説明

真空弁ユニット

【課題】簡単な構成で汚水ます内に効果的に空気を取り入れることを可能としながらも、設置の利便性を考慮した真空弁ユニットを提供する。
【解決手段】地下に埋設される汚水ます10と、一端が真空管路22に連通し他端に汚水ます10内に開口する吸込管21が取り付けられた真空弁20と、真空弁20を収納する収納ケース40とを備えた真空弁ユニット1において、収納ケース40は、その内部が汚水ます10の内部と連通していると共に、少なくともその一部が地上に露出して設置され、その地上に露出する部分に空気取入部50を設けている。この空気取入部50は、複数の小孔からなる網目状に形成された開口部50aである。また、空気取入部50の外側を、収納ケース40の上蓋42の外周を張り出して設置したひさし状部43で覆い、空気取入部50からの雨や虫などの侵入を防止できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空式下水道システムに用いられる真空弁ユニットに関し、特に、限られたスペースにも設置が可能となるように、設置の利便性を考慮した真空弁ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物からの排水を収集する下水道システムとして、従来の自然流下式の下水道システムに代えて、真空吸引により下水の収集を行う真空式下水道システムが開発されている。この真空式下水道システムは、特許文献1に示すように、自然流下式管路からの排水が流れ込む真空弁ユニットと、地下に設置された真空管路と、真空管路の下流側に設けられた真空ステーションとを備えて構成されている。
【0003】
真空弁ユニットは、地下に埋設された汚水ますと、該汚水ます内に設置された真空弁を備えて構成されている。汚水ますには、自然流下式管路に連通する汚水流入管路が接続されている。真空弁は、その一端が真空管路に連通し、その他端には汚水ます内に開口する吸込管が接続されている。
【0004】
この真空式下水道システムでは、建物から排出された汚水が自然流下式管路を通って汚水ます内に流れ込み、一時的に貯留される。汚水ます内に貯留された汚水が所定量以上になると、真空弁が開かれることで、真空管路に印加されている真空吸引力で汚水ます内の汚水が吸い上げられて下流側の真空ステーションへ収集されるようになっている。
【0005】
ところで、上記の真空弁ユニットでは、汚水ます内の汚水が吸い上げられる際に、汚水ます内の空気も一緒に吸い上げられる。そうすると、汚水ます内が負圧になることで真空弁ユニット内と自然流下式管路内の空気が吸われ、建物内に設置されているトラップの封水が破壊されてしまい、建物内に汚水の臭気が上がってしまうおそれがあった。
【0006】
そのため、従来の真空弁ユニットは、汚水ますに空気取入管を取り付けて、この空気取入管で汚水ます内に空気を取り入れながら汚水を吸い上げるようにして、汚水ます内が負圧になることを防止している。また、真空弁ユニットは、設置箇所における地上のスペースを確保する目的と、真空弁の騒音を低減する目的とから、通常はその全体が地下に埋設されて設置される。したがって、空気取入管もその一部が地下に埋設されて設置されるようになっている。
【特許文献1】特開平8−319661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、真空弁ユニットの設置場所に近接して建物が建てられていて掘削が困難な場合などは、汚水ますと空気取入管を埋設するための地下スペースを十分に確保できない場合がある。また、汚水ますを埋設する地下スペースを確保できる場合でも、空気取入管を埋設する地下スペースまでは確保できない場合もある。
【0008】
また、空気取入管を埋設する地下スペースを確保できたとしても、汚水ますをあまり深く埋設できない場合は、空気取入管の土被りが浅くなってしまう。その場合、空気取入管の上部を車両などの重量物が通過しても空気取入管が破損しないように、空気取入管に耐荷重措置を施さなければならず、真空弁ユニットの設置費用が嵩むという問題があった。
【0009】
また、空気取入管を地下に埋設した後で、埋設した土壌の状況の変化などによって、空気取入管が、汚水ますから遠ざかるにつれて下降する状態になることがある。そうすると、空気取入管の内部に結露水などが溜まり、空気取入管の通路が塞がって空気を取り入れることができなくなるおそれがあった。また一度そのような傾斜状態になると、元の状態に戻すためには改良工事が必要で、そのための費用や手間がかかってしまう。
【0010】
一方、汚水ます内に貯留された汚水が長期間に渡って貯留されている場合などは、汚水ます内で発生した臭気が空気取入管から外部に漏れるおそれがあった。また、空気取入管に虫などの異物が入り込む場合があるが、そうすると、空気取入管や汚水ます内の衛生状態が悪化したり、空気取入管が塞がってしまうおそれがあった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、簡単な構成で汚水ます内に効果的に空気を取り入れることを可能としながらも、従来の真空弁ユニットにおける汚水ますと空気取入管を設置するスペースを十分に確保できない狭小な場所等にも設置が可能となるように、設置の利便性を考慮した真空弁ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、地下に埋設される汚水ますと、一端が真空管路に連通し他端に前記汚水ます内に開口する吸込管が取り付けられた真空弁と、該真空弁を収納する収納ケースとを備えた真空弁ユニットにおいて、前記収納ケースはその内部が前記汚水ますの内部と連通していると共に、少なくともその一部が地上に露出して設置され、該収納ケースの地上に露出する部分に該収納ケース内に空気を取り入れる空気取入部を設けたことを特徴とする。
