説明

破岩機および潤滑方法

【課題】新規で改良された破岩機および破岩機の工具の潤滑方法を提供。
【解決手段】本発明は破岩機および破岩機の工具の潤滑方法に関する。潤滑系は、少なくとも1つの潤滑剤路(23)を含み、これに潤滑剤を潤滑装置(24)によって給送する。潤滑剤を破岩機の工具(6、13)の軸受部材(19)へ供給する。潤滑装置は潤滑剤容器(25)および給送装置(26)を含む。給送装置(26)は、潤滑剤の潤滑剤路への給送を制御する。潤滑剤容器(25)は破岩機の本体(17、18)に一体化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破岩機に関するものであり、これは、本体と、破岩機に接続可能な工具に衝撃パルスを発生させる打撃装置と、工具を破岩機に支持する軸受部材と、軸受部材を潤滑する潤滑系とを含み、この潤滑系は、少なくとも1つの潤滑剤路、および潤滑剤を潤滑剤路に沿って工具の軸受部材へ給送する少なくとも1つの潤滑装置を含み、潤滑装置は、少なくとも1つの潤滑剤容器、および潤滑剤を給送する給送装置を含み、潤滑剤容器は破岩機の本体に配設されている。
【0002】
本発明はさらに、破岩機の工具の潤滑方法にも関する。この破岩機は、本体と、破岩機に接続可能な工具に衝撃パルスを発生させる打撃装置と、工具を破岩機に支持する軸受部材、および軸受部材を潤滑する潤滑系とを含み、本方法は、潤滑剤を潤滑剤容器から潤滑剤路に沿って工具の軸受部材へ潤滑装置によって給送し、潤滑剤を破岩機の本体に形成された潤滑剤容器に蓄積することを含むものである。
【背景技術】
【0003】
衝撃ハンマや削岩機などの破岩機は、破岩機の打撃装置により衝撃パルスが与えられる工具を含む。衝撃パルスの影響により、工具は被作用材料を破砕し、これに貫入する。工具は破岩機の本体に軸支され、破岩機の稼働中、長手方向に動くことができる。さらに削岩機では、工具は通常、穿孔中、その長手方向軸を中心に回動する。破岩機の工具およびその軸受は、使用中、強い応力を受ける。そこで、破岩機に潤滑装置を設けて、潤滑剤を工具の軸受手段に給送することが公知である。潤滑装置は、潤滑剤容器および潤滑剤ポンプを含み、これらは通常、破岩機の外表面、例えば破岩機を囲繞する保護ケース内に配設されている。その場合、潤滑装置は、使用中、衝撃および不純物を受けやすい。更なる既知の問題点は、潤滑剤を離れた潤滑剤容器から軸受部材へ給送するのが困難なことである。とりわけ冷間状態では、潤滑が不十分なことがあるが、これは、破岩機の外表面に配設された潤滑剤容器内で潤滑剤が冷えて硬くなるためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規で改良された破岩機および破岩機の工具の潤滑方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による破岩機は、以下の特徴を有する。すなわち、潤滑剤容器の内部が圧力空間および潤滑剤空間に分割部材で分割され、分割部材は、圧力空間および潤滑剤空間の容積を決めるべく配設され、圧力空間は圧力媒体路に接続され、圧力媒体路は、内部に圧力媒体を供給することで圧力空間を加圧することができ、潤滑剤を潤滑剤空間に蓄積可能であり、圧力空間に作用する圧力媒体の圧力は、潤滑剤空間内の潤滑剤を分割部材によって加圧するように配設され、潤滑剤空間は給送装置に接続され、給送装置は、潤滑剤の潤滑剤空間から潤滑剤路への給送を制御するように構成されている。
【0006】
本発明による方法は、以下の特徴を有する。すなわち、潤滑剤容器内に設けられた潤滑剤空間に潤滑剤を蓄積し、加圧された媒体の圧力を潤滑剤容器の圧力空間に供給し、この圧力空間は、潤滑剤空間から分割部材によって分離され、分割部材を潤滑剤空間の方へ圧力媒体によって押圧することによって潤滑剤空間内の潤滑剤を加圧し、所定の回文の潤滑剤を潤滑剤路内へ潤滑装置によって取り込む。
【0007】
