説明

皮膚創傷を予防および低減するための改良された布

皮膚創傷、特に圧迫創を予防および処置するための布は、平滑な布表面をなすように縦糸および横糸が織られた織布を備える。縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも約40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%のポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであって、非円形のフィラメント断面を有する。この布は、静電気散逸を制御するために約0〜約2重量%の導電性糸を備え、抗菌物質が布に局所的に加工されているか、又は布に内在的に存在する。布は、アンダーパッドや患者用ガウンを含む寝具に使用することができる。皮膚創傷、特に圧迫創を予防および処置する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、治療用布に関し、さらに詳細には、有利な抗菌特性、帯電防止特性、ウィック(wicking)特性および乾燥特性を有し、皮膚炎、皮膚創傷、圧迫創および他の皮膚病の予防および処置を補助する織布を備えた用品に関する。本願で開示する技術をサポートする医学的研究は、Pediatric Dermatology,Vol.25,No.4,439−433,July/August 2008の、「Use of a Silklike Bedding Fabric in Patients with Atopic Dermatitis」という題の論文で発表され、この開示全体はここに引用することによって本明細書の記載の一部となすものとする。2007年1月25日に米国食品医薬品局がクラス1医療機器として510(k)のクリアランスを認可し(登録番号K061242)、その開示全体はここに引用することによって本明細書の記載の一部となすものとする。
【0002】
世界の人口のうちの大多数が皮膚の不具合に苦しんでいる。約1500万人のアメリカ人が、かゆみ、炎症が生じた皮膚の赤色斑を特徴とする慢性皮膚病態である湿疹に罹っている。600万〜700万人のアメリカ人が、見苦しい爛れや皮膚落屑を引き起こす皮膚疾患である乾癬に罹っている。このような皮膚疾患は、年間の医療コストの大部分を占めている。たとえば乾癬は、毎年、約30億ドルの医療コストを占めている。もちろんこれは金銭以外のコスト、たとえば処置に費やされた時間、睡眠遮断、難治性のかゆみ、皮膚損傷、痛み、目に見える皮膚疾患による社会的不名誉、ならびに処置に関連する不都合、ある衣服の回避、衣服および寝具への特殊な洗剤の使用、ならびに罹患した皮膚に適正な水分レベルを維持するための環境条件の制御を含んでいない。
【0003】
同様に、皮膚創傷、特に圧迫創は、世界中の医療システムにとって引き続き増大している問題であり、特に高齢であったり、寝たきりであったり、意識不明であったり、疼痛を感知することができなかったり、又は動けないといった集団に影響する。圧迫創は、褥瘡としても公知であり、骨ばった隆起と外面との間の軟組織を長期間にわたって圧迫することから生じる局所的な組織の壊死の領域である。圧迫創は、皮膚への血液供給が2〜3時間遮断されるときに発症する。皮膚が死ぬと、圧迫創は赤色の有痛性の部位として開始し、最終的に紫色に変わる。圧迫創は、長期間にわたってベッドに横臥したり、車椅子に着座したり、および/またはギプスを装着したりといった患者の圧力下にある皮膚の領域で発生することが多い。一般的な部位は、臀部(仙骨または腸骨稜の上)、または足のかかとを含む。未処置創傷は、損傷して開いて感染するようになったり、および/または筋肉中へ深く広がることがある。圧迫創がいったん発症すると、非常に遅い速度で治癒することが多い。公知の予防方法は、皮膚の発赤部位(皮膚破壊の最初の徴候)の検査、頻繁な回転および体位変換、圧力を低減するための車椅子およびベッドへの柔らかい詰め物の提供、ならびに/または皮膚の清浄および乾燥を維持することによる良好なスキンケアの提供を含む。処置は、罹患部位への圧力の除去、ガーゼ剤ならびに他の特殊な包帯による創傷の保護、創傷を清浄に維持すること、健常な皮膚の創傷部位への移植および/または薬物治療(すなわち感染を処置するための抗生剤)を含み得る。
【0004】
米国では毎年、100万人を超える人々が圧迫創を発症し、その約7%は病院の中で生じている。圧迫創で入院した人を処置する平均コストは37,288ドルであり、これは救急治療施設での圧迫創の処置のコストとして毎年、約22億ドル〜36億ドルとなる。もちろん、このコストは、罹患者、その家族および介護者の身体的または感情的損害を考慮していない。
【0005】
水分、摩擦および剪断は、皮膚の不具合、たとえば皮膚炎、湿疹、乾癬および圧迫創を発生または増悪させることがある。たとえばあまりに多くの水分に曝露された人は、脆弱な皮膚を有する。この人が粗い湿潤表面、たとえばベッドシーツの上で動くと、その皮膚は摩擦により引き起こされた剪断力傷害を受ける。同様にこの人は、その皮膚に接触した衣料、または別の寝具用品によって、特にその物品が摩擦力の向上または剪断力耐性の低下を有する場合に、傷害を受けることがある。水分、摩擦および/または剪断によって損傷された皮膚が圧力関連損傷、たとえば潰瘍または圧迫創をはるかに発症しやすい限り、不具合はさらに悪化する。さらに傷害の可能性は、皮膚が、皮膚を刺激する水分以外の因子を含有し得る生物学的物質、たとえば尿、便、汗または創傷ドレナージの存在下にあるときに上昇する。
【0006】
したがって、皮膚障害を予防する特性を備えた寝具および衣料を提供することが重要であるし、それだけなく、存在し得る疾患を寝具および衣料が実際に処置することが重要である。しかし不運なことに、皮膚障害、特に圧迫創を予防および処置する寝具および衣料を構成する布は、技術的に普及していない。
【0007】
病院用リネン、たとえば下部シーツ、上部シーツ、および枕カバーは、概して病院により、治療用品に対立するものとして、家庭用日用品と見なされている。したがって、これらの寝具用品は通例、低い技術で安いコストの布、たとえば従来の綿−ポリエステル混紡で構成されている。代表的な従来の病院用寝具用布は、1インチ当り縦糸120本および1インチ当り横糸74本で、1平方ヤード当り4.12オンスの布を生じる平織り構造である。縦糸は、50%綿および50%短ポリエステルの混紡の、136デニールに相当する39/1紡績糸である。横糸は、50%綿および50%短ポリエステルの混紡の149デニールに相当する35.6/1紡績糸である。これらの布は、特殊仕上げ、水分処理特徴、抗菌特性、帯電防止特徴、または防汚特性を有さない。要するにこれらは、家庭やホテルで見うけられる、皮膚障害を予防または処置するように設計されていない製品に類似した低価格の寝具製品である。
【0008】
病院でよく使用される別の寝具用品は、保護パッドとしても知られるアンダーパッドであり、就床者が生じる体液からマットレスを防御する手段を提供する。アンダーパッドは防水材料、たとえばゴムなどの非常に単純なシーツから複雑な多層デバイスにまで及ぶ。アンダーパッドは1回の使用(すなわち、使い捨て)を目的としているか、または再使用可能である。アンダーパッドはベッドの下部シーツと上部シーツとの間に配置することを目的としているので、就床者はアンダーパッドの上に直接横臥し、生じる体液が重力によりアンダーパッドへ送られる。程度の差はあっても、アンダーパッドは下部シーツとその下のマットレスを保護する。アンダーパッドは通例、患者と直接接触しているので、アンダーパッドをより快適にするための努力がなされてきた。たとえばゴム引きパッドは、患者と接触するフロッキングを含むだろうし、ビニル裏打ちは、キルトクロスを含むであろう。
【0009】