【0013】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の真空弁ユニットにおいて、前記空気取入部は、前記収納ケースに形成した複数の小孔からなる開口部であることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の真空弁ユニットにおいて、前記収納ケースの外側から前記空気取入部を覆う覆い部材を設置したことを特徴とする。
【0015】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の真空弁ユニットにおいて、前記覆い部材は、前記収納ケースが備える上蓋の外周を前記空気取入部に面する位置に張り出して設置したひさし状部であることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空弁ユニットにおいて、前記空気取入部に、前記収納ケース内の空気の流入出を最小限に抑える開閉機構を設けたことを特徴とする。
【0017】
本願の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空弁ユニットにおいて、前記収納ケースの内側に吸音材を取り付けたことを特徴とする。
【0018】
本願の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の真空弁ユニットにおいて、前記収納ケースの内側に、前記空気取入部に連通する空気流通路が形成されていると共に、前記吸音材が前記空気流通路の内面に取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
本願の請求項8に記載の発明は、汚水ますと、前記汚水ます内に設置され一端が真空管路に連通し他端に前記汚水ます内に開口する吸込管が接続された真空弁と、前記真空管路に設置された真空仕切弁とを備えた真空弁ユニットにおいて、前記真空仕切弁を収納する真空仕切弁ケースを備え、前記汚水ます内と前記真空仕切弁ケース内を連通接続する接続配管を設けると共に、前記真空仕切弁ケースに、該真空仕切弁ケース内に空気を取り入れる空気取入部を設けたことを特徴とする。
【0020】
本願の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の真空弁ユニットにおいて、前記接続配管は、その内部に前記真空管路が配設されて二重管構造になっていることを特徴とする。
【0021】
本願の請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の真空弁ユニットにおいて、一端が前記汚水ます内に開口し他端が前記真空仕切弁より下流側の真空管路に接続された緊急排水管を備え、該緊急排水管が前記接続配管内に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本願の請求項1に記載の発明によれば、真空弁ユニットにおいて、収納ケースはその内部が汚水ますの内部と連通していると共に、収納ケースは少なくともその一部が地上に露出して設置され、その地上に露出する部分に空気取入部を設けたので、簡単な構成で場所を取らずに汚水ます内に空気を取り入れることが可能となる。したがって、従来の真空弁ユニットが備えていた地下に埋設される空気取入管が不要になる上に、真空弁ユニットの一部を地上に配置したことで、従来の真空弁ユニットを設置する地下スペースを十分に確保できない場所であっても真空弁ユニットを設置することが可能となり、その設置の利便性が向上する。
【0023】
本願の請求項2に記載の発明によれば、空気取入部は、収納ケースに形成した複数の小孔からなる開口部なので、簡単な構成で、収納ケース内に空気を取り入れる際に虫やごみなどの異物が混入することを防止でき、収納ケース内や汚水ます内の衛生状態を良好に保つことができる。
【0024】
本願の請求項3に記載の発明によれば、収納ケースの外側から空気取入部を覆う覆い部材を設置したので、空気取入部から収納ケース内に雨などが侵入することを防止できる。
【0025】
本願の請求項4に記載の発明によれば、覆い部材は、収納ケースが備える上蓋の外周を空気取入部に面する位置に張り出して設置したひさし状部なので、簡単な構成で真空弁ユニットの部品点数を増加させずに、収納ケース内への雨などの侵入を防ぐ覆い部材を設けることができる。
【0026】
本願の請求項5に記載の発明によれば、空気取入部に収納ケース内の空気の流入出を最小限に抑える開閉機構を設けたので、収納ケース内の空気が外部に放出されることを必要最小限に抑えることができる。これにより、汚水ます内に貯留された汚水から臭気が発生した場合でも、この臭気が外部に漏れ出すことを極力防止できる。
【0027】
本願の請求項6に記載の発明によれば、収納ケースの内側に吸音材を取り付けたので、空気取入部で発生する吸気音や真空弁の作動音など収納ケースの外部に漏れる騒音を低減することができ、低騒音の真空弁ユニットを実現できる。
【0028】
本願の請求項7に記載の発明によれば、収納ケースの内側に、空気取入部に連通する空気流通路が形成されていると共に、吸音材が空気流通路の内面に取り付けられているので、空気取入部から取り入れられた空気が収納ケース内に流れ込む際の風切音の発生を抑制することができ、低騒音の真空弁ユニットを実現できる。
【0029】
