説明

研磨剤の供給方法及び装置とコアビット

【課題】支柱に昇降可能に支持されるコアビットと、送りモータで構成され、コアビットを支柱に沿って送る送り装置を備えたコアドリルを用いて被削材へ穿孔する方法において、切れ味が低下したときに、研磨剤を必要量コアビット内に自動的に供給する方法を提供する。
【解決手段】検出手段46が送りモータ28の回転数を検出し、該検出値がしきい値を超えて低下したとき制御装置45が研磨剤を入れた容器37の電磁弁38を開き、容器内の研磨剤をコアビット内に供給する。制御装置45はタイマー49を備え、設定時間経過すると、電磁弁38が閉じ、研磨剤の供給が停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアドリルを用いてコンクリート等の被削材へ穿孔する方法において、切れ味が低下したとき、穿孔箇所に研磨剤を供給する方法及び装置と、前記方法で用いるコアビットに関する。
【背景技術】
【0002】
コアドリルは一般に図1に示すように、コンクリート等の被削材1上に固定される取付台2より立上がる支柱3と、該支柱3に支柱3に沿って移動可能に取付けられるヘッド4と、支柱3に添設のラック5及び該ラック5に噛合する図示しないピニオンよりなるピニオン・ラック機構(ピニオンの回転はモータによって行われるものと、図1に示すようにハンドル6の回転操作により手動で行われるものがある)よりなるヘッド4の送り装置と、ヘッド4に回転自在に軸支され、減速機付きモータ7よりなる駆動装置によって回転駆動されるシャフト8と、連結部9により前記シャフト8に捩じ込んだ取外し可能に取付けられ、先端にダイヤモンド砥粒で形成されるチップ11よりなる刃先部を備えたカップ状のコアビット12よりなり、被削材1への穿孔は取付台2を被削材1に取付けたのち、コアビット12を降下させて刃先部を被削材1に当ててコアビット12を回転駆動しながら送り装置で送って被削材1へ切り込みを入れることにより行われる。
【0003】
図2は、前記コアビット12により被削材1へ切り込みを入れた状態を示すもので、被削材1には刃先部により環状溝13が形成されると共に、該環状溝13で縁切りされて、コアビット12内に収まる円柱状のコア15が形成される。
【0004】
被削材1への切り込み時には、通常、刃先部の冷却と切粉の排出のため環状溝13に冷却水が供給されるか、或いは圧縮空気源よりエアが供給され、前者は湿式、後者は乾式と称される。
【0005】
湿式には、コアビットが連結されるシャフトを中空シャフトとし、該中空シャフトに設けたスイベルジョイント17(図1参照)にホース18を接続して給水手段、例えば水道の蛇口から冷却水をコアビット内に供給するタイプのもののほかに、コアビットの外部から冷却水を穿孔溝に向けて注水するタイプのものがある。
【0006】
一方、乾式には、中空シャフトのスイベルジョイントにホースを介してコンプレッサーを接続すると共に、コアビットが嵌合し、被削材に被せて装着される吸引パッドにホースを介して集塵機を接続し、コンプレッサーよりホース、スイベルジョイント及び中空シャフトを経てコアビット内に供給した圧縮空気を穿孔溝内のコアビット内外に通して刃先部を空冷し、穿孔溝内の切り粉を吸引パッド内に噴出したのち、該吸引パッドよりホースを介して集塵機で吸引排除する外部集塵方式(特許文献1)と、中空シャフトのスイベルジョイントにホースを介して集塵機を接続し、コアビット内のエアを吸引してコアビット外の外気を穿孔溝内に通してコアビット内に吸引し、これにより刃先部の冷却と切り粉の排出を行い、コアビット内の切り粉よりなる粉塵とエアを中空シャフト、スイベルジョイント及びホースを介して集塵機にて吸引排除する内部集塵方式(特許文献2)がある。
【0007】
前述の湿式及び乾式のいずれのタイプのものにおいても、刃先部のチップが目詰まりし、これにより穿孔途中で切れ止むことがある。この問題を解消し、穿孔時の切れ味を維持するために穿孔溝内にアルミナ等の研磨剤を供給して刃先部のドレッシング作用を促すことが行われ、研磨剤の供給方法には、穿孔開始から終了まで研磨剤を連続して供給するものと、研磨剤の供給を間欠的に行うものとがある。特許文献1には、研磨剤の供給をタイマーにより設定された一定時間間欠的に行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−104522号
