設けるようにしたものである。本発明によれば、刻装絵柄(92)のどの部分を表示させるかによって全体の表示パターンの種類を増やすことができ、当選報知、入賞告知などの演出パターンをより豊富にすることができる。
【0015】
(請求項4)
(特徴点) 請求項4記載の発明は、次の点を特徴とする。すなわち、正面側に開口する筐体(1)と、筐体(1)の正面開口を開閉自在かつ閉塞可能な前扉(3)と、前記筐体(1)の内部に設置される遊技装置(2)と、当選か否かの当選判定の抽選を行うと共に前記遊技装置(2)の作動を制御するための制御装置(6)とを少なくとも備える遊技機において、前記前扉(3)は、前記筐体(1)に固定される扉枠(31)と、透明な正面パネル(34)を有し前記扉枠(31)に着脱自在に取り付けられる外装体(32)と、前記扉枠(31)と前記正面パネル(34)の間に配置され前記扉枠(31)又は前記外装体(32)に着脱自在に装着される発光表示装置(7)とを備え、前記発光表示装置(7)は、表示絵柄(91)が表示され透光性を有する表示シート(71)と、前記表示シート(71)の背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板(72)と、前記後方導光板(72)を面発光させるための後方発光体(81)と、前記表示シート(71)の手前側に配置されると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する中間導光板(75)と、前記中間導光板(75)の手前側に配置され、凹凸(74A)による刻装絵柄(92)が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄(92)の凹凸(74A)が正面側に反射することにより前記刻装絵柄(92)が正面側から可視可能となる前方導光板(70)と、前記前方導光板(70)の刻装絵柄(92)を発光表示させると共に前記中間導光板(75)を面発光させるための前方発光体(82)と、前記後方発光体(81)及び前方発光体(82)の発光を制御するための発光制御部(200)とを少なくとも備え、前記制御装置(6)は、当選判定の抽選結果その他の遊技状態に応じて、前記後方発光体(81)を点灯させ前記前方発光体(82)を消灯させることにより、前記中間導光板(75)及び前記前方導光板(70)を通して、前記後方導光板(72)の面発光に照射された表示シート(71)の表示絵柄(91)を正面側から視認可能とする表示、前記後方発光体(81)を消灯させ前記前方発光体(82)を点灯させて前記中間導光板(75)を面発光させることにより、前記表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板(70)に形成された刻装絵柄(92)を正面側から視認可能とする表示を選択可能に形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明は、請求項1に記載の発光表示装置(7)を備えた遊技機であり、例えばスロットマシンやパチンコ機などの遊技機に適している。
ここで、「遊技装置(2)」とは、遊技を行うために必須の装置であって、スロットマシンにおけるリールユニット(2E)や、パチンコ機の遊技盤などが含まれる。
前記前扉(3)は、筐体(1)の正面に位置する板状の扉体である。前記扉枠(31)は前扉(3)の骨格を成すものであり、遊技機の機種交換の際には筐体(1)に据え置くことができるものである。扉枠(31)には、遊技機の作動を操作するための操作部(50)などが設けられていてもよい。前記外装体(32)は、遊技機の機種ごとに対応した正面構造を構成する装着体であって、機種交換の際には扉枠(31)から取り外して交換可能である。
【0017】
また前扉(3)は、筐体(1)の開口上部(13)を塞ぐ上扉(30)と、開口下部(14)を塞ぐ下扉(40)に分割されていてもよい。この場合、発光表示装置(7)は、上扉(30)又は下扉(40)のいずれか一方に配置してもよいし、双方に別部の発光表示装置(7)を配置してもよい。
前記制御装置(6)は、CPUやROM等の電子部品を搭載したプリント基板を備える制御基板であって、遊技機全体の作動を制御するためのものである。制御装置(6)は、遊技の流れを制御するための遊技制御装置(6A)と、遊技に付随する演出を制御するための演出制御装置(6B)に分かれていてもよい。
遊技機としては、上記以外にも、遊技機の主電源を入れるための電源装置(4)や、遊技媒体を払い出すための払い出し装置(ホッパーユニット5)などを備えていてもよい。
【0018】
(作用) 本発明によれば、後方発光体(81)と前方発光体(82)を別個に点灯制御することにより、表示絵柄(91)のみの表示と、刻装絵柄(92)のみの表示との少なくとも2パターンの表示を行うことができる。従って、この発光表示装置(7)を有する遊技機は、発光表示装置(7)の表示によって、例えば当選判定の抽選結果に関する報知を従来の導光板を用いた表示装置に比べて豊富な表現パターンで実現できる。
そして、本発明に係る遊技機の発光表示装置(7)は、後方発光体(81)を消灯させ、前方発光体(82)を点灯させて中間導光板(75)を面発光させることにより、中間導光板(75)の後方にある表示シート(71)の表示絵柄(91)の正面側からの視認を阻害する。これにより、表示シート(71)の表示絵柄(91)を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート(71)の表示絵柄(91)を見えなくさせることができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。したがって、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)と、表示シート(71)の表示絵柄(91)とが干渉するようなことを防止することができ、前方導光板(70)の刻装絵柄(92)をより際だたせることができる。
【0019】
また、液晶表示装置に比べて格段に低コストであり、導光板自体の加工も容易であることから、例えばスロットマシン(S)の正面パネル(34)にこの発光表示装置(7)を使用した場合、発光表示装置(7)よりも奥側に位置する回転リール40の図柄を視認可能とする図柄表示窓(37)を、発光表示装置(7)に設けることも容易にできる。
また、本発明によれば、遊技機の機種交換の際、前扉(3)から発光表示装置(7)のみ、あるいは発光表示装置(7)と外装体(32)を取り外して、新機種に対応したものに取り替えるだけで、少なくともスロットマシン(S)の正面デザインを変更することができる。
なお、前記前方発光体(82)を、前記前方導光板(70)の周囲に複数設け、前記複数の前方発光体(82)の一部を点灯させることにより、前記刻装絵柄(92)の一部が可視可能となるように形成することができる。このように形成することにより、発光表示による演出パターンを増やすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1及び2) 請求項1及び2記載の発明によれば、次のような効果を奏する。すなわち、請求項1記載の発明によれば、今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現可能にすると共に、前方導光板の刻装絵柄と、表示シートの表示絵柄とが互いに干渉することを防止することができて、前方導光板の刻装絵柄をより際だたせることができるようにした発光表示装置を提供することができる。
(請求項3) 請求項3記載の発明によれば、上記した請求項1又は2記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。すなわち、請求項2記載の発明によれば、刻装絵柄の一部を表示させることができて、更に、表示パターンを変化させることが可能な発光表示装置を提供することができる。
【0021】