本願の請求項8に記載の発明によれば、真空弁ユニットにおいて、真空仕切弁を収納する真空仕切弁ケースを備え、汚水ます内と真空仕切弁ケース内を連通接続する接続配管を設けると共に、真空仕切弁ケースに空気取入部を設けたので、真空仕切弁ケースと接続配管が、汚水ます内に空気を取り入れる空気取入管としての機能を備えることができ、コンパクトな構成で汚水ます内に空気を取り入れることが可能となる。また、真空仕切弁ケースに真空仕切弁を収納したことで、汚水ますを従来よりも小型化できる上に、接続配管と真空仕切弁の形状や配置構成を柔軟に設計することが可能となるので、従来の汚水ますや空気取入管を設置するためのスペースを十分に確保できない場所であっても、真空弁ユニットを設置することが可能となる。特に、本真空弁ユニットによれば、汚水ますの設置場所又はその近傍に従来の空気取入管を設置するスペースを確保できない場合でも、空気取入部を設けた真空仕切弁ユニットを汚水ますから離れた場所に設置することができるので、真空弁ユニットの設置の利便性が向上する。
【0030】
本願の請求項9に記載の発明によれば、接続配管は、その内部に真空管路が配設されて二重管構造になっているので、真空管路が接続配管で囲まれて保護された状態になり、これら真空管路と接続配管を地下に埋設して設置する場合でも、その上を重量物が通過しても十分に耐えられる耐荷重性能を具備することが可能となる。
【0031】
本願の請求項10に記載の発明によれば、緊急排水管が接続配管内に配設されているので、接続配管内のスペースを有効に利用して、真空弁ユニットをさらにコンパクトに構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1乃至図4は、本発明の第1実施形態にかかる真空弁ユニット1を示す図で、図1は、真空弁ユニット1の概略平面構成(一部断面)を示す図で、図2は、図1のA−A矢視断面を示す図で、図3は、図1のB−B矢視断面を示す図で、図4は、図2のC部分を示す部分拡大図である。本実施形態の真空弁ユニット1は、図2に示すように、地下に埋設された汚水ます10と、汚水ます10の上部に設置された真空弁20と、真空弁20を収納する収納ケース40とを備えて構成されている。また収納ケース40内には、真空管路22の一部や、センサー管23や真空弁コントローラ24や真空仕切弁25などの真空弁20の付属部品も収納されている。
【0033】
汚水ます10は、合成樹脂製などの有底の容器で、その側部に汚水流入管11が接続されていて、流入した汚水が底部に貯留されるようになっている。一方、収納ケース40は、金属製あるいは合成樹脂製の板状部材で形成された筒状の収容容器で、下部の開口が汚水ます10の真上に配置されて、この収納ケース40の下部と汚水ます10の上部で、それらの内部空間が連通している。収納ケース40は、図1に示すように、その側面部41の平面形状が、対向する一対の平行な平面部41aと該平面部41aの両端に設けた半円弧状の曲面部41bとからなる形状に形成されている。また、両平面部41aの内面に沿って水平に取り付けた板状の補強部材46と、両平面部41aの間に渡された補強部材47とによって、両平面部41aの強度が補強されている。また、図2に示すように側面部41の上部の開口41cには、これを塞ぐ板状の上蓋42が取り付けられている。この収納ケース40は、同図に示すように側面部41の下側の一部が地下に埋設されて、その他の部分が地上に露出した状態で設置されるようになっている。
【0034】
収納ケース40内に設置されている真空弁20は、その上流側に吸込管21が取り付けられていて、下流側が真空管路22に連通している。この真空弁20は、真空管路22内の負圧と吸込管21内の大気圧との差圧により開閉するようになっている。吸込管21は、真空弁20から下方に向かって延設され、先端の吸込口21aが汚水ます10内の底部近傍に開口している。センサー管23は、汚水ます10内の汚水の水位を検知するもので、その下端が汚水ます10内の底部近傍に配置されている。真空弁コントローラ24は、真空弁20の開閉を制御するものである。真空弁20は、センサー管23による汚水の水位の検知結果に基づいて、真空弁コントローラ24でその開閉が制御されるようになっている。
【0035】
真空弁20より下流側の真空管路22に取り付けられた真空仕切弁25は、真空弁20への真空の供給を遮断するための弁である。この真空仕切弁25は、真空弁20の故障や交換の際や、真空弁20のテストを実施する際に使用されるもので、真空弁ユニット1の通常の運転時には開いた状態になっている。またこの真空仕切弁25は、その流路が略直角に屈曲して下流側の真空管路22が真下方向に延伸し、その先がさらに略直角に屈曲して、その下流側の真空管路22が真空仕切弁25の設置高さよりも低い位置で水平方向に延伸して、収納ケース40の外部に導出されている。これにより、収納ケース40内の真空弁20や真空仕切弁25の高さ位置が地面よりも高い位置であっても、収納ケース40から導出される真空管路22の高さ位置が、地下に埋設されている真空管路の高さ位置と一致するようになっている。
【0036】
また、真空弁ユニット1には、緊急排水管26が設置されている。図2に示すようにこの緊急排水管26は、一端の吸込口26aが汚水ます10内に開口し、他端26bが真空仕切弁25よりも下流側の真空管路22に接続されている。またこの緊急排水管26には開閉弁26cが設置されている。開閉弁26cは、緊急排水管26の中途部分を収納ケース40の上部の開口41cの近傍付近まで立ち上げてそこに取り付けられている。これにより、地上の作業者が上蓋42を開くことで、開閉弁26cに手が届くようになっている。この緊急排水管26は、真空弁20のメンテナンスや交換を行っている間に、真空仕切弁25を閉じている状態で、汚水ます10内の汚水の水位が上昇した場合に、汚水を緊急に吸い上げて真空管路22を介して排水する予備用の排水管である。なお図1では、緊急排水管26はその一部のみを図示している。