本発明の基本思想は、潤滑系に含まれる潤滑剤容器が破岩機の本体に対応して配設されていることである。破岩機の本体には潤滑剤容器用の空間が設けられている。また、潤滑剤容器の内部は、分割部材によって圧力空間および潤滑剤空間に分割されている。その場合、分割部材は、圧力空間および潤滑剤空間の容積の大きさを決めるように配設されている。圧力媒体路からの圧力媒体を圧力空間へ給送することができ、これによって加圧圧力空間の加圧が可能である。潤滑剤を給送路に沿って給送し、潤滑剤カートリッジを潤滑剤空間に配設し、または潤滑剤空間を他の方法で充填すること、これを潤滑剤空間に蓄積することができる。さらに、圧力空間に作用する圧力媒体の圧力は、潤滑剤空間内の潤滑剤を分割部材で加圧するように構成され、これによって潤滑剤が潤滑剤空間から給送装置へ流れることができ、給送装置は、潤滑剤の潤滑剤路内への給送を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の利点は、本体内に配設された潤滑剤容器内の潤滑剤が破岩機の稼働中の温度で暖められ、そのため冷間状態での効果的な潤滑も可能であることである。暖かい潤滑剤は、冷えた硬い潤滑剤より容易に流れる。本発明による潤滑剤の被潤滑物への潤滑剤容器からの移送は、問題ない。破岩機の工具の十分な潤滑があらゆる状態で保証されるので、工具および破岩機の稼動寿命が延び、保守の必要回数が減少する。別な利点は、分割部材によって潤滑剤および圧力媒体が互いに分離されたままに維持され、その場合、潤滑剤が圧力媒体系に流れ込んだり、圧力媒体が潤滑系に流れ込んだりすることがない。これによって、潤滑系および圧力媒体系が確実に機能する。
【0009】
本発明による実施例の基本思想は、潤滑剤容器の他に、潤滑系に含まれる潤滑剤路および潤滑装置が破岩機の本体に組み込まれていることである。その場合、潤滑剤容器から潤滑装置へ、さらに被潤滑物への距離は、短くてもよい。更なる利点は、潤滑系全体が破岩機の本体で覆われていることである。潤滑剤容器、給送装置および潤滑剤路内の潤滑剤の温度はまた、破岩機の作動温度に実質的に相当していてよい。この実施例は、潤滑剤ホースを何ら必要とせず、そのため、構体の耐久性が増し、保守の必要回数が減少する。
【0010】
本発明による実施例の基本思想は、給送装置は、潤滑剤の流れを制御する弁でよく、または給送装置は、潤滑剤圧力をさらに上昇させるポンプ部材を含んでもよいことである。
【0011】
本発明による実施例の基本思想は、潤滑剤容器が円筒状空間であり、これが破岩機の本体内に形成され、圧力空間および潤滑剤空間に分割部材で分割されていることである。分割部材はピストンであり、これは、潤滑剤容器の円筒状表面に対して封止されている。ピストンは、圧力空間および潤滑剤空間内に作用するそれぞれの圧力の間の圧力差に応じて潤滑剤容器の長手方向に自由に動くように構成されている。破岩機の本体内のこのような円筒状空間の形成は、比較的単純である。
【0012】
本発明による実施の基本思想例は、潤滑剤容器は、圧力バッグなどの、少なくとも1つの媒体膜が設けられた空間であることである。媒体膜によって、潤滑剤容器の内部が圧力側および潤滑剤側に分割される。媒体膜が潤滑剤容器内に配設されたバッグであれば、潤滑剤はバッグ内にあってよく、圧力媒体の圧力は、バッグの外表面および潤滑剤容器の内表面で画成された空間内で作用する。またはその逆、すなわち、潤滑剤がバッグの外側にあり、圧力媒体がバッグの内側にある。
【0013】
本発明による実施例の基本思想は、潤滑装置に含まれる給送装置は、加圧された潤滑剤の潤滑剤容器の潤滑剤空間から潤滑剤路への給送を制御するように構成されていることである。給送装置は給送要素を含み、これには給送空間が設けられ、給送装置が潤滑剤給送のために装填されると、所定の量の潤滑剤を潤滑剤容器から受け取る。給送要素はさらに、押圧部材を含み、これは、給送要素が所定の制御方法に従って駆動されると、給送空間内にある回文の潤滑剤を潤滑剤路内へ押圧するように構成されている。給送装置は、破岩機の正常使用中、装填され、通常使用を中断すると、駆動することができる。圧力媒体作動型打撃装置に関して、打撃装置が加圧されると、給送装置は装填することができ、また、その駆動は、打撃装置が停止し圧力がそこから放出されると、行なうことができる。
【0014】
本発明による実施例の基本思想は、破岩機の本体に中空空間が設けられ、潤滑剤容器は、この中空空間に配設することができる着脱可能部品であることである。その場合、潤滑剤容器は、本体とは別の部品として製造してもよく、これによって製造が容易になる。さらに、必要により、潤滑剤容器は本体から、例えば保守や潤滑剤充填のため、取り外すことができる。しかし、使用中は、潤滑剤容器は破岩機の本体内部にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0016】
