説明

空気入りタイヤ

【課題】雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能等の雪上性能に優れる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部踏面の少なくとも一部に、タイヤ周方向に延びる主溝と、タイヤ幅方向に延びる横溝とを配設して、複数個のブロックを区画形成し、且つ、ブロックに、少なくとも一本のサイプを配設してなる空気入りタイヤであって、ブロックのタイヤ周方向一方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第1切欠き溝と、ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第2切欠き溝と、第1切欠き溝と第2切欠き溝とを連結し、第1切欠き溝および第2切欠き溝よりも溝幅の狭い連結細溝とをブロックに形成してなり、ブロックの剛性が、第1切欠き溝の開口側から終端側に向かって増加し、第2切欠き溝の開口側から終端側に向かって増加することを特徴とする空気入りタイヤである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関し、特には、雪上性能に優れる空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、圧雪路を含む積雪路に好適な空気入りタイヤとして、積雪路におけるブレーキ性能(雪上ブレーキ性能)、トラクション性能(雪上トラクション性能)および旋回性能(雪上旋回性能)に優れるタイヤが求められている。
【0003】
ここで、通常、タイヤのブレーキ性能や、トラクション性能や、旋回性能等は、タイヤの摩擦特性の影響を受ける。そのため、タイヤの雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能を向上させるためには、積雪路におけるタイヤの摩擦特性を向上させる必要がある。
【0004】
そして、積雪路におけるタイヤの摩擦特性を向上させる一つの手段としては、タイヤの負荷転動時にタイヤが雪を掴んで踏み固める力を向上させることにより、トレッド部に配設した溝内に形成される雪柱のせん断抵抗を高める(即ち、雪柱せん断力を高める)ことが知られている。また、積雪路におけるタイヤの摩擦特性を向上させる他の手段としては、タイヤの接地面積を確保することや、トレッド部に形成したブロックのエッジおよびサイプのエッジによる路面の引っ掻き効果を高めることが知られている。
【0005】
しかし、トレッド部踏面に、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の主溝と、タイヤ幅方向に沿って延びる複数本の横溝とを形成して矩形のブロックを区画形成し、該ブロックにサイプを形成した従来の空気入りタイヤでは、雪柱せん断力の向上と、接地面積の確保と、路面の引っ掻き効果の向上とを並立させることができなかった。
即ち、上記従来の空気入りタイヤでは、雪柱せん断力を高めるために横溝の溝深さを深くすると、ブロックのタイヤ周方向の剛性が低下し、接地時のブロックの倒れ込み角度が大きくなってしまうので、接地面積を確保することができない。また、ブロックのエッジやサイプのエッジによる路面の引っ掻き効果を高めるためにトレッド部踏面に形成する溝やサイプの本数を増やすと、ブロックの剛性が低下し、接地時のブロックの倒れ込み角度が大きくなってしまうので、接地面積を確保することができない。
一方、ブロックの剛性の低下を抑制して接地面積を確保するためには、ブロックに替えてリブ状の陸部をトレッド部踏面に形成したり、サイプの配設密度を所定の範囲内に抑えたりする必要があり(例えば、特許文献1参照)、雪柱せん断力や路面の引っ掻き効果を高めることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−71713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者は、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを高い次元で並立させることにより、タイヤの積雪路における摩擦特性を高めて、雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能等の雪上性能に優れる空気入りタイヤを提供することを目的として、鋭意検討を行った。
そして、本発明者は、トレッド部踏面に、タイヤ周方向に延びる主溝とタイヤ幅方向に延びる横溝とを配設して複数個のブロックを区画形成した空気入りタイヤにおいて、ブロックに、サイプと、タイヤ周方向一方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第1切欠き溝と、ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第2切欠き溝と、第1切欠き溝および第2切欠き溝を連結する連結細溝とを形成することにより、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを高い次元で並立させ得ることを見出した。
【0008】
