説明

発泡体

【課題】硬度、寸法安定性、熱成型性及び機械強度に優れた、主として靴用ミッドソール又はインナーソールに適した発泡体を得る。
【解決手段】(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体と、
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムと、(c)充填剤と、(d)発泡剤とを含み、前記(a)成分と、前記(b)成分との質量比が1〜30/70〜99であり、前記(a)成分と、前記(b)成分との合計量100質量部に対して、前記(c)成分を1〜50質量部、前記(d)成分を1〜10質量部含有する発泡体用組成物を架橋してなる、比重が0.1〜0.7g/ccの発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴用ミッドソール又はインナーソールに適した発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズ等のミッドソール材には、クッション性や衝撃緩衝性、軽さ等の特性が要求される。このような特性を満足する素材として、従来からエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を主成分とした発泡体やポリウレタン(PU)を主成分とした発泡体が使用されているが、より一層の軽量化を図り、かつ温度による硬度変化を抑制するために、ゴムを添加した材料が検討されている。
【0003】
特許文献1には、耐磨耗性に優れ、軽く、かつ滑りにくい発泡ゴムソールとして、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含有する材料が開示されている。
特許文献2には、高温、低温環境下においても硬度変化が小さく、クッション性、衝撃緩衝性に優れた発泡体として、スチレン含有量が60%以下であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含有する材料からなる発泡体が開示されている。
特許文献3には、成形性に優れ、かつ柔軟性、成型性外観に優れる成型組成物として、ラジアル型熱可塑性エラストマーとリニア型熱可塑性エラストマー及び1,2−ポリブタジエンを含有する組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−200702号公報
【特許文献2】特開2001−340105号公報
【特許文献3】特開2004−217846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来開示されている発泡体材料は、いずれにおいても、硬度、寸法安定性、熱成型性及び機械強度において未だ改良の余地があり、靴用ミッドソール又はインナーソール発泡体として、十分な特性を有していない。
そこで本発明においては、硬度、寸法安定性、熱成型性及び機械強度に優れた、特に靴用ミッドソール又はインナーソールに適した発泡体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上述したような、靴用発泡体に関する従来技術の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の粘弾性挙動を有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを含有するブロック共重合体と、所定のゴム成分等を使用することによって、上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0007】
〔1〕
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体と、
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムと、
(c)充填剤と、
(d)発泡剤と、
を、含み、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が1〜30/70〜99であり、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有する発泡体用組成物を架橋してなる、
比重が0.1〜0.7g/ccの発泡体。
〔2〕
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が、2〜25/75〜98である前記〔1〕に記載の発泡体。
〔3〕
前記(a)ブロック共重合体と前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、
前記(c)充填剤を3〜40質量部、
前記(d)発泡剤を1〜7質量部、含有する前記〔1〕又は〔2〕に記載の発泡体。
〔4〕
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、
(e)熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂を1〜50質量部、さらに添加してなる前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の発泡体。
〔5〕
比重が0.2〜0.6g/ccである前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の発泡体。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の発泡体を成型した靴用ミッドソール。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の発泡体を成型した靴用インナーソール。
〔8〕
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体と、
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムと、
(c)充填剤と、
(d)発泡剤と、
を、含み、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が1〜30/70〜99であり、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有する、
発泡体用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬度、寸法安定性、熱成型性及び機械強度に優れた、主として靴用ミッドソール又はインナーソールに適した発泡体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、説明する。なお本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0010】
〔発泡体〕
本実施形態の発泡体は、下記(a)成分〜(d)成分を含有している。
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体。
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴム。
(c)充填剤。
(d)発泡剤。
また、前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比において1〜30/70〜99である。
さらに、前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有する組成物を架橋したものであり、比重は0.1〜0.7g/ccである。
【0011】
(成分(a):ブロック共重合体)
成分(a)は、前記のように、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体である。
(a)ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量は65〜95質量%であり、好ましくは68〜93質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。
(a)ブロック共重合体中の共役ジエンの含有量は5〜35質量%であり、好ましくは7〜32質量%であり、より好ましくは10〜30質量%である。
ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%の範囲であると、発泡体の硬度と伸び及び熱成型性のバランスが優れたものとなり、靴用ミッドソール又はインナーソール用の発泡体として好適である。
