空気調和機群制御装置
【課題】同一の空間を空調するガスヒートポンプ式の空気調和機及び電気ヒートポンプ式の空気調和機を、空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、二酸化炭素の排出量が最小となるように運転制御することができる空気調和機群制御装置を提供する。
【解決手段】同一の空間を空調するEHP及びGHPを運転制御する空気調和機群制御装置において、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶するCO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)と、前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷をEHP及びGHPに配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する最適制御パターン導出手段31bとを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【解決手段】同一の空間を空調するEHP及びGHPを運転制御する空気調和機群制御装置において、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶するCO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)と、前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷をEHP及びGHPに配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する最適制御パターン導出手段31bとを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機群制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機のヒートポンプとしては、動力源に電動モータを用いた電気ヒートポンプ(以下、EHPともいう)や、ガスエンジンを用いたガスヒートポンプ(以下、GHPともいう)が知られている。EHP式の空気調和機は、イニシャルコストが安価で低負荷運転特性に優れているが、ランニングコストが比較的高いという特性を有する。一方、GHP式の空気調和機は、比較的安価なガスを利用することでランニングコストが安いという特性を有する。また、GHP式の空気調和機での暖房運転は、ガスエンジンから排出される高温の排気ガスなどの排熱を冷媒の加熱源として利用することで、暖房効率を向上することができる。
【0003】
しかしながら、このように多くの利点を有するGHP式の空気調和機であっても、イニシャルコストがやや高く、低負荷運転時の効率が悪いという特性を有する。これは、ガスエンジンは能力割合の低い低速回転時(低負荷運転時)ほどエンジン効率が下がるためで、特に近年の省エネルギーの観点から改善が望まれている。そこで、EHP及びGHP式の空気調和機の特性を補完すべく、これらEHP及びGHP式の空気調和機を組み合わせたものが知られている。
【0004】
例えば特許文献1に記載された総合空調コントローラは、空調負荷の変動に応じてEHP及びGHP式の空気調和機間の空調バランスを決定し、これに基づき各々の空気調和機への制御指令を生成することで、EHP及びGHP式の空気調和機を全体として最適制御する。
【0005】
また、特許文献2に記載された集中コントローラには、メモリに空調負荷(率)を求める変数として、地域ごとの外気温度や業種ごとの想定負荷などを格納されている。そして、顧客により空調使用条件(例えば、地域・業態・床面積・空調時間帯・月別運転日数・目標運転年数・EHP容量・GHP容量等)が入力されることで、制御パターンごとのランニングコストを算出することができる。これにより、顧客は、ランニングコストが最も安い制御パターンを選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−187342号公報
【特許文献2】特開2009−41801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の総合空調コントローラ(集中コントローラ)は、EHP及びGHP式の空気調和機を最適制御することで、例えばランニングコストの低減を図るものである。この場合、効率的な省エネ運転が維持されることで環境性(即ち二酸化炭素(CO2)の排出量抑制)に比較的優れるものの、必ずしもCO2排出量が最小になるように維持されるわけではない。なぜならば、ランニングコストには電気・ガス料金の要素が加わるために料金条件や変動によってはCO2排出量が多い機器(EHP側又はGHP側)で運転した方が結果としてランニングコストが安くなる場合が生じるからである。
【0008】
また、特許文献2の集中コントローラは、入力された顧客情報(地域・業態等)に応じて、運転モードごとに、例えばランニングコストが最も安くなるようにEHP及びGHP式の空気調和機を最適制御するものである。しかしながら、特許文献1と同様、必ずしもCO2排出量が最小になるように維持されるわけではない。
【0009】
本発明の目的は、同一の空間を空調するガスヒートポンプ式の空気調和機及び電気ヒートポンプ式の空気調和機を、空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、二酸化炭素の排出量が最小となるように運転制御することができる空気調和機群制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、同一の空間を空調する電気ヒートポンプ式の第1空気調和機及びガスヒートポンプ式の第2空気調和機を運転制御する空気調和機群制御装置において、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶する記憶手段と、前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段とを備えることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段により、前記空間全体に必要な空調負荷(例えば負荷率)を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンが導出される。従って、前記空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、前記第1及び第2空気調和機を二酸化炭素排出量の総和が最小となる各々の空調負荷(負荷率)で運転制御することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替える切替手段を備えることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記記憶手段により、時間帯別(例えば昼間又は夜間)に前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が記憶される。そして、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、前記切替手段により、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替えて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する。従って、電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別で異なる場合にも、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターンは、空調時間帯に合わせて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、電力会社から前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を都度取得して前記記憶手段に記憶される前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を更新する取得手段を備えることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、前記取得手段により、電力会社から最新の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が取得されて、前記記憶手段に記憶される単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が更新される。従って、例えば電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量に増減があった場合にも、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、これに追従して二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、単位消費電力当たりの料金及び単位ガス消費量当たりの料金をそれぞれ記憶しており、前記単位消費電力当たりの料金及び前記単位ガス消費量当たりの料金に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの料金の総和が最小となる制御パターンを導出するランニングコスト抑制制御パターン導出手段と、顧客の要望を入力する入力手段と、前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、前記選択手段により、前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方が選択される。従って、前記顧客の要望が二酸化炭素排出量の抑制であれば、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンが選択されて、二酸化炭素排出量の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。一方、前記顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制であれば、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンが選択されて、料金の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和機群制御装置において、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の取引価格を加味した料金に基づいて、該料金の総和が最小となる制御パターンを導出することを要旨とする。
【0019】
同構成によれば、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の排出量取引を考慮した料金の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。そして、前記顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制である場合、二酸化炭素の取引価格を含めた全体の料金の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、電力会社ごと使用電源ごとに単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶するとともに、ガス会社ごとに単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段による制御パターンの導出時に使用する単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を電力会社ごと使用電源ごとに選択するとともに、単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をガス会社ごとに選択する契約内容選択手段を備えることを要旨とする。
【0021】
同構成によれば、前記契約内容選択手段により、顧客が契約する電力会社、使用電源及びガス会社に応じた単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を選択することができる。従って、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、顧客の契約内容に即した単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づいて、より正確に二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、同一の空間を空調するガスヒートポンプ式の空気調和機及び電気ヒートポンプ式の空気調和機を、空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、二酸化炭素の排出量が最小となるように運転制御することができる空気調和機群制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す構成図。
【図2】同実施形態を示す配置図。
【図3】同実施形態の集中コントローラを示す構成図。
【図4】同実施形態のCO2排出係数を示す図。
【図5】同実施形態のCO2排出係数を示す図。
【図6】同実施形態の機種データを示す図。
【図7】同実施形態の機種データを示す図。
【図8】同実施形態の時刻外気温テーブルを示す図。
【図9】同実施形態の月間外気温テーブルを示す図。
【図10】同実施形態の建物使用業態テーブルを示す図。
【図11】同実施形態の電気料金テーブルを示す図。
【図12】同実施形態の月別予測負荷導出テーブルを示す図。
【図13】同実施形態の時間帯別予測負荷導出テーブルを示す図。
【図14】同実施形態の効率テーブルを示すグラフ。
【図15】同実施形態の空調負荷の配分図。
【図16】同実施形態のCO2算出テーブルを示す図。
【図17】同実施形態のランニングコスト算出テーブルを示す図
【図18】同実施形態の顧客情報入力画面を示す図。
【図19】同実施形態の各種データの算出方法を示すフローチャート。
【図20】同実施形態の運転パターンを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
<空気調和装置制御システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置制御システム1の概略構成図である。空気調和装置制御システム1は、電動機(図示せず)を動力源とする第1空気調和機としての電気ヒートポンプ式空気調和機(以下EHP4)と、ガスエンジン(図示せず)を動力源とする第2空気調和機としてのガスヒートポンプ式空気調和機(以下GHP5)との運転制御を行う。なお、この空気調和装置制御システム1に制御されるEHP4とGHP5とは、同一の空間Sを混在して空調している。ここで、EHP4は、EHP室外機41と、それに接続される複数のEHP室内機42とにより構成される。また、GHP5は、GHP室外機51と、それに接続される複数のGHP室内機52とにより構成される。空気調和装置制御システム1は、主に、監視装置2、集中コントローラ3、EHP4、及びGHP5から構成される。
【0025】
なお、この空気調和装置制御システム1において、EHP4とGHP5とは、集中コントローラ3を介して空調ネットワーク10により監視装置2と接続されている。EHP4とGHP5とは、それぞれ監視装置2または集中コントローラ3によって監視される。
【0026】
図2は、EHP室内機42及びGHP室内機52の配置図(平面図)である。同図に示されるように、建造物に設けられる略四角形状の空間Sには、6行8列の行列状に、互いに同数(24台)となるEHP室内機42及びGHP室内機52が交互に配置(いわゆる市松配置)されている。なお、空間Sの窓際(図2の上端部及び下端部)に配置されているEHP室内機42及びGHP室内機52は、ペリメータ・インテリアの空調として利用されている。
【0027】
(1)集中コントローラの概略構成
図3に、集中コントローラ3の概略構成図を示す。集中コントローラ3は、データ処理部31と、記憶手段としてのメモリ32と、表示手段としての表示部(出力部)33と、通信インターフェイス等の通信部34と、入力手段としての入力部35と、制御部36等とによって構成されている。
【0028】
データ処理部31は、メモリ32に記憶される二酸化炭素排出量演算手段及びトータルランニングコスト演算手段としての演算プログラムに従って、メモリ32や通信部34から得られる運転データ処理、表示処理等の各種情報を演算処理して規定の情報を導出し、その情報をメモリ32、表示部33、及び通信部34に送信する。また、データ処理部31は、空調負荷パターン導出手段31aと最適制御パターン導出手段31bと運転時間取得手段31cと空調時間帯導出手段31dとを備えている。ここで、空調負荷パターン導出手段31aは、空調負荷パターンを導出する。最適制御パターン導出手段31bは、時間帯ごと、季節ごと、運転モードごと、顧客要望ごとに最適制御パターンを導出する。運転時間取得手段31cは、EHP4とGHP5との運転時間を運転時間データとして取得する。空調時間帯導出手段31dは、運転時間データから空調時間帯を算出する。
