説明

空気圧縮機

【課題】製品の信頼性の向上と静音化を図った空気圧縮機を提供する。
【解決手段】ピストン33がシリンダ内を往復運動することにより圧縮空気を生成する圧縮部と、圧縮部を駆動するモータを有する空気圧縮機において、圧縮部はモータの回転軸と、回転軸の回転をピストンの往復運動として伝達する偏心カラー36と、偏心カラーの外周面に装着される軸受35と、一端に軸受が装着される軸受室と他端にピストン部が連結される連結部を備えたコネクティングロッド34を含んで構成される。コネクティングロッド34の軸受室は移動規制部34bを設けて軸受が後方側に抜け落ちない袋小路の形状とし、内周面に回転軸と直交する第一の溝34cを設け、第一の溝34cに弾性部材(Oリング37)を設けた。さらに、第二の溝34dを設けて取り外し可能なC形止め輪38を設けて、コネクティングロッドと軸受が回転軸方向へ相対移動することを規制した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気圧縮機に関し、特に圧縮部におけるコネクティングロッドの取付構造を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
空気工具を駆動するための空気圧縮機の一般的な構成は、特許文献1にて知られているように、モータ等の駆動部における回転軸の回転運動を、圧縮空気生成部におけるクランク軸を介してシリンダ内のピストンの往復運動として変換し、ピストンの往復運動によってシリンダの吸気弁から吸い込んだ空気を圧縮する。シリンダ内で圧縮された圧縮空気はシリンダの排気弁からパイプを通して空気タンクに吐出され、空気タンク内に貯留される。従来の空気圧縮機においては、回転軸の偏心位置に装着された偏心カラーと、偏心カラーの偏心回転運動に伴って往復運動するピストンは、コネクティングロッドを介して駆動部の出力軸に連結される。偏心カラーとコネクティングロッドの間には軸受が介在し、軸受の内周部に偏心カラーの外周部が嵌め合い、軸受の外周部にコネクティングロッドの内周部が嵌め合うように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−59917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の空気圧縮機において、軸受と偏心カラー、軸受とコネクティングロッドの嵌め合いは、ピストンの往復運動によって生じる繰り返し荷重を受ける。また、鋼材から形成される軸受とアルミニウムまたはアルミニウム合金から形成される偏心カラーとコネクティングロッドでは線膨張係数の違いがあり、運転時の高温状態を考慮して一般的にしまりばめの状態で嵌合させると共に、それぞれの嵌合面に接着剤を塗布し、硬化接着剤層により結合力を高めている。そのため、軸受と偏心カラーの結合にあたっては、嵌合面に接着剤を塗布し、軸受の内輪内周部に偏心カラーをプレス等によって圧入する方法が一般的である。また、軸受とコネクティングロッドについては、コネクティングロッドを運転時の高い温度まで恒温槽にて加熱し内径部を広げておき、嵌合面に接着剤を塗布し、軸受の外輪外周部をプレス等によって圧入する方法が一般的である。以上のような方法で、軸受と偏心カラー、軸受とコネクティングロッドを組み立てるが、運転時の温度変化による嵌め合い量の変化と、接着剤塗布による硬化接着剤層のばらつきから、わずかながら軸受のクリープが発生する事態や、軸受と偏心カラー、軸受とコネクティングロッドが回転軸方向に対して若干ずれるといった事態を招くおそれがあった。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、製品の信頼性の向上と静音化を図った空気圧縮機を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、運転時の温度変化によって圧縮部で発生するガタやゆがみを防止し、軸受寿命を大幅に向上させた空気圧縮機を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、運転時の温度変化による熱応力によりコネクティングロッドの軸受の内輪、外輪の変形や歪みを防止することができる空気圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
【0009】