(a)ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量、及び共役ジエンの含有量は、紫外線分光光度計を用い、所定の波長の光に対する吸収光度を測定することにより得られる。
【0012】
成分(a)は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つと、共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つ有する。
成分(a)のポリマー構造は、特に制限は無いが、例えば下記一般式で表される線状ブロック共重合体やラジアルブロック共重合体、あるいはこれらのポリマー構造の任意の混合物が使用できる。また、下記一般式で表されるラジアルブロック共重合体において、さらにA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していてもよい。
(A−B)n、A−(B−A)n、B−(A−B)n+1
[(A−B)km+1−X、[(A−B)k−A]m+1−X、
[(B−A)km+1−X、[(B−A)k−B]m+1−X、
【0013】
上記各一般式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成され、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成される。
好ましいセグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量は50質量%以上であり、好ましいセグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量は50質量%未満である。
【0014】
上記一般式中、Xは、例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
n、k及びmは、それぞれ1以上の整数、一般的には1〜5の整数である。
また、Xに複数結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていてもよい。
【0015】
本実施形態の発泡体に含有されている上記成分(a):ブロック共重合体を構成するセグメントA、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。
また当該共重合体中には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がセグメント中にそれぞれ複数個共存してもよい。
セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)と、セグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量の方が、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素含有量より大である。
セグメントAとセグメントBのビニル芳香族炭化水素含有量の差は、5質量%以上であることが好ましい。
【0016】
<成分(a)ブロック共重合体の製造方法>
成分(a)は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより得ることができる。
【0017】
ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等であるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0018】
炭化水素溶媒としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
成分(a)の重合を行う際の重合開始剤としては、一般的に、共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対し、アニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等を用いることができる。
これらを構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1〜20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。
具体的には、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。
更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
成分(a)を製造する際の重合温度は、一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。
重合に要する時間は、条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。
また、重合系の雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス等をもって置換するのが好ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。
さらに、重合系内には、触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意することが好ましい。
【0021】
<成分(a)ブロック共重合体の物性>
成分(a):ブロック共重合体は、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が95℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在する。好ましくは、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が5×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が95℃以上120℃以下に少なくとも1つ存在する。
前記tanδのピークを示す温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値が零となる温度を言う。
【0022】
成分(a):ブロック共重合体の動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が95℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在する場合は、本実施形態の発泡体は、硬度と伸び及び熱成型性のバランスに優れたものとなり、靴用ミッドソール又はインナーソールに好適である。
【0023】
成分(a)の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(E’)とtanδは、後述する実施例において記載する方法により測定でき、例えば(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE−V4、あるいは東洋ボールドウイン社製レオバイブロンDDV−3型等より測定することができ、具体的には、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ0.5〜2mmの試験片を用いて測定することができる。
【0024】
前記30℃での貯蔵弾性率(E’)は、前記セグメントAと前記セグメントBとの比率においてセグメントAを増やすことで高くすることができる。
tanδのピーク温度は、例えば成分(a)のビニル芳香族炭化水素含有量を増す、成分(a)の分子量を高くする、成分(a)の前記セグメントAの含有量を増す、前記セグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量を増すことによって高く調整することができる。
成分(a)の分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)におけるポリスチレン換算による数平均分子量で30,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは40,000〜500,000、さらに好ましくは50,000〜300,000である。
【0025】
