説明

研削機、研磨機用引込式給水腕装置

研削機、研磨機用引込式給水腕装置が、部分にループ状に形成され研削機、研磨機のベース部に1または複数の位置で固定された柔軟なホースを含む。水放出部が柔軟なホースの端部に取付けられている。付勢されたアームが、ループ状に形成された部分に係合し、ホースの移動と共に移動して該ホースに張力を作用する。該アームはローラーを有し、ホースが該ローラー上を移動する。ベース部に取付けられたマウント部が水放出部を受承すると共に、該マウント部を通してホースが移動する。マウント部を通してホースを案内するためのマウントローラーがマウント部に取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研削機、研磨機に関する。より詳細には、本発明は研削機、研磨機用引込式給水腕装置の改良に関する。
【0002】
なお、本願は、2008年9月11日出願の米国特許出願第61/096,048号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
研削機、研磨機は多くの産業で用いられている。それらは、顕微鏡試験のような試験用に金属試料、ポリマー試料、セラミック試料等を準備するために頻繁に用いられる。
【0004】
研削機、研磨機は試験や被検査物のホルダーを含み、該ホルダーは厚盤に対して回転し、該厚盤もまた回転するようになっている。こうして、同時に2つの回転動作が生じる。概ね研磨性のスラリーを前記厚盤に噴射することによって、被検査物を研削または研磨するための研磨媒体が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
厚盤はボール内に支持されており、該ボールは、研削または研磨工程で生じる屑のための収納容器として作用する。水その他の液体を用いてボールを洗浄して屑が除去される。周知の洗浄装置では、屑はボール内に見苦しく不都合に集積する可能性があることが分かっている。
【0006】
周知の水供給装置は長く扱いにくいホースを有しており、多くの場合、操作者は、水を正確に供給するために両手を用いなければならない。このことは、操作者が被検査物を研削または研磨するために両手を必要とし注意を払わなければならない場合に、大きな問題となる。これはまた、研削機、研磨機のベース部の開口部にホースをある長さだけ差戻す或いは押入れようとする場合に問題となる。
【0007】
従って、研削機、研磨機用の給水装置を改良する必要性がある。こうした給水装置は、研削、研磨工程の間に片手で操作して水を供給可能であることが望ましい。一層望ましくは、供給ホースが自動的に格納され、かつ、研削機、研磨機のボールの外に水が放出されないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ボールを有した研削機、研磨機用引込式給水腕装置が、部分にループ状に形成され前記研削機、研磨機のベース部に1または複数の位置で固定された柔軟なホースを含む。前記柔軟なホースは前記ベース部に固定された固定部分と、引出引込自在な部分とを有する。
水放出部が、前記引出引込自在な部分の端部に取付けられている。
【0009】
アームが、前記ベース部に取付けられており、前記ループ状に形成された部分に係合する。前記ホースの移動と共に移動して該ホースに張力を作用する。該アームはローラーを有し、前記ホースが該ローラー上を移動し、該アームによって前記柔軟なホースが引込まれた状に付勢される。
【0010】
前記ベース部にマウント部が取付けられており、該マウント部に前記水放出部が着座すると共に、該マウント部を通して前記ホースが移動する。前記水放出部および前記ホースの前記引出引込自在の部分が、前記研削機、研磨機から引込まれ、かつ、前記付勢されたアームによって、前記水放出部および引出引込自在の部分が前記研削機、研磨機内に引戻される。
【0011】
前記マウント部を通して前記引出引込自在の部分を案内するためのマウントローラーが前記マウント部に取付けられている。前記マウント部に対する前記水放出部の回転動作を制限するための動作制限要素が、前記水放出部および前記マウント部に設けられている。前記動作制限要素は、前記水放出部に設けられたピンと、前記マウント部に形成された切欠部とによって、前記ボールに対する前記水放出部の位置を維持することができる。
前記ローラーは、プラスチックのような損傷防止材料から形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の原理を実施する引込式給水腕装置を有した研削機、研磨機の正面図である。
【図2】図1の研削機、研磨機の平面図である。
【図3】研削機、研磨機の底面斜視図であり、引込式給水腕装置を示す図である。
【図4】研削機、研磨機の底面図である。
【図5】引込式給水腕装置のアームと供給ホースの分解図である。
【図6】引込式給水腕装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点は、添付した写真(Ph.)および図面(FIG.)を参照して説明する以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【0014】
