説明

移動システムからの非接触データ転送

【課題】ジンバルアセンブリ内のセンサによって収集された画像データの送信を容易にする。
【解決手段】ジンバルアセンブリ220は、ジンバルアセンブリ内に1又は複数のセンサ221を備えて、該センサによりデータが収集される。ジンバルアセンブリ220は、動作モジュール222により、センサ221の照準を制御し、また、通信モジュール223により、少なくとも1つの方向性光信号を送信して、センサによって収集されたデータを焦点素子230を介して、少なくとも1つのトランスデューサ240に送信する。トランスデューサ240は、データを変換してプロセッサ/ディスプレイモジュールに転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを捕捉かつ通信することに関し、具体的には、画像センサを照準するよう制御されているジンバルアセンブリの、画像センサからのデータ転送に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電磁周波数のレンジで動作するビデオカメラや静止カメラ等の画像センサ等の、センサの自動又は半自動的な方向位置決め制御(directional positioning control)は、さまざまな用途において重要である。このような制御は、製造、ツーリング(tooling)、その他の用途で使用されるが、さまざまな監視及び保全用途に好適であるとしてより広く知られており、特に航空機で上方から視覚データ(visual data)を捕捉する用途において、重要である。一例を挙げれば、無人航空機(UAV)では監視装置がセンサの方向制御とともに用いられて、オペレータによるリモートセンシング及び航空状況の評価(aerial situational assessment)を可能にしている。別の例では、センサは、領空域交通の感知・回避(sense-and-avoid)脅威検出を提供している。さらに別の例では、センサは、巡航ミサイル等の兵器の誘導を可能にし、オペレータ及び自動衝突回避システムのいずれかが、画像センサフィードバック(image sensor feedback)に基づいて、ミサイルを制御する。監視又は他のシステムが、例えば画像センサのディレクショナル・エイミング(directional aiming:方向照準)等、センサの自動又は半自動の制御を可能にするシステム又はデバイスを用いている例もある。このようなデバイスは、センサの運動安定化も可能にする。
【0003】
画像センサの制御及び/又は安定化をもたらすシステム及びデバイスは、ジンバルと称されている。ジンバルは、さまざまな機械的、電気的、及び/又は磁気的メカニズムによって、可動域(range of motion)でのセンサの方向位置決めの自動又は半自動的な制御を可能にする。ジンバルの可動域は単一の軸又は多数の軸の周囲である。
【0004】
リアルタイム又はほぼリアルタイムで、ジンバルシステムの視覚センサによって収集されたデータを表示及び/又は処理することは有益である。しかしながら、このようなデータはサイズが比較的大きいことが多々あり、ジンバルからのデータ転送を困難にしている。
【0005】
ジンバルシステムのセンサからデータ転送をするための有線データ接続は、ジンバルの効果的な視覚センサの位置決め能力を阻む力を生じる。さらに、ジンバルの運動は頻繁で強力なため、有線データ接続は時間の経過とともに物理的に損傷を受け、ジンバルシステムの一部又は全体が動作不能になる。
【0006】
ジンバルシステムによっては、1又は複数の機械的スリップリングを用いてジンバルシステムのセンサからデータを転送するものもある。機械的スリップリングは、特定のジンバルシステムの各運動軸上に配置される。機械的スリップリングのアスペクト(aspect)が、設計者がジンバルシステムのサイズを最小化することに制限を与えている。さらに、機械的スリップリングの電磁気特性も、スリップリングのデータ転送速度を制限する原因となっている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ジンバルアセンブリの1又は複数のセンサによって収集された画像データを、1又は複数の方向性電磁信号(directional electromagnetic signals)を介してジンバルアセンブリから転送するためのシステム、方法及び装置を提供する。1又は複数の方向性電磁信号は光信号である。本出願に記載される発明の内容は、ジンバルアセンブリの運動及び/又は位置決めに影響を与える非線形の力を及ぼす有線接続を用いずに、ジンバルアセンブリからの画像データの通信を可能にするものである。本出願に記載された発明は、画像データを広帯域(例:500Mbsを超えるもの)での画像データとして転送を可能にし、その結果、画像データをリアルタイム又はほぼリアルタイムで送信、処理、及び/又は表示ができるようにし、且つ慣性荷重を最小化することを可能にするものである。本出願に記載された本発明はさらに、電磁波等の干渉に対して高度な耐性をもつ画像データの通信を可能にするものである。