(成分(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴム)
イソプレン系ゴムとは、天然ゴムとイソプレンゴムであり、ジエン系ゴムとは、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム、エチレン・ブロピレン・ジエン共重合ゴム等であり、本実施形態の発泡体を構成する成分(b)としては、これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
成分(b)には、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマチックオイル等のオイルや、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアジペート等の、各種可塑剤を含んでいてもよい。
前記パラフィンオイルとしては、出光興産社製ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産社製フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P−400,P−500、日鉱共石社製共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学社製ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル社製エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル社製ナプレックス32、新日本石油社製三菱10ライトプロセス油等が挙げられる。
前記ナフテンオイルとしては、出光興産社製ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル社製ナプレックス38、富士興産社製フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石社製共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学社製シェルフレックス371JY,同371N, 同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、新日本石油社製コウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル社製エッソプロセスオイルL−2,同765、新日本石油社製三菱20ライトプロセス油等が挙げられる。
前記アロマチックオイルとしては、出光興産社製ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58,エクソンモービル社製モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石社製共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学社製レゾックスNo.3、デュートレックス729UK 、新日本石油社製コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル社製エッソプロセスオイル110,同120、新日本石油社製三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油等が挙げられる。
【0027】
可塑剤の配合量は、成分(b)100質量部に対して1〜200質量部が好ましく、より好ましくは10〜100質量部、さらに好ましくは15〜80質量部である。
可塑剤の配合量が1〜200質量部であると、本実施形態の発泡体は加工性に優れたものとなる。
【0028】
成分(b)としては、ポリブタジエンが好適な例として挙げられ、ポリブタジエンゴムとしては、1,2結合(ビニル)を5%〜20%含み、トランス1,4結合を0〜3%含み、残余成分がシス1,4結合であるビニルシスポリブタジエンゴム、あるいはシス1,4結合を92%以上含み、1,2結合を0%〜3%含み、残余成分がトランス1,4結合であるゴムであるハイシスポリブタジエンゴム等も含まれる。
【0029】
上述した成分(a)と成分(b)との質量比は1〜30/70〜99であるものとし、好ましくは2〜25/5〜98、より好ましくは5〜20/80〜95である。
成分(a)と成分(b)との質量比が1〜30/70〜99であると、本実施形態の発泡体において、靴用ミッドソール又はインナーソールとして好適な、優れた硬度及び寸法安定性が得られる。
【0030】
(成分(c):充填剤)
充填剤としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、カーボンブラック、カーボン−シリカ、デュアル・フェイズ・フィラー等が挙げられる。
充填剤の配合量は、上述した成分(a)と成分(b)の合計量100質量部に対して、1〜50質量部であるものとし、好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜30質量部である。
成分(c):充填剤の配合量が1〜50質量部であると、本実施形態の発泡体において、靴用ミッドソール又はインナーソールとして好適な硬度及び好ましい比重が得られる。
【0031】
(成分(d):発泡剤)
発泡剤としては、例えば、それ自体公知の無機発泡剤又は有機発泡剤を用いることができる。
例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソテレフタルアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、トルエンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド類等が挙げられる。特に、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、スルホニルヒドラジド類、重炭酸ナトリウムがより好ましい。これらの発泡剤は、尿素、尿素誘導体等の公知の発泡助剤と併用してもよい。
【0032】
また、発泡剤としては、熱膨張性マイクロカプセルを用いることができる。
この熱膨張性マイクロカプセルとは、熱可塑性の中空球体の発泡粒子からなり、ガスを包み込んだ熱可塑性樹脂からなる殻(シェル)から構成されているものである。
この熱膨張性マイクロカプセルを加熱すると、熱可塑性の殻が軟化し、ガスは圧力を増し、その結果、球体は膨張し、発泡剤としての作用をなす。
前記マイクロカプセルの殻を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−メチルメタクリレート共重合体、塩化ビニリデン−エチルメタクリレート、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−エチルメタクリレート等が挙げられる。また、加熱によりガスとなる化合物としては、イソペンタン、イソブタン、イソプロパン等が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルの質量平均粒径は、通常10〜100μmであるものとし、好ましくは20〜80μm程度である。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、日本フィライト株式会社製EXPANCEL DU,WUシリーズ、松本油脂社製マイクロスフェアーF−30、F−50、F−80S、F−85等が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルを発泡剤として用いると、加熱により、個々のマイクロカプセルが内包されているガス生成成分のガス化に従って均一に膨張し、均質な発泡体を得ることができる。
【0033】
なお、発泡剤として、発熱性発泡剤と吸熱性発泡剤を併用することにより、発泡成型時の発熱作用を抑えることができるため好ましい。
この場合、発熱性発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げられる。
また、吸熱性発泡剤としては、重曹等が挙げられ、この場合、発生ガスが炭酸ガスである。
【0034】
成分(d):発泡剤の配合量は、上述した成分(a)と成分(b)との合計量100質量部に対して1〜10質量部であるものとし、好ましくは1〜7質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
