説明

穀粒乾燥装置

【課題】 遠赤外線放射体の回転軸受部およびその付近の過熱防止を図ることができる穀粒乾燥装置を提供する。
【解決手段】 遠赤外線の照射により穀粒の内部を加温して水分を表面に移行させ、かつ穀粒の表面に対する通風により穀粒の表面から水分を蒸発させて穀粒を乾燥する穀粒乾燥装置である。穀粒が散粒状ないし薄層状に流動する部位に、乾燥の熱源となるバーナ14を備えた遠赤外線放射体12を設ける。遠赤外線放射体12は、円筒形であってその一端の軸心には、バーナ14の炎熱放射筒15を臨まる。遠赤外線放射体12の他端の軸心には、燃焼熱気の排気筒16を接続し、軸心を中心にして回転する構成として、遠赤外線放射体12の回転軸受部20に外気が導入されるように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外線の照射による加温と加温風の通風により穀粒を乾燥する穀粒乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機本体の上段に穀粒貯留槽、中段に通風乾燥部、下段に穀粒取出槽をそれぞれ設け、穀粒貯留槽に貯留した穀粒を通風乾燥部、穀粒取出槽、穀粒貯留槽の経路で循環流動させながら通風乾燥部で通風乾燥する穀粒乾燥機は、特開平9−113140号公報に記載されており、この穀粒乾燥機においては、通風乾燥部の乾燥通路を流下する穀粒に、遠赤外線を照射することにより、通風による乾燥に遠赤外線による乾燥を併用している。
【特許文献1】特開平9−113140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前掲の特開平9−113140号公報に記載されている穀粒乾燥機においては、遠赤外線放射体に備えたバーナの燃焼排熱気をそのまま熱風室に導入して乾燥熱風を生じさせることにより、バーナの熱利用の無駄をなくし、熱熱効率の向上を図っている。
【0004】
穀粒を高品位にしかも比較的短時間で効率よく乾燥するには、穀粒の内部から水分を表面に移行させ、表面の水分を通風によって放散させる、いわゆるフレンドリー方式が提案されているが、穀粒に遠赤外線を照射することは、穀粒を内部から暖めて、水分を表面に移行させるうえで、たいへん有効である。そして、穀粒の表面に水分が移行すると、比較的低温の風を浴びせるだけで水分を放散させることができるので、乾燥穀粒を高品位に仕上げるには、比較的低温の通風を行うことと、それがあまりに乾き過ぎず外気に近い湿度を保っていることが、表面の乾燥し過ぎを無くしヒビ割れを防止するうえで有効である。
【0005】
そこで、本発明は、穀粒が散粒状ないし薄層状に流動する部位に、乾燥の熱源となるバーナを備えた遠赤外線放射体を設け、この遠赤外線放射体は、円筒形であってその一端の軸心にバーナの炎熱放射筒を臨ませ、かつ他端の軸心に燃焼熱気の排気筒を接続して、軸心を中心にして回転する構成とし、遠赤外線放射体の回転軸受部に外気を導入するように構成したことにより、遠赤外線放射体の回転軸受部およびその付近の過熱防止を図ることができる穀粒乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る穀粒乾燥装置は、遠赤外線の照射により穀粒の内部を加温して水分を表面に移行させ、かつ穀粒の表面に対する通風により穀粒の表面から水分を蒸発させて穀粒を乾燥する穀粒乾燥装置であって、穀粒が散粒状ないし薄層状に流動する部位に、乾燥の熱源となるバーナを備えた遠赤外線放射体を設け、この遠赤外線放射体は、円筒形であってその一端の軸心にバーナの炎熱放射筒を臨ませ、かつ他端の軸心に燃焼熱気の排気筒を接続して、軸心を中心にして回転する構成とし、遠赤外線放射体の回転軸受部に外気を導入するように構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、穀粒が散粒状ないし薄層状に流動する部位に、乾燥の熱源となるバーナを備えた遠赤外線放射体を設け、この遠赤外線放射体は、円筒形であってその一端の軸心にバーナの炎熱放射筒を臨ませ、かつ他端の軸心に燃焼熱気の排気筒を接続して、軸心を中心にして回転する構成とし、遠赤外線放射体の回転軸受部に外気を導入するように構成したことにより、遠赤外線放射体の回転軸受部およびその付近の過熱防止を図ることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の実施の形態に係る穀粒乾燥装置の断面図、図2は本発明の実施の形態に係る穀粒乾燥装置の平断面図である。
【0009】