(請求項4) 請求項4記載の発明によれば、次のような効果を奏する。すなわち、請求項4記載の発明によれば、今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現可能にすると共に、前方導光板の刻装絵柄と、表示シートの表示絵柄とが互いに干渉することを防止することができて、前方導光板の刻装絵柄をより際だたせることができるようにした発光表示装置を備えた遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(第1の実施の形態)
(図面の説明)
図1乃至図12は、本発明の第1の実施の形態を示すものである。
図1は、スロットマシンの外観斜視図、図2はスロットマシンの前扉を取り外した状態の外観斜視図、図3は上扉の分解斜視図、図4は発光表示装置(導光板ユニット)の分解斜視図、図5は発光表示装置(導光板ユニット)の縦断面図、図6は発光表示装置(導光板ユニット)の分解縦断面図、図7(A)はシースルー導光板(前方導光板)の部分拡大断面図、図7(B)はシースルー中間導光板(中間導光板)及びバックライト導光板(後方導光板)の部分拡大断面図、図8は下扉の分解斜視図、図9は表示シート(グラフィックシート)の正面図、図10はシースルー導光板の正面図、図11及び図12は正面パネルから視認できる発光表示装置の正面図をそれぞれ示す。
【0023】
本実施の形態におけるスロットマシンSは、図1に示すように、大きく分けて、正面側に開口部11を有する筐体1と、筐体1に着脱自在に取り付けられるリールユニット2Eと、筐体1の開口部11を開閉可能に塞ぐ前扉3とから構成されており、さらにこの前扉3は、筐体1の開口上部13を開閉可能に塞ぐ上扉30、筐体1の開口下部14を開閉可能に塞ぐ下扉40とから構成されている。
(筐体1)
筐体1は、下面に位置する底板15と、底板15の左右に立設する側板16と、底板15の上端間に渡される天板17と、裏板(図示せず)とからなる正面側に開口する箱であり、図2に示すように、高さ方向略中央部には、二つの側板16の間に水平方向に中板12が設けられている。この中板12の下側には、電源装置4が固定されていると共に、底板15の上にはホッパーユニット5が載置されている。そして、筐体1及びリールユニット2Eの正面から向かって左側には、前扉3が回転自在に軸支されている。具体的には、上記側板16の正面左側の下部には、下扉40を係合させ、回転自在に支持するためのヒンジ19Bが設けられている。また、リールユニット2Eの枠の正面左側には、上扉30を係合させ、回転自在に支持するためのヒンジ19Aが儲けられている。
【0024】
ここで、電源装置4は、特に図示しないが電源基板が内装されていると共に、正面側にはスロットマシンSの主電源を入れるための電源スイッチが設けられている。また前記ホッパーユニット5は、メダルを貯留するための箱形のメダルタンクの底部に、特に図示しないが、複数のメダル孔を有しホッパーモータにより回転する回転ディスクを備えており、ホッパーモータの駆動で回転ディスクが回転することにより、メダル孔に嵌入したメダルが順次1枚ずつ排出されるようになっている。ホッパーユニット5から排出されたメダルは、図1に示す下扉40の下部に設けられたメダル皿43に払い出される。
(リールユニット2E) 前記リールユニット2Eは、スロットマシンSの主たる遊技装置2であって、図2に示すように、支持枠21に固定された3個のリールモータ(図示せず)と、このリールモータの駆動軸に軸着された3個の回転リール20を有している。また、リールユニット2Eの支持枠21には、制御装置6が取り付けられている。前記回転リール20は、円筒形のリールドラムの表面に複数の図柄を表示したリールテープを貼付したものである。また、前記制御装置6は、スロットマシンSの遊技及び演出を制御するためのものであるが、これについては後述する。
【0025】
前記リールユニット2Eは、筐体1の中板12の上に乗せ、開口上部13内部に収納固定されるものである。そして、スロットマシンSの機種交換の際には、制御装置6と共に筐体1から取り出して、新たな機種に対応したリールユニット2Eと交換することができる。
(上扉30)
前記上扉30は、筐体1の開口上部13を開閉自在に取り付けられた板状の扉であり、図3に示すように、扉枠31としての上扉枠31Bと、この上扉枠31Bの正面側に着脱自在に取り付けられる外装体32としての上扉キャビネット32Eと、上扉枠31B及び上扉キャビネット32Eの間に挟持される発光表示装置7としての導光板ユニット7Eとから構成されている。
【0026】
前記上扉枠31Bは、図3に示すように、略中央部に方形の開口部31Aを有する枠体であって、図2に示すように、裏面側方に設けられた上扉係合部36を介してヒンジ19に水平方向に回動自在に取り付けられている。そして、この上扉枠31Bは、図示しないロック機構により筐体1に対してロック可能に形成されている。また、上扉枠31Bの上側両端部には、音声を出力するためのスピーカユニット35が固定されている。そして上扉枠31Bは、機種交換の際には、筐体1に据え置かれるようになっている。
前記上扉キャビネット32Eは、いわゆる外装体32であって、図2に示すように、略中央部に透明な正面パネル34を備え、正面パネル34の上方には、報知などを行うための電飾体ユニット33が形成されている。電飾体ユニット33は、透光性を有するランプカバーの内部に電球やLEDなどの発光体38を配置して、発光体38の点灯によりランプカバーが発光するように形成したものである。発光体38は上扉枠31Bに固定してもよい。そして、上扉キャビネット32Eは、特に図示しない係合部によって、前記上扉枠31Bに対して着脱自在に形成されており、機種交換に際して交換可能になっている。すなわち、上扉キャビネット32Eを交換することにより、上扉30の正面デザインを変更することができるものである。
【0027】
なお、上扉30を閉じたときには、上扉キャビネット32Eの透明な正面パネル34を通して発光表示装置7としての導光板ユニット7Eを見ることができ、導光板ユニット7Eの窓枠73及び上扉枠31Bの開口部31Aの奥側に、回転リール20の図柄を見ることができるようになっている。すなわち、導光板ユニット7Eの窓枠73は、回転リール20の図柄を視認可能な図柄表示窓37として機能することとなる。そして、前記導光板ユニット7Eは、内蔵された発光部材80を適宜発光させることにより、正面側に種々の絵柄が表示されるように形成されており、図柄表示窓37の周囲全体が表示部として機能するようになっている。
(導光板ユニット7E(発光表示装置7))
前記導光板ユニット7Eは、図5に示すように、箱形のユニットケース60に、シースルー導光板70E(前方導光板70)、シースルー中間導光板75E(中間導光板75)、グラフィックシート71E(表示シート71)、バックライト導光板72E(後方導光板72)、発光部材80を収納した構成となっている。
【0028】
前記ユニットケース60は、内部にシースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及び発光部材80を収納すると共に、回転リール20のある背面側やシースルー導光板70E等の周囲に発光が漏れないようにするためのものである。図4及び図5に示すように、ユニットケース60は、背面側が開放し正面中央に開口部61Aが形成された表面ケース61と、表面ケース61の背面を塞ぐ裏蓋62とから構成されている。表面ケース61及び裏蓋62は、いずれも遮光性を有する部材、例えば黒色の合成樹脂により形成されている。
そして、表面ケース61と裏蓋62の間に形成される内部空間には、窓枠73によって一体化されたシースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eが、正面側からこの順序で収納されている。また、表面ケース61においてバックライト導光板72Eの周囲には、発光部材80としての冷陰極管81Eが配置されている。また、表面ケース61において、シースルー中間導光板75E及びシースルー導光板70Eの側方が位置する内周面には、発光部材80としてのLED基板82E(左側のLED基板82A及び右側のLED基板82B、図11参照)がそれぞれ配置されている。