【特許文献2】特開2003−19710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コアドリルを用いて被削材へ穿孔する方法において、切れ味が低下したときに、研磨剤をコアビット内に供給する方法及び装置と前記方法で用いるコアビットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に赤悪発明は、支柱と、該支柱に移動可能に取付けられるヘッドと、該ヘッドを支柱に沿って移動させる送り装置と、前記ヘッドに回転自在に軸支されるシャフトと、前記ヘッドに設けられ、シャフトを回転駆動させる駆動モータを有する駆動装置と、前記シャフトに取外し可能に取付けられ、先端にチップよりなる刃先部を備えたコアビットよりなるコアドリルを用い、前記コアビットを回転駆動させながら前記送り装置で送って被削材へ穿孔する方法において、コアビットの送り又は回転速度が低下し、或いは送り又は回転の負荷ないしトルクが上昇したときにコアビット内に刃先部を構成するチップに使用されるダイヤモンド砥粒の外径の1/3以下の粒径の研磨剤を供給することを特徴とする。
【0011】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、コアビットの送り又は回転速度が低下し、或いは送り又は回転の負荷ないしトルクが上昇したときに送り装置による送りを停止すると共に、前記駆動装置の駆動モータを停止してコアビットを一旦停止し、該停止状態でコアビットに形成した供給孔より研磨剤をコアビット内に供給することを特徴とし、
請求項3に係わる発明は、請求項2に係わる発明において、送り装置が送りモータを備えて送りが送りモータを駆動源として行われ、該送りモータの回転数又は負荷ないしトルクを検出手段により検出して、その検出値がしきい値を超えたときに制御装置が送り装置の送りモータと駆動装置の駆動モータを停止させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係わる発明は、請求項3に係わる発明において、前記検出手段が送りモータに代えて駆動装置の駆動モータの回転数に負荷ないしトルクを検出し、該検出値がしきい値を超えたときに制御装置が送り装置の送りモータと駆動装置の駆動モータを停止させることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係わる発明は、請求項1ないし4に係わる発明で用いるコアビットに関するもので、コアビットにはシャフトへの連結部付近にコアビットの内外に通ずる研磨剤の供給孔が形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係わる発明は、請求項4に係わる発明において、供給孔には取外し可能な閉塞手段が設けられることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、前記シャフトは、中空シャフトでスイベルジョイントを備え、研磨剤が研磨剤供給装置よりスイベルジョイント及び中空シャフトを介してコアビット内に供給されるようになっており、また送り装置が送りモータを備えて送りが送りモータを駆動源として行われ、該送りモータの回転数又は負荷を検出手段により検出して、その検出値がしきい値を超えたとき、前記供給装置から研磨剤がコアビット内に供給されることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係わる発明は、請求項7に係わる発明を実施する装置に関するもので、研磨剤が入れられる容器及び開閉可能な電磁弁を備え、該電磁弁が開くと、前記容器から研磨剤をコアビットに供給する研磨剤の供給装置と、送り装置を構成する送りモータの回転数又は負荷を検出する検出手段と、該検出手段により検出した検出値がしきい値を超えたとき、前記電磁弁を開く制御装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係わる発明によると、コアビットによる穿孔中、切れ味が低下してコアビットの送り又は回転速度が低下し、或いは送り又は回転の負荷ないしトルクが上昇すると、研磨剤がコアビット内に供給され、必要時に必要量の研磨剤を供給して刃先部のドレッシング作用を促し、切れ味を回復させることができること、刃先部を構成するチップに使用されるダイヤモンド砥粒のチップ表面への出張りは、健全な状態ではダイヤモンド砥粒の粒径のほぼ1/3以下であるため、ダイヤモンド砥粒外径の1/3以下の粒径の研磨剤を使用することにより研磨剤が刃先まで確実に供給できるようになること、等の効果を有する。なお、本発明方法は、前述の湿式でも、また乾式の場合、外部集塵方式に適用可能である。