【0037】
ここで、収納ケース40に設けた空気取入部について説明する。図1乃至図3に示すように、収納ケース40には空気取入部50が設けられている。この空気取入部50は、収納ケース40の側面部41の一対の平面部41aの上端近傍位置に形成した多数の貫通小孔からなる開口部50aである。この開口部50aの貫通小孔は、収納ケース40を構成する金属製あるいは合成樹脂製の板状部材を打ち抜いて形成されたもので、各貫通小孔が所定間隔で配列されて、開口部50aの全体が網目状に形成されている。貫通小孔の径寸法は、開口部50aから空気を取り込む際に、虫やごみなどの異物が出来るだけ入りにくくなる寸法に形成すると良い。
【0038】
また、収納ケース40の内側の空気取入部50に面する位置には、空気取入部50から流入した空気が流通する空気流通路53を備えたサイレンサー52が設置されている。このサイレンサー52の空気流通路53を形成する流通路形成部材54は、図1に示すように、その上方から見た断面形状が略コ字状に形成された金属製あるいは合成樹脂製の板状部材で、空気取入部50の内側の前面と左右を囲むように取り付けられていて、上部と下部は開口した状態になっている。また図3に示すように、流通路形成部材54の下端部は空気取入部50より下方まで延設されていて、空気取入部50に面する高さ位置から下方向に向かって空気流通路53が形成されている。流通路形成部材54は、詳細な図示は省略するが、収納ケース40の側面部41の内面にボルト等の固定具で固定されていて、下記する吸音材55の交換等のメンテナンスの際には取り外しが可能となっている。なお図2では図示の都合上、サイレンサー52を一点鎖線で示している。なおこのサイレンサー52は、上記のように収納ケース40の内面に取り付ける以外にも、図示は省略するが、収納ケース40内に独立して取り付けることも可能である。
【0039】
そして、流通路形成部材54の内面と空気取入部50の下側の側面部41の内面には、吸音材55が貼り付けられている。この吸音材55には発泡ウレタンやグラスウールなどが用いられる。このように、空気取入部50からの空気が流通する空気流通路53の内側に吸音材55が配設されていることで、収納ケース40内に空気が取り入れられる際の風切音の発生が抑制されるようになっている。
【0040】
また、収納ケース40の上蓋42は、図2に示すように、その外径が側面部41の外径よりも若干大きな寸法に形成されていて、上面の外周42aが下側に向かって略直角に屈曲して、その先に所定の幅寸法のひさし状部43が形成されている。このひさし状部43は、図3に示すように、上蓋42を収納ケース40の上部に被せて設置した際に、空気取入部50に面する位置に張り出して設置されるようになっていて、このひさし状部43で空気取入部50を外側から覆うようになっている。
【0041】
また一方で、収納ケース40の側面部41の空気流通路53以外の部分の内面と上蓋42の下面にも、吸音材55が取り付けられている。これらの吸音材55は、空気取入部50を除く、収納ケース40の地上に配置される部分の内面に取り付けるようにすれば、収納ケース40内の真空弁20の作動音など、風切音以外の騒音が外部に漏れることも防止できる。また、図3に示すように、上蓋42を被せて取り付けた際に、上蓋42の下面に取り付けた吸音材55が、流通路形成部材54の上端部に当接した状態になり、空気流通路53の上部の開口が吸音材55で塞がれるので、空気流通路53は下部の開口だけが開いた状態で、他の部分が吸音材55で囲まれた状態になる。
【0042】
さらに、図3、図4に示すように、上蓋42の下面の外周には、ゴム材などで構成された密封部材45が取り付けられている。この密封部材45は、上蓋42の下面の外周に沿って所定幅で帯状に取り付けられている。これにより、上蓋42を被せて取り付けた際に、側面部41の上端部が密封部材45に当接して、上蓋42の下面と側面部41の上端部の隙間が密封されるようになっている。またこの密封部材45を設けることにより、真空弁ユニット1の動作時などに上蓋42の振動やそれによる接触音の発生を防止する効果もある。
【0043】
上記の空気取入部50の開口部50aは、形成する貫通小孔の数や大きさや密度、あるいは形成する部分の面積などを適宜選択して設計することで、収納ケース40内に取り入れる空気の流量を所望の流量にすることができる。したがって、開口部50aから流入する空気による風切音の大きさと、汚水ます10内に必要な空気の量のバランス等を加味しながら、空気取入部50の最適な大きさや形状を決めることが望ましい。例えば、空気取入部50は、その上下方向の幅寸法を変えることで面積を変えることができるので、開口部50aを形成する部分の幅寸法を、地上に露出する位置の範囲内で所定の寸法に決めるようにすれば良い。また、上記の空気取入部50は、側面部41の周方向における一部分にだけ形成しているが、これ以外にも、側面部41の全周に渡って形成することも可能である。
【0044】