本発明の一つの特徴によれば、駆動部により駆動されるピストンと、一端側にピストンが軸支され、他端側に軸受を収容するための円筒形の軸受室が形成されるコネクティングロッドを有し、軸受は外輪側が軸受室の内壁に接するように配置され、軸受室の内側に駆動部の回転軸に偏心して固定される偏心カラーを配置し、ピストンをシリンダ内で往復移動させることにより圧縮空気を生成する空気圧縮機であって、軸受室の軸方向一端に移動規制部を設けて軸受室を袋小路の形状とした。さらに、軸受室の内周面に回転軸と直交する第1の円周溝を設け、円周溝内であって軸受の外周面との間に弾性部材を配置し、軸受室の軸方向他端側に、軸受の軸方向他方側への移動を規制する取り外し可能な移動規制手段を軸受の外輪部側面と当接する位置に設けた。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、移動規制部の形状は、軸受室の軸方向一端に形成した軸受の外径よりも小さい内径の段差部であり、移動規制手段は、軸受室の内周面であって軸受の固定位置よりも外側に形成された第2の円周溝と、第2の円周溝に嵌合されるC形止め輪である。軸受室の軸方向他端側の開口は、軸受の挿入を許容する大きさである。第1の円周溝は軸受室の軸受との接地面に1本又は複数本設けられ、第1の円周溝に配置される弾性部材はフッ素系ゴム製のOリングである。Oリングは、断面が円形又は四角形とすると好ましい。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、ピストン及びコネクティングロッドが2つ用いられ、2つのピストンが反対方向に往復移動するようにコネクティングロッドが相対するように並べて回転軸に固定され、2つのコネクティングロッドの間に、偏心カラーのフランジ部と接し、軸受の内輪部側面に当接するスペーサーを設けた。さらに2つのコネクティングロッドの間に介在されるスペーサーとして、それぞれの軸受の大きさに対応させた外径の異なる2枚のスペーサーを介在させた。偏心カラーのスペーサーと反対側の端部には、軸受が軸方向に移動することを阻止するフランジ部を形成した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、軸受室の軸方向一端に移動規制部を設け、軸受の外周面との間に弾性部材を配置し、軸受室の軸方向他端側に取り外し可能な移動規制手段を設けたので、コネクティングロッド部軸受の外周面の回転による軸受室内周面の摩耗抑制と、軸受と偏心カラー、軸受とコネクティングロッドが、回転軸方向に対し嵌め合いがずれ抜け落ちるといったことを防止することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、軸受室の軸方向一端に形成した段差部と、第2の円周溝に嵌合されるC形止め輪にて軸受が軸方向に動かないように保持するので、簡単な構造や汎用部品を用いることにより軸受を安定して保持することができる。また、軸受の軸方向の動きを積極的に制限することにより、軸受の外周面と軸受室内周面との摩擦係数だけに頼らずに軸受を安定して保持することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、軸受室の軸方向他端側の開口は、軸受の挿入を許容する大きさであるので、軸受室に軸受を圧入する組立方法を採用することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば弾性部材はフッ素系ゴム製のOリングであるので、軸受自身が受ける応力が軽減され、軸受の寿命と運転音の静音化が実現できる。また、応力の大きさに応じて使用するOリングの本数を選択でき、様々な形状やサイズのコネクティングロッド及び軸受に対応できる。
【0016】
請求項5の発明によれば、Oリングは断面が円形又は四角形であるので、汎用の安価なOリングを用いることができ、製造のコストアップを抑制することができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、2つのコネクティングロッドの間に、偏心カラーのフランジ部と接し、軸受の内輪部側面に当接するスペーサーを設けたので、コネクティングロッド間の間隔を適切に保つことができるとともに、相対する偏心カラーがすれることを防止できる。
【0018】
請求項7の発明によれば、それぞれの軸受の大きさに対応させた外径の異なる2枚のスペーサーを用いるので、スペーサーを用いて軸受内輪の軸方向への移動を阻止することができる。
【0019】
請求項8の発明によれば、偏心カラーのスペーサーと反対側の端部に軸受が軸方向に移動することを阻止するフランジ部を形成したので、偏心カラーによって軸受内輪の軸方向への移動を阻止することができる。
【0020】
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例に係る空気圧縮機1の全体構成を示す上面図である。
【図2】本実施例に係る空気圧縮機1の圧縮部3の横断面図である。
【図3】図2のコネクティングロッド34、54の回転軸71への取付構造を示す部分拡大断面図である。
【図4】図2のコネクティングロッド34、54の円筒部34a、54aと軸受35、55のサイズを比較するための図である。
【図5】コネクティングロッド34部分の組立構造を説明する側面図である。
【図6】コネクティングロッド34部分の組立構造を説明するための部品展開図である。
【図7】図6の偏心カラー36の形状を説明する図である。
【図8】図6の止め輪38の側面形状を示す図である。
【図9】コネクティングロッド54部分の組立構造を説明するための部品展開図である。
【図10】図9の偏心カラー56の形状を説明する図である。
