説明

発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置

【課題】発泡飲料供給流路の中心線とガス供給流路の中心線とのなす角度を相対的に移動する必要が生じても、最初にセットした温度圧力調節用のスプリングのセット荷重が変化することなく、またサーモエレメントの感温部が接触している伝熱用のプレートと離れない発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置とする。
【解決手段】発泡飲料容器から外部に供給する流路内の発泡飲料の温度を検出して変位するサーモエレメントを支持するエレメントホルダーと、サーモエレメントにより炭酸ガスボンベから発泡飲料容器に炭酸ガスを供給する管路に配置した温度圧力調節弁部を固定する本体筒部とを、本体筒部のピン挿入孔からそのピン挿入孔に対向して形成したエレメントホルダーの嵌合溝に回転可能に係合するピンを挿入することで、互いに抜け止めされ且つ回転可能に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ビール等の発泡飲料を貯留する容器の圧力を、供給する飲料の温度に応じて調整するための発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置に関し、特に発泡飲料流路と炭酸ガス流路を固定した本体とを相対的に回転して、設置の自由度を向上しようとするとき、内部のスプリングのセット荷重が変化しないようにした発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樽内に貯留される生ビールを販売する際には、飲料温度に応じた適切な炭酸ガス圧力を樽内に加えておく必要があり、以前はビールの注出時には雰囲気温度によって、圧力調節バルブを手動で調節し、樽に供給される炭酸ガスの圧力を調節することが行われていた。しかしながら、その調節には熟練を要するため、ビールの温度に応じて、樽に供給する炭酸ガスの圧力を自動調節する装置の開発が行われ、例えば図5に示すような温度圧力調節装置1を用いた発泡飲料供給装置が本件出願人等により提案されている(特許文献1)。後述する本発明の発砲飲料供給装置用温度圧力調節装置の温度圧力調節機能は、基本的に図5の従来例と同様の機能を奏するので、ここで発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置の全体概要について説明する。
【0003】
この発泡飲料供給装置用の温度圧力調節装置1においては、炭酸ガスボンベ側に接続して温度圧力調節装置1にほぼ所定圧の炭酸ガスを導入するガスボンベ接続部2と、ビールの温度に応じて圧力が調整された炭酸ガスを樽に供給するガス供給部3と、樽からビールを導入する樽接続部4と、温度圧力調節装置1で温度を検出した後のビールを冷却器に供給する冷却器接続部5の各接続部を備えている。
【0004】
温度圧力調節装置1における前記ガスボンベ接続部2とガス供給部3の間には、作動ロッド部6を有する弁体7を備え、この弁体7はスプリング8により、常時弁座体10の弁開口11を閉じる方向に付勢されている。弁座体10の中心部には通孔12を形成しており、この通孔12の内壁と弁体7の作動ロッド部6の外周との間に、弁開口11からの炭酸ガスを圧力調整室13に流入させる間隙を形成している。弁体7の作動ロッド部6の先端は、ダイヤフラム14をダイヤフラム受け15との間で狭持するロッド受け16に当接し、ダイヤフラム受け15に当接しているリテーナ19とそれに対向するスリーブ17間に縮設したスプリング18によってその当接状態を維持している。スリーブ17の図中左側にはサーモエレメント20内で図中左右に摺動可能に支持されたロッド21が当接しており、サーモエレメント20の感温部22の温度が高くなるとその内部のワックス29が膨張してロッド21が図中右側に移動し、スプリング18を押し縮めてダイヤフラム14に加わる荷重を変化させている。このような構造によって、炭酸ガスボンベから発泡飲料容器に炭酸ガスを供給する管路に配置した温度圧力調節弁部9を、サーモエレメント20により調節することができる発泡飲料供給装置としている。
【0005】
サーモエレメント20はその筒部23の外周に雄ねじ24を形成しており、本体筒部25にねじ26で固定したエレメントホルダー27の内面に形成した雌ねじ28に螺合することにより、サーモエレメント20はエレメントホルダー27に支持されている。また、このサーモエレメント20の感温部22の側壁には、互いに対向する部分において互いに平行に面取り部31を形成しており、この部分を工具で挟んで回転させることによりサーモエレメント20全体を回転させ、固定されている雌ねじ28に対する雄ねじ24の螺合により、サーモエレメント20をその軸線方向に進退自在としている。上記温度圧力調節装置1においては、図中右側の温度圧力調節部材33と、この温度圧力調節部材33と袋ナット34により固定される流路形成部材35と2分割可能の構造としている。温度圧力調節部材33は、サーモエレメント20を前記のように螺合して支持したエレメントホルダー27と、このエレメントホルダー27とねじ26で固定しており内部にスプリング18等の部材からなる圧力調節装置を収納している本体筒部25と、この本体筒部25に対してねじ36で固定しており、本体筒部25の端部を覆って内部に弁体7等の弁部材を収納している弁収納部37とを一体化している。
