説明

硬質表面用液体洗浄剤組成物

【課題】浴室等に発生したピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する手段を提供する。
【解決手段】(a)特定のカチオン界面活性剤、(b)炭素数が8〜22のアルキル基を有する両性界面活性剤、(c)ベンジルアルコール等の特定の有機化合物を、それぞれ所定範囲の量で含有し、(a)/(b)の質量比が0.30〜8であり、(a)/(c)の質量比が0.050〜35である硬質表面用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室等の水まわりに発生した微生物由来のピンク色の汚れ及び/又は紅色の汚れの洗浄に適した硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や洗面所、台所等の水まわりは湿度が高く、ピンク色あるいは紅色を呈するヌメリ汚れが発生しやすい部位である(例えば非特許文献1)。これらの汚れから、ピンク色を有するメチロバクテリウム属細菌が共通に検出され、また呈色する色スペクトルが汚れからの単離菌のスペクトルと同一であることが報告されており、メチロバクテリウム属細菌がピンク色の汚れの主要な有色菌種であることを示唆している。このような浴室等の水まわりの汚れ実態に対応し、種々の洗浄方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、次亜塩素酸塩、アルカリ金属水酸化物、特定の界面活性剤を含有するバイオフィルム処理剤が開示されている。特許文献2には、ロドトルラに対する抗菌活性値が2以上であるヌメリ抑制成分を含有するヌメリ抑制用組成物、及び該組成物をヌメリが発生する前に予め対象面に供するヌメリ抑制方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術は、強力な酸化剤である次亜塩素酸塩を用いていることから、実際の使用時、衣服にかかった場合の色落ちへの対処や、不快な塩素臭の発生、あるいは塩素ガスの発生を避けるため酸性物質と混合しないことなど周到な準備が必要な作業であり、日々の家事の中で行うには煩雑な作業である。また、特許文献2記載の技術は、ヌメリを除去することを主目的とするのではなく、従来ヌメリが発生しやすい場所などにヌメリが発生するのを予防することを主目的とするものである。従って、特許文献2には、既に存在しているヌメリ汚れの除去や洗浄に対して効果的な技術については開示がない。
【0005】
一方で浴室内の汚れ全般に対して、酸化剤を用いない洗浄剤の設計も試みられている。特許文献3においては、浴室内や洗面所などの水まわりに発生する汚れに対して、特定の非イオン界面活性剤、特定の高分子重合体、特定の有機カルボン酸類、水溶性溶剤、水を含有し、高洗浄性を訴求した組成物が開示されている。特許文献4には、特定の香料組成物、多価カルボン酸又はその塩、及び特定LogP値の溶剤を含有する消臭剤組成物及びこれと界面活性剤とを含有する浴室用消臭洗浄剤組成物が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3記載の技術は、アルキルポリグルコシド、エトキシレートノニオン、脂肪酸エタノールアミドから選ばれる非イオン界面活性剤を主たる洗浄成分として用い、アクリル酸系ポリマー、キレート剤、カチオン界面活性剤を含有する洗浄剤組成物であるが、除菌やヌメリ汚れに対する効果は特に言及されておらず、また、洗浄剤の泡立ちに関して不十分である。また、特許文献4は浴室内のこもった臭いの消臭に効果的であり、さらに界面活性剤を併用することで石鹸カス等の浴室の汚れに対する洗浄効果も得られるが、ヌメリ汚れに対する洗浄力については特段言及されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「浴室などの住環境に発生するスライム」:古畑、防菌防黴、24(11)、723(1996)
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−75873号公報
【特許文献2】特開2006−151908号公報
【特許文献3】特開2004−59806号公報
【特許文献4】特開2007−14749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように日常的に行われる浴室等、住居内の水回り設備の洗浄において、すでに存在しているピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去できる良好な技術は未だ見出されていない。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れは、浴室内での注目度の高い汚れであり、その存在を清潔感の指標にしている消費者も存在し、浴室等の水まわりに発生した微生物由来のピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する手段が求められている。また、スポンジでこすり洗いをする場合、泡状に噴霧して用いる場合等における上記汚れの除去に対して、汚れへの付着性向上の点から洗浄剤の泡立ちを高めることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、(a)下記一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を0.5〜5質量%、(b)炭素数が8〜22のアルキル基を有する両性界面活性剤〔以下、(b)成分という〕を0.5〜4質量%、(c)ベンジルアルコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれる1種、または2種以上の有機化合物〔以下、(c)成分という〕を0.5〜10質量%含有し、(a)/(b)の質量比が0.30〜8であり、(a)/(c)の質量比が0.050〜35である硬質表面用液体洗浄剤組成物に関する。
【0011】
【化1】