【0008】
一実施形態では、この発明の開示はジンバルアセンブリを備えるシステムを対象としている。ジンバルアセンブリにはセンサが備えられている。センサはデータを収集し、ジンバルアセンブリはセンサの照準を制御することができる。ジンバルアセンブリ内の通信モジュールは、少なくとも1つの方向性電磁信号を送信してセンサで収集されたデータを通信する。少なくとも1つの方向性電磁信号は、光信号である。少なくとも1つのトランスデューサが、少なくとも1つの方向性電磁信号を受信するよう位置している。該システムはさらに、少なくとも1つのトランスデューサ上に少なくとも1つの方向性電磁信号を集束する、少なくとも1つの集束素子(focusing element)を備えている。集束素子は、ジンバルアセンブリの可動域で、少なくとも1つの方向性電磁信号を集束できるような大きさ、形状及び配置にされている。
【0009】
別の実施形態では、ジンバルアセンブリでジンバルアセンブリ内に位置するセンサを照準するステップと、センサでデータを収集するステップと、1又は複数の方向性電磁信号を送信して、少なくとも1つの方向性電磁信号を受信するよう位置している少なくとも1つのトランスデューサに、収集したデータを通信するステップと、を含む方法が提供される。該方法はさらに、少なくとも1つの方向性電磁信号を少なくとも1つのトランスデューサ上に集束するステップを含む。
【0010】
別の実施形態では、遠隔で制御される航空機が開示される。遠隔で制御される航空機は、航空機胴体を含む。ジンバルアセンブリは、航空機胴体に搭載される。ジンバルアセンブリに備えられたセンサが画像データを収集する。ジンバルアセンブリはセンサの照準を制御できる。ジンバルアセンブリ内の通信モジュールは、少なくとも1つの方向性電磁信号を送信して、センサで収集された画像データを通信する。少なくとも1つのトランスデューサが、少なくとも1つの方向性電磁信号を受信するよう位置している。少なくとも1つのトランスデューサと接続されているディスプレイが画像データを表示する。航空機は、表示された画像データに少なくとも部分的に基づいて、遠隔で制御される。
【0011】
本発明の1又は複数の実施形態の詳細は、添付の図面及び下記の説明に記載する。本発明の他の特性、目的及び利点は、本発明の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるジンバルシステムの一実施形態を備える無人航空機を示す図である。
【図2A】本発明によるジンバルシステムの一実施形態を示すブロック図である
【図2B】本発明によるジンバルシステムの一実施形態を示す概念図である。
【図3】本発明によるセンサを照準するジンバルアセンブリをもつジンバルシステムの一実施形態を示す図である。
【図4】本発明による多数の集束素子を含むジンバルシステムの一実施形態を示す。
【図5】本発明による、広ビーム方向性電磁信号を通信するよう構成されたジンバルシステムの一実施形態を示す図である。
【図6】本発明によるジンバルアセンブリを動作させる方法の一実施形態を示すフロー図である。
【図7】本発明によるジンバルアセンブリと情報のやりとりを行うよう構成されたジンバルシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明によるシステム、装置及び方法を実施する無人航空機(UAV)の、上方からの図及び側面斜視図を示す図である。図1はさらに、UAVで使用される、本発明によるジンバルシステム110の分解図を示している。UAV100等のUAVは、上述したように、現代の軍事用途においてますます重要になってきている。UAV100がもたらす利益の1つは、有人航空機を用いることなく空中監視(aerial surveillance)ができることである。空中監視の目的で、多くのUAVは、画像データ等のデータを捕捉するための1又は複数のセンサを備えている。1又は複数のセンサは、UAV100の飛行の遠隔制御を可能にするため等、他の目的でも使用される。搭載されたセンサは、画像を捕捉し、且つリアルタイムで送信かつ処理されるデータを生成して、UAV100の周囲のビデオ画像又は静止画像を提供する。好適には、画像センサ等のセンサの方向位置決めが自動又は半自動的に制御可能である。また、搭載センサ(例:UAV100に搭載の)に関しては、航空機の運動及び例えば乱気流等の環境の影響によって生じる、絶えず変化する環境において、センサを安定化することがさらに好適である。少なくともこれらの理由から、多くのUAV100は、多種多様な監視システム及び/又は遠隔制御可能なビークルシステムとともに、1又は複数のセンサを備え、且つ1又は複数のセンサの照準(ディレクショナル・エイミング)を自動又は半自動的に制御する性能を提供する、1又は複数のジンバルシステム110を採用する。
