説明

直播管及び湛水直播装置

【課題】粒体の落下速度のバラつきを予防したり、粒体の落下速度の低減を予防することで、送風機から直播管に効率よく風を送ることが可能な直播管及び直播管を備えた湛水直播装置を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る直播管16は、湛水田に粒体を直播する湛水直播装置10に設けられ、上記粒体を受け入れる受け入れ口から一方向に向かって形成された第1の直軸区間16aと、上記第1の直軸区間16aに連通して上記第1の直軸区間16aから二股に分かれて配置され、上記第1の直軸区間16aに対して斜めに向かって形成された第2の直軸区間16bと、上記第2の直軸区間16bに連通して配置され、上記第2の直軸区間16bに対して斜めに向かって形成された第3の直軸区間16cと、を有し、上記第2の直軸区間16bは、管上流側から管下流側にかけて管内径を絞って形成され、上記第2の直軸区間16bの絞り率より上記第3の直軸区間16cの絞り率が大きく形成されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湛水田に粒体を直播するための直播管及び直播管を備えた湛水直播装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湛水直播装置では、湛水田に粒体を直播する方法として散播、点播、条播などの方法が知られている。そして、その中でも散播が最も良い作業効率であることが知られている。
【0003】
しかしながら、散播の場合、湛水田のような不安定な作業環境で粒体を均一に直播することが困難であるとともに、覆土も行えないため、点播、条播などに比べると、初期生育が不安定であり、直播後の管理も困難である。
【0004】
一方、点播、条播などの場合、作業幅を広げることが困難であるため、大幅な省力、低コスト化を期待することができない。
【0005】
近年、湛水直播装置では、大幅な省力化、低コスト化が求められており、散播と同様の作業効率で、且つ、条播、点播などと同様の初期生育を得ること可能な技術が求められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、種子収納ホッパーに収容された種子を繰り出しロールにより送風管に繰り出し、送風管及びこの送風管に連通して配置された種子播き管に送風機から風を送ることで、種子播き管から湛水田に種子を直播する帯状湛水直播装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−56824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1は、種子播き管の形状に関して考慮されておらず、特に種子播き管の吐出口の形状に関して考慮されていないため、送風機から種子播き管に効率よく風を送ることについて改善の余地があるという技術的課題がある。
【0009】
ここで、図8に例示した従来の形状の一例である種子播き管36は、吐出口の内径を絞ることで、吐出口近傍の風速を高め、湛水田に条を形成させるとともに種子を埋没させることが可能であると考えられるが、上記従来の一例である種子播き管36は、吐出口の内径を絞ることで、粒体が吐出口を通過する際、管内周面に衝突し易くなり、粒体の落下速度にバラつきが生じてしまうという技術的課題がある。
【0010】
また、上記従来の一例である種子播き管36は、粒体が吐出口を通過する際、管内周面に衝突し易くなることで、粒体の落下速度にバラつきが生じてしまうばかりか、粒体の落下速度を低減させてしまうという技術的課題がある。
【0011】
そして、上記従来の一例である種子播き管36は、吐出口の内径を絞ることで、吐出口に粒体がつまり易くなるとともに、管内周面に衝突し易くなることで、管内周面に粒体を被覆している被覆材を付着させてしまうという技術的課題がある。
【0012】
また、上記従来の一例である種子播き管36は、吐出口の内径を絞ることで、吐出口近傍と他の部位、特に管上流側とで顕著な風速差が生じてしまい、これにより、種子収容ホッパーから搬送管に粒体を落下させる際、落下させる方向とは反対方向、すなわち、上方向に静圧がかかってしまうため、繰り出し部に粒体を詰まらせてしまうという技術的課題がある。
【0013】
以上のように、上記特許文献1及び従来の一例である種子播き管36は、送風機から種子播き管36に効率よく風を送るために改善の余地があり、これに伴い、送風機への負担を増大させてしまうという技術的課題がある。
【0014】