しかし、ブロックに、サイプ、第1切欠き溝、第2切欠き溝および連結細溝を形成した空気入りタイヤには、積雪路における摩擦特性を更に改善して雪上性能を更に高めるという点において、未だに改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明は、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを十分に高い次元で並立させることにより、タイヤの積雪路における摩擦特性を十分に高めて、雪上性能に優れる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の空気入りタイヤは、両トレッド端間に位置するトレッド部踏面の少なくとも一部に、タイヤ周方向に延びる一本以上の主溝と、該主溝間および/または主溝とトレッド端間でタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とを配設して、複数個のブロックよりなるブロック列を区画形成し、且つ、前記ブロックに、少なくとも一本のサイプを配設してなる空気入りタイヤであって、前記ブロックのタイヤ周方向一方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第1切欠き溝と、前記ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第2切欠き溝と、前記第1切欠き溝と前記第2切欠き溝とを連結し、前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝よりも溝幅の狭い連結細溝とを前記ブロックに形成してなり、前記ブロックの剛性が、前記第1切欠き溝の開口側から第1切欠き溝の終端側に向かって増加し、且つ、前記第2切欠き溝の開口側から第2切欠き溝の終端側に向かって増加することを特徴とする。このように、一端が横溝に開口し、他端がブロック内で終端する第1切欠き溝および第2切欠き溝を形成すれば、横溝内、特に横溝と、第1切欠き溝または第2切欠き溝とが交差する部分において雪を踏み固める力を向上させ、雪柱せん断力を高めることができる。また、第1切欠き溝および第2切欠き溝をブロック内で終端させ、且つ、第1切欠き溝と第2切欠き溝とを連結細溝により連結すれば、ブロックの剛性(曲げ剛性)が低下して接地面積が減少するのを抑制しつつ、エッジ成分、特にタイヤ周方向に沿って延びるエッジ成分(以下「タイヤ周方向エッジ成分」という。)を確保することができる。更に、ブロックの剛性、特に曲げ剛性を、第1切欠き溝および第2切欠き溝の開口側から終端側に向かって増加させれば、接地面積の減少を抑制しつつ、横溝内で雪を掴む力を向上させて雪柱せん断力を更に高めることができると共に、エッジによる路面の引っ掻き効果を向上することができる。従って、この空気入りタイヤによれば、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを十分に高い次元で並立させ、雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能等の雪上性能を向上させることができる。
なお、本発明において、「タイヤ周方向に延びる」とは、タイヤ周方向に向かって延びることを指し、「タイヤ周方向に延びる」には、タイヤ周方向と平行な方向に対して傾斜して延びる場合も含まれる。また、「タイヤ幅方向に延びる」とは、タイヤ幅方向に向かって延びることを指し、「タイヤ幅方向に延びる」には、タイヤ幅方向と平行な方向に対して傾斜して延びる場合も含まれる。
【0011】
ここで、本発明の空気入りタイヤは、前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝の溝深さが、前記開口側から前記終端側に向かって減少していることが好ましい。第1切欠き溝および第2切欠き溝の溝深さを開口側から終端側に向かって減少させれば、簡易な構造を用いてブロックの剛性を各切欠き溝の開口側から終端側に向かって増加させることができるからである。
【0012】
また、本発明の空気入りタイヤは、前記ブロックに、前記連結細溝と交差してタイヤ幅方向に延びる幅方向サイプを有することが好ましい。ブロックに幅方向サイプを形成すれば、タイヤ幅方向に沿って延びるエッジ成分(以下「タイヤ幅方向エッジ成分」という。)を確保して、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を向上させることができると共に、排水性能を確保することができるからである。また、幅方向サイプを連結細溝と交差させれば、幅方向サイプを第1切欠き溝や第2切欠き溝と交差させる場合と比較し、ブロックの剛性が大幅に低下して接地面積が減少するのを抑制することができるからである。
【0013】
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝は、タイヤ周方向に対して同一方向に傾斜して延在し、前記連結細溝は、タイヤ周方向に対して前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝とは反対側に傾斜して延在していることが好ましい。第1切欠き溝および第2切欠き溝の傾斜方向と、連結細溝の傾斜方向とを異ならせ、第1切欠き溝、連結細溝および第2切欠き溝をジグザグ状に配置すれば、タイヤ幅方向エッジ成分を確保し、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を向上させることができるからである。
なお、本発明において、「溝の延在方向」とは、第1切欠き溝や、第2切欠き溝や、連結細溝等の溝が直線状に延びている場合には、溝幅中心線が延在する方向を指し、溝が屈曲して延びている場合には、溝の振幅中心線が延在する方向を指す。
【0014】