【0029】
さらに、裏蓋62の背面には、前記発光部材80の点灯点滅を行わせるためのドライバである発光制御部200としての発光制御基板201が取り付けられている。
前記シースルー導光板70Eは、正面中央よりやや下側に横長長方形状の開口部70Aが形成された透明板であり、背面側には、図7(A)に示すように、プレス加工又はレーザーカットによる凹凸74Aが形成されている。なお、この凹凸74Aは、背面側だけに限定されず、シースルー導光板70Eの端面にも形成することもできる。具体的には、シースルー導光板70Eの端面を正面の平面に対して斜め45度に傾斜して形成することにより、正面側に光を反射することができて、端面を光らせることができるようなものを含む。またこの凹凸74Aは、図10に示すような刻装絵柄92を形作っている。そして、シースルー導光板70Eは、背面側から光が照射された場合には、刻装絵柄92を表示することなく、その光線を正面側に透過するが、シースルー導光板70Eの端面(板面の左右上下の面だけでなく開口部70Aの周囲の面も含む)側から光が照射された場合には、背面に刻まれた凹凸74Aに光が反射して、正面側に刻装絵柄92が浮き上がるようになっている。この刻装絵柄92は、グラフィックシート71Eに表示されているベース絵柄91A(図9参照)とは重なることなく(互いに干渉することなく)、単独で、正面パネル34に表示されるものとなる。
【0030】
前記中間導光板75としてのシースルー中間導光板75Eは、シースルー導光板70Eと同様に、正面中央よりやや下側に横長長方形状の開口部75Aが形成された透明板であり、背面側には、図7(B)に示すように、プレス加工又はレーザーカットによる同一形状の凹凸74Bが均一に分布するように形成されている。そして、シースルー中間導光板75Eは、背面側から光が照射された場合には、面発光することなく、その光線を正面側に透過するが、シースルー中間導光板75Eの端面(板面の左右上下の面だけでなく開口部75A)側から、前方発光体82により光が照射された場合には、背面に刻み込まれた均一な凹凸形状である凹凸74Bに光が反射して、シースルー中間導光板75Eの全面が均一に面発光するようになっている。これにより、シースルー中間導光板75Eの全面が均一に面発光することにより、シースルー中間導光板75Eの奥側に位置するグラフィックシート71Eの表示絵柄91を正面側から見えにくくすることができ、グラフィックシート71Eの表示絵柄91の正面側からの視認を阻害することができるものである。したがって、シースルー中間導光板75E(中間導光板75)の手前側にあるシースルー導光板70E(前方導光板70)の刻装絵柄92を正面側から、グラフィックシート71Eの表示絵柄91と干渉することなく、明瞭に視認可能とするものである。
【0031】
表示シート71としてのグラフィックシート71Eは、図4に示すように、正面中央よりやや下側に前記開口部70Aよりもやや内寸法の小さい開口部71Aが形成された透光性を有するフィルムであって、この表面には図9に示すようなベース絵柄91Aが印刷されている。なお、シースルー中間導光板75Eは、前記開口部71Aと同様の開口部75Aが形成された透明板である。
また、後方導光板72としてのバックライト導光板72Eは、前記開口部71Aと同様の開口部72Aが形成された導光部材であり、背面側には、図7(B)に示すように、同一形状の凹凸形状の細かい凹凸74Bが、裏面側の全面に均一に形成されている。そして、端面側から、後方発光体81としての冷陰極管81Eにより光が照射された場合には、背面に形成された凹凸74Bに光が反射して、正面側から見て、正面全体が発光するようになっている。
【0032】
前記窓枠73は、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eにそれぞれ形成されている各開口部70A,75A,71A,72Aの内側に取り付けられる枠部材であって、シースルー導光板70E及びシースルー中間導光板75Eを発光させるための発光部材80としての前方発光体82を設置すると共に、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E及びバックライト導光板72Eの発光が回転リール20の前方に漏れないようにするためのものである。従って、窓枠73は、遮光性を有する部材、例えば黒色の合成樹脂などで形成されている。
前記窓枠73は、図4に示すように、中央に開口部73Aを有する正面視長方形状であり、図5に示すように、各開口部70A,75A,71A,72Aの内周を奥行き方向の厚さ全体にわたって覆う平枠部76と、平枠部76から直角に折れ曲がり開口部73Aの外周方向に張り出す二つの張り出し部77,77'を有している。そして、二つの張り出し部77,77'の間に、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eを挟み込むことができるようになっている。
【0033】
具体的には、図6に示すように、片側の張り出し部77'は平枠部76から取り外し可能になっており、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eを重ねた状態の各開口部70A,75A,71A,72Aに、張り出し部77'を取り外した平枠部76を嵌め込み、その後張り出し部77'を平枠部76に取り付けることにより、シースルー導光板70Eの開口部70Aの正面側周囲が張り出し部77によって押さえられ、バックライト導光板72Eの開口部72Aの背面側周囲が張り出し部77'によって押さえられる。これにより、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eが一体化されるものである。
【0034】
また、平枠部76の外周部においてシースルー導光板70E及びシースルー中間導光板75Eの開口部70Aに対応する箇所には、LED基板82E(上側のLED基板82C、下側のLED基板82D、図5参照)が設置されている。なお、LED基板82Eには、色の異なる複数のLEDチップが設けられており、どのLEDチップを点灯させるかによってシースルー導光板70E及びシースルー中間導光板75Eの発光色又は浮かび上がる刻装絵柄92を変化させることができるようになっている。すなわち、前方発光体82としてのLED基板82Eは、前方導光板70としてのシースルー導光板70Eの周囲に複数設けられ、複数の前方発光体82の一部を点灯させることにより、シースルー導光板70Eの刻装絵柄92の一部が可視可能となるように形成されている。
【0035】
具体的には、前方発光体82としてのLED基板82Eは、図11(B)に示すように、シースルー導光板70Eの正面から向かって左側の左縦端面に沿って配置したLED基板82Aと、シースルー導光板70Eの正面から向かって右側の右縦端面に沿って配置したLED基板82Bと、シースルー導光板70Eの開口部70Aの上側水平端面に沿って配置したLED基板82Cと、シースルー導光板70Eの開口部70Aの下側水平端面に沿って配置したLED基板82Dとの4個、設けられている。
そして、シースルー導光板70Eの刻装絵柄92は、所定方向からの光のみを選択して、正面側に反射することができるように凹凸74Aが形成されている。
【0036】
具体的には、図10の正面から向かって左側の鳥の刻装絵柄92Aは、その左側のLED基板82Aからの左方向からの光が照射されることにより、現れるような凹凸74Aが形成されている。
また、図10の正面から向かって右側の鳥の刻装絵柄92Bは、その右側のLED基板82Bからの右方向からの光が照射されることにより、現れるような凹凸74Aが形成されている。
