説明

穀物を脱殻するための方法と装置

本発明は穀物を脱殻するため、特に穀物、及び/又は醸造された穀物の穀殻及び/又は種子殻並びに麦芽を除去しかつこれを醸造工業にて加工する装置に関する。浄化されかつ醸造された醸造穀物からは皮むき機(20)において穀層及び/又は穀殻が除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物を脱殻するための方法と装置、特に穀物及び/又は醸造穀物の穀殻及び/又は種子殻並びに葉芽を除去しかつ醸造工業で処理加工するための方法と装置に関する。
【0002】
公知技術によれば穀物は精製の前又は醸造プロセスにおける加工の直前に湿式及び/又は乾式で穀殻及び/又は種子殻並びに実生から分離され、ひいては天然の不純物及び/又は有害物質が付加的に粒子表面から浄化される。過去数十年来はほぼ乾式の浄化が行なわれてきた。例えばCH−A−640750号明細書には穀物が研磨とアスピレーションを含めて乾式な浄化に晒される方法が記載されている。次いで穀物は濡らされかつ貯蔵室で数時間貯蔵される。貯蔵後第1の製粉工程の直前に穀物の皮むきが行なわれる。皮むきにはさらにコンディショニングが先行することができる。これは穀粒の皮むき度と濡らし及び貯蔵後のやわらかさに関連する。
【0003】
さらに穀物粒を、果実壁から遊離されかつ殻粉体が取除かれるように研磨することも公知である(EP−B−218012)。この場合には果実壁は複数の研磨ステップで歩進的に除去される。この場合、穀粒には、少なくとも1つのステップで湿気が供給される。さらに湿らされた穀粒は加熱されることができる。湿しと同時に行なうことができる加熱後に穀粒は乾燥されかつ冷却される。EP−B−529843号によれば濡らされかつ研磨された麦は改めて浄化される。この浄化はまだ付着する麦芽部分を特に溝からも除去するための湿式浄化である。さらに精米機の上で麦芽を研削することも公知である。同様に穀物殻/種子殻を減少させるための穀物の研磨並びに穀物の研削も同様に公知である。
【0004】
同様に公知であるのは垂直に配置されたロータを有する穀物研削機であって、研削しようとする穀物に空気が流されかつ該穀物が水で濡らされる穀物研削機が公知である。
【0005】
いわゆるPeriTec−法では同様に外の繊維層、アリユーロン層を含めて研削除去しようとしている。麦は一般的な方法と同様に浄化されかつ濡らされるが研磨機の使用は回避することができる。研削の前にもう一度コントロールされて濡らされる。これによって外側の層を内側の層から遊離させ、テスタ(Testa)の下まで除去させることができる。第1の段階では麦芽は研磨で垂直な研削機であらく除去されかつ第2段階では磨擦ポリシングによって除去される。これによって湿したあと、製粉の前の濡らし後の貯蔵時間が極端に減じられることができる。やわらかにするための水の浸入時間は約30分だけにしたい。同時に有害物質の負荷も減じられる。研削は麦芽の除去は可能にしない。
【0006】
本発明の課題は穀物を脱殻するため、特に穀物及び/又は醸造穀物の穀物殻及び/又は種子殻並びに麦芽を除去しかつそれを醸造工業で加工する方法と装置を提供することである。この場合には記述した穀物部分の除去は醸造生産品の味覚的な改善にも繋げたい。
【0007】
本発明の課題は、請求項1の特徴で本発明の形式によれば、浄化され、濡らされかつ/又は麦芽製造された醸造穀物が次いで直接皮むきされることによって解決された。
【0008】
穀物殻は完全に除かれることができる。
【0009】
皮むきの後で醸造穀物は別の方法経過で粗びきされる。
【0010】
有利な構成は従属請求項に開示されている。必要であれば皮むきに、穀粒表面の研削と場合によっては研磨が続くことができる。
【0011】
しかし、パン穀物及び醸造穀物(サントリを参照)のための前記皮むき方法であって、穀物が皮むきの前にもう一度濡らされ、欠陥のある加工を回避する方法は既に公知である。この方法を本発明にしたがって醸造穀物に転用することは容易ではない。
【0012】
麦芽製造された大麦及び/又は他の醸造原料は別の加工の前に完全に脱殻され、その下にある葉芽は除去されなければならない。
【0013】
本発明のプロセスで除去された穀殻及び/又は種子殻並びに麦芽は水に溶けないセルローズの他に水溶性の物質、例えば穀殻ポリフェノール、苦味素、リボイド、珪酸塩及び氷成物を含んでいる。これらの物質が原汁に強く移行し過ぎるとビールの色、味覚及び物理的/化学的な維持性とに不都合な影響を及ぼす。
【0014】
穀殻の所定の弾性特性に基づき、ひき割り中の機械的な破砕のためにエネルギ消費の増大が強いられる。
【0015】
公知技術に従って設定された粗びきに際して製粉の間に穀殻が機械的に強く負荷されすぎると、穀殻は割れ、後続の精製プロセスに、特に固体/液体分離のために精製樽が使用されていると、マイナスの影響を及ぼし、付加的に拡大された作用面によって原汁への物質移行も高められる。
【0016】
穀殻分離の方法の利点は品質的な観点から、品質的に高価値のある(完全に維持された)穀殻をあとの時点でプロセスに戻すことで得られる。これは精製利点と品質利点とをもたらすことができる。
【0017】
本発明の方法の別の変化実施例は、皮むきされた原料を精製プロセスのためのDispax/ハンマミルを介して原汁フィルタで細かく製粉することである。
【0018】
利点はキネティック、収穫量、品質、製粉に際しての低エネルギ消費量である。
【0019】
本発明による穀殻、種子殻並びに実生の除去の利点は天然の穀物及び/又は麦芽製造された穀物の表面に近い層における有害物質の減少にも見られる。
【0020】
本発明の皮むき法は天然の醸造穀物のため並びに麦芽製造された醸造穀物に使用可能である。穀殻及び/又は種子殻及び麦芽の除去によって生じる品質的な観点の他に、粗びきしようとする粒子の有害物質含有量の低下が達成される。除去された穀殻部分は目的とした加工及び使用に提供されることができかつ/又はあとの時点で原汁プロセスに再び供給されることができる。皮むきと択一的に粒子表面の強力な研削又は研磨が可能である。この方法で穀物及び/又は麦芽製造並びに原汁プロセスに影響が及ぼされる。
