説明

監視システム及び警報器

【課題】確認要求操作を利用者に求めて確認情報を確実に伝えることを可能とする。
【解決手段】監視システムには、環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の住警器が設けられる。住警器10−1の確認要求処理部62は、定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に、確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の住警器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の住警器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知し、利用者の確認要求操作を検知した場合に確認要求情報を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の異状を検知して警報を出力する複数の警報器を相互に連携させた監視システム及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異状を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から火災警報音を出力するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる連動型の住警器システムも提案されている。
【0005】
このような連動型の住警器システムでは、住警器で火災を検知した場合、火災を検知した連動元の住警器は、メッセージと警報音を含む火災警報音、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」を出力し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった連動先を示す火災警報音を出力するようにしている。
【0006】
また、近年、住警器の低消費電力化が推し進められた結果、例えば10年以上といった長期の電池寿命が保証されており、その間、電池交換は不要である。長期間使用して電池寿命に近づき、電池電圧(残り電源容量)の低下した場合にローバッテリー障害か検知され、ローバッテリー障害警報(電池切れ予告警報)を出力して電池交換を促すようにしている。
【0007】
またセンサ部や検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異常、バッテリー異常などの障害が検知された場合は障害警報を出力して対応を促すようにしている。
【0008】
このような障害監視はビルドインテストとしてバックグラウンドで自動実行されており、障害が検知されるとメモリに障害情報が記憶される。このため障害が検知された場合、モリ内の障害情報に基づき例えば所定周期毎に障害警報を出力するようにしている。
【0009】
また通常監視状態で利用者が点検スイッチ操作を行うと、メモリに障害情報が記憶されている場合は障害警報が出力され、メモリに障害警報が記憶されていない場合は正常を示す情報が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3895646号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように従来の住警器にあっては、障害を検知した場合に障害情報等を障害警報として出力して報知するようにしているが、これとは別に、動作開始から10年以上にも及ぶ長期間動作している間には、住警器を適切に維持管理するために利用者に知らせたい様々な情報、例えば動作開始からの経過期間や電池切れまでの予測期間などがある。
【0012】
このように住警器から利用者に必要な情報を知らせたい場合、例えば動作開始からの経過期間であれば、所定の動作期間の到来を検知した場合に例えば「3年目です」「5年目です」等の情報を音声メッセージとして出力させることができる。
【0013】
しかしながら、期間到来などに基づき住警器から一方的に情報を出力させる方法は、情報を出力した場合に利用者が不在であれば情報が伝わらず、また夜間などの就寝中にこのような情報を発音出力することは安眠妨害になることもある。もちろん、人感センサを設けて人の存在を検知した場合に情報を出力するようにしたり、時計情報を生成又は取得して夜間の時間帯での情報出力を禁止するようにする方法も考えられるが、住警器のコスト上昇を招き実用的ではない。
【0014】
このような問題は連動型の住警器のみならず、連動機能をもたないスタンドアローン型の住警器についても同様である。
【0015】
本発明は、確認情報要求操作を利用者に求めて確認情報を確実に伝えることを可能とする警報器及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(警報器A)
本発明の基本は、環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、定期的に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報を報知する処理部を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の別の形態にあっては、環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明の別の形態にあっては、環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0019】
ここで、確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知する。
【0020】
確認情報として動作開始からの経過期間を報知する。
【0021】
確認情報として電池切れまでの予測期間を報知する。
【0022】
確認情報として設置案内情報を報知する。
【0023】
確認情報として事象発生の履歴情報を報知する。
【0024】
確認情報として異状以外の環境変化情報を報知する。
【0025】
確認情報とし清掃点検の案内情報を報知する。
【0026】
(監視システムA)
本発明の基本は、環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
複数の警報器は、定期的に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報を連動報知することを特徴とする。
【0027】
本発明は、環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
複数の警報器の各々に、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0028】
ここで、確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知する。
【0029】
確認要求情報として動作開始からの経過期間を報知する。
