説明

移植機

【課題】種芋等の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供すること。
【解決手段】種芋が1個ずつ人手により補給される供給カップ本体72がループ状に複数個配置された回転可能な種芋供給装置70と、ループ状に配置された供給カップ本体72の外側に設けられた、種芋が溜め置かれる回転種芋置き台710の溝部711と、種芋供給装置70から供給される種芋を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具26と、植付具26で圃場に植え付けられた種芋に覆土すると共に、植え付けられた種芋の周辺の土壌を鎮圧する輪圧輪8と覆土板29とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種芋等の移植機に関するものであり、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機の載置台上に準備された種芋等を、その移植機の走行にあわせてループ状に回転搬送される複数の供給カップに、作業者が一個ずつ手で供給することで、自動的に圃場に植え付ける種芋移植機が知られている。
【0003】
以下、図面を参照しながら、従来の種芋移植機の構成と動作を簡単に説明する。
【0004】
図12は、従来の種芋移植機101の側面図であり、図13は、従来の種芋移植機101の要部拡大斜視図である。
【0005】
図12、図13に示すように、従来の種芋移植機101は、作業者が手で種芋を一個ずつ補給するための供給カップ132を、供給回転台128上にループ状で所定間隔毎に配置された種芋供給部107と、その種芋供給部107から供給された種芋を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具126と、上記供給回転台128の上方中央部に張り出した種芋収納部134を有する種芋載せ台135等を備えている。各供給カップ132の底部には、上下方向に可動する開閉蓋132aが設けられている。
【0006】
この種芋移植機101は、その機体の走行と共に歩行する作業者が、種芋収納部134にある種芋を一つずつ手でつかんで、機体の走行にあわせてA方向(図13参照)に回転している供給カップ132に、それぞれ入れていく。
【0007】
供給カップ132の開閉蓋132aは、供給カップ132のA方向の回転に伴って、植付具126の上方に来た時に開放され、供給カップ132内の種芋が下方の植付具126に供給される。植付具126の先端部は、ほぼ楕円状の軌跡140を描いて駆動し、最下端に来た時に圃場に所定深さまで進入するとともに鳥のくちばしの如く開いて、内部に保持されていた種芋が圃場に落下して植え付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−51613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この様な従来の種芋移植機101の構造の場合、作業者は腕を十分に伸ばして、供給回転台128の上方中央部に張り出した種芋収納部134にある種芋をつかみ、更に、種芋収納部134の側壁部134aの高さを超える様に持ち上げて、その後、腕を曲げて供給カップ132に入れるという動作が必要であったため、作業効率が悪く、作業者への負担も大きいとう課題があった。また、この作業を急いで行ったり、手元をしっかり見ないで行ったりすると、種芋の表面を側壁部134aの上端部にぶつけて種芋を大きく傷つけてしまうおそれもあった。
【0010】
本発明は、以上従来の種芋移植機の課題に鑑み、種芋を含む移植対象物の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、
移植対象物が所定個数ずつ人手により補給される供給カップがループ状に複数個配置された回転可能な供給部と、
前記ループ状に配置された前記複数の供給カップの外側に設けられた、前記移植対象物が溜め置かれる外側溜め置き部と、
前記供給部から供給される前記移植対象物を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具と、
前記植付具で前記圃場に植え付けられた前記移植対象物に覆土すると共に、前記植え付けられた移植対象物の周辺の土壌を鎮圧する覆土鎮圧部と、を備えた移植機である。
【0012】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物の移植作業を効率よく行えるという効果を発揮する。
【0013】
また、第2の本発明は、
前記外側溜め置き部は、前記複数の供給カップの外側を環状に取り囲む様に配置された溝部を有しており、
前記溝部の底面は、前記供給カップの開口面よりも低い位置にある、上記第1の本発明の移植機である。
【0014】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物を溝部に溜めておき易いという効果を発揮する。
【0015】
また、第3の本発明は、
前記外側溜め置き部は着脱可能である、上記第2の本発明の移植機である。
【0016】
この構成によれば、移植対象物としての野菜苗も植え付け可能となる。
【0017】
また、第4の本発明は、
前記外側溜め置き部は、前記複数の供給カップの数に対応した数の外側溜め置きユニットに分割されており、
前記外側溜め置きユニットと、その外側溜め置きユニットに対応する前記供給カップは、一体化されて分割ユニットを構成しており、
前記分割ユニットは円形状に連設配置されている、上記第2の本発明の移植機である。
【0018】
この構成によれば、構成部品の種類を削減出来るという効果を発揮する。
【0019】
また、第5の本発明は、
前記供給カップは、隣接する前記供給カップ同士の間に隙間がない形状をして、前記ループ状に配列されている、上記第2の本発明の移植機である。
【0020】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物を供給カップに補給し易いという効果を発揮する。