【0006】
したがって袋ナット34を外し、流路形成部材35と温度圧力調節部材33とが分離され全体が2分されている、温度圧力調節部材33を流路形成部材35に組み付ける前の状態において、或いは組み付け後に分解した状態において、弁体7が所定の温度で所定の開度を維持することができるか否かの検査を行うことができる。この検査工程において弁体7が所定の開度にならないときには、感温部22における平行な面取り部31を工具で挟む等によって左右いずれかの方向に回転させることによりサーモエレメント20をその軸線方向に進退させ、スプリング18のバイアス力を調整することによって所定の開度になるように微調整を行うことができる。
【0007】
このような温度圧力調節装置1を用いることにより、樽が周囲から熱を受け、内部の生ビールの温度が上昇すると、供給する生ビールの温度をサーモエレメント20の感温部22で検出し、内部のワックス29の膨張によりロッド21が図中右方向に移動し、スリーブ17が移動して上記スプリングのバイアス力を高め、弁体7を弁座体10に対して弁開方向に付勢し、弁部11を温度上昇に対応した量だけ開放することにより、作動ロッド6の外周と弁座体10の通孔12内周の間隙とそれに続く圧力調整室13からガス供給管を介して樽内により多くの炭酸ガスを供給し、内部のガス圧力を上昇させ、生ビール内への適切な炭酸ガスの供給を行うことができる。また樽内の温度が低下したときは上記と逆に作動し、生ビール内への炭酸ガスの過剰な溶け込みを防止し、また押し出し圧力の上昇によるビール注出時の過剰な泡立ちを防止することができる。
【0008】
一方、流路形成部材35は、樽接続部4の樽接続部流路37と冷却器接続部5の冷却器接続部流路38とをその軸線が一致するように、即ち両流路が一直線上に配置されて1本の発泡飲料供給流路39となるように構成している。また、樽接続部流路37と冷却器接続部流路38との接続部、即ち発泡飲料供給流路39の略中間位置には、その側壁に感温開口40を形成しており、この感温開口40によって発泡飲料供給流路39とエレメントホルダー27内の感温室9とが接続している。
【0009】
前記本件出願人等が提案している従来技術においては、炭酸ガスにより押し出された水を用いてスポンジをビール通路部内に通すスポンジ通し洗浄を可能にしつつ、定期的なサーモエレメント感温部の洗浄、再組み付けを容易にさせるため、ビール通路側とビール液温を感知するサーモエレメントが組み込まれた本体側とを分割可能にさせたものであり、この技術により分解洗浄は容易になった。
【0010】
しかしながらこの従来技術においては、感温室9を狭くすることによってこの部分に滞留するビールの量をできる限り減少させ、洗浄が困難な残渣の付着部分を減少させることができたものであるが、本体側のサーモエレメント端部外周部とそれを覆うエレメントホルダーとの隙間、及びサーモエレメントの端面41が位置する感温開口40に僅かではあるがビールが滞留し、製品を使用しないときに滞留したビールが乾燥するとビール酵母汚れになって付着することとなる。そのため分解して洗浄を行う時に、ブラシ等で感温部の水洗いをしても微少隙間のビール酵母汚れが取り除きにくく、それがビールの味を変えてしまう要因の一つになりうる、という問題があった。
【0011】
また、この部分の洗浄に際して、前記のようにスポンジで洗浄するときには、例えば樽接続部流路37部分にこの流路より径の大きなスポンジを発泡飲料入口43側から押し込み、その背後に対して炭酸ガスボンベの圧力により加圧された水を供給して、スポンジを他の開口側から押し出す手法で洗浄を行う。この際、スポンジの後端部が感温開口部40を通過するとき、感温開口部40が外部に開放されるため、加圧水がここから外部に噴出し、スポンジを押す力が少なくなり、スポンジが発砲飲料供給流路39内で止まってしまうことがある、等の問題があった。
【0012】
上記問題点を解決するため、本発明者等は更に改良を重ねた結果、図6に示すような発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置を提案して特許出願を行っている(特願2007−163229号)。この技術によると、外側端面52がサーモエレメント20の感温部22の端面41に接触し、内側端面53が発泡飲料供給流路39の発泡飲料に接触する熱伝導部材としてのプレート51を設け、発泡飲料とサーモエレメントとが直接接触しないようにする。