簡単のため、各図は、本発明のいくつかの実施例を単純化して示す。同様の参照符号は、各図において同様の部分を示す。
【0017】
図1において、衝撃ハンマ3が掘削機1のブーム2に配設されている。衝撃ハンマ3は、被破壊材料4に対してブーム2によって押圧されて、衝撃ハンマ3に設けられた打撃装置5が衝撃ハンマ3に接続された工具6に衝撃パルスを与えることができる。工具6は、衝撃パルスを、岩、コンクリートまたは他の硬い材料などの被操作材料4に伝達し、これを破壊する。衝撃ハンマ3は、何らかの可動基台装置、すなわち、例えば固定基台に装着された穿孔ブームに配設することができる。衝撃ハンマ3は、圧力媒体で作動してもよく、その場合、掘削機1などの油圧系に接続してもよい。他方、衝撃ハンマ3の打撃装置5は、他の方法で電気的に作動させてもよい。
【0018】
図2は削岩機7を示し、これは、削岩リグのドリルブーム8に配設してもよい。削岩機7は、給送ビーム9および削岩機10を含んでよく、削岩機は、給送ビーム9によって給送装置11を使って動くことができる。削岩機10は打撃装置12を含んでよく、これは、削岩機に接続された工具13に衝撃パルスを与えて、被穿孔材料14が破壊し、工具13が材料に貫入する。削岩機10はさらに、回動装置15を含み、これは、穿孔中、工具13をその長手方向軸を中心に回動させる。削岩機10には、本発明による潤滑系を設けることができ、これは、潤滑剤を工具の端部の軸受面に削岩機10の方へ給送する。工具13は通常、削岩機10に含まれるシャンク16に接続され、その場合、工具13を支持する軸受部材がシャンク16および削岩機の本体17の間に形成されている。この適用例では、工具に接続されたシャンクおよび他の要素も工具の一部と考える。
【0019】
図3は、衝撃ハンマ3の構造を示す断面図である。衝撃ハンマ3は本体18を含み、これは、前本体18aおよび後本体18bを含んでよい。本体18は、単一部品のみからなってもよく、または3つ以上の部品からなってもよい。前本体18aは、1つ以上の軸受手段19を有してよく、これは、工具6を本体18に支持するものである。図3に示すように、軸受手段19は、第1の軸受スリーブ19aおよび第2の軸受スリーブ19bを含んでよく、これらは、摺動軸受であってよい。軸受手段19によって工具6は、衝撃パルスの影響で軸方向に動くことができる。工具6は、衝撃ハンマ3に保持部材20によって接続してもよい。衝撃ハンマの後本体18bは打撃装置5を含み、これは、衝撃パルスを発生し、これを工具6に伝達するものである。打撃装置5には、打撃ピストン21を設けてよく、これは、圧力媒体をその1つ以上の作動圧力表面に供給することで、軸方向に前後に動かすことができる。打撃ピストン21を動かす他の方法もある。打撃ピストン21は、打撃運動中、工具6に設けられた衝撃面22を打撃するように配設してよく、この打撃運動で、破壊に必要な衝撃パルスが生ずる。打撃装置5の作動は、前後の打撃運動を行なう打撃要素にも基づいていてよい。
【0020】
図3からさらに分かるように、衝撃ハンマ3には、工具6の軸受手段19を潤滑する潤滑系を設けてもよい。この潤滑系は、1つ以上の潤滑剤路23を含み、これに沿って潤滑剤が1つ以上の軸受手段19内へ給送される。図3に示す場合は、同じ潤滑剤路23が第1の軸受スリーブ19aおよび第2の軸受スリーブ19bに繋がっている。潤滑系はさらに、少なくとも1つの潤滑装置24を含んでよく、これは、1つ以上の潤滑剤容器25および1つ以上の給送装置26を含んでよい。潤滑装置24は、図3に示すように、後本体18bの後部、すなわち弁ハウジングに横断して配設してもよい。潤滑装置24およびその各要素は、共通の装置として一体化してもよい。潤滑剤容器25は、長い円筒状空間であり、これは、本体18内に機械加工してもよい。その場合、これは、本体18の固定部である。潤滑剤容器25の少なくとも一方の端部には、給送装置26を含むカバーを設けてもよい。潤滑剤容器25は分割部材27を含んでよく、これは、ロッドレス・ピストンでよい。