メモリ32には、EHP4及びGHP5の二酸化炭素(CO2)の排出量を算出するために必要なCO2排出係数テーブル32aとEHP4及びGHP5を制御するために必要な各種制御テーブル32bとが記憶されている。なお、本実施形態では、契約する電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別(例えば昼間又は夜間)で異なっており、CO2排出係数テーブル32aには、これに対応して時間帯別のCO2排出係数が記憶されている。さらに、メモリ32には、EHP4及びGHP5などとの通信に必要な位置データ32c、各空気調和装置に関する情報のグルーピングデータ32d及び各種演算プログラム32eなどが記憶されている。
【0029】
表示部33は、メモリ32に記録されているデータに基づいて、データ処理部31からの処理に応じて出力する。
通信部34は、EHP4を制御するEHP制御部43及びGHP5を制御するGHP制御部53と接続されており、EHP4及びGHP5から各種運転データを受信したり、EHP4及びGHP5に各種制御信号を送信したりしている。ここで、EHP制御部43は、EHP室外機41内部に設けられ、EHP4の各種運転制御を行う装置である。また、GHP制御部53は、GHP室外機51内部に設けられ、GHPの各種運転制御を行う装置である。
【0030】
入力部35は、顧客が集中コントローラ3に情報を入力可能な装置(例えばキーボード、マウスなど)であり、EHP4又はGHP5に対して各種設定やその変更などを行うための装置である。
【0031】
制御部36は、メモリ32に記録されている演算プログラムなどにしたがってEHP制御部43またはGHP制御部53を通じてEHP4及びGHP5の制御を行っている。
(2)CO2排出係数テーブル、各種制御テーブル
(CO2排出係数テーブル)
CO2排出係数テーブル32aは、図4及び図5に示されるように、電力会社のCO2排出係数テーブルTe1及び都市ガス会社のCO2排出係数テーブルTg1を有する。CO2排出係数テーブルTe1は、各電力会社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力、沖縄電力)と全電源(火力、水力、及び原子力の全てを含めた発電)及び火力発電におけるCO2排出係数とを関連付けたものである。また、CO2排出係数テーブルTg1は、各ガス会社(東京ガス、東邦ガス、大阪ガス)と単位発熱量及び単位ガス使用量におけるCO2排出係数とを関連付けたものである。なお、電力会社のCO2排出係数は、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を表すものであり、ガス会社のCO2排出係数は、単位ガス消費量(単位発熱量又は単位ガス使用量)当たりの二酸化炭素排出量を表すものである。
【0032】
一方、各種制御テーブル32bは、図6及び図7に示されるように、EHP4の機種テーブルTe2及びGHP5の機種テーブルTg2を有する。機種テーブルTe2は、EHP室外機41の機種(RXYP730**,RXYP560**,・・・)ごとに、負荷率(定格出力に対する負荷(出力)の割合)と50Hz,60Hzにおける使用条件下での消費電力とを関連付けたものである。機種テーブルTg2は、GHP室外機51の機種(AXGP710E**,AXGP560E**,・・・)ごとに、負荷率と50Hz,60Hzにおける使用条件下での消費電力又は冷房、暖房別のガス消費量とを関連付けたものである。
【0033】
また、各種制御テーブル32bは、地域外気温テーブルT1、建物使用業態テーブルT2、電気料金テーブルT3、ガス料金テーブルT4、月別予測負荷導出テーブルT5、時間帯別予測負荷導出テーブルT6、効率テーブルTec,Tgc、及びCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrを有する。
【0034】
(地域外気温テーブル)
地域外気温テーブルT1には、図8及び図9に示されるように、2種類のテーブルがある。1つは、地域情報としての地域区分と各時間帯別の温度、湿度及びエンタルピとを関連付けた時刻外気温テーブルT1a(図8参照)である。もう1つは、地域区分と月ごとの平均気温、最高気温及び最低気温とを関連付けた月間外気温テーブルT1b(図9参照)である。ここで、時刻外気温テーブルT1aは、さらに夏期(7月〜9月の期間)と冬期(1月〜3月の期間)とに分かれている。なお、ここにいう「地域区分」とは、(日本における)地域を外気温別にレベル1からレベル6までの6段階の外気温レベルに区分けしたもので、最も寒い地域をレベル1とし、最も暖かい地域をレベル6としている。この地域区分は、市区町村単位でレベル分けされている。
【0035】
(建物使用業態テーブル)
建物使用業態テーブルT2は、図10に示されるように、業態情報としての建物の使用業態にかかる部屋の種類と、冷房又は暖房の際のそれぞれの熱負荷を関連付けたものである。なお、ここにいう「建物の使用業態」とは、建物の使用用途をその業態別に分類したものである。例えば、事務所、銀行、デパート、スーパーマーケット、ホテル、飲食店、公民館、図書館、病院、劇場などに分類される。そして、部屋の種類は、例えば事務所がペリメータ、インテリアなどに分類できるとともに、銀行が営業客室、応接室、ロッカー室などに分類でき、更にデパートが1階売場、特売場、売場などに分類できる。また、スーパーマーケットが食料品売場、衣料品売場などに分類できるとともに、ホテルが宴会場、客室(各方角別)などに分類でき、更に飲食店が客室、厨房などに分類できる。さらにまた、公民館がホール、研修室などに分類できるとともに、図書館が閲覧室、司書室などに分類でき、更に病院が病室(各方角別)、診療室などに分類できる。そして、劇場が客席、ロビーなどに分類できる。
【0036】
(電気料金テーブル)
電気料金テーブルT3は、図11に示すように、各地域における電気使用に係る基本使用料及び従量料金をまとめたものである。なお、ここにいう「基本使用料」は電気のエネルギー供給者との間の契約種類に応じて支払う料金である。基本使用料は、1ケ月の契約電力量やその供給電圧(特別高圧、高圧500kW以上、高圧500kW未満など)に応じて変動する。また、「従量料金」は電気の使用量に応じて支払う1kW単位の使用料金であり、期間や時間帯に応じて3種類の従量料金がある。従量料金Aは、重負荷時間(毎年7月1日から9月30日までの期間の毎日午前10時から午後5時までの時間)における従量料金である。従量料金Bは、昼間時間(毎日午前8時から午後10時までの時間であり、重負荷時間及び日曜日、祝日を除く)における従量料金である。従量料金Cは、夜間時間(重負荷時間及び昼間時間を除く時間)における従量料金である。
【0037】
(ガス料金テーブル)
ガス料金テーブルT4は、電気料金テーブルT3と同様に、各地域におけるガス使用に係る基本使用料及び単価をまとめたものである(ここでは図示しない)。ここにいう「基本使用料」はガスのエネルギー供給者との間の契約種類に応じて支払う料金である。基本使用料は、1ケ月の契約使用量に応じて変動する。また、「単価」はガスの使用量に応じて支払う料金であり、1m3単位の使用料金である。
【0038】
(月別予測負荷導出テーブル)
月別予測負荷導出テーブルT5は、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1と建物使用業態テーブルT2とから、地域外気温抽出工程及び月別空調負荷予測工程を経て作成される。なお、この月別予測負荷導出テーブルT5には、図12に示されるように、予め、月フィールド、外気温フィールド、及び予測負荷フィールドが設けられている。ここで、「月フィールド」には、1から12までの数字が予め挿入されており、それぞれ1月から12月までの月を表している。
【0039】
地域外気温抽出工程では、入力部35により入力された顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1から、その地域の熱負荷レベルに基づいた月ごとの外気温データ(月別平均外気温)が抽出され外気温フィールドに挿入される。
【0040】
月別空調負荷予測工程では、入力部35により入力された顧客情報と、地域外気温抽出工程により抽出された月別平均外気温とに基づいて、月ごとの予測空調負荷(月別予測空調負荷)が算出される。月別空調負荷予測工程では、建物使用業態テーブルT2から部屋の種類における最大熱負荷と外気温フィールドに挿入された外気温データとに基づいてその時間帯における単位床面積当たりの空調負荷パターンを算出する。そして、単位床面積当たりの空調負荷パターンと空間の床面積とに基づいてその部屋の月別予測空調負荷を算出している。そして、ここで算出された月別予測空調負荷は、予測負荷フィールドに挿入される。
【0041】
(時間帯別予測負荷導出テーブル)
時間帯別予測負荷導出テーブルT6は、顧客情報入力画面SC1に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1と月別予測負荷導出テーブルT5とから、予想気温導出工程、時間帯別予測負荷導出工程及び時間帯別予測能力導出工程を経て作成される。なお、この時間帯別予測負荷導出テーブルT6には、図13に示されるように、予め、空調時間帯フィールド、予想気温フィールド、予測負荷フィールド及び予測能力率フィールドが設けられている。ここで、「空調時間帯フィールド」には、運転時間データに基づく1時間ごとの時間帯が挿入される。例えば、運転時間データで運転時間が8時から20時となっている場合には、8時から20時までの1時間ごとの時間帯が挿入される。
【0042】
予想気温導出工程では、空調時間帯フィールドに挿入されている時間帯に基づいて、地域外気温テーブルT1からその月の外気温データが抽出され予想気温フィールドに挿入される。
【0043】
時間帯別予測負荷導出工程では、月別予測負荷導出テーブルT5の月別予測空調負荷と予想気温導出工程で導出された予想気温とに基づいて空調時間帯ごとの空調負荷(時間帯予測空調負荷)が算出され予測負荷フィールドに挿入される。時間帯予測空調負荷は、月別予測負荷導出テーブルT5における月別予測空調負荷を月間運転日数で除して得られる1日当たりの予測空調負荷(日別予測空調負荷)を、時間帯別の予想気温に基づいて(重み付けして)得られる時間帯別の空調負荷(時間帯別予測負荷)である。
【0044】
時間帯別予測能力率導出工程では、EHP4及びGHP5の容量と、時間帯別予測負荷導出工程で導出された予測負荷とに基づいて空調時間帯ごとの能力率(EHP4及びGHP5全体の定格負荷に対する予測負荷の割合、即ち負荷率)が算出され予測能力率フィールドに挿入される。
【0045】
(効率テーブル)
図14に示されるように、効率テーブルTec,Tgcは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、該当機種のEHP4及びGHP5の負荷率と成績係数COP(Coefficient Of Performance)とを関連付けたものである。なお、成績係数COPは、EHP4及びGHP5の各々において、冷暖房能力(空調能力)を消費エネルギーで除算することにより求められる無次元の値である。
【0046】
すなわち、EHP4の効率テーブルTecは、顧客情報に基づいて、EHP室外機41の機種テーブルTe2から第1効率導出工程を経て作成される。図14に便宜的にマップで描画しているが、効率テーブルTecには、該当機種のEHP室外機41に対する空調負荷フィールド及び成績係数フィールドがそれぞれ設けられる。ここで、「空調負荷フィールド」には、EHP4の空調負荷(負荷率)が10%単位で予め挿入される。
【0047】
第1効率導出工程では、機種テーブルTe2に基づき、負荷率を消費電力で除算した値に該当のEHP室外機41の定格出力を乗算することで成績係数COPeを求め、これを成績係数フィールドに挿入する。
【0048】
一方、GHP5の効率テーブルTgcは、顧客情報に基づいて、GHP室外機51の機種テーブルTg2から第2効率導出工程を経て作成される。効率テーブルTgcには、該当機種のGHP室外機51に対する空調負荷フィールド及び成績係数フィールドがそれぞれ設けられる。ここで、「空調負荷フィールド」には、GHP5の空調負荷(負荷率)が10%単位で予め挿入される。
【0049】
第2効率導出工程では、機種テーブルTg2に基づき、負荷率をガス消費電量で除算した値に該当のGHP室外機51の定格出力を乗算することで成績係数COPgを求め、これを成績係数フィールドに挿入する。
【0050】
(CO2排出量算出テーブル)
図16に示されるように、CO2排出量算出テーブルTcは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて作成される。具体的には、CO2排出係数テーブルTe1,Tg1と機種テーブルTe2,Tg2とから、GHP分CO2排出量算出工程、EHP分CO2排出量算出工程、CO2排出量計算出工程及びCO2排出価格算出工程を経て作成される。既述のように、本実施形態では、時間帯別で電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が異なっており、従って、CO2排出量算出テーブルTcの作成にあたっては、空調時間帯に対応してCO2排出係数テーブルTe1から抽出する数値を切り替えている(切替手段)。なお、このCO2排出量算出テーブルTcには、予めEHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド、GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド、熱源(電気・ガス)フィールド、GHP分CO2排出量フィールド、EHP分CO2排出量フィールド、CO2排出量計フィールド及びCO2排出価格フィールドが設けられている。
【0051】
ここで、「EHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド」には、負荷率(10〜100%)が10%単位で予め挿入されている。また、「GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド」には、当該負荷率に一致するようにGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率(0〜100%)が10%単位で予め挿入されている。具体的には、例えばEHP4及びGHP5全体の負荷率が100%の場合、GHP5及びEHP4の各々の負荷率は共に100%となる場合のみが存在する。また、EHP4及びGHP5全体の負荷率が90%の場合、GHP5及びEHP4の各々の負荷率は100%・80%、共に90%、80%・100%となる3つの場合が存在する。「熱源フィールド」には電気・ガスが予め挿入されている。
【0052】
GHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTg1の単位ガス消費量当たりのCO2排出量と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51のガス消費量とに基づき該当の負荷率におけるガスに起因するCO2排出量を算出し、これをガスフィールドに対応するGHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、GHP分CO2排出量フィールドに挿入されるガスに起因するCO2排出量は、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率におけるガス消費量に単位ガス消費量当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しGHP5に配分される空調負荷(冷暖房能力)Lgを利用して求めることができる。この場合、GHP分CO2排出量フィールドに挿入されるガスに起因するCO2排出量は、当該空調負荷Lgを成績係数COPgで除算した値に単位ガス消費量当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。
【0053】
加えて、GHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTe1の単位消費電力当たりのCO2排出量と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するCO2排出量を算出し、これを電気フィールドに対応するGHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、GHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率における消費電力に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。なお、GHP室外機51の消費電力は、厳密には負荷率に応じて多少変動するものの、ここでは定格負荷での所定の消費電力に固定されている。従って、GHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量も一定値に固定されている。
【0054】
EHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTe1の単位消費電力当たりのCO2排出量と機種テーブルTe2の該当機種のEHP室外機41の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するCO2排出量を算出し、これを電気フィールドに対応するEHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、EHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、該当機種のEHP室外機41において、該当の負荷率における消費電力に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しEHP4に配分される空調負荷(冷暖房能力)Leを利用して求めることができる。この場合、EHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、当該空調負荷Leを成績係数COPeで除算した値に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。
