説明

移植機

【課題】植付カップの開閉動作によって生じる騒音を低減できるようにする。
【解決手段】一対のカップ構成体を有する植付カップを備え、植付カップの上下動に伴って一対のカップ構成体が互いに開閉動作するように構成された移植機の植付カップ装置において、
植付カップの閉動作時に一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当する前に互いに接当する接当規制体が、一対のカップ構成体にそれぞれ設けられ、一対の接当規制体同士が接当する際に発生する接当音が一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当する際に発生する接当音よりも小さくなるように、一対の接当規制体の接当部の少なくとも一方は非金属材料で形成され、一対の接当規制体同士が接当するときの一対のカップ構成体の対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となるように、一方の接当規制体は他方の接当規制体に対して出退調整自在とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下動に伴って開閉動作する植付カップを備える移植機の植付カップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移植機には、一対のカップ構成体を有する植付カップを備え、植付カップの上下動に伴って一対のカップ構成体が互いに開閉動作するように構成されたものがある(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−269932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来では、一対のカップ構成体が鉄等の金属材で構成されていることもあって、植付カップの閉動作時に一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当することにより、大きな接当音を発生し、これにより植付カップの開閉動作の際に大きな騒音を生じていた。
本発明は上記問題点に鑑み、植付カップの開閉動作によって生じる騒音を低減できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、一対のカップ構成体を有する植付カップを備え、植付カップの上下動に伴って一対のカップ構成体が互いに開閉動作するように構成された移植機の植付カップ装置において、
植付カップの閉動作時に一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当する前に互いに接当する接当規制体が、一対のカップ構成体にそれぞれ設けられ、一対の接当規制体同士が接当する際に発生する接当音が一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当する際に発生する接当音よりも小さくなるように、一対の接当規制体の接当部の少なくとも一方は非金属材料で形成され、一対の接当規制体同士が接当するときの一対のカップ構成体の対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となるように、一方の接当規制体は他方の接当規制体に対して出退調整自在とされている点にある。
【0005】
また、本発明の他の技術的手段は、一対のカップ構成体にそれぞれ支持ステーが突設され、一方の接当規制体は、一方の支持ステーに固着した固設ナットと、接当部を有するねじ部材と、該ねじ部材に螺合される締付ナットとを備え、接当部が他方の接当規制体に向けて出退調整自在になるようにねじ部材は固設ナットに螺合され、ねじ部材を一方の支持ステーに対して移動不能に固定するように締付ナットはねじ部材に螺合され、他方の接当規制体は、他方の支持ステーに、ねじ孔を有する接当部がボルト等の締結具により固定されてなる点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、支持アームの先端部に、一対のカップ構成体の内面を摺動するスクレーパ部材が設けられ、支持アームの中途部を一対のカップ構の対向縁部間に挿通して一対のカップ構成体の内面間にスクレーパ部材を挿入して、植付カップに対して支持アームを上下移動させることにより、スクレーパ部材を一対のカップ構成体の内面を上下方向に摺動させてカップ構成体の内面に付着した土を掻き落とすようにした移植機の植付カップ装置であって、
