説明

磁石封入式固定装置

【課題】曲面上に被固定物を自由に固定、回転できるヒンジ装置を実現し、1つの磁石を使用し複数面において端部に磁石を含む1つの被固定物を磁石同士の結合により固定できるようにする。
【解決手段】一方の被固定物11の端部に、磁石30を封入した容器20を設け、磁石を端部に含むもう一方の被固定物10を、容器表面に固定できるようにする。磁石を端部に含む被固定物を、容器表面のある場所に近づけると、内部の磁石が移動・回転してその場所の容器内側の面に引き寄せられN極とS極で結合し、その磁石同士の引力による被固定物と容器表面間の摩擦力の増加により被固定物が容器表面に固定される。容器表面が曲面の形状をもつ場合、容器内部で磁石が自由に移動・回転できるため、被固定物を固定している場所で曲率中心に対して、接ベクトル方向に容器表面との接着を維持したまま被固定物を回転することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上の被固定物を固定するための、固定装置、ヒンジ機構に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来の技術では、例えば球面上に被固定物を自由に固定、回転できるヒンジ装置は作れない。また、端部に磁石を含む1つの被固定物を複数の面で磁石同士の結合により固定できるようにするには、面にそれぞれ磁石を付着させておく必要があるため、面の数だけ磁石が必要となる。
【0003】
本発明は、以上2点の問題に対して、曲面上に被固定物を自由に固定、回転できるヒンジ装置を実現すること、1つの磁石を使用し複数面において端部に磁石を含む1つの被固定物を磁石同士の結合により固定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決しようとする手段】
【0004】
一方の被固定物の端部に、磁石を封入した容器を設け、磁石を端部に含むもう一方の被固定物を、容器表面に固定できるようにする。磁石を端部に含む被固定物を、容器表面のある場所に近づけると、内部の磁石が移動・回転してその場所の容器内側の面に引き寄せられN極とS極で結合し、その磁石同士の引力による被固定物と容器表面間の摩擦力の増加により被固定物が容器表面に固定される。
【0005】
容器表面が曲面の形状をもつ場合、容器内部で磁石が自由に移動・回転できるため、被固定物を固定している場所で曲率中心に対して、接ベクトル方向に容器表面との接着を維持したまま被固定物を回転することができる。
【0006】
容器が曲率を持たない多面体状の場合、非固定物を回転させることはできないが、容器内部で磁石が自由に移動・回転できるため、封入した1つの磁石の使用により、容器を構成する任意の面に垂直な方向に強く被固定物を固定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、従来技術には見られない、さまざまな曲面上に被固定物を自由に固定、回転できるヒンジ装置を実現する。
【0008】
本発明は、従来技術には見られない、1つの磁石を使用し複数面において端部に磁石を含む1つの被固定物を磁石同士の結合により固定できるようにすることを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の実施の形態は、「課題を解決しようとする手段」に記載したとおりである。発明を効率良く実現するには、できるだけ強力な磁石を使うこと、磁石の形状を容器表面の形状に合わせること、磁石を封入する容器をできるだけ薄いものにすること、容器と被固定物間の摩擦係数をできるだけ大きくすることが挙げられます。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】被固定物の端部に、磁石を封入した円柱状容器を設け、磁石を端部に含むもう一方の被固定物を、容器表面に固定したものを横から見た図である。
【図2】被固定物の端部に、中を2つに仕切って磁石を封入した球状容器を設け、磁石を端部に含む2つの被固定物を、容器表面に固定した正面図である。
【図3】被固定物の端部に、磁石を封入した直方体状容器を設け、磁石を端部に含むもう一方の被固定物を、容器表面に固定した正面図である。
【図4】携帯電話機の本体に、磁石を封入した円柱状容器を2つ設け、対応する位置に磁石を2つ設けた画面部を、本体に固定した正面図である。
【符号の説明】
【0011】
10、11、12、13、14、15、16:被固定物
17:携帯電話本体
18:携帯電話画面部
20、21、22、23、24:容器
30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、50、51:磁石
40:仕切り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の被固定物の端部に、1つ又は複数のそれぞれに磁石を封入した仕切られた空間がある容器を設け、磁石又は強磁性体を端部に含むもう一方の被固定物を、1つ又は複数個、容器表面に固定できるようにした固定装置。磁石又は強磁性体を端部に含む被固定物を、容器表面のある場所に近づけると、内部の磁石が移動・回転してその場所の容器内側の面に引き寄せられN極とS極で結合し、その磁石同士、又は磁石と強磁性体間の引力による被固定物と容器表面間の摩擦力の増加により被固定物が容器表面に固定される。容器表面は曲面の形状をもち、かつ容器内部で磁石が自由に移動・回転できるため、被固定物を固定している場所で曲率中心に対して、接ベクトル方向に容器表面との接着を維持したまま被固定物を回転することができる。
【請求項2】
請求項1の固定装置において、容器を曲率がない多面体状にしたもの。非固定物を回転させることはできないが、容器内部で磁石が自由に移動・回転できるため、容器を構成する任意の面に垂直な方向に強く被固定物を固定することができる。
【請求項3】
請求項1の固定装置において、磁石を封入せずに、容器又は容器とその内部を強磁性体で置き換えたもの。被固定物を強磁性体表面に固定している場所で曲率中心に対して、接ベクトル方向に回転することができる。請求項1の場合より相対的に固定力は劣るが、加工が容易で低コストである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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