説明

監視カメラ、及び監視カメラシステム

【課題】
監視カメラの機能増加により、評価期間及び、不具合発生時の原因究明までの時間が増加する傾向にあることから、それらの時間を短縮する。
【解決手段】
監視カメラ11に不揮発性の内部メモリ13を用意し、内部動作を常に保存する。また、操作履歴情報を操作されるたび、カメラの設定値と一つ前の設定値を設定変更されるたびに内部メモリ13に保存し、常に最新の状態を保つようにする。その保存した内容は、保守システム31からネットワーク21を経由して任意の時に取得可能とする。解析部33では、文字列で内部動作情報を表示するだけでなく、内部動作順や動作タイミングが視覚的に判るようにグラフ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラに係り、特にその内部処理情報を確認するに好適な監視カメラ、及び監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに対応した監視カメラの需要が高まっている。そして、通信に対応していることもあり、従来まで主流であったアナログカメラに比べ、搭載される機能が増加してきており、内部処理も複雑になっている。その結果、カメラ出荷前に評価しなければならない項目が増え、不具合が発生した際に調査しなければならない範囲が増加し、不具合の原因を突き止めるまでにかかる時間も増大してきている。
【0003】
その解決策としては、不具合の発生時に迅速に対応できるように、カメラの動作情報や操作の履歴などをカメラに保存しておくことが知られている(特許文献1及び2)。特許文献1では、オートパン動作時間、電源オン時間、監視カメラ装置内の温度、プリセット動作回数、カメラのフィルタの切替え動作回数や座標系リセット回数などの情報を保存している。特許文献2では、エラーが発生した際に、カメラの動作情報などを不揮発性メモリに保存している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−100281号公報
【特許文献2】特開2005−33325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では固有イベントの回数や時間のみを保存しており、特許文献2ではエラー発生時のみ情報を保存しているため、いずれも保存する情報が不足し、カメラがエラーと判断した場合や、特定のイベントが発生した場合のみしか必要な情報を得ることができない。
【0006】
そのため、カメラがエラーと判断できないような不具合を早期に見つけることができず、不具合を見つけても原因究明に時間を要することになる。また、カメラの動作情報を見て解析する際に、文字列で表示されている時刻や内容からでは迅速に解析することが出来ず、時間も掛かることになる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、監視カメラの内部動作情報を詳細に確認することができ、迅速な動作解析等が可能な監視カメラ、及びネットワークシステムを利用した監視カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための本発明の特徴は、不揮発性内部メモリと、前記不揮発性内部メモリに内部動作情報、操作履歴情報、現在のカメラの設定値、一つ前のカメラの設定値を保存する制御部と、ネットワーク経由で送信された不揮発性内部メモリデータ送信要求を受信して前記制御部に伝え、前記制御部の制御により、前記送信要求してきた機器に対して、前記不揮発性内部メモリのデータを出力する通信部と、を備えた監視カメラにおいて、前記内部動作情報は、前記不揮発性内部メモリの内部動作情報保存領域に前記制御部が追記し、容量を超えるときには最古の情報から上書きし、前記操作履歴情報は、カメラが操作された際に前記制御部が前記不揮発性内部メモリの操作履歴情報保存領域に追記し、容量を超えるときには最古の情報から上書きし、前記現在のカメラの設定値と前記一つ前のカメラの設定値は、カメラの設定値が変更された際に変更後の全設定値を前記不揮発性内部メモリの現在のカメラの設定値保存領域に前記制御部が保存し、変更前の全設定値を前記不揮発性内部メモリの一つ前のカメラの設定値保存領域に保存することにある。
【0009】