【0030】
確認情報として電池切れまでの予測期間を報知する。
【0031】
確認情報として設置案内情報を報知する。
【0032】
確認情報として事象発生の履歴情報を報知する。
【0033】
確認情報として異状以外の環境変化情報を報知する。
【0034】
確認情報とし清掃点検の案内情報を報知する。
【0035】
(警報器B)
本発明の別の形態にあっては、
環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする警報器。
【0036】
また本発明の別の形態にあっては、
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする。
【0037】
本発明による警報器のそれ以外の特徴は前述した警報器Aの場合と基本的に同じになる。
【0038】
(監視システムB)
本発明は、環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
複数の警報器の各々に、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする。
【0039】
本発明による警報システムのそれ以外の特徴は前述した警報システムAの場合と基本的に同じになる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の監視システムによれば、それを構成する警報器において定期的または非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に利用者に確認要求操作を求める確認要求情報が例えば表示報知され、この報知に気付いた利用者が確認要求操作を行うことで確認すべき情報(確認情報)を例えば発音により出力し、確認要求操作を行った利用者に確認情報を直接認識させることができる。
【0041】
このため利用者が不在の場合や就寝中などの不適切な時機に利用者に確認情報が出力されることがなく、利用者がいる場合、つまり利用者が警報器に対峙して確認要求操作したときに確認情報を確実に知らせることができる。
【0042】
また警報器同士が通信により連動する連動型監視システムの警報器にあっては、複数の警報器のうちいずれかで確認要求時機の到来が検知されると、他の警報器に確認要求を示す連動信号が送信されて確認要求情報の報知が行われ、この報知に気付いた利用者が確認要求操作を行うことで確認情報を出力し、同様に確認要求操作を行った利用者に確認情報を直接認識させることができる。
【0043】
また確認要求情報の報知に対して所定の待ち時間を経過しても確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求までの定期的または非定期的な期間を前回より短縮することで、次に到来する確認要求時機を早めて確認要求情報を報知し、確認要求情報を出力するまでの期間が長くなり過ぎないようにして、利用者が確認すべき情報を確認しないまま長期間が経過することを避けることができる。
【0044】
ここで、確認要求までの定期的な期間を前回より短縮するとは、第1の期間経過で確認要求時機が到来して確認要求が行われ、操作がないために所定時間後にタイムアウトし、第1の期間よりも短い第2の期間経過で再度確認要求時期が到来して確認要求が行われ、操作がないために所定時間後にタイムアウトし、というように繰り返すことを意味する。なお、期間の短縮には限度を定め、操作があれば、その時点から第1の時間経過による定期の確認要求サイクルに復帰する。
【0045】
また、確認要求までの非定期的な期間を前回より短縮するとは、確認要求時機が到来して確認要求が行われ、操作がないために所定時間後にタイムアウトし、第1所定時間後に再度確認要求が行われ、操作がないために所定時間後にタイムアウトし、第1の所定時間よりも短い第2の所定時間後に再度確認要求が行われ、操作がないために所定時間後にタイムアウトし、というように繰り返すことを意味する。この場合にも期間の短縮には限度を定め、操作があれば、その時点から非定期な確認要求サイクルに復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の連動型の住警器による監視システムを設置した住宅を示した説明図
【図2】図1の住警器の外観を示した説明図
【図3】本発明による連動型の住警器の実施形態を示したブロック図
【図4】図3の実施形態で使用する連動信号のフォーマットを示した説明図
【図5】図3の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図6】図5のステップS11における確認要求処理の詳細を示したフローチャート
【図7】本発明によるスタンドアローン型の住警器の実施形態を示したブロック図
【図8】図7の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図9】図8のステップS48における確認要求処理の詳細を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は住宅に対する本発明による連動型の住警器を用いた監視システムの設置状態例を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室のそれぞれの監視領域に、火災を検知して連動警報する無線連動型の住警器(住宅用火災警報器)10−1〜10−6が設置されている。以下、住警器10−1〜10−6をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という。
【0048】
住警器10は、連動信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生有無の監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器10−1が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0049】
住警器10−1が発報する場合、住警器10−1は連動元として機能し、連動元としての警報動作を行うと共に、連動先となる他の住警器10−2〜10−6に対し火災連動信号を送信する。他の住警器10−2〜10−6は、連動元の住警器10−1からの火災連動信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示とにより連動先としての警報動作を行う。
【0050】
ここで、住警器10は、受信した連動信号に含まれるグループ符号が自己のメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、この連動信号を有効受信したことを検知するようにしている。また住警器10から送信する連動信号には、送信元の住警器を示す識別情報として例えばシリアル番号等を利用した送信元符号が含まれている。この送信元符号も、グループ符号と同様にそれぞれのメモリに記憶されている。さらに、連動信号を有効受信した住警器10は必要に応じて連動信号の中継送信を行う。
【0051】