また、本発明の空気入りタイヤは、前記トレッド部踏面に、前記主溝を挟んで前記ブロック列に隣接する陸部列を有し、前記陸部列の、前記横溝の延在方向線上に位置する部分に、一端が前記主溝に開口し、他端が陸部列内で終端する延伸横溝が形成されていることが好ましい。延伸横溝を形成すれば、横溝と主溝とが交差する部分において雪を踏み固める力を向上させ、雪柱せん断力を高めることができるので、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を向上させることができるからである。また、延伸横溝を陸部列内で終端させれば、陸部列の剛性の低下を抑制して、操縦安定性が低下するのを抑制することができるからである。
なお、本発明において、「陸部列」は、複数個のブロックよりなるブロック陸部列であっても良いし、タイヤ周方向に連続して延在するリブ状の陸部列であっても良い。また、本発明において、「横溝の延在方向線」とは、横溝が直線状に延びている場合には、横溝の溝幅中心線を指し、横溝が屈曲して延びている場合には、横溝の振幅中心線を指す。
【0015】
更に、本発明の空気入りタイヤは、前記第1切欠き溝は、前記ブロックのタイヤ周方向一方に位置する横溝と直交する方向に延在し、前記第2切欠き溝は、前記ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝と直交する方向に延在することが好ましい。第1切欠き溝および第2切欠き溝と、横溝とを直交させれば、横溝と、第1切欠き溝または第2切欠き溝とが交差する部分における雪柱せん断力を更に高め、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を更に向上させることができるからである。
【0016】
そして、本発明の空気入りタイヤは、前記トレッド部踏面は、タイヤ赤道からタイヤ幅方向一方に位置するトレッド端までの形状と、タイヤ赤道からタイヤ幅方向他方に位置するトレッド端までの形状とが異なり、前記ブロックは、タイヤ赤道からタイヤ幅方向一方側に形成されていることが好ましい。トレッド部踏面のパターン形状を、タイヤ赤道を挟んで非対称とし、雪上性能を向上し得る上記ブロックをタイヤ幅方向一方側に形成すれば、他の性能(例えば氷上性能)を向上し得るパターン形状をタイヤ幅方向他方側に形成して、雪上性能と、他の性能とをバランス良く両立させることができるからである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを十分に高い次元で並立させ、積雪路におけるタイヤの摩擦特性を十分に高めることにより、タイヤの雪上性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う代表的な空気入りタイヤのトレッド部の一部の展開図である。
【図2】図1のI−I線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ここに、図1は、本発明の空気入りタイヤの一例のトレッド部の一部の展開図である。そして、図1に示す空気入りタイヤは、特に限定されることなくスタッドレスタイヤとして好適に用いることができる。
【0020】
ここで、図1に示すように、この一例の空気入りタイヤは、両トレッド端TE間に位置するトレッド部踏面100が、タイヤ赤道Cを中心として左右非対称な形状をしている。即ち、この一例の空気入りタイヤでは、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向一方(図1では右側)に位置するトレッド端TEまでのパターン形状と、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向他方(図1では左側)に位置するトレッド端TEまでのパターン形状とが異なっている。
【0021】
具体的には、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向一方(図1では右側)に位置するトレッド端TEまでの間には、タイヤ周方向に延びる1本の第1主溝1と、第1主溝1よりもトレッド端TE側に位置し、タイヤ周方向に延びる1本の第2主溝2と、第1主溝1と第2主溝2との間でタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝5と、第2主溝2とトレッド端TEとの間でタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝6とが形成されている。
なお、第1主溝1は、タイヤ周方向へジグザグ状に屈曲して延在している。また、第2主溝2は、タイヤ周方向に沿って延在し、且つ、溝幅が拡大する拡大部2Aをタイヤ周方向に所定の間隔で有している。更に、横溝5は、タイヤ幅方向に対して所定の角度で傾斜して(図1では左上がりに)延在しており、また、ラグ溝6も、タイヤ幅方向に対して所定の角度で傾斜して(図1では左上がりに)延在している。因みに、横溝5の溝幅は、第2主溝2側から第1主溝1側に向かって漸減している。
【0022】
そして、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向一方(図1では右側)に位置するトレッド端TEまでの間には、第1主溝1、第2主溝2および横溝5により区画形成される複数個のブロック11よりなるブロック列10が形成されている。また、ブロック列10よりもトレッド端TE側には、第2主溝2、ラグ溝6およびトレッド端TEにより区画形成される複数個のショルダーブロック21よりなるショルダーブロック列20が形成されている。