【図11】従来の空気圧縮機における圧縮部103の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右の方向は便宜上、図中に示す方向であるとして説明する。
【0023】
空気圧縮機1は、圧縮空気を貯留する一対の空気タンク4a、4bと、圧縮空気を生成し空気タンク4bに供給するための圧縮部3と、圧縮部3を駆動するためのモータを有する駆動部2と、モータの起動・停止(オン・オフ)を制御する制御回路部5を有する。空気タンク部、圧縮部3、駆動部は図示しないカバーで覆われており、図面上、二点鎖線で示されているのがカバーの取付位置である。カバーは、少なくとも空気タンク4a、4bの上方と、駆動部2と、圧縮部3と、制御回路部5を覆い、その上面には空気圧縮機1に供給される商用交流電源をオン又はオフするための図示しない主電源スイッチが設けられる。
【0024】
空気タンク4a、4bは圧縮空気を貯留するもので、その空気タンクの長手方向中心軸が互いに略平行となるように一定の間隔を隔てて並べて配置され、これらの空気タンク4a、4b間に設けられるフレーム(図示せず)によって固定され、互いに連結される。空気タンク4a、4bの前方及び後方には、空気圧縮機1の移動を容易にするためのハンドル26、27が設けられる。
【0025】
圧縮空気は圧縮部3で生成され、圧縮部3の吐出口より吐出管20を通して空気タンク4aに供給される。供給された圧縮空気は、空気タンク4a内で、例えば3.0〜4.2MPaの圧力を有する。また、空気タンク4aと4bは、連結管(図示せず)によって連結されており、両方の空気タンクの圧力は均一に保たれる。空気タンク4bには安全弁(逃がし弁)7が取り付けられ、空気タンク4a、4b内の圧力が異常に高くなったときに、その圧縮空気の一部を外部に吐出させて、異常な圧力上昇を防止する。
【0026】
双方の空気タンク4a、4bには、圧縮空気取り出し口となるカプラ6a、6bが設けられ、それらには、ホース(図示せず)を介して釘打機等の空気工具(図示せず)が接続される。図1では判断できないが、カプラ6a、6bは1つずつでなく、それぞれ上下に2つずつ設けるようにしても良い。
【0027】
空気タンク4a、4bの上部には雌ネジ部が形成され、この雌ネジ部に螺合する継手を介して減圧弁24a、24bがそれぞれ設けられる。減圧弁24a、24bにはカプラホルダがネジ螺合され、カプラホルダに圧力計25a、25bがネジ螺合され、カプラ6a、6bの近傍の圧力をモニタできる。カプラホルダはカプラ6a、6bがネジ螺合されており、カプラ6a、6bの各々には、ホースを介して釘打機等の空気工具が接続される。減圧弁24a、24bには取り出す圧力を調整するための圧力調整用ハンドルを有しており、空気タンク4a、4bの圧縮空気の入口側(吐出管側)の圧力の大きさにかかわらず、カプラ6a、6b側圧力を最高圧力以下に一定に抑える機能を持つ。従って、カプラ6a、6bには、空気タンク4a、4b内の圧力にかかわらず、上記の最高圧力以下の圧力を持つ圧縮空気が得られる。例えば、減圧弁24aが最高圧力2.0MPaのものを使用した場合、空気タンク4a、4b内の圧縮空気の圧力が2.0MPa以上であっても、減圧弁24aからは2.0MPa以下の圧縮空気しか出力されないので、所望の最高圧力以下の圧力を持つ圧縮空気が得られる。
【0028】
空気タンク4a、4bの後ろ側端部付近には、ドレン排出部が形成される。ドレン排出部は二つの空気タンク4a、4bから延びる連通管21a、21bと、それらを連結する流路を形成するマニホールド22と、マニホールド22の流路を外部に開放するコック23によって構成される。コック23のレバー23aをひねることにより、二つの空気タンク4a、4b内の圧縮空気、及び、空気タンク4a、4b内の底部に蓄積されたドレン(水分)を外部に排出できる。
【0029】
圧縮部3は、図1に示されるように、二つの圧縮機30、50により構成され、一段目の圧縮機30と二段目の圧縮機50はクランクケースを介してそれぞれ対向するように配置される。一段目の圧縮機30はクランクケース内部を経由して吸い込まれた外部空気(大気圧)を圧縮し、第1の吐出管19を経由して二段目の圧縮機50へ圧縮空気を送り込む。二段目の圧縮機50は一段目の圧縮機30から供給される圧縮空気を、例えば3.0〜4.2MPaの許容最高圧力まで圧縮して第2の吐出管20を経由して空気タンク4aに供給する。
【0030】
駆動部2を構成する電気モータは、例えば、ホール素子等の検出手段(図示せず)によってロータの回転位置を検出して、この検出信号によってステータコイルへの電力の供給を制御するDCブラシレス方式のモータであり、その電力の供給は制御回路部5においてインバータ制御を用いて制御される。駆動部2は、その回転軸が空気タンクの長手方向(図中では前後方向)軸線と略平行となるように配置される。駆動部2のモータハウジングの一端側は圧縮部3がボルト締めされ、圧縮部3は空気タンク4a、4b間を連結している図示しないフレーム上にボルトにて固定される。