【0021】
また、第6の本発明は、
前記供給部は、前記ループ状に配置された前記複数の供給カップの内側に、前記移植対象物を溜め置くための内側溜め置き部を有する、上記第1〜5の何れか一つの本発明の移植機である。
【0022】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物を溜め置くスペースをより多く確保出来るという効果を発揮する。
【0023】
また、第7の本発明は、
前記外側溜め置き部は、前記供給カップと共に前記回転可能であり、
前記移植対象物を予め載せておくための載置台が設けられており、
前記載置台は、前記載置台の本体から前記移植対象物を前記外側溜め置き部に補給するためのシューター部を有した、上記第1〜6の何れか一つの本発明の移植機である。
【0024】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物を、載置台から外側溜め置き部にスムーズに補給することが出来るという効果を発揮する。
【0025】
また、第8の本発明は、
前記シューター部による前記移植対象物の補給位置が変更可能である、上記第7の本発明の移植機である。
【0026】
この構成によれば、種芋等を含む移植対象物を、載置台から外側溜め置き部の適切な位置に補給することが出来るという効果を発揮する。
【0027】
また、第9の本発明は、
前記外側溜め置き部、又は、前記内側溜め置き部には、底面に水抜き孔が設けられている、上記第1〜8の何れか一つの本発明の移植機である。
【0028】
この構成によれば、洗車時の水抜きが容易であるという効果を発揮する。
【0029】
また、第10の本発明は、
前記覆土鎮圧部は、
上下に回動自在の回動フレームと、
前記回動フレームの一端側に前記土壌を覆土し鎮圧する覆土鎮圧部材とを有し、
前記回動フレームは、鎮圧用ウエイトが装着されるウエイト装着部を複数の箇所に有している、上記第1〜9の何れか一つの本発明の移植機である。
【0030】
この構成によれば、鎮圧力の調整が容易であるという効果を発揮する。
【発明の効果】
【0031】
以上のような本発明によれば、種芋を含む移植対象物の移植作業を従来に比べて効率よく行える種芋等の移植機を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態における種芋移植機の側面図
【図2】本発明の一実施の形態における種芋移植機から種芋載置台及びシューター等を除いた平面図
【図3】(a):本発明の一実施の形態における種芋移植機の主要部を示す斜視図、(b):本実施の形態の円形状カバーの斜視図
【図4】本発明の一実施の形態における種芋移植機の種芋供給装置のJ−J断面概略矢視図
【図5】本発明の一実施の形態における種芋移植機の回転台を裏側から見た概略図
【図6】本発明の一実施の形態における種芋移植機の種芋供給装置Lの概略断面図
【図7】(a):本発明の一実施の形態における種芋供給装置に用いる箱状ショートカップカバーを示す斜視図、(b):本発明の一実施の形態における種芋供給装置に用いる箱状ショートカップカバーLを示す斜視図、(c):本発明の一実施の形態における種芋供給装置に用いる野菜用供給カップを示す斜視図
【図8】(a):本発明の一実施の形態における種芋移植機に用いる、種芋供給回転板を示す斜視図、(b):分割ユニットを示す斜視図、(c):分割ユニットの断面図、(d):リブと位置決め用長孔との関係を説明するための概略斜視図
【図9】(a):本発明の一実施の形態における種芋移植機の可動シューターの斜視図、(b):シューター先端部の可動機構を示す図、(c):可動シューターのスライド機構を説明するための図、(d):可動シューターの図9(a)のH部に示すスライド機構の変形例を示す斜視図
【図10】本発明の一実施の形態における種芋移植機の覆土板を説明するための斜視図
【図11】(a)〜(c):鎮圧ウエイトステーの構成例を示す斜視図、(d)〜(e):鎮圧ウエイトを示す斜視図
【図12】従来の種芋移植機の側面図
【図13】従来の種芋移植機の要部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施の形態の種芋移植機についてその構成と動作を説明する。
【0034】
図1は、本発明の移植機の一例としてじゃが芋等の種芋を移植する種芋移植機1を示す側面図であり、図2は、種芋移植機1の平面図である。尚、図2は、種芋載置台とシューターを除いた図である。
【0035】
図1に示す様に、この種芋移植機1は、前部にエンジン2及び主伝動ケ−ス3と走行車輪としての左右一対の前輪4及び後輪5と、後部に種芋植付装置60、種芋供給装置70、左右一対の鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成されている。
【0036】
この種芋移植機1は、機体が圃場内の畝Uをまたぐように、前輪4及び後輪5が畝間を走行し、畝の上面の左右幅方向における中央位置に種芋植付装置60により種芋を植付けていく構成である。
【0037】
また、図2に示す様に、主伝動ケ−ス3の左右端には該主伝動ケ−ス3に対して回動可能な走行エクステンションケ−ス10を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケ−ス10のそれぞれの端部に走行チェ−ンケ−ス11を取り付けている。従って、エンジン2から入力される主伝動ケ−ス3内の動力を走行チェ−ンケ−ス11内に伝動する構成となっている。
【0038】
走行チェ−ンケ−ス11の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5の駆動により機体が走行するようになっている。従って、主伝動ケ−ス3は、走行車輪としての後輪5に伝動する伝動装置となっている。
【0039】
一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレ−ム12を前後方向のロ−リング軸13(図1参照)回りに回動可能に設け、この前輪支持フレ−ム12の左右両端部に前輪4を取り付けた構成としている。
