説明

穀物乾燥調製施設

【課題】 各部間における穀物の搬送効率の向上、乾燥部における乾燥効率の向上を図り、乾燥部、貯留部および出荷部等に滞留する穀物に温度および湿度を調えた空調空気を供給して、荷受けから出荷に至るまでの穀物を高品位に保つことができる穀物乾燥調製施設を提供する。
【解決手段】 収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設である。荷受部1、乾燥部2、貯留部3、脱ぷ調製部4、および出荷部5からなる。荷受部1と乾燥部2、乾燥部2と貯留部3、貯留部3と脱ぷ調製部4、および脱ぷ調製部4と出荷部5のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系6、9、12、14を構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設に関する。
【0002】
【従来の技術】収穫した未乾燥穀物の荷受部、乾燥部、貯留部、脱ぷ調製部、出荷部等を備えた穀物乾燥調製施設は、特開平9−210555号公報に記載されているものが知られており、この従来の穀物乾燥調製施設においては、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、脱ぷ調製部と出荷部とのそれぞれの間を昇降機とコンベアとで連絡して、各部間で穀物を搬送を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の穀物乾燥調製施設のように、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、脱ぷ調製部と出荷部との間をそれぞれ昇降機とコンベアで連絡する構成にあっては、各部間における穀物の搬送系の構成がはなはだ複雑で、かつ大掛かりであるうえ、各搬送系ごとに場合によっては複数基の昇降機とコンベアを備えているので、それらの駆動系統が複雑で効率が悪く、また施設を稼動するうえでの制御もたいへん煩雑である。
【0004】そこで、本発明は、従来の穀物乾燥調製施設における問題点を解消するため、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間における穀物の搬送系に空気搬送の技術を巧みに取り入れたことにより、各部間における穀物搬の搬送系を大幅に簡素化して、施設の機能低下を何ら伴わずに規模の縮小を図ることができ、さらに、施設全体を有機的に稼動制御できることと相俟って、各部間における穀物の搬送効率の向上、乾燥部における乾燥効率の向上を図り、乾燥部、貯留部および出荷部等に滞留する穀物に温度および湿度を調えた空調空気を供給して、荷受けから出荷に至るまでの穀物を高品位に保つことができる穀物乾燥調製施設を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る請求項1の発明は、収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設であって、荷受部、乾燥部、貯留部、脱ぷ調製部、および出荷部からなり、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系を構成したことを特徴とするものである。
【0006】また、本発明に係る請求項2の発明は、収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設であって、荷受部、乾燥部、貯留部、脱ぷ調製部、および出荷部からなり、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系を構成するとともに、上記各空気搬送系に空気圧により塵埃を除去する塵埃分離装置を介在させて、塵埃分離器からの塵埃排出系を構成したことを特徴とするものである。
【0007】本発明に係る請求項3の発明は、請求項1または2の構成において、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系は、それぞれ空気圧発生源を備えていることを特徴とするものである。
【0008】本発明に係る請求項4の発明は、請求項1または2の構成において、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系には、集中空気圧発生源から加圧空気を送るように構成したことを特徴とするものである。
【0009】本発明に係る請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の構成において、空気圧発生源は、加圧空気の温度または湿度を調整する空調装置を備えていることを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る請求項6の発明は、請求項2の構成において、空気圧発生源に、塵埃分離装置からの排出空気を環流させるように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図、図2は本発明の第2の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図、図3は本発明の第3の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図、図4は本発明の第4の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図である。
【0012】図1において、1は荷受部、2は乾燥部、3は貯留部、4は脱ぷ調製部、5は出荷部である。荷受部1は、搬送車両の走行面に対して下方に設けた荷受ホッパーを備えている。乾燥部2は複数基の乾燥機を備えている。貯留部3は複数基の貯留タンクを備えている。脱ぷ調製部4はレベルタンク、籾摺機、粒選別機および石抜機を備えている。出荷部5は製品タンクおよび個袋計量機を備えている。
【0013】荷受部1の荷受ホッパーと乾燥部2の各乾燥機の穀物搬入部口は、荷受ホッパーから穀物を各乾燥機に搬送する空気搬送系6で連絡されており、この空気搬送系6と各乾燥機の穀物搬入口との間にはそれぞれ切替弁7が介在されている。この空気搬送系6の荷受部1側には空気圧発生源(送風機)8が備えられている。
【0014】乾燥部2の各乾燥機の穀物搬出口と貯留部3の各貯留タンクの上部は、空気搬送系9で連絡されており、この空気搬送系9と各貯留タンクとの間にはそれぞれ切替弁10が介在されている。この空気搬送系9の乾燥部2側には空気圧発生源(送風機)11が備えられている。
【0015】貯留部3の各貯留タンクの穀物搬出口と脱ぷ調製部4のレベルタンクとの間は、空気搬送系12で連絡されており、この空気搬送系12の貯留部3側には空気圧発生源(送風機)13が備えられている。
【0016】脱ぷ調製部4の石抜機と出荷部5の製品タンクの間は、空気搬送系14で連絡されており、この空気搬送系14の脱ぷ調製部4側には空気圧発生源(送風機)15が備えられている。
【0017】なお、各空気搬送系6、9、12、14には、一つまたはブロックごとにまとめた空気圧発生源(図示せず)を備えることも可能である。
【0018】図1に示すように、荷受部1で荷受けされた未乾燥穀物は、荷受ホッパーから空気搬送系6に入り、空気圧発生源8による空気圧により乾燥部2に搬送されて乾燥される。乾燥部2で乾燥された穀物は、空気搬送系9により貯留部3の貯留タンクに搬送される。また貯留部3から空気搬送系12に入り、空気圧発生源13による空気圧により脱ぷ調製部4のレベルタンクに搬送される。そして、籾摺機で脱ぷされ、粒選別機で粒選別されたうえ、石抜機で石抜きされた穀物は、空気搬送系14に入り、空気圧発生源15による空気圧により出荷部5の製品タンクに搬送され、個袋計量機により穀物袋に所定重量ごとに充填されて出荷される。
【0019】図1に示す実施の形態においては、荷受部1と乾燥部2、乾燥部2と貯留部3、貯留部3と脱ぷ調製部4、および脱ぷ調製部4と出荷部5の間をそれぞれ連絡する空気搬送系9,12、13には、それぞれ個別に空気圧発生源11、13、15が備えられているので、各空気搬送系ごとに穀物の搬送制御ができる。このため、荷受部1、乾燥部2、貯留部3、脱ぷ調製部4および出荷部5における各作動に応じて、空気搬送系6、9,12、14による穀物の搬送制御を全体に整合性を有するように適切に制御すれば、施設全体の稼動を円滑に、かつ最も効率よく稼動することができる。
【0020】図2、図3および図4に示すものは、それぞれ本発明の第2、第3および第4の実施の形態である。なお、これらの実施の形態において、図1に示すものと同構成の部分には、同符号を付してその説明を省略する。
【0021】第2図に示す第2の実施の形態においては、荷受部1と乾燥部2、乾燥部2と貯留部3、貯留部3と脱ぷ調製部4、および脱ぷ調製部4と出荷部5のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系6、9,12、14を構成するが、上記各空気搬送系6、9,12、14には、空気圧により塵埃を除去する塵埃分離装置16を介在させており、各塵埃分離器16からの塵埃排出系17を構成している。そして、塵埃排出系17は集塵部18に導入している。
【0022】第2の実施の形態によれば、各空気搬送系6、9,12、14を流通する空気圧を利用して塵埃分離装置16で穀物に混在する塵埃を除去することができる。
【0023】図3に示す第3の実施の形態においては、荷受部1と乾燥部2、乾燥部2と貯留部3、貯留部3と脱ぷ調製部4、および脱ぷ調製部4と出荷部5のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系6、9,12、14の空気圧発生源8、11、13、15に、それぞれ加圧空気の温度または湿度を調整する空調装置19を備えている。
【0024】このため、第2の実施の形態によれば、荷受部1で荷受けした未乾燥穀物、乾燥部2で乾燥中の穀物、貯留部3から脱ぷ調製部4に搬送される穀物、脱ぷ調製部4から出荷部5に搬送される穀物を、高品位を保つように、それぞれの空気搬送系6、9、12、14を流通する空気の温度や湿度を適切に調えることができる。
【0025】図4に示す第4の実施の形態においては、各空気搬送系6、9、12、14の空気圧発生源8、11、13、15に、塵埃分離装置16からの排出空気を、集塵部18のフィルタを通したうえ環流させるように、排出空気の環流系20を設けている。
【0026】図4に示す第4の実施の形態によれば、塵埃分離装置16から排出される空気を空気搬送のために有効に利用することができるので、空気搬送の効率がいっそう向上する。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間における穀物の搬送系に空気搬送の技術を巧みに取り入れたことにより、各部間における穀物搬の搬送系を大幅に簡素化して、施設の機能低下を何ら伴わずに規模の縮小を図ることができ、さらに、施設全体を有機的に稼動制御できることと相俟って、各部間における穀物の搬送効率の向上、乾燥部における乾燥効率の向上、乾燥部、貯留部および出荷部等に滞留する穀物に温度および湿度を調えた空調空気を供給して、荷受けから出荷に至るまでの穀物を高品位に保つことができる穀物乾燥調製施設を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る穀物乾燥調製施設の構成図である。
【符号の説明】
1 荷受部
2 乾燥部
3 貯留部
4 脱ぷ調製部
5 出荷部
6 空気搬送系
7 切替弁
8 空気圧発生源(送風機)
9 空気搬送系
10 切替弁
11 空気圧発生源(送風機)
12 空気搬送系
13 空気圧発生源(送風機)
14 空気搬送系
15 空気圧発生源(送風機)
16 塵埃分離装置
17 塵埃排出系
18 集塵部
19 空調装置
20 排出空気の環流系