【0031】
モータの回転軸の後端側は圧縮部3のクランクケースを貫通して延び、その端部には冷却ファン11が取り付けられる。冷却ファン11としては軸流ファンを用いているが、これに限定されるものではなく、冷却用に十分な量の空気流を起こすことができるならば、任意の形式のファンを用いても良い。冷却ファン11によって、カバーの側面の図示しない風窓より空気(外気)が吸引され、吸引された空気は圧縮部3を冷却したのちカバーの後面の風窓より外部に排気される。モータの回転軸のもう一方側の端部には、カバーの前面側の風窓より外気を吸引し駆動部2側へ空気を導くために、羽根形状を設けた樹脂成形により成形した冷却ファン12が取付けられる。冷却ファン12としては遠心ファンを用いることができる。
【0032】
次に図2を用いて圧縮機30の詳細な構造を説明する。空気タンク4a、4b上に弾性部材を介して取付けられた圧縮部3は、二つの圧縮機30、50により構成され、一段目の圧縮機30と二段目の圧縮機50はクランクケース77を介し、ピストン33、53の移動方向がそれぞれ水平方向に対向するように配置される。本実施例では、回転軸71が空気圧縮機1の前後方向(空気タンク4a、4bの長手方向)と同じ方向になるように配置されるが、この配置方法に限定されるものではなく、その他の配置方法、例えば回転軸71を空気圧縮機1の長手方向と垂直になるように配置しても良い。
【0033】
圧縮機30は1段目の圧縮部を構成し、クランクケース77の内部を経由して吸い込まれた外部空気(大気圧)を圧縮して、シリンダヘッド32に形成された吐出口32aから吐出管19(図1参照)を経由して圧縮機50へ圧縮空気を送り込む。圧縮機50は二段目の圧縮機として作用する。吐出管19はシリンダヘッド52の吸入口52aに接続され、圧縮機50は圧縮機30から供給される圧縮空気を例えば3.0〜4.5MPaの許容最高圧力まで圧縮する。圧縮された空気は、吐出口52bから吐出管20(図1参照)を経由させて空気タンク4a内に供給する。
【0034】
ピストン33はコネクティングロッド34によって回転軸71に対して回転可能に保持される(尚、図中ピストン33の中心から前側は断面図で記載しているが、後側は上面図で示しているので注意されたい。以下、ピストン33、53の記載は同様である)。ピストン53はコネクティングロッド54によって回転軸71に対して回転可能に保持される。コネクティングロッド34、54はそれぞれが円筒状に形成された円筒部34a、54aが形成され、円筒部34a、54aの内部空間(前後方向に短く、直径が前後方向に比べて大きい空間)が軸受を収容するための軸受室となる。円筒部34a、54aの内側において軸受35、55と偏心カラー36、56が配置される。本実施例では、円筒部34aの直径は円筒部54aの直径よりも大きく構成され、それによってピストン33のストロークはピストン53のストロークよりも長くなるように構成される。また、シリンダ31、51内の最大圧力の差に応じて、円筒部54a側で用いられる軸受55の方が、円筒部34a側で用いられる軸受35よりも大型のものを用いるようにした。軸受35、55は、例えばボールベアリングを用いることができるが、その他の形状の軸受を用いるようにしても良い。
【0035】
軸受35、55の内輪側は、偏心カラー36、56によって保持される。偏心カラー36、56は例えばアルミニウム合金製の部材であって、軸受35、55の内径とほぼ同じ外径を有する円形で、偏心する位置に回転軸71を貫通させる貫通穴(後述)が形成される。このように偏心カラー36、56を用いてコネクティングロッド34、53を固定するので、回転軸71が駆動部2(図1参照)によって回転されると偏心カラー36、56の偏心取付状態によりピストン33、53が水平方向に往復移動する。クランクケース77の前方側は前側カバー78により閉鎖され、後方側は後側カバー79により閉鎖される。回転軸71は前側カバー78にて保持される軸受72と後側カバー79にて保持される軸受73によって回転可能に軸支される。本実施例では、回転軸71の前方側にコネクティングロッド34を、後方側にコネクティングロッド54を配置し、コネクティングロッド34の前方側にはバランサー76が設けられる。バランサー76は、往復移動するピストン33、53とコネクティングロッド34、54の質量により発生する不平衡慣性力を打ち消す方向に遠心力を発生させる釣り合い錘である。
【0036】
