説明

硬貨包装機

【課題】硬貨を包装する包装紙から得られる情報量の増加を図ることができる硬貨包装紙を提供する。
【解決手段】RFIDタグ40を備える包装紙Hを集積硬貨の周面に所定量巻回する包装機構27と、RFIDタグ40に所定のデータを書き込むRFIDライター41とを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定枚数集積した集積硬貨の周面に包装紙を巻回して包装する硬貨包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、硬貨を包装する硬貨包装機において、作成先などを区別するために、操作入力部のテンキーパネルなどを介して入力されたコード番号をRAMなどの記憶装置に記憶し、当該記憶されたコード番号を包装紙に印刷するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−354204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した硬貨包装機においては、コード番号によって作成先の区別を行うことはできるものの、この印刷されたコード番号から得られる情報量は非常に少なく、包装された硬貨の管理を行うには十分なものではなかった。そのため、包装硬貨から取得可能な情報量の増加が要望されている。
【0004】
そこで、この発明は、包装硬貨から取得可能な情報量の増加を図ることができる硬貨包装紙を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、RFIDタグ(例えば、実施の形態におけるRFIDタグ40)を備える包装紙(例えば、実施の形態における包装紙H)を集積硬貨の周面に所定量巻回する包装手段(例えば、実施の形態における包装機構27)と、前記RFIDタグに所定のデータを書き込むRFIDライター(例えば、実施の形態におけるRFIDライター41)とを設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記データが、少なくとも前記包装紙で包装される前記硬貨の金種、枚数のデータを含むことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記包装紙で包装する前記硬貨の金種を指定する金種指定情報を入力可能な入力手段(例えば、実施の形態における操作入力部13)と、硬貨を鑑別する硬貨鑑別部(例えば、実施の形態における鑑別部)の鑑別結果に基づき、前記入力手段に入力された前記金種指定情報によって特定された金種の硬貨のみを選択的に集積する硬貨集積部(例えば、実施の形態における集積機構18)に送る選別手段(例えば、実施の形態における排除孔)を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記RFIDライターが、前記硬貨を包装紙で包装した後に前記RFIDタグにデータを記憶させることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記包装手段および前記RFIDライターが、前記RFIDライターが発する電波を遮蔽するシールド部材(例えば、実施の形態におけるシールド部材S)で覆われていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記RFIDライターが、前記硬貨を包装紙で包装するのに先立って前記RFIDタグにデータを記憶させることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載した発明は、請求項1,2,3,6のいずれか一項に記載の発明において、前記RFIDライターおよび前記RFIDライターの近傍の前記RFIDタグが、前記RFIDライターが発する電波を遮蔽するシールド部材(例えば、実施の形態におけるシールド部材S)で覆われていることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載した発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記RFIDタグは、前記包装紙に所定の間隔で設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載した発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明において、前記RFIDタグは、前記包装紙に貼付されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明によれば、硬貨を包装する包装紙に設けられたRFIDタグに対して、RFIDライターで種々のデータを記憶させることができるので、コード番号を包装紙上に印刷する従来の場合と比較して、包装硬貨から取得できるデータの量を増加させることができる効果がある。
【0015】
請求項2に記載した発明によれば、RFIDタグに対して硬貨の金種、枚数等のデータを記憶させることで、例えば、包装された集積硬貨を管理する際に、このデータに基づいて効率の良い管理を行うことができる効果がある。
【0016】
請求項3に記載した発明によれば、入力手段によって入力された金種指定信号によって特定された金種の硬貨のみを硬貨鑑別部の鑑別結果に基づき選別手段により選択的に硬貨集積部に送ることができるため、所望の集積硬貨を包装紙で包装することができる。