また、図10の中央上部のWINの文字の刻装絵柄92Cは、その下側のLED基板82Cからの下方向からの光が照射されることにより、現れるような凹凸74Aが形成されている。
【0037】
また、図10の中央下部のCHANCEの文字の刻装絵柄92Dは、その上側のLED基板82Dからの上方向からの光が照射されることにより、現れるような凹凸74Aが形成されている。
したがって、LED基板82A、LED基板82B、LED基板82C、LED基板82Dのうちのいずれか1個、或いは、それらの組み合わせを点灯することにより、点灯したLED基板82Eに対応する刻装絵柄92A、刻装絵柄92B、刻装絵柄92C、刻装絵柄92Dのいずれか1個、或いは、それらの組み合わせを点灯することができるものである。
さらに、LED基板82Eの点灯作動と冷陰極管81Eの点滅によって、目の残像現象を利用して、刻装絵柄92とグラフィックシート71Eの表示絵柄91との組み合わせ表示を行うこともできる。
【0038】
そして、窓枠73によって一体化したシースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eを、シースルー導光板70Eが正面側となるようユニットケース60に収納すると、図3に示すように、正面側からは窓枠73とシースルー導光板70Eの正面が視認可能になる。
ここで、ユニットケース60の裏蓋62には、図5に示すように、窓枠73の開口部73Aよりも大きく張り出し部77'の外周よりも小さい内径の開口部62Aが形成されている。このため、導光板ユニット7Eの正面側からは、窓枠73を通して背面側を視認することができると共に、バックライト導光板72Eの発光時にユニットケース60の背面側に光が漏れないようになっている。なお、開口部62Aの代わりに、開口部62Aと同等の大きさのガラスや透明樹脂等からなる透明部分を設けてもよい。
【0039】
発光表示装置7としての導光板ユニット7Eは、特に図示しないフックや突起などの係合部の係合により、上扉キャビネット32Eの裏面側に取り付けられる。導光板ユニット7Eを取り付け後、上扉キャビネット32Eを上扉枠31Bに取り付けると、窓枠73の開口部73Aは、正面パネル34の図柄表示窓37として機能するものとなる。
なお、導光板ユニット7Eを、上扉枠31Bの正面側に取り付けるようにしてもよい。ただ、導光板ユニット7Eと上扉キャビネット32Eを同時に交換する場合には、上扉キャビネット32Eに取り付けた方が、交換作業を効率的に行うことができる。また、ユニットケース60に収納される構成部材としては、上記したものに限られず、例えば光拡散シートや集光シートなどを適宜配置させてもよい。
【0040】
(下扉40)
前記下扉40は、筐体1の開口下部14を塞ぐための上扉30よりも幅厚の扉であり、図8に示すように、下扉枠41と、下パネルユニット42とから構成されている。
前記下扉枠41は、裏面側方に設けられた下扉係合部46(図2参照)を介してヒンジ19Bに水平方向に回動自在に取り付けられると共に、図示しないロック機構により筐体1に対してロック可能に形成されているものである。下扉枠41の上部は、図1に示すように、スロットマシンを作動させるための操作部50となっており、下扉枠41の上面は、閉扉時においては、上扉30よりも手前側に突出するようになっている。ここで、前記操作部50としては、遊技メダルを投入するためのメダル投入口55、クレジットとして貯留されているメダル数を減じてメダル投入に代えるためのベットスイッチ51、貯留した投入メダルを払い出すための精算スイッチ54、回転リール20の回転を開始させるためのスタートスイッチ52、回転リール20の回転を停止させるためのストップスイッチ53が設けられている。
【0041】
また、下扉枠41の下部には、払い出されたメダルを溜めておくための下皿43が形成されており、前記操作部50と下皿43との間には、図8に示すように、照明装置45を内蔵する凹部41Aが形成されている。そして凹部41Aの周囲には、下パネルユニット42を取り付けるための係合孔41C,41Dが設けられている。さらに、図1及び図2に示すように、下扉枠41の裏面側には、前記メダル投入口55から投入されたメダルを誘導しながらメダルの正偽を判断するためのメダルセレクター44が設けられている。そして、下扉枠41は、機種交換の際には、筐体1に据え置かれるようになっている。
前記下パネルユニット42は、図8に示すように、パネル枠42Aに下パネル42Bを嵌め込んだ構成となっており、パネル枠42Aの裏面側には、前記下扉枠41の係合孔41C,41Dとそれぞれ係合可能な係合爪42C,42Dが設けられている。そして、下パネルユニット42を下扉枠41に取り付け、照明装置45を点灯させると、下パネル42Bに表示されている表示が内部から照明されて表示されるようになっている。また、下パネルユニット42は、機種交換の際には、新たな下パネルユニット42と交換することにより、新機種に対応させることができるようになっている。なお、下パネルユニット42を下扉枠41から取り外し、下パネル42Bのみを新機種に対応したものに交換するようにしてもよい。
【0042】
(制御装置6)
ここで、制御装置6の概略を説明する。
制御装置6は、CPUを中心にROM、RAM、I/O等の電子部品を搭載したプリント基板を基板ケースに収納したものであり、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、遊技制御装置6Aと、演出制御装置6Bを構成する。遊技制御装置6Aは、主して、スタートスイッチ52及びストップスイッチ53の操作に基づく遊技の制御を行うためのものであり、演出制御装置6Bは、遊技制御装置6Aからの諸信号に基づいて主として演出を行わせるためのものである。なお、遊技制御装置6Aと演出制御装置6Bを別々の基板から構成してもよい。
【0043】
前記遊技制御装置6Aは、特に図示していないが、通常遊技及び特別遊技を制御するための遊技実行制御手段、当選か否かの当選判定の抽選を行うための当選抽選手段、回転リール20の回転及び停止を制御するためのリール制御手段、入賞したか否かを判定するための入賞判定手段、ホッパーユニット5の作動を制御するホッパー制御手段を有している。
前記遊技実行制御手段は、通常行われる通常遊技を制御すると共に、特別入賞の場合には通常遊技よりも有利な特別遊技(例えばレギュラーボーナスゲームやビッグボーナスゲーム)を開始させたりするための制御を行うものである。前記当選抽選手段は、乱数を用いて当選か否かの当選判定の抽選を行うものである。そして、抽選の結果所定の当選役に当選した場合には、当該当選に対応する当選フラグを成立させるものである。
【0044】
前記リール制御手段は、スタートスイッチ52の操作に基づき回転リール20を回転させ、当選抽選手段の抽選結果及びストップスイッチ50の操作に基づき回転リール20の回転を停止させるものである。また、回転リール20の回転を停止させる際には、当選図柄が極力有効入賞ライン上に停止し、当選図柄以外の図柄を有効入賞ライン上に停止させないように、停止図柄の蹴飛ばし制御や引き込み制御を行うものである。
前記入賞判定手段は、当選図柄が所定の有効入賞ライン上に揃った場合には入賞を決定し、遊技実行制御手段やホッパー制御手段に入賞信号を出力するためのものである。そして、前記ホッパー制御手段は、入賞判定手段又は精算スイッチ54の操作信号に基づいて、ホッパーユニット5を作動させてメダルを払い出させるためのものである。
【0045】
(入力)
前記制御装置6の入力には、メダルセンサ44A、ベットスイッチ51、スタートスイッチ52、ストップスイッチ53、精算スイッチ54の5つのパーツが接続されている。なお、入力としては、上記したパーツに限定されるものではない。ここで、前記メダルセンサ44Aは、図1に示すように、メダルセレクター44の内部に設けられた検知部であって、メダルの投入を検知するためのものである。
(出力)