更には、取り外し可能な不揮発性外部メモリを用いた監視カメラ、ネットワークシステムを利用した監視カメラシステム等の特徴については、後述する実施の態様で詳述する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内部動作情報を常に不揮発性内部メモリに保存しており、その情報を任意に取得可能としているので、いつでも内部動作情報を使用して動作確認・解析を行うことができるようになり、製品の品質を向上させることが出来る。また、早期に不具合を見るけることができ、原因究明も迅速に行うことができるので、不具合が解決するまでの時間を短縮させることができる。
【0011】
そして、外部不揮発性メモリにも保存しておく場合は、過去の内部動作情報、操作履歴、設定値等も詳細に知ることができるため、これらを基に解析を行うこともできる。
【0012】
また、評価や解析する際に、内容をテキストで表示するだけでなく、グラフ化して表示する場合は、動作の流れを把握しやすく、本来周期的に動作しているはずの内部動作が異常な動作となっているかどうかの判断等も容易となり、動作確認時間・解析時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る監視カメラシステムの構成図である。
【図2】本発明の不揮発性内部メモリのデータ構造例を示す図である。
【図3】本発明の内部動作情報のデータ構造例を示す図である。
【図4】本発明の操作履歴情報のデータ構造例を示す図である。
【図5】本発明の内部メモリ内に二つ前の設定値保存領域を追加した例を示す図である。
【図6】本発明の解析部における内部動作情報のテキスト表示例を示す図である。
【図7】本発明の解析部における内部動作情報のグラフ表示例を示す図である。
【図8】本発明の解析部における操作履歴情報の表示例を示す図である。
【図9】本発明の解析部における現在及び一つ前のカメラ設定値の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0015】
図1に本発明の一実施例に係る監視カメラシステムの構成図を示す。図1の監視カメラシステムは、取り外し可能な不揮発性の外部メモリ12、不揮発性の内部メモリ13を備え、その不揮発性外部メモリ12や不揮発性内部メモリ13のデータをネットワーク21経由で出力できる通信部14、そして不揮発性の内部メモリ13にデータの書き込み、不揮発性内部メモリ13から不揮発性外部メモリ12へデータの転送を行う制御部15を備えている監視カメラ11と、ネットワーク21に接続可能であり、監視カメラ11の不揮発性外部メモリ12や不揮発性内部メモリ13のデータを受け取ることができる通信部32と、受け取ったデータの解析を行う解析部33を備えている保守システム31で構成されている。
【0016】
また、保守システム31の通信部32は監視カメラ11の通信部14へ不揮発性外部メモリ12や不揮発性内部メモリ13のデータ送信要求を出し、監視カメラ11の通信部14は要求を受け取ると制御部15の制御により、監視カメラ11の通信部14が保守システム31の通信部32にデータを送信する。
【0017】
監視カメラ11の制御部15は、常に不揮発性内部メモリ13の内部動作情報保存領域100に内部動作情報を書き込み追記していき、領域の容量がなくなったら最古のものから上書き保存していく。また、制御部15は操作履歴情報を監視カメラ11が操作される度に不揮発性内部メモリ13の操作履歴情報保存領域101に追記してき、領域の容量がなくなったら最古のものから上書き保存していく。
【0018】
そして、現在のカメラの設定値と一つ前のカメラの設定値を設定値が変更されるたびに不揮発性内部メモリ13の現在のカメラの設定値領域102に変更後の全設定値、一つ前のカメラの設定値保存領域103に変更前の全設定値を制御部15の制御により保存する。このように保存することで、保存しておく情報を常に最新の状態にしておくことができる。
【0019】
監視カメラ11がエラーを検知した場合、監視カメラ11が操作された場合、もしくは監視カメラ11の設定値が変更された場合には、不揮発性内部メモリ13から不揮発性外部メモリ12に制御部15の制御により全てのデータを渡すことで、不揮発性外部メモリ12に過去の情報を保持しておくことができる。
【0020】
また、保守システム31は任意の時にネットワーク21経由で、不揮発性内部メモリ13や不揮発性外部メモリ12のデータを取得することができ、解析部33で取得したデータを解析することができる。このことで、常にカメラの最新の情報を任意の時に取得することができデータの解析を行うことができ、不具合の早期発見にも繋げることができる。
