説明

白色建築材料

【課題】不均一で色調にバラツキのある建築基材の表面に下塗り塗膜を形成させ、その上に鮮明な白色の鏡面塗装が施された白色建築材料を提供する。
【解決手段】下塗り塗料で塗装された建築基材の塗装面に白色塗料を塗布し、白色塗膜4を形成してなる建築材料であって、上記下塗り塗料には酸化チタンでコーティングした青色のガラスフレークが青色ガラス充填材1aとして混合され、下塗り塗装後に形成された下塗り塗膜2には上記青色ガラス充填材1aが含まれてなる白色建築材料A。上記青色ガラス充填材1aに、酸化チタンでコーティングした透明または半透明の無色のガラスフレークからなる無色ガラス充填材1bを添加、混合して用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用材料に関する。さらに詳しくは、建築基材の表面に白色の塗膜が形成されてなる白色建築材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、普通合板や強化合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)、その他の木質系基板からなる建築基材の表面に化粧をし、床材や建築物の内装材、家具、キャビネット等の装飾材等、種々の用途に利用することが行われている。例えば、上記建築基材を床材として利用する場合、下塗り塗装、中塗り塗装したうえ、表面塗装して化粧し、意匠性、表面平滑性、耐擦過傷性等の物性を向上させてフローリングに用いられている。
【0003】
一方、下記特許文献1には、パーティクルボードを芯材とし、この表裏面に木繊維とセラミック微細中空粒子にレゾール型フェノール樹脂からなる組成物を積層し、加圧、加熱して成形された建材用積層床材が開示されている。そして、その効果として表面平滑にして高度の衝撃音吸収性、遮音性を有し、吸水性の低い密実で軽量かつ物理的強度に優れた建材用積層床材を提供できると記載されている。
【特許文献1】特開2000−185303号公報(第17〜19頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、床材は上記機能面のみならず、デザイン面でも種々の模様、色調のものが求められ、例えば、白色に塗装された床材も市場でのニーズが高まりつつある。しかしながら、単に白色塗料によって、上記建築基材の表面を塗装しても建築基材の下地色が透けて出るため、通常、下地塗料で建築基材の色むらや濃淡のある下地を隠蔽し、下地塗膜の上を白色に塗装することが行われている。
【0005】
一方、近年建築基材の品質のバラツキが多いため、下地塗料によってより確実に上記建築基材の下地を隠蔽することが求められている。しかしながら、上記下地の隠蔽が困難であるため、必ずしも鮮明な白色に塗装された建築材料が得られるとはいいがたい。
【0006】
本発明は上記した問題を解決して、建築基材の表面が不均一で色調に色むらや濃淡等のバラツキがあっても、それを隠蔽するように下塗り塗膜を形成させ、この下塗り塗膜を白色に塗装して高級感のある、鮮明な白色の鏡面塗装が施された白色建築材料を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、下塗り塗料で塗装された建築基材の塗装面に白色塗料を塗布し、白色塗膜を形成してなる建築材料であって、上記下塗り塗料には酸化チタンでコーティングした青色のガラスフレークが青色ガラス充填材として混合され、下塗り塗装後に形成された下塗り塗膜には上記青色ガラス充填材が含まれてなる白色建築材料が提供される。ここにいう下塗り塗装とは、下塗り後、中塗りする場合を含めていい、建築基材に白色塗装をする前に施される中間塗装を意味する。
【0008】
上記建築基材としては、とくに限定されず、普通合板や強化合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)、集積材等の木質系基板、石膏ボード、石膏スラグボード等の石膏系基材、パルプセメント板等の繊維セメント板、GRCおよびコンクリート、ならびに上記各基材の複合体を用いることができる。通常、木質系基板が好ましく用いられる。また、酸化チタンとしては、アナターゼ型結晶あるいはルチル型結晶のどちらを用いてもよいが、アナターゼ型結晶が好ましく用いられる。
【0009】
請求項2に記載の白色建築材料は、請求項1に記載の発明に加えて、上記青色ガラス充填材に、酸化チタンでコーティングした透明または半透明の無色のガラスフレークからなる無色ガラス充填材が添加、混合されて用いられる。
【0010】
請求項3に記載の白色建築材料は、請求項1に記載の発明に加えて、上記白色塗膜の上に透明なトップコート塗膜が設けられる。このトップコート用塗料としては、エポキシアクリレート樹脂やウレタンアクリレート樹脂等、公知の紫外線硬化型のクリアーな塗料が用いられる。
【0011】
請求項4に記載の白色建築材料は、請求項1に記載の発明に加えて、上記白色建築材料が床材とされる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明にかかる白色建築材料は上記のとおりであり、下塗り塗装された建築基材の塗装面に上塗り用の白色塗料を塗装し、白色塗膜を形成してなり、上記下塗り塗料には酸化チタンでコーティングした青色のガラスフレークが青色ガラス充填材として混合されているため、下塗り塗膜を透かして建築基材の下地が見えることをしっかりと隠蔽する。さらに、上記白色塗膜に下層から青味感を与えるため、鮮やかな白色に化粧された白色建築材料を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の白色建築材料は上記のとおりであり、請求項1の白色建築材料の有する効果に加え、上記青色ガラス充填材に、酸化チタンでコーティングした透明または半透明の無色のガラスフレークからなる無色ガラス充填材が添加、混合されて用いられるため、上記白色塗膜に下層から青味がかった白色感を与え、さらに高級感を有する色調の白色建築材料を提供することができる。
【0014】
請求項3に記載の白色建築材料は上記のとおりであり、上記白色塗膜の上に透明なトップコート塗膜を設けることにより、白色塗膜を保護し、耐久性、耐擦過傷性等に優れ、鏡面塗装された白色建築材料を得ることができる。