【0055】
CO2排出量計算出工程では、GHP分CO2排出量算出工程で算出されたGHP5の該当の負荷率におけるCO2排出量と、EHP分CO2排出量算出工程で算出されたEHP4の該当の負荷率におけるCO2排出量とを合計してEHP4及びGHP5全体のCO2排出量計を算出し、これをCO2排出量計フィールドに挿入する。
【0056】
CO2排出価格算出工程では、CO2排出量計算出工程で算出されたCO2排出量計に、顧客情報入力画面SC1に入力部35により入力される顧客情報としての単位排出量当たりのCO2排出価格を乗算することでEHP4及びGHP5全体の該当の負荷率におけるCO2排出価格を算出し、これをCO2排出価格フィールドに挿入する。
【0057】
なお、EHP4及びGHP5全体の負荷率に一致するように前述の態様でGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率に対してEHP4及びGHP5全体のCO2排出量計を算出することで、該CO2排出量計が最小となるGHP5及びEHP4に配分される負荷率が導出可能となる。この際、空調時間帯に対応する電力会社の発電方法が考慮されて導出されることはいうまでもない。
【0058】
(ランニングコスト算出テーブル)
ランニングコスト算出テーブルTrは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて作成される。具体的には、電気料金テーブルT3とガス料金テーブルT4と機種テーブルTe2,Tg2とCO2排出価格算出工程で算出されたCO2排出価格とから、GHP分ランニングコスト算出工程、EHP分ランニングコスト算出工程、ランニングコスト計算出工程及びランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程を経て作成される。なお、このランニングコスト算出テーブルTrには、図17に示されるように、予めEHP4及びGHP5全体と各々の負荷率フィールド、熱源(電気・ガス)フィールド、GHP分とEHP分ランニングコストフィールド、ランニングコスト計フィールド及びランニングコスト計(CO2排出価格込)フィールドが設けられている。
【0059】
ここで、「EHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド」には、CO2排出量算出テーブルTcと同様、負荷率(10〜100%)が10%単位で予め挿入されている。また、「GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド」には、当該負荷率に一致するようにGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率(0〜100%)が10%単位で予め挿入されている。「熱源フィールド」には電気・ガスが予め挿入されている。
【0060】
GHP分ランニングコスト算出工程では、ガス料金テーブルT4のガスの単価と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51のガス消費量とに基づき該当の負荷率におけるガスに起因するランニングコストを算出し、これをガスフィールドに対応するGHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、GHP分ランニングコストに挿入されるガスに起因するランニングコストは、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率におけるガス消費量にガスの単価を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しGHP5に配分される空調負荷(冷暖房能力)Lgを利用する場合、GHP分ランニングコストフィールドに挿入されるガスに起因するランニングコストは、当該空調負荷Lgを成績係数COPgで除算した値にガスの単価を乗算することでも求められる。
【0061】
加えて、GHP分ランニングコスト算出工程では、電気料金テーブルT3の従量料金と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するランニングコストを算出し、これを電気フィールドに対応するGHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、GHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率における消費電力に従量料金を乗算することで求められる。なお、GHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、CO2排出量と同様、一定値に固定されている。
【0062】
EHP分ランニングコスト算出工程では、電気料金テーブルT3の従量料金と機種テーブルTe2の該当機種のEHP室外機41の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するランニングコストを算出し、これを電気フィールドに対応するEHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、EHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、該当機種のEHP室外機41において、該当の負荷率における消費電力に従量料金を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しEHP4に配分される空調負荷(冷暖房能力)Leを利用する場合、EHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、当該空調負荷Leを成績係数COPeで除算した値に従量料金を乗算することでも求められる。
【0063】
ランニングコスト計算出工程では、GHP分ランニングコスト算出工程で算出されたGHP5の該当の負荷率におけるランニングコストと、EHP分ランニングコスト算出工程で算出されたEHP4の該当の負荷率におけるランニングコストとを合計する。これによりEHP4及びGHP5全体のランニングコスト計を算出し、これをランニングコスト計フィールドに挿入する。
【0064】
ランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程では、ランニングコスト計算出工程で算出されたランニングコスト計と、CO2排出価格算出工程で算出されたCO2排出価格とを合計してランニングコスト計(CO2排出価格込)を算出し、これをランニングコスト計(CO2排出価格込)フィールドに挿入する。
【0065】
なお、EHP4及びGHP5全体の負荷率に一致するように前述の態様でGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率に対してEHP4及びGHP5全体のランニングコスト計及びランニングコスト計(CO2排出価格込)を算出することで、各々のランニングコスト計が最小となるGHP5及びEHP4に配分される負荷率が導出可能となる。
【0066】
<顧客情報の入力>
本実施形態の空気調和装置制御システム1の導入時に、顧客等は、図18に示すように表示部33に表示される顧客情報入力画面SC1により、入力部35にて顧客情報を予め入力する必要がある。この顧客情報を入力することにより、上述した各テーブルに顧客情報に応じた制御情報が導出されることになる。
【0067】
(1)顧客情報入力画面
図18に示す該当する部屋(空間S)の顧客情報入力画面SC1において、顧客情報の一部である地域情報、業態情報、床面積、空調時間帯、月間運転日数、目標運転年数、EHP機種・容量、GHP機種・容量、CO2排出係数、CO2取引価格、運転モード、電気料金及びガス料金を入力する。
【0068】
すなわち、顧客情報入力画面SC1左側の上部には、地域入力欄EB1が設けられるとともに、該地域入力欄EB1の下側には、業態入力欄EB2が設けられ、更に該業態入力欄EB2の下側には、床面積入力欄EB3が設けられている。また、床面積入力欄EB3の下側には、空調時間帯入力欄EB4a,EB4bが設けられるとともに、該空調時間帯入力欄EB4aの下側には、月間運転日数入力欄EB5が設けられ、更に該月間運転日数入力欄EB5の下側には、目標運転年数入力欄EB6が設けられている。一方、顧客情報入力画面SC1の右側の上部(地域入力欄EB1の右側)には、EHP機種・容量入力欄EB7a及びアドレス入力欄EB7bが設けられるとともに、該EHP機種・容量入力欄EB7a及びアドレス入力欄EB7bの下側には、GHP機種・容量入力欄EB8a及びアドレス入力欄EB8bが設けられている。さらに、GHP機種・容量入力欄EB8a及びアドレス入力欄EB8bの下側には、CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bが設けられるとともに、該CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bの下側には、CO2取引価格入力欄EB10a,EB10bが設けられている。そして、CO2取引価格入力欄EB10aの下側には、運転モード入力欄EB11が設けられるとともに、該運転モード入力欄EB11の下側には、電気料金入力欄EB12a及び契約形態入力欄EB12bが設けられている。また、電気料金入力欄EB12a及び契約形態入力欄EB12bの下側には、ガス料金入力欄EB13a及び契約形態入力欄EB13bが設けられるとともに、ガス料金入力欄EB13aの下側には、OKボタンB11及びクリアボタンB12が設けられている。
【0069】
地域入力欄EB1の右端部には、プルダウンボタンPD1が設けられている。地域入力欄EB1に空調設備を導入する空間が属する建物の地域情報を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD1の操作(例えばクリック操作)によって選択する。本実施形態では、市区町村単位で選択可能となっている。
【0070】
業態入力欄EB2の右端部には、プルダウンボタンPD2が設けられている。業態入力欄EB2に業態情報を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD2の操作によって選択する。
【0071】
床面積入力欄EB3は、テキスト入力欄となっており、ここに床面積情報を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
空調時間帯入力欄EB4a,EB4bは、テキスト入力欄となっており、ここに空調時間帯情報として空調開始時間と空調終了時間とを入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
【0072】
月間運転日数入力欄EB5は、テキスト入力欄となっており、ここに月間運転日数を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
目標運転年数入力欄EB6は、テキスト入力欄となっており、ここに目標運転年数を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
【0073】
GHP機種・容量入力欄EB7aの右端部には、プルダウンボタンPD7aが設けられている。GHP機種・容量入力欄EB7aにGHP5(GHP室外機51)の機種及び容量を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD7aの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0074】
アドレス入力欄EB7bの右端部には、プルダウンボタンPD7bが設けられている。アドレス入力欄EB7bに該当する部屋(空間S)の空調に係るGHP室外機51のアドレス(他の部屋の空調に係るGHP室外機51と区別するためのコード)を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD7bの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0075】
EHP機種・容量入力欄EB8aの右端部には、プルダウンボタンPD8aが設けられている。EHP機種・容量入力欄EB8aにEHP4(EHP室外機41)の機種及び容量を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD8aの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0076】
アドレス入力欄EB8bの右端部には、プルダウンボタンPD8bが設けられている。アドレス入力欄EB8bに該当する部屋(空間S)の空調に係るEHP室外機41のアドレス(他の部屋の空調に係るEHP室外機41と区別するためのコード)を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD8bの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0077】
CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bの右端部には、プルダウンボタンPD9a,PD9bがそれぞれ設けられている。CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bに電力会社(使用電源を含む)及びガス会社を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD9a,PD9bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。なお、CO2排出係数入力欄EB9aに電力会社が入力されるのと同時に電気料金入力欄EB12aに該当の電力会社が入力・表示される。同様に、CO2排出係数入力欄EB9bにガス会社が入力されるのと同時にガス料金入力欄EB13aに該当のガス会社が入力・表示される。
【0078】
CO2取引価格入力欄EB10a,EB10bはテキスト入力欄となっており、ここにCO2取引価格(単位排出量当たりのCO2排出価格)等を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値等を直に入力する。
【0079】
運転モード入力欄EB11の右端部には、プルダウンボタンPD11が設けられている。運転モード入力欄EB11に運転モードを入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD11の操作(例えばクリック操作)によって選択する(選択手段)。なお、運転モード入力欄EB11において、選択できる運転モードは、CO2排出量最小運転及びランニングコスト最小運転の2つのモードである。
【0080】
契約形態入力欄EB12bの右端部には、プルダウンボタンPD12bが設けられている。契約形態入力欄EB12bに契約形態を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD12bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。
【0081】
契約形態入力欄EB13bの右端部には、プルダウンボタンPD13bが設けられている。契約形態入力欄EB13bに契約形態を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD13bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。
【0082】
これらの顧客情報を入力し終えたら、入力部35によりOKボタンB11を操作(例えばクリック操作)する。これにより、メモリ32に上記した顧客情報が格納される。そして、顧客情報及び各種テーブル等に基づき、演算プログラム32eに従って演算等が開始される。なお、入力部35によりクリアボタンB12を操作(例えばクリック操作)すると入力した各顧客情報をクリアできる。
【0083】
図19は、データ処理部31によるCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成態様(CO2排出量計算出工程、CO2排出価格算出工程、ランニングコスト計算出工程、ランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程等)を示すフローチャートである。なお、CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成にあたっては、負荷率に代えて、空間S全体に必要な空調負荷La及び該空調負荷Laに対しGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg,Le(図15参照)を利用するものとする。この場合であっても、空調負荷LaはEHP4及びGHP5全体の負荷率に相関することから、空調負荷Laに対応する空調負荷Lg,Leの場合分けの個数NもGHP5及びEHP4の各々の負荷率の場合分けの個数(図16及び図17参照)に一致する。
【0084】