図5は、上記の空気取入部50に設ける開閉機構の構成例を説明するための図である。同図に示すように、空気取入部50には、収納ケース40内の空気の流入出を最小限に抑える開閉機構56を設けると良い。この開閉機構56は、空気取入部50の内面側又は外面側に取り付けるゴム材などで形成された開閉部材57を備えて構成されている。この開閉部材57は、その上側の端辺を支点に揺動可能になっていて、開口部50aの内面又は外面に当接してこれを塞ぐ状態と、開口部50aの内面又は外面から離間して開口部50aを開く状態との間で揺動するようになっている。この開閉部材57は、同図(a)に示すように開口部50aの内面側に取り付ければ、開口部50aから収納ケース40内に空気が流入しようとすると、その空気の圧力で開閉部材57が離間して開口部50aが開かれ、それ以外の時には、開閉部材57が開口部50aの内面に当接して開口部50aが塞がれた状態となる。また、同図(b)に示すように開口部50aの外面側に取り付ければ、開口部50aから収納ケース40内の空気が流出しようとすると、その空気の圧力で開閉部材57が離間して開口部50aが開かれ、それ以外の時には、開閉部材57が開口部50aの外面に当接して開口部50aが塞がれた状態となる。したがって、収納ケース40に設けた複数の空気取入部50のうち、いずれかの空気取入部50にはその内面側に開閉部材57を取り付け、他の空気取入部50にはその外面側に開閉部材57を取り付けるようにすれば、空気が流入する流入口と空気が流出する流出口の数や配置を、所望の数や配置とすることができる。これにより、収納ケース40内の空気の流入出を必要最小限度に抑えることが可能となる。
【0045】
次に、上記構成の真空弁ユニット1の動作を説明する。図示しない建物から排出されて自然流下式管路を流下した汚水が、汚水流入管11から汚水ます10内に流入して貯留される。汚水ます10内に貯留された汚水が所定の水位に達すると、センサー管23がこれを検知して真空弁コントローラ24によって真空弁20が開かれる。これにより、汚水ます10内の汚水が、真空管路22の吸引力によって吸込管21で吸い上げられて真空管路22内を圧送される。真空管路22を圧送された汚水は、真空ステーション(図示せず)に収集される。
【0046】
このとき、吸込管21から汚水と共に汚水ます10内の空気が吸い込まれることで、汚水ます10と収納ケース40の内部の圧力が低下するため、収納ケース40の空気取入部50から空気が取り入れられる。この取り入れられた空気は、図3に示すように、空気流通路53を通って収納ケース40内に入り、汚水ます10内へ送られる。これにより汚水ます10内が負圧になることを防止できる。したがって、汚水流入管11の上流側に設置された建物内のトラップ(図示せず)の封水が破壊されることを防止できる。一方で、汚水ます10内の汚水が吸い上げられてその水位が所定以下になると、真空弁コントローラ24によって真空弁20が閉じられる。
【0047】
上記の真空弁ユニット1によれば、真空弁20を収納する収納ケース40の一部を地上に露出させて設置し、その内部を汚水ます10内と連通させて配置し、収納ケース40の地上に露出する部分に空気取入部50を設けたので、簡単な構成で場所を取らずに汚水ます10内に空気を取り入れることが可能となる。したがって、従来の真空弁ユニットが備えていた地下に埋設される空気取入管が不要になる上に、収納ケース40を埋設する地下スペースが小さくて済むので、狭小な敷地など限られた広さの場所や、地下水などが存在して十分な埋設深さを確保できない場所であっても、真空弁ユニット1の設置が可能となる。なお、この真空弁ユニット1は、収納ケース40の上部が地上に露出して設置されるため、勾配がある土地に設置する場合でも、従来の地下に埋設する真空弁ユニットのようにその上面を地面の勾配に合わせて傾斜させた形状にする必要がなく、その点においても設置が簡単に行なえるようになる。
【0048】
また、この真空弁ユニット1は、上記したように地下に埋設される空気取入管が不要なので、従来の真空弁ユニットで必要だった空気取入管に耐荷重措置を施す手間や費用などが掛からずに済み、また、空気取入管が土壌の変化で逆勾配になるなどの問題も生じるおそれがない。したがって、その設置費用を低く抑えることができる。
【0049】
また、真空弁ユニット1が備える空気取入部50は、収納ケース40に形成した複数の小孔からなる開口部50aなので、簡単な構成で、空気を取り入れる際に収納ケース40内に虫やごみなどの異物が混入することを防止できる。また、収納ケース40の外側から空気取入部50を覆う覆い部材43を設置したので、空気取入部50から雨などが侵入することを防止できる。さらに、この覆い部材43は、収納ケース40が備える上蓋42の外周42aを空気取入部50に面する位置に張り出して設置したひさし状部なので、簡単な構成で真空弁ユニット1の部品点数を増加させずに、収納ケース40内への雨などの侵入を防ぐ覆い部材43を設けることができる。
【0050】
また、真空弁ユニット1は、空気取入部50に連通する空気流通路53の内面に吸音材55が取り付けられたサイレンサー52を備えているので、空気取入部50から収納ケース40内に流れ込む空気による風切音の発生を抑制することができる。また、収納ケース40の内側の他の部分にも吸音材55を取り付けたことで、真空弁20の作動音などの収納ケース40内で発生する騒音の外部への漏れを低減することができ、低騒音の真空弁ユニット1となる。また、空気取入部50に、収納ケース40内の空気の流入出を最小限に抑える開閉機構56を設けたことで、汚水ます10内に貯留された汚水から臭気が発生した場合でも、この臭気が外部に漏れ出すことを極力防止できる。
【0051】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかる真空弁ユニットについて説明する。なお、本実施形態の真空弁ユニットにおいては、上記の第1実施形態の真空弁ユニットと同一又は相当する構成部分には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項や図示する以外の部分については、上記の第1実施形態と同じである。以下の他の実施形態においても同様とする。図6は、本発明の第2実施形態にかかる真空弁ユニット1−2が備える空気取入部50−2を示す図で、図3に対応する収納ケース40の側断面図である。本実施形態の真空弁ユニット1−2が第1実施形態の真空弁ユニット1と異なるのは、収納ケース40に設けた空気取入部50−2を、収納ケース40の側面部41の地上近傍の位置に配置すると共に、この空気取入部50−2の外側に、他の構成の覆い部材43−2を取り付けた点である。