【0014】
いくつかのジンバルシステム110は、制御信号を受信し、且つセンサの能動部分を照準するよう構成された、何らかの機械的、電気的、又は電気機械的メカニズムを採用している。ジンバルシステム110のいくつかの実施形態は、多数のモータ又は他のギアリング付きアクチュエータ、及び接続構造を備えている。各モータは、ジンバルアセンブリ120の運動の軸を制御する。本発明によるジンバルシステム110の一実施形態が図1に示されている。図示されたジンバルシステム110は、以下でさらに詳述される1又は複数の方向性電磁信号を用いて、ジンバルアセンブリと通信するよう構成される。
【0015】
図2Aは、本発明によるジンバルシステム210の概略ブロック図であり、図2Bは、本発明によるジンバルシステム210の一実施形態を示す概念図である。図示のように、ジンバルシステム210は、ジンバルアセンブリ220を備えている。ジンバルアセンブリ220は、球状又は部分的に球状のハウジング226を備えている。ハウジング226は、少なくとも1つのセンサ221を保持している。以下でさらに詳しく論述されるように、ジンバルアセンブリ220は、1又は複数の制御信号に応答し、それに応じて可動域でセンサ221を照準するよう動作する。したがって、センサ221は、ユーザ(例:人間のオペレータ又は自動衝突回避システム)によって、自動又は半自動的に照準される。図1のUAV100等の無人航空機にジンバルアセンブリ220が搭載される実施形態においては、センサ221で捕捉されたデータは、UAV100から1又は複数のロケーション(例:軍事基地)に送信され、そこで1又は複数のオペレータがその画像データを用いてUAV100を制御する。
【0016】
一実施形態では、ジンバル220のハウジング226は、ハウジング226の外側向きの表面の周りに巻き付いた1又は複数のコイルを備える。コイルは、垂直もしくは水平、又はその両方に位置する。ジンバルアセンブリ220はさらに、1又は複数の磁石227を備えており、磁石227によって生じた磁界の少なくとも一部が、コイルの少なくとも一部を通過するように磁石227は位置している。
【0017】
磁石227は永久的又は半永久的な位置に配置されるが、ハウジング226は磁石227に対して可動である。ジンバルアセンブリ220は、1又は複数のコイルに電流を選択的に流すことによって動作する。1又は複数のコイルを流れる電流は、磁石227の磁界と交わり、磁石227に対するハウジング226の運動を生じさせ、これにより、ジンバルアセンブリ220が作動して、可動域でセンサ221を照準することができる。
【0018】
上述されたジンバルアセンブリ220の実施形態は、本明細書で開示される発明の内容を説明する目的のみのために提供されたものである。したがって、これらの実施形態は本発明を制限するものではなく、且つ本明細書に記載される発明の内容は、現在既知又は今後開発される1又は複数のセンサ221の、照準方向を合わせることができる任意のジンバルシステムに適用可能である。
【0019】
上記で論述されたさまざまな実施形態では、ジンバルアセンブリ220は、1又は複数のセンサ221を備え、且つその方向を照準するよう動作する。1又は複数のセンサ221は、電磁エネルギ又は熱エネルギを検出することができる任意のデバイスである。例えば、1又は複数のセンサ221は、カメラ、光検出器、又は別の感光センサ等の、可視光スペクトルで電磁エネルギを検出するものである。別の実施形態では、センサ221は、赤外線、紫外線、マイクロ波、X線、マルチスペクトル、化学、生物、放射線、原子力、又は任意の別の形態のエネルギを検出する。さらに別の実施形態では、センサ221は、熱エネルギを検出する方向性温度センサ(directional temperature sensors)を備える。センサ221は、上述のエネルギを、間欠的に(例:静止カメラ等)又は連続的あるいは半連続的に(例:ビデオカメラ等)に検出することができる。当業者には、センサ221が上述したエネルギ形態を任意の組み合わせで、間欠的もしくは連続的、又はその両方の方法で捕捉するよう構成できることが理解されるであろう。
【0020】