シーツと同様に、アンダーパッドは病院管理によって、家庭用品、すなわち、考えられる最低のコストで、患者の清浄度を維持して、家具を保護することを目的とする日用品と見なされている。しかし患者が圧迫創の発症のリスクに瀕している状況では、日用品では不十分で効果がない。研究により、標準的な病院支給の日用品は、創傷発症を実際に悪化させることが指摘されている。詳細には、従来通りガウンを着た患者がアンダーパッドを含む従来の寝具を使用すると、患者当りの平均創傷数が入院と退院の間で41%上昇した。
【0010】
アンダーパッドは、上述の従来の病院用寝具用布に覆われている吸収材料を含み得る。この構造のアンダーパッドは、マットレスを効果的に保護して、おそらく比較的快適でもあり得るが、アンダーパッドが皮膚の不具合、特に圧迫創を予防または処置しない限り、治療的であるというレベルには達しない。
【0011】
日用品化されて患者に有害となっている病院用品の別の例は、病院用ガウンとしても公知の患者用ガウンである。これらの衣服は通例、綿/ポリ混紡、たとえば上述の従来の寝具用布で構成されている。これらの衣服は通例、比較的安価であり、洗濯が容易であるが、皮膚障害、特に圧迫創を実際に予防または処置する特性を所有しない。
【0012】
患者用ガウンの分野での技術的進歩の大半は、プライバシーの目的での患者の被覆範囲の改善に向けられているが、衣服による疾患の処置で多少の前進がなされた。たとえばKempeに付与された米国特許第6868854号明細書には、線維筋痛症を放射線遮蔽ガウンで処置する方法が教示されており、Lewisに付与された米国特許第7003804号明細書には、こすり落ちて着用者に付着する皮膚健全化剤が塗布された外科用ガウンが教示されている。
【0013】
商品名ダーマシルク(商標)で販売されている一連の製品は、スキンケア衣料での用途を有する。特にダーマシルク技術は、アトピー性皮膚炎および乾癬、ならびに糖尿病の結果として生成する皮膚潰瘍の治癒を助ける優れた臨床結果を示してきた。ダーマシルク治療用衣料は、100%絹糸で製編され、耐久性抗菌剤で処置された下着およびボディーラップを含む。
【0014】
絹がこの場合に有効であるのは、絹繊維が人毛の化学構造(97%タンパク質、3%脂質、およびろう物質)と非常に類似した化学構造を有するためである。絹繊維は完璧に平滑であり円筒状である。そのため、絹繊維は皮膚との機械的摩擦を生じない。さらに絹は本来、吸湿性であり、湿ることなく汗をその自重の最大30%まで吸収する。絹は皮膚の水分バランスを維持することが可能であり、皮膚の近くに軟化および鎮静させる微小環境を提供するため、このことはアトピー性皮膚炎の治癒を補助するのに重要である。絹の円筒状繊維の直径は水分が吸収または放出されるときに単純に増大または縮小するため、絹は刺激作用を引き起こすことなく水分を吸収および放出することも可能である。絹糸は小さい連続フィラメントで構成されているため、繊細な皮膚は水分含有率が変化するときに妨げられることがない。絹は、重度の発汗(アトピー性皮膚炎に影響される小児で一般的)を減少させ、ならびに皮膚の乾燥およびかゆみを悪化させることがある水分の損失を最小限にするのを助ける。絹は本質的に弾性でもある。製編構造で使用されるとき、絹布は、衣服を体と共に移動させて、皮膚との密接な結び付きを保持させ、これにより摩擦を減少させる。
【0015】
ダーマシルク布および衣料は、絹繊維に広範囲の細菌、病原菌、カビおよび真菌に対する保護を提供する局所抗菌剤も包含する。本抗菌処置は、布における細菌の生存を阻害し、アトピー性皮膚炎を悪化させる主な要因の1つである黄色ブドウ球菌に対して非常に有効である。
【0016】
絹は、衣料およびボディーラップで有効であることが証明されているが、絹繊維、糸および布の使用に際して、これらが治療用寝具および患者用ガウンに関連するために、固有の欠陥がある。製編衣料およびラップとは異なり、病院用品、たとえばシーツ、枕カバー、アンダーパッドおよび患者ガウンは、1日当り8〜9時間を超える連続使用、ならびに徹底的な過度の洗濯および乾燥に耐えなければならない。また病院用品は通例、個人衛生に関連して各種の化学薬品および汚れが付き、睡眠中の成人に関連してはるかに大きな応力および歪みに耐える必要がある。発汗および脱臭剤中の塩化物塩は絹を脆弱化させ、アルコールベース製品、たとえばヘアスプレーおよび香水、ならびにマニキュア除光液などの化学製品は絹布を容易に損傷する。絹の汚れに適用された水は、汚れを固定するか、または落ちないリング状の汚れを生じさせることがある。絹を洗剤または漂白剤に予浸することができないのは、どちらも絹を損傷するためである。さらに絹布は、紫外線が絹を劣化させるために、太陽光で空気乾燥させることができない。その結果、絹布は、治療用病院用品での幅広い使用に理想的とは言えない。
【0017】
本発明の発明者は、合成繊維を使用することによってダーマシルクの欠点のいくつかを克服する治療用寝具のための新たな布技術を開発した。この合成繊維のいくつかは非円形断面を有している。本布は、最も一般的な湿疹のタイプである軽度のアトピー性皮膚炎の処置に、大きな見込みを示している。実際に2007年1月25日に米国食品医薬品局は、この発明に軽度のアトピー性皮膚炎の処置のためのクラス1医療機器(登録番号K061242)として510(k)のクリアランスを認可した。とりわけこの発明は、スキンケア療法のためのクラス1医療機器としてのFDA販売許可が認可された最初の治療用寝具であった。
【0018】
皮膚炎および圧迫創は異なる障害であると見なされるため、このFDA販売許可は印象的であるものの、圧迫創の予防および処置の状況で使用するものではない。実際に、特に布自体が圧力を軽減することや、または軽減しない場合は骨ばった隆起をクッションで支えることはないため、皮膚炎処置布が実質的な圧迫創防止特性を提供することは期待されていない。
【0019】
圧迫創の予防および処置は、明瞭な解決策のない重大な医療上の要求が残存しているため、有利な抗菌特性、帯電防止特性、吸い上げ特性および乾燥特性を有し、皮膚炎、皮膚創傷、圧迫創および他の皮膚病の予防および処置することができる織布への要求が残存している。本布は、非摩耗性でコスト対効果が良いはずであり、必要に応じて、多くの洗浄、洗剤、オートクレーブ処理、照射、および夜間の着用に耐えることができるはずである。本布で構成され、病院または他の介護施設での連続使用に好適であるシーツ、アンダーパッドおよび患者用ガウンを含む病院用品への要求もあった。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、外観、平滑性、伸び率、および水分処理に関して絹に似ているが、より耐久性であり、より防汚性であり、寝具および患者用ガウンなどの用品により好適である織布を形成するために、ポリマータイプおよび繊維形態の独自の組合せを使用するアンダーパッド、および患者用ガウンを含む寝具用布を提供することによって、当技術分野でのこれらの要求の1つ以上を満足する。さらに布はまた、湿潤時により迅速に乾燥して、平滑なままであるため、綿含有布よりも優れている。
【0021】
布は、平滑な布表面を提供するように製織された縦糸および横糸を有する織布を含む。好ましい実施形態において、縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントである。縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の非円形のフィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントとすることができる。好ましくは、この布は、布の約0〜約2重量%の導電性糸を含む。好ましくは、抗菌物質は布に局所的に適用されているか、または布に内在的に存在する。
【0022】
また縦糸は100%ナイロンとすることができ、横糸はポリエステルまたはナイロンとすることができる。
【0023】