【特許請求の範囲】
【請求項1】 収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設であって、荷受部、乾燥部、貯留部、脱ぷ調製部、および出荷部からなり、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系を構成したことを特徴とする穀物乾燥調製施設。
【請求項2】 収穫した未乾燥穀物を荷受けし、荷受けした未乾燥穀物を所定の水分まで仕上げ乾燥したうえ、脱ぷ選別等の調製を行って出荷する穀物乾燥調製施設であって、荷受部、乾燥部、貯留部、脱ぷ調製部、および出荷部からなり、荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系を構成するとともに、上記各空気搬送系に空気圧により塵埃を除去する塵埃分離装置を介在させて、塵埃分離器からの塵埃排出系を構成したことを特徴とする穀物乾燥調製施設。
【請求項3】 荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系は、それぞれ空気圧発生源を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の穀物乾燥調製施設。
【請求項4】 荷受部と乾燥部、乾燥部と貯留部、貯留部と脱ぷ調製部、および脱ぷ調製部と出荷部のそれぞれの間で、穀物を空気圧により搬送する空気搬送系には、集中空気圧発生源から加圧空気を送るように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の穀物乾燥調製装置。
【請求項5】 空気圧発生源は、加圧空気の温度または湿度を調整する空調装置を備えていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の穀物乾燥調製施設。
【請求項6】 空気圧発生源に、塵埃分離装置からの排出空気を環流させるように構成したことを特徴とする請求項2記載の穀物乾燥調製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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