図1および図2において、1は乾燥機本体であって、乾燥機本体1の上段には穀粒貯留槽2が、中段には通風乾燥部3が、さらに下段には穀粒取出槽4がそれぞれ設けられている。穀粒取出槽4の下部にはその前後方向全長にわたる穀粒搬出コンベア5が設けられており、穀粒搬出コンベア5と穀粒貯留槽2の上部の上部コンベア(図示せす)間は昇降機(図示せず)によって連絡されていて、穀粒搬出コンベア5、昇降機および上部コンベアを介して、穀粒貯留槽2、通風乾燥部3、穀粒取出槽4、穀粒貯留槽槽2の経路で穀粒が循環されるように構成されている。
【0010】
上記通風乾燥部3は通気壁により形成された複数の乾燥通路6をなしていて、その乾燥通路6を構成する熱風供給胴は、熱風供給室7に連通し、排風胴は排風室8に連通しており、排風室8には吸引送風機9が備えられている。
【0011】
穀粒取出槽4は、その上部両側から穀粒搬出コンベア5の搬送樋にかけて傾斜する流穀板10と両側壁11とで囲まれて形成されている。
【0012】
穀粒取出槽4内には、遠赤外線放射体12が配設されており、この遠赤外線放射体12は、穀粒取出槽4の前後方向略全長にわたる円筒形のものである。この遠赤外線放射体12から放射される遠赤外線は、通風乾燥部3の乾燥通路6から繰出ロール13の回転により繰り出されて、流穀板10面上を穀粒が散粒状ないし薄層状に流下する穀粒に照射される。遠赤外線放射体12の一端には、ガンタイプのバーナ14の炎熱放射筒15が軸心に臨ませてあり、遠赤外線放射体12の他端に排気筒16が軸心に接続されている。
【0013】
遠赤外線放射体12は、その両端の回転軸受部20によって回転自在となっており、遠赤外線放射体12はモータ21により、低速で連続回転するようになっている。なお、ガンタイプのバーナ14と排気筒16は遠赤外線放射体12の回転を妨げない構造でそれぞれ接続されている。排気筒16とそれと二重筒にした吸気ダクト22は穀粒取出室4を排風室8に通じる空間に接続されており、かつ遠赤外線放射体12の回転軸受部20に外気が吸引導入されるようにして、その回転軸受部20およびその付近の過熱防止を図っている。
【0014】
本発明に係る穀粒乾燥装置によれば、遠赤外線放射体12により被乾燥穀粒に遠赤外線を照射することにより、穀粒の内部を比較的短時間に加温して水分を表面に移行させ、かつ被乾燥穀粒の表面に対する通風により被乾燥穀粒の表面から水分を速やかに蒸発させて被乾燥穀粒を比較的短時間で効率よく乾燥することができる。そして、遠赤外線放射体12の回転軸受部20に外気を導入するように構成したことにより、遠赤外線放射体12の回転軸受部20およびその付近の過熱防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る穀粒乾燥装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る穀粒乾燥装置の平断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 乾燥機本体
2 穀粒貯留槽
3 通風乾燥部
4 穀粒取出槽
5 穀粒搬出コンベア
6 乾燥通路
7 熱風供給室
8 排風室
9 吸引送風機
10 流穀板
11 両側壁
12 遠赤外線放射体
13 繰出ロール
14 バーナ
15 炎熱放射筒
16 排気筒
20 回転軸受部
21 モータ
22 吸気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠赤外線の照射により穀粒の内部を加温して水分を表面に移行させ、かつ穀粒の表面に対する通風により穀粒の表面から水分を蒸発させて穀粒を乾燥する穀粒乾燥装置であって、穀粒が散粒状ないし薄層状に流動する部位に、乾燥の熱源となるバーナを備えた遠赤外線放射体を設け、この遠赤外線放射体は、円筒形であってその一端の軸心にバーナの炎熱放射筒を臨ませ、かつ他端の軸心に燃焼熱気の排気筒を接続して、軸心を中心にして回転する構成とし、遠赤外線放射体の回転軸受部に外気を導入するように構成したことを特徴とする穀粒乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−317150(P2006−317150A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239617(P2006−239617)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【分割の表示】特願平11−220641の分割
【原出願日】平成11年8月4日(1999.8.4)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】