連動元となった住警器10−1の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
【0052】
また連動元となった住警器10−1の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
【0053】
図2は本発明による無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0054】
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が検煙部16に流入して所定濃度に達したときに火災を検知するようにしている。検煙部16としては、散乱光式の煙検知器等の検煙機構が適用できる。
【0055】
カバー12の左下側には複数の音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0056】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーを押圧操作すると、内部のプッシュスイッチ(図示せず)が押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、警報等の表示を行うLED22が配置されている。
【0057】
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0058】
なお、図2の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式住警器を例に取っているが、これ以外に火災に伴い発生する熱に基づいて火災を検知するサーミスタ等の温度検知素子を備えた住警器や火災に伴うその他の環境変化を検知する住警器、火災以外にガス漏れを検知する警報器、侵入者や地震その他の異状を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。そして、本発明の警報システムは、これら各種の警報器を混在させて構成しても良い。
【0059】
図3は本発明による住警器の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。また図3では、台所に設置した住警器10−1について示しているが、本実施形態の監視システムでは他の住警器10−2〜10−6についても同様の構成となる。
【0060】
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、メモリ32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0061】
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−6との間で連動信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0062】
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0063】
メモリ32には、連動信号の生成順或いは送信順番を示す連続番号である連番48、各住警器を特定する住警器識別情報となる例えばシリアル番号等を利用した送信元符号50、図1のように住宅に設置した各住警器10で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。
【0064】
センサ部34には、散乱光式の煙検知原理によって煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。即ちセンサ部34は、異状(火災)に伴う監視領域の環境変化として煙発生状況を観測するものである。
【0065】
報知部36には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ56と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、自己が保持している各種のデータ等に基づいて音声メッセージや警報音や確認情報等を出力する。スピーカ56を駆動するための音声合成部及び増幅部は図示を省略している。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異状、障害、確認要求表示を含むその他を表示する。LED22の駆動回路についても図示を省略する。
【0066】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられ、警報停止スイッチ20は住警器10の機能の自己点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。例えば、一連の火災警報出力中(火災警報を間欠的に出力する場合には、間欠周期毎の出力休止期間を含む)に警報停止スイッチ20が操作されると火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能点検を実施して結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。更に警報停止スイッチ20は、報知部36から利用者に確認要求操作を求める確認要求情報の報知が行われた場合、確認要求スイッチとして機能する。
【0067】
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、必要各部へ電源を供給する。電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0068】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、監視処理部60、確認要求処理62の機能が設けられる。
【0069】
監視処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力に基づく火災の有無、操作部38による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、確認要求指示入力の有無、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧の有無、障害検知部66からの検出信号によるセンサ障害やローバッテリー障害有無等の事象を検知する。また監視処理部60は受信部(アンテナ31及び受信回路44)を介して他の住警器10−2〜10−6から受信した連動信号の解読結果として得られた連動信号有効受信の有無およびその連動内容を検知する。
【0070】
また監視処理部60は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づき火災を検知した場合に、報知部36に対しスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す警報表示を行わせる制御を行い、更に、送信回路42を介して火災連動信号をアンテナ31から他の住警器10−2〜10−6に向けて送信させる。なお、送信回路42とアンテナ31を合わせて送信部という。