前記支持アームの中途部が挿通される一対のカップ構成体の対向縁部にゴム等の軟質材が装着されている点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、植付カップの閉動作時に一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当する前に接当規制体が互いに接当して、一対のカップ構成体の対向端縁同士が接当しなくなるため、植付カップの開閉動作によって生じる騒音を低減でき、植付カップの閉動作時に大きな騒音が生じなくなる。また、一対の接当規制体同士が接当するときの一対のカップ構成体の対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となるように、一方の接当規制体は他方の接当規制体に対して出退調整自在とされているので、一方の接当規制体の出退調整により、植付カップの閉塞時の一対のカップ構成体の対向端縁同士の離間幅を簡単かつ高精度に調整することができて、植付カップの開閉動作に支障を生じることもなくなり、非常に便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は野菜等の苗を畝Rに移植する移植機1を示し、同図において、移植機1は、走行体2の後方に移植装置3および操縦ハンドル4を有する歩行型であって、畝Rを跨いでその長手方向に走行しながら、ソイルブロック苗を畝Rに所定間隔をおいて自動的に植え付けるものである。
なお、移植機1の進行方向を前後方向といい、進行方向に直交する横方向を左右方向という。
【0009】
走行体2は、ミッションケース5の前部に架台を前方突出状に取付固定すると共に、この架台上にエンジン7等を搭載して主構成された走行機体8を有すると共に、この走行機体8を左右両側に備えた前輪10および後輪11によって走行可能に支持してなる。
移植装置3は、走行機体8の後方に装着された移植フレーム12に設けられており、苗を畝Rに植え付ける植付カップ(植付体)13と、この植付カップ13に苗を供給する苗供給装置14と、植え付けた苗の根本側への土寄せと該根本部分の鎮圧を行う覆土部材(覆土ローラ)15とから主構成されており、畝Rがマルチフィルムによって被覆されている場合には、マルチフィルムに植付用の穴を形成する穿孔手段が備えられる。
【0010】
移植フレーム12は、前部がミッションケース5に取付固定された固定フレーム12Aと、前部がミッションケース5に左右軸5A廻りに回動自在に枢着された可動フレーム12Bとから構成され、固定フレーム12A上に苗供給装置14が設けられると共に、固定フレーム12Aの後端部に操縦ハンドル4が取付けられ、可動フレーム12Bに植付カップ13および覆土部材15が支持されている。
植付カップ13は、可動フレーム12B側に支持されており、植付カップ13は、上下に揺動しながら前後にも揺動して、該植付カップ13が走行体2に対して縦長の略楕円状の軌道を描くように運動するようになっている。また、植付カップ13は上部が上下開口状の筒体で形成され、下部に前後に開閉自在なオープナを備えている。そして、植付カップ13は、その軌道の上端側で苗が落下供給されると共に、該オープナを閉じた状態で下降され、軌道の下部側でオープナの下部が畝Rに突入し、オープナが前後に開かされて、畝Rに植え穴が形成されると共に、該植え穴に植付カップ13内部に収納していた苗が落下放出されることにより、苗が畝Rに植え付けられる。
【0011】
苗供給装置14は、ソイルブロック苗を収容したポット部を縦横に多数備えた苗トレイを横送りすべく左右方向に間欠移動する苗載せ台25と、この苗載せ台25の前方側に配置されていて苗トレイから苗を一つずつ取出して植付カップ13へと搬送する苗分送装置26とから構成されている。
前記移植装置3は、苗を畝Rに植え付ける植付装置17と、この植付装置17に苗を供給する苗供給装置14と、覆土部材15とを備えてなる植付ユニットを有している。
前記植付装置17及び苗供給装置14は、エンジンからの動力によって駆動されるようになっている。
【0012】
次に、植付装置17について説明する。
植付装置17は、苗供給装置14から供給される苗を畝Rに所定間隔で植付けるべく畝Rに対して突き刺し運動される植付カップ13と、この植付カップ13を上下運動させる植付カップ駆動機構19とを備える。前述したように、植付装置17は、1条植用であって、植付カップ13及び植付カップ駆動機構19は1つずつ設けられている。
なお、植付装置17を2条植用又は3条植用以上のものとし、植付カップ13及び植付カップ駆動機構19をそれぞれ複数ずつ設けるようにしてもよい。
【0013】
図2〜図4に示すように、エンジン7からミッションケース5等を介して動力が伝達される動力伝動機構31が走行機体8側に支持されて、植付カップ駆動機構19の前側に配置されている。この動力伝動機構31は、伝動ケース32と、伝動ケース32の前部側に回転自在に支持された駆動筒軸と、駆動筒軸に外嵌固着された駆動ギヤと、伝動ケース32の後部側に回転自在に支持された従動筒軸35と、従動筒軸35に外嵌固着された従動ギヤ36と、駆動ギヤ34及び従動ギヤ36に巻き掛けられた伝動チェーン37とを有し、エンジン7からの動力により従動ギヤ36及び従動筒軸35が例えば矢印e方向に回転駆動するように構成されている。