この布は、好ましくは綾織りまたは平織りとして製織される。平織りが好ましく、綾織りが使用される場合、好ましくは、布の両側が同じになるように平衡にされる。縦糸は40デニール、34フィラメント、1インチ当り撚り5回のナイロン6−6連続フィラメント糸、横糸は75デニール、48フィラメント、テクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントとすることができる。最も好ましい実施形態において、縦糸は70デニール、48フィラメント、テクスチャード加工されたナイロン連続フィラメント糸であり、横糸は75デニール、36フィラメント、断面が非円形でテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントであり、導電性糸は布の約0〜約2重量%である。
【0024】
好ましくは、連続フィラメントは、星形、クローバー形、3裂形または蝶ネクタイ形などの繊維断面といった非円形の繊維断面を有する。この非円形の繊維断面を有する連続フィラメントは、通例、水分を逃がし(wick)および急速乾燥する強化するウィックチャネル(wicking channel)を、隣接するフィラメントが形成するような断面を有する。
【0025】
また好ましくは、布は、織物布の破壊強度および伸び率に関するASTM D5034−95試験により、約30%を超える伸び率を有する布を生成するように仕上げされる。
【0026】
好ましい実施形態において、布は局所的な防汚加工を有する。
【0027】
一態様において、本発明は、平滑な布表面を提供するように製織された縦糸および横糸を有し、ベッドを被覆するサイズのシーツに作製された、皮膚創傷を防止および低減する治療用織布を提供する。シーツは通例、織布のほつれを防止するヘムを有する。縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の、非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、導電性糸は布の約0〜約2重量%である。好ましくは、抗菌物質は布に局所的に適用されているか、または布に内在的に存在する。
【0028】
本発明の別の態様は、皮膚に接触する用品で使用するための治療用織布を提供することである。縦糸および横糸の一方は、少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は約0〜60重量%の非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、導電性糸は布の約0〜約2重量%である。好ましい実施形態において、抗菌物質は布に局所的に適用されているか、または布に内在的に存在する。
【0029】
本発明の更なる別の態様は、アンダーパッドを含む寝具および/または患者用ガウンなどの衣服を構成するための平滑表面を有する治療用織布を提供することである。縦糸および横糸は連続していて、ヘアリネスを実質的に含んでいない。縦糸および横糸の一方は好ましくは、隣接フィラメントがウィックチャネルを形成するように非円形フィラメント断面を有する連続フィラメント糸であり、静電気を制御するために導電性糸が組み込まれている。抗菌物質は布に局所的に適用され得るか、または布に内在的に存在し得る。
【0030】
発明は、患者のベッドを湿潤時でも平滑である表面を有するシーツで被覆することと、患者をシーツの間で休ませることとを含む、患者の療法の方法を提供することと見なすこともできる。好ましくは、患者のベッドはアンダーパッドを含み、患者は患者用ガウンを着用し、アンダーパッドおよびガウンはどちらも、シーツと同じこのような特性を有する布で構成されている。シーツ、アンダーパッドおよび患者用ガウンと、患者の皮膚との間の表面粗さは、綿またはポリエステル/綿混紡布シーツと患者の皮膚との間に存在する表面粗さと比較して低減されている。
【0031】
発明は、患者に湿潤時でも平滑表面を有する患者用ガウンを着用させるまたは提供することを含む、患者の療法の方法を提供することと見なすこともできる。好ましくは、患者のベッドは、患者用ガウンと同じ布で構成されたアンダーパッドを含む寝具を含んでいる。患者用ガウンと、患者の皮膚との間の表面粗さは、綿またはポリエステル/綿混紡布シーツと患者の皮膚との間に存在する表面粗さと比較して低減されている。
【0032】
本発明の他の態様は、患者に治療用布で構成された患者用ガウンを着用させるまたは提供することと、この用品が汚れたときに当該用品を交換することとによる、皮膚創傷および障害を予防または処置する方法を提供する。代わりに、前記用品は病院のプロトコルに従って、たとえば24時間おきに交換され得る。望ましくは、治療用布は、平滑な布表面を提供するために製織された縦糸および横糸を有する織布から構成され、縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の、非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、布の約0〜約2重量%の導電性糸を含む。好ましくは、患者は、下部ベッドシーツ、上部ベッドシーツ、枕カバーおよび/またはアンダーパッドの少なくとも1つも提供される。前記用品は、川端評価システム(Kawabata Evaluation System)FB4表面試験機で測定されたように、乾燥時に1.0〜1.75ミクロンの幾何学的平均表面粗さを有するべきである。好ましくは、1つの用品または複数の用品は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および表皮ブドウ球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減が、少なくとも98.0%を呈する。
【0033】
本発明の別の態様は、100%連続合成糸で織られた織布を備えた患者用ガウンであり、この布は、AATCC試験方法100による試験に準拠し、黄色ブドウ球菌および大便連鎖球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減が99%を超え、川端表面粗さ評価(Kawabata Surface Roughness Evaluation)を用いる平均表面粗さが約1.75ミクロンであり、水分ウィック速度が15mm/分を超え、1分当り1.0%を超える乾燥速度を有することを達成するように仕上げられる。
【0034】
一態様において、本発明は、平滑な布表面を提供するように製織された縦糸および横糸を有し、ベッドに適合するサイズにされた、皮膚創傷を防止および低減することができるアンダーパッドを構成するための治療用織布を提供する。アンダーパッドは、織布のほつれを防止するヘムもしくはシームを有し得て、液体不浸透性下部層および/または流体吸収中間層を含み、ならびに患者の膝および足の保護を増加するために、上端に沿った幅が少なくとも34インチ、下端が少なくとも42インチ、および全長が65インチであり得る。
【0035】
発明は、患者のベッドを湿潤時でも上部布層が平滑表面を有するアンダーパッドで被覆することと、患者を本アンダーパッドの上で休ませることとを含む、患者の療法の方法を提供することと見なすこともできる。好ましくは、患者のベッドは少なくとも1つの他の寝具用品、たとえば下部シーツ、上部シーツ、および/もしくは枕カバーを含み、ならびに/または患者は患者用ガウンを着用し、一つの若しくは複数の用品および患者用ガウンはアンダーパッドの上部布層と同じ布で構成されている。上部布層と患者の皮膚との間の表面粗さは、綿またはポリエステル/綿混紡布から構成された従来のアンダーパッドの上部布層と患者の皮膚との間に存在する表面粗さと比較して低減されている。
【0036】