なお、トレッド部踏面100の平面視において、ブロック11およびショルダーブロック21は、略平行四辺形状をしている。
【0023】
また、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向他方(図1では左側)に位置するトレッド端TEまでの間には、タイヤ周方向に延びる1本の周方向太溝3と、周方向太溝3よりもトレッド端TE側に位置し、タイヤ周方向に延びる1本の周方向細溝4と、周方向太溝3と周方向細溝4との間でタイヤ幅方向に延びる複数本の屈曲横溝8と、周方向細溝4とトレッド端TEとの間でタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝9とが形成されている。
なお、周方向太溝3はタイヤ周方向に沿って延在している。また、周方向細溝4は、周方向太溝3よりも溝幅が狭く、且つ、タイヤ周方向に沿って直線状に延在している。更に、屈曲横溝8は、タイヤ周方向一方(図1では下方)に凸形状となるような1個の屈曲点をもってタイヤ幅方向に延在している。また、ラグ溝9は、タイヤ幅方向に対して所定の角度で傾斜して(図1では左上がりに)延在している。
【0024】
そして、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向他方(図1では左側)に位置するトレッド端TEまでの間には、周方向太溝3、周方向細溝4および屈曲横溝8により区画形成される複数個の矢羽ブロック41よりなる矢羽ブロック列40が形成されている。また、矢羽ブロック列40よりもトレッド端TE側には、周方向細溝4、ラグ溝9およびトレッド端TEにより区画形成される複数個のショルダーブロック51よりなるショルダーブロック列50が形成されている。
なお、トレッド部踏面100の平面視において、矢羽ブロック41は、頂点の位置がタイヤ幅方向一方(図1では右側)にオフセットした矢羽形状をしている。また、ショルダーブロック51は、略平行四辺形状をしている。
【0025】
更に、トレッド部踏面100の中央部(タイヤ赤道Cの近傍)には、第1主溝1と周方向太溝3との間でタイヤ幅方向に延びる中央横溝7が形成されている。
なお、中央横溝7は、ジグザグ状に屈曲し、タイヤ幅方向に対して所定の角度で傾斜して(図1では右上がりに)延在している。
【0026】
そして、トレッド部踏面100の中央部(タイヤ赤道Cの近傍)には、第1主溝1、周方向太溝3および中央横溝7により区画形成される複数個の中央ブロック31よりなる中央ブロック列(陸部列)30が形成されている。
なお、トレッド部踏面100の平面視において、中央ブロック31は、略台形状をしている。
【0027】
ここで、第1主溝1と第2主溝2との間に位置するブロック列10を構成するブロック11には、タイヤ幅方向に延びる多数(一本以上)のサイプ12と、ブロック11のタイヤ周方向一方(図1では下側)に位置する横溝5に一端が開口し、他端がブロック11内で終端する第1切欠き溝13と、ブロック11のタイヤ周方向他方(図1では上側)に位置する横溝5に一端が開口し、他端がブロック11内で終端する第2切欠き溝14と、第1切欠き溝13と第2切欠き溝14とを連結する連結細溝15とが形成されている。また、ブロック11には、ブロック11のタイヤ幅方向一方(図1では右側)に位置する第2主溝2に一端が開口し、他端がブロック11内で終端する第3切欠き溝17と、ブロック11のタイヤ幅方向他方(図1では左側)に位置する第1主溝1に一端が開口し、他端がブロック11内で終端する第4切欠き溝18と、第3切欠き溝17と第4切欠き溝18との間で連結細溝15と交差してタイヤ幅方向に延びる幅方向サイプ16とが形成されている。
【0028】
そして、ブロック11では、ブロックの剛性(特に曲げ剛性)が、第1切欠き溝13の開口側から第1切欠き溝13の終端側に向かって増加している。また、ブロック11では、ブロックの剛性(特に曲げ剛性)が、第2切欠き溝14の開口側から第2切欠き溝14の終端側に向かって増加している。即ち、ブロック11では、ブロック11のタイヤ周方向両側にそれぞれ位置する横溝5側から第1切欠き溝13の終端または第2切欠き溝14の終端のタイヤ周方向位置に向かってブロックの剛性が増加している。
具体的には、ブロック11では、後に詳細に説明するように、第1切欠き溝13の溝深さおよび第2切欠き溝14の溝深さを溝内で変化させることにより、横溝5側から第1切欠き溝13の終端側または第2切欠き溝14の終端側に向かってブロックの剛性を増加させている。
なお、この一例の空気入りタイヤでは、第1切欠き溝および第2切欠き溝の溝深さを変化させることによりブロックの剛性を変化させたが、本発明の空気入りタイヤでは、ブロックに使用するゴム組成物の変更やブロックに形成するサイプの配設密度の変化等によりブロックの剛性を変化させても良い。但し、簡易な構成を用いてブロックの剛性を変化させる観点からは、第1切欠き溝および第2切欠き溝の溝深さを変化させることによりブロックの剛性を変化させることが好ましい。
【0029】
サイプ12は、特に限定されることなく、平面視ジグザグ状で、深さ方向にも屈曲している。そして、サイプ12の開口幅は、例えば0.3〜1.5mmとされている。なお、サイプ12は、横溝5の延在方向とタイヤ周方向線を挟んで交差する方向に延在している。即ち、サイプ12がタイヤ周方向(或いはタイヤ幅方向)に対して傾斜する方向と、横溝5がタイヤ周方向(或いはタイヤ幅方向)に対して傾斜する方向とは反対方向である。
【0030】