【0017】
請求項4に記載した発明によれば、集積硬貨に包装紙を巻回した後にRFIDタグにデータを書き込んでいるため、集積硬貨に包装紙を巻回するのに先立ってRFIDタグにデータを書き込む場合と比較して、例えば、包装紙を送る通路で何かしらのトラブルがあった場合であっても、RFIDタグに書き込むデータがずれるのを防止することができるため、RFIDタグに書き込まれたデータの信頼性を向上させることができるとともに、復旧作業が複雑化せずに容易に行えるという効果がある。
【0018】
請求項5に記載した発明によれば、包装手段およびRFIDライターがシールド材で覆われていることで、RFIDライターから発せられる電波が、データの書き込みを行うべきRFIDタグにのみ届き、それ以外のRFIDタグに届かないようにできるため、RFIDライターによるデータ書き込みの信頼性を向上させることができる。
【0019】
請求項6に記載した発明によれば、包装紙を集積硬貨に巻回した後にRFIDタグにデータを書き込む場合と比較して、RFIDライターを包装紙の供給通路近傍などに設置することができるため、RFIDタグとRFIDライターとの間隔を短縮することができ、この結果無線通信の信頼性を向上することができる。
また、供給通路に沿ってRFIDライターを設ければよいので、例えば、現在RFIDライターを備えていない既存の硬貨包装機に対するRFIDライターの取り付け自由度を向上させる効果がある。
【0020】
請求項7に記載した発明によれば、RFIDライターおよびこのRFIDライターの近傍のRFIDタグがシールド材で覆われていることで、RFIDライターから発せられる電波が、データの書き込みを行うべきRFIDタグにのみ届き、それ以外のRFIDタグに届かないようにできるため、RFIDライターによるデータ書き込みの信頼性を向上させることができる。
【0021】
請求項8に記載した発明によれば、RFIDタグが包装紙に所定間隔で設けられているため、データが書き込まれるRFIDタグとRFIDライターとの位置関係を常に一定にすることができる。
【0022】
請求項9に記載した発明によれば、RFIDタグが包装紙に貼付されることで、包装紙を作成する段階で予めRFIDタグを刷り込むなどの必要が無く、包装紙の製作コストを下げることが可能であるとともに、予め所定間隔で設ける場合と比較して、無駄になるRFIDタグが生じないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、図面に基づいてこの発明の実施の形態に係る硬貨包装機を説明する。この硬貨包装機は、バラ硬貨を所定枚数集積させるとともにこのように形成された集積硬貨を、所定量の透明ポリエチレンフィルム等の包装紙Hで包装して棒状にするものである。
【0024】
まず、図1を参照してこの硬貨包装機の外部構成を説明する。この硬貨包装機の上部位置には、包装処理を行うバラ硬貨がオペレータにより投入される投入口11が設けられている。この投入口11には該投入口11を開閉させるカバー12が設けられており、このカバー12は手動で開閉されるようになっている。
【0025】
また、投入口11の近傍には、包装動作における金種指定情報などの各設定の入力、包装処理の開始・停止の操作入力がオペレータにより入力される操作入力部13と、硬貨包装機内で硬貨を計数した結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内および設定内容等を表示する表示部14とを兼ね備えたタッチセンサパネル15が設けられている。
【0026】
次に、図2を参照して上記硬貨包装機の内部基本構成を説明する。図2において、符号18で示すものは、開状態の投入口11を介して一括投入されたバラ硬貨を集積させる集積機構を示している。
【0027】
この集積機構18は、開状態の投入口11(図1参照)を介して一括投入されたバラ硬貨を受け入れる回転ホッパ19と、該回転ホッパ19が回転することにより生じる遠心力で一枚ずつ繰り出す硬貨を受け入れて搬送する硬貨通路20とを有している。
【0028】
硬貨通路20は、その上部に硬貨を一枚ずつ移送させる送りベルト21を有している。硬貨通路20の途中位置には、図示しない鑑別部が設けられており、硬貨通路20で搬送される硬貨の真偽および金種等が必要に応じて判別されるようになっている。ここで、硬貨通路20には図示しない排除孔が設けられており、鑑別部で正貨であると判別されなかった硬貨は、排除孔から落下するようになっている。すなわち、硬貨通路20は、正貨のみを集積機構18に搬送する。
【0029】
集積機構18は、硬貨通路20を経由した硬貨を集積させる一対の集積ドラム23を有している。これら集積ドラム23は、螺旋状の突起部24をそれぞれ有しており、相互の突起部24の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路20からの硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。
【0030】
これにより、硬貨通路20を通じて供給された硬貨が両集積ドラム23の両突起部24に乗せられて一段下降させられ、その後に供給された硬貨が先の硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム23間に、複数の硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、集積硬貨が形成されるようになっている。