ここで、本実施例に係るコネクティングロッド34、54の取付構造を説明する前に、従来の空気圧縮機におけるコネクティングロッドの取付構造を図11を用いて説明する。図11は、従来例に係る圧縮部103の構造であり、図1で示した空気圧縮機1と同じ外観、構造の空気圧縮機にて用いられる。図11においては図1と違う部品の箇所だけは異なる番号の参照符号を付している。従来の構成においてはコネクティングロッド134、154の形状と、軸受135、155のサイズ、偏心カラー136、156の形状が異なる。コネクティングロッド134の回転軸71側には円筒部134aが形成され、円筒部134aの内周側に軸受135が配置される。図から理解できるように、円筒部134aの軸方向の幅は軸受135の幅(内輪及び外輪の幅)とほぼ同一となるように構成される。同様にして円筒部154aの軸方向の幅は軸受155の幅(内輪及び外輪の幅)とほぼ同一となるように構成される。一方、偏心カラー136にはフランジ136aが形成され、このフランジ136aの前面側をバランサー176に接するようにして固定することにより、円筒部134aと軸受135がバランサー176と接触しないように保持される。つまり、フランジ136aの部分はスペーサーの機能を果たしている。同様にして、偏心カラー156にはフランジ156aが形成され、このフランジ156aの前面側を偏心カラー136の後面側に接するようにして固定することにより、円筒部154aと円筒部134aが接触しないように保持される。フランジ156aの部分はいわゆるスペーサーの機能を果たしている。
【0037】
図11に示す従来技術においては、コネクティングロッド134、154はアルミニウム合金の鋳造にて製造され、軸受135、155はステンレス鋼にて製造され、偏心カラー136、156はアルミニウム合金にて製造され、これらの熱膨張率が異なる。従って、空気圧縮機が稼働して高温になると、熱膨張率が大きいアルミニウム合金の方が膨張率の小さいステンレス鋼よりも大きく膨張する。この結果、軸受135、155の外輪側においては円筒部134a、154aとの間の隙間が大きくなってしまい、運転時にかかる応力等によって円筒部134a、154aと軸受135、155が軸方向にずれてしまう恐れがある。そのため、円筒部134a、154aが膨張した際であっても、軸受135、155が軸方向にずれないように強い圧力による圧入や接着等によって強固に固定することが重要であった。一方、軸受135、155の内輪側においては、軸受135、155よりも偏心カラー136、156の膨張率の方が大きいため、これらの間の隙間が小さくなって軸受135、155のボールに対して強い力がかかり、寿命を低下させる要因となる。そこで本実施例においては、円筒部134a、154aや偏心カラー136,156が軸受135、155よりも大きい度合いで膨張した際であっても、軸受135、155が軸方向にずれないような工夫を施すことを一つの特徴とする。
【0038】
図3は、本実施例におけるコネクティングロッド34、54の回転軸71への取付構造を示す部分拡大断面図である。本実施例においては軸受35、55の外輪がコネクティングロッド34、55に対して軸方向にずれないように対策を施した。さらに軸受35、55の内輪も偏心カラー36、56に対して軸方向にずれないように対策をした。コネクティングロッド34は、その一端(回転軸71と離れる側の端部)にピストン33が連結され、もう一方の他端に形成される円筒部34aが形成される。円筒部34aは、その内部空間(円筒形の内部)が軸受35を収容する軸受室となるが、この軸受室の径方向内周面には、円周方向に連続する溝(第一の円周溝)が形成されて、その溝にはOリング等の弾性部材37が装着される。このようにコネクティングロッド34の円筒部34aの内周側に弾性部材37を装着し、軸受35を弾性部材の締め代のある状態で挿入する。ここで、軸受35の軸方向幅は、円筒部34aの軸方向幅よりも狭くなるように構成し、円筒形の部分から内側にはみ出すように出っ張った移動規制部(段差部)34bにて軸受35の外輪側の軸方向後方への動きが制限される。
【0039】
軸受35の軸方向前方側には、軸受室に設けられた溝(第二の円周溝)に止め輪38が嵌め込まれることによって軸方向前方への動きが制限される。この止め輪38が、軸受35の移動規制手段となる。同様にして軸受55の軸方向幅は、コネクティングロッド54の円筒部54aの軸方向幅よりも狭くなるように構成し、円筒形の部分から内側にはみ出すように出っ張った段差部(細径部)54bにて軸方向前方への動きが制限される。軸受55の軸方向後方側には、軸受室に設けられた溝に止め輪58が嵌め込まれることによって軸方向後方への動きが制限される。
【0040】
図4は、コネクティングロッド34、54の円筒部34a、54aと軸受35、55のサイズを比較するための図である。この図では円筒部34a、54aの形状を示すために、弾性部材37、57(図3参照)及び止め輪38、58の図示を省略している。コネクティングロッド34の円筒部34aの軸方向の幅T1は、軸受35の軸方向の幅B1よりも大きい。また、幅B1の前側にまで円筒部34aが延びて、そこに溝34dが形成される。また、幅B1の後側には移動規制部34bが設けられる。同様にして、コネクティングロッド54の円筒部54aの軸方向の幅T2は、軸受55の軸方向の幅B2よりも大きい。幅B2の前側には移動規制部(段差部)54bの収まる所定の長さが必要とされ、後側には溝54dとそれを形成するための円筒部54aのための所定の長さが必要とされる。このように軸受35、55の外輪側は移動規制部34b、54bと止め輪38、58によって軸方向に移動しないように保持されるので、温度上昇による膨張現象が生じても軸受35、55の位置を安定化させることができる。