本発明は種々の形態にて実施可能であるが、現時点において好ましい実施形態を添付図面に示し以下に説明する。本開示は本発明の一例であって、説明する実施形態に本発明を限定する趣旨ではない。
【0015】
更に、本明細書におけるこの項目「本発明の詳細な説明」は、米国特許庁の要求に関連し、ここに開示する主題を制限する趣旨ではないことは理解されよう。
【0016】
添付図面、特に図1、2を参照すると、研削機、研磨機10は、本発明の原理を採用した給水腕装置12を有する。研削機、研磨機10は、概略的にベース部14、ヘッド16および制御パネル18を含む。
【0017】
ベース部14には、回転盤20と流体供給、水洗(水供給)装置が配設されている。ベース部14には、また、収集ボール22が配設されており、該収集ボール内に研削または研磨する間に発生した屑と共に前記流体が収集される。
【0018】
後述するように、工程の間に発生した洗い流すべき屑は多量となることがある。従って、装置12は、研削機、研磨機10全体の不可欠で重要な部分である。
【0019】
周知の研削機、研磨機は給水腕装置を有しており、ベース部に取付けられたホース(該ホースにもベース部から供給される)から前記給水腕装置に供給される。前記給水腕装置は、単にベース部から引張られ、完了するとホースはベース部内に差戻さなければならない。これは、ホースをベース部内に差戻すために手を使わなければならないという問題がある。
【0020】
本装置12は、片手で操作可能な引込式ホース組立体24を用いている。装置12は、水放出ハンドルまたは水放出部11およびループホース26を含んでいる。ループホースの一部26aがベース部14に固定されており、ループホースの他の部分(ループ26b)が、撓んでベース部から引出したり、同ベース部内に引込んだりすることができるようになっている(つまり、引出引込自在部分となっている)。ホース26の可撓性部分(引出引込自在部分26b)は、バネによって付勢されたローラーアーム28によってベース部14に取付けられている。ローラーアーム28は、回動点32において1または複数のベアリング32によってベース部14に取付けられている。水放出部ヘッド11がベース部14に静置されている(図1、2)間、ローラーアーム28がホース26bの弛みを除去する。この位置では、図3、4に示すように、バネ34は弛緩した状態にあり、ホース26は、ベース部14の上壁の下面36上で伸びた状態にある。
【0021】
本装置では、ホースの固定部分26aは、ナイロンクリップのようなクリップ38によって3点でベース部14に固定されている。ローラーアーム28に先端部にはローラー40が取付けられており、該ローラー40にホースのループ部分26bが装着されている。
【0022】
図6、7に本給水腕装置12を示す。装置12は、ベース部14に取付けられたマウント部44を含み、該マウント部はボア45を有している。該ボアを通してホース部分26bが移動する。マウント部44はローラー46を含み、該ローラーは一部がベース部14の上側に配置され、一部がベース部14の下側に配置される。ローラー46によってホース部分26bは、ベース部14の下側からベース部14の上側に方向転換する。ローラー46は、ホース部分26bをボア45に通すように、ボア45に対して一直線上に位置決めされる溝部48を有している。前記溝部は、また、ベース部14の下側でホース部分26bが移動する方向(矢印49)に対して一直線上に配置される。溝部48は、また、ベース部14から上方に(ホース部分26bがベース部14から引張られる方向)に対して一直線上に配置されている。
【0023】
ローラー46は、マウント部44に固定されたローラー取付部40によってマウント部44に取付けられている。ローラー46は、ホース部分26bがマウント部44(ベース部14)を通じて移動する際の円滑な経路を形成すると共に、ホース部分26bの自由な移動を阻害するようなエッジや表面、部分から該ホース部分26bを遠ざける。ローラー46は、また、ホース部分26bに切り傷や磨耗したりすることを防止する。好ましくは、ローラー40、46は、円滑な損傷防止プラスチック材料のような損傷防止材料から形成される。
【0024】
ホース部分26bは、継手52によって水放出部11(ベース部14から引出され、同ベース部内に引込まれる部分)に取付けられている。継手52は、好ましくは、迅速継手より成り、円錐部材54内に配置される。ホース部分26bは、マウント部44から引出されたり同マウント部内に引込まれるときに、円錐部材54によって保護される。円錐部材54は継手52上に配置され、継手52(すなわちホース部分26b)の装置12からの脱離を防止する。
【0025】
水放出部11は、また、該水放出部11の底部58に取付けられた位置決めピン56を含んでいる。該位置決めピンは、マウント部44に形成されたスロットまたは切欠部60内に配置されるようになっている。位置決めピン56は、水放出部11がマウント部44に対してある程度動作(回転)することを許容するが、水放出部11がボール22の外部へ回転し過ぎることを防止する。こうして、上記協働する要素(位置決めピン56とスロットまたは切欠部60)によって、水放出部11はボール22の上方に保持され、該水放出部11がマウント部44内に休止位置にあるときに該水放出部が回転して、水がボール22の外に放出されてしまうことを防止する。