本発明の目的は、上記従来の実状を鑑みて、粒体の落下速度のバラつきを予防したり、粒体の落下速度の低減を予防することで、送風機から直播管に効率よく風を送ることが可能な直播管及び直播管を備えた湛水直播装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る直播管は、湛水田に粒体を直播する湛水直播装置に設けられ、上記粒体を受け入れる受け入れ口から一方向に向かって形成された第1の直軸区間と、上記第1の直軸区間に連通して上記第1の直軸区間から二股に分かれて配置され、上記第1の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第2の直軸区間と、上記第2の直軸区間に連通して配置され、上記第2の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第3の直軸区間と、を有し、上記第2の直軸区間は、管上流側から管下流側にかけて管内径を絞って形成され、上記第2の直軸区間の絞り率より上記第3の直軸区間の絞り率が大きく形成されて構成されている。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る湛水直播装置は、走行機体の後方に設けられ、湛水田に粒体を直播し、上記粒体を収容する収容部と、上記収容部に設けられ、上記粒体を繰り出す繰り出し部材と、上記繰り出し部材に連通して配置され、上記粒体を搬送する搬送管と、上記搬送管の管上流側に連通して配置され、上記搬送管に送風する送風機と、上記搬送管の管下流側に連通して配置され、上記送風機から上記搬送管に送風された風圧により上記粒体を上記湛水田に直播する直播管と、を備え、上記直播管は、上記粒体を受け入れる受け入れ口から一方向に向かって形成された第1の直軸区間と、上記第1の直軸区間に連通して上記第1の直軸区間から二股に分かれて配置され、上記第1の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第2の直軸区間と、上記第2の直軸区間に連通して配置され、上記第2の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第3の直軸区間と、を有し、上記第2の直軸区間は、管上流側から管下流側にかけて管内径を絞って形成され、上記第2の直軸区間の絞り率より上記第3の直軸区間の絞り率が大きく形成されて構成されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、粒体の落下速度のバラつきを予防したり、粒体の落下速度の低減を予防することで、送風機から直播管に効率よく風を送ることが可能な直播管及び直播管を備えた湛水直播装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態である湛水直播装置の構成を左側方から模式的に示す側面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である湛水直播装置の構成を後方から模式的に示す背面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である湛水直播装置の直播管の構成を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態である湛水直播装置の直播管及び従来の直播管の形状を示す図である。
【図5】本発明の一の実施の形態の変形例1である直播管の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】本発明の一実施の形態である直播管を用いた場合における繰り出し部材の下方の圧力を示す表である。
【図7A】本発明の一実施の形態である直播管を用いた場合における粒体の落下速度を示すグラフである。
【図7B】従来の直播管を用いた場合における粒体の落下速度を示すグラフである。
【図8】従来の直播管の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の一実施の形態の湛水直播装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の形態である湛水直播装置10の構成を左側方から模式的に示す側面図であり、図2は、本発明の一実施の形態である湛水直播装置10の構成を後方から模式的に示す背面図であり、図3は、本発明の一実施の形態である湛水直播装置10の直播管16の構成を模式的に示す平面図である。
【0020】
図1及び図2に例示されるように、本実施の形態において、湛水直播装置10は、フレーム11によって乗用管理機などの走行機体9の後方に着脱可能に設けられている。なお、本実施の形態の湛水直播装置10は、走行機体9に着脱可能に設けられたものであるが、これに限定されず、例えば、走行機体9に一体に取り付けられる専用車としてもよい。
【0021】
本実施の形態の湛水直播装置10は、粒体を収容するホッパー(収容部)12と、ホッパー12の粒体排出側に配置され、粒体を繰り出す繰り出しロール(繰り出し部材)13と、繰り出しロール13に連通して配置され、粒体を搬送するためのフレキシブル管(搬送管)14と、フレキシブル管14の管上流側に連通して配置され、ブロア(送風機)の風をフレキシブル管14に送風するための送風管15と、フレキシブル管14の管下流側に連通して配置され、ブロアの風により粒体を湛水田に直播するための直播管16とを備えて構成されている。
【0022】
フレーム11の上部には、走行機体9の幅方向に沿って複数のホッパー12が配置されている。ホッパー12は、上述したように、粒体を収容する役目を果たしている。そして、各ホッパー12の粒体排出側である底部には、粒体を繰り出す繰り出しロール13が配置されている。
【0023】
