説明

直播栽培用種子シート及び直播栽培方法

【課題】 直播栽培法において、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減する。
【解決手段】 本発明に係る直播栽培用種子シート1は、孔部11が形成された遮光性シート部材10と、孔部11に配設され、内部に種子30を保持する種子保持手段20と、を備える。遮光性シート部材10は、生分解性の材料により形成されている。また、種子保持手段20は、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されている。そして、直播栽培において、直播栽培用種子シート1を落水された圃地に敷設して、直播栽培用種子シート1が敷設された圃地に入水する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を圃地に直接蒔く水稲の栽培方法である直播栽培法に用いる直播栽培用種子シート及び直播栽培用樹脂シートを用いた直播栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、稲の栽培方法として、育苗した水稲の苗を圃地(水田)に植え付ける移植栽培法が知られている。しかしながら、移植栽培法では、育苗作業及び田植え作業が必要となるため、労力及び生産コストが過大となる。
そこで、近年、種子(種籾)を水田に直接蒔く水稲の栽培方法である直播栽培法の開発が進んでいる(特許文献1、2参照)。直播栽培法によれば、育苗作業及び田植え作業が不要となるため、労力及び生産コストを低減することができ、労働ピークを分散することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−239635号公報
【特許文献2】特開平11−18514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の直播栽培法では、種子が発芽する時期と雑草が発生する時期とが同時期となるため、除草剤等の農薬の使用が不可欠となり、稲において薬害が発生する恐れがある。
また、従来の直播栽培法では、直播された種子が圃地の表面に露出し易いため、種子が鳥に食べられる鳥害を避けることが困難である。
さらに、従来の直播栽培法では、大型機械(直播機)により種子を水田に蒔くため、区画整備がなされていない圃地における直播作業が困難となり、また、高価な大型機械を使用するため、生産コストが増加する。
本発明の課題は、直播栽培法において、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、第一の発明に係る直播栽培用種子シートは、孔部が形成された遮光性シート部材と、前記孔部に配設され、内部に種子を保持する種子保持手段と、を備え、前記遮光性シート部材は、生分解性の材料により形成され、前記種子保持手段は、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されていることを特徴とする。
第一の発明に係る直播栽培用種子シートでは、種子が遮光性シート部材の孔部に保持されている。これによって、直播栽培用種子シートを圃地に敷設することで、播種作業を完了することができる。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、高価な大型機械(直播機)が不要となり、生産コストを低減することが可能となる。また、区画整備がなされていない圃地においても、播種を効率的に行うことが可能となる。
【0006】
特に、第一の発明に係る直播栽培用種子シートでは、種子が遮光性シート部材の孔部に配設されている。これによって、直播栽培用種子シートが圃地に敷設された際に、遮光性シート部材が太陽光の透過を抑制して、圃地のうち遮光性シート部材に覆われた領域における雑草の発生(生育)を抑制することが可能となる。一方、種子が遮光性シート部材の孔部に配設されているため、遮光性シート部材によって種子の発芽及び苗の育成が阻害されることはない。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、除草剤等の農薬の使用を抑制することが可能となり、稲において薬害が発生することを抑制することが可能となる。
また、圃地に敷設された直播栽培用種子シートでは、遮光性シート部材が、圃地を保温する。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、冷涼、湿潤な気象条件下でも、種子の発芽及び苗の育成を安定させることが可能となる。
【0007】
また、第一の発明に係る直播栽培用種子シートでは、遮光性シート部材が、生分解性の材料により形成されている。これによって、圃地に敷設された直播栽培用種子シートは、土壌中の微生物により水と二酸化炭素とに分解される。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、遮光性シート部材の回収作業が不要となり、労力を軽減することが可能となるとともに、環境保全に寄与することが可能となる。
また、第一の発明に係る直播栽培用種子シートでは、種子が、種子保持手段の内部に保持されている。これによって、直播栽培用種子シートが圃地に敷設された際に、種子が露出することがない。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、種子が鳥に食べられる鳥害を避けることが可能となる。
さらに、第一の発明に係る直播栽培用種子シートでは、種子を保持する保持手段が、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されている。これによって、直播栽培用種子シートが圃地に敷設された際に、圃地の水分により保持手段が溶解又は分散されて、種子が圃地に付着する。したがって、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、播種をより確実に行うことが可能となる。