【特許文献1】特開2004−189303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のように、図6に示す発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置においては、熱伝導部材としてのプレート51を設けることにより、発泡飲料とサーモエレメントとが直接接触しないようにすることができ、それにより、発泡飲料の温度を熱伝導部材を介して正確に検出することができ、また、サーモエレメント周囲に発泡飲料の残渣が付着せず、洗浄作業時に分解する必要が無く、スポンジ通しによる洗浄を確実に行うことができるようになったものであるが、その後更に検討を行った結果、例えば図7に示すように、発泡飲料供給流路57とガス供給流路58との相対的な角度を変更しようとするとき、即ち、温度圧力調節部材33と流路形成部材35との相対的な角度を変更しようとするとき、最初に設定したスプリング18のセット荷重が変化し、またサーモエレメント20の感温部22の端面41と、プレート51の外側端面52との接触状態から両者が離れてしまい、ここに間隙を生じることがわかった。
【0014】
即ち、前記図6に示す発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、最初図7(a)に示すように樽接続部4と冷却器接続部5を備えた直線状の発泡飲料供給流路39の中心線C1と、ガスボンベ接続部2とガス供給部3を備えた直線状のガス供給流路58の中心線C2とが、互いに直角方向となるように配置しているとき、これらの装置の設置位置の都合上、同図(b)に示すように、発泡飲料供給流路39の中心線C1とガス供給流路58の中心線C2とを変更した方が取り扱いやすいことがある。更に前記中心線C1とC2とを同じ方向にした方が取り扱いやすいこともある。このような両中心線の角度関係は、個々の設置場所によって異なることが多い。
【0015】
このような角度調整に対応するため、図7(a)の状態で、前記のように感温部22の端面41とプレート51の外側端面52が接触するようにセットしているとき、図6の袋ナット34を緩めた状態で本体筒部25をエレメントホルダー27と共に、発泡飲料供給流路39と相対的に回転すると、サーモエレメント20が雌ねじ28と雄ねじ24との螺合部分で相対的に回転してしまい、結果的にサーモエレメント20がその軸線方向のいずれかに、ねじのピッチに応じた量だけ移動することとなる。
【0016】
サーモエレメント20が前記のように移動すると、その分だけスリーブ17が移動し、リテーナ19の位置が固定しているため、スプリング18のセット荷重が、本体筒部25の回転方向に応じてスプリング18が伸縮し、ダイヤフラム14の作動に対するセット荷重が変化し、最初の所定のセット荷重がずれてしまう、という問題が生じることがわかった。このようなサーモエレメント20の相対的な移動は、前記のようなスプリングのセット荷重の変化のほか、図6のサーモエレメントの感温部22の端面41と感温用のプレート51とが離れてしまうこともあり、その時には発泡飲料供給流路39の熱を伝えるプレート51の熱をサーモエレメントの感温部22が受けることができず、発泡飲料の温度に応じた正確な温度圧力調節機能が作用しなくなる問題も生じる。
【0017】
したがって本発明は発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、発泡飲料供給流路の中心線とガス供給流路の中心線とのなす角度を相対的に回転する必要があるとき、最初にセットした温度圧力調節用のスプリングのセット荷重が変化することなく、またサーモエレメントの感温部が接触している伝熱用のプレートと離れてしまい、正確な発泡飲料の温度を検出できなくなることを防止することができる発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置を得ることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、上記課題を解決するため、発泡飲料容器から外部に供給する流路内の発泡飲料の温度を検出して変位するサーモエレメントと、前記サーモエレメントにより炭酸ガスボンベから発泡飲料容器に炭酸ガスを供給する管路に配置した温度圧力調節弁部とを備え、前記サーモエレメントを螺合して支持するエレメントホルダーは発泡飲料供給流路結合部材に固定し、前記温度圧力調節弁部は本体筒部に固定される炭酸ガス供給流路結合部材に固定し、前記発泡飲料を供給する流路とサーモエレメントの感温部との間に、該感温部に接触する熱伝導部材を備えた発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記エレメントホルダーと前記本体筒部とを、互いに抜け止めされ且つ回転可能に連結する抜け止め回転連結部材によって連結したことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る他の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、前記発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記抜け止め回転連結部材が、前記本体筒部のピン挿入孔に挿入し、該ピン挿入孔に対応する位置に形成した前記エレメントホルダー外周の嵌合溝に係合するピンであることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る他の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、前記発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、 