成分(d):発泡剤の配合量が1〜10質量部であると、本実施形態の発泡体において、靴用ミッドソール又はインナーソールとして好適な、優れた硬度が得られ、かつ比重が好ましい値となる。
【0035】
(成分(e):熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂)
本実施形態の発泡体には、上述した成分(a)〜成分(d)に、さらに成分(e):熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂を含有してもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントの化学組成による分類によれば、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)等が挙げられる。また、その他、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、イオンクラスター型熱可塑性エラストマー(アイオノマー)、フッ素樹脂を拘束ブロックとして含むフッ素系熱可塑性エラストマー等がある(なお、樹脂/ゴムブレンドによる熱可塑性エラストマーのうち、ソフトセグメントとなるゴムを架橋させながら混練し、ゴム分散粒径を細かくすることにより性能を向上させる動的架橋によるTPOをTPVと言う場合がある。)。上述した熱可塑性エラストマーは、1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
また、他の熱可塑性エラストマーとしては、上述した成分(a)又は成分(b)以外の合成ゴムを用いることができ、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等)等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0036】
熱可塑性樹脂としては、可塑化温度が50〜300℃ の熱可塑性樹脂であれば、特に制限無く使用できる。
例えば、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等)、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、飽和ポリエステル樹脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物等)、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂の中で好ましいものは、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂である。
これらの熱可塑性樹脂を配合することにより、本実施形態の発泡体の成型体において、ヒケや変形を防止でき、好ましい。
【0037】
成分(e):熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂の好ましい配合量は、成分(a)と成分(b)の合計量100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、より好ましくは3〜40質量部、さらに好ましくは5〜30質量部である。
熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂の配合量が1〜50質量部であると、本実施形態の発泡体において、靴用ミッドソール又はインナーソールとして好適な機械強度が得られる。
【0038】
〔発泡体の製造方法〕
本実施形態の発泡体は、上述した成分(a)〜成分(d)を必須成分とし、必要に応じて成分(e)を加えて発泡体用組成物を調製し、この発泡体用組成物に対し、発泡・架橋処理を施すことによって得られる。
(発泡体用組成物及びその製造方法)
発泡体用組成物は、上述した成分(a)〜成分(d)を含み、前記成分(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が1〜30/70〜99であり、前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有するものである。
発泡体用組成物を調製する際には、従来から公知の混練機、押出機等を用いることができる。
また、(c)充填剤、(d)発泡剤等の配合方法、配合順序としては、例えば、予めバンバリーミキサー等で、成分(a)、成分(b)を100〜180℃ で溶融混練させたものを、バンバリーミキサー等を用いて、(c)充填剤と配合した後、ロール等を用いて(d)発泡剤、架橋剤等を加える方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0039】
(発泡、架橋処理)
前記発泡体用組成物を発泡させる工程においては、所定の金型内に入れて温度を高めることにより発泡を行うか、あるいは押出成型機を用いて任意の形状に成型したのち、加熱槽内で加熱して発泡を行うことにより、発泡体が得られる。
この場合の発泡は1次発泡を行った後、2次発泡を行い、発泡倍率を上げることもできる。
発泡条件は、加熱温度が120〜250℃、好ましくは140〜180℃の範囲、加熱時間として3〜120分、好ましくは5〜60分の範囲である。
【0040】
前記発泡過程において、同時に架橋が行われる。
本実施形態の発泡体の架橋形態は特には制限されず、例えば、硫黄架橋、過酸化物架橋等が適用される。
発泡体のコスト及び強度の観点からは、硫黄架橋が好ましい。
また、この発泡体は、必要に応じ、シリル化剤、シランカップリング剤、老化防止剤、加硫促進剤、架橋助剤、着色剤等が適量配合されていてもよい。
【0041】
本実施形態の発泡体の比重は、0.1〜0.7g/ccであり、好ましくは0.2〜0.6g/ccである。
比重は、後述する実施例に記載した方法により測定できる。具体的には、JIS K 7112に準拠して測定できる。
【0042】
〔発泡体の用途〕
本実施形態の発泡体は、靴用ミッドソール又はインナーソール材料、具体的には、紳士靴、婦人靴、カジュアルシューズ、ランニングシューズ、ジョギングシューズ、トラッキングシューズ、各種競技用シューズ、登山シューズ、ドレスシューズ、ゴルフシューズ、屋内履きシューズ、スリッパ類、ビーチサンダル類等の履物全般の靴用ミッドソール又はインナーソール材料として有用である。
また、本実施形態の発泡体は、必要に応じて、ベルト、自動車部品、建材部品、工業部品、玩具・雑貨部品、スポーツ・健康部品、介護用品等の各種成型品や、各種シート、フィルム、その他の工業用品、緩衝材料、包装材料等にも使用することができる。
また、本実施形態の発泡体は、寸法精度に優れ、耐久性、クッシヨン性にも優れており、熱成型スポンジにも応用できる。
ここで、熱成型スポンジとは、発泡体を所要の形状に予備切断し、100〜150℃に加熱された金型内で加熱加圧し、発泡体の外安面に強固な融解皮膜を形成させた後、金型を冷却して発泡体を取り出すことにより作製されるものである。
【実施例】
【0043】
以下、本発明について具体的な実施例と比較例を挙げて説明するが、本発明は、後述する実施例に限定されるものではない。
【0044】
(成分(a):ブロック共重合体の製造例)
<ブロック共重合体A−1>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン18質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.091質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン21質量部と、1,3−ブタジエン32質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で65分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン29質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−1を得た。
【0045】
<ブロック共重合体A−2>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.087質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン22質量部と、1,3−ブタジエン27質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で60分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン27質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で35分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−2を得た。