前記制御装置6の出力には、リールユニット2E、ホッパーユニット5、電飾体ユニット33、スピーカユニット35、導光板ユニット7Eの5つのパーツが接続されている。なお、出力としては、上記したパーツに限定されるものではない。
【0046】
以下、遊技制御装置6Aの各手段のうち、演出制御装置6Bについて、詳細に説明する。
(演出制御装置6B)
演出制御装置6Bは、演出決定手段と、点灯制御手段とを有している。なお、演出制御装置6Bとしては、上記した手段以外の手段を有していても構わない。
(演出決定手段)
演出決定手段は、演出の有無及び内容を決定するためのものであり、特に図示しないが、複数の演出データ(又は演出データのインデックス)を記憶していると共に、遊技履歴の記憶手段、演出を行うか否か及び演出の種類を決定するための演出抽選手段などを有している。そして、遊技状況(例えば当選フラグ成立の有無、入賞の有無)や演出抽選の抽選結果に基づいて、実行すべき演出態様を決定し、決定された演出データに基づいて、電飾体ユニット33の点灯点滅、スピーカユニット35からの音声出力、導光板ユニット7Eの点灯表示などが行われるものである。
【0047】
(点灯制御手段)
点灯制御手段は、前記演出決定手段の決定に基づいて、導光板ユニット7Eの発光制御基板201に発光部材80(冷陰極管81E及びLED基板82E)の点灯、消灯、点滅の指示信号を出力するためのものである。具体的には、点灯制御手段は、複数の発光部材80の発光パターンを記憶しており、演出決定手段の決定した演出に対応する発光パターンを発光制御基板201に出力する。なお、点灯制御手段として機能する制御基板は、必ずしもリールユニット2Eの制御装置6に配置する必要はなく、導光板ユニット7Eに配置してもよい。
(点灯の一例)
前方発光体82としてのLED基板82Eを全て消灯し、後方発光体81としての冷陰極管81Eを点灯した場合、正面側から正面パネル34を見ると、図11(A)に示すように、前方導光板70の刻装絵柄92に干渉されることなく、グラフィックシート71Eの表示絵柄91だけを見ることができる。かかる場合、前方導光板70の刻装絵柄92は、前方発光体82が点灯していないため、全く表出されないものである。
【0048】
次に、図11(B)に示すように、後方発光体81としての冷陰極管81Eを全て消灯し、前方発光体82としてのLED基板82Eのうち、正面から向かって左側のLED基板82Aと、中央下側のLED基板82Dとだけを点灯して、残りのLED基板82Bと、LED基板82Cとを消灯した場合、グラフィックシート71Eの表示絵柄91は表出せずに、その点灯に対応する左側の鳥の刻装絵柄92Aと、CHANCEという文字の刻装絵柄92Dとだけが表示される。
次に図12(A)に示すように、後方発光体81としての冷陰極管81Eを全て消灯し、前方発光体82としてのLED基板82Eのうち、正面から向かって左側のLED基板82Aと、正面から向かって右側のLED基板82Bとだけを点灯して残りのLED基板82Cと、LED基板82Dとを消灯した場合、グラフィックシート71Eの表示絵柄91は表出せずに、その点灯に対応する左側の鳥の刻装絵柄92Aと、右側の鳥の刻装絵柄92Bとだけが表示される。
【0049】
次に図12(B)に示すように、後方発光体81としての冷陰極管81Eを全て消灯し、前方発光体82としてのLED基板82Eのうち、正面から向かって左側のLED基板82Aと、正面から向かって右側のLED基板82Bと、中央上側のLED基板82Cとだけを点灯して、残りのLED基板82Dを消灯した場合、グラフィックシート71Eの表示絵柄91は表出せずに、その点灯に対応する左側の鳥の刻装絵柄92Aと、右側の鳥の刻装絵柄92Bと、WINという文字の刻装絵柄92Cとだけが表示される。
このように複数種類の演出表示が、遊技状態に応じて、点灯制御手段の制御により可能となるものである。所定の小役(ベル)に当選している可能性が高い場合には、左側の鳥の刻装絵柄92Aだけを点灯させ、他の所定の小役(チェリー)に当選している可能性が高い場合には、右側の鳥の刻装絵柄92Bと、左側の鳥の刻装絵柄92Aとだけを点灯させ、特別遊技としてのボーナスゲームに当選している可能性が高い場合には、中央下のCHANCEの文字の刻装絵柄92Dだけを点灯させ、特定の当選役の当選を遊技者に報知することができる。そして、ボーナスゲームの当選図柄を揃えることができて、入賞した場合には、左右の鳥に加えて、WINの文字の刻装絵柄92Cを点灯させるような演出を行うことができる。
【0050】
具体的には、通常遊技中、当選抽選手段の抽選結果、いずれの当選役にも当選しておらず、当選フラグが成立していない場合には、点灯制御手段は、図11(A)の表示を選択する。
そして、通常遊技中、当選抽選手段の抽選結果、当選役ベルに当選して、当該当選フラグが成立している場合には、点灯制御手段は、図11(B)の表示を選択する。
そして、通常遊技中、当選抽選手段の抽選結果、当選役チェリーに当選して、当該当選フラグが成立している場合には、点灯制御手段は、図12(A)の表示を選択する。
そして、通常遊技中、当選抽選手段の抽選結果、当選役BBゲームに当選して、当該当選フラグが成立している場合には、点灯制御手段は、図示していないが、下側のCHANCEの文字の表示を選択する。
【0051】
そして、BBゲームの当選図柄を揃えることができて、BBゲームに入賞した場合、BBゲーム中も含めて、点灯制御手段は、図12(B)の表示を選択する。
もちろん、これに限定されず、点灯させる刻装絵柄92の組み合わせや、点灯時間や、点滅表示等を種々組み合わせることにより、今までにない斬新な演出表示を行うことができ、低コストで豊富な表示パターンを実現することができる。
(作用)
本実施の形態によれば、後方発光体81と前方発光体82を別個に点灯制御することにより、表示絵柄91のみの表示と、刻装絵柄92のみの表示との少なくとも2パターンの表示を行うことができる。従って、この発光表示装置7を遊技機に用いた場合には、従来の導光板を用いた表示装置に比べて豊富な表現パターンを実現できる。
【0052】
本実施の形態は、前方発光体82のLED基板82Eの一部を点灯させることにより、前方導光板70を部分的に照射して、刻装絵柄92について表示される部分と表示されない部分とを設けることができる。これにより、刻装絵柄92のどの部分を表示させるかによって全体の表示パターンの種類を増やすことができ、当選報知、入賞告知などの演出パターンをより豊富にすることができる。
結果として、本実施の形態によれば、ベース絵柄91が表示されているグラフィックシート71Eの手前側に、背面の凹凸74Aで刻装絵柄92を描いたシースルー導光板70Eを配置し、双方を別個に発光制御することにより、また、複数の前方発光体82としてのLED基板82Eの一部を個別に、或いは組み合わせて発光制御することにより、ベース絵柄91と複数の刻装絵柄92とを種々の態様で表示させることができる。このため、従来のバックライト導光板を用いた絵柄の表示に比べて表示パターンが豊富になり、今までにないインパクトのある演出を可能とすることができる。
【0053】
そして、後方発光体81を消灯させ、前方発光体82を点灯させて中間導光板75を面発光させることにより、中間導光板75の後方にある表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害する。これにより、表示シート71の表示絵柄91を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート71の表示絵柄91を見えなくさせることができ、前方導光板70の刻装絵柄92だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。したがって、前方導光板70の刻装絵柄92と、表示シート71の表示絵柄91とが干渉するようなことを防止することができ、前方導光板70の刻装絵柄92をより際だたせることができる。