例えば空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の100%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが共に100%の負荷率に相当する場合のみ(N=1、図16及び図17参照)である。また、空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の90%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが100%・80%、共に90%、80%・100%の負荷率に相当する3つの場合(N=3、図16及び図17参照)である。さらに、空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の80%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが100%・60%、90%・70%、共に80%、70%・90%、80%・100%の負荷率に相当する5つの場合(N=5、図16及び図17参照)である。データ処理部31は、空調負荷Laに対しGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg,Leの全ての場合(i=1〜N)について、CO2排出量計及びランニングコスト計等を算出する。
【0085】
すなわち、このルーチンがスタートすると、メモリ32から顧客情報が読み込まれる(S1)。
次に、このときの空調負荷Laに対応してGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg(i),Le(i)に基づいて、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)が算出される(S2)。すなわち、消費ガス量Pgg(i)は、空調負荷Lg(i)をこれに対応する成績係数COPg(i)(図14参照)で減算することで求められる。消費電力量Pge(i)は、厳密には空調負荷Lg(i)に応じて多少変動するものの、ここでは定格負荷での所定の消費電力量kに固定されている。消費電力量Pe(i)は、空調負荷Le(i)をこれに対応する成績係数COPe(i)(図14参照)で減算することで求められる。
【0086】
次に、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)に基づいて、エネルギーコストが算出される(S3)。すなわち、GHP5のガスに起因するランニングコストMgg(i)は、消費ガス量Pgg(i)に該当のガス会社のガス単価を乗算することで算出される。GHP5の電力に起因するランニングコストMge(i)は、消費電力量Pge(i)に該当の電力会社の電力単価(従量料金)を乗算することで算出される。EHP4のランニングコストMe(i)は、消費電力量Pe(i)に該当の電力会社の電力単価を乗算することで算出される。また、EHP4及びGHP5全体のランニングコストの合計Ma(i)は、ランニングコストMgg(i),Mge(i),Me(i)の和で算出される。
【0087】
続いて、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)に基づいて、CO2排出量が算出される(S4)。すなわち、GHP5のガスに起因するCO2排出量Cgg(i)は、消費ガス量Pgg(i)に該当のガス会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。GHP5の電力に起因するCO2排出量Cge(i)は、消費電力量Pge(i)に該当の電力会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。EHP4のCO2排出量Ce(i)は、消費電力量Peに該当の電力会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。そして、CO2排出量の合計Ca(i)は、CO2排出量Cgg(i),Cge(i),Ce(i)の和で算出される。
【0088】
次に、CO2排出量の合計Ca(i)に基づいて、CO2取引金額が算出される(S5)。すなわち、CO2取引金額Da(i)は、CO2排出量の合計Ca(i)に顧客情報としてのCO2取引価格(図18参照)を乗算することで求められる。
【0089】
また、エネルギーコストの合計Ma(i)とCO2取引金額Da(i)との和によって、トータルランニングコストTa(i)が算出される(S6)。
そして、該当の空調負荷Laに対応して配分された空調負荷Lg(i),Le(i)におけるS1〜S7の算出結果がCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTr(図16及び図17参照)の対応するフィールドに挿入される(S7)。
【0090】
続いて、演算が終了したか否かが判断される(S8)。具体的には、該当の空調負荷Laに対応して配分される空調負荷Lg(i),Le(i)の全ての場合(i=1〜N)についてS1〜S7の処理が完了したか否かが判断される。そして、空調負荷Lg(i),Le(i)の全ての場合についてS1〜S7の処理が完了していなければS2に戻って同様の処理が繰り返され、完了していればその後の処理を終了する。
【0091】
なお、図19に示す処理は、特定の空調負荷Laに対してCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrを作成するものである。従って、このような処理を10〜100%(10%単位)の負荷率に相当する全ての空調負荷Laについて実行することで、CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成が完了する。
【0092】
CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成が完了すると、特定の空調負荷Laに対してCO2排出量の合計Ca(i)が最小となる空調負荷Lg(i),Le(i)や、ランニングコストの合計Ma(i)又はTa(i)が最小となる空調負荷Lg(i),Le(i)が導出可能となる。このような空調負荷Lg(i),Le(i)の導出、即ちEHP4及びGHP5の制御パターンの導出は、データ処理部31内の最適制御パターン導出手段31bにおいて行われる(二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段、ランニングコスト抑制制御パターン導出手段)。
【0093】
制御部36は、顧客情報入力画面SC1の運転モード入力欄EB11に入力された顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)に対応する最適制御パターン導出手段31bで導出された制御パターンを通信部34を経てEHP制御部43及びGHP制御部53に伝達する。EHP制御部43及びGHP制御部53は、伝達された制御パターンに従ってEHP室外機41及びGHP室外機51をそれぞれ運転制御する。これにより、CO2排出量を最小に抑制しつつ空間Sが空調され、あるいはランニングコストを最小に抑制しつつ空間Sが空調される。
【0094】
図20は、CO2排出量最小運転モードが選択されているときのEHP4及びGHP5の最適制御パターンの一例を示すグラフである。同図に示されるように、空調負荷が大きい場合には、EHP4及びGHP5の協働運転となる。そして、空調負荷が小さくなるにつれ、EHP4の空調出力を維持したままGHP5の空調出力が低下する。そして、空調負荷が更に小さくなると、EHP4の単独運転となる。そして、EHP4の単独運転以降は、空調負荷が小さくなるにつれて、EHP4の空調出力が低下する。
【0095】
なお、顧客等は、EHP4及びGHP5の運転中に、表示部33により、CO2排出量やランニングコスト等を確認可能となっている。これにより、顧客等は、状況に応じて運転モードを変更することができる。
【0096】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、データ処理部31内に設けられる最適制御パターン導出手段31bにより、空間S全体に必要な空調負荷(例えば負荷率)をEHP4及びGHP5に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンが導出される。従って、空間S全体に必要な空調負荷を満たすとともに、顧客等の快適性を維持し、更に成り行き運転や他に着目した運転パターン(例えば、ランニングコスト低減運転など)に比べて、EHP4及びGHP5を二酸化炭素排出量の総和が最小となる各々の空調負荷(負荷率)で運転制御することができる。
【0097】
(2)本実施形態では、CO2排出係数テーブル32aにより、時間帯別(例えば昼間又は夜間)に単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が記憶されている。そして、最適制御パターン導出手段31bは、空調時間帯に基づきCO2排出係数テーブル32aに記憶された時間帯別の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替えて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する。従って、電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別で異なる場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、空調時間帯に合わせて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0098】
(3)本実施形態では、制御部36により、電力会社から最新の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が取得されて、CO2排出係数テーブル32aに記憶される単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が更新される。従って、例えば電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量に増減があった場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、これに追従して二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
(4)本実施形態では、顧客情報入力画面SC1に設けられた運転モード入力欄EB11により、顧客の要望に基づいて、最適制御パターン導出手段31bによって導出された二酸化炭素排出量抑制制御パターン及びランニングコスト抑制制御パターンのいずれか一方が選択される。従って、顧客の要望が二酸化炭素排出量の抑制であれば、二酸化炭素排出量の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。一方、顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制であれば、料金の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。
【0099】
(5)本実施形態では、最適制御パターン導出手段31bは、二酸化炭素の排出量取引を考慮した料金の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。そして、顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制である場合、二酸化炭素の取引価格を含めた全体の料金の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。
【0100】
(6)本実施形態では、CO2排出係数入力欄EB9a,EB9b、契約形態入力欄EB12b,EB13bにより、顧客が契約する電力会社、使用電源及びガス会社に応じた単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を選択することができる。従って、最適制御パターン導出手段31bは、顧客の契約内容に即した単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づいて、より正確に二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0101】
(7)本実施形態では、顧客要望により、CO2取引単価を加味したトータルランニングコストが最小となる運転パターンを選択することができる。また、CO2排出係数、国の環境規制、顧客の優先順位(経済性or環境性)が変わった場合であっても、運転パターンを適宜選択・変更することができる。
【0102】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)に対応する最適制御パターン導出手段31bで導出された制御パターン(即ちCO2排出量算出テーブルTc又はランニングコスト算出テーブルTrから導出された制御パターン)に基づいてEHP4及びGHP5を運転制御するようにした。これに対し、実際の外気温度や室内吸込温度、設定温度から負荷率を判断し、顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)が常に維持されるようにEHP4及びGHP5を運転制御するようにしてもよい。また、EHP室外機41及びGHP室外機51の負荷率の制御は、10%未満の単位で制御可能であってもよい。
【0103】
・前記実施形態において、CO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)は、制御テーブル32bに含めてもよい。
・前記実施形態において、CO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)には、他の電力会社及びガス会社の情報が記憶されていてもよい。
【0104】
・前記実施形態において、運転モード入力欄EB11には、CO2排出量最小及びトータルランニングコスト最小の2モードの選択肢しかなかったが、他の選択肢を設けてもよい。例えば、電力デマンド制限モード、GHP運転時間制限モード、従量料金制限モード、あるいはこれらの任意の組合せモード等の選択肢を設けてもよい。
【0105】
・前記実施形態において、契約する電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在のCO2排出係数が都度変動する場合には、例えば制御部36により、通信部34及び適宜の電気通信回線(図示略)を通じて電力会社と通信することで、当該CO2排出係数を都度取得してCO2排出係数テーブル32aを更新するようにしてもよい(取得手段)。この場合、例えば電力会社の発電方法がリアルタイムに変更されて現在のCO2排出係数に増減があった場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、これに追従してCO2排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0106】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・請求項2又は3に記載の空気調和機群制御装置において、
二酸化炭素排出量及びトータルランニングコストを表示する表示手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【0107】
同構成によれば、顧客は、前記表示手段によって前記第1及び第2空気調和装置の運転中のCO2排出量及びトータルランニングコストを確認することができる。
【符号の説明】
【0108】
EB9a,EB9b…CO2排出係数入力欄(契約内容選択手段)、EB12b,EB13b…契約形態入力欄(契約内容選択手段)、EB11…運転モード入力欄(選択手段)、S…空間、SC1…顧客入力画面、Te1,Tg1,32b…CO2排出係数テーブル、Te2,Tg2…機種テーブル、1…空気調和装置制御システム、3…集中コントローラ、4…EHP(第1空気調和機)、5…GHP(第2空気調和機)、31…データ処理部、31b…最適制御パターン導出手段(二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段、ランニングコスト抑制制御パターン導出手段、切替手段)、32…メモリ(記憶手段)、32a…CO2排出係数テーブル、32e…演算プログラム(二酸化炭素排出量演算手段、トータルランニングコスト演算手段)、33…表示部(表示手段)、35…入力部(入力手段)、34…通信部(取得手段)、36…制御部(取得手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機群制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機のヒートポンプとしては、動力源に電動モータを用いた電気ヒートポンプ(以下、EHPともいう)や、ガスエンジンを用いたガスヒートポンプ(以下、GHPともいう)が知られている。EHP式の空気調和機は、イニシャルコストが安価で低負荷運転特性に優れているが、ランニングコストが比較的高いという特性を有する。一方、GHP式の空気調和機は、比較的安価なガスを利用することでランニングコストが安いという特性を有する。また、GHP式の空気調和機での暖房運転は、ガスエンジンから排出される高温の排気ガスなどの排熱を冷媒の加熱源として利用することで、暖房効率を向上することができる。
【0003】
しかしながら、このように多くの利点を有するGHP式の空気調和機であっても、イニシャルコストがやや高く、低負荷運転時の効率が悪いという特性を有する。これは、ガスエンジンは能力割合の低い低速回転時(低負荷運転時)ほどエンジン効率が下がるためで、特に近年の省エネルギーの観点から改善が望まれている。そこで、EHP及びGHP式の空気調和機の特性を補完すべく、これらEHP及びGHP式の空気調和機を組み合わせたものが知られている。