【0041】
弾性部材37、57(図3参照)を配置するための溝(第一の円周溝)34c、54cは、本実施例では円筒部34a、54aの前後方向中心線に一致する位置に設けている。しかしながら、この位置で無ければ駄目というものではなく、前後方向中心より前側または後ろ側にずらすようにしても良い。さらに、溝34c、54cは一本だけでなく、幅B1、B2の範囲内に2本または3本程度設けるようにして、それらの円周溝にそれぞれ弾性部材を介在させるように構成しても良い。その場合は、中心線に対して前後方向に対称となる位置に溝を形成すると特に好ましい。
【0042】
再び図3に戻る。軸受35、55の内周側はフランジ36a、56aが形成された偏心カラー36、56によって軸受35、55の軸方向の一方への動きが制限される。さらに、偏心カラー36、56への間には円環状のスペーサー40、60が介在される。スペーサー40、60は偏心カラー36、56とほぼ同一の熱膨張率を有する金属製の部材であって、スペーサー40はその外周端付近で軸受35の内輪に接することにより軸受35の軸方向後方への動きを制限する。同様にしてスペーサー60はその外周端付近で軸受55の内輪に接することにより軸受55の軸方向前方への動きを制限する。
【0043】
以上のように本発明によれば、コネクティングロッド34、54の軸受35、55のクリープ防止と、軸受35、55と偏心カラー36、56、軸受35、55とコネクティングロッド34、54が、軸方向に対して嵌め合うことによりずれ抜け落ちるといったことを防止することができる。また、軸受35、55は内輪部に偏心カラー36、56を圧入し、外輪部は弾性部材37,57で締め代をもって固定されているため、軸受35、55自身が受ける応力が軽減され軸受35、55の寿命を伸ばすことができると共に圧縮部の運転音の静音化が可能となる。さらに、本実施例によって図11で示した軸受135、155よりも小型の軸受35、55を用いることができるようになった。
【0044】
次に図5を用いて、コネクティングロッド34部分の組立構造を説明する。図5はピストン33、コネクティングロッド34、軸受35、偏心カラー36の取付状態を示す図であって、図2の軸方向前方から見た図である。コネクティングロッド34の一端側にはピストンピン41によってピストン33が固定される。ピストン33はピストンピン41を軸として所定角度だけコネクティングロッド34に対して揺動可能に保持される。コネクティングロッド34の他端側は、円筒部34aが形成され、円筒部34aの内部(軸受室)には軸受35が圧入され、軸受35の内部には偏心カラー36が圧入される。一般的に、コネクティングロッド34及びピストン33は駆動部2によって往復移動される可動要素であるため、それらの重量ができるだけ軽い方が好ましい。そこで、コネクティングロッド34には肉厚を部分的に薄くした薄肉部34eを設けている。
【0045】
円筒部34aの内側には、軸受35が配置され、その内側には偏心カラー36が配置される。これらは共に圧入することによって軸方向にずれにくいように保持されるが、本実施例では側面視で略C形の止め輪38にて軸受35の軸方向の移動が制限される。止め輪38は、円周方向につながっていない部材であって、その開放部分(切れている部分)46がピストン33に最も近い位置(図では上側)に配置される。偏心カラー36には回転軸71を貫通させるための貫通穴36bが形成される。貫通穴36bには回転軸71に設けられたキー74(図2参照)と嵌合することによって偏心カラー36の回転方向への空回りを防止するキー溝36cが形成される。キー溝36cの近傍には、バランサーを固定するためのねじ穴36dが形成され、ねじ穴36dの内周部分には雌ねじが形成される。
【0046】
図6は、コネクティングロッド34部分の組立構造を説明するための部品展開図であって、図5の構造体をコネクティングロッド34の長手方向を軸に90度回転させた状態である。前述したようにコネクティングロッド34の円筒部34aの内部空間は軸受35を収容するための空間となっている。また、円筒部34aの内周面であって、軸方向のほぼ中央には円周方向に連続した溝34cが形成され、その溝34cの内部に弾性部材37が収容される。弾性部材37は、例えばフッ素系の耐熱ゴムからできたOリングを用いることができる。このように溝34cに弾性部材37に配置した状態で軸受35を円筒部34aの内側に圧入する。このように構成することにより、圧縮部3の運転時の温度上昇によって、円筒部34aと軸受35が熱膨張し、円筒部34aの膨張度合いが軸受35の膨張度合いよりも大きいために軸受35の外周側と円筒部34aの内周側の摩擦抵抗が小さくなったとしても、弾性部材37が配置されているために軸受35と円筒部34aが相対的に移動してしまう、いわゆる周方向への滑り現象の発生を抑えることができる。
【0047】