繰り出しロール13は、上述したように、粒体をフレキシブル管14に繰り出す役目を果たしている。具体的には、繰り出しロール13は、図示しないモータによって回転する断面形状が星型の回転軸を有している。この回転軸は、粒体を傷つけない適度の硬度をもつゴム材や硬質合成樹脂などの素材により形成されている。そして、各繰り出しロール13の粒体排出側には、粒体を直播管16に搬送するためのフレキシブル管14が着脱可能に設けられており、回転軸の回転数を調整して粒体をフレキシブル管14に繰り出している。
【0024】
フレキシブル管14は、上述したように、粒体を搬送する役目を果たしている。具体的には、フレキシブル管14は、可撓性を有する素材を用いている。なお、本実施の形態では、粒体を搬送する搬送管としてフレキシブル管を用いているが、粒体を搬送するためのものであれば、フレキシブル管に限定されず、例えば、鋼管などを用いても良い。
【0025】
フレキシブル管14の管上流側は、ブロア18からの風を送風するための送風管15に着脱可能に接続されている。送風管15は、走行機体9の幅方向に沿って延設して配置されている。そして、送風管9には、フレキシブル管14に接続させるための複数の接続孔が形成されている。すなわち、フレキシブル管14は、送風管15の複数の接続孔に接続され、ブロア18からの風が送風管15を介して送りこまれている。
【0026】
ブロア18は、図示しないスプロケット、ベルト又はチェーンなどを介して走行機体9の図示しないPTOに接続する入力ミッションに接続されている。そして、ブロア18は、PTOの回転力により回転駆動する。
【0027】
一方、フレキシブル管14の管下流側には、直播管16が着脱可能に接続されている。具体的には、直播管16は、フレーム11から走行機体9の後方に張り出して配置され、フレーム11に連結固定された張り出し板17に着脱可能に固定されている。そして、張り出し板17には、直播管16を挿通させる孔が形成されている。すなわち、直播管16は、この直播管16を張り出し板17の孔に挿通してキャップ19により上方から固定することで、張り出し板17に着脱可能に固定されている。
【0028】
また、本実施の形態では、一つのフレキシブル管14に二つの直播管16が接続されている。そして、直播管16は、各々の直播管16を走行機体9の幅方向に沿って配されている。このように、本実施の形態では、直播管16が最大で16本、走行機体9の幅方向に沿って配され、播種の作業幅を広げることが可能となっている。
【0029】
本実施の形態の直播管16は、この直播管16を正面視すると、逆Y字形状をなして形成されている。具体的には、図3に例示されるように、直播管16は、粒体を受け入れるための受け入れ口から鉛直方向に沿って形成された第1の直軸区間16aと、この第1の直軸区間16aに連通して、第1の直軸区間16aから二股に分かれて配置され、鉛直方向に沿って形成された第2の直軸区間16bと、この第2の直軸区間16bに連通して配置され、第1の直軸区間16aと同方向に沿って形成された第3の直軸区間16cとを有して形成されている。
【0030】
また、直播管16の下端部は、開口して形成されている。すなわち、直播管16には、ブロア18からの風が送風管15、フレキシブル管14を介して送られており、直播管16は、この風により湛水田に粒体を吐出する役目を果たしている。
【0031】
本実施の形態において、直播管16は、第2の直軸区間16bの管内径を管上流側から管下流側にかけて絞って形成されるとともに、第3の直軸区間16cの管内径の絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくして形成されている。
【0032】
以下、本実施の形態の直播管16の形状の一例について、従来の直播管36の形状と対比して図4を用いて説明する。図4は、本発明の一実施の形態である湛水直播装置10の直播管16及び従来の直播管36の形状を示す図である。図4に例示されるように、本実施の形態の直播管16の第1の直軸区間16aは、粒体を受け入れる受け入れ口から0mm〜200mmの間を区画し、管内半径が15mmで形成されている。したがって、第1の直軸区間16aでは、断面積が706.86mmとなる。
【0033】
第2の直軸区間16bは、受け入れ口から200mm〜490mmの間を区画し、管内径が15mmから10mmに絞って形成されている。この絞り率は、以下の数式1により求められる。例えば、受け入れ口からの距離が300mmの位置では、管内半径が13.28mmで形成されている。したがって、受け入れ口からの距離が300mmの位置では、553.70mmとなる。
[数1]
絞り率=r1−L1×((r1−r2)/L2)
粒体受け入れ口の管内半径:r1(mm)
粒体排出口の管内半径:r2(mm)
絞り区間始点からの距離:L1(mm)
絞り区間:L2(mm)
【0034】
第3の直軸区間16cは、受け入れ口から490mm〜600mm(吐出口)の間を区画し、管内径が10mmで形成されている。したがって、第3の直軸区間16cでは、断面積が314.16mmとなる。
【0035】
なお、本実施の形態の直播管16の第3の直軸区間16cは、受け入れ口から490mm〜600mmの間で同一の管内径で形成されているが、この形状に限定されず、第3の直軸区間16cの絞り率が第2の直軸区間16bの絞り率より小さく形成されていれば良い。
【0036】