【0014】
図2〜図6に示すように、植付カップ駆動機構19は、移植機1の走行機体8側に回転自在に支持された第1回転ケース(第1回転体)161と、第1回転ケース161の遊端側に、回転自在に支持された第2回転ケース(第2回転体)162と、第2回転ケース162の遊端側に回転自在に支持された上下運動体163とを備え、この上下運動体163にカップ支持体164を介して植付カップ13が支持され、第1回転ケース161の回転に連動して、第2回転ケース162を第1回転ケース161とは逆方向に回転させると共に、上下運動体163を第2回転ケース162とは逆方向に相対回転させて、植付カップ13を上下運動させるようになっている。
【0015】
また、植付カップ駆動機構19は、第1回転軸166と第1太陽ギヤ167と第1遊星ギヤ168と第1出力ギヤ169と第2回転軸171と第2太陽ギヤ172と第2遊星ギヤ173と第2出力ギヤ174と第3回転軸175とを備え、第1支持筒体176が動力伝動機構31の伝動ケース32に固定されている。第1回転軸166は、取付板39,40及び取付筒41を介して従動筒軸35にスプライン嵌合され、第1支持筒体176に第1回転軸166が挿通されて、第1回転軸166が従動筒軸35と共に、伝動ケース32及び第1支持筒体176にベアリング177を介して回転自在に支持され、これにより第1回転軸166が従動筒軸35、従動ギヤ36、取付板39,40及び取付筒41と共に、移植機1の走行機体8側に回転自在に支持されている。
【0016】
前記第1回転軸166には、第1取付体179を介して第1回転ケース161がボルト等により固定され、第1回転ケース161がベアリング180を介して第1支持筒体176に回転自在に支持され、これにより、第1回転ケース161が、移植機1の走行機体8(移植機1の機体)に対して、第1回転軸166と共に第1回転軸166廻りに回転するようになっている。
第1太陽ギヤ167は第1支持筒体176にスプライン嵌合されて、移植機1の走行機体8側に固定されている。第1遊星ギヤ168は第1支持軸183を介して第1回転ケース161に回転自在に支持されて、第1太陽ギヤ167に噛合されている。
【0017】
第1回転ケース161の遊端側に第2支持筒体185が固設され、この第2支持筒体185に第2回転軸171が挿通されて、第2回転軸171が第2支持筒体185及び第1回転ケース161にベアリング186,187を介して回転自在に支持され、これにより第2回転軸171が第1回転ケース161の遊端側に回転自在に支持されている。第1出力ギヤ169が第2回転軸171に固設されると共に、第1遊星ギヤ168に噛合されている。
第2回転軸171に第2取付体188を介して第2回転ケース162がボルト等により固定され、第2回転ケース162がベアリング189を介して第2支持筒体185に回転自在に支持され、これにより、第2回転ケース162が、第1回転ケース161に対して、第2回転軸171と共に第2回転軸171廻りに回転するようになっている。
【0018】
第2太陽ギヤ172は第2支持筒体185に固設又はスプライン嵌合されていて、第1回転ケース161に対して固定されている。第2遊星ギヤ173は第2支持軸190を介して第2回転ケース162に回転自在に支持されて、第2太陽ギヤ172に噛合されている。第2回転ケース162の遊端側に、第3回転軸175がベアリング193,194を介して回転自在に支持され、第2出力ギヤ174が第3回転軸175に固設されている。第2出力ギヤ174は第2遊星ギヤ173に噛合されされている。
また、第2回転ケース162の遊端部に、有底円筒状の支持凸部197が左右方向外方に突設され、この支持凸部197に支持軸体198が外嵌されている。支持軸体198は、第2回転体162の遊端部に第3回転軸175の外周を取り囲むように設けられ、取付板200を介してボルト等により第2回転ケース162の遊端部に固定されている。
【0019】
第3回転軸175は、第2回転ケース162の支持凸部197から外方突出されると共に、支持軸体198に相対回転自在に挿通されて、支持軸体198から外方突出されている。第3回転軸175の外方突出部に取付筒体201がボルト等の締結具により着脱可能に外嵌固定され、取付筒体201から後方側に上下運動体163が突設されている。
支持軸体198に、後述する首振り連動機構251の首振り用カム264と、開閉連動機構252の開閉用カム272とが軸方向に間隔をおいて外嵌固着されている。従って、首振り用カム264と開閉用カム272とは、上下運動体163に対して第3回転軸175廻りに回転するように、第2回転体162の遊端部に固定されている。
【0020】