【0004】
例えば特許文献1に記載された総合空調コントローラは、空調負荷の変動に応じてEHP及びGHP式の空気調和機間の空調バランスを決定し、これに基づき各々の空気調和機への制御指令を生成することで、EHP及びGHP式の空気調和機を全体として最適制御する。
【0005】
また、特許文献2に記載された集中コントローラには、メモリに空調負荷(率)を求める変数として、地域ごとの外気温度や業種ごとの想定負荷などを格納されている。そして、顧客により空調使用条件(例えば、地域・業態・床面積・空調時間帯・月別運転日数・目標運転年数・EHP容量・GHP容量等)が入力されることで、制御パターンごとのランニングコストを算出することができる。これにより、顧客は、ランニングコストが最も安い制御パターンを選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−187342号公報
【特許文献2】特開2009−41801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の総合空調コントローラ(集中コントローラ)は、EHP及びGHP式の空気調和機を最適制御することで、例えばランニングコストの低減を図るものである。この場合、効率的な省エネ運転が維持されることで環境性(即ち二酸化炭素(CO2)の排出量抑制)に比較的優れるものの、必ずしもCO2排出量が最小になるように維持されるわけではない。なぜならば、ランニングコストには電気・ガス料金の要素が加わるために料金条件や変動によってはCO2排出量が多い機器(EHP側又はGHP側)で運転した方が結果としてランニングコストが安くなる場合が生じるからである。
【0008】
また、特許文献2の集中コントローラは、入力された顧客情報(地域・業態等)に応じて、運転モードごとに、例えばランニングコストが最も安くなるようにEHP及びGHP式の空気調和機を最適制御するものである。しかしながら、特許文献1と同様、必ずしもCO2排出量が最小になるように維持されるわけではない。
【0009】
本発明の目的は、同一の空間を空調するガスヒートポンプ式の空気調和機及び電気ヒートポンプ式の空気調和機を、空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、二酸化炭素の排出量が最小となるように運転制御することができる空気調和機群制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、同一の空間を空調する電気ヒートポンプ式の第1空気調和機及びガスヒートポンプ式の第2空気調和機を運転制御する空気調和機群制御装置において、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶する記憶手段と、前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段とを備えることを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段により、前記空間全体に必要な空調負荷(例えば負荷率)を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンが導出される。従って、前記空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、前記第1及び第2空気調和機を二酸化炭素排出量の総和が最小となる各々の空調負荷(負荷率)で運転制御することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替える切替手段を備えることを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記記憶手段により、時間帯別(例えば昼間又は夜間)に前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が記憶される。そして、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、前記切替手段により、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替えて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する。従って、電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別で異なる場合にも、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターンは、空調時間帯に合わせて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、電力会社から前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を都度取得して前記記憶手段に記憶される前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を更新する取得手段を備えることを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、前記取得手段により、電力会社から最新の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が取得されて、前記記憶手段に記憶される単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が更新される。従って、例えば電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量に増減があった場合にも、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、これに追従して二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、単位消費電力当たりの料金及び単位ガス消費量当たりの料金をそれぞれ記憶しており、前記単位消費電力当たりの料金及び前記単位ガス消費量当たりの料金に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの料金の総和が最小となる制御パターンを導出するランニングコスト抑制制御パターン導出手段と、顧客の要望を入力する入力手段と、前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、前記選択手段により、前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方が選択される。従って、前記顧客の要望が二酸化炭素排出量の抑制であれば、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンが選択されて、二酸化炭素排出量の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。一方、前記顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制であれば、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンが選択されて、料金の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和機群制御装置において、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の取引価格を加味した料金に基づいて、該料金の総和が最小となる制御パターンを導出することを要旨とする。
【0019】
同構成によれば、前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の排出量取引を考慮した料金の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。そして、前記顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制である場合、二酸化炭素の取引価格を含めた全体の料金の総和が最小となるように前記第1及び第2空気調和機を運転制御することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、前記記憶手段は、電力会社ごと使用電源ごとに単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶するとともに、ガス会社ごとに単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段による制御パターンの導出時に使用する単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を電力会社ごと使用電源ごとに選択するとともに、単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をガス会社ごとに選択する契約内容選択手段を備えることを要旨とする。
【0021】
同構成によれば、前記契約内容選択手段により、顧客が契約する電力会社、使用電源及びガス会社に応じた単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を選択することができる。従って、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、顧客の契約内容に即した単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づいて、より正確に二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、同一の空間を空調するガスヒートポンプ式の空気調和機及び電気ヒートポンプ式の空気調和機を、空間全体に必要な空調負荷を満たしつつ、二酸化炭素の排出量が最小となるように運転制御することができる空気調和機群制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す構成図。
【図2】同実施形態を示す配置図。
【図3】同実施形態の集中コントローラを示す構成図。
【図4】同実施形態のCO2排出係数を示す図。
【図5】同実施形態のCO2排出係数を示す図。
【図6】同実施形態の機種データを示す図。
【図7】同実施形態の機種データを示す図。
【図8】同実施形態の時刻外気温テーブルを示す図。
【図9】同実施形態の月間外気温テーブルを示す図。
【図10】同実施形態の建物使用業態テーブルを示す図。
【図11】同実施形態の電気料金テーブルを示す図。
【図12】同実施形態の月別予測負荷導出テーブルを示す図。
【図13】同実施形態の時間帯別予測負荷導出テーブルを示す図。
【図14】同実施形態の効率テーブルを示すグラフ。
【図15】同実施形態の空調負荷の配分図。
【図16】同実施形態のCO2算出テーブルを示す図。
【図17】同実施形態のランニングコスト算出テーブルを示す図
【図18】同実施形態の顧客情報入力画面を示す図。
【図19】同実施形態の各種データの算出方法を示すフローチャート。
【図20】同実施形態の運転パターンを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
<空気調和装置制御システム>
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置制御システム1の概略構成図である。空気調和装置制御システム1は、電動機(図示せず)を動力源とする第1空気調和機としての電気ヒートポンプ式空気調和機(以下EHP4)と、ガスエンジン(図示せず)を動力源とする第2空気調和機としてのガスヒートポンプ式空気調和機(以下GHP5)との運転制御を行う。なお、この空気調和装置制御システム1に制御されるEHP4とGHP5とは、同一の空間Sを混在して空調している。ここで、EHP4は、EHP室外機41と、それに接続される複数のEHP室内機42とにより構成される。また、GHP5は、GHP室外機51と、それに接続される複数のGHP室内機52とにより構成される。空気調和装置制御システム1は、主に、監視装置2、集中コントローラ3、EHP4、及びGHP5から構成される。
【0025】
なお、この空気調和装置制御システム1において、EHP4とGHP5とは、集中コントローラ3を介して空調ネットワーク10により監視装置2と接続されている。EHP4とGHP5とは、それぞれ監視装置2または集中コントローラ3によって監視される。
【0026】
図2は、EHP室内機42及びGHP室内機52の配置図(平面図)である。同図に示されるように、建造物に設けられる略四角形状の空間Sには、6行8列の行列状に、互いに同数(24台)となるEHP室内機42及びGHP室内機52が交互に配置(いわゆる市松配置)されている。なお、空間Sの窓際(図2の上端部及び下端部)に配置されているEHP室内機42及びGHP室内機52は、ペリメータ・インテリアの空調として利用されている。
【0027】
(1)集中コントローラの概略構成
図3に、集中コントローラ3の概略構成図を示す。集中コントローラ3は、データ処理部31と、記憶手段としてのメモリ32と、表示手段としての表示部(出力部)33と、通信インターフェイス等の通信部34と、入力手段としての入力部35と、制御部36等とによって構成されている。
【0028】
データ処理部31は、メモリ32に記憶される二酸化炭素排出量演算手段及びトータルランニングコスト演算手段としての演算プログラムに従って、メモリ32や通信部34から得られる運転データ処理、表示処理等の各種情報を演算処理して規定の情報を導出し、その情報をメモリ32、表示部33、及び通信部34に送信する。また、データ処理部31は、空調負荷パターン導出手段31aと最適制御パターン導出手段31bと運転時間取得手段31cと空調時間帯導出手段31dとを備えている。ここで、空調負荷パターン導出手段31aは、空調負荷パターンを導出する。最適制御パターン導出手段31bは、時間帯ごと、季節ごと、運転モードごと、顧客要望ごとに最適制御パターンを導出する。運転時間取得手段31cは、EHP4とGHP5との運転時間を運転時間データとして取得する。空調時間帯導出手段31dは、運転時間データから空調時間帯を算出する。
メモリ32には、EHP4及びGHP5の二酸化炭素(CO2)の排出量を算出するために必要なCO2排出係数テーブル32aとEHP4及びGHP5を制御するために必要な各種制御テーブル32bとが記憶されている。なお、本実施形態では、契約する電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別(例えば昼間又は夜間)で異なっており、CO2排出係数テーブル32aには、これに対応して時間帯別のCO2排出係数が記憶されている。さらに、メモリ32には、EHP4及びGHP5などとの通信に必要な位置データ32c、各空気調和装置に関する情報のグルーピングデータ32d及び各種演算プログラム32eなどが記憶されている。
【0029】
表示部33は、メモリ32に記録されているデータに基づいて、データ処理部31からの処理に応じて出力する。
通信部34は、EHP4を制御するEHP制御部43及びGHP5を制御するGHP制御部53と接続されており、EHP4及びGHP5から各種運転データを受信したり、EHP4及びGHP5に各種制御信号を送信したりしている。ここで、EHP制御部43は、EHP室外機41内部に設けられ、EHP4の各種運転制御を行う装置である。また、GHP制御部53は、GHP室外機51内部に設けられ、GHPの各種運転制御を行う装置である。
【0030】
入力部35は、顧客が集中コントローラ3に情報を入力可能な装置(例えばキーボード、マウスなど)であり、EHP4又はGHP5に対して各種設定やその変更などを行うための装置である。
【0031】
制御部36は、メモリ32に記録されている演算プログラムなどにしたがってEHP制御部43またはGHP制御部53を通じてEHP4及びGHP5の制御を行っている。
(2)CO2排出係数テーブル、各種制御テーブル
(CO2排出係数テーブル)
CO2排出係数テーブル32aは、図4及び図5に示されるように、電力会社のCO2排出係数テーブルTe1及び都市ガス会社のCO2排出係数テーブルTg1を有する。CO2排出係数テーブルTe1は、各電力会社(北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、九州電力、沖縄電力)と全電源(火力、水力、及び原子力の全てを含めた発電)及び火力発電におけるCO2排出係数とを関連付けたものである。また、CO2排出係数テーブルTg1は、各ガス会社(東京ガス、東邦ガス、大阪ガス)と単位発熱量及び単位ガス使用量におけるCO2排出係数とを関連付けたものである。なお、電力会社のCO2排出係数は、単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を表すものであり、ガス会社のCO2排出係数は、単位ガス消費量(単位発熱量又は単位ガス使用量)当たりの二酸化炭素排出量を表すものである。
【0032】
一方、各種制御テーブル32bは、図6及び図7に示されるように、EHP4の機種テーブルTe2及びGHP5の機種テーブルTg2を有する。機種テーブルTe2は、EHP室外機41の機種(RXYP730**,RXYP560**,・・・)ごとに、負荷率(定格出力に対する負荷(出力)の割合)と50Hz,60Hzにおける使用条件下での消費電力とを関連付けたものである。機種テーブルTg2は、GHP室外機51の機種(AXGP710E**,AXGP560E**,・・・)ごとに、負荷率と50Hz,60Hzにおける使用条件下での消費電力又は冷房、暖房別のガス消費量とを関連付けたものである。