【0040】
また、図2に示す様に、主伝動ケース3の後端の左右方向に配置された左右フレ−ム14の後部には、右よりの位置で操作ハンドル9側に延びる主フレ−ム15を設けている。該主フレ−ム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレ−ム15及び、左右フレーム14を介して主伝動ケ−ス3に支持された構成となっている。
【0041】
また、図2に示す様に、主伝動ケ−ス3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、主伝動ケース3に取り付けられた油圧切替バルブ部17(図1参照)に固着して設けられ、主伝動ケ−ス3に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動するようになっている。
【0042】
また、図2に示す様に、油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着し、該ロッド20,21の他端をそれぞれの走行エクステンションケ−ス10に取り付けられた上側ア−ム10aに枢着して、横杆19と走行エクステンションケ−ス10とが連結された構成となっている。
【0043】
従って、油圧昇降シリンダ16の伸縮により横杆19、後輪昇降ロッド20,21を介して主伝動ケ−ス3の左右の出力軸回りに走行チェ−ンケ−ス11が回動され、該走行チェ−ンケ−ス11の回動により後輪5が上下して機体が昇降する構成となっている。
【0044】
また、左側の後輪昇降ロッド20が伸縮するように該ロッド20の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、該水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持できるようになっている。
【0045】
尚、主伝動ケ−ス3の右側には振り子式の左右傾斜センサ23が設けられて、この左右傾斜センサ23の検出により油圧切替バルブ部17に備えられた水平操作バルブを介して水平用油圧シリンダ22を作動させ機体を左右水平に維持する構成となっている。
【0046】
本実施の形態の種芋植付装置60は、種芋を1個ずつ圃場の畝部に植付けるべく、主伝動ケ−ス3内からの動力が主伝動ケ−ス3の後側に設けた植付伝動ケ−ス24と、その植付伝動ケ−ス24に取り付けられた植付装置駆動ケ−ス25aを介して伝達され作動するようになっている。
【0047】
種芋植付装置60は、先端が尖ったカップ状の植付具26と該植付具26を昇降させるべく作動する植付具作動機構27とで構成される。植付具26の先端は、植付具26の昇降動作によって、図1に示す様に、概ね楕円形の軌跡Bを描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0048】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋載置台30、シューター40、及び種芋供給装置70について、図面を参照しながら、その構成を中心に説明する。
【0049】
図3(a)、図3(b)は、種芋載置台30、シューター40、及び種芋供給装置70を示す斜視図である。
【0050】
図1、図3(a)に示すように、種芋載置台30は、植付伝導ケース24上に設置された、移植対象物の一例としての種芋Cを予め載置するための四角形状の載置台であり、前方の一部と、後方の一部を除き四方が側壁で囲まれている。前方の側壁の一部は、種芋Cを入れたコンテナ33から種芋Cが供給出来るように切り欠かれており、後方の側壁の一部は、種芋Cがシューター40側に転がり落ちていける様に切り欠き部32が設けられている。
【0051】
尚、コンテナ置き台33aの上部後側のフレーム(図示省略)は、種芋載置台30の前方の切り欠き部(図示省略)において、回動可能に取り付けられている。また、図1に示す様に、コンテナ置き台33aに載せられたコンテナ33は、コンテナ置き台33aの上部後側の左右リフトロッド端保持部33bに連結されたリフトロッド34の上方向への動きにより、矢印Rで示す様に、初期位置からほぼ90度回転しながら持ち上げられる。この動きにより、予めコンテナ33に収納されていた種芋Cが、種芋載置台30側に自動的に供給される。
【0052】
ここで、本発明の載置台の一例が、本実施の形態の種芋載置台30等を含む構成例に該当する。
【0053】
また、図1、図3(a)に示すように、シューター40は、前側端部49が種芋載置台30の切り欠き部32を有する側壁31に締結部材49aにより固定されており、後側端部40bが後述する種芋供給装置70の回転種芋置き台710の溝部711の上方に配置されている。また、図3(a)に示す様に、シューター40の後側端部40bは、供給カップ本体72の上方を覆い被さらない様にするために、環状に形成された溝部711の内、切り欠き部32に近い溝部711に種芋Cを補給する様に構成されている。これにより、回転種芋置き台710に補給されてきた種芋Cが回転移動する際に、シューター40に衝突することを防止出来、また、作業者が種芋を供給カップ本体72に入れる作業の邪魔にならないという効果を発揮する。
【0054】
次に、図1、図3(a)、図3(b)、図4を参照しながら種芋供給装置70の構成について説明する。
【0055】
図4は、種芋供給装置70のJ−J断面(図2参照)の概略矢視図である。
【0056】
図1に示す様に、種芋供給装置70は、種芋植付装置60の上方に設けられ、円筒状の供給カップ本体72を8つ貫通させてループ状に固定配置した回転可能な円盤形状の回転台720と、その回転台720を反時計回りに回転させるための回転駆動機構76と、供給カップ本体72の下開口部72aに開閉自在に配置された開閉蓋80の開閉動作をコントロールするための、開閉蓋80の下面側に配置されたC字型蓋開閉ガイド91を含むガイドユニット90(図5参照)等を備えている。ガイドユニット90については図5を用いて更に後述する。