【0052】
空気取入部50−2は、第1実施形態の空気取入部50とはその設置位置が異なるだけで、収納ケース40の側面部41に形成した多数の貫通小孔からなる開口部である点は同じである。また、覆い部材43−2は、金属製あるいは合成樹脂製の板状部材で、収納ケース40の空気取入部50−2の外側に面する位置に取り付けられている。この覆い部材43−2は、空気取入部50−2の外側の前面と左右及び上部を覆う箱型に形成されていて、空気取入部50−2の下部のみが開かれた状態になっている。本実施形態のような空気取入部50−2でも収納ケース40内に空気を取り入れることができる。また、覆い部材43−2を取り付けたことにより、空気取入部50−2から収納ケース40内に雨などが侵入することを防止できる。
【0053】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態にかかる真空弁ユニットについて説明する。図7は、本発明の第3実施形態にかかる真空弁ユニット1−3が備える空気取入部50−3を示す図で、図3に対応する収納ケース40の側断面図である。本実施形態の真空弁ユニット1−3では、収納ケース40に設けた空気取入部50−3を、スリット状に形成された開口部としている。このスリットの形状を、同図に示すようにその隙間が側面部41の外側に向かって下方に傾斜する傾斜状に形成すれば、空気取入部50−3はその外側が下方に向くので、簡単な構成で、覆い部材を設置しなくても空気取入部50−3から雨などが入り込むことを極力防止できるようになる。
【0054】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態にかかる真空弁ユニットについて説明する。図8は、本発明の第4実施形態にかかる真空弁ユニットの構成例を示す側断面図である。同図に示す真空弁ユニット1−4は、地下に埋設される汚水ます60と、汚水ます60内に設置された真空弁20と、真空弁20の一端に取り付けられて汚水ます60内に開口する吸込管21と、真空弁20の他端が連通する真空管路22に取り付けた真空仕切弁25とを備えている。そして、真空弁20が収納されている汚水ます60とは別に、真空仕切弁25を収納する真空仕切弁ケース70を備え、これら汚水ます60と真空仕切弁ケース70を連通接続する接続配管であるユニット内接続管80を設けていると共に、真空仕切弁ケース70に空気取入部75を設けている。
【0055】
本実施形態の真空弁ユニット1−4では、汚水ます60は、樹脂製などの有底容器で、真空仕切弁ケース70は、樹脂製又は金属製などの有底筒状の容器である。そして、これら汚水ます60と真空仕切弁ケース70を連通するユニット内接続管80も、樹脂製又は金属製などの筒状部材である。汚水ます60と真空仕切弁ケース70とユニット内接続管80はいずれも同一の材質で統一しても良いし、異なる材質としてもよい。特にユニット内接続管80は、下記するようにその土被りが浅い場合には、ある程度の強度が必要なため、汚水ます60と真空仕切弁ケース70を樹脂製にした場合でも、ユニット内接続管80だけを金属製にするなどして強度を高めることも可能である。
【0056】
汚水ます60は、上蓋61の上面だけが地上に露出した状態で、残りの部分が地下に埋設されるようになっている。また、真空仕切弁ケース70も、上蓋71の上面だけが地上に露出した状態で、残りの部分が地下に埋設されるようになっている。そしてユニット内接続管80は、その全体が地下に埋設されて設置されるようになっている。また、真空仕切弁ケース70に設けた空気取入部75は、真空仕切弁ケース70の上蓋71に取り付けた空気取入管72を備えている。この空気取入管72は、上蓋71の上面に立設されていて、その下端が上蓋71を貫通して真空仕切弁ケース70の内部空間に連通している。
【0057】
一方、ユニット内接続管80は、その内部に、真空弁20と真空仕切弁25の間の真空管路である真空接続管29が配設されていて、これらユニット内接続管80と真空接続管29が二重管構造になっている。これにより、真空接続管29がユニット内接続管80で囲まれて保護された状態になっている。そのため、真空接続管29は、その上部を車両などの重量物が通過しても十分に耐えられる耐荷重性能を備えることが可能となる。したがって、図8に示すようにユニット内接続管80と真空接続管29を地下に埋設して真空弁ユニット1−4を設置する際に、ユニット内接続管80の土被りを深くできない場合(ユニット内接続管80の埋設深さを深く取れない場合)であっても、ユニット内接続管80や真空接続管29の耐荷重措置を施さずに真空弁ユニット1−4を設置できるので、設置の利便性が向上する。
【0058】
またこの真空弁ユニット1−4は、汚水ます60内の汚水を排出する緊急排水管27を備えている。この緊急排水管27は、一端の吸込口27aが汚水ます60内に開口し、他端27bが真空仕切弁25よりも下流側の真空管路22に接続されていて、それらの間の部分がユニット内接続管80の内部に配設されている。このように、真空接続管29と緊急排水管27をユニット内接続管80の内部に配設したことで、ユニット内接続管80内のスペースを有効に利用して真空弁ユニット1−4をコンパクトに構成することが可能となる。また、緊急排水管27をユニット内接続管80内に設置することで、緊急排水管27も地上の重量物の荷重などから保護することが可能となる。
【0059】