本発明の他の態様は、患者にアンダーパッドを提供することと、アンダーパッドが汚れたときにアンダーパッドを交換することとによって、皮膚創傷および障害を予防または処置する方法を提供する。代わりに、アンダーパッドは、病院のプロトコルに従って、たとえば24時間使用後に交換され得る。望ましくは、アンダーパッドの上部布層は、平滑な布表面を提供するために製織された縦糸および横糸を有する織布から構成され、縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、布の約0〜約2重量%の導電性糸を含む。アンダーパッドの上部布層は、川端評価システムFB4表面試験機での測定に基づき、乾燥時に1.0〜1.75ミクロンの幾何学的平均表面粗さを有するべきである。好ましくは、アンダーパッドの上層は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および表皮ブドウ球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減が、少なくとも98.0%である。
【0037】
本発明の別の態様は、100%連続合成糸で製織された織布を含む上部布層を有するアンダーパッドであり、本布は、AATCC試験方法100による試験に準拠する黄色ブドウ球菌および大便連鎖球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減が99%を超え、川端表面粗さ評価を用いる平均表面粗さが約1.75ミクロンの平らさを有し、15mm/分を超える水分ウィック速度を有し、1分当り1.0%を超える乾燥速度を有することを達成するように仕上げられる。好ましくは、本アンダーパッドは、液体不浸透性下部層および流体吸収中間層も含み、3層すべてが共に固定されている。
【0038】
本発明の他の態様は、患者に用品を提供することと、用品が汚れたときに用品を交換することとによって、皮膚創傷および障害を予防または処置する方法を提供する。望ましくは、物品は、平滑な布表面を提供するために製織された縦糸および横糸を有する織布から構成され、縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の、非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、布の約0〜約2重量%の導電性糸を含む。本方法の用品は、下部ベッドシート、上部ベッドシート、枕カバー、アンダーパッドおよび/または患者用ガウンの1つ以上であることができる。本用品は、川端評価システムFB4表面試験機で測定されたように、乾燥時に1.0〜1.75ミクロンの幾何学的平均表面粗さを有するべきである。好ましくは、1つ又は複数の用品は、24時間の接触時間の後に、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および表皮ブドウ球菌の少なくとも98.0%の抗菌低減を提供する。
【0039】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面と共に考慮したときに、好ましい実施形態の以下の記載を読んだ後に当業者に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の布で構成された上部シーツおよび枕カバーを有するベッドの図である。
【図2】本発明の布で構成された下部シーツおよびアンダーパッドを有するベッドの図である。
【図3】本発明の患者用ガウンの実施形態を着用している患者を示す。
【図4】アンダーパッドの断面の概略図である。
【図5】患者用ガウンのブランクの概略図である。
【図6】繊維の断面が星形である糸の顕微鏡写真である。
【図7】繊維の断面がクローバー形である糸の顕微鏡写真である。
【図8A】本発明の布の実施形態の顕微鏡写真である。
【図8B】従来の病院用寝具布の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、皮膚創傷および障害を予防および処置するための治療用布を開示する。本明細書で使用する「布」または「治療用布」は、文脈が異なる意味を示唆しない限り、この布を指すものとする。布は、皮膚と接触する用品、たとえば寝具および患者用ガウンを形成するために使用される。本明細書で使用する「寝具」は、下部ベッドシーツ、上部ベッドシーツ、枕カバーおよび/またはアンダーパッドを指すものとし、「用品」は寝具および患者用ガウンを指すものとする。治療用布は、平滑な布表面を提供するように製織された縦糸および横糸を含む。好ましい実施形態において、縦糸および横糸の一方は、布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、縦糸および横糸の他方は、布の約0〜60重量%の、非円形フィラメント断面を有するポリエステルまたはナイロン連続フィラメントである。最も好ましい実施形態は、静電気を制御するために約1〜約2%の導電性糸を含む。
【0042】
好ましくは、抗菌物質は布に局所的に適用されているか、または布に内在的に存在する。好ましい実施形態において、抗菌物質、たとえばAEGIS Environments,Inc.によって製造されたAEGIS Microbe Shieldが標準織物仕上げ操作で織布に局所的に適用される。抗菌物質は好ましくは、活性成分の0.25〜2.0重量%から布の100重量%で適用される。AEGIS Microbe Shieldは、以下の一般的な微生物:大腸菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、および緑膿菌に対して十分に作用する。抗菌物質は布の悪臭も予防し得る。
【0043】
縦糸は100%ナイロンであり得て、横糸はポリエステルまたはナイロンであり得る。
【0044】
一実施形態において、布は綾織り(通例2×1綾織り)、または別の実施形態において、平織りとして製織される。糸は80%〜100%の被覆率を有する布構造に製織される。縦糸は40デニール、34フィラメントの1インチ当り5回の撚りのナイロン6−6連続フィラメント糸、横糸は75デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントであり得る。別の実施形態において、縦糸は70デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたナイロン連続フィラメントであり、横糸は75デニール、36フィラメントのテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントである。連続フィラメント糸が好ましいのは、これらの糸が布の平面を超えて延在する短繊維を有さず、これにより敏感肌に対する刺激が低減されるためである。平滑な布表面もこの効果を強化する。平滑表面を形成する連続フィラメントおよび刺激性表面を形成する短繊維を図8Aおよび図8Bの顕微鏡写真にそれぞれ示す。約30デニール〜100デニールの縦糸および約30デニール〜100デニールの横糸が使用され得る。
【0045】
好ましくは、連続フィラメントは非円形フィラメント断面、たとえば星形断面またはクローバー形断面を有する。クローバー形断面も、布の平滑性および柔軟性を改善する。これらの例は図6および図7に見られる。非円形断面では、隣接フィラメントがフィラメント表面に沿ってウィックチャネルを形成して、皮膚との接触からの水分輸送を促進および増強する。水分は布に沿ってその元の供給源から移動して、その供給源から水はさらに蒸発するまたは逃がすことができる。そのため水分は布表面からより迅速に蒸発および乾燥して、皮膚に接触している水分の量を減少させる。したがってウィックチャネルは、過剰な発汗を減少させることによって、使用者が体温を維持することも助ける。
【0046】
好ましい実施形態において、ナイロンが使用されるのは、ナイロンが合繊繊維の中で最高の給水度の1つを有するためである。ナイロンは水分を吸収して、逃がす及び蒸発させることを補助する。ナイロンは好ましいが、耐久性補助親水性処置が後仕上げとして適用される場合、ポリエステルも使用できる。
【0047】