第1切欠き溝13および第2切欠き溝14は、平面視直線状で、タイヤ周方向に対して図1では右側に傾斜して延在している。即ち、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14は、図1では右上方向に向かって延在している。
そして、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14はそれぞれ、横溝5に直交している。また、タイヤ周方向に互いに隣接するブロック11の間で、第1切欠き溝13の溝幅中心線と、第2切欠き溝14の溝幅中心線とは同一直線上に位置している。即ち、横溝5と、横溝5のタイヤ周方向一方側(図1では下側)に位置するブロック11の第2切欠き溝14と、横溝5のタイヤ周方向他方側(図1では上側)に位置するブロック11の第1切欠き溝13とは、略十字形状となるように交差している。
【0031】
また、図2に、図1のI−I線に沿う断面を示すように、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14は、溝深さが、横溝5への開口側から終端側に向かって減少している。より具体的には、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14は、横溝5への開口位置において、溝深さが、横溝5の溝深さより浅くなっている。そして、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14は、横溝5への開口位置からブロック11内での終端位置に向かって溝深さが漸減している。
従って、ブロック11の剛性(特に曲げ剛性)は、第1切欠き溝13の開口側から第1切欠き溝13の終端側に向かって漸増しており、また、第2切欠き溝14の開口側から第2切欠き溝14の終端側に向かって漸増している。
【0032】
連結細溝15は、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14よりも溝幅が狭く、タイヤ周方向に対して図1では左側に傾斜して延在している。即ち、連結細溝15は、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14とは反対側に傾斜し、図1では左上方向に向かって延在している。そのため、このブロック11では、第1切欠き溝13と、連結細溝15と、第2切欠き溝14とがジグザグ状になるように配置されている。そして、図2に示すように、連結細溝15は、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の終端側と略等しい溝深さを有している。
【0033】
幅方向サイプ16は、特に限定されることなく、平面視ジグザグ状で、深さ方向にも屈曲している。そして、幅方向サイプ16は、連結細溝15と交差し、且つ、タイヤ幅方向に対して傾斜して(図1では右上がりに)延在している。また、幅方向サイプ16は、タイヤ幅方向一端が、第3切欠き溝17に近接した場所で終端し、タイヤ幅方向他端が第4切欠き溝18に近接した場所で終端している。ここで、幅方向サイプ16は、タイヤ幅方向一端が第3切欠き溝17に開口していてもよく、また、タイヤ幅方向他端が第4切欠き溝18に開口していてもよい。なお、幅方向サイプ16の開口幅は、例えば0.3〜1.0mmとされている。また、幅方向サイプ16の深さは、例えば3.0〜8.0mmとされている。
【0034】
第3切欠き溝17および第4切欠き溝18は、特に限定されることなく、平面視直線状で、タイヤ幅方向に対して傾斜して(図1では右上がりに)延在している。また、第3切欠き溝17と、第4切欠き溝18と、幅方向サイプ16とは同一直線上に位置している。
そして、第3切欠き溝17および第4切欠き溝18の溝幅は、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の溝幅よりも狭く、且つ、幅方向サイプ16の開口幅よりも広くされている。また、第3切欠き溝17および第4切欠き溝18の溝深さは、第1主溝1の溝深さおよび第2主溝2の溝深さよりも浅くされている。
【0035】
また、トレッド部踏面100の第1主溝1と周方向太溝3との間に位置する中央ブロック列30を構成する中央ブロック31には、タイヤ幅方向に延びる多数のサイプ32と、一端が第1主溝1に開口し、他端が中央ブロック31内で終端する延伸横溝33とが形成されている。
【0036】
ここで、サイプ32は、特に限定されることなく、平面視ジグザグ状で、深さ方向にも屈曲している。
【0037】
また、延伸横溝33は、第1主溝1を挟んで中央ブロック列30に隣接するブロック列10のブロック11を区画形成する横溝5の延在方向線(溝幅中心線)上に位置している。即ち、延伸横溝33は、横溝5を中央ブロック列30側まで延長させた位置にある。
そして、第1主溝1と、横溝5および延伸横溝33とは略X字形状となるように交差している。
【0038】
更に、トレッド部踏面100の周方向太溝3と周方向細溝4との間に位置する矢羽ブロック列40を構成する矢羽ブロック41には、平面視ジグザグ状の第1サイプ42および第2サイプ43からなる複合サイプが2本形成されている。
【0039】
ここで、第1サイプ42は、矢羽ブロック41の幅中心線よりも矢羽ブロック41のタイヤ周方向突出部44側に位置する周方向太溝3に一端が開口し、他端が矢羽ブロック41内で終端している。また、第2サイプ43は、矢羽ブロック41の幅中心線よりも矢羽ブロック41のタイヤ周方向突出部44側とは反対側に位置する周方向細溝4に一端が開口し、他端が矢羽ブロック41内で終端している。
【0040】