なお、緊急排水管27に設置した開閉弁27cも、第1実施形態の真空弁ユニット1が備える緊急排水管26に設置した開閉弁26cと同様に、緊急排水管27の中途部分を汚水ます60の上部開口60aの近傍付近まで立ち上げてそこに取り付けられている。一方、真空仕切弁ケース70内には、さらに別の排水管28が設置されている。この排水管28は、一端の吸込口28aが真空仕切弁ケース70の底部70b近傍に開口して、他端28bが緊急排水管27の途中に接続されている。この排水管28に設置された開閉弁28cも、排水管28の中途部分を真空仕切弁ケース70内の上部開口70aの近傍付近まで立ち上げてそこに取り付けられている。
【0060】
また、ユニット内接続管80は、その敷設の際に、汚水ます60側よりも真空仕切弁ケース70側の方が若干高い位置になるよう傾斜した状態で設置する。これにより、ユニット内接続管80内に結露水が溜まった場合でも、この結露水が汚水ます60に流入することで、真空仕切弁ケース70には流入しないようにできる。しかしながら、ユニット内接続管80の敷設後に、埋設した箇所の土壌の状況の変化などによって、ユニット内接続管80が逆勾配になることがあり、そうすると、結露水が真空仕切弁ケース70内に流入してしまう。その場合に、もしユニット内接続管80が真空仕切弁ケース70の底部70b又はその近傍に接続されていると、流入した結露水が底部70bに溜まってユニット内接続管80が塞がってしまい、汚水ます60内に空気を取り込めなくなるおそれがある。そこでこれを防止するために、本実施形態の真空弁ユニット1−4では、図8に示すように、ユニット内接続管80を真空仕切弁ケース70に接続する接続部80aを、真空仕切弁ケース70の底部70b又はその近傍よりも高い位置に設けることで、接続部80aと底部70bの間に、流入した結露水などの水分が溜まるスペースを設けておくことが望ましい。この場合、真空仕切弁ケース70の底部70bに溜まった結露水などの水分は、真空仕切弁25のメンテナンスの際に、排水管28の開閉弁28cを開くことで真空管路22を介して排出することができる。
【0061】
上記したように本実施形態の真空弁ユニット1−4では、真空仕切弁25を収納する真空仕切弁ケース70に空気取入部75を設けたことで、真空仕切弁ケース70とユニット内接続管80が汚水ます60内に空気を取り入れる空気取入管としての機能を備えるので、コンパクトな構成で、汚水ます60内に空気を取り入れることが可能となる。また、真空仕切弁25を汚水ます60の外部に配置したことで、汚水ます60を従来より小型化できる上に、ユニット内接続管80の長さ寸法や形状や真空仕切弁ケース70の配置構成は柔軟に設計することが可能である。このため本実施形態の真空弁ユニット1−4は、汚水ます60の設置箇所に、従来の大きな汚水ますを設置する十分なスペースがない場合や、汚水ます60の設置箇所又はその近傍の地上に、従来の空気取入管を立ち上げるスペースを確保できないような場所であっても、設置することが可能である。
【0062】
すなわち例えば、図9に示すように、真空弁ユニット1−4の汚水ます60を、敷地100内の駐車スペース101など地上に構造物を設置できない場所の地下に埋設する一方で、真空仕切弁ケース70を、植込み102など地上にある程度の構造物を設置しても目立たない場所の地下に埋設し、これらをユニット内接続管80で連通する。こうすることで、地上における構造物の設置などに制限のある敷地100であっても真空弁ユニット1−4を設置することが可能となる。
【0063】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態にかかる真空弁ユニットについて説明する。図10は、本発明の第5実施形態にかかる真空弁ユニットの構成例を示す図である。本実施形態の真空弁ユニット1−5が第4実施形態の真空弁ユニット1−4と異なる点は、真空仕切弁ケース70に設けた空気取入部75−2の構造である。即ち、第4実施形態の真空弁ユニット1−4の空気取入部75は、上蓋71の上面に空気取入管72を立ち上げて設置していたが、本実施形態の真空弁ユニット1−5の空気取入部75−2は、この上蓋71と空気取入管72に代えて、真空仕切弁ケース70の上部開口70aに屈曲管路状の空気取入管73を取り付けたものである。即ち、真空仕切弁ケース70は円筒管路状に形成された容器で、汚水ます60に比べてその径寸法が小さいので、その筒状部を上方に延長させる空気取入管73を取り付けて、その先端を屈曲させての開口部73aを下側に向けた形状とすることで、真空仕切弁ケース70とユニット内接続管80の全体を、汚水ます60に取り付けた空気取入管として機能させるように構成したものである。
【0064】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書、図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、第1実施形態の真空弁ユニット1においては、図示したように汚水ます10と収納ケース40をそれぞれ別部品として構成する以外にも、これらをその内部を連通させて一体に取り付けて構成したり、同一の部品として構成することも可能である。
【0065】
また、収納ケース40は、少なくともその一部を地上に露出させて設置すればよく、設置場所の地下状況などによっては、全体を地上に露出させた状態で設置することもありうる。また一部を埋設して設置する場合でも、その埋設深さや埋設する部分は上記実施形態に示すものには限定されない。また、汚水ます10,60や収納ケース40や真空仕切弁ケース70やユニット内接続管80などの具体的な形状や配置構成は、上記実施形態に示す形状等には限定されない。また空気取入部50(50−2,75,75−2)の形状や配置などの具体的構成も、上記実施形態に示すものには限定されず、収納ケース40や真空仕切弁ケース70内に空気を取入れることができる形状や配置であれば、他の形状等にすることも可能である。また、第1実施形態の真空弁ユニット1のサイレンサー52は、側面部41に取り付ける場合を説明したが、それ以外にも上蓋42の下面に取り付けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる真空弁ユニット1の構成例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1のB−B矢視断面図である。