これは、円筒状空間の内表面に対して封止され、円筒状空間の長手方向に動くことができる。分割部材27は、潤滑剤容器25を圧力空間28および潤滑剤空間29に分割する。圧力空間28は、打撃装置の圧力媒体回路に経路30によって接続してもよい。その場合、圧力空間28に作用する圧力は、分割部材を潤滑剤空間29の方へ押圧しようとする。図3に示す方式では、圧力媒体を圧力空間28内へ蓄圧器31から給送する。しかし圧力媒体は、他の適当な圧力源から供給してもよい。潤滑剤は、潤滑剤空間29へ給送路32を通して供給することができる。給送路32にはコネクタを設けてもよく、これは、破岩機の外部に位置する潤滑剤タンクに接続してよく、そこから、必要量の潤滑剤を潤滑剤空間29内に給送して貯めることができる。潤滑剤空間29はさらに、給送装置26に接続され、これは、潤滑剤の潤滑剤空間29から潤滑剤路23への給送を制御することができる。潤滑剤は、グリース、ワセリン、または他の破岩機の工具の軸受部材の潤滑に適した同等の潤滑剤でよい。破岩機の操作者は、所望の潤滑剤を潤滑剤空間29内へ給送路32を通して給送することができる。
【0021】
図4は、本発明による潤滑系およびこれに属する要素を示し、図5〜図7はさらに、図4に示す潤滑系の動作を示す。明瞭化のため、潤滑系に属する要素は、図4〜図7における衝撃ハンマ3の本体18の外側に示す。
【0022】
図4は、非加圧状態、すなわち衝撃ハンマ3が静止状態にある潤滑系を示す。図5に示す状況では、打撃装置が起動すると、その場合、打撃装置の作動回路における圧力は、潤滑剤容器25の圧力空間28に経路30を通して作用し、分割部材27を潤滑剤空間29の方へ押圧し、その内部にある潤滑剤を加圧する。給送装置26は、潤滑剤の流れを制御する制御弁33を含んでもよい。制御弁33が図4および図5に示す位置にあると、これによって潤滑剤は、潤滑剤空間29から制御弁33を通って給送要素34に流れることができる。給送要素34は、ロッドレス・ピストンなどの押圧部材35を含み、これは、バネ部材36によって同図における左方に押圧されるように配設されている。押圧部材35は、円筒状空間内に配設してもよく、この空間において円筒状空間の長手方向に動くことができる。押圧部材35は、円筒状空間の内表面に対して封止してもよい。さらに、押圧部材35の同図における右方への動きは、例えば調節ネジ37によって制限できる。図4において、バネ部材36は、押圧部材35をその最左方位置に押圧している。図5において、制御弁33を通して供給された潤滑剤は、押圧部材35を同図における右方へ押圧し、バネ部材36は、押圧部材35のこの動きに抗している。押圧部材35の行程は、調節ネジ37によって制限される。潤滑剤路23内へ給送される潤滑剤の回分の量は、調節ネジ37で調節できるが、これは、ある時間に給送される回分の潤滑剤を受け入れる給送空間が38押圧部材35の左側に形成されているためである。給送空間38の容量は、作動面の面積と押圧部材35の行程の積で決まる。図5において、給送装置26が装填されて給送空間38に存在する回分の潤滑剤を給送する。給送装置26は、制御弁33が再度、作動するまで、この装填位置に留まる。
【0023】
図6に示す状況では、打撃装置5が静止し、したがって経路30における圧力媒体の圧力が減少する。その場合、制御弁33は、その位置が右から左へ変わるように構成されている。これは、給送空間38の圧力が弁の制御ヘッドに作用し、その圧力制御弁33の左制御ヘッドに作用する圧力より高いからである。制御弁33がその位置を変えた後、押圧部材35は、バネ部材36によって駆動されるが、給送空間38にある潤滑剤の回分を制御弁33および逆流防止弁39を通して潤滑剤路23内へ押圧する。バネ部材36は、図7に示すように、押圧部材35を最左端の位置へ押圧する。図7では、潤滑系は休止状態にあり、打撃装置5を再起動するまでは、新たな潤滑剤回分の給送のために装填されて駆動されることは、ない。
【0024】
図4〜図7に示す給送要素34のバネ部材36は、蓄圧器、圧力媒体作動アクチュエータまたは弾性要素などの他の動力装置で置換することができる。給送空間38の容量もまた、調節ネジ37以外の調節部材によって調節可能である。また、制御弁33は、圧力制御である必要はなく、例えば別の制御装置から与えられるコマンドで電気的に制御することもできる。