以上のように、第一の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減することが可能となる。
【0008】
第二の発明に係る直播栽培用種子シートは、第一の発明に係る直播栽培用種子シートにおいて、前記種子保持手段は、積層された複数枚のシート材からなり、該複数枚のシート材の間に前記種子を保持することを特徴とする。
第二の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、簡易な構成で保持手段を形成することが可能となる。
【0009】
第三の発明に係る直播栽培用種子シートは、第一又は第二の発明に係る直播栽培用種子シートにおいて、前記遮光性シート部材には、所定間隔で複数の前記孔部が形成され、前記複数の孔部のそれぞれに、前記種子保持手段が配設されていることを特徴とする。
第三の発明に係る直播栽培用種子シートによれば、直播栽培用種子シートを圃地に敷設することで、適切な間隔による播種を行うことが可能となる。
【0010】
第四の発明に係る直播栽培方法は、第一乃至第三のうちいずれか一の発明に係る直播栽培用種子シートを、落水された圃地に敷設する工程と、前記直播栽培用種子シートが敷設された圃地に入水する工程と、を有することを特徴とする。
第四の発明に係る直播栽培方法によれば、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る直播栽培用種子シートの平面図である。
【図2】図1に示すA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1に示す直播栽培用種子シートが備える遮光性シート部材の平面図である。
【図4】変形例に係る直播栽培用種子シートが備える種子保持シート部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る直播栽培用種子シート1は、水稲の直播栽培に用いるものである。
【0014】
(直播栽培用種子シート1の構成)
まず、直播栽培用種子シート1の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る直播栽培用種子シートの平面図である。図2は、図1に示すA−A線に沿う断面図である。図3は、図1に示す直播栽培用種子シートが備える遮光性シート部材の平面図である。
図1及び図2に示すように、直播栽培用種子シート1は、遮光性シート部材10と、遮光性シート部材に取り付けられた種子保持シート部材20と、種子保持シート部材20に保持された水稲の種子(種籾)30と、を備えている。
遮光性シート部材10は、シート状に形成され、黒色や濃紺色に着色されることによって遮光性を有している。遮光性シート部材10の遮光率は、種子30の発芽及び苗の育成に対して雑草の発生を遅らせることができるように設定される。具体的には、遮光性シート部材10の遮光率は、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上に設定される。ここで、遮光率は、JIS(L1055)に準じて測定される。
【0015】
遮光性シート部材10は、生分解樹脂等の生分解性の材料により形成されている。生分解性樹脂とは、活性汚泥中、土壌中、水中、堆肥中等の自然環境下において、バクテリアやカビ等の微生物又は温度、湿度、光等の自然条件により、分解、資化される高分子化合物をいう。具体的には、生分解性樹脂としては、微生物系の生分解樹脂、化学合成系の生分解樹脂、天然物系の生分解樹脂、これらの複合物(混合、ラミネート)が該当する。微生物系の生分解性樹脂としては、バイオポリエステル(PHB/V等)、バクテリアセルロース、微生物多糖(プルラン、カードラン等)が該当する。化学合成系の生分解性樹脂としては、脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等)、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸類(PMLG等)、ポリウレタン、ナイロンオリゴマー等が該当する。天然物系の生分解性樹脂としては、キトサン/セルロース、澱粉、酢酸セルロース等が該当する。
ここで、遮光性シート部材10は、生分解性樹脂と汎用の樹脂との混合物である部分生分解性樹脂により形成されていても構わないが、環境保全に寄与するために、水と二酸化炭素とに完全に分解される完全生分解性樹脂により形成することが好ましい。
【0016】
図3に示すように、遮光性シート部材10には、所定間隔で、複数の孔部11が形成されている。本実施形態では、複数の孔部11が縦方向(図1に示す上下方向)に沿って配置されてなる孔列が、横方向(図1に示す左右方向)に沿って複数列配置されている。各孔列において隣り合う孔部11の間隔は、18cmに設定されている。また、隣り合う孔列の孔部11の間隔は、30cmに設定されている。さらに、各孔部11は、直径5cmの円形に設定されている。
種子保持シート部材20は、積層された複数枚のシート材(フィルム材)から形成されている。本実施形態では、種子保持シート部材20は、表側シート材21及び裏側シート材22から形成されている。図1及び図2に示すように、表側シート材21は、各孔部11の表面側を塞ぐように、遮光性シート部材10の表面に接着されている。一方、図2に示すように、裏側シート材22は、各孔部11の裏面側を塞ぐように、遮光性シート部材10の裏面に接着されている。
そして、種子保持シート部材20における遮光性シート部材10の各孔部11の位置には、種子30を保持する保持空間23が形成されている。図2に示すように、各保持空間23は、表側シート材21と裏側シート材22との間に形成されている。そして、各保持空間23には、複数(本実施形態では、7粒)の種子30が封入(保持)されている。
【0017】