そして、第1サイプ42および第2サイプ43よりなる複合サイプは、屈曲横溝8と対応した配設形状で矢羽ブロック41のタイヤ幅方向全域に亘って延びており、第1サイプ42の一部と第2サイプ43の一部とはタイヤ周方向にオーバーラップしている。即ち、第1サイプ42および第2サイプ43よりなる複合サイプを、タイヤ回転軸線を含みブロック表面に直交する平面に投影したとき、投影図のタイヤ幅方向寸法と、矢羽ブロック41のタイヤ幅方向寸法とは等しくなる。また、投影図において、第1サイプ42のタイヤ幅方向寸法成分と第2サイプ43のタイヤ幅方向寸法成分とはオーバーラップする。
【0041】
また、トレッド部踏面100の第2主溝2とトレッド端TEとの間に位置するショルダーブロック列20を構成するショルダーブロック21および周方向細溝4とトレッド端TEとの間に位置するショルダーブロック列50を構成するショルダーブロック51には、それぞれ、タイヤ幅方向に延びる平面視ジグザグ状の横サイプ22,52と、タイヤ周方向に延びる平面視ジグザグ状の縦サイプ23,53とが形成されている。
【0042】
そして、この一例の空気入りタイヤによれば、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向一方(図1では右側)に位置するトレッド端TEまでの間に複数個のブロック11よりなるブロック列10を形成しているので、雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能等の雪上性能を十分に向上させることができる。
【0043】
即ち、ブロック11には、一端が横溝5に開口し、他端がブロック11内で終端する第1切欠き溝13および第2切欠き溝14が形成されているので、踏み固めた雪をタイヤ周方向に逃がすことなく、第1切欠き溝および第2切欠き溝内にも雪柱を形成することができる。また、横溝5内に形成した雪柱に対し、第1切欠き溝13内および第2切欠き溝14内に形成した雪柱をぶつけて溝内で雪柱を固めることができる。従って、ブロック列10を形成した領域では、ブロック11のタイヤ周方向両側に位置する横溝5内、特に、横溝5と、第1切欠き溝13または第2切欠き溝14とが交差する部分において、雪を踏み固める力を向上させ、雪柱せん断力を高めることができる。
また、ブロック11では、ブロックの剛性(特に曲げ剛性)が、第1切欠き溝13の開口側(横溝5側)から終端側に向かって漸増しており、且つ、第2切欠き溝14の開口側(横溝5側)から終端側に向かって漸増している。従って、ブロック列10を形成した領域では、積雪路を走行した際に、ブロックの剛性が比較的小さい横溝5側で雪を十分に掴み、雪柱せん断力を高めることができる。また、ブロック11では、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の開口側で、エッジによる路面の引っ掻き効果を向上することができると共に、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の終端側(即ち、ブロック11のタイヤ周方向中央側)で、ブロックの剛性を確保して接地面積が減少するのを抑制することができる。
更に、ブロック11では、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14はブロック11内で終端しているので、溝幅一定の切欠き溝をブロック11のタイヤ周方向全体に亘って形成した場合と比較し、ブロック11の剛性が低下して接地面積が減少するのを抑制することができる。
また、ブロック11では、第1切欠き溝13と第2切欠き溝14とを連結細溝15により連結しているので、ブロック11の剛性が低下するのを抑制しつつ、エッジ成分、特にタイヤ周方向エッジ成分を確保して、エッジによるタイヤ幅方向への路面の引っ掻き効果を高めることができる。また、ジグザグ状に延びる複数本のサイプ12を形成しているので、タイヤ周方向エッジ成分およびタイヤ幅方向エッジ成分の双方を十分に確保してエッジによる路面の引っ掻き効果を得ることができる。なお、サイプ12の延在方向と、横溝5の延在方向とは、タイヤ周方向線を挟んで交差する方向とすることが好ましい。雪上性能が更に向上するからである。
更に、ブロック11では、ジグザグ状に延びるサイプ12が形成されているので、サイプの面積を確保し、排水性能を高めて氷上性能やウェット性能を向上させることができる。また、ブロック11への入力時にサイプ12を挟んで小ブロック同士がタイヤ周方向に支え合うことができ、ブロック11の全体の剛性を確保して、操縦安定性を高めることができる。
【0044】
そのため、この一例の空気入りタイヤでは、ブロック列10を形成した部分において、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを十分に高い次元で並立させ、タイヤの積雪路における摩擦特性を十分に高めることにより、雪上ブレーキ性能、雪上トラクション性能および雪上旋回性能等の雪上性能を向上させることができる。
なお、この一例の空気入りタイヤでは、ブロック列10を形成した部分において、タイヤの接地面積の確保およびエッジによる路面の引っ掻き効果の向上の双方を達成することができるので、雪上性能以外の性能、例えばドライ性能、ウェット性能、氷上性能、耐摩耗性能なども確保することができる。
【0045】