【0018】
請求項2に係わる発明によると、コアビットに研磨剤の供給孔を備えたコアビットを用いるだけで、既存の従来のコアドリルを用いて被削材への穿孔作業を行うことができる。なお送りの負荷ないしトルクの増大は、図1に示すハンドル4の回動操作によって送りを行う場合、ハンドル4を回動操作する際の感触によって把握することができ、また送りモータにより行われる場合もコアビットの送り又は回転速度が大幅に低下することにより、目視にて把握することができる。
【0019】
請求項3又は4に係わる発明によると、送りモータ又は駆動モータの回転数或いは負荷ないしトルクを検出して、そのしきい値が設定値を超えたとき、制御装置によってコアビットを自動的に停止させることができる。
【0020】
請求項5に係わる発明のコアビットによると、コアビットの供給孔は連結部付近に設けられているため、供給孔が被削材表面に露出している限り研磨剤を供給することができる。
【0021】
湿式による穿孔時においては多くの場合、被削材表面が冷却水で水浸しにならないように、穿孔箇所の周りを水処理パッドで覆うが、供給孔が設けられていると、該供給孔から冷却水が飛び散るおそれがある。また乾式の場合、供給孔から圧縮空気が吹き出るおそれがあり、作業環境を悪化させるが、請求項6に係わる発明のように、供給孔に閉塞手段を設けておくと、前記のような冷却水の飛散や圧縮空気の噴出しを防ぐことができる。
【0022】
請求項7及び8に係わる発明によると、コアビットへの研磨剤の供給を所要時に自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来例のコアドリルの正面図。
【図2】コアビットにより被削材に切り込みを入れた状態を示す断面図。
【図3】本発明に係わる装置の模式図。
【図4】本発明に係わる別の装置の模式図。
【図5】コアビットに研磨剤を供給する態様の例を示す断面図。
【図6】コアビットにゴムバンドを装着して供給孔を塞いだコアビットの正面図。
【図7】乾式タイプのコアドリルによる穿孔時の状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係わる実施形態について図面により説明する。
コアドリルは主としてコンクリート等の被削材へ穿孔するのに使用されるが、被削材からテストピース採取のため、円柱状のコアを採取するのにも使用され、それに関連した一つの用法として、被削材としてのサファイアボウルからコアを採取し、該コアを軸と直交する方向に切断したのち、整形研磨して円板状の単結晶基盤(以下、ウエハという)を製造するのにも使用可能である。
【0025】
図3は、コアドリル21を用いてサファイアボウル22に切り込みを入れ、該サファイアボウル22から円柱状のコア23(点線で囲まれる部分)を採取する装置の模式図を示すもので、コアドリル21は、取付台20に縦設される支柱24と、該支柱24に昇降(移動)可能に取付けられ、支柱24に添設のラック25と噛合するピニオン(図示しない)、更には前記支柱24と平行をなして縦向きに回転自在に軸支される中空状のシャフト26を備えたヘッド27と、該ヘッド27に取付けられ、前記ピニオンを回転駆動する送りモータ28(この送りモータ28と、前記ピニオンラック機構は後述するコアビット31の送り装置を構成するが、送り装置は、これ以外に周知の他の直線運動機構、例えばボールネジと該ボールネジに捩じ込まれるナットよりなる機構を用いることができる)及び前記シャフト26を回転駆動する駆動モータ29を有する駆動装置と、前記シャフト26に捩じ込んで取外し可能に取付けられるコアビット31よりなり、以下、前記中空状のシャフト26及びコアビット31について詳述する。
【0026】
シャフト26はスイベルジョイント33、34を備え、上側のスイベルジョイント33は給水手段、例えば水道の蛇口とホース(図示しない)を介して接続され、また下側のスイベルジョイント34にはチューブを介して研磨材が入れられる容器37の電磁弁38に接続されており(容器37と電磁弁38は研磨材の供給装置を構成する)、給水手段から冷却水がホース、スイベルジョイント33及びシャフト26を介してコアビット内に供給されるようにしている。