【0031】
また、集積機構18は、これら集積ドラム23の下方位置に、該集積ドラム23において所定枚数集積された集積硬貨をその上面に載置させる水平シャッタ25を有している。そして、該水平シャッタ25は開放時に、その上面に載置させていた集積硬貨を落下させて、下方の包装機構27に受け渡すようになっている。
【0032】
包装機構27は、水平シャッタ25から落下させられた集積硬貨を下から支える昇降可能な支持棒28と、該支持棒28の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ29と、これら包装ローラ29を回転駆動する包装モータ(図3参照)30とを有している。包装ローラ29は、そのうちの一つが残りの二つに対し近接・離間可能とされている。そして、包装ローラ29は、そのうちの一つが残りの二つに対し離間状態にあるとき、集積機構18から送られた集積硬貨を受け入れるようになっており、このように集積硬貨を受け入れた状態で前記一つが残りの二つに対し近接することにより、集積硬貨を三つで挟持することになる。そして、この状態で包装ローラ29を回転駆動し、かつ包装ローラ29と集積硬貨との間に包装紙Hを挟み込むことで、集積硬貨の周面に包装紙Hが巻回されるようになっている。また、包装機構27は、上記のように巻回された包装紙Hの集積硬貨よりも上下に突出する両余剰部分を加締める加締爪31を上下に有している。
【0033】
包装機構27の側方には、包装機構27に包装紙Hを供給する包装紙供給装置33が設けられている。この包装紙供給装置33は、鉛直軸回りに回転自在に支持された包装紙ロール34から繰り出された包装紙Hを挟持することにより、その回転量に応じた長さだけ包装紙Hを包装紙ロール34から引き出して集積硬貨に向け供給する一対の紙送りローラ35と、これら紙送りローラ35を一定速度で回転駆動する紙送りモータ(図3参照)36と、紙送りモータ36の駆動で紙送りローラ35から送り出された包装紙Hを包装ローラ29に向け案内する複数の案内ローラ37と、包装紙Hを切断するカッタ38とを有している。なお、このカッタ38は、紙送りローラ35が停止しかつ包装ローラ29が回転駆動されている状態において包装紙Hに生じる張力で包装紙Hを切断するようになっている。
【0034】
ところで、包装紙Hには、その長手方向に沿って所定の等間隔毎にRFIDタグ40が埋設されている。そして、上記した3本の包装ローラ29の近傍には、RFIDライター41が配置されている。これらRFIDタグ40とRFIDライター41とはいわゆるRFID(Radio Frequency Identification)を構成するもので、前者のRFIDタグ40は、図示しないICチップとアンテナとを備えており、このアンテナが所定の電波を受信することで起電力を発生し、この起電力を用いてICチップを駆動するようになっている。そして、ICチップが駆動している間だけアンテナを介して外部との無線による送受信が可能になっており、RFIDライター41からの電波を受信した場合、この受信したデータをICチップに記憶するようになっている。また、例えば、RFIDリーダ(図示せず)から電波を受信した場合には、ICチップに記憶されているデータの発信を行うことが可能になっている。ここで、上述したRFIDタグ40の所定の等間隔とは、包装紙Hを集積硬貨に所定回数巻回した場合に、必ずこの包装紙HにRFIDタグ40が1つ以上含まれるような間隔を示している。なお、一つの包装硬貨を包装している包装紙Hに2つ以上のRFIDタグ40が含まれても良い。
【0035】
一方、後者のRFIDライター41は図示しないアンテナを有し、図3に示すCPU50に接続されている。そして、このRFIDライター41は、CPU50からの制御指令に基づいてRFIDタグ40に向けて所定の電波を発信するように構成されている。さらに、このRFIDライター41は、RFIDタグ40が所定の電波を受信してそのICチップが駆動状態にあるときに、RFIDライター41からRFIDタグ40へ向けて前述した所定の電波を搬送波として所定のデータを送信することができるようになっている。ここで、所定のデータがRFIDタグ40で受信されると、RFIDタグ40はICチップに当該所定のデータを保存する。なお、この第1の実施の形態では、書き込み機能のみを有した上記RFIDライター41を用いた一例について説明したが、このRFIDライター41を、読み書き可能なRFIDリーダ・ライターに置き換えて、例えば、ICチップに保存されている所定のデータをこのRFIDリーダ・ライターで呼び出して、RFIDタグ40に書き込んだデータを検証するようにしても良い(後述する第2の実施の形態も同様)。
【0036】
ここで、上述した所定のデータとは、例えば、RFIDタグ40が埋設されているのが紙幣ではなく包装硬貨であるという識別データや、鑑別部によって検出された集積硬貨の金種、枚数などのデータを含むデータである。
【0037】
また、RFIDライター4と上述した包装機構27とが外部に漏れる電波を遮蔽するためのシールド部材Sで覆われている。包装機構27はその稼動範囲が比較的広いため、RFIDライター41とRFIDタグ40との距離を縮めるのが難しく、そのため、電波の出力を相対的に大きくしなければならない。しかしながら電波の出力を大きくした場合、他のRFIDタグ40へ影響を及ぼす可能性があるため、シールド部材Sでデータの書き込みを行う包装機構27自体を覆っている。なお、シールド部材Sは硬貨と包装紙Hが供給される部分にシャッタなどの開閉機構や、電波を遮断する金属製のローラなどを備えている。