【0012】
〔式中、R1は炭素数6〜18の炭化水素基、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。Z-は陰イオン基であり、好ましくはハロゲンイオン、アミノ酸イオン、脂肪酸セッケンアニオン残基、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を有するリン酸エステルアニオン残基、ホスホン酸エステルアニオン残基、スルホン酸エステルアニオン残基若しくは硫酸エステルのアニオン残基、又は重合度3以上のスチレンスルホン酸イオンを有するか若しくは置換基として炭化水素基を有することがある多環式芳香族化合物のスルホン化物のホルマリン縮合物を含有するアニオン性オリゴマー若しくはポリマーを示す。〕
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、浴室等の水まわりにおいて発生したピンク色及び/又は紅色を呈する微生物由来の汚れに対する洗浄力、並びに泡立ちに優れた硬質表面用液体洗浄剤組成物が提供される。本発明において対象となる細菌汚れは、ピンク色及び/又は紅色を呈する色素を伴うために微量残留している状態でも認知され、従来技術では認知範囲以下まで汚れを完全に除去することが困難であった。そこで、細菌から色素を除去することにより細菌自体を脱色することが有効であると考え、殺菌する効果を有する(a)成分、色素を抽出する効果の高い(c)成分、及び洗浄時に起泡性を有し、色素を含む汚れを乳化する効果の高い(b)成分を所定条件で組み合わせることで、高い汚れ除去効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、次亜塩素酸塩のような強力な酸化剤やアルカリ剤を用いなくても優れた洗浄力が発現するため、簡易に水まわりの金属部分やタイル部分等に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<(a)成分>
(a)成分は前記一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤であり、微生物を殺菌することにより色素を抽出し易くする効果を有する。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力向上、泡立ちの点から、一般式(1)中、R1は炭素数6〜18のアルキル基であり、炭素数8〜14のアルキル基が好ましく、炭素数8〜10のアルキル基がより好ましい。また、洗浄力向上、及び低刺激性の点から、一般式(1)中、R2、R3は炭素数1〜3のアルキル基であり、炭素数1〜2のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。更に、洗浄力向上及び低刺激性の点から、一般式(1)中、R4は炭素数1〜3のアルキレン基であり、炭素数1〜2のアルキレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。また、一般式(1)中のZ-としては、洗浄力向上の点から塩素イオン等のハロゲンイオンが好ましい。なかでも塩素イオンが最も好ましい。
【0015】
<(b)成分>
(b)成分は両性界面活性剤であり、(a)成分を細菌に浸透させ殺菌力を高めるとともに、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れから色素を抽出する作用を促進し、認知レベル以下まで汚れを除去可能とする成分である。また、(b)成分により泡立ちが高められ、汚れへの付着性が向上するため、高い汚れの除去効果を可能とする。(b)成分の両性界面活性剤のアルキル基の炭素数は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力、泡立ちの観点から8〜22であり、好ましくは10〜18、より好ましくは11〜13である。(b)成分の両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミノ脂肪酸塩からなる群から選ばれる1種以上の両性界面活性剤を用いることが洗浄力、泡立ちの点から好ましい。中でも、アルキルアミドプロピルベタイン及びアルキルヒドロキシスルホベタインが好ましく、更には(3−ラウラミドプロピル)ジメチルベタイン、及びラウリルジメチルヒドロキシスルホベタインがより好ましい。また、ここに列挙した両性界面活性剤の2種以上を混合して用いても良い。
【0016】
<(c)成分>
(c)成分は、ベンジルアルコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれる1種、または2種以上の有機化合物である。(c)成分は、細菌から色素を抽出する効果を有する。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの洗浄力、及び低刺激性の点から、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれる1種、または2種以上の有機化合物が好ましい。
【0017】
<硬質表面用液体洗浄剤組成物>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を0.5〜5質量%、(b)成分を0.5〜4質量%、(c)成分を0.5〜10質量%含有し、(a)/(b)の質量比が0.30〜8であり、(a)/(c)の質量比が0.050〜35であり、微生物に由来するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する硬質表面用液体洗浄剤組成物である。
【0018】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの原因となる微生物を殺菌する効果を有する(a)成分、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの色素を抽出すると考えられる(c)成分、及び洗浄時に起泡性を有し、且つピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを含む汚れを乳化すると考えられる(b)成分を、所定条件で組み合わせることで、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対して優れた洗浄力を実現し、且つ優れた起泡性を得ている。
【0019】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点から、(a)成分を0.5〜5質量%、好ましくは0.6〜4.5質量%、より好ましくは0.7〜4.5質量%含有する。
【0020】
また、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力、及び洗浄時の泡立ちの観点から、(b)成分を0.5〜4質量%、好ましくは0.8〜3.5質量%含有する。
【0021】
また、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点から、(c)成分を0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%、より好ましくは1.5〜2.5質量%含有する。
【0022】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物では(a)成分/(b)成分の質量比が0.30〜8である。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点で(a)成分/(b)成分の質量比は0.30以上である。洗浄時の泡立ちの観点で(a)成分/(b)成分の質量比は8以下であり、好ましくは7以下、更に好ましくは4.5以下である。
【0023】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物では(a)成分/(c)成分の質量比が0.050〜35である。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点で(a)成分/(c)成分の質量比は0.050以上であり、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.30以上である。比率上限も下限同様にピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点で(a)成分/(c)成分の質量比は35以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、最も好ましくは2.5以下である。
【0024】