このように、本実施の形態の直播管16によれば、第3の直軸区間16cの絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくしたため、粒体が吐出口を通過する際、管内周面に衝突し難くなり、粒体の落下速度のバラつきを予防することが可能になり、安定して一定量の直播を行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態の直播管16によれば、第2鉛直区間16cの絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくした、すなわち、吐出口近傍を絞らないことで、粒体が吐出口を通過する際、管内周面に衝突し難くなることで、粒体の落下速度のバラつきを予防するとともに、粒体の落下速度の低下を予防することができる。
【0038】
そして、本実施の形態の直播管16によれば、吐出口近傍を絞らないことで、粒体が吐出口を通過する際、吐出口近傍での粒体のつまりを軽減させることができるとともに、粒体が吐出口近傍を通過する際、管内周面に衝突し難くなることで、管内周面に粒体を被覆している被覆材の付着を予防することができる。
【0039】
また、本実施の形態の直播管16によれば、管内径を絞る絞り区間長を長くすることで、吐出口近傍と他の部位、特に管上流側とで顕著な風速差を軽減させ、これにより、ホッパー12からフレキシブル管14に粒体を落下させる際、落下させる方向とは反対方向、すなわち、上方向への静圧を軽減させて、繰り出し部の粒体の詰まりを予防することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態の直播管16によれば、第3の直軸区間16cの絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくしたため、送風機から直播管16に効率よく風を送ることが可能になり、これにより、送風機への負担を軽減させることができる。
【0041】
(変形例1)
次に、本発明の一実施の形態の変形例1である直播管26について図5を用いて説明する。図5は、本発明の一実施の形態の変形例である直播管26の構成を模式的に平面図である。変形例1では、直播管26の第1の直軸区間26a、第2の直軸区間26b及び第3の直軸区間26cの各連通部を円弧形状に形成した点が異なり、他の構成は同様である。したがって、他の構成については説明を省略する。
【0042】
図5に例示されるように、変形例1の直播管26では、この直播管26の第1の直軸区間26a、第2の直軸区間26b及び第3の直軸区間26cの各連通部が円弧形状をなして形成されている。
【0043】
このように、各連通部が円弧形状をなして形成されることで、粒体を管内周面になるべく衝突させずに、管内を通過させることが可能になるので、粒体の表面を被覆する被覆材を保護することができる。
【0044】
なお、湛水直播装置10の下方には、轍消しロール21が設けられている。轍消しロール21は、走行機体9に牽引されることで、回転可能に設けられている。すなわち、轍消しロール21は、この轍消しロール21を回転させるための動力を必要としないため、動力源を用いることなく構成されている。なお、本実施の形態の轍消しロールは、走行機体に着脱可能に設けられているが、例えば、湛水直播装置に着脱可能に設けても良い。
【0045】
次に、本実施の形態の湛水直播装置の動作及び作用について図1乃至図7Bを用いて説明する。図6は、本発明の一実施の形態である直播管16を用いた場合における繰り出しロール13の下方の圧力を示す表であり、図7Aは、本発明の一実施の形態である直播管16を用いた場合における粒体の落下速度を示すグラフであり。図7Bは、従来の直播管36を用いた場合における粒体の落下速度を示すグラフである。
【0046】
図1及び図2に例示されるように、ホッパー12に収容された粒体である種子又は肥料は、ホッパー12の排出側である底部に設けられた繰り出しロール13により調整された適量がフレキシブル管14の中へ連続的に送り込まれる。このとき、送り込まれる量は、ブロア18の送風速度などを考慮して繰り出しロール13の回転軸の回転数を調整する。
【0047】
そして、フレキシブル管14には、ブロア18からの風がフレキシブル管14内に送られており、フレキシブル管14の中に送り込まれた粒体はその風力によって、管下流側に流れていく。
【0048】
フレキシブル管14内を流れる粒体は、さらにフレキシブル管14の管下流側である直播管16に入り、直播管16の開口部から下方に吹き出され湛水田の表面に勢いよく直播される。
【0049】
このとき、図3に例示されるように、本実施の形態の直播管16は、第3の直軸区間16cの絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくしたため、吐出口近傍での粒体のつまりを軽減させることが可能になるので、送風機から直播管16に効率よく風を送ることができるとともに、送風機への負担を軽減させることができる。
【0050】
また、本実施の形態の直播管16によれば、第2鉛直区間16cの絞り率を第2の直軸区間16bの絞り率より小さくした、すなわち、吐出口近傍を絞らないことで、粒体が吐出口近傍を通過する際、管内周面に衝突しにくくなり、粒体の落下速度の低減を予防することができるとともに、管内周面に粒体を被覆している被覆材の付着を予防することができる。