【0038】
CPU50は、硬貨包装機における種々の制御指令を行うものであり、上述したRFIDライター41の、操作入力部13、表示部14、紙送りモータ36および包装モータ30等が接続され、さらに、硬貨包装機の制御プログラムや基準データ等を記憶するROM51、および、RFIDタグ40に書き込むための所定のデータを記憶するRAM52が接続されている。上記紙送りモータ36等は、CPU50からの制御指令に基づいて動作するように構成されている。
【0039】
次に、上記構成を備える硬貨包装機の作用を説明する。
まず、オペレータが投入口11に金種混合状態のバラ硬貨を投入し、操作入力部13から包装開始の入力操作を行うと、CPU50は、回転ホッパ19の駆動制御を開始し、この回転ホッパ19によって投入口11に投入されたバラ硬貨を一枚ずつ分離させて順次硬貨通路20へと繰り出させる。ここで、包装開始の入力操作とは、例えばオペレータが包装を行う金種や枚数などのデータを入力した後に、この入力結果を表示部14で確認して決定操作を行う一連の操作のことを示しており、ここで入力されたデータが上述したRAM52に記憶されることとなる。
【0040】
そして、CPU50は、硬貨通路20の途中に設置された鑑別部から、硬貨通路20に繰り出された硬貨の金種、真偽、汚損等の鑑別結果および計数結果に基づいたデータを受け取り、このデータをRAM52に記憶させる。また、CPU50は、硬貨通路20の送りベルト21を駆動制御して、操作入力部13の入力に基づいた金種の正貨のみを集積機構18の集積ドラム23へ搬送して所定枚数(例えば、50枚程度)集積させる。
【0041】
そして、CPU50は、集積機構18にて所定枚数の硬貨の集積が完了すると、水平シャッタ25を開放制御して当該集積硬貨を包装工程を行う包装機構27の包装ローラ29の間へと移動させる。その後、CPU50は、3本の包装ローラ29を制御して集積硬貨を狭持させる。
【0042】
一方、CPU50は、包装紙供給装置33の紙送りローラ35を駆動制御して、包装紙ロール34から包装紙Hを包装機構27に供給する。
そして、包装紙Hを包装ローラ29と集積紙幣の周面との間に挟み込んだ状態で包装ローラ29を駆動させることで、集積硬貨に包装紙Hを所定回数巻回させ、その後、包装紙Hの集積硬貨の上下の余剰部分を加締爪31によって加締める。
【0043】
この際、CPU50は、3本の包装ローラ29の近傍に配置されたRFIDライター41によって、包装紙Hに埋め込まれているRFIDタグ40に向けて所定の電波を送信し、その後、RAM52に記憶されている所定のデータを送信して、この所定のデータをRFIDタグ40のICチップに記憶させる。そして、CPU50は、図示しない搬送手段を制御して、上記包装紙HのRFIDタグ40に所定のデータが書き込まれた包装硬貨を、硬貨包装機の出金口から機体外部に排出させる。
【0044】
したがって、上述した第1の実施の形態によれば、集積硬貨を包装する包装紙Hに埋設されたRFIDタグ40のICチップに、RFIDライター41によって所定のデータを記憶させることができるので、例えば、包装紙H上にコード番号を印刷する従来の場合と比較して、包装紙Hから得られるデータ量の増加を図ることができる。
【0045】
また、RFIDタグ40に対して集積硬貨における金種、枚数等の所定のデータを記憶させることができるため、包装硬貨を管理する際に、これらのデータに基づいて効率の良い管理を行うことができる。
【0046】
さらに、集積硬貨に包装紙Hを巻回した後にRFIDタグ40にデータを書き込んでいるため、例えば、包装紙Hを送る供給通路で何かしらのトラブルがあった場合であっても、このトラブルからの復旧作業が複雑化せず容易に行えるため、RFIDタグ40に書き込み順がずれるのを防止することができ、この結果、RFIDタグ40に書き込まれたデータの信頼性を向上させることができる。
【0047】
次に、この発明の第2の実施の形態を図4に基づいて説明する。この第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態のRFIDライター41の配置を変更したものであるため、この変更部分のみを説明する。
【0048】
図4に示すように、硬貨包装機には、紙送りローラ35による包装紙Hの供給経路の途中、すなわち紙送りローラ35と包装紙ロール34との間に、RFIDタグ40への書き込みを行うRFIDライター41が配置されている。より具体的には、このRFIDライター41は、集積硬貨へ巻回する時に表面側となる包装紙Hの表面45側で、且つ、包装紙Hの長手方向に沿って所定の一定間隔で埋め込まれたRFIDタグ40に対応する高さに配置されている。そして、包装紙をRFIDライター41に近接させ、かつ安定的に供給し、RFIDライター41によるデータの書き込み漏れを生じないようにするために、紙送りローラ35(図2および4参照)は、RFIDライター41に近接配置されている。なお、紙送りローラ35は、データの書き込み漏れの虞がない場合には、カッタ38(図2参照)とRFIDライター41との間であればいずれの位置に設けてもよい。
【0049】