【0057】
尚、図5は、回転台720を裏側から見た図であり、ガイドユニット90を説明するための平面図である。図5では、煩雑さを避けるため回転駆動機構76は省略した。
【0058】
また、回転台720の中央部は、回転駆動機構76からの回転力を第1歯車76e1及び第2歯車76e2等を介して伝達するための回転軸76fの先端部76sと、ナット76nにより固定されている。
【0059】
また、図3(a)、図3(b)、図4に示す様に、回転台720の上面側には、底面に複数個の水抜き孔712を有し、種芋等が溜まり易い構造の溝部711が環状に形成された回転種芋置き台710が着脱可能に固定されている。回転種芋置き台710の底面に複数個設けられた水抜き孔712は、洗車時の水はけを良くするための工夫である。また、環状の溝部711の内側には、供給カップ本体72の上開口部72b以外の部分を覆うように形成された箱状カップカバー730がドーナツ状に隙間無く隣接する様に着脱可能に固定配置されている。更にまた、ドーナツ状の中央の空間部には、ナット76nを覆いつつ、種芋Cを溜め置くことが出来る様に中央部が窪んだ円形状カバー734(図3(b)参照)が着脱可能に配置されている。尚、図3(b)は、円形状カバー734を示す斜視図である。
【0060】
また、箱状カップカバー730の下面端縁部には、回転台720に開けられた貫通孔(図示省略)と勘合する様に、位置決め様の棒状突起731が4角近傍に設けられている。箱状カップカバー730の上面732は、供給カップ本体72の上開口部72bと対応した開口部733を有し、その外周縁部から開口部733に向けてなだらかな下り勾配の傾斜面が設けられている。尚、溝部711の底面は、箱状カップカバー730の上面732より低い位置に設けられている。
【0061】
また、図5を用いて、ガイドユニット90の構成について更に説明する。
【0062】
図5に示す様に、ガイドユニット90は、上述したC字型蓋開閉ガイド91と、そのC字型蓋開閉ガイド91の下面に固定されてC字型の形状を保持する直径方向に渡された長方形の保持アングル92と、その保持アングル92の下面に一端が固定されて、他端が種芋移植機1の本体部分に固定された保持アングル固定用支柱93とを備えている。また、C字型蓋開閉ガイド91は、同図に示すように、矢印E方向に回転する供給カップ本体72が植付具26の上方の位置(図2の位置D参照)に来たときのみ、その供給カップ本体72の開閉蓋80が開くように設けられている。
【0063】
また、回転駆動機構76は、図1、図2、図4に示す様に、回転テーブル駆動ケース25bに一端76c1が回転可能に接続され、回転方向変換ユニット76bの入力側に他端76c2が回転可能に接続された回転力伝達部材76cと、回転方向変換ユニット76bの入力側の回転軸と直交配置された出力側の回転軸76dに固定された第1歯車76e1と、第1歯車76e1と噛み合って配置された第2歯車76e2とを備えている。第2歯車76e2は反時計方向に滑らかに回転する。
【0064】
また、回転方向変換ユニット76bは、C字型蓋開閉ガイド91を保持する保持アングル92の一端側の下部に固定されて種芋供給装置70の主要部を支える保持アングル固定用支柱93に対して、回転方向変換ユニット固定アングル(図示省略)を介して固定されている。
【0065】
また、図4に示す様に、第2歯車76e2の回転軸76fは、保持アングル92の下面側に固定された軸受け部材76gに回転自在に圧入されている。保持アングル92の中央部には、回転軸76fを通過させるための孔92aが設けられている。回転台720は、回転軸76fを介して、軸受け部材76gにより回転可能に支持されている。
【0066】
次に、本実施の形態の種芋移植機1の種芋供給装置70及び植付具26を中心とした動作を、主として図1〜図3を参照しながら説明する。
【0067】
まず、作業者が所定量の種芋Cが入ったコンテナ33を、コンテナ置き台33aに投入する。その後、作業者は、操作レバー(図示省略)を操作して、リフトロッド34を上方向に上昇させて、コンテナ33を持ち上げる。これにより、コンテナ33に収納されている種芋Cの内、必要量を種芋移植機1の種芋載置台30に補給する。必要量の種芋Cの補給作業が終われば、作業者は、再び操作レバーを操作して、リフトロッド34を降下させて、コンテナ33を初期位置に戻す。これにより適量の種芋Cが、種芋載置台30からシューター40を経て、主として回転種芋置き台710の溝部711に補給される。
【0068】
次に、種芋移植機1のエンジン2を始動して、植付作業の開始に伴って、種芋移植機1は畝Uをまたぐようにしてゆっくりと前進する。一方、エンジン2の回転が回転力伝達部材76cに伝達されて、第1歯車76e1及び第2歯車76e2を介して、回転台720が反時計方向に滑らかに回転する。
【0069】
作業者は、種芋移植機1の左側に位置して、装置本体の前進に歩調を合わせながら、作業者に近い溝部711に溜められている手元の種芋Cを一つずつ手で掴んで、回転台720の回転に伴って回転する供給カップ本体72の上開口部72bに向けて補給する。これを繰り返すことにより、リング状に配置された8個の供給カップ本体72に、順次種芋Cが補給されることになる。
【0070】
これにより、種芋Cが周囲の溝部711に溜まりやすいので、手元の種芋Cを容易に素早く掴むことが出来、そのまま前方の供給カップ本体72まで手を伸ばして後は手を離すだけで良いので、種芋Cの補給が従来よりも効率良く行え、種芋Cを傷付けることも無い。
【0071】
一方、供給カップ本体72の底部は、回転台720の回転により供給カップ本体72が所定の位置Dに来たとき(図2参照)を除いて、C字型蓋開閉ガイド91により開閉蓋80で閉じられている。
【0072】