【0071】
また監視処理部60は、無線通信部30の受信回路44を介して他の住警器10−2〜10−6の何れかから火災連動信号を有効受信したことを検知した場合に、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させ、同時にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせる。
【0072】
また監視処理部60は、連動元を示す火災警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止させる。なお、連動元を示す火災警報音の出力中に他の住警器10−2〜10−6の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、火災警報は停止せずに連動元が分かるようにする。つまり、連動元である場合には、自己の操作部38に設けた警報停止スイッチの警報停止操作によってしか警報停止しないようにしている。
【0073】
また監視処理部60は、連動先を示す警報音の出力中に自己の警報停止スイッチ20の操作又は他の住警器10−2〜10−6の何れかからの警報停止連動信号の有効受信を検知した場合、報知部36を制御してスピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止させる。
【0074】
また監視処理部60には、電池電源40の電源電圧が所定レベル未満となるローバッテリー障害の監視機能が設けられ、ビルトインテストとしてバックグラウンドで自動実行されている。
【0075】
具体的には、ローバッテリー障害監視は、所定の測定時間間隔、例えば4時間間隔で電池電源40から供給される電池電圧を図示しない電圧監視回路を介して読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の時にローバッテリー障害を予備判定し、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0076】
また監視処理部60には、センサ部34の障害を監視するセンサ障害監視機能が設けられ、同じくビルトインテストとしてバックグラウンドで自動実行されている。具体的には、センサ障害監視は、所定の測定時間間隔、例えば1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検知信号を読み込んでメモリ32に保持し、所定の時間間隔、例えば10分毎に、メモリ32に保持している直近10分間ぶんの検知データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(検煙部16に煙の流入が無い状態の検出信号レベルであり、零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定して検知し、センサ障害フラグをセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0077】
また監視処理部60は、通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にローバッテリー障害フラグ又はセンサ障害フラグがセット記憶されていることを検知した場合には、報知部36からローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させ、更に、ローバッテリー障害連動信号又はセンサ障害連動信号を他の住警器10−2〜10−6に送信して障害連動先を示すローバッテリー障害警報又はセンサ障害警報を出力させる。
【0078】
また監視処理部60は、検煙部16からの検出信号出力に基づく火災検知、操作部38による警報停止入力や点検指示入力、検煙部16からの検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧等、ローバッテリー障害やセンサ障害等の自己の事象を検知した場合に、検知した事象内容を示す連動信号を、無線通信部30の送信回路42、アンテナ31を介して連動先の住警器10−2〜10−6に送信する。監視処理部60は他の住警器10−2〜10−6から有効受信した連動信号を、必要に応じて中継送信する。
【0079】
中継送信を行う主な目的は、通信距離が長い場合や通信路に遮蔽物が介在する場合等、例えば住警器10−1から他の住警器10−3に対して連動信号が直接届かないような通信環境である場合に、住警器10−1からの連動信号を受信出来た住警器10−6がこれを中継送信することにより住警器10−3に連動信号を受信させることで通信を補完することにある。このような中継機能による通信補完は、1つの連動グループ、例えば住宅24に3台以上の住警器が設置されている場合に役立つ。
【0080】
また監視処理部60は、他の住警器10−2〜10−6からの連動信号を、アンテナ31、無線通信部30の受信回路44を介して受信し解読する。また監視処理部60は、連動信号を他の住警器10−2〜10−6に送信したことに伴い、他の住警器10−2〜10−6から連動信号を正常に受信したことを示す確認応答信号(以下「ACK信号」と云う)が有効受信されるか否か監視している。
【0081】
他の住警器10のうち、ACK信号が受信されないものを検知した場合、住警器10−1はACK信号が受信された他の住警器に対し中継要求符号を含む連動信号を送信し、中継要求符号を含む連動信号を受信した住警器からAKC信号未応答の他の住警器へ中継要求符号を含む連動信号を中継送信させる。中継要求有りの連動信号を有効受信したAKC信号未応答の他の住警器は中継要求符号を含む連動信号有効受信についてACK信号を返信し、このACK信号が他の住警器の中継(返信の中継送信)を経て連動元の住警器10−1で受信される。これによってもACK信号が受信されない住警器がある場合には、通信障害等と判定し、所定の報知処理や連動処理、後述する連携処理等を行う。
【0082】
確認要求処理部62は、所定の確認情報について予め定めた定期的または非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に、利用者に対し確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の住警器10−2〜10−6に確認要求連動信号を送信し、一方、他の住警器10−2〜10−6から確認要連動信号を受信した場合は、利用者に対し確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に、確認要求時機の到来後に操作部38の警報停止スイッチ20による有効な確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる。
【0083】
確認要求処理部62による利用者に確認要求操作を求める確認要求情報の報知は、報知部36に設けたLED22を点灯、点滅又は明滅して行う。確認要求情報を報知は報知部36のスピーカ56から報知音を出力することも可能であるが、就寝中に報知音を出すと安眠を妨げることもあり得るからLED22のみの表示駆動が好ましいが、低音量の出力とする、或いは長周期の間欠出力とする等して発音報知することも排除しない。例えばスピーカ56から「ピッ」といった報知音を、安眠をさまたげない程度に音量を小さくして間欠的に出力させる。