好ましい実施形態において、布は、局所的な防汚加工、たとえばHydroTex USA,Inc.からのHydro Wick(商標)NAも含有し得て、Hydro Wick(商標)NAは40%固体にて適用され、布の重量に対して8%が消費された。そのため布は、皮膚用抗生物質クリームおよび軟膏、創傷ドレナージ、および組織片に関連する汚れを放出することができる。
【0048】
好ましい実施形態において、布は導電性糸、たとえば炭素、銀または他の金属も含み得る。導電性糸は、本発明の治療特性にとっては重要ではないが、施設での洗濯工程の間に静電気が発生する可能性を低減するのに有用である。特に導電性糸は、静電荷を伝導して除去し、静電荷蓄積を予防することによって、静電気散逸を制御する。導電性糸は好ましくは、縦糸の各種の端部および/または横糸の列として含まれる。好ましくは、導電性糸は布の約1〜約2重量%である。
【0049】
当業者に理解されるように、導電性糸が布に含まれるとき、ナイロン、非円形フィラメント導電性糸のパーセンテージは合計で102%ではなく、100%である。したがって最終的な布の他の糸が比例的に低減される。しかし本明細書では簡潔にするために、ナイロンが少なくとも40重量%であり、非円形ナイロンが約0〜約60重量%であり、導電性糸が約0〜約2重量%であるとして範囲を示している。
【0050】
本布は並外れた抗菌特性、静電防止特性、ウィック特性および乾燥特性を提供し、皮膚炎、皮膚創傷、圧迫創および他の皮膚病の予防および処置することができる。さらに本布は、非摩耗性でコスト効率が良く、多くの洗浄、洗剤、オートクレーブ処理、照射、および夜間の着用に耐えることができる。したがって、本布は、ベッドに横臥している、リハビリ、生活支援または介護を受けている人々に、特に汗、尿、糞便、嘔吐物、創傷ドレナージを含む生体物質にさらされている人々に、並外れて良好に適している。
【0051】
好ましくは、布は、ASTM D5034−95による測定に準拠し、約30%を超える伸び率を有する布を生成するように仕上げられる。当業者は、この結果を達成するための好適な仕上げ技術に精通している。
【0052】
布は、どちらも図1に示されている、ほつれを予防するヘム14を含む上部シーツ10、およびまたヘム(図示省略)を有する枕カバー12を含む、皮膚と接触する各種の用品の構造に適している。図2に示すように、布は、図3に示すような下部シーツ20、アンダーパッド60、および患者用ガウン30を構成するのにも使用され得る。
【0053】
図2に示すように、好ましくは適合コーナー部21を含むアンダーパッド60が下部シーツ20の上に配置されている。通例、患者(図示省略)がアンダーパッド60の上に直接横臥して、上部シーツ(図示省略)が患者の上に掛けられる。アンダーパッド60は好ましくは、ベッドに配置したときに、下部エッジ64よりも狭い上部エッジ62によって台形状に成形されている。さらに好ましくは、アンダーパッド60の上部エッジ62は幅が少なくとも34インチであり、下部エッジ64は幅が少なくとも42インチであり、長さ68はおおよそ65インチである。これらの寸法は有利には、特に圧迫創を受けやすい患者の膝および足の下に延在する十分な範囲をパッドに提供する。
【0054】
図4は、本明細書において言及される治療用布で構成された上部布層75、中間層77、および下部層79を含むアンダーパッド60の断面図を示す。吸収性中間層77は好ましくは、不織材料またはフォーム材料で構成されている。下部層79は好ましくは液体不浸透性であり、ビニル、ゴム、ポリウレタンコート材料、および当分野で公知の他の液体バリアなどの材料で構成されることができる。上部布層75、中間層77および下部層79は好ましくは共に固定されて、図2に示すように、周囲の縫い目85によってアンダーパッド60を形成している。
【0055】
本布は、袖パネル32および身頃33を含む、図3に示すような患者用ガウン30の構造にも適している。図5は、患者用ガウン30を構成するための好ましいブランクを示す。好ましくは、連続した治療用布片が身頃33を構成する。好ましくは2セットの2枚の袖パネル32(合計4枚)があり、そのすべてが治療用布で構成されている。個々のパネル32はそれぞれ、袖ホールシーム35を介して別の袖パネル32に付着される。2枚の袖パネル32の各対は、袖パネルシーム36を介して身頃33に付着される。袖パネル32は袖ホール34を画定し、図3に示すように、組み立てられたガウンが患者に着用されるときに、袖ホール34を通じて腕が延びる。
【0056】
袖パネル32の上部エッジに沿って第1のファスナ40および第2のファスナ42が延在し、たとえばオスおよびメスのスナップまたはボタン、ループおよびフック取付具などのように、それぞれ相互に嵌合する。最も内側の袖パネル32は、Vネック、半円などであり得る首ホール37(図3に示す)を画定する。紐38は、図3に示すように、患者の後ろで相互に(結ぶことなどによって)固定する。患者用ガウン30を患者に固定する代替手段は、スナップ、ボタン、ループおよびフックアセンブリ、フック、ジッパー、接着物などを含む。図5の右下の紐39に関して示されているように、紐39は最も外側のエッジ50以外の位置で身頃33に付着され得る。
【0057】
好ましくは、患者用ガウン30は、エッジを仕上げるためのヘム48および/またはパイピング52、小型の個人または医療用品を収容するポケット44、ならびに病院名、部署、用品のブランドまたは他の所望の印を示す識別表示46を含む。
【0058】
布の1つの比較例は、1インチ当り84本の縦糸および1インチ当り96本の横糸の構造であり、平方ヤード当り2.36オンスである布を産生する。縦糸は70デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたナイロン連続フィラメントであり、第1の横糸は75デニール、36フィラメントの非円形断面のテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントである。第2の横糸は、25デニール、3フィラメントのカーボン糸を、70デニール、68フィラメントのポリエステル連続フィラメント糸と撚り合せることによって作製された双糸であり、1インチ当り2.5ピックまたは布の総重量の1%で布に製織される。下の表1から表3を解釈する目的で、本構造は治療用布と呼ばれるものとするが、これは本発明の一実施形態にすぎない。
【0059】
比較例として、代表的な病院用寝具用布は、1インチ当り縦糸120本および1インチ当り横糸74本で、1平方ヤード当り4.12オンスの布を生じる構造の平織りであるか、または本発明よりも75%重い。縦糸は、50%綿および50%短ポリエステルの混紡の(136デニールと同等の)39/1紡績糸である。横糸は、50%綿および50%短ポリエステルの混紡で、(149デニールと同等の)35.6/1紡績糸である。これらの綿混紡布は、特殊仕上げ、水分処理特徴、抗菌特性、または防汚特性を有さない。表1および表2を解釈する目的で、本構造は「綿混紡」と呼ばれるものとする。
【0060】
下の表3の最左列に示すように、従来の病院用寝具布構造は、表1および2の「綿混紡」に限定されるわけではないが、表3において比較目的で使用される。
【0061】
好ましい布は、以下の特性を有する。
【0062】
・高い給水度。ナイロンは、合成繊維の中で最高の給水度の1つを有し、水分を吸収して、逃がす及び蒸発させるのを補助する。このことは、表1に示めされ、本発明より優れたウィック能力に寄与している。
【0063】
【表1】

【0064】
・優れた水分輸送。非円形繊維断面は繊維表面に沿ってチャネルを生成して、皮膚との接触からの水分輸送を促進および増強する。水分はより急速に蒸発および乾燥して、これにより皮膚に近接する湿気の量が低減される。45分後の乾燥率が95%を超えるという本治療用布の性能は、表2に示すように、綿混紡を超えたかなりの改善である。
【0065】
【表2】

【0066】