【図4】図2のC部分の部分拡大図である。
【図5】空気取入部に設けた開閉機構の構成例を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる真空弁ユニット1−2が備える空気取入部の構成例を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる真空弁ユニット1−3が備える空気取入部の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかる真空弁ユニット1−4の構成例を示す図である。
【図9】真空弁ユニット1−4の設置例を説明するための図である。
【図10】本発明の第5実施形態にかかる真空弁ユニット1−5の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1〜1−5 真空弁ユニット
10 汚水ます
11 汚水流入管
20 真空弁
21 吸込管
22 真空管路
23 センサー管
24 真空弁コントローラ
25 真空仕切弁
26 緊急排水管
27 緊急排水管
28 排水管
29 真空接続管(真空管路)
40 収納ケース
41 側面部
42 上蓋
42a 外周
43 覆い部材(ひさし状部)
45 密封部材
50 空気取入部
50a 開口部
52 サイレンサー
53 空気流通路
54 流通路形成部材
55 吸音材
56 開閉機構
57 開閉部材
60 汚水ます
70 真空仕切弁ケース
72 空気取入管
73 空気取入管
75 空気取入部
80 ユニット内接続管(接続配管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に埋設される汚水ますと、一端が真空管路に連通し他端に前記汚水ます内に開口する吸込管が取り付けられた真空弁と、該真空弁を収納する収納ケースとを備えた真空弁ユニットにおいて、
前記収納ケースはその内部が前記汚水ますの内部と連通していると共に、少なくともその一部が地上に露出して設置され、該収納ケースの地上に露出する部分に該収納ケース内に空気を取り入れる空気取入部を設けたことを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記空気取入部は、前記収納ケースに形成した複数の小孔からなる開口部であることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記収納ケースの外側から前記空気取入部を覆う覆い部材を設置したことを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記覆い部材は、前記収納ケースが備える上蓋の外周を前記空気取入部に面する位置に張り出して設置したひさし状部であることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記空気取入部に、前記収納ケース内の空気の流入出を最小限に抑える開閉機構を設けたことを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記収納ケースの内側に吸音材を取り付けたことを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記収納ケースの内側に、前記空気取入部に連通する空気流通路が形成されていると共に、前記吸音材が前記空気流通路の内面に取り付けられていることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項8】
汚水ますと、前記汚水ます内に設置されて一端が真空管路に連通し他端に前記汚水ます内に開口する吸込管が接続された真空弁と、前記真空管路に設置された真空仕切弁とを備えた真空弁ユニットにおいて、
前記真空仕切弁を収納する真空仕切弁ケースを備え、前記汚水ます内と前記真空仕切弁ケース内を連通接続する接続配管を設けると共に、前記真空仕切弁ケースに、該真空仕切弁ケース内に空気を取り入れる空気取入部を設けたことを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載の真空弁ユニットにおいて、
前記接続配管は、その内部に前記真空管路が配設されて二重管構造になっていることを特徴とする真空弁ユニット。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の真空弁ユニットにおいて、
一端が前記汚水ます内に開口し他端が前記真空仕切弁より下流側の真空管路に接続された緊急排水管を備え、
該緊急排水管が前記接続配管内に配設されていることを特徴とする真空弁ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−25240(P2008−25240A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200111(P2006−200111)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(506236820)株式会社 荏原由倉ハイドロテック (31)
【Fターム(参考)】