また、液晶表示装置に比べて格段に低コストであり、導光板自体の加工も容易であることから、スロットマシンSの正面パネル34にこの発光表示装置7を使用した場合、発光表示装置7よりも奥側に位置する回転リール40の図柄を視認可能とする図柄表示窓37を、発光表示装置7に設けることも容易にできる。
【0054】
また、シースルー導光板70Eやシースルー中間導光板75E等に開口部70A等を設けて回転リール20の図柄を見るための図柄表示窓とする加工は比較的容易であるが、正面パネル34の全面を液晶表示装置で形成する場合、液晶板の中央にそのような開口部を設けるには非常にコストがかかる。本実施の形態では、液晶表示装置で表示可能な演出パターンには及ばないものの、正面パネル34の全面を液晶表示装置で形成する場合に比べて格段に低いコストで、豊富な表示パターンを提供することができるものである。
さらに、本実施の形態における導光板ユニット7Eは、回転リール20の図柄を視認可能さするための図柄表示窓37の部分に、遮光性の窓枠73を取り付けてあるので、導光板の発光により回転リール20が照射されることがなく、回転リール20の図柄の視認を妨げることがない。
【0055】
加えて、本実施の形態における導光板ユニット7Eは、シースルー導光板70E、シースルー中間導光板75E、グラフィックシート71E、及びバックライト導光板72Eを組み立て式の窓枠73によって一体化し、これをユニットケース60に収納した構成としてあるので、機種依存の絵柄が表示されているシースルー導光板70Eとグラフィックシート71E以外は、そのまま再利用することができ、リサイクル性にも優れている。
本実施の形態によれば、遊技機の機種交換の際、前扉3の上扉30から発光表示装置7(導光板ユニット7E)のみ、あるいは発光表示装置7(導光板ユニット7E)と外装体32(上扉キャビネット32E)を取り外して、新機種に対応したものに取り替えるだけで、少なくとも遊技の正面デザインを変更することができる。
【0056】
すなわち、本実施の形態では、上扉30の扉枠31を筐体1に据え置き、導光板ユニット7Eと上扉キャビネット32Eを機種に応じて変更可能に形成してあるが、機種変更の態様によっては、上扉キャビネット32Eを据え置いたまま、導光板ユニット7Eのみを交換することも可能である。このようにしても、正面視したときに正面パネル34の大部分を占める導光板ユニット7Eの表示図柄が変更されれば、上扉キャビネット32Eのデザイン、例えば電飾体ユニット33の形状が共通していても、十分に新しい機種として通用する。また、導光板ユニット7Eの代わりに、図柄表示窓37を形成した液晶表示画面を備える液晶ユニットを取り付けることもできるものである。
【0057】
なお、本発明は、前扉3が上扉30と下扉40に分割されていないスロットマシンにも利用できる。また、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えばパチンコ機の遊技盤の手前側に、盤面部分をくりぬいた導光板ユニット7Eを配置してもよい。あるいは、導光板ユニット7Eの表面(シースルー導光板70Eの表面)に、直接、釘や役物を取り付けて、遊技盤全体を発光表示させるようにしてもよい。
上述した実施の形態では、1つの前方発光体82により、前方導光板70(シースルー中間導光板75E)と、中間導光板75(シースルー中間導光板75E)との2つの導光板を照射しており、その点灯及び消灯も、前方導光板70(シースルー中間導光板75E)と、中間導光板75(シースルー中間導光板75E)とで同一の制御となっている。しかし、特にこれに限定することはなく、前方導光板70(シースルー中間導光板75E)と、中間導光板75(シースルー中間導光板75E)とをそれぞれ別個、独立に点灯又は消灯が可能な専用の発光体(LED基板)を設けても良いものである。すなわち、前方導光板70(シースルー導光板70E)には、これだけに光を照射可能な幅の前方発光体(LED基板)を設け、そして、中間導光板75(シースルー中間導光板75E)には、別に、この中間導光板75だけに光を照射可能な幅の中間発光体(LED基板)により、それぞれ別個独立に点灯又は消灯を制御するようにしても良いものである。これにより、前方発光体及び後方発光体だけを点灯して、中間発光体を消灯することにより、シースルー導光板70Eの刻装絵柄92と、グラフィックシート71Eの表示絵柄91との両方を重ねて表示することができる。これは、グラフィックシート71Eの表示絵柄91を見えなくするように中間導光板75を面発光させていたものを実施せずに、敢えて、グラフィックシート71Eの表示絵柄91も、シースルー導光板70Eの刻装絵柄92と重ねて表示させて、両方の絵柄が互いに干渉するように形成するものである。これにより、更に、表示形態のパターンを増やすことが可能となる。
【0058】
上述した本実施の形態では、シースルー中間導光板75Eは、通常は透明であるが、前方発光体82を点灯させて、背面側の凹凸74Bを利用して、面発光させることにより、グラフィックシート71Eの表示絵柄91を見えなくするようにしていたが、特にこれに限定するものではない。例えば、通常使用時は、透明であるが、電源をオン状態にすると、不透明のすりガラス状(曇りガラス状)となるようなものであっても良いものである。
(第2の実施の形態)
図13は、本発明の第2の実施の形態であって、発光表示装置(導光板ユニット)の分解斜視図を示すものである。
【0059】
本実施の形態に係る発光表示装置7は、表示絵柄91が表示され透光性を有する表示シート71と、表示シート71の背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板72と、後方導光板72を面発光させるための後方発光体81と、表示シート71の手前側に配置されると共に、表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害する阻害状態、及び、阻害しない非阻害状態とを切り換え可能な中間介在板300と、この中間介在板300の手前側に配置され、凹凸74Aによる刻装絵柄92が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を刻装絵柄92の凹凸74Aが正面側に反射することにより刻装絵柄92が正面側から可視可能となる前方導光板70と、前方導光板70の刻装絵柄92を発光表示させるための前方発光体82と、後方発光体81及び前方発光体82の発光を制御するための発光制御部200とを備えているものである。
【0060】
そして、この発光表示装置7は、後方発光体81を点灯させ前方発光体82を消灯させて、非阻害状態の中間介在板300及び前方導光板70を通して、後方導光板72の面発光に照射された表示シート71の表示絵柄91を正面側から視認可能とする。また、後方発光体81を消灯させ前方発光体82を点灯させて、中間介在板300を阻害状態にすることにより、表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害すると共に、前方導光板70に形成された刻装絵柄92を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とするものである。
本実施の形態に係る発光表示装置7は、図13に示すように、第1の実施の形態で使用していた中間導光板75としてのシースルー中間導光板75Eの代わりに、電圧の変化により、透明ガラス状の非阻害状態と、白濁した曇りガラス状の阻害状態との切り換えが可能な中間介在板300を使用しているところに特徴を有するものである。そして、第1の実施の形態と同様に、かかる発光表示装置7を、スロットマシンSの上扉30に配置しているものである。中間導光板75の代わりに中間介在板300を使用している以外の構成や、作用や、効果は、第1の実施の形態で説明したものと同一であり、それらの説明は省略する。
【0061】