【0084】
また確認要求情報の報知は利用者による確認要求操作を促すものであることから、所定時間、例えば24時間のあいだ、例えば1時間置きにLED22を例えば10秒間程度表示駆動するような動作を繰り返す。このようにLED22を表示駆動して確認要求報知を継続する期間は、利用者が確認操作を行うまでの待ち時間(操作受付待機時間)を意味する。
【0085】
また確認要求処理部62は、LED22の表示駆動により確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間、例えば24時間を経過しても操作部38の警報停止スイッチ20による確認要求操作を検知しない場合、タイムアウトして操作受付待機状態から通常状態へ復帰する。そして次の確認要求までの期間を前回より短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を監視する。これによって、不在などにより確認情報が利用者に知らされなかったとしても、前回よりも短期間の後に再度情報確認を促し、利用者が確認すべき情報を確認しないままでいる期間をできるだけ短くする。
【0086】
本実施形態において利用者に確認要求を求める確認情報としては例えば次のものがある。
【0087】
(1)動作開始からの経過期間(定期的)
動作開始から1年経過毎に期間を算出し、「1年目になります」、「2年目になります」、・・・・「10年目になります」といった経過期間情報を報知する。(定期的)
【0088】
(2)電池切れまでの予測期間(非定期的)
動作開始から電池切れまでの予測期間が所定期間、例えば1年に到達した場合に、「あと約1年で電池の交換時期となります」といった電池切れ予測情報を報知する。その後は例えば所定月数を経過する毎に「あと約6ケ月年で電池の交換時期となります」、「あと約3ケ月で電池の交換時期となります」といった電池切れ予測情報を報知する。
【0089】
電圧監視回路の定期的な電圧検出結果に基づいてローバッテリー障害または電池切れまでの動作可能残り期間を算出する等し、算出結果に基づいて動作可能残り期間を報知するようにしても良い。またこのような算出処理の代わりに、複数の電圧閾値を設けて検出電圧と比較し、閾値間隔毎に動作可能残り期間(これに対応する音声データのID)を対応させたテーブルに基づいて動作可能残り期間を報知するようにすることもできる。例えば、検出電圧がXボルトからYボルトの範囲であれば、テーブルから動作可能残り期間はZ年となり、これに対応する音声データを報知するといった処理になる。
【0090】
(3)設置案内情報(非定期的)
住警器の使用を開始するために例えば電池と端子の間に挟み込んで端部を外部に取り出している絶縁シールを引き抜いて電源を投入した場合、電源投入から所定時間のあいだ、警報停止スイッチの確認操作に応じ「壁面の高所に取付けてください」等の設置案内情報を報知する。
【0091】
(4)事象発生の履歴情報(非定期的)
事象が発生した場合やセンサ部の感度補正等を行った場合にそれを事情発生履歴情報として記憶し、利用者に報知する。なお、センサ障害、ローバッテリー障害、故障その他の障害情報をこの事象発生の履歴情報に含めても良い。
【0092】
(5)異状以外の環境変化情報(非定期的)
センサ部36に温度検出素子を設けている場合、火災以外の環境変化の観測、例えば室温の変化を観測し、例えば「環境温度が使用可能範囲を超えています」といった環境変化情報を利用者に報知する。なお、温度変化に基づく環境温度の場合、火災に伴う温度上昇と誤認しないように、比較的長期の移動平均等に基づいて行う。もちろん、センサ部とは別に温度検出部を設けたものでも同様に実施できる。
【0093】
(6)清掃案内情報(定期的)
センサ部36に検煙部16を設けている場合、動作開始から所定期間、例えば3年を経過する毎に「煙流入口を点検し、ほこりを取り除いてください」といった清掃案内情報を利用者に報知する。
【0094】
なお、利用者に確認要求を求める確認情報はこれ以外にも必要に応じて利用者に伝えたい適宜の情報を設定することができる。また上記各情報の付加情報として必要に応じ、対応の問い合わせ先であるメーカー名や販売店名、連絡先、機種名、製造番号、ロット番号等適宜の情報をあわせて報知するようにしても良い。
【0095】
図4は本実施形態で連動警報に使用する連動信号のフォーマットを概略的に示した説明図である。図4において、連動信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及び事象符号54で構成されている。なお、中継送信する連動信号に対しては、連動元の送信元符号と、中継送信元としての自己の送信元符号の両方を付加する。
【0096】
ここで、イベント符号54は、火災などの事象内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ACK
0011=警報停止
0100=復旧
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
0111=確認要求
としている。
【0097】
なお、先述した中継要求符号はここでは省略しているが、ビット数を増やすことで、当然これも事象符号に追加することができる。或いは、中継要求符号は例えば「1111」に割り当てることもできる。また中継送信する連動信号には、送信元(連動元)の住警器を示すIDと中継を行う住警器のIDの両方を付加する。更に、送信先を指定するIDを付加しても良い。また、その他例えば「0000」を定期的な通信確認用に割り当てても良い。もちろん、ビット数を増やすことで更に多くの事象符号を割り当てることができる。
【0098】
図5は図3に示した住警器の監視処理の概略例を示したフローチャートである。図5において、住警器10の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、送受信モードの設定を含む各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS22に進み、火災検知の有無を判別している。ステップS1で初期化異常があった場合にはその旨を報知して動作を停止するか、或いは再度ステップS1の処理を行うようにしているが(この場合も所定回数連続して初期化異常となったときにはその旨を報知して動作を停止する)、図示を省略している。
【0099】
ステップS2において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災が検知されてステップS3に進み、火災連動信号を他の住警器に無線送信すると共に、報知部36のスピーカ56から音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する(連動元としての警報動作)。
【0100】