これによって、各孔部11に配設された表側シート材21及び裏側シート材22により種子保持手段(保持空間23)が形成されて、その内部に種子を保持する。ここで、本実施形態では、1枚ずつの表側シート材21及び裏側シート材22によって、各孔列を形成する全ての孔部11を塞いでいる。しかしながら、1枚ずつの表側シート材21及び裏側シート材22によって、各孔部11を個別に塞ぐ構成としても構わない。
ここで、シート材21,22と遮光性シート部材との接着には、生分解性の接着剤を用いることが好ましい。
【0018】
種子保持シート部材20(表側シート21及び裏側シート22)は、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されている。
水溶性の材料としては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、水溶性ビニロン、水溶性デキストリン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、澱粉等が該当する。
水分散性の材料としては、天然繊維、半合成繊維、合成繊維等が該当する。天然繊維としては、木材パルプ、非木材パルプなどの植物パルプ繊維、ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維、リヨセルなどの精製セルロース繊維等が該当する。半合成繊維としては、アセテート、プロミックス繊維等が該当する。合成繊維としては、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生分解性熱可塑性樹脂を原料とする短繊維等が該当する。
【0019】
また、種子保持シート部材20は、天然繊維と水溶性材料とを混綿した不織布等、水溶性の材料及び水分散性の材料を混合して形成しても構わない。
種子30は、鉄粉等を含むコーティング剤により被覆(コーティング)されていることが好ましい。これにより、種子30の比重が高くなり、圃地に播種された種子30が、水中で浮遊することを防止可能となる。
また、直播栽培用種子シート1は、ロール状に巻かれた状態で用意されることが好ましい。
【0020】
(直播栽培用種子シート1を用いた直播栽培方法)
次に、直播栽培用種子シート1を用いた直播栽培方法について説明する。
直播栽培用種子シート1は、特に、乾田直播栽培に用いることが好適となっている。
本実施形態に係る直播栽培方法では、まず、圃地(水田)において、代かきを行った後に、落水(水抜き)を行う。
そして、落水された圃地において、直播栽培用種子シート1を敷設する。この際、直播栽培用種子シート1がロール状に巻かれた状態とされているため、直播栽培用種子シート1を圃地で転がす作業により、直播栽培用種子シート1の敷設を容易に行うことが可能となる。
さらに、直播栽培用種子シート1が敷設された圃地において、入水(水掛け)を行う。ここで、圃地への入水は、直播栽培用種子シート1が敷設されてから2週間程度の期間が経過した後に行う。
【0021】
(直播栽培用種子シート1の作用効果)
次に、直播栽培用種子シート1の作用効果について説明する。
直播栽培用種子シート1では、種子30が遮光性シート部材10の孔部11に保持されている。これによって、直播栽培用種子シート1を圃地に敷設することで、播種作業を完了することができる。特に、直播栽培用種子シート1をロール状に巻かれた状態として用意することによって、直播栽培用種子シート1を圃地で転がす作業により、直播栽培用種子シート1を容易に敷設することができる。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、高価な大型機械(直播機)が不要となり、生産コストを低減することが可能となる。また、区画整備がなされていない圃地においても、播種を効率的に行うことが可能となる。
特に、遮光性シート部材10では、所定間隔で複数の孔部11が形成され、複数の孔部11のそれぞれに種子30が保持されていることによって、直播栽培用種子シート1を圃地に敷設することで、適切な間隔による播種を行うことが可能となる。
【0022】
また、直播栽培用種子シート1では、種子30が遮光性シート部材10の孔部11に配設されている。これによって、直播栽培用種子シート1が圃地に敷設された際に、遮光性シート部材10が太陽光の透過を抑制して、圃地のうち遮光性シート部材10に覆われた領域における雑草の発生(生育)を抑制することが可能となる。一方、種子30が遮光性シート部材10の孔部11に配設されているため、遮光性シート部材10によって種子30の発芽及び苗の育成が阻害されることはない。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、除草剤等の農薬の使用を抑制することが可能となり、稲において薬害が発生することを抑制することが可能となる。
また、圃地に敷設された直播栽培用種子シート1では、遮光性シート部材10が、圃地を保温する。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、冷涼、湿潤な気象条件下でも、種子30の発芽及び苗の育成を安定させることが可能となる。
また、直播栽培用種子シート1では、遮光性シート部材10が、生分解性の材料により形成されている。これによって、圃地に敷設された直播栽培用種子シート1は、約2か月程度で、土壌中の微生物により水と二酸化炭素とに分解される。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、遮光性シート部材10の回収作業が不要となり、労力を軽減することが可能となるとともに、環境保全に寄与することが可能となる。
【0023】
また、直播栽培用種子シート1では、種子30が、種子保持シート部材20(種子保持手段)の内部に保持されている。これによって、直播栽培用種子シート1が圃地に敷設された際に、種子30が露出することがない。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、種子30が鳥に食べられる鳥害を避けることが可能となる。