・皮膚との最小限の摩擦。連続フィラメント糸は、敏感肌を刺激する布の平面を超えて延在する短繊維を有さない。平滑な布表面はこの効果を強化する。好ましくは、本布は、川端評価システムFB4表面試験機による測定に基づき、約1.7ミクロン未満の幾何学的平均粗さを有する。本発明および綿混紡の顕微鏡写真である図8Aおよび図8Bは、これら表面の本質的な相違を示している。
【0067】
・実質的な抗菌特性。本発明の好ましい実施形態では、AATCC試験方法100に準拠して、多種多様の用品において黄色ブドウ球菌および大便連鎖球菌に対する実質的な殺菌有効性(>99.9%)を示すが、各種の従来の病院用布は示さない。これを表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
・良好な程度の伸張および回復。このような布は、ベッドシーツがよりしっかりフィットするのを助け、これにより皮膚刺激を引き起こすしわが低減される。このような布は、体により良好に従い、敏感肌に対する剪断力も低減する。好ましくは、布は、ASTM D5034−95によって測定されるように、約30%を超える伸び率を有する布を生成するように仕上げされる。優れた伸長特性を表4に示す。
【0070】
・延長された洗濯および乾燥に対する耐久性。このような布は、洗濯中に繊維が消失せず(綿混紡と比較して)、皮膚をさらに刺激する繊維のピリングを生じない。
【0071】
・高い洗浄温度および強力な洗剤の使用に耐える能力。
【0072】
・皮膚用抗生物質クリームおよび軟膏、創傷ドレナージ、および組織片に関連する汚れを放出する能力。これを表4に示す。
【0073】
表4で、星形およびクローバー形断面糸の各種の特性に関連するデータ、および本発明の一実施形態を、代表的な55/45ポリエステル/綿および100%綿の寝具用布と比較する。
【0074】
【表4】

【0075】
布の物理的特性は従来の布よりも著しく優れているが、本発明者ら、織物の専門家および医療専門家は、治療用布を病院での実際の患者に対する臨床試験で試験したときに得られた劇的な臨床結果に驚いた。要するに、本発明の布で構成された用品を使用した患者は、標準の病院用品を使用した患者と比べて、圧迫創を発症する可能性が著しく低く、圧迫創を有して退院する可能性が著しく低い。
【0076】
試験では、地域病院の腎臓病棟の患者307名が組み入れられた。本患者集団を選択したのは、患者が、腎不全に加えて複数の共存症に罹患していたためと、高い圧迫創発症のリスクに瀕していたためであった。本試験の目的は、(1)皮膚に対する摩擦、剪断、および圧迫損傷の低減、ならびに(2)浸軟および皮膚ひだの破壊の低減を評価することであり、アンダーパッド、および患者用ガウンを含む寝具は、汗および失禁によって引き起こされた皮膚ひだの濡れを防止するのを助ける。本発明の布で作製したアンダーパッド、および患者用ガウンを含む病院用寝具(以下、「発明の組合せ」と呼ぶ)を、病院で使用されるアンダーパッド、および患者用ガウンを含む、現行の綿混紡シーツ(以下「標準の組合せ」と呼ぶ)と比較した。
【0077】
試験の期間にわたって、新たな入院患者すべてが、患者の入院の時点に応じて、本発明の組合せまたは標準の組合せのどちらかを与えられた。特に、試験の最初の8週間に入院した患者はすべて、標準の組合せを使用して、次の8週間に入院した患者は本発明の組合せを与えられ、最後の7週間に入院した患者は、標準の組合せを与えられた。試験対象307名は、人口統計学的要因、たとえば体重、年齢および共存症に関して統計的に類似していた。その滞在平均長は5日間を超えたばかりであった。t検定統計方法を使用して試験データを解析し、2つの試料の平均が等しいかどうかを判定した。平均の差が偶然によらないという統計的有意性は、p<0.05であるとき、すなわち95%以上の確率があるときに示された。主要な知見を以下に示す。
【0078】
・本発明の組合せを使用すると、標準組合せと比較して、61.7%少ない創傷が発症した。結果は0.0137のp値を有し、統計的に有意と見なされた。
【0079】
・本発明の組合せを使用すると、標準組合せと比較して、退院時の患者に39.6%少ない創傷が見出された。結果は0.0315のp値を有し、統計的に有意と見なされた。
【0080】
・腎臓病棟の患者の滞在長を説明するためにデータを正規化した場合、本発明の組合せを使用すると、標準組合せと比較して、1,000患者日当り56.8%少ない創傷が発症した。結果は0.0137のp値を有し、統計的に有意と見なされた。
【0081】
・本発明の組合せを使用すると、標準組合せと比較して、退院時には1,000患者日当り32.0%少ない創傷が見出された。結果は0.0315のp値を有し、統計的に有意と見なされた。
【0082】
上の結果は、本発明者らが医療施設での圧迫創の予防および処置に有効な療法を正しく着想および具体化したことを証明した。
【0083】
皮膚創傷または障害を予防または処置するために、患者は布から構成された1つ以上の用品を提供される。好適な用品は、下部ベッドシーツ、上部ベッドシーツ、枕カバー、アンダーパッドおよび/または患者用ガウンを含む。これらの用品は、就床患者の皮膚が病院で24時間の期間以内で用品と接触することが予見される限り、患者との「実質的な皮膚接触」にあると見なされる。1つ又は複数の用品は、望ましくなく湿ったもしくは汚れたときに、または別の方法として、たとえば24時間ごとに完全な寝具交換を必要とする、病院の標準手順に従って交換すべきである。
【0084】
圧迫創は、圧迫創予防品または治癒品として市販されている下部シーツ,上部シーツ、枕カバー、アンダーパッド、および/または患者用ガウンを取得することと、使用のためにその用品を提供することと、および場合により説明または情報を提供することとによっても予防または治癒され得る。「市販されている」は、本明細書で使用する場合、シーツ、枕カバー、アンダーパッドまたはガウンに関する情報の書面のまたは電子的な配布を指す。
【0085】
本発明は、圧迫創予防品として市販されている用品を取得することと、従来の療法の下で圧迫創の発症を受ける患者のケアに関して本用品を使用することと、患者を圧迫創の発症について監視することとによる、圧迫創を予防および/または処置する方法も含む。本用品は、望ましくなく湿ったもしくは汚れたときに交換され得、乾燥時に約1.0〜1.75ミクロンの幾何学的平均表面粗さを有し得、および/または導電性糸を有し得る。
【0086】
本発明は、少なくとも1つの用品を圧迫創予防品および処置として市販することと、本用品を医療提供者に提供することと、圧迫創を予防または処置する用品の使用について医療提供者に情報を提供することとによる、圧迫創を予防および/または処置する方法も含む。
【0087】
本発明は、布を製織することと、布に抗菌剤を適用することと、布を切断および縫製して用品を形成することと、用品の圧迫創予防品または処置品としての販売を促進することと、用品を医療提供者に提供することとも含む。本用品は、導電性糸を含み得る。
【0088】
当業者は上述の説明を読めば、更なる修正および改善を思いつく。たとえば本発明は、平織りまたは綾織り以外の織り方によって行われ得る。本発明の織り方は、皮膚を過度に擦過するかもしれないいずれの3次元表面構造も伴わずに、滑らかで平坦な表面を生成する。代用できる他の織り方は、繻子織、綿繻子織、またはダック織を含む。本明細書では簡潔さおよび読みやすさのために、このようなすべての修正および改善が省かれているが、添付する特許請求の範囲を逸脱しないことは当然に理解されることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑な布表面をなすように縦糸および横糸で織られた織布を備えるベッドリネン布であって、
前記縦糸または前記横糸の一方が、ナイロン連続フィラメントであり、前記布の少なくとも40重量%を構成し、