円筒部34aに軸受35を圧入したら、軸受35の内周側に偏心カラー36を圧入する。偏心カラー36の軸方向の一方の端部(ここでは前側)にはフランジ36aが形成されるため、軸受35の内輪35bの軸方向前方への移動を制限することができる。偏心カラー36のフランジ36aを除いた軸方向幅Wは、軸受35の軸方向幅Wと同じである。ここで、図7を用いて偏心カラー36の形状を説明する。図7は図6の軸方向前方から後方側を見た際の偏心カラー36の形状を示す図である。偏心カラー36の形状は図5にて説明したとおりであるの繰り返しの説明は省略するが、偏心カラー36のほぼ中央点よりも一方側(図では下側)にずれるように貫通穴36bが形成され、キー溝36cの位置がほぼ中央点に来るように配置される。
【0048】
再び図6に戻り、円筒部34aの溝34dに止め輪38が装着される。止め輪38の内径は軸受35の外輪35aよりもやや小さい程度であるので、軸受35の外輪35aの軸方向前方への移動を効果的に制限することができる。ここで、図8を用いて止め輪38の側面形状を説明する。止め輪38は、例えばバネ用鋼にて製造されたC形の同心止め輪であり、円周方向の一部に開放部分46が形成される。ここで、止め輪38の外側輪郭38aの直径は軸受35の外輪35aの外径よりも大きくする。内側輪郭38bの直径は、軸受35の外輪35aの外径よりも小さく、外輪35aの内径よりも大きいサイズとすると良い。止め輪38の周方向の一方の端部38cの形状は、円筒部34aの溝34dに止め輪38を取り付ける際に用いられる専用の治具にて使いやすいような形状とされると良い。
【0049】
再び図6に戻る。軸受35の外輪35aの軸方向後側は移動規制部34bにて制限される。本実施例では、軸受35は円筒部34aの前方側からは挿入できるが、後方側からは入らない、前方側から見ていわゆる袋小路の形状にしている。尚、本実施例の効果を達成するには、移動規制部34bが円周方向に連続する必要はなく、断続的な突起やリブ状であっても良いが、円筒部34aと一体構成で製造すると良い。軸受35の内輪35bの軸方向後側はコネクティングロッド54側と接触するように配置されるスペーサー40にて保持される。スペーサー40は、その内径は軸受35の内輪35bの外径よりもやや小さい程度の大きさとすると良い。スペーサー40は円形の金属製の薄い板であって、図5で示した貫通穴36b、キー溝36c、ねじ穴36dに相当する形状の穴が形成される。
【0050】
次に図9を用いてコネクティングロッド54部分の組立構造を説明する。コネクティングロッド54部分は、二段目の圧縮機50であることからピストン53の直径、コネクティングロッド54の長さ、円筒部54aの直径及び軸方向幅が一段目の圧縮機30側と異なるが、それらの構成や各部品の形状は図6で示したものとほぼ同じである。円筒部54aの内周面の軸方向中央には円周方向に連続した溝54cが形成され、弾性部材57が収容される。弾性部材57はサイズ以外は弾性部材37と同一である。円筒部54aに軸受55を圧入したら、軸受55の内周側に偏心カラー56を圧入する。ここで、軸受55のサイズは直径こそ軸受35よりも小さいが、軸方向幅や用いられるボール55cのサイズは軸受35よりも大きい。これは、第二の圧縮機50の方がシリンダ内で高圧力を生成するので、軸受55にかかる荷重も大きいためである。円筒部54aの溝54dには止め輪58が装着される。軸方向前側はコネクティングロッド34側と接触するように配置されるスペーサー60にて保持される。尚、軸受55の外輪55aの軸方向前後の動きは、移動規制部54bと止め輪58で制限される点、軸受55の内輪55bの軸方向前後は、フランジ56aとスペーサー60によって制限される点は図6で示したコネクティングロッド34側の形状を同様である。
【0051】
図10は、偏心カラー56の形状を示す図であり、軸方向後方から前方側を見た形状を示す図である。偏心カラー56の外径のサイズは偏心カラー36(図7参照)に比べて小さい。これは圧縮機30と圧縮機50のストロークの差に起因するものであり、そのために貫通穴56bの大きさが偏心カラー56の軸受保持部分の外径の1/2よりやや大きい。貫通穴56bにキー溝56cを設ける点と、貫通穴56bとねじ穴56dとの相対位置は同じである。尚、本実施例ではバランサー76を固定するねじを偏心カラー36、56及びスペーサー40、60を貫通させることによって1本のねじによってこれらを共締めするように構成したが、このような構成だけに限られずにバランサー76を偏心カラー36にだけ固定するように構成しても良いし、その他の任意方法によってバランサー76が回転軸71に対して固定するように構成しても良い。
【0052】
以上説明したように本実施例では、コネクティングロッドを回転可能に保持する軸受のクリープ防止と、軸受と偏心カラー、軸受とコネクティングロッドが、回転軸方向に対し、嵌め合いがずれ抜け落ちるといったことを防止することができる。また、軸受は内輪側に偏心カラーを圧入して保持し、外輪部は弾性部材で締め代をもって固定されるため、軸受自身が受ける応力が軽減され軸受の寿命と運転音の静音化が実現できる。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 空気圧縮機 2 駆動部