前記ピンは複数本であることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る他の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、前記発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記ピンは、前記本体筒部の1つのピン挿入孔から対向する他のピン挿入孔に挿入することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る他の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、前記発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記ピンは、前記本体筒部の1つのピン挿入孔から挿入し、先端が前記嵌合溝内に位置することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る他の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置は、前記発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記抜け止め回転連結部材は、前記エレメントホルダー外周の嵌合溝に嵌合する前記本体筒部の端部内周に形成した突起であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記のように構成したので、発泡飲料供給流路の中心線とガス供給流路の中心線とのなす角度を相対的に回転する必要が生じても、最初にセットした温度圧力調節用のスプリングのセット荷重が変化することなくなる。またサーモエレメントの感温部が接触している伝熱用のプレートと離れることもなく、正確な発泡飲料の温度を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、発泡飲料供給流路の中心線とガス供給流路の中心線とのなす角度を相対的に回転する必要が生じても、最初にセットした温度圧力調節用のスプリングのセット荷重が変化することなく、またサーモエレメントの感温部が接触している伝熱用のプレートと離れないようにするという課題を、発泡飲料容器から外部に供給する流路内の発泡飲料の温度を検出して変位するサーモエレメントと、前記サーモエレメントにより炭酸ガスボンベから発泡飲料容器に炭酸ガスを供給する管路に配置した温度圧力調節弁部とを備え、前記サーモエレメントを螺合して支持するエレメントホルダーは発泡飲料供給流路結合部材に固定し、前記温度圧力調節弁部は前記本体筒部に固定される炭酸ガス供給流路結合部材に固定し、前記発泡飲料を供給流路とサーモエレメントの感温部との間に、該感温部に接触する熱伝導部材を備えた発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、前記エレメントホルダーと前記本体筒部とを、互いに抜け止めされ且つ回転可能に連結する抜け止め回転連結部材によって連結することにより実現した。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1には本発明の一実施例を示しており、この発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置における温度圧力調節機構の多くの部分は前記図5及び図6とほぼ同様の構成を備えており、それらの構造及び作用は詳述しているので、図1においては、図5或いは図6との共通部分に同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0027】
図1に示す装置が図6に示す装置と相違する主要な構成は、直接温度圧力の調節に関係のない部分の構造の簡素化等の構造変更、及び本発明による本体筒部を回転したときにサーモエレメント20に影響を与えない構造とが存在する。即ち図1に示す温度圧力調節装置1においては、図5及び図6に示す装置における袋ナット34を用いずに、本体筒部25の端部61の内周をエレメントホルダー27の外周面に嵌合して固定しており、エレメントホルダー27は流路形成部材35に圧入して固定し、その中心部において雌ねじ28によりサーモエレメント20の雄ねじ24と螺合し、この螺合のみによってサーモエレメント20を保持する構成としている。更に、発泡飲料の温度をサーモエレメント20の感温部22に伝達するプレート51として金属製の薄板を用い、そのフランジ54をシール材70に圧接して支持する構成としている。