【0015】
請求項4に記載の白色建築材料は上記のとおりであり、上記白色建築材料を床材とすることにより、おしゃれな、現代風のフローリングを施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる白色建築材料Aとしての白色に塗装された床材を模式的に示す断面図である。図1に示すように、上記白色建築材料Aは、木質系基板6の上に青色ガラス充填材1aが混合された下塗り塗料を用いて下塗り塗膜2を形成させ、さらにその上に上塗り用の白色塗料を塗布することにより白色塗膜4を形成して構成される。上記青色ガラス充填材1aとしては、酸化チタンでコーティングした青色のガラスフレークが用いられる。
【0017】
図1に示されるように、下塗り塗膜2中に青色ガラス充填材1aが含まれているため、下塗り塗膜2を透かして木質系基板6の濃淡や色むら等下地が見えることを隠蔽し、さらに、白色塗膜4に青味感を与えるため、鮮やかな白色に化粧された床材を得ることができる。
【0018】
図2は、本発明の第2実施形態にかかる白色建築材料Bとしての白色に塗装された床材を模式的に示す断面図である。図2に示すように、上記白色建築材料Bにおいては、下塗り塗料中に上記青色ガラス充填材1aに加えて、酸化チタンでコーティングした透明または半透明の無色のガラスフレークからなる無色ガラス充填材1bが混合されて下塗り塗装され、下塗り塗膜2が形成されている。
【0019】
図2に示されるように、下塗り塗膜2中に青色ガラス充填材1aと無色ガラス充填材1bとが混合して含まれているため、下塗り塗膜2を透かして木質系基板6の濃淡や色むら等下地が見えることを隠蔽し、白色塗膜4に下層から青味がかった白色感を与えるため、さらに高級感を有する鮮やかな色調の白色に化粧された床材を得ることができる。
【0020】
図3は、本発明の第3実施形態にかかる白色建築材料Cとしての白色に塗装された床材を模式的に示す断面図である。第3実施形態においては、木質系基板6の上を青色ガラス充填材1aと無色ガラス充填材1bとの混合物を含む下塗り塗料で塗装して下塗り塗膜2を形成させ、さらにその上に青色ガラス充填材1aと無色ガラス充填材1bとの混合物を含む中塗り塗料で塗装して中塗り塗膜3を形成させ、これらを中間塗装層として、その上に白色塗膜4が形成されている。
【0021】
このように、下塗り塗膜2と中塗り塗膜3とにより、中間塗装層を設けることにより、木質系基板6の下地が見えることをほぼ完全に隠蔽し、白色塗膜4に下層から青味がかった白色感を与えるため、さらに高級感を有する鮮やかな色調の白色に化粧された床材を得ることができる。
【0022】
[実施例]
以下、図4を参照して、実施例により本発明にかかる白色建築材料Dについて説明する。まず、木質系基板6の上に青色ガラス充填材1aと無色ガラス充填材1bとの混合物を0.5〜3%含む下塗り塗料(IST3251、ナトコ製)を塗布量3g/尺2で塗布して下塗り塗膜2を形成した。この下塗り塗膜2の上に、青色ガラス充填材1aと無色ガラス充填材1bとの混合物を0.5〜3%含む中塗り塗料(IST4211、ナトコ製)を塗布量2.5g/尺2で塗布して中塗り塗膜3を形成した。
【0023】
このようにして中間塗装層を設けた後、白色塗料によって、上塗りを2回に分けて行った。1回目は上塗り塗料(IST6251N用、ナトコ製)を塗布量3.5g/尺2で塗布し、2回目は上塗り塗料(IST6251Fc用、ナトコ製)を塗布量7g/尺2で塗布し、白色塗膜4を形成させた。最後に紫外線硬化型のウレタンアクリレート系の透明樹脂でトップコート塗膜5を設けることにより白色塗膜4を保護して、白色に鏡面塗装され、高級感のある床材が得られた。
【0024】
以上述べたように、本発明を実施することにより、木質系基材等の下地を隠蔽するとともに、高級感のある青みがかった白色の塗膜を得ることが可能となり、従来見られなかった色調の高級感のある白色建築材料、例えば床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる白色建築材料を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる白色建築材料を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる白色建築材料を模式的に示す断面図である。
【図4】実施例にかかる白色建築材料を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
A 第1実施形態にかかる白色建築材料
B 第2実施形態にかかる白色建築材料
C 第3実施形態にかかる白色建築材料
D 実施例にかかる白色建築材料
1a 青色ガラス充填材
1b 無色ガラス充填材
2 下塗り塗膜
3 中塗り塗膜
4 白色塗膜
5 トップコート塗膜
6 木質系基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下塗り塗料で塗装された建築基材の塗装面に白色塗料を塗布し、白色塗膜を形成してなる建築材料であって、上記下塗り塗料には酸化チタンでコーティングした青色のガラスフレークが青色ガラス充填材として混合され、下塗り塗装後に形成された下塗り塗膜には上記青色ガラス充填材が含まれてなる白色建築材料。
【請求項2】
上記青色ガラス充填材に、酸化チタンでコーティングした透明または半透明の無色のガラスフレークからなる無色ガラス充填材を添加、混合されて用いられる請求項1に記載の白色建築材料。
【請求項3】
上記白色塗膜の上に透明なトップコート塗膜を設けてなる請求項1に記載の白色建築材料。
【請求項4】
上記白色建築材料が床材である請求項1に記載の白色建築材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−959(P2009−959A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165914(P2007−165914)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】