而して、第2回転ケース162を第1回転ケース161の回転に連動させて(同一速度で逆方向に)回転させる第1伝動機構201が、第1太陽ギヤ167、第1遊星ギヤ168、第1出力ギヤ169、第2回転軸171により構成されている。また、上下運動体163を第2回転ケース162の回転に連動させて(同一速度で逆方向に)回転させる第2伝動機構202が、第2太陽ギヤ172、第2遊星ギヤ173、第2出力ギヤ174、第3回転軸175により構成されている。
第1太陽ギヤ167と第1出力ギヤ169とのギヤ比が2対1に設定され、第1回転ケース161に対して(第1回転ケース161側からみて、又は第1回転ケース161を固定して考えて)、第2回転ケース162は第1回転ケース161の2倍の回転速度で逆方向に回転し、これにより、第2回転ケース162は、移植機1の走行機体8側に対して(移植機1の走行機体8側からみて)、第1回転ケース161と同一の回転速度で逆方向に回転するようになっていて、第1回転ケース161の回転に伴って第2回転ケース162が回転することにより、前記第3回転軸175は、移植機1の走行機体8側に対して上下運動(前後に膨らみのある上下運動)をするようになっている。
【0021】
また、第2太陽ギヤ172と第2出力ギヤ174とのギヤ比が1対2に設定され、第1回転ケース161に対して(第1回転ケース161側からみて又は第1回転ケース161を固定して考えて)、第2出力ギヤ174は、第2回転ケース162の1/2倍の回転速度で逆方向に回転し、これにより、上下運動体163(第3回転軸175、第2出力ギヤ174)は、第3回転軸175廻りに、第2回転ケース162に対して1/2倍の回転速度で逆方向に相対回転し、移植機1の走行機体8側に対しては、第1回転ケース161の回転に連動して、回転することなく一定姿勢で上下運動するようになっている。
【0022】
図9〜図10に示すように、植付カップ13は、前後一対の取付ピン218a,218bを支点に前後方向に開閉自在となる前後一対のカップ構成体219a,219bと、前後一対の開閉リンク220a,220bと、カップ構成体219a,219bを挟持する前後一対の挟持片216a,216bとを備え、その上端に平面視方形状の開口を有している。前後一対のカップ構成体219a,219bは、図9に示すバネ224によって、互いに閉じる方向に付勢されている。前側のカップ構成体219aの開閉リンク220aに、突出片221が下方突設されており、この突出片221をバネ224に抗して前方に引っ張ることによって、前後一対の開閉リンク220a,220bが下方に屈曲して、連結ピン222が下降し、植付カップ13が前後に開き、突出片221を後方に押すことによって前後一対の開閉リンク220a,220bが上方に伸長動作して連結ピン222が上昇し、植付カップ13が閉じるようになっている。
【0023】
植付カップ13の前後一対の開閉リンク220a,220bに、前後一対の取付ピン218a,218bが突設されており、取付ピン218a,218bを、カップ支持体164の前後一対の取付筒217a,217bに内嵌装着することにより、植付カップ13はカップ支持体164の後部に着脱自在に取り付けられている。
図2〜図10に示すように、上下運動体163と植付カップ13との間に、上下運動体163の上下運動に連動して植付カップ13を前後に首振り運動させる首振り連動機構251と、上下運動体163の上下運動に連動して植付カップ13を開閉させる開閉連動機構252とが設けられている。
【0024】
首振り連動機構251は、カップ支持体164と首振り用カム機構255とを備え、カップ支持体164に植付カップ13が連結されている。カップ支持体164の中央部に支持筒軸257が突設されると共に、カップ支持体164の前端部に取付軸258を介して上下一対のコロ体259が左右方向の軸心廻りに回転自在に支持されている。支持筒軸257は上下運動体163の支持筒205に軸心廻り回転自在に挿入保持され、これによりカップ支持体164は上下運動体163に対して支持筒軸257廻りに上下揺動自在に支持されている。
【0025】
前記首振り用カム機構255は、前記支持軸体198に固設された首振り用カム264と、前記カップ支持体164の一対のコロ体259とを備えてなり、一対のコロ体259は、首振り用カム264を上下に挟むように配置されている。これにより、カップ支持体164は、一対のコロ体259を介して首振り用カム264に接当され、首振り用カム264が上下運動体163に対して1回転する毎に、カップ支持体164が支持筒軸257廻りに上下揺動して、植付カップ13を前後に首振り運動をさせるようになっている。上下運動体164に対する首振り用カム264の1回転は、第1回転ケース161の1回転に対応しており、植付カップ13の下降時に前側に首を振り上昇時に後側に首を振り、これにより、上記の如く第3回転軸175(第2回転ケース162の遊端側、上下運動体163基端側)が、上下運動をすることによって植付カップ13が前後に膨らみのある上下運動することに加えて、植付カップ13がさらに大きく前後に膨らみのある上下運動するようになっている。