この中間介在板300は、具体的には、高分子分散液晶(PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal))の原理を利用しているものであって、電圧の変化により、ガラスのように透明な状態から、曇りガラスのように白濁した状態まで変化可能なものである。この中間介在板300は、高分子分散液晶のかかる状態変化を利用して、ガラスのような透明な状態で、表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態と、曇りガラスのように白濁した状態で、表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害する阻害状態とを作り出すことができるものである。
(作用) 本実施の形態でも、後方発光体81と前方発光体82を別個に点灯制御することにより、表示絵柄91のみの表示と、刻装絵柄92のみの表示との少なくとも2パターンの表示を行うことができる。従って、この発光表示装置7を遊技機に用いた場合には、従来の導光板を用いた表示装置に比べて豊富な表現パターンを実現できる。
【0062】
そして、後方発光体81を消灯させ、前方発光体82を点灯させて、中間介在板300に加わる電圧を変化させて、中間介在板300を白濁した曇りガラス状に変化させる。このように表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害する阻害状態とすることにより、中間介在板300の後方にある表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害することができる。これにより、表示シート71の表示絵柄91を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート71の表示絵柄91を見えなくさせることができ、前方導光板70の刻装絵柄92だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。したがって、前方導光板70の刻装絵柄92と、表示シート71の表示絵柄91とが干渉するようなことを防止することができ、前方導光板70の刻装絵柄92をより際だたせることができる。
【0063】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、第2の実施の形態の中間介在板300を、不透明な板として、駆動手段により、シャッターのように移動させることで、阻害状態及び非阻害状態を形成するものである。その他の構成や、作用及び効果等は、第2の実施の形態と同様である。
中間介在板300としては、表示シート71の手前側に配置される不透明な板であって、かかる不透明な中間介在板300をソレノイド又はモータ等の駆動手段により表示シート71の前面側に、シャッターのように出し入れ(移動)することにより、表示シート71の正面側からの視認を阻害する阻害状態と、表示シート71の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態とを切り換え可能とするものである。具体的には、ユニットケース60や、窓枠73に、中間介在板300が移動可能な開口スリットを設けて、ソレノイドやモータ等の駆動手段で、中間介在板300だけを移動させることにより、阻害状態と、非阻害状態とを切り換え可能とするものである。不透明な中間介在板300が、表示シート71の手前側に位置する場合に、表示シート71の正面側からの視認を阻害する阻害状態を形成し、表示シート71の表示絵柄91を正面側から見ることはできない。そして、中間介在板300が、表示シート71の手前側から、上方あるいは下方等に引き出されて、中間介在板300が表示シート71の手前側に位置しない場合に、表示シート71の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態を形成し、表示シート71の表示絵柄91を正面側から見ることができる。
【0064】
具体的には、後方発光体81を消灯させ、前方発光体82を点灯させて、不透明な中間介在板300が、表示シート71の手前側に位置して、表示シート71の正面側からの視認を阻害する阻害状態にする。このように表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害する阻害状態とすることにより、中間介在板300の後方にある表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害することができる。これにより、表示シート71の表示絵柄91を正面側から目立たないように抑えることができて、表示シート71の表示絵柄91を見えなくさせることができ、前方導光板70の刻装絵柄92だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。
【0065】
一方、後方発光体81を点灯させ、前方発光体82を消灯させて、不透明な中間介在板300が、表示シート71の手前側から、上方あるいは下方等に引き出されて、中間介在板300が表示シート71の手前側に位置せず、表示シート71の正面側からの視認を阻害しな非阻害状態にする。このように表示シート71の表示絵柄91の正面側からの視認を阻害しない非阻害状態とすることにより、表示シート71の表示絵柄91を正面側から見えるようにすることができ、表示シート71の表示絵柄91だけを、正面側に向かって明瞭に示すことができる。
このような構成にすると、前方導光板70の刻装絵柄92と、表示シート71の表示絵柄91とが干渉するようなことを確実に防止することができ、前方導光板70の刻装絵柄92をより際だたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、スロットマシンを示す外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態であって、スロットマシンの前扉を取り外した状態を示す外観斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態であって、上扉を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態であって、発光表示装置(導光板ユニット)を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態であって、発光表示装置(導光板ユニット)を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態であって、発光表示装置(導光板ユニット)を示す分解縦断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態であって、(A)はシースルー導光板(前方導光板)を示す部分拡大断面図、(B)はシースルー中間導光板(中間導光板)及びバックライト導光板(後方導光板)を示す部分拡大断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態であって、下扉を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態であって、表示シート(グラフィックシート)を示す正面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態であって、シースルー導光板を示す正面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態であって、正面パネルから視認できる発光表示装置を示す正面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態であって、正面パネルから視認できる発光表示装置を
【図13】本発明の第2の実施の形態であって、発光表示装置(導光板ユニット)を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
S スロットマシン 1 筐体