【0033】
また、各種制御テーブル32bは、地域外気温テーブルT1、建物使用業態テーブルT2、電気料金テーブルT3、ガス料金テーブルT4、月別予測負荷導出テーブルT5、時間帯別予測負荷導出テーブルT6、効率テーブルTec,Tgc、及びCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrを有する。
【0034】
(地域外気温テーブル)
地域外気温テーブルT1には、図8及び図9に示されるように、2種類のテーブルがある。1つは、地域情報としての地域区分と各時間帯別の温度、湿度及びエンタルピとを関連付けた時刻外気温テーブルT1a(図8参照)である。もう1つは、地域区分と月ごとの平均気温、最高気温及び最低気温とを関連付けた月間外気温テーブルT1b(図9参照)である。ここで、時刻外気温テーブルT1aは、さらに夏期(7月〜9月の期間)と冬期(1月〜3月の期間)とに分かれている。なお、ここにいう「地域区分」とは、(日本における)地域を外気温別にレベル1からレベル6までの6段階の外気温レベルに区分けしたもので、最も寒い地域をレベル1とし、最も暖かい地域をレベル6としている。この地域区分は、市区町村単位でレベル分けされている。
【0035】
(建物使用業態テーブル)
建物使用業態テーブルT2は、図10に示されるように、業態情報としての建物の使用業態にかかる部屋の種類と、冷房又は暖房の際のそれぞれの熱負荷を関連付けたものである。なお、ここにいう「建物の使用業態」とは、建物の使用用途をその業態別に分類したものである。例えば、事務所、銀行、デパート、スーパーマーケット、ホテル、飲食店、公民館、図書館、病院、劇場などに分類される。そして、部屋の種類は、例えば事務所がペリメータ、インテリアなどに分類できるとともに、銀行が営業客室、応接室、ロッカー室などに分類でき、更にデパートが1階売場、特売場、売場などに分類できる。また、スーパーマーケットが食料品売場、衣料品売場などに分類できるとともに、ホテルが宴会場、客室(各方角別)などに分類でき、更に飲食店が客室、厨房などに分類できる。さらにまた、公民館がホール、研修室などに分類できるとともに、図書館が閲覧室、司書室などに分類でき、更に病院が病室(各方角別)、診療室などに分類できる。そして、劇場が客席、ロビーなどに分類できる。
【0036】
(電気料金テーブル)
電気料金テーブルT3は、図11に示すように、各地域における電気使用に係る基本使用料及び従量料金をまとめたものである。なお、ここにいう「基本使用料」は電気のエネルギー供給者との間の契約種類に応じて支払う料金である。基本使用料は、1ケ月の契約電力量やその供給電圧(特別高圧、高圧500kW以上、高圧500kW未満など)に応じて変動する。また、「従量料金」は電気の使用量に応じて支払う1kW単位の使用料金であり、期間や時間帯に応じて3種類の従量料金がある。従量料金Aは、重負荷時間(毎年7月1日から9月30日までの期間の毎日午前10時から午後5時までの時間)における従量料金である。従量料金Bは、昼間時間(毎日午前8時から午後10時までの時間であり、重負荷時間及び日曜日、祝日を除く)における従量料金である。従量料金Cは、夜間時間(重負荷時間及び昼間時間を除く時間)における従量料金である。
【0037】
(ガス料金テーブル)
ガス料金テーブルT4は、電気料金テーブルT3と同様に、各地域におけるガス使用に係る基本使用料及び単価をまとめたものである(ここでは図示しない)。ここにいう「基本使用料」はガスのエネルギー供給者との間の契約種類に応じて支払う料金である。基本使用料は、1ケ月の契約使用量に応じて変動する。また、「単価」はガスの使用量に応じて支払う料金であり、1m3単位の使用料金である。
【0038】
(月別予測負荷導出テーブル)
月別予測負荷導出テーブルT5は、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1と建物使用業態テーブルT2とから、地域外気温抽出工程及び月別空調負荷予測工程を経て作成される。なお、この月別予測負荷導出テーブルT5には、図12に示されるように、予め、月フィールド、外気温フィールド、及び予測負荷フィールドが設けられている。ここで、「月フィールド」には、1から12までの数字が予め挿入されており、それぞれ1月から12月までの月を表している。
【0039】
地域外気温抽出工程では、入力部35により入力された顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1から、その地域の熱負荷レベルに基づいた月ごとの外気温データ(月別平均外気温)が抽出され外気温フィールドに挿入される。
【0040】
月別空調負荷予測工程では、入力部35により入力された顧客情報と、地域外気温抽出工程により抽出された月別平均外気温とに基づいて、月ごとの予測空調負荷(月別予測空調負荷)が算出される。月別空調負荷予測工程では、建物使用業態テーブルT2から部屋の種類における最大熱負荷と外気温フィールドに挿入された外気温データとに基づいてその時間帯における単位床面積当たりの空調負荷パターンを算出する。そして、単位床面積当たりの空調負荷パターンと空間の床面積とに基づいてその部屋の月別予測空調負荷を算出している。そして、ここで算出された月別予測空調負荷は、予測負荷フィールドに挿入される。
【0041】
(時間帯別予測負荷導出テーブル)
時間帯別予測負荷導出テーブルT6は、顧客情報入力画面SC1に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、地域外気温テーブルT1と月別予測負荷導出テーブルT5とから、予想気温導出工程、時間帯別予測負荷導出工程及び時間帯別予測能力導出工程を経て作成される。なお、この時間帯別予測負荷導出テーブルT6には、図13に示されるように、予め、空調時間帯フィールド、予想気温フィールド、予測負荷フィールド及び予測能力率フィールドが設けられている。ここで、「空調時間帯フィールド」には、運転時間データに基づく1時間ごとの時間帯が挿入される。例えば、運転時間データで運転時間が8時から20時となっている場合には、8時から20時までの1時間ごとの時間帯が挿入される。
【0042】
予想気温導出工程では、空調時間帯フィールドに挿入されている時間帯に基づいて、地域外気温テーブルT1からその月の外気温データが抽出され予想気温フィールドに挿入される。
【0043】
時間帯別予測負荷導出工程では、月別予測負荷導出テーブルT5の月別予測空調負荷と予想気温導出工程で導出された予想気温とに基づいて空調時間帯ごとの空調負荷(時間帯予測空調負荷)が算出され予測負荷フィールドに挿入される。時間帯予測空調負荷は、月別予測負荷導出テーブルT5における月別予測空調負荷を月間運転日数で除して得られる1日当たりの予測空調負荷(日別予測空調負荷)を、時間帯別の予想気温に基づいて(重み付けして)得られる時間帯別の空調負荷(時間帯別予測負荷)である。
【0044】
時間帯別予測能力率導出工程では、EHP4及びGHP5の容量と、時間帯別予測負荷導出工程で導出された予測負荷とに基づいて空調時間帯ごとの能力率(EHP4及びGHP5全体の定格負荷に対する予測負荷の割合、即ち負荷率)が算出され予測能力率フィールドに挿入される。
【0045】
(効率テーブル)
図14に示されるように、効率テーブルTec,Tgcは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて、該当機種のEHP4及びGHP5の負荷率と成績係数COP(Coefficient Of Performance)とを関連付けたものである。なお、成績係数COPは、EHP4及びGHP5の各々において、冷暖房能力(空調能力)を消費エネルギーで除算することにより求められる無次元の値である。
【0046】
すなわち、EHP4の効率テーブルTecは、顧客情報に基づいて、EHP室外機41の機種テーブルTe2から第1効率導出工程を経て作成される。図14に便宜的にマップで描画しているが、効率テーブルTecには、該当機種のEHP室外機41に対する空調負荷フィールド及び成績係数フィールドがそれぞれ設けられる。ここで、「空調負荷フィールド」には、EHP4の空調負荷(負荷率)が10%単位で予め挿入される。
【0047】
第1効率導出工程では、機種テーブルTe2に基づき、負荷率を消費電力で除算した値に該当のEHP室外機41の定格出力を乗算することで成績係数COPeを求め、これを成績係数フィールドに挿入する。
【0048】
一方、GHP5の効率テーブルTgcは、顧客情報に基づいて、GHP室外機51の機種テーブルTg2から第2効率導出工程を経て作成される。効率テーブルTgcには、該当機種のGHP室外機51に対する空調負荷フィールド及び成績係数フィールドがそれぞれ設けられる。ここで、「空調負荷フィールド」には、GHP5の空調負荷(負荷率)が10%単位で予め挿入される。
【0049】
第2効率導出工程では、機種テーブルTg2に基づき、負荷率をガス消費電量で除算した値に該当のGHP室外機51の定格出力を乗算することで成績係数COPgを求め、これを成績係数フィールドに挿入する。
【0050】
(CO2排出量算出テーブル)
図16に示されるように、CO2排出量算出テーブルTcは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて作成される。具体的には、CO2排出係数テーブルTe1,Tg1と機種テーブルTe2,Tg2とから、GHP分CO2排出量算出工程、EHP分CO2排出量算出工程、CO2排出量計算出工程及びCO2排出価格算出工程を経て作成される。既述のように、本実施形態では、時間帯別で電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が異なっており、従って、CO2排出量算出テーブルTcの作成にあたっては、空調時間帯に対応してCO2排出係数テーブルTe1から抽出する数値を切り替えている(切替手段)。なお、このCO2排出量算出テーブルTcには、予めEHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド、GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド、熱源(電気・ガス)フィールド、GHP分CO2排出量フィールド、EHP分CO2排出量フィールド、CO2排出量計フィールド及びCO2排出価格フィールドが設けられている。
【0051】
ここで、「EHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド」には、負荷率(10〜100%)が10%単位で予め挿入されている。また、「GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド」には、当該負荷率に一致するようにGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率(0〜100%)が10%単位で予め挿入されている。具体的には、例えばEHP4及びGHP5全体の負荷率が100%の場合、GHP5及びEHP4の各々の負荷率は共に100%となる場合のみが存在する。また、EHP4及びGHP5全体の負荷率が90%の場合、GHP5及びEHP4の各々の負荷率は100%・80%、共に90%、80%・100%となる3つの場合が存在する。「熱源フィールド」には電気・ガスが予め挿入されている。
【0052】
GHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTg1の単位ガス消費量当たりのCO2排出量と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51のガス消費量とに基づき該当の負荷率におけるガスに起因するCO2排出量を算出し、これをガスフィールドに対応するGHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、GHP分CO2排出量フィールドに挿入されるガスに起因するCO2排出量は、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率におけるガス消費量に単位ガス消費量当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しGHP5に配分される空調負荷(冷暖房能力)Lgを利用して求めることができる。この場合、GHP分CO2排出量フィールドに挿入されるガスに起因するCO2排出量は、当該空調負荷Lgを成績係数COPgで除算した値に単位ガス消費量当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。
【0053】
加えて、GHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTe1の単位消費電力当たりのCO2排出量と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するCO2排出量を算出し、これを電気フィールドに対応するGHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、GHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率における消費電力に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。なお、GHP室外機51の消費電力は、厳密には負荷率に応じて多少変動するものの、ここでは定格負荷での所定の消費電力に固定されている。従って、GHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量も一定値に固定されている。
【0054】
EHP分CO2排出量算出工程では、CO2排出係数テーブルTe1の単位消費電力当たりのCO2排出量と機種テーブルTe2の該当機種のEHP室外機41の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するCO2排出量を算出し、これを電気フィールドに対応するEHP分CO2排出量フィールドに挿入する。すなわち、EHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、該当機種のEHP室外機41において、該当の負荷率における消費電力に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しEHP4に配分される空調負荷(冷暖房能力)Leを利用して求めることができる。この場合、EHP分CO2排出量フィールドに挿入される電力に起因するCO2排出量は、当該空調負荷Leを成績係数COPeで除算した値に単位消費電力当たりのCO2排出量を乗算することで求められる。
【0055】
CO2排出量計算出工程では、GHP分CO2排出量算出工程で算出されたGHP5の該当の負荷率におけるCO2排出量と、EHP分CO2排出量算出工程で算出されたEHP4の該当の負荷率におけるCO2排出量とを合計してEHP4及びGHP5全体のCO2排出量計を算出し、これをCO2排出量計フィールドに挿入する。
【0056】
CO2排出価格算出工程では、CO2排出量計算出工程で算出されたCO2排出量計に、顧客情報入力画面SC1に入力部35により入力される顧客情報としての単位排出量当たりのCO2排出価格を乗算することでEHP4及びGHP5全体の該当の負荷率におけるCO2排出価格を算出し、これをCO2排出価格フィールドに挿入する。
【0057】
なお、EHP4及びGHP5全体の負荷率に一致するように前述の態様でGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率に対してEHP4及びGHP5全体のCO2排出量計を算出することで、該CO2排出量計が最小となるGHP5及びEHP4に配分される負荷率が導出可能となる。この際、空調時間帯に対応する電力会社の発電方法が考慮されて導出されることはいうまでもない。
【0058】
(ランニングコスト算出テーブル)
ランニングコスト算出テーブルTrは、顧客情報入力画面SC1(図18参照)に入力部35により入力される顧客情報に基づいて作成される。具体的には、電気料金テーブルT3とガス料金テーブルT4と機種テーブルTe2,Tg2とCO2排出価格算出工程で算出されたCO2排出価格とから、GHP分ランニングコスト算出工程、EHP分ランニングコスト算出工程、ランニングコスト計算出工程及びランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程を経て作成される。なお、このランニングコスト算出テーブルTrには、図17に示されるように、予めEHP4及びGHP5全体と各々の負荷率フィールド、熱源(電気・ガス)フィールド、GHP分とEHP分ランニングコストフィールド、ランニングコスト計フィールド及びランニングコスト計(CO2排出価格込)フィールドが設けられている。
【0059】
ここで、「EHP4及びGHP5全体の負荷率フィールド」には、CO2排出量算出テーブルTcと同様、負荷率(10〜100%)が10%単位で予め挿入されている。また、「GHP5及びEHP4の各々の負荷率フィールド」には、当該負荷率に一致するようにGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率(0〜100%)が10%単位で予め挿入されている。「熱源フィールド」には電気・ガスが予め挿入されている。
【0060】