さらに、直播栽培用種子シート1では、種子30を保持する種子保持シート部材20が、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されている。これによって、直播栽培用種子シート1が圃地に敷設された際に、圃地の水分により種子保持シート部材20が溶解又は分散されて、種子30が圃地に付着する。したがって、直播栽培用種子シート1によれば、播種をより確実に行うことが可能となる。
特に、直播栽培用種子シート1では、種子保持シート部材20が、積層された複数枚のシート材からなり、該複数枚のシート材の間に種子30を保持することにより、簡易な構成で保持手段を形成することが可能となる。
以上のように、直播栽培用種子シート1によれば、農薬の使用及び鳥害を抑制し、労力及び生産コストを低減することが可能となる。
【0024】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態では、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、上記実施形態では、遮光性シート部材10と種子保持シート部材20とが一体となっている。しかしながら、遮光性シート部材10と種子保持シート部材20とを別個に形成して、それぞれを圃地に敷設する構成としても構わない。
図4は、変形例に係る直播栽培用種子シートが備える種子保持シート部材を示す図である。
すなわち、変形例に係る直播栽培用種子シートでは、図3に示す遮光性シート部材10と図4に示す種子保持シート部材40とが別個に形成される。
図4に示すように、種子保持シート部材40は、種子保持シート部材20と同様に、積層された複数枚のシート材から形成されている。本変形例では、種子保持シート部材40は、表側シート材41及び裏側シート材42から形成されている。
ここで、種子保持シート部材40は、遮光性シート部材10の下面側に敷設される。そして、図4(a)に示すように、種子保持シート部材40における遮光性シート部材10の各孔部11に対応する位置には、種子30を保持する保持空間43が形成されている。図4(b)に示すように、各保持空間43は、表側シート材41と裏側シート材42との間に形成されている。そして、各保持空間43には、複数(本変形例では、7粒)の種子30が保持(封入)されている。
そして、種子保持シート部材40(表側シート41及び裏側シート42)は、種子保持シート部材20と同様に、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されている。
以上により、変形例に係る直播栽培用種子シートによれば、その製造を容易に行うことが可能となる。
【0025】
また、上記実施形態では、種子保持シート部材20,40が、2枚のシート材(表側シート材21,41及び裏側シート材22,42)により形成されている。しかしながら、種子保持シート部材20,40は、3枚以上のシート材を積層して形成しても構わない。例えば、種子保持シート部材20,40を3枚のシート材により形成する。そして、最下層のシート材と中層のシート材との間に種子30を保持し、中層のシート材と最上層のシート材との間に肥料等の農薬を保持する構成としても構わない。
また、上記実施形態では、表側シート材21,41及び裏側シート材22,41が、同一の材料から形成されている。しかしながら、表側シート材21,41及び裏側シート材22,42を、異なる材料により形成しても構わない。例えば、表面側シート材21,41を形成する材料を、裏面側シート材22,42を形成する材料と比較して、水溶性が低い(水分散性が低い)材料とする。これによって、播種をより確実に行いつつ、鳥害を抑制することができる期間を長くすることが可能となる。
また、表側シート材21,41の色を、遮光性シート部材10と同様の色に形成しても構わない。これによって、鳥害をより確実に抑制することが可能となる。
さらに、種子保持シート部材20,40(特に、裏側シート材22,42)を、保水性が高い材料により形成しても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 直播栽培用種子シート
10 遮光性シート部材
20 種子保持シート部材
30 種子
11 孔部
21 表側シート材
22 裏側シート材
23 保持空間
40 種子保持シート部材
41 表側シート材
42 裏側シート材
43 保持空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部が形成された遮光性シート部材と、
前記孔部に配設され、内部に種子を保持する種子保持手段と、を備え、
前記遮光性シート部材は、生分解性の材料により形成され、
前記種子保持手段は、水溶性の材料及び水分散性の材料うち少なくとも一方により形成されていることを特徴とする直播栽培用種子シート。
【請求項2】
前記種子保持手段は、積層された複数枚のシート材からなり、該複数枚のシート材の間に前記種子を保持することを特徴とする請求項1に記載の直播栽培用種子シート。
【請求項3】
前記遮光性シート部材には、所定間隔で複数の前記孔部が形成され、
前記複数の孔部のそれぞれに、前記種子保持手段が配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直播栽培用種子シート。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の直播栽培用種子シートを、落水された圃地に敷設する工程と、
前記直播栽培用種子シートが敷設された圃地に入水する工程と、を有することを特徴とする直播栽培方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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