したがって、上記第2の実施の形態によれば、包装紙Hを集積硬貨に巻回した後にRFIDタグ40に所定のデータを書き込む場合と比較して、RFIDライター41を、包装紙Hを送り出すための供給通路の近傍に設置することができるため、RFIDタグ40とRFIDライター41との距離を短縮して無線通信の信頼性を向上できるとともに、現在RFIDライター41が取り付けられていない硬貨包装機に対して容易に取り付けられるなど配置スペースの点で有利となる。
【0050】
またRFIDライター41とRFIDタグ40との距離を縮めることが可能であるので、電波の出力を小さくすることが可能となり、電波出力を小さくすることでRFIDライター41とRFIDタグ40との周辺にある他のRFIDタグに影響を及ぼさないようであれば、シールド部材Sで覆う必要がないため、装置の小型化を図ることができる。
【0051】
なお、この発明は上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態に限られるものではなく、上記RFIDタグ40に記憶させる所定のデータとしては、オペレータの入力操作による、包装日時、銀行名、硬貨包装機の機番、操作者の氏名等を含むようにしてもよい。また、包装日時については硬貨包装機の中に時計を組み込んでこれを利用するようにしてもよい。
【0052】
また、上記各実施の形態では、予め包装紙HにRFIDタグ40を埋め込んで、そのICチップに所定のデータを記憶させる方法について説明したが、RFIDタグ40を包装紙Hに貼付して、この貼付されたRFIDタグ40に対してRFIDライター41で所定のデータを記憶させるようにしても良い。このようにRFIDタグ40を包装紙Hに貼付する場合には、例えば、自動ラベル貼付装置を設けて包装紙Hの側面部分に当該RFIDタグ40を貼り付けるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態における硬貨包装機の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における集積機構と包装機構と包装紙供給装置との斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における硬貨包装機のブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるRFIDライター周辺の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
13 操作入力部(入力手段)
18 集積機構(硬貨集積部)
27 包装機構(包装手段)
40 RFIDタグ
41 RFIDライター
H 包装紙
S シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグを備える包装紙を集積硬貨の周面に所定量巻回する包装手段と、前記RFIDタグに所定のデータを書き込むRFIDライターとを設けたことを特徴とする硬貨包装機。
【請求項2】
前記データは、少なくとも前記包装紙で包装される前記硬貨の金種、枚数のデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の硬貨包装機。
【請求項3】
前記包装紙で包装する前記硬貨の金種を指定する金種指定情報を入力可能な入力手段と、硬貨を鑑別する硬貨鑑別部の鑑別結果に基づき、前記入力手段に入力された前記金種指定情報によって特定された金種の硬貨のみを選択的に集積する硬貨集積部に送る選別手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨包装機。
【請求項4】
前記RFIDライターは、前記硬貨を前記包装紙で包装した後に前記RFIDタグにデータを記憶させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項5】
前記包装手段および前記RFIDライターが、前記RFIDライターが発する電波を遮蔽するシールド部材で覆われていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項6】
前記RFIDライターは、前記硬貨を前記包装紙で包装するのに先立って前記RFIDタグにデータを記憶させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項7】
前記RFIDライターおよび前記RFIDライターの近傍の前記RFIDタグが、前記RFIDライターが発する電波を遮蔽するシールド部材で覆われていることを特徴とする請求項1,2,3,6のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項8】
前記RFIDタグは、前記包装紙に所定の間隔で設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬貨包装機。
【請求項9】
前記RFIDタグは、前記包装紙に貼付されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬貨包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−217564(P2008−217564A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55800(P2007−55800)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】