【0046】
<ブロック共重合体A−3>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン31質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.082質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と、1,3−ブタジエン20質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で50分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン6質量部と1,3−ブタジエン2質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン21質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−3を得た。
【0047】
<ブロック共重合体A−4>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン32質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.076質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン21質量部と、1,3−ブタジエン12質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で40分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン8質量部と1,3−ブタジエン3質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−4を得た。
【0048】
<ブロック共重合体A−5>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.052質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で35分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン30質量部と、1,3−ブタジエン6.5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン10質量部と、1,3−ブタジエン1.5質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン26質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−5を得た。
【0049】
<ブロック共重合体A−6>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.092質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン16質量部と、1,3−ブタジエン38質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で60分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン6質量部と、1,3−ブタジエン2質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン23質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−6を得た。
【0050】
<ブロック共重合体A−7>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン39質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.054質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で45分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン20質量部と、1,3−ブタジエン2質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン39質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で45分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−7を得た。
【0051】
<ブロック共重合体A−8>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.090質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.1倍モル添加し、70℃で25分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン16質量部と、1,3−ブタジエン32質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン8質量部と、1,3−ブタジエン2質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン22質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で30分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−8を得た。
【0052】
<ブロック共重合体A−9>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.074質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン10質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で20分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン57質量部と、1,3−ブタジエン18質量部とを含むシクロヘキサン溶液を、70℃で80分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−9を得た。
【0053】
<ブロック共重合体A−10>
攪拌機を備えたオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.051質量部、テトラメチルエチレンジアミンをn−ブチルリチウムに対して0.3倍モル添加し、70℃で55分間連続供給して重合を行った。
次に、1,3−ブタジエン6質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で15分間連続供給して重合を行った。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液を、70℃で55分間連続供給して重合を行った。
その後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートを、ブロック共重合体100質量部に対して、0.3質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、ブロック共重合体A−10を得た。
【0054】
成分(a):ブロック共重合体A−1〜A−10の構造、スチレン含量(質量%)、30℃の貯蔵弾性率(E’)、及び動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度を、それぞれ下記表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1中、ブロック共重合体A−1〜A−10の構造を構成するaはポリスチレン部、bはブタジエンのランダム共重合体部、cはポリブタジエン部を表す。