続いて、ステップS4で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の検知有無を判別しており、火災復旧を検知するとステップS5で火災復旧連動信号を他の住警器に送信すると共に、スピーカ56からの警報音とLED22の点灯による連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0101】
続いてステップS6で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の検知有無を判別し、警報停止指示操作が検知されるとステップS7に進んで警報停止連動信号を他の住警器に送信し、スピーカ56からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止からは所定時間経過後に消灯しても良い。
【0102】
続いてステップS8に進み、他の住警器から送信または中継送信された火災連動信号有効受信の検知有無を判別している。他の住警器からの火災連動信号の有効受信を検知すると、ステップS9に進んで連動先を示す火災警報として自己のスピーカ56から警報音を出力し、例えばLED22の点滅による警報表示を行う(連動先としての警報動作)。
【0103】
次にステップS10で他の住警器から送信または中継送信された火災復旧連動信号有効受信の有無を検知しており、火災復旧連動信号の有効受信を検知すると、ステップS11に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音出力とLED22の点滅による警報表示を停止する。
【0104】
次にステップS12で他の住警器から送信または中継送信された警報停止連動信号有効受信の検知有無を判別しており、警報停止連動信号の有効受信を検知すると、ステップS13に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止させる。続いてステップS14に進み、確認要求処理を実行する。
【0105】
ここで、図5のフローチャートでは、他の住警器からローバッテリー障害またはセンサ障害を示す事象信号を受信した場合の処理は省略しているが、他の住警器からローバッテリー障害またはセンサ障害を示す事象信号の有効受信を検知した場合、連動先を示すローバッテリー障害警報またはセンサ障害警報を警報音と警報表示とで行う。
【0106】
図6は図5のステップS14におる確認要求処理の概略を一例として示したフローチャートである。図6において、確認要求処理はステップS21で、例えば前述の(1)〜(6)に示した確認情報について予め設定された期間などに基づく確認要求時機到来の検知有無を判別しており、確認要求時機到来検知を判別するとステップS22に進み、他の住警器10−2〜10−6に対し確認要求連動信号を送信する。
【0107】
続いてステップS23で確認要求操作を利用者に求めるための確認要求の報知を、例えば報知部36に設けたLED22を所定時間点滅して行う。ここでは継続的な点滅ではなく間欠発光としても良い。続いてステップS24で所定の待ち時間、例えば24時間の経過の検知有無を判別し、待ち時間が経過していない場合はステップS25に進んで、操作部38に設けた警報停止スイッチ20の操作による確認要求操作の検知有無を判別している。
【0108】
ステップS24で待ち時間の経過を検知する前にステップS25で利用者の確認要求操作を検知するとステップS26に進み、対応する確認情報、例えば動作開始からの経過期間として「3年目になります」といった音声メッセージを操作部36のスピーカ56から出力させる。
【0109】
一方、ステップS25で確認操作要求を検知することなくステップS24で待ち時間の経過を検知した場合はステップS28に進み、次の確認要求時機までの期間を必要に応じて短縮する。図示を省略しているが、この短縮には限度を定めており、例えば確認要求処理を繰り返すことで連続して短縮する場合には、所定回数連続したときにはステップS28をパスして、それ以上の短縮を行わない。
【0110】
例えば、動作開始からの経過期間などのように1年毎に定期的に知らせたい確認情報の場合は、次の確認要求時機までの期間を1年から例えば6ケ月に短縮する。このような期間短縮を行った場合の確認情報は、例えば動作開始からの経過期間「3年目になります」について確認要求操作が検知されずに次の期間1年を6ケ月に短縮した場合、「3年半になります」といった確認情報を報知する。なお、期間を短縮しても確認情報は変更せずに「3年目になります」を報知しても良い。またステップS28の期間短縮処理は必ずしも行う必要はなく、期間を短縮せずに次の確認要求時機の到来を検知しても良い。
【0111】
ステップS26又はS28の処理が済むとステップS27に進み、次の確認要求までの期間のカウントを開始する。
【0112】
続いてステップS29で他の住警器10−2〜10−6からの確認要求連動信号の有効受信の有検知無を判別しており、確認要求連動信号の有効受信を検知するとステップS30に進み、確認要求操作を利用者に求めるための確認要求の報知を、例えば報知部36に設けたLED22を所定時間点滅して行う。継続的な点滅ではなくデューティ比を抑えた間欠発光としても良い。続いてステップS31で所定の待ち時間経過検知の有無を判別しており、待ち時間の経過を検知しない場合はステップS32に進んで、操作部38に設けた警報停止スイッチ20の操作による確認要求操作の検知有無を判別する。
【0113】
ステップS31で待ち時間の経過を検知する前にステップS32で利用者の確認要求操作を検知するとステップS33に進み、対応する確認情報を操作部36のスピーカ56から出力させた後、ステップS34に進んで、短縮をリセットし、次の確認要求までの期間(最初に設定されている期間)のカウントを開始する。
【0114】
一方、ステップS32で確認操作要求を検知することなくステップS31で待ち時間の経過を検知した場合は図5のメインルーチンにリターンする。
【0115】
図7は本発明による他の実施形態としての住警器の要部構成を示したブロック図であり、無線連動を行わない所謂スタンドアローン型の住警器を対象としている。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。図3の実施形態から無線通信機能(即ち連動機能)に係る構成を削除した点が異なる。また本実施形態では移報部130を設けているが、これは図3の実施形態にも追加することができる。これに伴い、プロセッサ128の監視処理部160は、図3のプロセッサ28に設けた監視処理部60による連動処理機能を備えず、移報部130の制御機能を備える。その他図3と略同じ機能構成については、図3に使用したものと同じ符号を付している。
【0116】
移報部130は監視処理部160が検煙部16からの検出信号に基づいて火災を検知した場合に、監視処理部160の指示により他の機器に無電圧接点開閉信号として移報信号を出力する。
【0117】