ジンバルアセンブリ220はさらに、1又は複数の動作モジュール222を備えている。動作モジュール222は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は別のコンピュータデバイスである。動作モジュール222は、制御信号を受信し、かつセンサ221の方向的エイミングすなわち照準を生じさせる。例えば、図2Bに示されたジンバルアセンブリ220の実施形態に関しては、動作モジュール222は、ジンバルアセンブリ220のコイルを流れる1又は複数の電流を制御し、且つそれに応じて磁石227に対するハウジング226の所望の運動を生じさせる。
【0021】
動作モジュール222は、センサ221で捕捉された画像データを処理する。例えば、動作モジュール222は、センサ221で捕捉された画像データを、変換、符号化、圧縮、変調、又は他の方法で修正する。動作モジュール222は、ジンバルアセンブリ220から送信するために画像データを処理する。いくつかの実施形態では、動作モジュール222の異なる機能が単一のコンピュータデバイスに記憶されている。別の実施形態では、動作モジュール222は、例えばセンサ221の照準を生じさせる第1のマイクロプロセッサ、及びセンサ221で捕捉されたデータを処理する第2のマイクロプロセッサ等の、多数のコンピュータデバイスに記憶される。さらに、動作モジュール222は、例えばマイクロプロセッサ、FPGA又はASICの別の回路等、コンピュータデバイスの別のモジュールに記憶されてもよい。
【0022】
ジンバルアセンブリ220はさらに、1又は複数の通信モジュール223を備えている。通信モジュール223は、ジンバルアセンブリ220から、送信された画像データを受信できる1又は複数のトランスデューサ又は検出器に対して、センサ221で捕捉された画像データを送信する。通信モジュール223は、画像データを、1又は複数の方向性電磁信号225の形で送信する。図2に示された実施形態などでは、1又は複数の方向性電磁信号225は狭ビーム電磁信号である。図5に示された別の実施形態などでは、1又は複数の方向性電磁信号は広ビーム方向性電磁信号である。通信モジュール223は、1又は複数のレーザ又は発光ダイオード(LED)を用いて1又は複数の方向性電磁信号225を送信する。レーザ又はLEDによって送信された1又は複数の方向性電磁信号225は、例えば可視波長、赤外線波長、又は紫外線波長等、任意の電磁スペクトルの波長であってよい。さらに、1又は複数の方向性電磁信号225を介して送信された画像データは、デジタル形式又はアナログ形式で送信される。またさらに通信モジュール223は、複数のレーザ、LED、又はレーザ及びLEDの組み合わせを用いて、1又は複数の方向性電磁信号225を送信する。通信モジュール223はさらに、複数の波長又は波長範囲の電磁エネルギの方向性電磁信号225を送信する。
【0023】
通信モジュール223は、ジンバルアセンブリ220によって照準されたセンサ221の方向とは異なる方向に、1又は複数の方向性電磁信号225を送信する。いくつかの実施形態では、図2Bに示されるように、通信モジュール223は、ジンバルアセンブリ220によって照準されたセンサ221の方向とは反対の方向に、1又は複数の方向性電磁信号225を送信する。
【0024】
図2A及び図2Bにも示されているように、ジンバルシステム210は、少なくとも1つのトランスデューサ240を備えている。トランスデューサ240は1又は複数の方向性電磁信号225を、電気信号などの別の形のエネルギに変換する。例えば、トランスデューサ240は、光エネルギの形の方向性電磁信号225を、画像データ等のデータを示す電気信号に変換する光応答素子を備えている。電磁エネルギを電気エネルギに変えるトランスデューサ240のさまざまな実施形態は、光検出器(個々の光子が離散効果を生む量子デバイス)と、写真乾板、フォトレジスタ(光の強度によって抵抗を変更する光依存性抵抗(LDR)としても知られる)、光を浴びると電圧を生成し電流を供給する光電池(太陽電池としても知られる)、光ダイオード、光電子増倍管、光電管、光トランジスタ、入射する放射の加熱効果に反応する焦電検出器(ゴーレイセル、サーモカップル、及びサーミスタットとしても知られる)、極低温検出器、電荷結合素子(CCD)、及び逆バイアスの発光ダイオード(LEDs)等の化学検出器と、の任意の組み合わせを含む。
【0025】
図示されていない実施形態のいくつかでは、2以上のトランスデューサ240がジンバルシステム210で用いられている。多数のトランスデューサ240は、異なる形態の方向性電磁信号225又は方向性電磁信号225の一部分を、それぞれ変換する。例えば、第1のトランスデューサ240が第1の波長、極性、又は別の特性をもつ方向性電磁信号225又は方向性電磁信号225の一部分を変換し、一方、第2のトランスデューサ240が別の波長、極性、又は他の特性をもつ方向性電磁信号225又は方向性電磁信号225の一部分を変換する。さらに、1又は複数のトランスデューサ240には、1又は複数のフィルタ、導波管、又は他の電磁的に作動するコンポーネントが備えられ、方向性電磁信号225又は方向性電磁信号225の一部分を識別している。