【0028】
図1に示す温度圧力調節装置1においては特に本体筒部25の端部61の内周とエレメントホルダー27の外周とは手動で回転可能な程度の嵌め合い寸法とし、両者間をピン63で抜け止めを行い且つ互いに回転可能としている。即ち、この部分の拡大図を図2(a)に示し、A−A部分の断面を同図(b)に示すように、エレメントホルダー27には中心に円筒部66を残して円環状のピン嵌合溝62を形成し、この位置に対応して本体筒部25の端部61にはピン63を圧入可能なピン挿入孔64を図中4個設けており、その2つずつが互いに対向するように形成している。
【0029】
したがって、図1に示すように本体筒部25の端部61の内周をエレメントホルダー27の外周に嵌合し、端部61をエレメントホルダー27の肩部67に当接した状態で、端部61に設けたピン挿入孔64の一つからピン63を圧入すると、エレメントホルダー27のピン嵌合溝62を通り、対向する位置に配置しているピン挿入孔64に更に嵌入し、その位置で挿入を止めることにより、図2に示すようにピン63が端部61に固定される。図2に示す例ではこのピン63と平行に同様にして固定されるもう1本のピン63を設けており、したがって2本のピン63によって抜け止めを行う例を示している。
【0030】
上記のように構成することにより、前記図7に示すように発泡飲料供給流路のの中心線C1とガス供給流路の中心線C2とを、最初に設定した状態から回転する必要があるとき、即ち、発泡飲料供給流路57を形成する部材に結合している部材である発泡飲料供給流路結合部材30と、ガス供給流路58を形成する部材に結合している部材であるガス供給流路結合部材32とを回転する必要があるとき、本発明においては本体筒部25を回転することにより、相対的な角度を自由に変更することができる。その際にエレメントホルダー27を回転することがないので、エレメントホルダー27のねじ部分で支持しているサーモエレメント20をその軸線方向に移動することがない。したがってスプリング18の最初のセット荷重を変更してしまい、温度圧力特性を変化させてしまう問題を解決することができる。
【0031】
本発明は更に種々の態様で実施することができ、前記図1及び2に示す例においてはピン63を2本用いたのに対して、例えば図3(a)に示すようにピン63を3本用いても良い。即ち、図3(a)に示す例においては、本体筒部25の端部61にピン挿入孔64を6個設け、これらのピン挿入孔64においてそれぞれ対向して形成したピン挿入孔64にピン63を各々挿入し、このようにして挿入した各ピン63がエレメントホルダー27の円環状のピン嵌合溝62に嵌合することにより、本体筒部25を回転してもエレメントホルダー27が回転することなく、したがってサーモエレメントに影響を与えることがない。
【0032】
更に、前記図1及び2に示す例においてはピン63を本体筒部25の端部61に形成した互いに対向するピン挿入孔64にそれぞれ圧入して固定する例を示したが、それ以外に例えば図3(b)に示すように、1つのピン挿入孔64に挿入したピン63を先の例の半分程度の長さとし、先端がピン嵌合溝62内に位置するようにしても良い。なお、このときのピン63の長さはピン63によって本体筒部25とエレメントホルダー27の抜け止めを行うことができるならば、任意の長さに設定することができる。また、同図に示す例においては同様のピン63を2本用いた例を示したが、前記図3(a)に示すように3本等、任意の数に設定することもできる。
【0033】
また、前記各実施例においては、本体筒部25とエレメントホルダー27とを回転可能で且つ抜け止めを行うためにピン63を用いる例を示したが、そのほか例えば図4に示すように本体筒部25の端部61の内側に突部65を複数設け、その突部65をエレメントホルダー27に設けた円環状の嵌合溝62に嵌合するように構成しても良い。
【0034】
即ち図4に示す例においては、本体筒部25の端部61に図中6個の切り溝68を形成して弾性支持部69を形成し、各弾性支持部69の内側に突部65を設け、この温度圧力調節装置の組立時において、本体筒部25の端部61をエレメントホルダー27の外周に挿入するとき、突部65がエレメントホルダー27の外周によって押し広げられながら挿入され、そのとき弾性支持部69がその弾性力で拡径し、その後突部65がエレメントホルダー27の嵌合溝62に位置するとき、弾性支持部69の弾性力によって突部65が嵌合溝62に嵌入して抜け止めが行われ、且つ本体筒部25とエレメントホルダー27とは回転可能な状態となる。
【0035】
このときの弾性支持部69の数は例えば3個、4個・・・等、素材の弾性力、設ける突起の数や大きさ等によって任意に選択することができる。また、本体筒部25の素材が充分弾性力を備えたものであり、突起65の大きさ及び数によって前記のような抜け止め作用を確実に行うことができるならば、切り溝68を設ける必要はない。