【0025】
1つの潤滑剤容器25を配設して潤滑剤をいくつかの給送要素34に給送することも、実行可能である。その場合、各給送要素34が潤滑剤の所望の軸受部材への給送を制御するように構成してもよい。さらに、各給送要素34を調節して、潤滑剤の回分を所望の量にすることもできる。このような方式でも、構造が単純化され、スペースが減少する。
【0026】
潤滑系はコネクタ40を含んでもよく、これによって、潤滑剤を潤滑剤路23へ手動で給送することができる。
【0027】
いくつかの場合、潤滑装置に含まれる給送装置は、電気的駆動、油圧もしくは空気圧ポンプまたは同様の装置であってもよく、これらは、潤滑剤容器とは別に配設してもよい。
【0028】
図8および図9は削岩機10を示し、これは、衝撃パルスを工具13に生じさせる打撃装置12を含んでよい。この適用例では、工具はシャンク16も示し、これに実際の工具13を取り付けてもよい。回動装置を配設して工具を回動部材41によって回動させてもよく、工具は、本体17に軸受手段19aおよび19bによって軸受装着される。潤滑剤は、軸受手段19aおよび19bの中へ潤滑装置24から1つ以上の潤滑剤路23によって給送することができる。
【0029】
図8による方式では、潤滑剤容器25は、本体17に形成された中空空間を含み、この空間には、袋状分割部材27が設けられている。潤滑剤は、分割部材27で画成された内部空間42へ給送路32を通して給送できる。圧力媒体の圧力は、この空間の分割部材27の外表面および潤滑剤容器25の内表面の間に経路30から供給することができる。この経路は、ポンプ44または他の圧力源に接続してもよい。その場合、空間43に作用する圧力は、分割部材27を圧縮しようとし、したがって空間42内の潤滑剤が給送装置26へ圧力によって押圧される。給送装置26は制御弁を含んでよく、これは、加圧潤滑剤の潤滑剤路23内への流れを制御する。必要により、給送装置26にはポンプ装置を設けて、潤滑剤圧力を増してもよい。給送装置26は、第1の制御装置45で制御することができ、これには、制御コマンドを第2の制御装置46から転送することができ、第2の制御装置は、破岩機の外部、例えば運転室内に配置してもよい。潤滑剤を軸受部材19a、19bへ給送するコマンドは、第2の制御装置46から、例えば無線データ伝送接続47を通して転送することができる。潤滑系を遠隔制御する他の方法もある。
【0030】
図8に示す袋状分割部材27は、本体17に設けられた中空空間に配設してもよく、または、例えば保守のため本体から取り外せる着脱可能な部材でもよい。他方、着脱可能な潤滑剤空間は、バッグとは別の構造を有してもよい。したがって、着脱可能な潤滑剤空間は、ある種のカートリッジでもよく、これは、破岩機の本体内に形成された円筒状中空空間内に配設して、本体がカートリッジを囲繞するようにことができる。いくつかの場合、カートリッジは、潤滑剤空間の他に、圧力空間およびピストンまたはこれらの空間を互いに分離する他の分割部材を含んでもよい。
【0031】
図9に示す潤滑系は、図8に示す方式とは、例えば次の点で相違する。すなわち、分割部材27で画成される内部空間42は圧力空間として機能し、分割部材27の外表面および潤滑剤容器25の内表面の間の空間43は、潤滑剤空間として機能する。更なる相違点は、給送装置26が本体17の外部の適当な位置に位置することである。軸受部材19a、19bを自動的に潤滑するように構成された1つ以上の制御方法が定義されている制御コマンドを、給送装置26へ第1の制御装置45から与えることができる。必要によりこの制御方法は、例えば、破岩機変更の作動条件に応じて修正してもよい。その最も単純なものは、給送装置26が制御弁でよく、これによって潤滑剤の潤滑剤路23内への給送を制御するものである。潤滑剤容器25およびその要素の大きさは、十分な潤滑剤圧力を達成するものにして、さらに圧力を増す他の手段を必要としないようにすることができる。潤滑剤の給送は、連続的、周期的または回分ごとに行なってよい。潤滑系は、所定の間隔で、すなわち破岩機のある作動周期に応じて潤滑剤を給送するように構成してもよい。最も単純には、潤滑装置は手動で制御できる。その場合、破岩機の操作者は、コマンドを潤滑系に与えて潤滑剤回分を工具の軸受手段へ給送してもよい。