図8は図7に示した住警器の監視処理の概略例を示したフローチャートである。図8において、住警器100の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS41で初期化、自己診断を含む各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS42に進み、火災検知の有無を検知している。ステップS41で初期化異常があった場合にはその旨を報知して動作を停止するか、或いは再度ステップS41の処理を行うようにしているが(この場合も所定回数連続して初期化異常となったときにはその旨を報知して動作を停止する)、図示を省略している。
【0118】
ステップS42において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えると火災が検知されてステップS43に進み、報知部36のスピーカ56から音声メッセージ等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより火災警報を出力する。
【0119】
続いて、ステップS44で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の検知有無を判別しており、火災復旧を検知するとステップS45でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0120】
続いてステップS46で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の検知有無を判別し、警報停止指示操作が検知されるとステップS7に進んでスピーカ56から警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止からは所定時間経過後に消灯しても良い。続いてステップS48に進み、確認要求処理を実行する。
【0121】
図9は図8のステップS48における確認要求処理の詳細を示したフローチャートである。図9において、確認要求処理はステップS51で、例えば前述の(1)〜(6)に示した確認情報について予め設定された期間などに基づく確認要求時機到来の有無を検知しており、確認要求時機到来を検知するとステップS52に進み、確認要求操作を利用者に求めるための確認要求の報知を、例えば報知部136に設けたLED122を所定時間点滅して行う。継続的な点滅ではなくデューティ比を抑えた間欠発光としても良い。
【0122】
続いてステップS53で所定の待ち時間、例えば24時間の経過の検知有無を判別し、待ち時間の経過を検知しない場合はステップS54に進んで、操作部138に設けた警報停止スイッチ120の操作による確認要求操作の検知有無を判別している。
【0123】
ステップS53で待ち時間の経過を検知する前にステップS54で利用者の確認要求操作を検知するとステップS55に進み、対応する確認情報、例えば動作開始からの経過期間として「3年目になります」といった音声メッセージを操作部136のスピーカ156から出力させる。
【0124】
一方、ステップS54で確認操作要求を検知することなくステップS53で待ち時間の経過を検知した場合はステップS57に進み、次の確認要求時機までの期間を必要に応じて短縮する。短縮方法の詳細は、図3に実施形態における図6の処理で説明したのと同様となる。
【0125】
ステップS55又はS57の処理が済むとステップS56に進み、短縮をリセットし、次の確認要求までの期間(最初に設定されている期間)のカウントを開始して図8のメインルーチンにリターンする。
【0126】
なお、上記の実施形態は火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0127】
また、警報器の連動は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
【0128】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチとして示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。
【0129】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入したりする等ができる。
【0130】
また、上記実施の形態で示した住警器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0131】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0132】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0133】
10,10−1〜10−6,100:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20,120:警報停止スイッチ
22,122:LED
24:住宅
28,128:プロセッサ
31:アンテナ
30:無線通信部
32,132:メモリ
34,134:センサ部
36,136:報知部
38,138:操作部
40,140:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:連動信号
48:連番
50:送信元符号
52:グループ符号
54:事象符号
56:スピーカ
60,160:監視処理部
62:確認要求処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、
定期的に確認要求操作を求める確認要求情報を報知する処理部を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項3】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認情報として動作開始からの経過期間を報知することを特徴とする警報器。
【請求項6】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認情報として電池切れまでの予測期間を報知することを特徴とする警報器。
【請求項7】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認情報とし設置案内情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項8】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認情報とし事象発生の履歴情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項9】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認情報とし前記異状以外の環境変化情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項10】
請求項2又は3記載の警報器に於いて、前記確認要求情報とし清掃点検の案内情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項11】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記複数の警報器は、定期的または非定期的に確認要求操作を求める確認要求情報を連動報知することを特徴とする監視システム。