GHP分ランニングコスト算出工程では、ガス料金テーブルT4のガスの単価と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51のガス消費量とに基づき該当の負荷率におけるガスに起因するランニングコストを算出し、これをガスフィールドに対応するGHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、GHP分ランニングコストに挿入されるガスに起因するランニングコストは、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率におけるガス消費量にガスの単価を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しGHP5に配分される空調負荷(冷暖房能力)Lgを利用する場合、GHP分ランニングコストフィールドに挿入されるガスに起因するランニングコストは、当該空調負荷Lgを成績係数COPgで除算した値にガスの単価を乗算することでも求められる。
【0061】
加えて、GHP分ランニングコスト算出工程では、電気料金テーブルT3の従量料金と機種テーブルTg2の該当機種のGHP室外機51の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するランニングコストを算出し、これを電気フィールドに対応するGHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、GHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、該当機種のGHP室外機51において、該当の負荷率における消費電力に従量料金を乗算することで求められる。なお、GHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、CO2排出量と同様、一定値に固定されている。
【0062】
EHP分ランニングコスト算出工程では、電気料金テーブルT3の従量料金と機種テーブルTe2の該当機種のEHP室外機41の消費電力とに基づき該当の負荷率における電力に起因するランニングコストを算出し、これを電気フィールドに対応するEHP分ランニングコストフィールドに挿入する。すなわち、EHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、該当機種のEHP室外機41において、該当の負荷率における消費電力に従量料金を乗算することで求められる。あるいは、負荷率に代えて、図15に示されるように、空間S全体に必要な空調負荷Laに対しEHP4に配分される空調負荷(冷暖房能力)Leを利用する場合、EHP分ランニングコストフィールドに挿入される電力に起因するランニングコストは、当該空調負荷Leを成績係数COPeで除算した値に従量料金を乗算することでも求められる。
【0063】
ランニングコスト計算出工程では、GHP分ランニングコスト算出工程で算出されたGHP5の該当の負荷率におけるランニングコストと、EHP分ランニングコスト算出工程で算出されたEHP4の該当の負荷率におけるランニングコストとを合計する。これによりEHP4及びGHP5全体のランニングコスト計を算出し、これをランニングコスト計フィールドに挿入する。
【0064】
ランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程では、ランニングコスト計算出工程で算出されたランニングコスト計と、CO2排出価格算出工程で算出されたCO2排出価格とを合計してランニングコスト計(CO2排出価格込)を算出し、これをランニングコスト計(CO2排出価格込)フィールドに挿入する。
【0065】
なお、EHP4及びGHP5全体の負荷率に一致するように前述の態様でGHP5及びEHP4に配分される全ての場合の負荷率に対してEHP4及びGHP5全体のランニングコスト計及びランニングコスト計(CO2排出価格込)を算出することで、各々のランニングコスト計が最小となるGHP5及びEHP4に配分される負荷率が導出可能となる。
【0066】
<顧客情報の入力>
本実施形態の空気調和装置制御システム1の導入時に、顧客等は、図18に示すように表示部33に表示される顧客情報入力画面SC1により、入力部35にて顧客情報を予め入力する必要がある。この顧客情報を入力することにより、上述した各テーブルに顧客情報に応じた制御情報が導出されることになる。
【0067】
(1)顧客情報入力画面
図18に示す該当する部屋(空間S)の顧客情報入力画面SC1において、顧客情報の一部である地域情報、業態情報、床面積、空調時間帯、月間運転日数、目標運転年数、EHP機種・容量、GHP機種・容量、CO2排出係数、CO2取引価格、運転モード、電気料金及びガス料金を入力する。
【0068】
すなわち、顧客情報入力画面SC1左側の上部には、地域入力欄EB1が設けられるとともに、該地域入力欄EB1の下側には、業態入力欄EB2が設けられ、更に該業態入力欄EB2の下側には、床面積入力欄EB3が設けられている。また、床面積入力欄EB3の下側には、空調時間帯入力欄EB4a,EB4bが設けられるとともに、該空調時間帯入力欄EB4aの下側には、月間運転日数入力欄EB5が設けられ、更に該月間運転日数入力欄EB5の下側には、目標運転年数入力欄EB6が設けられている。一方、顧客情報入力画面SC1の右側の上部(地域入力欄EB1の右側)には、EHP機種・容量入力欄EB7a及びアドレス入力欄EB7bが設けられるとともに、該EHP機種・容量入力欄EB7a及びアドレス入力欄EB7bの下側には、GHP機種・容量入力欄EB8a及びアドレス入力欄EB8bが設けられている。さらに、GHP機種・容量入力欄EB8a及びアドレス入力欄EB8bの下側には、CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bが設けられるとともに、該CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bの下側には、CO2取引価格入力欄EB10a,EB10bが設けられている。そして、CO2取引価格入力欄EB10aの下側には、運転モード入力欄EB11が設けられるとともに、該運転モード入力欄EB11の下側には、電気料金入力欄EB12a及び契約形態入力欄EB12bが設けられている。また、電気料金入力欄EB12a及び契約形態入力欄EB12bの下側には、ガス料金入力欄EB13a及び契約形態入力欄EB13bが設けられるとともに、ガス料金入力欄EB13aの下側には、OKボタンB11及びクリアボタンB12が設けられている。
【0069】
地域入力欄EB1の右端部には、プルダウンボタンPD1が設けられている。地域入力欄EB1に空調設備を導入する空間が属する建物の地域情報を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD1の操作(例えばクリック操作)によって選択する。本実施形態では、市区町村単位で選択可能となっている。
【0070】
業態入力欄EB2の右端部には、プルダウンボタンPD2が設けられている。業態入力欄EB2に業態情報を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD2の操作によって選択する。
【0071】
床面積入力欄EB3は、テキスト入力欄となっており、ここに床面積情報を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
空調時間帯入力欄EB4a,EB4bは、テキスト入力欄となっており、ここに空調時間帯情報として空調開始時間と空調終了時間とを入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
【0072】
月間運転日数入力欄EB5は、テキスト入力欄となっており、ここに月間運転日数を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
目標運転年数入力欄EB6は、テキスト入力欄となっており、ここに目標運転年数を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値を直に入力する。
【0073】
GHP機種・容量入力欄EB7aの右端部には、プルダウンボタンPD7aが設けられている。GHP機種・容量入力欄EB7aにGHP5(GHP室外機51)の機種及び容量を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD7aの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0074】
アドレス入力欄EB7bの右端部には、プルダウンボタンPD7bが設けられている。アドレス入力欄EB7bに該当する部屋(空間S)の空調に係るGHP室外機51のアドレス(他の部屋の空調に係るGHP室外機51と区別するためのコード)を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD7bの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0075】
EHP機種・容量入力欄EB8aの右端部には、プルダウンボタンPD8aが設けられている。EHP機種・容量入力欄EB8aにEHP4(EHP室外機41)の機種及び容量を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD8aの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0076】
アドレス入力欄EB8bの右端部には、プルダウンボタンPD8bが設けられている。アドレス入力欄EB8bに該当する部屋(空間S)の空調に係るEHP室外機41のアドレス(他の部屋の空調に係るEHP室外機41と区別するためのコード)を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD8bの操作(例えばクリック操作)によって選択する。
【0077】
CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bの右端部には、プルダウンボタンPD9a,PD9bがそれぞれ設けられている。CO2排出係数入力欄EB9a,EB9bに電力会社(使用電源を含む)及びガス会社を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD9a,PD9bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。なお、CO2排出係数入力欄EB9aに電力会社が入力されるのと同時に電気料金入力欄EB12aに該当の電力会社が入力・表示される。同様に、CO2排出係数入力欄EB9bにガス会社が入力されるのと同時にガス料金入力欄EB13aに該当のガス会社が入力・表示される。
【0078】
CO2取引価格入力欄EB10a,EB10bはテキスト入力欄となっており、ここにCO2取引価格(単位排出量当たりのCO2排出価格)等を入力する際には、入力部35(例えばキーボード)で数値等を直に入力する。
【0079】
運転モード入力欄EB11の右端部には、プルダウンボタンPD11が設けられている。運転モード入力欄EB11に運転モードを入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD11の操作(例えばクリック操作)によって選択する(選択手段)。なお、運転モード入力欄EB11において、選択できる運転モードは、CO2排出量最小運転及びランニングコスト最小運転の2つのモードである。
【0080】
契約形態入力欄EB12bの右端部には、プルダウンボタンPD12bが設けられている。契約形態入力欄EB12bに契約形態を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD12bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。
【0081】
契約形態入力欄EB13bの右端部には、プルダウンボタンPD13bが設けられている。契約形態入力欄EB13bに契約形態を入力する際には、入力部35によるプルダウンボタンPD13bの操作(例えばクリック操作)によって選択する(契約内容選択手段)。
【0082】
これらの顧客情報を入力し終えたら、入力部35によりOKボタンB11を操作(例えばクリック操作)する。これにより、メモリ32に上記した顧客情報が格納される。そして、顧客情報及び各種テーブル等に基づき、演算プログラム32eに従って演算等が開始される。なお、入力部35によりクリアボタンB12を操作(例えばクリック操作)すると入力した各顧客情報をクリアできる。
【0083】
図19は、データ処理部31によるCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成態様(CO2排出量計算出工程、CO2排出価格算出工程、ランニングコスト計算出工程、ランニングコスト計(CO2排出価格込)算出工程等)を示すフローチャートである。なお、CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成にあたっては、負荷率に代えて、空間S全体に必要な空調負荷La及び該空調負荷Laに対しGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg,Le(図15参照)を利用するものとする。この場合であっても、空調負荷LaはEHP4及びGHP5全体の負荷率に相関することから、空調負荷Laに対応する空調負荷Lg,Leの場合分けの個数NもGHP5及びEHP4の各々の負荷率の場合分けの個数(図16及び図17参照)に一致する。
【0084】
例えば空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の100%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが共に100%の負荷率に相当する場合のみ(N=1、図16及び図17参照)である。また、空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の90%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが100%・80%、共に90%、80%・100%の負荷率に相当する3つの場合(N=3、図16及び図17参照)である。さらに、空調負荷LaがEHP4及びGHP5全体の80%の負荷率に相当する場合、空調負荷Lg,Leはこれら空調負荷Lg,Leが100%・60%、90%・70%、共に80%、70%・90%、80%・100%の負荷率に相当する5つの場合(N=5、図16及び図17参照)である。データ処理部31は、空調負荷Laに対しGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg,Leの全ての場合(i=1〜N)について、CO2排出量計及びランニングコスト計等を算出する。
【0085】
すなわち、このルーチンがスタートすると、メモリ32から顧客情報が読み込まれる(S1)。
次に、このときの空調負荷Laに対応してGHP5及びEHP4に配分される空調負荷Lg(i),Le(i)に基づいて、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)が算出される(S2)。すなわち、消費ガス量Pgg(i)は、空調負荷Lg(i)をこれに対応する成績係数COPg(i)(図14参照)で減算することで求められる。消費電力量Pge(i)は、厳密には空調負荷Lg(i)に応じて多少変動するものの、ここでは定格負荷での所定の消費電力量kに固定されている。消費電力量Pe(i)は、空調負荷Le(i)をこれに対応する成績係数COPe(i)(図14参照)で減算することで求められる。
【0086】
次に、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)に基づいて、エネルギーコストが算出される(S3)。すなわち、GHP5のガスに起因するランニングコストMgg(i)は、消費ガス量Pgg(i)に該当のガス会社のガス単価を乗算することで算出される。GHP5の電力に起因するランニングコストMge(i)は、消費電力量Pge(i)に該当の電力会社の電力単価(従量料金)を乗算することで算出される。EHP4のランニングコストMe(i)は、消費電力量Pe(i)に該当の電力会社の電力単価を乗算することで算出される。また、EHP4及びGHP5全体のランニングコストの合計Ma(i)は、ランニングコストMgg(i),Mge(i),Me(i)の和で算出される。
【0087】
続いて、GHP5の消費ガス量Pgg(i)及び消費電力量Pge(i)、並びにEHP4の消費電力量Pe(i)に基づいて、CO2排出量が算出される(S4)。すなわち、GHP5のガスに起因するCO2排出量Cgg(i)は、消費ガス量Pgg(i)に該当のガス会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。GHP5の電力に起因するCO2排出量Cge(i)は、消費電力量Pge(i)に該当の電力会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。EHP4のCO2排出量Ce(i)は、消費電力量Peに該当の電力会社のCO2排出係数を乗算することで算出される。そして、CO2排出量の合計Ca(i)は、CO2排出量Cgg(i),Cge(i),Ce(i)の和で算出される。
【0088】
次に、CO2排出量の合計Ca(i)に基づいて、CO2取引金額が算出される(S5)。すなわち、CO2取引金額Da(i)は、CO2排出量の合計Ca(i)に顧客情報としてのCO2取引価格(図18参照)を乗算することで求められる。
【0089】
また、エネルギーコストの合計Ma(i)とCO2取引金額Da(i)との和によって、トータルランニングコストTa(i)が算出される(S6)。