【0021】
図2に不揮発性内部メモリ13の構造と保存されているデータ例を示す。不揮発性内部メモリ13内に内部動作情報保存領域100、操作履歴情報保存領域101、現在の設定値保存領域102、一つ前の設定値保存領域103が用意されており、それぞれの領域にデータが保存されている。
【0022】
図3に内部動作情報の保存内容を示し、図4に操作履歴情報の保存内容を示す。内部動作情報は6バイトで構成されており、タスクID110が1バイトであり「00〜FF」まで合計256個タスクを定義でき、前のログとの相対時刻(経過時間)111が1バイト、動作ID112が2バイトで動作内容が定義されているIDが入っている。そして、エラーID113が2バイトとなっておりエラー内容が定義されているIDが入っており、最後に最終更新時刻を実時間(年月日時分秒ミリ秒)で保存する。
【0023】
図4の操作履歴情報は実時間120が17バイトであり、年月日時分秒ミリ秒の形式で実時間を入れている。そして、操作ID121が2バイトとなっており、操作内容が定義されているIDが入っている。現在の設定値と一つ前の設定値は、設定値に対応するIDが決められた順番で保存され、それぞれ最後に更新時刻が年月日時分秒ミリ秒の形式で入る。
【0024】
図2の不揮発性内部メモリ13のデータ例では、それぞれ上から明るさ、コントラスト、色レベル、シャッター速度という順番でIDが入っており、明るさの設定値が変更された場合の例である。
【0025】
また、不揮発性内部メモリ13の構造は任意に変更することができ、二つ前の設定値を保存したい場合には、図5のように二つ前の設定値保存領域104を追加して領域の構造を変更することで実現することができ、さらに追加したい場合には、三つ前や四つ前の設定値保存領域を作成することで実現することが出来る。さらに、内部動作情報保存領域100、操作履歴情報保存領域101、現在の設定値保存領域102、一つ前の設定値保存領域103の構造は必要に応じて変更することができる。このようにすることで、保存したい項目に応じて柔軟に対応することができる。
【0026】
図6は解析部33において、取得した内部動作情報をテキストで表示させた場合の一例を示す。表示の際には、時間130の欄に動作した時刻を最終更新時刻と相対時刻111から計算し年月日時分秒ミリ秒で表示させている。そして、タスク名131にタスクID110の内容、動作内容132に動作ID112の内容、エラー情報133にエラーID113の内容をそれぞれテキスト表示させている。
【0027】
図7には記録されている内部動作情報をグラフで表示させた一例を示す。横軸を経過時刻とし、その時間に動作しているタスクを黒線で表し、一番古いログを0ミリ秒としている。このように視覚化させることで、本来周期的に動作している内部処理が、周期的になっていないなどの異常状態をテキスト表示させた場合よりも容易に見つけることができるため、解析の効率が上がる。
【0028】
図8は解析部33において、記録されている操作履歴情報を表示させた際の一例である。時系列で実時間と共にカメラの操作履歴を表示しており、この例では最初にIPアドレスが変更され、次にSDカードが装着され、最後に明るさの設定が変更されている。そのため、上からIPアドレスを変更した際の履歴、外部メモリが装着された際の履歴、明るさの設定変更を行った履歴が表示さている。
【0029】
図9は解析部33において、現在のカメラの設定値、一つ前のカメラの設定値を表示させた際の一例を示す。それぞれの設定値を一覧表示させており、この例では、明るさの設定値を4から5に変更した際の履歴を示している。また、NOWに現在の設定値、OLDに一つ前の設定値が入っており、NOWに明るさを設定した際の時刻、OLDにIPアドレスを設定した際の時刻がそれぞれ入っている。
【0030】
以上述べたように、本実施例によれば、内部処理の詳細が分かるように、常に不揮発性の内部メモリに内部動作情報が保存され、操作履歴情報をカメラが操作されるたびに、現在のカメラの設定値、一つ前のカメラの設定値等の履歴も保存される。これにより、全ての情報を最新の状態で保持することができる。
【0031】
また、カメラ内部でエラーが発生した場合や、カメラが操作された場合、カメラの設定値が変更された場合には、不揮発性の内部メモリから不揮発性の外部メモリに内部メモリ内のデータ全てが転送され、不揮発性の外部メモリにも保存する。そして、不揮発性内部メモリ・不揮発性外部メモリに保存されているデータは、任意の時にネットワーク経由で取得可能となる。