【0026】
図2A及び図2Bに示されているように、トランスデューサ240は、1又は複数のプロセッサ及び/又はディスプレイモジュール250と接続されている。1又は複数のディスプレイモジュール250は、検知されたデータを示す1又は複数の電気信号を受信し、データを処理、表示、及び/又は再送信する。例えば、ジンバルシステム210が有人航空機に組み込まれている場合、1又は複数のプロセッサ及び/又はディスプレイモジュール250は、データを処理して、有人飛行機のディスプレイ等を介してデータをユーザに提供する。別の実施形態では、プロセッサ及び/又はディスプレイモジュール250は、データを処理且つ/又は表示するために、他の場所にデータを通信する。例えば、プロセッサ及び/又はディスプレイモジュール250は、画像データを処理かつ/又は表示するために、軍事基地、空母、別の航空機、等の1又は複数の遠隔地へ送信する。画像データは、RF通信、セルラネットワーク通信、ネットワークによる通信(例:インターネット)、衛星通信、等の当該技術で既知の任意の通信媒体によって送信される。送信された画像データはさらに、送信された画像データの安全性を保証するために、当該技術で既知の多様な手法によって暗号化される。
【0027】
図2A及び図2Bに示されるように、ジンバルシステム210は、少なくとも1つの集束素子230を備えている。ジンバルアセンブリ220がセンサ221の方向を可動域で照準動作する間、通信モジュール223によって生成された1又は複数の方向性電磁信号225の送信方向がそれに応じて変化する。送信されたデータがトランスデューサ240で受信されることを保証するために、ジンバルシステム210は、ジンバルアセンブリ220の可動域でのジンバルアセンブリ220の位置決めと無関係に、トランスデューサ240に1又は複数の方向性電磁信号225が方向付けされる状態を維持するよう動作する、1又は複数の集束素子230を備えている。さまざまな実施形態において、1又は複数の集束素子230は、レンズ、単一のパスに沿って配置された複数のレンズ、又はジンバルアセンブリ220の可動域の別々の部分に関する方向性電磁信号225を方向づけるよう配置された複数のレンズである。通信モジュール223が光スペクトルの波長の方向性電磁信号を送信する一実施形態では、1又は複数の集束素子230は1又は複数のガラスレンズ、プラスチックレンズ、又は同等のレンズである。通信モジュール223が温熱エネルギの方向性電磁信号を送信する場合の別の実施形態では、1又は複数の集束素子230は1又は複数の石英レンズである。多種多様な方向性電磁信号のために別の種類の集束素子230が使用されることも考えられる。集束素子230は1又は複数の凹レンズ、凸レンズ、フレネルレンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、正メニスカスレンズ、負メニスカスレンズ、平凹レンズ、もしくは両凹レンズ、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0028】
図3に示されるように、1又は複数の集束素子230は、ジンバルアセンブリ220の可動域のほぼ全体に関して、1又は複数の方向性電磁信号225がトランスデューサ240に対して方向付けられるように構成されている。例えば、集束素子230の直径には、ジンバルアセンブリ220の動作位置がどこであれ、1又は複数の方向性電磁信号225が集束素子230の少なくとも一部によって捕捉され、そして次に、1又は複数の方向性電磁信号225がトランスデューサ240に方向付けられるのに十分な大きさが選択される。図3の例では、ジンバルアセンブリ220は、ジンバルアセンブリ220の可動域に関する最上位置に、センサ221を照準しており、その一方で、通信モジュール223は1又は複数の方向性電磁信号225を、センサ221が照準されている方向と実質的に反対の方向へ送信する。集束素子230は、この位置で、通信モジュール223によって送信された1又は複数の方向性電磁信号225が集束素子230の下部で捕捉され、かつトランスデューサ240に方向付けられるように構成される。解り易くするために、図2B及び図3で提供されたジンバルシステム210の例は、図2及び図3のページに対して上/下方向のジンバルアセンブリ220の運動を表現しているが、当業者はジンバルアセンブリ220、集束素子230、及びトランスデューサ240の構成は、1又は複数の方向性電磁信号225を、ジンバルアセンブリ220の可動域で図2B及び図3のページに対して左右方向又は前後方向に送信するよう動作可能なことを理解するであろう。