【0051】
また、図6に例示されるように、本実施の形態の直播管16によれば、繰り出しロール13とフレキシブル管14との接続部の圧力が−20mmAqとなる。したがって、本実施の形態に直播管16によれば、管内径を絞る絞り区間長を長くすることで、吐出口近傍と他の部位、特に管上流側とで顕著な風速差を軽減させ、これにより、ホッパー12からフレキシブル管14に粒体を落下させる際、落下させる方向とは反対方向、すなわち、上方向への静圧を軽減させて、繰り出し部の粒体の詰まりを予防することができる。
【0052】
また、図7Aに例示されるように、本実施の形態の直播管16によれば、粒体の落下速度が2m/s〜6m/sの間でまとまっている。一方、図7Bに例示されるように、従来の直播管36では、粒体の落下速度にバラつきがあることがわかる。したがって、本実施の形態の直播管16によれば、粒体の落下速度のバラつきをなくすことができ、安定して一定量の直播を行うことができる。
【0053】
このように、本実施の形態の直播管16によれば、送風機から直播管に効率よく風を送ることで、直播管内での粒体の滞留を軽減させるとともに、送風機への負担を軽減させることができる。
【符号の説明】
【0054】
9 走行機体
10 湛水直播装置
11 フレーム
12 ホッパー
13 繰り出しロール
14 フレキシブル管
15 送風管
16 直播管
16a 第1の直軸区間
16b 第2の直軸区間
16c 第3の直軸区間
18 ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湛水田に粒体を直播する湛水直播装置に設けられた直播管であって、
前記粒体を受け入れる受け入れ口から一方向に向かって形成された第1の直軸区間と、
前記第1の直軸区間に連通して前記第1の直軸区間から二股に分かれて配置され、前記第1の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第2の直軸区間と、
前記第2の直軸区間に連通して配置され、前記第2の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第3の直軸区間と、を有し、
前記第2の直軸区間は、管上流側から管下流側にかけて管内径を絞って形成され、前記第2の直軸区間の絞り率より前記第3の直軸区間の絞り率が大きく形成されたこと、
を特徴とする直播管。
【請求項2】
前記第1及び第3の直軸区間は、同一方向に沿って形成されること、
を特徴とする請求項1記載の直播管。
【請求項3】
前記第3の直軸区間の管内径は、同一に形成されること、
を特徴とする請求項1又は2記載の直播管。
【請求項4】
前記第1の直軸区間、前記第2の直軸区間及前記第3の直軸区間の各連通部が、円弧状をなして形成されること、
を特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の直播管。
【請求項5】
走行機体の後方に設けられ、湛水田に粒体を直播する湛水直播装置であって、
前記粒体を収容する収容部と、
前記収容部に設けられ、前記粒体を繰り出す繰り出し部材と、
前記繰り出し部材に連通して配置され、前記粒体を搬送する搬送管と、
前記搬送管の管上流側に連通して配置され、前記搬送管に送風する送風機と、
前記搬送管の管下流側に連通して配置され、前記送風機から前記搬送管に送風された風圧により前記粒体を前記湛水田に直播する直播管と、を備え、
前記直播管は、前記粒体を受け入れる受け入れ口から一方向に向かって形成された第1の直軸区間と、
前記第1の直軸区間に連通して前記第1の直軸区間から二股に分かれて配置され、前記第1の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第2の直軸区間と、
前記第2の直軸区間に連通して配置され、前記第2の直軸区間に対して斜めに向かって形成された第3の直軸区間と、を有し、
前記第2の直軸区間は、管上流側から管下流側にかけて管内径を絞って形成され、前記第2の直軸区間の絞り率より前記第3の直軸区間の絞り率が大きく形成されたこと、
を特徴とする湛水直播装置。
【請求項6】
前記第1及び第3の直軸区間は、鉛直方向に沿って形成されること、
を特徴とする請求項5記載の湛水直播装置。
【請求項7】
前記第3の直軸区間の管内径、同一に形成されること、
を特徴とする請求項5又は6記載の湛水直播装置。
【請求項8】
前記第1の直軸区間、前記第2の直軸区間及前記第3の直軸区間の各連通部が、円弧状をなして形成されること、
を特徴とする請求項5から7の何れかい1項に記載の湛水直播装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−167111(P2011−167111A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32894(P2010−32894)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度〜平成21年度、農林水産省、超低コスト土地利用型作物生産技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】