【0026】
本引込式給水腕装置12は、周知のホースシステムに対して多くの利点がある。第1に、緊張したローラーアーム28によって、ホース部分26bが縺れることが防止されると共に、ホース部分26bが、研削機、研磨機のベース部14において「安全な」位置に復帰する。また、ホース部分26bの緩みが除去され、かつ、該ホース部分をベース部の開口部内に押し戻す必要がなくなる。これによって、片手で操作可能となり、水放出部11が研削機、研磨機のベース部14にはっきりと確実に復帰可能となる。
【0027】
本明細書中で参照した全ての特許文献は、本明細書中において特段の記載の有る無しに拘らず、本願と一体をなすものとして引用する。
【0028】
本明細書中において「a」または「an」との記載は単数および複数の双方を含むものとする。反対に、複数形にて示される記載であっても、それが適切である場合には単数を含むものとする。
【0029】
本発明の新規な概念の精神と範囲とから逸脱することなく、種々の修正と変形が可能であることは理解されよう。また、図示する特定の実施形態は本発明を制限する趣旨ではなく、またそのように推論すべきではない。ここに開示された内容は、本発明の範囲内に含まれるそうした全ての修正をカバーするものである。
【符号の説明】
【0030】
10 研削機、研磨機
11 水放出部
12 引込式給水腕装置
14 ベース部
16 ヘッド
18 制御パネル
20 回転盤
22 収集ボール
22 ボール
24 引込式ホース組立体
26 ループホース
26a ホースの固定部分
26b ホースの引出引込自在部分(ループ部分)
28 ローラーアーム
32 回動点
34 バネ
36 上壁の下面
38 クリップ
40 ローラー
44 マウント部
45 ボア
46 ローラー
48 溝部
49 矢印
52 継手
56 位置決めピン
58 底部
60 スロットまたは切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを有した研削機、研磨機用引込式給水腕装置において、
部分にループ状に形成され前記研削機、研磨機のベース部に少なくとも一ヶ所で固定された柔軟なホースであって固定部分と引出引込自在な部分とを有した柔軟なホースと、
前記引出引込自在な部分の端部に取付けられた水放出部と、
前記ループ状に形成された部分に係合し、前記ホースの移動と共に移動して該ホースに張力を作用する勢されたアームであって、該アームはローラーを有し、前記ホースが該ローラー上を移動し、該付勢されたアームによって前記柔軟なホースが引込まれた状に付勢されるようにしたアームと、
前記水放出部が着座するマウント部であって、該マウント部を通して前記ホースが移動するようにしたマウント部とを具備し、
前記水放出部および前記ホースの前記引出引込自在の部分が前記研削機、研磨機から引込まれ、かつ、前記付勢されたアームが、前記水放出部および引出引込自在の部分を前記研削機、研磨機内に引戻すようにした引込式給水腕装置。
【請求項2】
前記マウント部に取付けられ前記マウント部を通して前記引出引込自在の部分を案内するためのマウントローラーを更に具備する請求項1に記載の引込式給水腕装置。
【請求項3】
前記アームを付勢するための付勢部材を更に具備する請求項1に記載の引込式給水腕装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記アームの一端と前記研削機、、研磨機の他端とに取付けられたバネである請求項3に記載の引込式給水腕装置。
【請求項5】
前記水放出部および前記マウント部に設けられ、前記マウント部に対する前記水放出部の回転動作を制限するための動作制限要素を更に具備する請求項1に記載の引込式給水腕装置。
【請求項6】
前記動作制限要素は、前記水放出部に設けられたピンと、前記マウント部に形成され前記ボールに対する前記水放出部の位置を維持する切欠部とを含む請求項5に記載の引込式給水腕装置。
【請求項7】
前記固定部分が、前記研削機、研磨機に固定された複数の取付要素によって固定された状態に維持される請求項1に記載の引込式給水腕装置。
【請求項8】
取付要素がクリップである請求項7に記載の引込式給水腕装置。
【請求項9】
前記マウントローラーには、前記引出引込自在の部分を前記マウント部のボアを通じて方向づけるための溝部が形成されている請求項2に記載の引込式給水腕装置。
【請求項10】
前記アームのローラーおよび前記マウントローラーが、損傷防止材料から形成されている請求項2に記載の引込式給水腕装置。
【請求項11】
前記損傷防止材料がプラスチックである請求項10に記載の引込式給水腕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−501865(P2012−501865A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526884(P2011−526884)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/052199
【国際公開番号】WO2010/030442
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】