また、本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物では、貯蔵安定性及びピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点から(a)成分、(b)成分、及び(c)成分の含有量の合計が好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは3〜15質量%であり、更に好ましくは4〜10質量%である。
【0025】
<その他の成分>
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する更なる洗浄力を付与することを目的に金属イオン捕捉剤〔以下、(d)成分という〕を含有することができる。
【0026】
(d)成分の具体例としては
(i)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
(ii)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノカルボン酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
(iii)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸、及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0027】
これらの中でも、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等のアミノカルボン酸、及びこれらの塩が好ましい。塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が好ましい。
【0028】
(d)成分の含有量は、組成物中に好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは1〜6質量%である。
【0029】
本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物には、洗浄力や泡立ちを阻害しない範囲において、(a)成分以外の防腐剤、ハイドロトロープ剤、染料、粘度調整剤、酸化防止剤、香料などを含有することができる。
【0030】
また本発明の硬質表面用液体洗浄剤組成物は、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力の観点から、20℃におけるpHが5〜12、更に6〜10であることが好ましく、6〜8が最も好ましい。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、有機酸など酸剤を用いることができる。また、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを用いることができる。
【0031】
<微生物に由来するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの除去方法>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、汚れに接触させ、微生物に由来するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する方法で用いられる。組成物をスプレー容器に充填し泡状に噴霧して汚れに接触させる方法が好ましい。また、汚れに接触させた後、シャワー等ですすぎ流す方法が好ましいが、洗浄力向上の点から、スポンジ等でこすり洗いをしシャワー等ですすぎ流す方法が、より好ましい。汚れへの塗布量は、充分な洗浄力を得るために20cm2あたり0.3〜5gが好ましく、0.5〜2gがより好ましい。組成物を塗布し、すぐスポンジ等でこすり洗いをしても良好な除去効果が得られるが、汚れに塗布した後、5分〜1時間静置した後にスポンジ等でこすり洗いする方法が洗浄力を高める点から好ましい。
【実施例】
【0032】
<実施例1及び比較例1>
表1、2に記載の組成物を調製した。各組成物のpH(20℃)は7に調整している。これらの組成物について、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの除去
性能を評価した。本発明において対象となる細菌汚れは、ピンク色及び/又は紅色を呈する色素を伴うために微量残留している状態でも認知される。そこで、細菌から色素が除去され脱色されることが認知範囲以下まで汚れを除去するために有効である。ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れの主要構成菌であるメチロバクテリウム属細菌(以下、ピンク汚れ原因細菌という場合もある)に対する脱色効果、及び組成物の泡立ちを評価した。詳細を以下に示す。
【0033】
<ピンク汚れ原因細菌に対する脱色効果>
(モデル汚れ液の調製)
家庭の浴室からピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを採取し、これから分離したメチロバクテリウム属細菌の生理食塩水分散液(モデル汚れ液、以下、ピンク汚れ液という)を調製した。
【0034】
(評価の手順)
10mLガラス製スクリュー管に表1、2の組成物を1mL加え、ここにピンク汚れ液を0.1μL加え、軽く振り混ぜた後、30分静置した。組成物とピンク汚れ液の混合液をメンブランフィルター(0.2μm孔径、酢酸セルロース)でろ過し、ろ液の吸光度(500nm)を、分光光度計を用いて測定した。細菌が保持しているピンク色及び/又は紅色を呈する色素に対して本発明の組成物は抽出、乳化力に優れるため、ろ液に色素が移動する。ろ液の吸光度が大きくなるほど細菌に対する脱色効果に優れている。この評価では、吸光度が0.10以上、好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.25以上であれば脱色効果が高く、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対する洗浄力に優れていると判断する。
【0035】
<泡立ち評価>
10mLガラス製スクリュー管に表1、2の組成物を5mL加え、フタを閉じて、5回上下に振り混ぜた。その後、スクリュー管内の泡の上端と液面の上端との距離を測定し、この値を泡高さ(cm)とした。高い汚れ除去効果を得るためには、泡高さが1.6cmcmを超えていることが望ましく、2.0cm以上であれば起泡性が十分であると判断される。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
* (C10−C14)アルキルグルコシド:アルキル基の炭素数10〜14、グルコース平均縮合度1.4
【0039】
実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−4の結果から(a)成分/(b)成分の質量比が本発明の範囲では、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れ脱色力に優れ、かつ泡立ちに優れることが分かる。また、実施例1−1、1−10及び比較例1−12、1−13の結果から(a)成分/(c)成分の質量比が本発明の範囲では、ピンク色及び/又は紅色を呈する汚れ脱色力の高い性能が確認された。
【0040】
また、実施例1−1と比較例1−1より、(a)成分、及び(c)成分に加えて(b)成分を含有するとピンク色及び/又は紅色を呈する汚れ脱色力及び泡立ちに優れることが分かった。
【0041】
また、実施例1−1、1−2と比較例1−2より(a)成分を含有するとピンク色及び/又は紅色を呈する汚れ脱色力に優れることが分かった。また、実施例1−1、1−2と比較例1−5〜1−10より(c)成分を含有することでピンク色及び/又は紅色を呈する汚れ脱色力に優れることが分かった。
【0042】
<実施例2>
表3に記載の組成物を調製し、浴室における洗浄力を評価した。浴室の床部に存在するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れに対して、表3の組成物を20cm2あたり1g塗布し、30分静置後、3回スポンジでこすり、シャワーですすぎ流した。その結果、実施例2−1〜2−3のいずれも、スポンジでこする時の泡立ちがよく、すすぎ流した後、汚れがきれいに除去されていた。
一方、泡立ち評価において起泡性の低い組成物およびピンク汚れ原因細菌に対する脱色効果が低い組成物について評価を行ったところ、汚れの残留が認知され、本発明の実施例の効果が高いことが確認された。
【0043】
【表3】