即ち、回転台720がE方向へ回転することにより供給カップ本体72が植付具26の上方の位置(図2の位置D参照)に来ると、図4に示す様に、開閉蓋80がC字型蓋開閉ガイド91の切れた部分において自重で開き、供給カップ本体72の中に収納されている種芋Cが下方の植付具26側に落下供給される。この時、植付具26は、上死点位置(図1に示す位置)に来ている。そして、回転台720が更に回転することにより、供給カップ本体72が回転して位置Dから離れるに従って、それまで開いていた開閉蓋80の下面がC字型蓋開閉ガイド91により押し上げられて閉じる。
【0073】
溝部711や、種芋載置台30に種芋Cが無くなれば、作業者は、操作レバーを操作して、上記と同様に、コンテナ33を上昇させて種芋Cを補給する。
【0074】
一方、植付具26は、図1に示す様に、前後方向に2分割して下部を開閉する構成となっている。これにより、供給カップ本体72から受け継いだ一個の種芋Cを収容保持した状態で、上死点位置から軌跡Bで示す様に下降し(図1参照)、種芋植付位置で下部を前後に開いて畝Uに植付穴を形成すると共にその植付穴に種芋Cを供給して植え付ける。その後、再び、植付具26は上死点位置に戻る。植付具26の軌跡Bで示す動作は(図1参照)、回転台720の回転動作と同期しており、供給カップ本体72が位置Dに来た時に(図2参照)、植付具26は上死点位置に戻る様に構成されている。
【0075】
また、植付具26の前方には圃場面感知プレ−ト36を設けている。圃場面感知プレ−ト36は左右方向の回動支点軸36a回りに回動可能に設けられ、接地することによる圃場面感知プレ−ト36の回動に伴って種芋植付装置60により所定の植付深さとなるように後輪5を昇降する。
【0076】
鎮圧輪8は、種芋植付位置の後方位置において左右に一つずつ設けられ、横軸37回りに上下揺動自在な鎮圧輪支持フレ−ム38に軸受により支持されている。この鎮圧輪8は、種芋移植機1の進行に伴って畝面を転動し、種芋が植え付けられた後の移植穴の周囲の土を崩落させて穴を埋め戻すと共に、植付具26で移植穴の前後、特に後方に盛り上がった土手を平らに鎮圧する。
【0077】
また、図10に示す様に、鎮圧輪支持フレーム38には、鎮圧輪8の内側に対応する位置に覆土板29が一つずつ、覆土板取付アングル28を介して上下位置調整可能に取り付けられている。覆土板29が上下位置調整可能であるので、覆土の状態を調整出来て、取り扱い性や作業効率が向上する。図10は、覆土板29を説明するための斜視図である。
【0078】
これにより、移植した種芋の周辺の土壌を平らにすることができ、じゃが芋の成育を良好にできる。
【0079】
次に、図11(a)〜(e)を用いて、鎮圧輪支持フレーム38に取り付けられている鎮圧ウエイトステー39、及び鎮圧ウエイトについて説明する。図11(a)〜(c)は、鎮圧ウエイトステーの構成例を示す斜視図であり、図11(d)、(e)は、鎮圧ウエイトを示す斜視図である。
【0080】
図11(a)に示す鎮圧ウエイトステー39は、覆土板取付アングル28の、操作ハンドル9に近い側の先端部の渡りアングル38aの中央から、横軸37側に向けて覆土板取付アングル28に平行に伸びたステー本体39aに、複数の短い棒状部材39bが等間隔で固定されており、鎮圧ウエイト50(図11(d)参照)をその十字部分39cの位置に配置して、鎮圧力を調整可能にするための部材である。ここで、鎮圧ウエイトステー39は、必ずしも渡りアングル38aの中央に固定されていなくても良く、要するに、棒状部材39bが渡りアングル38aの幅Wの内側に納まる様な位置であればどこでも良い。尚、図11(d)は鎮圧ウエイト50を下方から見た斜視図である。同図に示すように、鎮圧ウエイト50は、鎮圧ウエイトステー39の十字部分39cと勘合する様に、底面に十字状の溝51が形成されており、上面には、底面の溝51の位置に対応する位置に突起52が形成されている。
【0081】
これにより、鎮圧ウエイトステー39の突起部が、作業者に当たることが防止できてより安全な作業を実現出来る。
【0082】
また、鎮圧ウエイトステーは、上記構成に限らず例えば、図11(b)、(c)に示す構成でも良く、要するに、それらの突起部が、作業者に当たることが防止できる構成であればどの様な形状でも良い。
【0083】
即ち、図11(b)に示す鎮圧ウエイトステー53は、渡りアングル38aの中央部に図11(a)と同様に固定された棒状部材53aの上面に、柱状突起53bが複数取付られている。この場合の鎮圧ウエイト54(図11(e)参照)は、底面の中央に、この柱状突起53bが勘合する勘合穴54aが形成されている。
【0084】
また、図11(c)に示す鎮圧ウエイトステー55は、渡りアングル38aの中央部に図11(a)と同様に固定された板状部材であり、複数の突起部55aが、長手方向に直交する両側方向にそれぞれ伸びている。これによれば、板材を打ち抜くだけで鎮圧ウエイトステーが簡単に製造でき、部品点数の削減と共に製造コストの削減が可能となる。
【0085】
また、図1に示す様に、本実施の形態では、供給カップ本体72の所定位置(図2に示す位置D参照)、つまり、植付具26の上方に対応する位置にあって、供給カップ本体72の下端底部の下方に対応する部分には、樹脂製、ゴム製、又は金属製であって略筒状の種芋飛散防止カバー26aが設けられている。これにより、植付具26の上死点位置におけるガイド受体(図示省略)と供給カップ本体72の下端底部との間において、供給カップ本体72から植付具26への種芋受入れ時に、種芋Cが飛散して植付具26へ種芋Cが供給されないようなことを防止することが出来る。
【0086】
この種芋飛散防止カバ−26aは、供給カップ本体72の下端底部と所定の間隔を保っているので、開閉蓋80が自重で下方に開く時にも支障はない。これにより、種芋Cは供給カップ本体72から植付具26へより一層正確に案内落下されることになる。
【0087】
尚、本発明の移植対象物の一例として上記実施の形態では、じゃが芋等の種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、種芋ばかりでなく球根等の球状体を移植する場合においても本発明が適用できるものであり、上記と同様の効果を発揮する。
【0088】
上記構成により、本実施の形態の種芋移植機によれば、種芋等の移植対象物を従来より供給し易く、移植作業が高能率に行えるという効果を発揮する。