【0027】
また前記電磁弁38を開いたときには、容器内の研磨剤がチューブ、スイベルジョイント34及びシャフト26を介してコアビット内に供給され、研磨剤がシャフト内に付着するようなことがあっても、上側から流入する冷却水で洗い流され、コアビット内に流入するようになっている。
【0028】
コアビット31は図1に示す従来のコアビット9と同様、先端にダイヤモンド砥粒で形成されるチップ41よりなる刃先部を備え、連結部42で、前記中空部のシャフト26に捩じ込んで取外し可能に取付けられるようになっている。
【0029】
サファイアボウル22からコアを採取する際には、コアビット下にサファイアボウル22を設置したのち、送りモータ28及び駆動モータ29を起動し、コアビット先端の刃先部をサファイアボウル22に当てて切り込みを行う。切り込みは刃先部がサファイアボウル22を突き抜けるまで行われ、この間、給水手段から冷却水がホース、スイベルジョイント33及び中空状のシャフト26を経てコアビット内に供給され、環状溝43にコアビット内側から注入して刃先部の冷却と、環状溝内の切粉の排出を行う。
【0030】
穿孔中、環状溝43から冷却水がコアビット外に流出するが、この種湿式のコアドリルで多く用いられているように、コアビット31に回転に支障を生ずることなく嵌合し、かつサファイアボウル22に被さる水処理パッドを設けて冷却水が周囲に拡がらないようにしてもよい。
【0031】
穿孔中においてはまた、環状溝内での目詰まりにより切れ味が低下することがある。この問題に対処するため、図3に示す装置では、コアビット31の送りモータ28の回転数がしきい値を越えて低下したとき、或いは送りモータ28の負荷ないしトルクがしきい値を超えて上昇したとき、前記電磁弁38を開いて容器37内の研磨剤36がチューブ、スイベルジョイント34及びシャフト26を介してコアビット内に供給されるようになっている。ここでしようされる研磨剤は、刃先部を構成するチップ41に使用されるダイヤモンド砥粒の外径の1/3以下の粒計をなすアルミナ等よりなり、チップ表面に突出するダイヤモンド砥粒の突出量はダイヤモンド砥粒の粒径の1/3であるため、供給された研磨剤は刃先まで確実に行き渡るようになる。
【0032】
電磁弁38の開閉を制御するために図3に示す装置では、制御装置45が設けられ、前述の送りモータ28には、例えば該モータ28の回転数を検出するエンコーダ、或いは該モータ28の駆動時の負荷ないしトルクを検出する電流計ないしトルク計よりなる検出手段46が設けられる。
【0033】
前記制御装置45は、前記電磁弁38の開閉を制御する制御部47と、前記モータ28の回転数或いは負荷ないしトルクのしきい値を格納する記憶部48と、テンキー等の外部入力手段によって時間設定されるタイマー49と、前記記憶部48に格納されたしきい値と前記検出手段により検出された検出値とを比較し、該検出値がしきい値を超えたとき、すなわち前述する例でいえば、検出された回転数がしきい値を超えて低下したとき、或いは検出された電流値ないしトルク値がしきい値を超えて上昇したとき、前記制御部47とタイマー49に出力する比較部50よりなり、タイマー49は比較部50からの入力によりカウントを開始し、カウントが設定数に達したとき制御部47に出力するようになっており、制御部47は比較部50からの入力により電磁弁38を開き、タイマー49からの入力により電磁弁を閉じるように制御する。
【0034】
本装置によると、サファイアボウル22への穿孔中、切れ味の低下に伴い、送りモータ28の回転数が低下し、或いは送りモータ28の負荷ないしトルクが上昇すると、コアビット内に研磨剤がタイマー48によって設定された時間自動的に供給され、刃先部のドレッシング作用を促して切れ味の低下を防ぐ。
【0035】
図4に示す装置では、研磨剤のコアビットへの供給が自動的に行われるのではなく、コアビットを停止した状態で、手動で行われるようにされている。そのためにコアドリル51のコアビット52には、シャフト53への連結部54付近に続くコアビット底(天井)壁にコアビット52の内外に通ずる研磨剤の供給孔55が設けられ(シャフト53には冷却水用のスイベルジョイント56のみで研磨剤用のスイベルジョイントは設けられていない)、制御装置58は前述する検出手段46で検出された送りモータ28の回転数がしきい値を超えて低下し、或いは負荷ないしトルクがしきい値を超えて上昇したとき、前記送りモータ28及び駆動モータ29を制御して停止させるようになっている。