添え字(数字)は、それぞれの部位を区別するためのものであり、構造は同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
次に、成分(a):ブロック共重合体、及び実施例及び比較例において作製した発泡体の特性の測定方法、及び評価方法について説明する。
〔測定・評価方法〕
<(1)スチレン含量>
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
【0058】
<(2)30℃での貯蔵弾性率(E’)及びtanδピーク温度>
(株)レオロジ製粘弾性測定解析装置DVE−V4を用い、振動周波数35Hz、昇温速度3℃/minの条件で、厚さ2mmの試験片を用い、温度−50℃〜150℃の範囲を測定して求めた。
【0059】
<(3)比重>
JIS K 7112に準拠して測定した。
【0060】
<(4)硬度>
厚み12mmの板状試験片を用い、JIS−C硬度にて測定した。
【0061】
<(5)引張強さ(Tb)、切断時伸び(Eb)>
厚み2mmの板状試験片をJIS K 6251に準拠して測定した。
Tbの単位は(MPa)、Ebの単位は(%)とする。
【0062】
<(6)寸法安定性>
150(縦)×150(横)×4mm(厚さ)の金型で2次成型したシートの24時間後の収縮率を測定した。
また比較例1を100として指数を算出した。
指数が小さいほど収縮率は小さく寸法安定性に優れるものと判断した。
なお、比較例1における発泡後の収縮率は1.8%である。
【0063】
<(7)熱成型性>
2次加熱成型後の成型品の状態を目視で調べた。
○は実用上問題ない状態、×は凹凸状態が悪く製品として不良となる状態を示す。
【0064】
〔実施例1〜5〕、〔比較例1〜5〕
成分(a)のブロック共重合体A−1〜10と、成分(b)としてBR及びSBRを用い、これに成分(c)としてシリカと、成分(d)として発泡剤を用い、さらにその他添加剤を用い、これらの配合組成と発泡体物性を下記表2に示した。
表2に示す配合組成のうち、発泡剤、その他添加剤を除く配合材料を1.7Lの試験用バンバリーミキサーを用いて、最高温度を170〜180℃に調節して混練した。
次に、この混練物を10インチロール上で発泡剤及びその他添加剤を添加して混練し、これをシート状にロール出しした後、140℃で1次加熱プレス成型(架橋、発泡)した。
プレス条件は、1次成型品の内部硬度が35〜50(JIS−C硬度)になるよう適宜条件を調整した。
この条件で作製した1次成型品を30%の圧縮率で2次成型(150℃で加熱プレス7分、冷却15分)を実施して発泡体を得た。
【0065】
【表2】

【0066】
表2中の記号等の詳細は以下の通りである。
BR;ポリブタジエン 日本ゼオン(株)社製「Nipol BR1220」
SBR;スチレン−ブタジエン共重合体 KUMHO社製「SBR1502」
シリカ;東ソー・シリカ(株)社製「ニプシールVN3」
発泡剤1;P,P’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)
発泡剤2;アゾジカルボンアミド(ADCA)
その他添加剤;ポリエチレングリコール(山陽化成工業(株)社製、商品名「PEG# 4000」)1質量部
ステアリン酸(旭電化(株)社製)1質量部
発泡助剤(尿素誘導体、三協化成(株)社製、商品名「セルトンN F」)1質量部
DCP(98%ジクミルパーオキサイド、日本油脂(株)社製、商品名 「パークミルD」0.4質量部
【0067】
〔実施例6〜9〕、〔比較例6〜9〕
表3に示した成分(a)の種類と量及び成分(b)、(c)、(d)の量を変化させ、実施例1と同様な方法で発泡体を得た。
表3中の記号等の詳細は表2と同様であり、物性の測定法も前記と同様である。
【0068】
【表3】

【0069】
〔実施例10〕
上述した〔実施例1〕の配合組成に対して、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体、東ソー社製、EVAUE633,酢酸ビニル含量=20%、MI=20)を、成分(a)と成分(b)100質量部に対して5質量部添加した。
その他の条件は、実施例1と同様の方法で発泡体を得た。
得られた発泡体の比重は0.39g/cc、硬度は54、Tbは3.0MPa、Ebは390%、寸法安定性は93で、熱成型性は○と良好な物性を示した。
【0070】
実施例1〜10の発泡体は、いずれも硬度、寸法安定性、熱成型性及び機械強度に優れた、主として靴用ミッドソール又はインナーソールに適した発泡体であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の発泡体は、靴用ミッドソール又はインナーソール材料に適しており、具体的には、紳士靴、婦人靴、カジュアルシューズ等の履物全般の靴用ミッドソール又はインナーソール材料として、産業上の利用可能性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体と、
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムと、
(c)充填剤と、
(d)発泡剤と、
を、含み、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が1〜30/70〜99であり、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有する発泡体用組成物を架橋してなる、
比重が0.1〜0.7g/ccの発泡体。
【請求項2】
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が、2〜25/75〜98である請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記(a)ブロック共重合体と前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、
前記(c)充填剤を3〜40質量部、
前記(d)発泡剤を1〜7質量部、含有する請求項1又は2に記載の発泡体。
【請求項4】
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、
(e)熱可塑性エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂を1〜50質量部、さらに添加してなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項5】
比重が0.2〜0.6g/ccである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発泡体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発泡体を成型した靴用ミッドソール。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発泡体を成型した靴用インナーソール。
【請求項8】
(a)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとを含有するブロック共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素の含有量が65〜95質量%、共役ジエンの含有量が5〜35質量%で、動的粘弾性測定における30℃での貯蔵弾性率(E’)が3×108Pa以上で、かつ動的粘弾性測定の関数tanδのピーク温度が90℃以上125℃以下に少なくとも1つ存在するブロック共重合体と、
(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムと、
(c)充填剤と、
(d)発泡剤と、
を、含み、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの質量比が1〜30/70〜99であり、
前記(a)ブロック共重合体と、前記(b)イソプレン系ゴム及び/又はジエン系ゴムとの合計量100質量部に対して、前記(c)充填剤を1〜50質量部、前記(d)発泡剤を1〜10質量部含有する、
発泡体用組成物。

【公開番号】特開2012−41506(P2012−41506A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186369(P2010−186369)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】