【0089】
尚、上記実施の形態では、回転種芋置き台710が回転台720の上面に着脱可能に固定されている構成について説明した。ここでは、図6を用いて、回転種芋置き台710の変形例としての回転種芋置き台L715について説明する。図6は、回転種芋置き台L715を含む種芋供給装置L70aの概略断面図であり、図4に示したJ−J断面概略矢視図に対応する図である。
【0090】
図6に示す回転種芋置き台L715と、図4に示す回転種芋置き台710との相違点は、図6に示す構成例の方が、溝部716を形成する外周壁717と内周壁718のそれぞれの上端縁部717a、718aの、回転台720の上面からの高さが高く、且つ、溝部716の深さが深い点である。また、図6の箱状カップカバーL730aの回転台720の上面からの高さも、図4に示す箱状カップカバー730よりも高い。また、供給カップ本体72は図4に示す構成と共通であるので、箱状カップカバーL730aの開口部内壁733aが、供給カップ本体72の上開口部72bの上端縁部にまで伸びている。種芋供給装置L70aのその他の構成は、図4に示す種芋供給装置70の場合と同じである。
【0091】
図6に示す構成例により、溝部716に溜めておける種芋Cの数を増やしたい場合に対応可能であり、また、移植対象物のサイズが大きい場合にも対応可能であるだけでなく、作業者の背丈に応じて、供給カップ本体72への補給作業に要する作業者の動作範囲を上方にずらすことが可能となり、作業負担が軽減される。
【0092】
また、図6に示す構成例に限らず、例えば、図4に示す回転種芋置き台710の下側の裏面と、回転台720の上面の間に、所定高さのスペーサ(図示省略)を複数個配置して、回転種芋置き台710を回転台720の上方に固定する構成でも良い。この場合、箱状カップカバーL730aを用いる点は、図6の構成例と同じである。これにより、大型部品である回転種芋置き台710の共用化を図りつつ、作業者の背丈に応じて、供給カップ本体72への補給作業に要する作業者の動作範囲を上方にずらすことが可能となり、作業負担が軽減される。尚、溝部711の深さは変わらない。
【0093】
また、上記実施の形態では、供給カップ本体72の上端側が回転台720の上面から上方に突き出し、下端側が回転台720の下面から下方に突き出して固定された構成について説明したが(図4、図6参照)、これに限らず例えば、図7(a)に示す様に、回転台720の上面から突き出さない様に配置されたショート供給カップ本体73が、上開口部73bの位置で回転台720に固定された構成であっても良い。この場合の箱状ショートカップカバー735の開口部壁面735aは、上開口部73bの上端縁部と連接する様に、回転台720の上面まで伸びた円筒状を呈している。図7(a)は、箱状ショートカップカバー735を示す斜視図である。
【0094】
また、図7(b)の箱状ショートカップカバーL736は、図7(a)の箱状ショートカップカバー735の高さを高くした場合を示しており、図6で述べた回転種芋置き台L715と組み合わせて使用できる。図7(b)は、箱状ショートカップカバーL736を示す斜視図である。
【0095】
また、図7(c)に示す野菜用供給カップ737には、中央に孔738を有する円盤状の固定板739が下面に固定されており、固定板739の裏面に形成された棒状突起731が回転台720に形成された位置決め用孔731aと勘合して、回転台720に着脱可能に固定される。孔738は、回転台720の上面に位置したショート供給カップ本体73の上開口部73bに対応している。図7(a)、(b)に示す箱状ショートカップカバー735,箱状ショートカップカバーL736に代えて、この野菜用供給カップ737を用いることにより、移植対象物として種芋の他に、野菜苗も植え付け可能となる。図7(c)は、野菜用供給カップ737を示す斜視図である。尚、野菜用供給カップ737を用いる場合は、シューター40や回転種芋置き台710等は、取り外しておいても良い。
【0096】
また、上記実施の形態では、回転台720に供給カップ本体が8個固定配置された場合について説明したが、これに限らず供給カップ本体の個数は自由に設定すれば良い。
【0097】
また、上記実施の形態では、回転種芋置き台710と箱状カップカバー730と円形状カバー734が別個に構成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、図8(a)〜(d)に示す様に、それら各機能が一体化されて、形状的に8分割された一単位である分割ユニット750(図8(b)、(c)参照)が、それぞれ回転台720上に連接配置されてなる種芋供給回転板740を用いた構成でも良い。これにより、構成部品の種類を削減出来る。
【0098】
ここで、図8(a)は種芋供給回転板740を示す斜視図である。図8(b)は分割ユニット750を示す斜視図であり、図8(c)は分割ユニット750の断面図である。図8(d)は、リブ753と位置決め用長孔753aとの関係を説明するための概略斜視図である。
【0099】
種芋供給回転板740は、外周に沿って環状の溝部741を有し、更にその内周側において、上面に上開口部743を有する貫通孔が形成された土手部744を有し、更にその内周側は中心部において、洗車時に有用な水抜き孔745が形成された中心部に向けて下り勾配の傾斜面を持つ凹部746を有している。分割ユニット750は、図8(b)、(c)に示す様に、溝部741の一部に対応する溝ユニット741aと、土手部744の一部に対応する土手ユニット744aと、凹部746の一部に対応する凹部ユニット746aとを有している。凹部ユニット746aの傾斜面の両側エッジ部751と、溝ユニット内壁面752の両側エッジ部752aは、角部が丸くなっており、分割ユニット750の位置が互いにずれても、種芋の表面が傷付かない様に構成されている。また、図8(c)、(d)に示す様に、直方体状のリブ753が、分割ユニット750の下面の4箇所に形成されており、これらリブ753が、回転台720の表面に形成された位置決め用長孔753aと勘合することにより、8個の分割ユニット750が回転台720上に隣接配列可能となる。位置決め用長孔753aは、リブ753より大きめに形成されており、半径方向にスライド可能であり、位置調整が可能に構成されている。これにより、分割ユニット750のサイズに成形誤差があっても互いの隙間を吸収できる。この様に配置されることにより、回転台720に配置されたショート供給カップ本体73の上開口部73bと下開口部743aの中心が多少ずれても、上開口部73bの円周端部が露出したことに起因して、そこを落下する種芋に傷が付くことが無いように、下開口部743aの直径は、上開口部73bの直径よりも小さく構成されている。