【0036】
本装置によると、サファイアボウル22への穿孔中、切れ味の低下に伴い、送りモータ28の回転数が低下し、或いは送りモータ28の負荷ないしトルクが上昇すると、前記制御装置58の出力により、送りモータ28及び駆動モータ29が停止し、停止後、研磨剤入りのスポイドポンプ59を用い、該ポンプ59を押操作して前記供給孔55を通じ、研磨剤をコアビット内に注入する。
【0037】
研磨剤注入後、前記供給孔55には閉塞手段としてのプラグが装着され、塞がれる。これにより冷却水や研磨剤が供給孔55を通してコアビット外に飛散するのを防ぐことができる。
【0038】
図5は、図4に示す装置のコアビット52に代えて供給孔64を連結部65下のコアビット底(天井)壁に隣接するコアビット上端に形成したコアビット66を用いてサファイアボウル22に穿孔中、切れ味が低下したとき、コアビット66の回転及び送りを一時停止して停止状態で供給孔64より研磨剤入りのスポイドポンプ59を用いて研磨剤をコアビット内に供給する例を示すものである。なお、前述する供給孔64はコアビット66の外径が連結部65より大である場合、図4及び図6に示すように、コアビット底壁にも、又コアビット周壁にも形成することができるが、コアビット66の外径が連結部65と同一であるか、コアビット底壁に供給孔を形成できる程のスペース上の余裕がない場合、コアビット上端の周壁に形成される。
【0039】
前述する実施形態では、検出手段41は送りモータ28の回転数或いは送りモータ28の負荷ないしトルクを検出し、該検出値がしきい値を超えたとき、コアビット内に研磨剤を自動的に供給するか、コアビットの回転及び送りを停止して研磨剤を手動にて注入するようにしているが、検出手段が駆動装置の駆動モータ29の回転数或いは該駆動モータ29の負荷ないしトルクを検出し、該検出値がしきい値を超えたとき、コアビット内に研磨剤を自動的に供給するか、コアビットの回転及び送りを停止して研磨剤を手動にて注入するようにしてもよい。
【0040】
前述の実施形態ではまた、シャフト26、53にスイベルジョイント33、56を設けて冷却水を給水手段よりシャフト26、53に通し、コアビット31、52に供給するようにしているが、冷却水はコアビット外部から供給するようにしてもよい。この場合、シャフト26、53のスイベルジョイント33、56を省くことができ、シャフト26、53も中空状にする必要がない。
【0041】
前述の実施形態では、送り装置は送りモータ28を備え、送りが送りモータ28によって行われるようになっているが、図1に示すコアドリルのようにハンドル4を備え、送りをハンドル4の回動操作によって行うようにしてもよい。この場合、ハンドル4を回動操作する際の感触によって切れ味の低下を把握することができる。研磨剤の供給は、ハンドル4操作が重くなったときに駆動モータ29を停止して行われるが、駆動モータ29の回転数或いは負荷ないしトルクを前記検出手段41で検出して、検出値がしきい値を超えたとき、駆動モータ29を停止して行うこともできる。
【0042】
前述の実施形態においてはまた、穿孔時のコアビット31、52、66の刃先部の冷却と切粉の排出は冷却水によって行うようになっているが、コアビット内に導入した圧縮空気によって行うようにすることもできる。
前述の実施形態ではまた、前記装置は、その使用例の一つとしてサファイアボウル22への穿孔を示したが、コンクリート等の被削材への穿孔にも勿論使用可能である。
【0043】
図6は、閉塞手段であるプラグ61を備えたゴムバンド62を図5に示すコアビット66に装着し、プラグ61を前記供給孔64に嵌着した例を示すものである。
【0044】
図7は、図3に示すコアドリル21において、スイベルジョイント33に冷却水の供給源に代えて圧縮空気源であるコンプレッサー(図示しない)を接続したもので、コンプレッサーから圧縮空気がコアビット31内に導入され、刃先部の冷却と環状溝からの切り粉の排出を行うようになっており、コアビット31には粉塵が飛散するのを防止するため、コンクリート等の被削材67に当てがわれるゴム製の吸収パッド69が装着され、該吸収パッド69には集塵機(図示しない)が接続されて粉塵が吸引されるようになっている。なお、図7に示す装置には、図示省略してあるが、図3に示す装置と同様、研磨剤36を入れる容器37や電磁弁38の制御装置45等を備え、研磨剤の供給制御が行われるようになっている。