【0032】
図4〜図7による方式はまた、削岩機に関連して適用可能であり、また、同様に図8および図9による方式は、衝撃ハンマに関連して適用可能である。さらに、本願に記載の各方式および特徴は、組み合わせて、様々な組合せを達成することができる。他方、各特徴も同様に用いることができる。
【0033】
最も単純な潤滑系は、潤滑装置が手動ポンプなのどの手動装置であるシステムである。使用する潤滑装置の種類やその動作方法によらず、潤滑剤容器は、いずれにせよ破岩ハンマの本体に関連して配設される。
【0034】
注意すべきは、岩または同様の材料の破壊に必要な衝撃パルスを工具6に発生させる方法は、本発明と無関係であることである。関係するのはむしろ、潤滑剤を工具の軸受部材に本発明による潤滑系によって供給することである。
【0035】
図面およびその関連説明は、発明の概念の説明を企図するにすぎない。発明の細部は、特許請求の範囲内で可変である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】破岩機の概略側面図であり、破岩機はこの場合、掘削機ブームに配設された衝撃ハンマである。
【図2】他の破岩機の概略図であり、破岩機はこの場合、削岩リグのブームに配設された削岩機である。
【図3】本発明による潤滑系が設けられた衝撃ハンマの構造を示す概略断面図である。
【図4】本発明による潤滑系およびそれに含まれる要素の概略図である。
【図5】図4による潤滑系の動作を示す概略図である。
【図6】図4による潤滑系の動作を示す概略図である。
【図7】図4による潤滑系の動作を示す概略図である。
【図8】削岩機およびその本体に組み込まれた潤滑剤容器の概略断面図である。
【図9】削岩機およびその本体に組み込まれた潤滑剤容器の概略断面図である。
【符号の説明】
【0037】
6、13 工具
17、18 本体
19 軸受部材
23 潤滑路
24 潤滑装置
25 潤滑剤容器
26 移送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
破岩機に接続可能な工具に衝撃パルスを発生する打撃装置と、
前記破岩機へ前記工具を支持する軸受部材と、
該軸受部材を潤滑し、少なくとも1つの潤滑剤路と、潤滑剤を該潤滑剤路に沿って前記工具の軸受部材へ給送する少なくとも1つの潤滑装置とを含む潤滑系とを含み、
該潤滑装置は、少なくとも1つの潤滑剤容器および潤滑剤を給送する給送装置を含み、
前記潤滑剤容器が前記破岩機の本体に配設された破岩機において、
前記潤滑剤容器の内部は、圧力空間および潤滑剤空間に分割部材によって分割され、該分割部材は、該圧力空間および潤滑剤空間の容量に影響を与えるように配設され、
前記圧力空間は圧力媒体路に接続され、該圧力媒体路は、その中に圧力媒体を給送することで該圧力空間の加圧を許容し、
前記潤滑剤は前記潤滑剤空間に蓄積可能であり、
前記圧力媒体の前記圧力空間内で作用する圧力は、前記潤滑剤空間における潤滑剤を前記分割部材によって加圧するように配設され、
前記潤滑剤空間は給送装置に接続され、該給送装置は、潤滑剤の前記潤滑剤空間から前記潤滑剤路への給送を制御するように配設されていることを特徴とする破岩機。
【請求項2】
請求項1に記載の破岩機において、前記潤滑系に属する潤滑剤路および潤滑装置は、前記破岩機の本体に一体化されていることを特徴とする破岩機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の破岩機において、
前記潤滑剤容器は、前記破岩機の本体に形成された円筒状空間であり、
前記分割部材はピストンであり、該ピストンは、前記潤滑剤容器の円筒状表面に対して封止され、前記潤滑剤容器の長手方向に前記圧力空間内で作用する圧力と前記潤滑剤空間内で作用する圧力との間の圧力差に応じて自由に動くように配設されていることを特徴とする破岩機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の破岩機において、
前記潤滑剤容器は、前記本体に形成され内表面が設けられた中空空間を含み、
前記分割部材は袋状部であり、該袋状部は、第1の空間を自身の内部に画成するように配設され、