【0026】
開閉連動機構252は、開閉用揺動レバー266と開閉用カム機構267とを備え、開閉用揺動レバー266は、カップ支持体164から左右方向に離間して上下方向に配置され、開閉用揺動レバー266の上下方向中途部に支持軸275が突設され、この支持軸275がカップ支持体164の支持筒軸257に軸心廻り回転自在に挿通されて、開閉用揺動レバー266が、上下運動体163の支持筒205(後端部)に支持軸275廻りに揺動自在に支持されている。開閉用揺動レバー266の上端部にコロ体269が軸心廻りに回転自在に支持され、開閉用揺動レバー266の下端部は連結ロッド271により開閉リンク220aの突出片221に連結されている。
【0027】
従って、上下運動体163の一端部(前端部)は、第3回転軸175に固定され、上下運動体163の他端部(後端部)に、カップ支持体164と開閉用揺動レバー266とが同一軸心廻りに揺動自在に支持され、カップ支持体164と開閉用揺動レバー266とは、上下運動体163を挟むように支持軸体198の軸方向に離間して配置されている。
開閉用カム機構267は、前記支持軸体198に固設された開閉用カム272と、開閉用揺動レバー266のコロ体269とを備えてなり、コロ体269は開閉用カム272の前側に配置されて、バネ224の付勢によって、コロ体269は前側から開閉用カム272に圧接されている。これにより、開閉用揺動レバー266は、開閉用カム272を介して開閉用カム272に接当されており、上下運動体163に対して開閉用カム272が1回転する毎に、開閉用カム272が開閉用揺動レバー266を前方に押圧して該開閉用揺動レバー266を前方向に揺動して、連結ロッド271を介して開閉リンク220aの突出片221を前側に引っ張り、これにより、植付カップ13を前後に開くように構成されている。上下運動体163に対する開閉用カム272の1回転は、第1回転ケース161の1回転に対応しており、第1回転ケース161の回転に伴って、植付カップ13が下降して畝Rに突入したときに畝Rに植付穴を形成するとともに、開閉用カム272が開閉用揺動レバー266を前側に押圧して該開閉用揺動レバー266を前方向に揺動して、連結ロッド230を介して開閉リンク220aの突出片221を前側に引っ張り、これにより、植付カップ13を前後に開き、植付穴に苗を植付け得るようになっている。また、第1回転ケース161の回転に伴って、植付カップ13が上昇して植付カップ13が上死点(又は上死点近傍)に達したとき、開閉用カム272の凸部が開閉用揺動レバー266のコロ体269から外れて、カムレバー226が後方向に戻り揺動し、連結ロッド271を介して開閉リンク220aの突出片221を後側に押圧し、これにより、植付カップ13を閉じるようになっている。
【0028】
図2、図9、図11及び図12に示すように、一対のカップ構成体219a,219bにそれぞれ接当規制体281a,281bが設けられ、一対のカップ構成体219a,219bは植付カップ13の閉動作時に一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当する前に互いに接当するようになっている。
一対のカップ構成体219a,219bにそれぞれ支持ステー282a,282bが突設されている。一方の接当規制体281aは、一方の支持ステー282aに固着した固設ナット285と、接当部286aを有するねじ部材287と、該ねじ部材287に螺合される締付ナット288とを備え、接当部286aが他方の接当規制体281bに向けて出退調整自在になるようにねじ部材287は固設ナット285に螺合されている。締付ナット288はねじ部材287に螺合され、ねじ部材287を一方の支持ステー282aに対して移動不能に固定している。他方の接当規制体281bはねじ孔290を有する接当部286bを備え、他方の支持ステー282bに接当部286bがボルト等の締結具293により固定されている。
【0029】
一方の接当規制体281aの接当部286aはねじ部材287と一体に鉄等の金属材により構成されているが、他方の接当規制体281bの接当部286bは非金属材料である合成樹脂で形成されて、一対の接当規制体281a,281b同士が接当する際に発生する接当音が一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当する際に発生する接当音よりも小さくなるように構成されている。一方の接当規制体281aは、締付ナット288を緩めてねじ部材287を固設ナット285に対して回動することによって、一方の接当規制体281a(一方の接当規制体281aの接当部286a)は他方の接当規制体281b(他方の接当規制体281bの接当部286b)に対して出退調整自在とされ、これにより一対の接当規制体281a,281b同士が接当するときの一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となっている。