2 遊技装置 2E リールユニット
3 前扉 4 電源装置
5 ホッパーユニット 6 制御装置
6A 遊技制御装置 6B 演出制御装置
7 発光表示装置 7E 導光板ユニット
11 開口部 12 中板
13 開口上部 14 開口下部
15 底板 16 側板
17 天板 19A ヒンジ
19B ヒンジ 20 回転リール
21 支持体 30 上扉
31 扉枠 31A 開口部
31B 上扉枠 32 外装体
32E 上扉キャビネット 33 電飾体ユニット
34 正面パネル 35 スピーカユニット
36 上扉係合部 37 図柄表示窓
38 発光体 40 下扉
41 下扉枠 41A 凹部
41C 係合孔 41D 係合孔
42 下パネルユニット 42A パネル枠
42B 下パネル 42C 係合爪
42D 係合爪 43 下皿
44 メダルセレクター 45 照明装置
46 下扉係合部 50 操作部
51 ベットスイッチ 52 スタートスイッチ
53 ストップスイッチ 54 精算スイッチ
55 メダル投入口 60 ユニットケース
61 表面ケース 61A 開口部
62 裏蓋 62A 開口部
70 前方導光板 70A 開口部
70E シースルー導光板 71 表示シート
71A 開口部 71E グラフィックシート
72 後方導光板 72A 開口部
72E バックライト導光板 73 窓枠
73A 開口部 74 凹凸
74A 凹凸 74B 凹凸
75 中間導光板 75A 開口部
75E シースルー中間導光板 76 平枠部
77 張り出し部 77' 張り出し部
80 発光部材 81 後方発光体
81E 冷陰極管 82 前方発光体
82A LED基板 82B LED基板
82C LED基板 82D LED基板
82E LED基板 90 絵柄
91 表示絵柄 91A ベース絵柄
92 刻装絵柄 92A 刻装絵柄
92B 刻装絵柄 92C 刻装絵柄
92D 刻装絵柄 200 発光制御部
201 発光制御基板 300 中間介在板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示絵柄が表示され透光性を有する表示シートと、
前記表示シートの背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板と、
前記後方導光板を面発光させるための後方発光体と、
前記表示シートの手前側に配置されると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する中間導光板と、
前記中間導光板の手前側に配置され、凹凸による刻装絵柄が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄の凹凸が正面側に反射することにより前記刻装絵柄が正面側から可視可能となる前方導光板と、
前記前方導光板の刻装絵柄を発光表示させると共に前記中間導光板を面発光させるための前方発光体と、
前記後方発光体及び前方発光体の発光を制御するための発光制御部とを少なくとも備え、
前記後方発光体を点灯させ前記前方発光体を消灯させることにより、前記中間導光板及び前記前方導光板を通して、前記後方導光板の面発光に照射された表示シートの表示絵柄を正面側から視認可能とし、
前記後方発光体を消灯させ前記前方発光体を点灯させて前記中間導光板を面発光させることにより、前記表示シートの表示絵柄の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板に形成された刻装絵柄を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
表示絵柄が表示され透光性を有する表示シートと、
前記表示シートの背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板と、
前記後方導光板を面発光させるための後方発光体と、
前記表示シートの手前側に配置されると共に、前記表示シートの表示絵柄の正面側からの視認を阻害する阻害状態、及び、阻害しない非阻害状態とを切り換え可能な中間介在板と、
前記中間介在板の手前側に配置され、凹凸による刻装絵柄が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄の凹凸が正面側に反射することにより前記刻装絵柄が正面側から可視可能となる前方導光板と、
前記前方導光板の刻装絵柄を発光表示させるための前方発光体と、
前記後方発光体及び前方発光体の発光を制御するための発光制御部とを少なくとも備え、
前記後方発光体を点灯させ前記前方発光体を消灯させて、非阻害状態の前記中間介在板及び前記前方導光板を通して、前記後方導光板の面発光に照射された表示シートの表示絵柄を正面側から視認可能とし、
前記後方発光体を消灯させ前記前方発光体を点灯させて、前記中間介在板を阻害状態にすることにより、前記表示シートの表示絵柄の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板に形成された刻装絵柄を正面側から視認可能となるように形成したことを特徴とする発光表示装置。
【請求項3】
前記前方発光体は、前記前方導光板の周囲に複数設けられ、
前記複数の前方発光体の一部を点灯させることにより、前記刻装絵柄の一部が可視可能となることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の発光表示装置。
【請求項4】
正面側に開口する筐体と、筐体の正面開口を開閉自在かつ閉塞可能な前扉と、前記筐体の内部に設置される遊技装置と、当選か否かの当選判定の抽選を行うと共に前記遊技装置の作動を制御するための制御装置とを少なくとも備える遊技機において、
前記前扉は、前記筐体に固定される扉枠と、透明な正面パネルを有し前記扉枠に着脱自在に取り付けられる外装体と、前記扉枠と前記正面パネルの間に配置され前記扉枠又は前記外装体に着脱自在に装着される発光表示装置とを備え、
前記発光表示装置は、
表示絵柄が表示され透光性を有する表示シートと、
前記表示シートの背面側に配置され、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する後方導光板と、
前記後方導光板を面発光させるための後方発光体と、
前記表示シートの手前側に配置されると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を正面側に反射することにより面発光する中間導光板と、
前記中間導光板の手前側に配置され、凹凸による刻装絵柄が形成されていると共に、背面側から照射される光は正面側に透過し、端面側から照射される光を前記刻装絵柄の凹凸が正面側に反射することにより前記刻装絵柄が正面側から可視可能となる前方導光板と、
前記前方導光板の刻装絵柄を発光表示させると共に前記中間導光板を面発光させるための前方発光体と、
前記後方発光体及び前方発光体の発光を制御するための発光制御部とを少なくとも備え、
前記制御装置は、当選判定の抽選結果その他の遊技状態に応じて、
前記後方発光体を点灯させ前記前方発光体を消灯させることにより、前記中間導光板及び前記前方導光板を通して、前記後方導光板の面発光に照射された表示シートの表示絵柄を正面側から視認可能とする表示、
前記後方発光体を消灯させ前記前方発光体を点灯させて前記中間導光板を面発光させることにより、前記表示シートの表示絵柄の正面側からの視認を阻害すると共に、前記前方導光板に形成された刻装絵柄を正面側から視認可能とする表示を選択可能に形成されていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−61022(P2009−61022A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230068(P2007−230068)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】