3 圧縮部 4a、4b 空気タンク
5 制御回路部 6a、6b カプラ
11、12 冷却ファン 19、20 吐出管
21a、21b 連通管 22 マニホールド
23 コック 23a レバー
24a、24b 減圧弁 25a、25b 圧力計
26、27 ハンドル 30 圧縮機
31 シリンダ 32 シリンダヘッド
32a 吐出口 33 ピストン
34 コネクティングロッド 34a 円筒部
34b 移動規制部(段差部) 34c、34d 溝
34e 薄肉部 35 軸受
35a 外輪 35b 内輪
36 偏心カラー 36a フランジ
36b 貫通穴 36c キー溝
36d ねじ穴 37 弾性部材
38 止め輪 38a 外側輪郭
38b 内側輪郭 40 スペーサー
41 ピストンピン 46 開放部分
50 圧縮機
51 シリンダ 52 シリンダヘッド
52a 吸入口 52b 吐出口
53 ピストン 54 コネクティングロッド
54a 円筒部 54b 段差部
54c、54d 溝 55 軸受
55a 外輪 55b 内輪
55c ボール 56 偏心カラー
56a フランジ 56b 貫通穴
56c キー溝 56d ねじ穴
57 弾性部材 58 止め輪
60 スペーサー 71 回転軸
72、73 軸受 74 キー
76 バランサー 77 クランクケース
78 前側カバー 79 後側カバー
103 圧縮部 134 コネクティングロッド
134a 円筒部 135 軸受
136 偏心カラー 136a フランジ
154 コネクティングロッド 154a 円筒部
155 軸受 156 偏心カラー
156a フランジ 176 バランサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部により駆動されるピストンと、
一端側に前記ピストンが軸支され、他端側に軸受を収容するための円筒形の軸受室が形成されるコネクティングロッドを有し、
前記軸受は外輪側が前記軸受室の内壁に接するように配置され、
前記軸受室の内側に前記駆動部の回転軸に偏心して固定される偏心カラーを配置し、
前記ピストンをシリンダ内で往復移動させることにより圧縮空気を生成する空気圧縮機であって、
前記軸受室の軸方向一端に移動規制部を設け、前記軸受室の内周面に前記回転軸と直交する第1の円周溝を設け、
前記円周溝内であって前記軸受の外周面との間に弾性部材を配置し、
前記軸受室の軸方向他端側に、前記軸受の軸方向他方側への移動を規制する取り外し可能な移動規制手段を設けたことを特徴とする空気圧縮機。
【請求項2】
前記移動規制部の形状は、前記軸受室の軸方向一端に形成した前記軸受の外径よりも小さい内径の段差部であり、
前記移動規制手段は、前記軸受室の内周面であって前記軸受の固定位置よりも外側に形成された第2の円周溝と、前記第2の円周溝に嵌合されるC形止め輪であることを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機。
【請求項3】
前記軸受室の前記軸方向他端側の開口は、前記軸受の挿入を許容する大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気圧縮機。
【請求項4】
前記第1の円周溝は前記軸受室の前記軸受との接地面に1本又は複数本設けられ、
前記第1の円周溝に配置される前記弾性部材はフッ素系ゴム製のOリングであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気圧縮機。
【請求項5】
前記Oリングは、断面が円形又は四角形であることを特徴とする請求項4に記載の空気圧縮機。
【請求項6】
前記ピストン及び前記コネクティングロッドが2つ用いられ、
前記2つのピストンが反対方向に往復移動するように前記コネクティングロッドが相対するように並べて前記回転軸に固定され、
前記2つのコネクティングロッドの間に、前記偏心カラーのフランジ部と接し、前記軸受の内輪部側面に当接するスペーサーを設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の空気圧縮機。
【請求項7】
2つのコネクティングロッドの間に介在される前記スペーサーとして、それぞれの軸受の大きさに対応させた外径の異なる2枚のスペーサーを用いることを特徴とする請求項6に記載の空気圧縮機。
【請求項8】
前記偏心カラーの前記スペーサーと反対側の端部に前記軸受が軸方向に移動することを阻止するフランジ部を形成したことを特徴とする請求項7に記載の空気圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−96345(P2013−96345A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241742(P2011−241742)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】