【0029】
図2Bに示されるように、集束素子230の直径の選択に加えて、ジンバルシステム210のさまざまな別の側面(aspect)についてもさまざまな特性に基づいて選択することができる。例えば、ジンバルアセンブリ220、集束素子230、及びトランスデューサ240は、焦点距離f1及びf2だけ離間して配置されている。焦点距離f1及びf2は、通信モジュール223によって送信された方向性電磁信号225の強度、方向性電磁信号225の種類(例:波長)、集束素子230の品質及び/又は種類(凹レンズ、凸レンズ、フレネルレンズ、等)、データ送信に必要とされる所望の帯域幅、及び/又はトランスデューサ240の感度に基づいて選択することができる。焦点距離f1及びf2はさらに、ジンバルアセンブリ220の可動域及び集束素子230の直径に依存して選択される。
【0030】
図4は、本発明によるジンバルシステム410の一実施形態を示す図である。ジンバルシステム410は、集束素子230に加えて第2の集束素子431を備えていること以外は、図1、図2A、図2B、及び図3に示されたジンバルシステム210と類似している。図4の実施形態では、第2の集束素子431は、ジンバルアセンブリ220及び第1の集束素子230の間に位置している。この構成により、第2の集束素子431は少なくとも1つの方向性電磁信号225を捕捉し、且つ少なくとも1つの方向性電磁信号225を第1の集束素子230へ方向づける。第1の集束素子230は、図2A、図2B及び図3に関して上述されたように、少なくとも1つの方向性電磁信号225をトランスデューサ240に集束する。一実施形態では、第1のレンズ230は両方に凸の両凸レンズであり、一方第2のレンズ431は凹レンズ又は平凹レンズである。別の実施形態では、第1のレンズ230及び第2のレンズ431は、凹レンズ、凸レンズ、フレネルレンズ、両凸レンズ、平凸レンズ、正メニスカスレンズ、負メニスカスレンズ、平凹レンズ、及び/又は両凹レンズの任意の組み合わせである。図4に示されたジンバルシステム410は好適である。これは、図2A、図2B及び図3に示された信号集束素子230より小さい集束素子(例:より小さい直径のもの)を用いて、ジンバルアセンブリ220の可動域で方向性電磁信号225を集束することを可能にするためである。
【0031】
図5は、本発明による、広ビーム方向性電磁信号525である少なくとも1つの方向性電磁信号を通信するジンバルシステム510の一実施形態を示す図である。図5に示されているように、ジンバルアセンブリ520は通信モジュール523を備えており、これが広ビーム方向性電磁信号である方向性電磁信号525を送信する。通信モジュール523は、例えば、広ビーム方向性電磁信号525を送信する1又は複数のLEDを備えている。さらに図5に示されるように、ジンバルシステム510は、1又は複数のトランスデューサ540A〜540Cを備えている。図5の例には、3つのトランスデューサ540A〜540Cが示されているが、単一のトランスデューサ、2つのトランスデューサ、又は3つ以上のトランスデューサを使用することも考えられる。
【0032】
図5にさらに示されるように、トランスデューサ540A〜540Cのそれぞれは、ジンバルアセンブリ520の可動域の特定部分に関して、広ビーム方向性電磁信号525を受信するよう配置される。例えば、トランスデューサ540Aは、ジンバルアセンブリ520の第1の可動域α1に関する広ビーム方向性電磁信号525を受信するよう配置され、第2のトランスデューサ540Bは、ジンバルアセンブリ520の第2の可動域α2に関する広ビーム方向性電磁信号525を受信するよう配置され、第3のトランスデューサ540Cは、ジンバルアセンブリ520の第3の可動域α3に関する広ビーム方向性電磁信号525を受信するよう配置される。いくつかの実施形態では、ジンバルアセンブリ520の可動域のほぼ全体について、少なくとも1つのトランスデューサが広ビーム方向性電磁信号を受信するようにするために、多数のトランスデューサが選択されている。いくつかの実施形態では、トランスデューサ540A〜540Cが、ジンバルアセンブリ520の1又は複数の可動域に関して、広ビーム方向性電磁信号525を受信するよう配置される。例えば、この場合には、広ビーム方向性電磁信号525は2以上のトランスデューサ540A〜540Cにオーバーラップする。
【0033】