【0030】
図1及び図12に示すように、支持軸体303に支持アーム304が下方に突設されている。支持アーム304は下方に突出した後に左右方向に向けて屈曲され、その先端部にボルト等の固定具308によりゴム又は合成樹脂製のスクレーパ部材305が取り付けられている。
支持軸体303は支持筒体306に回動自在に挿通保持されており、支持アーム304は支持筒体306を介して前後揺動自在に支持されている。支持軸体303に取付片307が突設され、バネ309が取付片307に連結されており、バネ309は取付片307を引っ張って、支持アーム304を支持軸体303廻りに前方側に揺動するように付勢し、これにより支持アーム304の中途部をストッパー310に接当させて支持アーム304を前後揺動の中央に戻している。
【0031】
スクレーパ部材305は、植付カップ13の移動軌跡に対応する位置に略水平に配置されており、植付カップ13が上昇するとき、支持アーム297の中途部が一対のカップ構成体219a,219bの対向縁部301a,301b間に挿通されて、一対のカップ構成体219a,219bの内面間にスクレーパ部材305が挿入され、これにより、スクレーパ部材305が植付カップ13の上端開口から植付カップ13内に進入してその前後内面を摺動して植付カップ13の内面の付着土を掻き落とすように構成されている。なお、植付カップ13が下降するときには、スクレーパ部材305が植付カップ13により後方に押されて後方揺動した状態で植付カップ13の後外面(背面)を摺動して、植付カップ13の後外面の付着土を掻き落とすように構成されている。
【0032】
支持アーム297の中途部が挿通される一対のカップ構成体219a,219bの対向縁部301a,301bは左右方向外方に屈曲され、この対向縁部301a,301bにゴム等で構成した軟質材302a,302bが装着されている。
前記実施の形態によれば、従動ギア36に動力が伝達されて、図2に示すように、第1回転軸166がe方向に回転されると、第1回転ケース161が第1回転軸166と共に第1回転軸161廻りにe方向に回転し、これに連動して、第2回転ケース162が第2回転軸171廻りにf方向(第1回転ケース161とは逆方向)に同一速度で回転し、これに連動して、上下運動体163が第3回転軸175廻りに第2回転ケース162とは逆方向に相対回転する。このとき、第1回転ケース161に対して(第1回転ケース161側からみて、又は第1回転ケース161を固定して考えて)、第2回転ケース162は第1回転ケース161の2倍の回転速度で逆方向に回転し、上下運動体163(第3回転軸175、第2出力ギヤ174)は、第3回転軸175廻りに、第2回転ケース162に対して1/2の回転速度で逆方向に相対回転するので、移植機1の走行機体8側に対して、上下運動体163は、第3回転軸175廻りに回転したり揺動したりすることなく、水平に後方突出した一定姿勢で上下運動する。
【0033】
そして、上下運動体163が上下運動する毎に、首振り用カム264が上下運動体163に対して1回転し、カップ支持体164が支持筒軸257廻りに上下揺動して、植付カップ13が前後に首振り運動をする。上下運動体164に対する首振り用カム264の1回転は、第1回転ケース161の1回転に対応しており、植付カップ13の下降時に前側に首を振り上昇時に後側に首を振り、これにより、第3回転軸175(第2回転ケース162の遊端側、上下運動体163基端側)が、上下運動をすることによって植付カップ13が前後に膨らみのある上下運動することに加えて、植付カップ13がさらに大きく前後に膨らみのある上下運動する。
【0034】
また、上下運動体163に対する開閉用カム272の1回転は、第1回転ケース161の1回転に対応しており、第1回転ケース161の回転に伴って、植付カップ13が下降して畝Rに突入したときに畝Rに植付穴を形成すると共に、開閉用カム272が開閉用揺動レバー266を前側に押圧して該開閉用揺動レバー266を前方向に揺動して、連結ロッド230を介して開閉リンク220aの突出片221を前側に引っ張り、これにより、植付カップ13を前後に開き、植付穴に苗を植付ける。また、第1回転ケース161の回転に伴って、植付カップ13が上昇して植付カップ13が上死点(又は上死点近傍)に達したとき、開閉用カム272の凸部が開閉用揺動レバー266のコロ体269から外れて、カムレバー226が後方向に戻り揺動し、植付カップ13を閉じる。
【0035】