【0036】
本発明については前記のような各種の実施例のほか、本体筒部25とエレメントホルダー27とが回転可能で且つ所定の抜け止め作用を行うことができるならば、更に各種の固定手段を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例の断面図である。
【図2】同実施例の要部説明図であり、(a)は要部の拡大断面図、(b)はA−A部分断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す横断面図であり、(a)はピンを3本用いた例、(b)は短いピンを用いた例を示す図である。
【図4】本発明の更に他の実施例を示す図であり、(a)は要部の縦断面図、(b)はB−B部分の横断面図である。
【図5】従来の発泡飲料温度圧力調節装置の断面図である。
【図6】図5の従来例を更に改良した例の断面図である。
【図7】ガス供給流路と発泡飲料供給流路とを相対的に回転する態様を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 温度圧力調節装置
2 ガスボンベ接続部
3 ガス供給部
4 樽接続部
5 冷却器接続部
6 作動ロッド部
7 弁体
8 スプリング
9 温度圧力調節弁部
10 弁座体
11 弁開口
12 通孔
13 圧力調整室
14 ダイヤフラム
15 ダイヤフラム受け
16 ロッド受け
17 スリーブ
18 スプリング
19 リテーナ
20 サーモエレメント
21 ピストン
22 感温部
23 ガイド筒部
24 雄ねじ
25 本体筒部
26 ねじ
27 エレメントホルダー
28 雌ねじ
29 ワックス
30 発泡飲料供給流路結合部材
31 面取り部
32 ガス供給流路結合部材
33 温度圧力調節部材
34 袋ナット
35 流路形成部材
36 ねじ
37 樽接続部流路
38 冷却器接続部流路
39 発泡飲料供給流路
40 感温開口
41 端面
43 入口
44 出口
51 プレート
52 外側端面
53 内側端面
54 フランジ
55 段部
57 発泡飲料供給流路
58 ガス供給流路
61 端部
62 嵌合溝
63 ピン
64 ピン挿入孔
65 突部
66 円筒部
67 肩部
68 切り溝
69 弾性支持部
70 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡飲料容器から外部に供給する流路内の発泡飲料の温度を検出して変位するサーモエレメントと、前記サーモエレメントにより炭酸ガスボンベから発泡飲料容器に炭酸ガスを供給する管路に配置した温度圧力調節弁部とを備え、
前記サーモエレメントを螺合して支持するエレメントホルダーは発泡飲料供給流路結合部材に固定し、前記温度圧力調節弁部は本体筒部に固定される炭酸ガス供給流路結合部材に固定し、
前記発泡飲料を供給する流路とサーモエレメントの感温部との間に、該感温部に接触する熱伝導部材を備えた発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置において、
前記エレメントホルダーと前記本体筒部とを、互いに抜け止めされ且つ回転可能に連結する抜け止め回転連結部材によって連結したことを特徴とする発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。
【請求項2】
前記抜け止め回転連結部材は、前記本体筒部のピン挿入孔に挿入し、該ピン挿入孔に対応する位置に形成した前記エレメントホルダー外周の嵌合溝に係合するピンであることを特徴とする請求項1記載の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。
【請求項3】
前記ピンは複数本であることを特徴とする請求項2記載の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。
【請求項4】
前記ピンは、前記本体筒部の1つのピン挿入孔から対向する他のピン挿入孔に挿入することを特徴とする請求項2記載の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。
【請求項5】
前記ピンは、前記本体筒部の1つのピン挿入孔から挿入し、先端が前記嵌合溝内に位置することを特徴とする請求項2記載の発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。
【請求項6】
前記抜け止め回転連結部材は、前記エレメントホルダー外周の嵌合溝に嵌合する前記本体筒部の端部内周に形成した突起であることを特徴とする発泡飲料供給装置用温度圧力調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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