【符号の説明】
【0045】
21、51・・コアドリル
22・・サファイアボウル
23・・コア
24・・支柱
25・・ラック
26、53・・シャフト
27・・ヘッド
28・・送りモータ
29・・駆動モータ
31、52、66・・コアビット
33、34、56・・スイベルジョイント
36・・研磨剤
37・・容器
38・・電磁弁
41・・チップ
42、54、65・・連結部
43・・環状溝
45、58・・制御装置
46・・検出手段
47・・制御部
48・・記憶部
49・・タイマー
50・・比較部
55、64・・供給孔
59・・スポイドポンプ
61・・プラグ
62・・ゴムバンド
67・・被削材
69・・吸引パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、該支柱に移動可能に取付けられるヘッドと、該ヘッドを支柱に沿って移動させる送り装置と、前記ヘッドに回転自在に軸支されるシャフトと、前記ヘッドに設けられ、シャフトを回転駆動させる駆動モータを有する駆動装置と、前記シャフトに取外し可能に取付けられ、先端にチップよりなる刃先部を備えたコアビットよりなるコアドリルを用い、前記コアビットを回転駆動させながら前記送り装置で送って被削材へ穿孔する方法において、コアビットの送り又は回転速度が低下し、或いは送り又は回転の負荷ないしトルクが上昇したときにコアビット内に刃先部を構成するチップに使用されるダイヤモンド砥粒の外径の1/3以下の粒径の研磨剤を供給することを特徴とする研磨剤の供給方法。
【請求項2】
コアビットの送り又は回転速度が低下し、或いは送り又は回転の負荷ないしトルクが上昇したときに送り装置による送りを停止すると共に、前記駆動装置の駆動モータを停止してコアビットを一旦停止し、該停止状態でコアビットに形成した供給孔より研磨剤をコアビット内に供給することを特徴とする請求項1記載の研磨剤の供給方法。
【請求項3】
送り装置が送りモータを備えて送りが送りモータを駆動源として行われ、該送りモータの回転数又は負荷ないしトルクを検出手段により検出して、その検出値がしきい値を超えたときに制御装置が送り装置の送りモータと駆動装置の駆動モータを停止させることを特徴とする請求項2記載の研磨剤の供給方法。
【請求項4】
前記検出手段が送りモータに代えて駆動装置の駆動モータの回転数に負荷ないしトルクを検出し、該検出値がしきい値を超えたときに制御装置が送り装置の送りモータと駆動装置の駆動モータを停止させることを特徴とする請求項3記載の研磨剤の供給方法。
【請求項5】
請求項1ないし4記載の研磨剤の供給方法で用いるコアビットであって、該コアビットにはシャフトへの連結部付近にコアビットの内外に通ずる研磨剤の供給孔が形成されることを特徴とするコアビット。
【請求項6】
前記供給孔には取外し可能な閉塞手段が設けられることを特徴とする請求項5記載の研磨剤の供給方法。
【請求項7】
前記シャフトは、中空シャフトでスイベルジョイントを備え、研磨剤が研磨剤供給装置よりスイベルジョイント及び中空シャフトを介してコアビット内に供給されるようになっており、また送り装置が送りモータを備えて送りが送りモータを駆動源として行われ、該送りモータの回転数又は負荷を検出手段により検出して、その検出値がしきい値を超えたとき、前記供給装置から研磨剤がコアビット内に供給されることを特徴とする請求項1記載の研磨剤の供給方法。
【請求項8】
請求項7記載の研磨剤の供給方法を実施する装置であって、研磨剤が入れられる容器及び開閉可能な電磁弁を備え、該電磁弁が開くと、前記容器から研磨剤をコアビットに供給する研磨剤の供給装置と、送り装置を構成する送りモータの回転数又は負荷を検出する検出手段と、該検出手段により検出した検出値がしきい値を超えたとき、前記電磁弁を開く制御装置を設けたことを特徴とする研磨剤の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−111151(P2012−111151A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262764(P2010−262764)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000165424)株式会社コンセック (30)
【Fターム(参考)】