【0021】
別の課題は穀物を脱殻する装置、特に穀物及び/又は麦芽製造された穀物の穀殻及び/又は種子殻並びに胚芽を除去する装置を提供することである。
【0022】
以下、本発明を図示の1実施例に基づき詳細に説明する。
【0023】
醸造プロセスにて処理しようとする原料は図示されていない室から調量器21に達し、そこから磁石23にかつ次いで皮むき機20に達する。この皮むき機20で穀物は約4%の皮むき度で皮むきされる。皮むきの間、穀物を空気流が流過する。皮むきされた穀物は精選機22に導かれる。
【0024】
このように浄化されかつ準備された穀物は貯蔵器27に中間ストックされ、第1の粗びきが開始される粗びき装置に供給される。第2の粗びき段階は直接、中間積層なしで行なわれる。
【0025】
皮むき機20のステータ1はケーシング2を有し、このケーシング2はその中に支承されたロータ3を取囲みかつフレーム構造に取付けられ、下方へ向かって、接続された出口スリット4で開放されている。この出口スリット4を通して皮むき穀粉と穀殻部分とから成る不良品は排出される。
【0026】
生産物入口5からは大麦粒は供給スクリュ10を介して加工ゾーン6に達する。皮むきの間、大麦粒は調節可能な堰止め装置7に案内され、加工ゾーン6に固有の加工圧が形成される。皮むき大麦粒は加工ゾーン6を調節可能な出口開口8を通して、流出物9として皮むき機20をあとにする。
【0027】
加工ゾーン6はステータ側で2つのシーブケージによって形成されている。したがってシーブケージはロータ3を軸方向で完全に取囲む。ロータ3は中空軸を有する硬質鋳造ローラから形成されている。ローラはスリットを有し、このスリットはローラの外周に均等に互いに間隔をおいて配置されかつ加工ゾーン6の全長に亙って延在している。
【0028】
シーブケージは個別のシーブプレートから成っている。
【0029】
中間軸は空気が流出するために多数の開口を有している。空気はさらにローラにおけるスリットを通って加工ゾーン6に達し、殻部分等を大麦粒から分別するために役立つ。空気はベンチレータによって中空軸内へプレスされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】方法を示した図表。
【図2】脱殻機を示した図。
【符号の説明】
【0031】
1 ステータ、 2 ケーシング、 3 ロータ、 4 出口スリット、 5 生産物入口、 6 加工ゾーン、 7 堰止め装置、 8 出口開口、 9 流出物、 10 供給スクリュ、 20 皮むき機、 21 調量器、 22 精選機、 23 マグネット、 27 貯蔵器、 28 調量器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を脱殻するため、特に殻物、特に醸造穀物の穀殻及び/又は種子殻並びに麦芽を除去するための方法であって、まず浄化しかつ麦芽製造プロセスに供給し、次いで表面的に加工し、その際、表面加工が皮むきであることを特徴とする、殻物を脱殻する方法。
【請求項2】
穀物表面を皮むきの後で、研削しかつ場合によっては次いで研磨する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
皮むきで葉芽も除去される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
皮むきで発生する脱殻部分を分別し、少なくとも部分的に精製プロセスに戻す、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
皮むきされた穀物粒子が次いで粗びきされること、有利には2重粗びきされる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
製粉が湿式又は乾式粗びきである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
別個に脱殻の残留物を除去する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
穀物を脱殻するため、特に穀物及び/又は麦芽製造された穀物の殻及び/又は種子殻並びに麦芽を除去するための装置であって、麦芽製造及び調量エレメントを有している形式のものにおいて、調量エレメントに生産ライン方向で下流に皮むき機(20)が配置されていることを特徴とする、穀物を脱殻する装置。
【請求項9】
皮むき機(20)が加工工具を備えた、回転可能に支承されたロータと、加工工具及びシーブケージを有するステータとを有し、該ステータがロータを加工ゾーン(6)を形成して取囲み、この場合、ロータ(3)が中空軸から成り、該中空軸が加工ゾーン(6)の領域で外側のローラによって取巻かれている、請求項8記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−534180(P2009−534180A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506884(P2009−506884)
【出願日】平成18年10月9日(2006.10.9)
【国際出願番号】PCT/CH2006/000553
【国際公開番号】WO2007/121594
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(501003320)ビューラー・アクチエンゲゼルシャフト (23)
【氏名又は名称原語表記】Buehler AG
【住所又は居所原語表記】CH−9240 Uzwil, Switzerland
【Fターム(参考)】