【0032】
また監視カメラの動作を解析する際には、内部動作情報を表示する際にテキストで時間や動作内容を表示するだけでなく、グラフ化して動作の流れを視覚的に表示することができるので、動作の流れを容易に把握することができ、原因究明、更には不具合を解決するまでの時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0033】
11・・・監視カメラ
21・・・ネットワーク
31・・・保守システム
110・・・タスクID
111・・・相対時刻
112・・・動作ID
113・・・エラーID
120・・・実時間
121・・・操作ID
130・・・時間
131・・・タスク名
132・・・動作内容
133・・・エラー情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性内部メモリと、
前記不揮発性内部メモリに内部動作情報、操作履歴情報、現在のカメラの設定値、一つ前のカメラの設定値を保存する制御部と、
ネットワーク経由で送信された不揮発性内部メモリデータ送信要求を受信して前記制御部に伝え、前記制御部の制御により、前記送信要求してきた機器に対して、前記不揮発性内部メモリのデータを出力する通信部と、を備えた監視カメラにおいて、
前記内部動作情報は、前記不揮発性内部メモリの内部動作情報保存領域に前記制御部が追記し、容量を超えるときには最古の情報から上書きし、
前記操作履歴情報は、カメラが操作された際に前記制御部が前記不揮発性内部メモリの操作履歴情報保存領域に追記し、容量を超えるときには最古の情報から上書きし、
前記現在のカメラの設定値と前記一つ前のカメラの設定値は、カメラの設定値が変更された際に変更後の全設定値を前記不揮発性内部メモリの現在のカメラの設定値保存領域に前記制御部が保存し、変更前の全設定値を前記不揮発性内部メモリの一つ前のカメラの設定値保存領域に保存すること、を特徴とする監視カメラ。
【請求項2】
請求項1記載の監視カメラにおいて、取り外し可能な不揮発性外部メモリを備え、前記監視カメラがエラーを検知したとき、操作されたとき、及び設定値が変更されたときに、前記不揮発性内部メモリに保存されている前記内部動作情報、前記操作履歴情報、前記現在のカメラの設定値情報、及び前記一つ前のカメラの設定値情報を前記不揮発性外部メモリに保存し、前記通信部はネットワーク経由で送信された前記不揮発性外部メモリデータ送信要求を受信して前記制御部に伝え、前記制御部の制御により、前記送信要求してきた機器に対して前記不揮発性外部メモリのデータを送信することを特徴とする監視カメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の監視カメラにおいて、前記不揮発性内部メモリの領域構造を変更可能とし、前記一つ前のカメラの設定値の保存領域の他、二つ前のカメラの設定値保存領域や三つ前のカメラの設定値保存領域を用意し、二つ前のカメラの設定値や三つ前のカメラの設定値を前記不揮発性内部メモリに保存することを特徴とする監視カメラ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3に記載されたいずれかの監視カメラの前記通信部とネットワーク経由で接続され、前記不揮発性内部メモリデータ送信要求や前記不揮発性外部メモリデータ送信要求を送信し、前記不揮発性内部メモリや前記不揮発性外部メモリのデータを受信する通信部と、その取得したデータを解析する解析部を備えた監視カメラシステムにおいて、
前記解析部は、前記内部動作情報、前記操作履歴情報、前記現在のカメラの設定値、および前記一つ前のカメラの設定値を読み込みテキストで時系列に並べて出力することができ、前記内部動作情報に関しては前記テキストでの表示に加えて、内部処理の流れを表すグラフとしても表示することを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−23644(P2012−23644A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161133(P2010−161133)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】