また、この一例の空気入りタイヤでは、ブロック11に幅方向サイプ16を形成しているので、タイヤ幅方向エッジ成分を確保して、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を向上させることができる。また、排水性能を高めてウェット性能を確保することができる。更に、この一例の空気入りタイヤでは、幅方向サイプ16と連結細溝15とを交差させているので、幅方向サイプ16を第1切欠き溝13や第2切欠き溝14と交差させる場合と比較し、ブロック11の剛性が大幅に低下して接地面積が減少するのを抑制しつつ、エッジ成分の確保および排水性能の向上を達成することができる。
【0046】
また、この一例の空気入りタイヤでは、第1主溝1を挟んでブロック列10とタイヤ幅方向に隣接する中央ブロック列30の中央ブロック31に、一端が第1主溝1に開口し、他端が中央ブロック31内で終端する延伸横溝33を形成しているので、横溝5で踏み固めた雪をタイヤ幅方向に逃がすことなく、延伸横溝33内にも雪柱を形成することができる。従って、横溝5と第1主溝1とが交差する部分において雪を踏み固める力を向上させ、雪柱せん断力を高めることができる。なお、この一例の空気入りタイヤでは、延伸横溝33は中央ブロック31内で終端しているので、中央ブロック31の剛性の低下を抑制して、操縦安定性が低下するのを抑制することもできる。
【0047】
更に、この一例の空気入りタイヤでは、ブロック11に、第1切欠き溝13と、連結細溝15と、第2切欠き溝14とがジグザグ状になるように配置されているので、タイヤ幅方向エッジ成分を確保し、雪上ブレーキ性能や雪上トラクション性能を向上させることができる。
また、この一例の空気入りタイヤでは、横溝5の溝幅が、第2主溝2側から第1主溝1側に向かって漸減しているので、ブロック11の剛性の低下を抑制しつつ、雪上トラクション性能を効果的に高めることができる。
【0048】
ここで、ブロック11の剛性の低下を十分に抑制して接地面積を十分に確保する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の溝幅(開口幅)は、例えば6mm以下とすることが好ましく、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の延在方向長さは、例えば25mm以下とすることが好ましく、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14のタイヤ周方向長さは、ブロック11のタイヤ周方向長さの1/3以下とすることが好ましい。また、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14内で十分な量の雪を踏み固めて雪柱せん断力を向上する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の溝幅(開口幅)は、例えば1.2mm以上とすることが好ましく、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の延在方向長さは、例えば5mm以上とすることが好ましい。
【0049】
更に、ブロック11の剛性の低下を十分に抑制して接地面積を十分に確保する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の終端側の溝深さ(溝深さの最小値)は、3mm以下とすることが好ましい。なお、第1切欠き溝13および第2切欠き溝内に十分な量の雪柱を形成する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の終端側の溝深さ(溝深さの最小値)は、1mm以上とすることが好ましい。
また、横溝5側で雪を十分に掴み、雪柱せん断力を高める観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の開口側の溝深さ(溝深さの最大値)は、5mm以上とすることが好ましい。なお、ブロック11の剛性の大幅な低下を抑制する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の開口側の溝深さ(溝深さの最大値)は、8mm以下とすることが好ましい。
【0050】
また、横溝5において雪を踏み固める力を高め、雪柱せん断力を向上する観点からは、タイヤ幅方向線と横溝5とのなす角度(即ち、タイヤ幅方向に対する横溝5の傾斜角度)は、0°以上45°以下とすることが好ましい。
更に、横溝5と、第1切欠き溝13または第2切欠き溝14とが交差する部分において雪を踏み固める力を高め、雪柱せん断力を向上する観点からは、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の延在方向と、横溝5の延在方向とのなす角度は、鋭角側から測定して45°以上であることが好ましく、第1切欠き溝13および第2切欠き溝14の延在方向と、横溝5の延在方向とは直交することが特に好ましい。
【0051】
また、ブロック11の剛性の低下を十分に抑制して接地面積を十分に確保する観点からは、連結細溝15の溝幅(開口幅)は、例えば1.5mm以下とすることが好ましい。なお、タイヤ製造上の観点からは、連結細溝15の溝幅は0.3mm以上とすることが好ましい。
【0052】
また、この一例の空気入りタイヤでは、トレッド部踏面100の、タイヤ赤道Cからタイヤ幅方向他方(図1では左側)に位置するトレッド端TEまでの間に複数個の矢羽ブロック41よりなる矢羽ブロック列40を形成しているので、氷上ブレーキ性能、氷上トラクション性能および氷上旋回性能等の氷上性能も向上させることができる。従って、この一例の空気入りタイヤでは、トレッド部踏面100の一方側(図1では右側)で雪上性能を向上させつつ、トレッド部踏面100の他方側(図1では左側)で氷上性能を向上させることができ、雪上性能と氷上性能とをバランス良く向上させることができる。