そして、首振り用カム264と開閉用カム272とは、上下運動体163に対して第3回転軸175廻りに回転するように、第2回転体162の遊端部に固定され、上下運動体163に、カップ支持体164と開閉用揺動レバー266とが揺動自在に支持されているので、従来のように首振り用カム側の回転動力をチェーン伝動機構等により開閉用カム側に伝動する必要がなくなり、開閉用カムを上下運動体に対して回転させるための駆動プーリ、従動プーリ、伝動チェーン等の伝動機構が不要になり、植付カップの首振り及び植付カップの開閉の機構が簡単になり、移植機を製造容易でかつ安価に製造し得る。
【0036】
第2回転体162の遊端部に、支持軸体198が第3回転軸175の外周を取り囲むように設けられ、この支持軸体198に首振り用カム264と開閉用カム272とが軸方向に間隔をおいて外嵌固着されているので、首振り用カム264と開閉用カム272とを、上下運動体163の上下運動毎に、上下運動体163対して第3回転軸175廻りに1回転させることができて、首振り用カム264と開閉用カム272とを極めて簡単な支持構造で上下運動体163に対して上下運動体163の上下運動に対応して、第3回転軸175廻りに回転させることができる。
【0037】
また、前記カップ支持体164と開閉用揺動レバー266とは、上下運動体163を挟むように支持軸体198の軸方向に離間して配置されて、上下運動体163に同一軸心廻りに揺動自在に支持され、また、上下運動体163の一端部は、前記第3回転軸175に固定され、上下運動体163の他端部に、カップ支持体164と開閉用揺動レバー266とが、揺動自在に支持されているので、上下運動体163、カップ支持体164及び開閉用揺動レバー266をコンパクトに配置して、上下運動体163を極力短くて小型のものに形成することができて、上下運動体163の両側にカップ支持体164と開閉用揺動レバー266とをコンパクトに配置することができる。
【0038】
また、前記実施の形態では、植付カップ13の閉動作時に一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当する前に互いに接当する接当規制体281a,281bが、一対のカップ構成体219a,219bにそれぞれ設けられているので、植付カップ13の閉動作時に一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当する前に接当規制体281a,281bが互いに接当して、一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当しなくなる。しかも、一対の接当規制体281a,281b同士が接当する際に発生する接当音が一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士が接当する際に発生する接当音よりも小さくなるように、一対の接当規制体281a,281bの接当部286a,286bのうち一方の接当部286bは非金属材料でである合成樹脂により形成されているので、植付カップ13の開閉動作によって生じる騒音を低減でき、植付カップ13の閉動作時に大きな騒音が生じなくなる。また、一対の接当規制体281a,281b同士が接当するときの一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となるように、一方の接当規制体281aは他方の接当規制体281bに対して出退調整自在とされているので、一方の接当規制体281aの出退調整により、植付カップ13の閉塞時の一対のカップ構成体219a,219bの対向端縁同士の離間幅を簡単かつ高精度に調整することができて、植付カップ13の開閉動作に支障を生じることもなくなり、非常に便利である。
【0039】
また、支持アーム297の中途部が挿通される一対のカップ構成体219a,219bの対向縁部301a,301bにゴム等の軟質材302a,302bが装着されているので、植付カップ13の開閉動作乃至スクレーパ部材305によるスクレーパ動作によって植付カップ13の対向縁部301a,301bが支持アーム304に衝当して大きな音が発生するのを、軟質材302a,301bにより効果的に防止でき、この点からも植付カップ13の開閉動作による騒音を防止することができる。
本実施の形態は、本発明の一例を開示したものであり、株間変更装置、植付装置、苗供給装置等は他の形式の装置を採用できる。
【0040】
なお、前記実施の形態では、機体側に、回転自在に支持された第1回転体161と、第1回転体161の遊端側に、回転自在に支持された第2回転体162とを備え、第1回転体161の回転に連動して、第2回転体162を第1回転体161とは逆方向に回転させると共に、この第2回転体162の遊端側に、植付カップ13を上下運動させるように支持しているが、これに代え、本願発明が適用される移植機の植付カップ装置は、植付カップ13をリンク機構その他により上下動自在に支持し、植付カップ13の上下動に伴って一対のカップ構成体219a,219bが互いに開閉動作するように構成したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、玉葱等の野菜の苗を植付カップの上下運動により植え付けるための移植機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態を示す移植機の側面図である。