【0100】
また、上記実施の形態では、シューター40の長さ及び方向が一定である場合について説明したが、これに限らず例えば、図9(a)、(b)に示す様に長さ方向に伸縮可能であり、且つ、横方向への回動が可能な構成としても良い。
【0101】
この構成の場合、図9(a)、(b)に示す様に、可動シューター40aは、シューター本体41と、それより幅の広いシューター先端部42から構成されている。ここで、図9(a)は、可動シューターの斜視図であり、図9(b)は、シューター先端部42の可動機構を示す図である。
【0102】
同図に示すように、シューター本体41の底面には長孔41aが設けられている。シューター先端部42の根元側の底面中央に垂直に設けられた可動軸部42aが、シューター本体41の裏面側から長孔41aを通過して、表面側にわずかに突き出しており、その突き出した先端部が、長孔41aの短手方向の寸法より大きな直径の円形板部材42bの中心部と接合されている。これにより、シューター先端部42は、長孔41aの長手方向Fに沿って移動可能である。これにより、箱状カップカバー730や回転種芋置き台710等の高さの変更にも対応可能となる。更に、可動軸部42aを中心として、矢印G方向へのシューター先端部42の首振りが可能となる。これにより、種芋Cを回転種芋置き台710等に補給する位置に自由度が生まれ、取り回し性や作業性が向上する。
【0103】
また、上記実施の形態では、シューター40が種芋載置台30に固定されている場合について説明したが、これに限らず例えば、図9(a)に示す様に、種芋載置台30の切り欠き部32の位置に対して、シューター本体41がスライド移動可能な構成であっても良い。
【0104】
この場合の可動シューター40aのスライド機構について、図9(a)、(c)を参照しながら更に説明する。
【0105】
図9(c)は、可動シューター40aのスライド機構を説明するための図であり、図9(a)の二点鎖線で囲むH部の平面図である。
【0106】
即ち、シューター本体41を種芋載置台30の側壁31側にスライド可能に取り付けるための取付用アングル43には、スライド用長孔43aが2本平行に形成されている。一方、切り欠き部32を挟んだ両側の側壁31の端部31aは、取付用アングル43に対して直交する様に折り曲げられている。そして、左右の側壁31の外面には、上下一対のスライド用長孔43aに対応するそれぞれの位置に、取付ボルト35が1本ずつ溶接されている。取付ボルト35の先端側は、スライド用長孔43aを貫通して、取付ナット35bで締め付け固定可能に構成されている。
【0107】
これにより、取付ナット35bを緩めれば、シューター本体41の位置をスライドさせることが可能となり、可動シューター40aを所望の位置にスライド出来るので、作業性が向上する。
【0108】
この様に、取付ボルト35の頭部35aが側壁31の内面側に突き出していないので、種芋載置台30の中で種芋Cが引っかかって傷付くことが無い。また、側壁31の端部31aが折り曲げられているので、取付ボルト35の頭部35aの厚みにより、側壁31と取付用アングル43との間に生じるスライド部の隙間を吸収しつつ、その隙間を閉じることが可能となる。
【0109】
また、上記実施の形態では、可動シューター40aを任意の位置にスライドさせて、取付ボルト35に対して取付ナット35bを工具により締め付けて固定する場合について説明したが、これに限らず例えば、図9(d)に示す様に、工具を用いること無く、任意の位置で固定可能な構成としても良い。
【0110】
図9(d)は、可動シューター40aの図9(a)のH部に示すスライド機構の変形例を示す斜視図である。この場合の締め付け機構について更に説明する。図9(d)に示す様に、端部が略Z字状に曲げられた、左側の取付用アングル43の端部44には、可動シューター40aを任意の位置で固定するための固定用ピン45を軸方向に移動可能に保持するホルダー部46が溶接固定されている。固定用ピン45の図中の手前側の端部はT字状の把持部45aが形成されており、反対側の先端部45bの手前側には鍔部45cが形成されており、鍔部45cとホルダー部46との間には、スプリングバネ47が圧縮状態で挿入されている。また、反対側の先端部45bは、側壁31の外面に対して、スプリングバネ47の復元力によって常に押圧されており、その押圧中に容易に位置ズレしない様に、先端部45bの先端はとがっている。一方、左右の取付用アングル43のスライド用長孔43aを貫通している取付ボルト35には、所定長の筒状スペーサ(図示省略)が挿入されており、取付ナット35bを取付ボルト35の先端に取り付けて、締め付けた場合でも、端部31aの先端縁部31a1と取付用アングル43の表面との間に、可動シューター本体41がスライド移動出来る程度のスペースが常に確保できる様に構成されている。これにより、通常は、固定用ピン45の先端部45bが、スプリングバネ47の復元力により側壁31の表面に押し付けられて位置ズレしない様に固定されているが、作業者が、スプリングバネ47の復元力に逆らって把持部45aを手前側に引っ張れば、先端部45bが側壁31から離れるので、可動シューター40aはスライド移動可能となる。そこで、作業者の希望する位置まで可動シューター40aをスライドさせた後、把持部45aを離せば、再び、固定用ピン45の先端部45bが側壁31に押圧されて、位置が固定される。即ち、工具を用いること無く簡単に可動シューター40aをスライド移動できる。