なお、矢羽ブロック列40を形成した領域では、矢羽ブロック41において、タイヤ周方向突出部44が位置する部分の倒れ込み抑制による接地面積の確保と、矢羽ブロック41の羽部(タイヤ幅方向両端部側)のエッジおよび複合サイプのエッジによる路面の引っ掻き効果の向上とを両立させることができるので、氷上性能を向上させることができる。
【0053】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の空気入りタイヤは上記一例に限定されることは無く、本発明の空気入りタイヤには、適宜変更を加えることができる。具体的には、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ赤道を中心とした線対称パターンとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、タイヤの接地面積の確保と、エッジによる路面の引っ掻き効果の向上と、雪柱せん断力の向上との全てを十分に高い次元で並立させることにより積雪路における摩擦特性を十分に高めた、雪上性能に優れる空気入りタイヤを提供することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 第1主溝
2 第2主溝
3 周方向太溝
4 周方向細溝
5 横溝
6 ラグ溝
7 中央横溝
8 屈曲横溝
9 ラグ溝
10 ブロック列
11 ブロック
12 サイプ
13 第1切欠き溝
14 第2切欠き溝
15 連結細溝
16 幅方向サイプ
17 第3切欠き溝
18 第4切欠き溝
20 ショルダーブロック列
21 ショルダーブロック
22 横サイプ
23 縦サイプ
30 中央ブロック列(陸部列)
31 中央ブロック
32 サイプ
33 延伸横溝
40 矢羽ブロック列
41 矢羽ブロック
42 第1サイプ
43 第2サイプ
44 タイヤ周方向突出部
50 ショルダーブロック列
51 ショルダーブロック
52 横サイプ
53 縦サイプ
100 トレッド部踏面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
両トレッド端間に位置するトレッド部踏面の少なくとも一部に、タイヤ周方向に延びる一本以上の主溝と、該主溝間および/または主溝とトレッド端間でタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とを配設して、複数個のブロックよりなるブロック列を区画形成し、且つ、前記ブロックに、少なくとも一本のサイプを配設してなる空気入りタイヤであって、
前記ブロックのタイヤ周方向一方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第1切欠き溝と、
前記ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝に一端が開口し、他端がブロック内で終端する第2切欠き溝と、
前記第1切欠き溝と前記第2切欠き溝とを連結し、前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝よりも溝幅の狭い連結細溝と、
を前記ブロックに形成してなり、
前記ブロックの剛性が、前記第1切欠き溝の開口側から第1切欠き溝の終端側に向かって増加し、且つ、前記第2切欠き溝の開口側から第2切欠き溝の終端側に向かって増加することを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝の溝深さが、前記開口側から前記終端側に向かって減少していることを特徴とする、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ブロックに、前記連結細溝と交差してタイヤ幅方向に延びる幅方向サイプを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝は、タイヤ周方向に対して同一方向に傾斜して延在し、
前記連結細溝は、タイヤ周方向に対して前記第1切欠き溝および前記第2切欠き溝とは反対側に傾斜して延在していることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記トレッド部踏面に、前記主溝を挟んで前記ブロック列に隣接する陸部列を有し、
前記陸部列の、前記横溝の延在方向線上に位置する部分に、一端が前記主溝に開口し、他端が陸部列内で終端する延伸横溝が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第1切欠き溝は、前記ブロックのタイヤ周方向一方に位置する横溝と直交する方向に延在し、
前記第2切欠き溝は、前記ブロックのタイヤ周方向他方に位置する横溝と直交する方向に延在することを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記トレッド部踏面は、タイヤ赤道からタイヤ幅方向一方に位置するトレッド端までの形状と、タイヤ赤道からタイヤ幅方向他方に位置するトレッド端までの形状とが異なり、
前記ブロックは、タイヤ赤道からタイヤ幅方向一方側に形成されていることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の空気入りタイヤ。


【図1】
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【図2】
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