【図2】同移植装置の側面図である。
【図3】同移植装置の平面図である。
【図4】同移植装置の背面断面図である。
【図5】同第1回転ケースの側面図である。
【図6】同第2回転ケースの側面図である。
【図7】同植付カップ駆動機構の回転ケースを取り外した状態の背面断面図である。
【図8】同植付カップ駆動機構の一部の平面断面図である。
【図9】同植付カップ駆動機構の後部側の側面図である。
【図10】同植付カップ駆動機構の後部側の平面図である。
【図11】同植付カップ部分の斜視図である。
【図12】同植付カップ部分の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
13 植付カップ
219a カップ構成体
219b カップ構成体
281a 接当規制体
281b 接当規制体
282a 支持ステー
282b 支持ステー
285 固設ナット
290 ねじ孔
293 締結具
297 支持アーム
298 スクレーパ部材
301a 対向縁部
301b 対向縁部
302a 軟質材
302b 軟質材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のカップ構成体(219a,219b)を有する植付カップ(13)を備え、植付カップ(13)の上下動に伴って一対のカップ構成体(219a,219b)が互いに開閉動作するように構成された移植機の植付カップ装置において、
植付カップ(13)の閉動作時に一対のカップ構成体(219a,219b)の対向端縁同士が接当する前に互いに接当する接当規制体(281a,281b)が、一対のカップ構成体(219a,219b)にそれぞれ設けられ、一対の接当規制体(281a,281b)同士が接当する際に発生する接当音が一対のカップ構成体(219a,219b)の対向端縁同士が接当する際に発生する接当音よりも小さくなるように、一対の接当規制体(281a,281b)の接当部(286a,286b)の少なくとも一方は非金属材料で形成され、一対の接当規制体(281a,281b)同士が接当するときの一対のカップ構成体(219a,219b)の対向端縁同士の離間幅が可変調整可能となるように、一方の接当規制体(281a)は他方の接当規制体(281b)に対して出退調整自在とされていることを特徴とする移植機の植付カップ装置。
【請求項2】
一対のカップ構成体(219a,219b)にそれぞれ支持ステー(282a,282b)が突設され、一方の接当規制体(281a)は、一方の支持ステー(282a)に固着した固設ナット(285)と、接当部(286a)を有するねじ部材(287)と、該ねじ部材(287)に螺合される締付ナット(288)とを備え、接当部(286a)が他方の接当規制体(281b)に向けて出退調整自在になるようにねじ部材(287)は固設ナット(285)に螺合され、ねじ部材(287)を一方の支持ステー(282a)に対して移動不能に固定するように締付ナット(288)はねじ部材(287)に螺合され、他方の接当規制体(281b)は、他方の支持ステー(282b)に、ねじ孔(290)を有する接当部(286b)がボルト等の締結具(293)により固定されてなることを特徴とする請求項1に記載の移植機の植付カップ装置。
【請求項3】
支持アーム(297)の先端部に、一対のカップ構成体(219a,219b)の内面を摺動するスクレーパ部材(305)が設けられ、支持アーム(297)の中途部を一対のカップ構成体(219a,219b)の対向縁部(301a,301b)間に挿通して一対のカップ構成体(219a,219b)の内面間にスクレーパ部材(305)を挿入し、植付カップ(13)に対して支持アーム(297)を上下移動させることにより、スクレーパ部材(305)を一対のカップ構成体(219a,219b)の内面を上下方向に摺動させてカップ構成体(219a,219b)の内面に付着した土を掻き落とすようにした移植機の植付カップ装置であって、
前記支持アーム(297)の中途部が挿通される一対のカップ構成体(219a,219b)の対向縁部(301a,301b)にゴム等の軟質材(302a,302b)が装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移植機の植付カップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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