【請求項12】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記複数の警報器の各々に、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設けたことを特徴とする監視システム。
【請求項13】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする監視システム。
【請求項14】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報として動作開始からの経過期間を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項15】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報として電池切れまでの予測期間を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項16】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし設置案内情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項17】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし事象発生の履歴情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項18】
請求項12記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし前記異状以外の環境変化情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項19】
請求項12記載の警報システムに於いて、前記確認要求情報とし清掃点検の案内情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項20】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
前記確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする警報器。
【請求項21】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
前記確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする警報器。
【請求項22】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認情報として動作開始からの経過期間を報知することを特徴とする警報器。
【請求項23】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認情報として電池切れまでの予測期間を報知することを特徴とする警報器。
【請求項24】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認情報とし設置案内情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項25】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認情報とし事象発生の履歴情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項26】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認情報とし前記異状以外の環境変化情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項27】
請求項20又は21記載の警報器に於いて、前記確認要求情報とし清掃点検の案内情報を報知することを特徴とする警報器。
【請求項28】
環境変化を観測して監視領域の異状を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記複数の警報器の各々に、
確認要求操作をはじめとする所定の操作を行う操作部と、
非定期的な確認要求時機の到来を検知した場合に確認要求操作を求める確認要求情報を報知させると共に他の警報器に確認要求を示す連動信号を送信し、一方、他の警報器から確認要求を示す連動信号を受信した場合は確認要求操作を求める確認要求情報を報知させ、更に前記操作部による確認要求操作を検知した場合に確認情報を報知させる確認要求処理部と、
を設け、
前記確認要求処理部は、確認要求情報を報知した場合、所定の待ち時間が経過しても前記操作部による確認要求操作を検知しない場合、次の確認要求時機までの期間を短い所定の期間に変更して次の確認要求時機の到来を検知することを特徴とする監視システム。
【請求項29】
請求項28記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報として動作開始からの経過期間を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項30】
請求項28記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報として電池切れまでの予測期間を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項31】
請求項28記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし設置案内情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項32】
請求項28記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし事象発生の履歴情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項33】
請求項28記載の監視システムに於いて、前記確認要求情報とし前記異状以外の環境変化情報を報知することを特徴とする警報システム。
【請求項34】
請求項28記載の警報システムに於いて、前記確認要求情報とし清掃点検の案内情報を報知することを特徴とする警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−37427(P2013−37427A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170938(P2011−170938)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】