前記縦糸または前記横糸の他方が、ポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであり、非円形のフィラメント断面を有し、前記布の実質的にすべての残部を構成するベッドリネン布。
【請求項2】
前記縦糸が100%ナイロンである請求項1に記載の布。
【請求項3】
前記横糸が100%ポリエステルである請求項2に記載の布。
【請求項4】
前記横糸が100%ナイロンである請求項1に記載の布。
【請求項5】
前記布が綾織りまたは平織りで織られる請求項1に記載の布。
【請求項6】
前記縦糸が、70デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたナイロン連続フィラメント糸である請求項1に記載の布。
【請求項7】
前記横糸が、75デニール、36フィラメントのテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントである請求項1に記載の布。
【請求項8】
前記非円形の繊維断面を有する連続フィラメントが、星形の断面を有する請求項1に記載の布。
【請求項9】
前記非円形の繊維断面を有する連続フィラメントが、クローバー形の断面を有する請求項1に記載の布。
【請求項10】
前記非円形の繊維断面を有する連続フィラメントが、隣接するフィラメントによってウィックチャネルが形成されるような断面を有する請求項1に記載の布。
【請求項11】
局所的な防汚加工を更に備える請求項1に記載の布。
【請求項12】
前記織布が、綾織りまたは平織りで織られており、
前記縦糸が、70デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたナイロン連続フィラメント糸であり、前記布の少なくとも40重量%を構成し、
前記横糸が、75デニール、36フィラメントのテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントであり、星形またはクローバー形である非円形のフィラメント断面を有し、前記布の約60重量%までの前記布の残部を構成する請求項1に記載のベッドリネン布。
【請求項13】
局所的な防汚加工を更に備える請求項12に記載の布。
【請求項14】
前記布に局所的に加工された又は前記布に内在的に存在する抗菌物質を更に備える請求項1に記載のベッドリネン布。
【請求項15】
最終的な前記布が、約30%を超える伸び率(D5034−95に準拠)を有する請求項1に記載の布。
【請求項16】
前記布が、約1.7ミクロン未満の川端式の幾何学的平均粗さを有する請求項1に記載の布。
【請求項17】
前記布は、45分後の乾燥率(%)が95%を超えるものである請求項1に記載の布。
【請求項18】
前記布は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および表皮ブドウ球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減(AATCC100に準拠)が、少なくとも98.0%である請求項1に記載の布。
【請求項19】
請求項1に記載の布を切断および縫製したベッド用シーツであって、平滑な布表面を含み、ベッドを覆うサイズにされ、前記織布のほつれを防止するヘムを備えるシーツ。
【請求項20】
前記布が、川端評価システムFB4表面試験機での測定に基づき、約1.0〜1.75ミクロンの乾燥時の幾何学的平均表面粗さを有する請求項19に記載のシーツ。
【請求項21】
請求項1に記載の布を切断および縫製した枕カバーであって、その一端に枕を挿入するための開口部を有し、前記枕を収容するポケット状に形成された枕カバー。
【請求項22】
皮膚創傷を予防および低減するための治療用織布であって、請求項1に記載の布と、この布に織り込まれた導電性糸とを備え、前記導電性糸が、前記縦糸または前記横糸となり且つ前記布の約0〜約2重量%である治療用織布。
【請求項23】
前記導電性糸が炭素である請求項22に記載の布。
【請求項24】
前記複合導電性糸が、70/68のテクスチャード加工されたポリエステル糸と撚り合された25/3の炭素糸である請求項22に記載の布。
【請求項25】
前記縦糸および前記横糸が綾織りで織られており、前記縦糸が70デニール、48フィラメントのテクスチャード加工されたナイロン連続フィラメント糸であり、前記横糸が75デニール、36フィラメントのテクスチャード加工されたポリエステル連続フィラメントであって、前記布の約0〜約60重量%を構成し、星形またはクローバー形である非円形のフィラメント断面を有し、
前記導電性糸が前記縦糸および前記横糸に組み入れられている、皮膚と接触する用品に使用される請求項22に記載の治療用織布治療用織布。
【請求項26】
局所的な防汚加工を更に備える請求項25に記載の布。
【請求項27】
前記布が寝具または衣服を構成するために使用される請求項22に記載の治療用織布。
【請求項28】
前記布が、約30%を超える伸び率(D5034−95に準拠)を有する布となるように仕上げられた請求項27に記載の布。
【請求項29】
前記布が、約1.7ミクロン未満の川端式の幾何学的平均粗さを有する請求項27に記載の布。
【請求項30】
前記布は、45分後の乾燥率(%)が95%を超えるものである請求項27に記載の布。
【請求項31】
前記布は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、および表皮ブドウ球菌との24時間の接触時間後の抗菌低減(AATCC100に準拠)が、少なくとも98.0%である請求項27に記載の布。
【請求項32】
下部シーツ、上部シーツ、枕カバー、アンダーパッドおよび患者用ガウンからなる群より選択される少なくとも1つの圧迫創予防品として販売される用品を得るステップであって、前記用品が、平滑な布表面をなすように縦糸および横糸で織られた治療用織布と、この布に局所的に加工された又はこの布に内在的に存在する抗菌物質とで構成されており、前記縦糸または前記横糸の一方が、前記布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、前記縦糸または前記横糸の他方が、前記布の約0〜約60重量%のポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであって、非円形のフィラメント断面を有するものであるステップと、
従来の療法によって圧迫創が発生し得る患者のケアに関して前記用品を使用するステップと、
圧迫創の発生について前記患者をモニタリングするステップと
を含む患者の圧迫創を予防または処置する方法。
【請求項33】
少なくとも1つの用品を、不快に濡れた又は汚れた場合に交換するステップを更に含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記用品を得るステップにおいて、前記布が、川端評価システムFB4表面試験機での測定に基づき、約1.0〜1.75ミクロンの乾燥時の幾何学的平均表面粗さを有する請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記用品を得るステップにおいて、前記布が前記布中に導電性糸を有する請求項32に記載の方法。
【請求項36】
平滑な布表面をなすように縦糸および横糸を用いて布を織るステップであって、前記縦糸または前記横糸の一方が、前記布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、前記縦糸または前記横糸の他方が、前記布の約0〜約60重量%のポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであって、非円形のフィラメント断面を有するものであるステップと、
前記織布に抗菌物質を加工するステップと、
前記抗菌物質を加工した織布を、切断および縫製して、下部シーツ、上部シーツ、枕カバー、アンダーパッドおよび患者用ガウンからなる群より選択される用品を形成するステップと、