図6は、本発明によるジンバルシステム210の動作する方法を示すフロー図である。ステップ601において、ジンバルアセンブリ220内に位置するセンサ221が、ジンバルアセンブリ220によって照準される。センサ221はジンバルアセンブリ220の可動域で照準される。ステップ602において、センサ221はデータを収集する。収集されたデータは画像データである。収集された画像データを通信するための1又は複数の方向性電磁信号225は、ステップ603において、少なくとも1つの方向性電磁信号225を受信するよう位置した少なくとも1つのトランスデューサ240に送信される。少なくとも1つの方向性電磁信号225は、狭ビーム又は広ビームの電磁信号である。少なくとも1つの方向性電磁信号225は、少なくとも1つのトランスデューサ240に集束される。少なくとも1つの方向性電磁信号225は、少なくとも1つの集束素子230を用いて、少なくとも1つのトランスデューサ240に集束される。集束素子230は1又は複数のレンズである。少なくとも1つの方向性電磁信号225は、ジンバルアセンブリ220の実質的に全ての可動域において集束される。少なくとも1つの方向性電磁信号225はレーザによって送信される。少なくとも1つの方向性電磁信号225は発光ダイオード(LED)によって送信される。センサ221は第1の方向に照準され、且つ少なくとも1つの方向性電磁信号225は、第1の方向とは異なる第2の方向に送信される。第2の方向が第1の方向と反対の方向である。
【0034】
図7は、本発明による、1又は複数の方向性電磁信号を介してジンバルアセンブリ720と往信及び返信の両方をするよう動作するジンバルシステム710を示す図である。一実施形態では、ジンバルシステム710は、1又は複数の方向性電磁信号を介して1又は複数の制御信号を通信するよう動作可能である。別の実施形態では、ジンバルシステム710は、1又は複数の方向性電磁信号を介して力を通信するよう動作可能である。
【0035】
ジンバルシステム710の実施形態は、図2B及び図3に示されたジンバルシステム210の実施形態に類似している。しかし、図7のジンバルシステム710はさらに、ジンバルへの通信モジュール742を備えている。ジンバルへの通信モジュール742は、画像データトランスデューサ740に隣接して位置している。あるいは、ジンバルへの通信モジュール742は、トランスデューサ740から遠くの位置にあってもよい。一実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742及びトランスデューサ740は同一のコンポーネント(例:単一のASIC、FPGA、DSP、マイクロコントローラ等)で形成される。別の実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742及びトランスデューサ740は異なるコンポーネントで形成される。
【0036】
一実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742は1又は複数の方向性電磁信号726をジンバルアセンブリ720に送信する。一実施形態では、1又は複数の方向性電磁信号726は、制御信号の少なくとも1つの表示を含む。別の実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742は、使用可能な力に変換されるエネルギを含む1又は複数の方向性電磁信号726を送信する。
【0037】
ジンバルアセンブリ720は、少なくとも1つのトランスデューサ741を備えている。少なくとも1つのトランスデューサ741は、上述のトランスデューサ240と同様の働きをするが、一実施形態では、トランスデューサ741は少なくとも1つの方向性電磁信号726を、制御データを示す1又は複数の電気信号に変換する。動作制御モジュール722は、1又は複数の電気信号を受信し、それに応じてジンバルアセンブリ720のディレクショナル・エイミングを制御する。
【0038】
別の実施形態では、トランスデューサは少なくとも1つの方向性電磁信号726を電気的なパワーに変換する。一実施形態では、少なくとも1つの方向性電磁信号726から抽出されたパワーは、例えばセンサ721、動作制御モジュール722、及び/又は通信モジュール723等のジンバルアセンブリ720のコンポーネントによって使用される電力に変換される。
【0039】
トランスデューサ741は通信モジュール723の近接する位置に配置される。一実施形態では、トランスデューサ741及び通信モジュール723は同一のコンポーネントで(例:単一のASIC上に)形成される。別の実施形態では、トランスデューサ741及び通信モジュール723は異なるコンポーネントとして形成される。
【0040】