【0111】
また、上記実施の形態では、図9(d)を用いて、可動シューター40aのスライド機構の変形例を示したが、これに限らず例えば、側壁31の表面に、固定用ピン45の先端部45bが挿入可能な複数の貫通孔(図示省略)を所定の間隔をあけて設けておいても良い。これにより、先端部45bが貫通孔に挿入されるので、位置ズレの防止がより確実に行える。
【0112】
また、上記実施の形態では、主として種芋を移植する場合について説明したが、これに限らず例えば、ショート供給カップ本体73を、野菜苗の標準55径カップ(図示省略)が入るサイズに構成しておくことにより、図7(c)に示す野菜用供給カップ737と組み合わせれば、野菜苗も植え付け可能となる。この場合、回転種芋置き台710、回転種芋置き台L715、及び、シューター40、40aは使用しないので、取り外して作業することが望ましい。
【0113】
尚、上記実施の形態の供給カップ本体72と箱状カップカバー730とを含む構成、ショート供給カップ本体73と箱状ショートカップカバー735とを含む構成、ショート供給カップ本体73と野菜用供給カップ737とを含む構成、あるいは、土手ユニット744a等が、本発明の供給カップの一例である。
【0114】
また、上記実施の形態の種芋供給装置70、種芋供給装置L70aは、本発明の供給部の一例である。
【0115】
また、上記実施の形態の回転種芋置き台710の溝部711、回転種芋置き台L715の溝部716、あるいは、種芋供給回転板740の溝部741が、本発明の外側溜め置き部の一例である。
【0116】
また、上記実施の形態の円形状カバー734、あるいは、凹部746が、本発明の内側溜め置き部の一例である。
【0117】
また、上記実施の形態の溝ユニット741aが、本発明の外側溜め置きユニットの一例である。
【0118】
また、上記実施の形態の鎮圧輪支持フレ−ム38は、本発明の回動フレームの一例である。
【0119】
また、上記実施の形態の少なくとも輪圧輪8と覆土板29を含む構成が、本発明の覆土鎮圧部材の一例である。
【0120】
また、上記実施の形態の鎮圧ウエイトステー39,53,55が、本発明のウエイト装着部の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明にかかる移植機は、移植対象物の一例である種芋や球根等の移植作業を従来に比べて効率よく行えるという効果を有し、種芋移植機や球根移植機等として有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 種芋移植機
2 エンジン
3 主伝動ケ−ス
4 前輪
5 後輪
8 鎮圧輪
9 操縦ハンドル
10 走行エクステンションケ−ス
20 後輪昇降ロッド
30 種芋載置台
40、40a シューター
60 種芋植付装置
70 種芋供給装置
70a 種芋供給装置L
72 供給カップ本体
73 ショート供給カップ本体
80 開閉蓋
710 回転種芋置き台
715 回転種芋置き台L
730 箱状カップカバー
730a 箱状カップカバーL
735 箱状ショートカップカバー
736 箱状ショートカップカバーL
737 野菜用供給カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植対象物が所定個数ずつ人手により補給される供給カップがループ状に複数個配置された回転可能な供給部と、
前記ループ状に配置された前記複数の供給カップの外側に設けられた、前記移植対象物が溜め置かれる外側溜め置き部と、
前記供給部から供給される前記移植対象物を一時的に保持した状態で圃場に植え付けていく植付具と、
前記植付具で前記圃場に植え付けられた前記移植対象物に覆土すると共に、前記植え付けられた移植対象物の周辺の土壌を鎮圧する覆土鎮圧部と、を備えた移植機。
【請求項2】
前記外側溜め置き部は、前記複数の供給カップの外側を環状に取り囲む様に配置された溝部を有しており、
前記溝部の底面は、前記供給カップの開口面よりも低い位置にある、請求項1に記載の移植機。
【請求項3】
前記外側溜め置き部は着脱可能である、請求項2に記載の移植機。
【請求項4】
前記外側溜め置き部は、前記複数の供給カップの数に対応した数の外側溜め置きユニットに分割されており、
前記外側溜め置きユニットと、その外側溜め置きユニットに対応する前記供給カップは、一体化されて分割ユニットを構成しており、
前記分割ユニットは円形状に連設配置されている、請求項2に記載の移植機。
【請求項5】
前記供給カップは、隣接する前記供給カップ同士の間に隙間がない形状をして、前記ループ状に配列されている、請求項2に記載の移植機。
【請求項6】
前記供給部は、前記ループ状に配置された前記複数の供給カップの内側に、前記移植対象物を溜め置くための内側溜め置き部を有する、請求項1〜5の何れか一つに記載の移植機。
【請求項7】
前記外側溜め置き部は、前記供給カップと共に前記回転可能であり、
前記移植対象物を予め載せておくための載置台が設けられており、
前記載置台は、前記載置台の本体から前記移植対象物を前記外側溜め置き部に補給するためのシューター部を有した、請求項1〜6の何れか一つに記載の移植機。
【請求項8】
前記シューター部による前記移植対象物の補給位置が変更可能である、請求項7に記載の移植機。
【請求項9】
前記外側溜め置き部、又は、前記内側溜め置き部には、底面に水抜き孔が設けられている、請求項1〜8の何れか一つに記載の移植機。
【請求項10】
前記覆土鎮圧部は、
上下に回動自在の回動フレームと、
前記回動フレームの一端側に前記土壌を覆土し鎮圧する覆土鎮圧部材とを有し、
前記回動フレームは、鎮圧用ウエイトが装着されるウエイト装着部を複数の箇所に有している、請求項1〜9の何れか一つに記載の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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