前記用品の使用が圧迫創を予防または処置することを示して前記用品の販売を促進するステップと、
患者への使用のために医療提供者に前記用品を提供するステップと
を更に含む請求項32に記載の圧迫創を予防または処置する方法。
【請求項37】
前記布を織るステップが、前記布に導電性糸を導入するステップを含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
100%の合成連続フィラメント糸で織られた布地を備える患者用ガウンまたはアンダーパッドであって、前記布が、
AATCC試験方法100に準拠する24時間における黄色ブドウ球菌の低減が99%を超える抗菌効果を達成するよう仕上げられ、
AATCC試験方法100に準拠する24時間における大便連鎖球菌の低減が99%を超える抗菌効果を達成するよう仕上げられ、
川端式の表面粗さ測定器を使用して約1.75ミクロンの平均表面粗さを有し、
15mm/分を超える水分のウィッキング速度を有し、
1分当り1.0%を超える乾燥速度を有するものである患者用ガウンまたはアンダーパッド。
【請求項39】
前記布が、前記布の約1〜約2重量%の導電性糸を備え、この導電性糸が静電気散逸を制御することができる請求項38に記載の患者用ガウン。
【請求項40】
前記布の横糸が100%ポリエステルである請求項38に記載の患者用ガウン。
【請求項41】
前記布が100%ナイロンである請求項38に記載の患者用ガウン。
【請求項42】
前記布が耐久性防汚加工を備える請求項38に記載の患者用ガウン。
【請求項43】
皮膚創傷を予防および低減することができる患者用ガウンであって、請求項22に記載の布を使用した布で構成された患者が着用する衣服を備える患者用ガウン。
【請求項44】
前記用品を得るステップにおいて、前記用品が、平滑仕上げを有する治療用布で構成された患者用ガウンまたはアンダーパッドであり、前記ガウンは患者に着用され、これにより前記患者用ガウンが前記患者と実質的に皮膚接触し、
前記患者ガウンが不快に濡れた又は汚れた場合に、前記患者ガウンを交換する請求項32に記載の圧迫創を予防または処置する方法。
【請求項45】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸の治療用布で構成された患者用ガウンを得るステップが、星形のフィラメント断面を有する糸の布を提供することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸の治療用布で構成された患者用ガウンを得るステップが、クローバー形のフィラメント断面を有する糸の布を提供することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸のフィラメント間のチャネルに沿って水分を逃がすステップを更に含む請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記治療用布の患者用ガウンを得るステップは、川端評価システムFB4表面試験機による測定に基づき、治療用布と患者の皮膚との間における前記布の幾何学的平均表面粗さが、乾燥時で約1.0〜1.75ミクロンであり、このように定量される平滑さを有する布でガウンを作製することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項49】
患者用ガウンまたはアンダーパッドを製造する方法であって、
平滑な布表面をなす縦糸および横糸を有する布を得るステップであって、前記縦糸または前記横糸の一方が、前記布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、前記縦糸または前記横糸の他方が、前記布の約0〜約60重量%のポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであって、非円形のフィラメント断面を有するものであるステップと、
パターンに従って前記布を切断してブランクを形成するステップと、
前記ブランクを縫製して患者用ガウンを形成するか、又はアンダーパッドの最外層として前記ブランクを縫製するステップと
を含む方法。
【請求項50】
前記布が、前記布の約1〜約2重量%の導電性糸を備え、この導電性糸が静電気散逸を制御するものである請求項38に記載のアンダーパッド。
【請求項51】
前記布の横糸が100%ポリエステルである請求項38に記載のアンダーパッド。
【請求項52】
前記布が100%ナイロンである請求項38に記載のアンダーパッド。
【請求項53】
前記布が耐久性防汚加工を備える請求項38に記載のアンダーパッド。
【請求項54】
上部エッジおよび下部エッジを備え、前記上部エッジが前記下部エッジよりも狭い請求項38に記載のアンダーパッド。
【請求項55】
ベッド上のアンダーパッド上に就床している人の皮膚創傷を予防および低減することができるベッド用アンダーパッドであって、請求項22に記載の布で構成されたベッド用アンダーパッド。
【請求項56】
上部エッジおよび下部エッジを含み、前記上部エッジが前記下部エッジよりも狭い請求項55に記載のアンダーパッド。
【請求項57】
前記用品が、縦糸および横糸を有する合成治療用布と、導電性糸と、前記布に局所的に加工された又は前記布に内在的に存在する抗菌物質とで織られた治療用布のアンダーパッドであり、前記縦糸または前記横糸の一方が、前記布の少なくとも40重量%のナイロン連続フィラメントであり、前記縦糸または前記横糸の他方が、前記布の約0〜約60重量%のポリエステルまたはナイロン連続フィラメントであって、非円形のフィラメント断面を有するものである請求項44に記載の方法。
【請求項58】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸の治療用布のアンダーパッドを得るステップが、星形のフィラメント断面を有する糸の布を提供することを含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸の治療用布のアンダーパッドを得るステップが、クローバー形のフィラメント断面を有する糸の布を提供することを含む請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記非円形のフィラメント断面を有する糸のフィラメント間のチャネルに沿って水分を逃がすステップを更に含む請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記治療用布のアンダーパッドを得るステップは、川端評価システムFB4表面試験機による測定に基づき、治療用布と患者の皮膚との間における前記布の幾何学的平均表面粗さが、乾燥時で約1.0〜1.75ミクロンであり、このように定量される平滑さを有する布でアンダーパットを作製することを含む請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記治療用布のアンダーパッドを得るステップが、上部エッジおよび下部エッジを備え、前記上部エッジが前記下部エッジよりも狭いアンダーパッドを得ることを含む請求項57に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−532002(P2012−532002A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519529(P2012−519529)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/052285
【国際公開番号】WO2011/008220
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511216352)プリシジョン・ファブリクス・グループ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】