一実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742は、1又は複数の方向性電磁信号726の方向を照準する。そうするために、ジンバルへの通信モジュール742は、トランスデューサ741の相対的位置決めを決定して、1又は複数の方向性電磁信号726がトランスデューサ741上に向かうようにする。そのような一実施形態では、方向性電磁信号725は、画像データに加えてジンバルアセンブリ720の位置決めを示すデータを含み、ジンバルへの通信モジュール742は、ジンバルアセンブリ720の位置を示す受信データに基づいて、方向性電磁信号726を照準する。別の実施形態では、画像データトランスデューサ740が、1又は複数の方向性電磁信号725の入射角を決定し、ジンバルへの通信モジュール742が、検出された方向性電磁信号725の入射角に基づいて、方向性電磁信号726を照準する。
【0041】
これらの両実施形態によると、ジンバルへの通信モジュール723は、トランスデューサ741の相対的な位置決めを決定し、且つ1又は複数の方向性電磁信号726の方向を制御信号トランスデューサ741上に照準する。ジンバルへの通信モジュール723は、図2A、図2B及び図3〜図5の画像データに関して上述された実施形態と同様に、1又は複数の方向性電磁信号726の方向を、1又は複数の集束素子730を介してトランスデューサ741上に照準するよう構成される。いくつかの実施形態では、単一の集束素子又は一連の集束素子は、信号725及び726の両方を集束する。別の実施形態では、信号725及び726のそれぞれに対して専用の集束素子が用いられる。
【0042】
別の実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742は、電磁信号726の方向をトランスデューサ741上に照準していない。そのかわり、ジンバルへの通信モジュール742は、トランスデューサ741が例えばほぼ水平位置などの特定位置にある時にのみ、1又は複数の方向性電磁信号726を送信する。この実施形態によれば、ジンバルへの通信モジュール742は、制御データの通信のための1又は複数の期間を、方向性電磁信号725の入射角、及び方向性電磁信号725に含まれて通信されたジンバルアセンブリ720の位置、のいずれか1つに基づいて決定し、且つ1又は複数の方向性電磁信号726をそれらの期間に送信する。
【0043】
図7に示されていない別の実施形態では、ジンバルへの通信モジュール742は、図5に示された広ビーム方向性電磁信号525と類似の、広ビーム方向性電磁信号726を送信する。ジンバルアセンブリ720は、広ビーム方向性電磁信号726を受信及び/又は変換する、1又は複数のトランスデューサ741を備えている。一実施形態では、通信モジュール723及び741は、それぞれの広ビーム方向性電磁信号725及び726を通信する。このような一実施形態では、通信モジュール723は、通信モジュール741とは異なる電磁エネルギの波長で信号725を送信し、入力信号725及び出力信号726を識別できるようにする。関連する実施形態では、トランスデューサ740及び741のそれぞれが、各自の信号725及び726の波長を受信するよう構成される。
【0044】
本発明のさまざまな実施形態を上述したが、これらの実施形態及び他の実施形態は、以下に記載の特許請求の範囲に含まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
ジンバルアセンブリと、
ジンバルアセンブリに備えられ、データを収集するたセンサであって、ジンバルアセンブリにより照準が制御されるセンサと、
ジンバルアセンブリに備えられ、センサによって収集されたデータを通信するために、少なくとも1つの方向性電磁信号を送信する通信モジュールと、
少なくとも1つの方向性電磁信号を受信するよう位置する、少なくとも1つのトランスデューサと
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、該システムはさらに、少なくとも1つの方向性電磁信号を、少なくとも1つのトランスデューサ上に集束する、1又は複数の集束素子を備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムにおいて、ジンバルアセンブリは第1の方向にセンサの照準を合わせるよう制御可能であり、通信モジュールは第1の方向とは反対方向である第2の方向に方向性電磁信号を送信するよう構成されていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−151790(P2011−151790A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−273506(P2010−273506)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】