第2の空間が配設され、第2の空間は、前記袋状分割部材の外表面および前記潤滑剤容器の内表面によって画成された空間内に形成され、
前記圧力媒体の圧力は、前記分割部材によって画成された1つの空間に供給されてこの空間を加圧するように配設され、
潤滑剤は、前記分割部材によって画成された他の空間に供給されるように配設されていることを特徴とする破岩機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の破岩機において、
前記打撃装置は油圧装置であり、該油圧装置には、作動流体を油圧回路から給送し、
前記潤滑剤容器の圧力空間は、前記打撃装置の油圧回路に接続されて、該圧力空間を加圧することを特徴とする破岩機。
【請求項6】
請求項3、4または5に記載の破岩機において、前記給送装置は、加圧された潤滑剤の前記潤滑剤路への給送を制御するように配設されていることを特徴とする破岩機。
【請求項7】
請求項6に記載の破岩機において、
前記給送装置は給送要素を含み、該給送要素は、給送空間を備え、前記給送装置が潤滑剤給送のために装填されると、所定の潤滑剤回分を前記潤滑剤容器から受け取り、
前記給送要素は押圧部材を含み、該押圧部材は、該給送要素が所定の制御方法に従って駆動されると、前記給送空間にある潤滑剤回分を前記潤滑剤路内に押圧するように配設されていることを特徴とする破岩機。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の破岩機において、該破岩機は衝撃ハンマであることを特徴とする破岩機。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載の破岩機において、該破岩機は削岩機であることを特徴とする破岩機。
【請求項10】
請求項1に記載の破岩機において、
該破岩機の本体には中空空間が設けられ、
前記潤滑剤容器は、該中空空間に配設可能な着脱可能部品であることを特徴とする破岩機。
【請求項11】
破岩機が本体と、該破岩機に接続可能な工具に衝撃パルスを発生する打撃装置と、前記工具を該破岩機に支持する軸受部材と、該軸受部材を潤滑する潤滑系とを含み、
潤滑剤を潤滑剤容器から潤滑剤路に沿って前記工具の軸受部材へ潤滑装置によって給送し、
潤滑剤を該破岩機の本体に形成された前記潤滑剤容器に蓄積する破岩機の工具の潤滑方法において、該方法は、
潤滑剤を前記潤滑剤容器に備えられた潤滑剤空間に蓄積し、
加圧された媒体の圧力を前記潤滑剤容器の圧力空間に供給し、該圧力空間は、前記潤滑剤空間から分割部材によって分離され、
前記分割部材を該潤滑剤空間の方へ圧力媒体によって押圧することで前記潤滑剤空間内の潤滑剤を加圧し、
所定の回分の潤滑剤を潤滑剤路内へ前記潤滑装置によって取り込むことを特徴とする破岩機の工具の潤滑方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、該方法は、
潤滑剤を給送要素によって回分し、該給送要素は、前記潤滑装置に属して、給送空間および押圧部材を含み、
前記給送装置が潤滑剤給送のために装填されると、所定の量の潤滑剤回分を前記潤滑剤容器の潤滑剤空間から前記給送要素の給送空間へ給送し、
前記給送要素が所定の制御方法に従って駆動されると、前記給送空間にある前記潤滑剤回分を前記潤滑剤路に前記押圧部材によって押圧することを特徴とする破岩機の工具の潤滑方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、該方法は、
前記打撃装置が起動されると前記給送装置を装填し、
該打撃装置が停止すると、該給送装置を起動することを特徴とする破岩機の工具の潤滑方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−68899(P2006−68899A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256284(P2005−256284)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(597044472)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK TAMROCK OY
【Fターム(参考)】