【0044】
* ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数13〜14、エチレンオキシド平均付加モル数7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤を0.5〜5質量%、(b)炭素数が8〜22のアルキル基を有する両性界面活性剤を0.5〜4質量%、(c)ベンジルアルコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれる1種、または2種以上の有機化合物を0.5〜10質量%含有し、(a)/(b)の質量比が0.30〜8であり、(a)/(c)の質量比が0.050〜35である硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【化1】


〔式中、R1は炭素数6〜18の炭化水素基、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。Z-は陰イオン基である。〕
【請求項2】
(a)下記一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤を0.5〜5質量%、(b)炭素数が8〜22のアルキル基を有する両性界面活性剤を0.5〜4質量%、(c)ベンジルアルコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルから選ばれる1種、または2種以上の有機化合物を0.5〜10質量%含有し、(a)/(b)の質量比が0.30〜8であり、(a)/(c)の質量比が0.050〜35であり、微生物に由来するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する硬質表面用液体洗浄剤組成物。
【化2】


〔式中、R1は炭素数6〜18の炭化水素基、R2、R3はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。Z-は陰イオン基である。〕
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を汚れに接触させ、微生物に由来するピンク色及び/又は紅色を呈する汚れを除去する方法。

【公開番号】特開2012−255073(P2012−255073A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128399(P2011−128399)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】