そして、該当の空調負荷Laに対応して配分された空調負荷Lg(i),Le(i)におけるS1〜S7の算出結果がCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTr(図16及び図17参照)の対応するフィールドに挿入される(S7)。
【0090】
続いて、演算が終了したか否かが判断される(S8)。具体的には、該当の空調負荷Laに対応して配分される空調負荷Lg(i),Le(i)の全ての場合(i=1〜N)についてS1〜S7の処理が完了したか否かが判断される。そして、空調負荷Lg(i),Le(i)の全ての場合についてS1〜S7の処理が完了していなければS2に戻って同様の処理が繰り返され、完了していればその後の処理を終了する。
【0091】
なお、図19に示す処理は、特定の空調負荷Laに対してCO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrを作成するものである。従って、このような処理を10〜100%(10%単位)の負荷率に相当する全ての空調負荷Laについて実行することで、CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成が完了する。
【0092】
CO2排出量算出テーブルTc及びランニングコスト算出テーブルTrの作成が完了すると、特定の空調負荷Laに対してCO2排出量の合計Ca(i)が最小となる空調負荷Lg(i),Le(i)や、ランニングコストの合計Ma(i)又はTa(i)が最小となる空調負荷Lg(i),Le(i)が導出可能となる。このような空調負荷Lg(i),Le(i)の導出、即ちEHP4及びGHP5の制御パターンの導出は、データ処理部31内の最適制御パターン導出手段31bにおいて行われる(二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段、ランニングコスト抑制制御パターン導出手段)。
【0093】
制御部36は、顧客情報入力画面SC1の運転モード入力欄EB11に入力された顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)に対応する最適制御パターン導出手段31bで導出された制御パターンを通信部34を経てEHP制御部43及びGHP制御部53に伝達する。EHP制御部43及びGHP制御部53は、伝達された制御パターンに従ってEHP室外機41及びGHP室外機51をそれぞれ運転制御する。これにより、CO2排出量を最小に抑制しつつ空間Sが空調され、あるいはランニングコストを最小に抑制しつつ空間Sが空調される。
【0094】
図20は、CO2排出量最小運転モードが選択されているときのEHP4及びGHP5の最適制御パターンの一例を示すグラフである。同図に示されるように、空調負荷が大きい場合には、EHP4及びGHP5の協働運転となる。そして、空調負荷が小さくなるにつれ、EHP4の空調出力を維持したままGHP5の空調出力が低下する。そして、空調負荷が更に小さくなると、EHP4の単独運転となる。そして、EHP4の単独運転以降は、空調負荷が小さくなるにつれて、EHP4の空調出力が低下する。
【0095】
なお、顧客等は、EHP4及びGHP5の運転中に、表示部33により、CO2排出量やランニングコスト等を確認可能となっている。これにより、顧客等は、状況に応じて運転モードを変更することができる。
【0096】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、データ処理部31内に設けられる最適制御パターン導出手段31bにより、空間S全体に必要な空調負荷(例えば負荷率)をEHP4及びGHP5に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンが導出される。従って、空間S全体に必要な空調負荷を満たすとともに、顧客等の快適性を維持し、更に成り行き運転や他に着目した運転パターン(例えば、ランニングコスト低減運転など)に比べて、EHP4及びGHP5を二酸化炭素排出量の総和が最小となる各々の空調負荷(負荷率)で運転制御することができる。
【0097】
(2)本実施形態では、CO2排出係数テーブル32aにより、時間帯別(例えば昼間又は夜間)に単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が記憶されている。そして、最適制御パターン導出手段31bは、空調時間帯に基づきCO2排出係数テーブル32aに記憶された時間帯別の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替えて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する。従って、電力会社の発電方法(発電エネルギー源)が時間帯別で異なる場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、空調時間帯に合わせて二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0098】
(3)本実施形態では、制御部36により、電力会社から最新の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が取得されて、CO2排出係数テーブル32aに記憶される単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量が更新される。従って、例えば電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在の単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量に増減があった場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、これに追従して二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
(4)本実施形態では、顧客情報入力画面SC1に設けられた運転モード入力欄EB11により、顧客の要望に基づいて、最適制御パターン導出手段31bによって導出された二酸化炭素排出量抑制制御パターン及びランニングコスト抑制制御パターンのいずれか一方が選択される。従って、顧客の要望が二酸化炭素排出量の抑制であれば、二酸化炭素排出量の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。一方、顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制であれば、料金の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。
【0099】
(5)本実施形態では、最適制御パターン導出手段31bは、二酸化炭素の排出量取引を考慮した料金の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。そして、顧客の要望がランニングコスト(料金)の抑制である場合、二酸化炭素の取引価格を含めた全体の料金の総和が最小となるようにEHP4及びGHP5を運転制御することができる。
【0100】
(6)本実施形態では、CO2排出係数入力欄EB9a,EB9b、契約形態入力欄EB12b,EB13bにより、顧客が契約する電力会社、使用電源及びガス会社に応じた単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を選択することができる。従って、最適制御パターン導出手段31bは、顧客の契約内容に即した単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づいて、より正確に二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0101】
(7)本実施形態では、顧客要望により、CO2取引単価を加味したトータルランニングコストが最小となる運転パターンを選択することができる。また、CO2排出係数、国の環境規制、顧客の優先順位(経済性or環境性)が変わった場合であっても、運転パターンを適宜選択・変更することができる。
【0102】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)に対応する最適制御パターン導出手段31bで導出された制御パターン(即ちCO2排出量算出テーブルTc又はランニングコスト算出テーブルTrから導出された制御パターン)に基づいてEHP4及びGHP5を運転制御するようにした。これに対し、実際の外気温度や室内吸込温度、設定温度から負荷率を判断し、顧客要望としての運転パターン(CO2排出量最小又はランニングコスト最小)が常に維持されるようにEHP4及びGHP5を運転制御するようにしてもよい。また、EHP室外機41及びGHP室外機51の負荷率の制御は、10%未満の単位で制御可能であってもよい。
【0103】
・前記実施形態において、CO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)は、制御テーブル32bに含めてもよい。
・前記実施形態において、CO2排出係数テーブル32a(Te1,Tg1)には、他の電力会社及びガス会社の情報が記憶されていてもよい。
【0104】
・前記実施形態において、運転モード入力欄EB11には、CO2排出量最小及びトータルランニングコスト最小の2モードの選択肢しかなかったが、他の選択肢を設けてもよい。例えば、電力デマンド制限モード、GHP運転時間制限モード、従量料金制限モード、あるいはこれらの任意の組合せモード等の選択肢を設けてもよい。
【0105】
・前記実施形態において、契約する電力会社の発電方法(発電エネルギー源)がリアルタイムに変更されて現在のCO2排出係数が都度変動する場合には、例えば制御部36により、通信部34及び適宜の電気通信回線(図示略)を通じて電力会社と通信することで、当該CO2排出係数を都度取得してCO2排出係数テーブル32aを更新するようにしてもよい(取得手段)。この場合、例えば電力会社の発電方法がリアルタイムに変更されて現在のCO2排出係数に増減があった場合にも、最適制御パターン導出手段31bは、これに追従してCO2排出量の総和が最小となる制御パターンを導出することができる。
【0106】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
・請求項2又は3に記載の空気調和機群制御装置において、
二酸化炭素排出量及びトータルランニングコストを表示する表示手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【0107】
同構成によれば、顧客は、前記表示手段によって前記第1及び第2空気調和装置の運転中のCO2排出量及びトータルランニングコストを確認することができる。
【符号の説明】
【0108】
EB9a,EB9b…CO2排出係数入力欄(契約内容選択手段)、EB12b,EB13b…契約形態入力欄(契約内容選択手段)、EB11…運転モード入力欄(選択手段)、S…空間、SC1…顧客入力画面、Te1,Tg1,32b…CO2排出係数テーブル、Te2,Tg2…機種テーブル、1…空気調和装置制御システム、3…集中コントローラ、4…EHP(第1空気調和機)、5…GHP(第2空気調和機)、31…データ処理部、31b…最適制御パターン導出手段(二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段、ランニングコスト抑制制御パターン導出手段、切替手段)、32…メモリ(記憶手段)、32a…CO2排出係数テーブル、32e…演算プログラム(二酸化炭素排出量演算手段、トータルランニングコスト演算手段)、33…表示部(表示手段)、35…入力部(入力手段)、34…通信部(取得手段)、36…制御部(取得手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の空間を空調する電気ヒートポンプ式の第1空気調和機及びガスヒートポンプ式の第2空気調和機を運転制御する空気調和機群制御装置において、
単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段とを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、
前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替える切替手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
電力会社から前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を都度取得して前記記憶手段に記憶される前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を更新する取得手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、単位消費電力当たりの料金及び単位ガス消費量当たりの料金をそれぞれ記憶しており、
前記単位消費電力当たりの料金及び前記単位ガス消費量当たりの料金に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの料金の総和が最小となる制御パターンを導出するランニングコスト抑制制御パターン導出手段と、
顧客の要望を入力する入力手段と、
前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気調和機群制御装置において、
前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の取引価格を加味した料金に基づいて、該料金の総和が最小となる制御パターンを導出することを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、電力会社ごと使用電源ごとに単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶するとともに、ガス会社ごとに単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、
前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段による制御パターンの導出時に使用する単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を電力会社ごと使用電源ごとに選択するとともに、単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をガス会社ごとに選択する契約内容選択手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項1】
同一の空間を空調する電気ヒートポンプ式の第1空気調和機及びガスヒートポンプ式の第2空気調和機を運転制御する空気調和機群制御装置において、
単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をそれぞれ記憶する記憶手段と、
前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量及び前記単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの二酸化炭素排出量の総和が最小となる制御パターンを導出する二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段とを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、
前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段は、空調時間帯に基づき前記記憶手段に記憶された時間帯別の前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を切り替える切替手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の空気調和機群制御装置において、
電力会社から前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を都度取得して前記記憶手段に記憶される前記単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を更新する取得手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、単位消費電力当たりの料金及び単位ガス消費量当たりの料金をそれぞれ記憶しており、
前記単位消費電力当たりの料金及び前記単位ガス消費量当たりの料金に基づき、前記空間全体に必要な空調負荷を前記第1及び第2空気調和機に配分したときの料金の総和が最小となる制御パターンを導出するランニングコスト抑制制御パターン導出手段と、
顧客の要望を入力する入力手段と、
前記顧客の要望に基づいて、前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターン及び前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段に導出された制御パターンのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空気調和機群制御装置において、
前記ランニングコスト抑制制御パターン導出手段は、二酸化炭素の取引価格を加味した料金に基づいて、該料金の総和が最小となる制御パターンを導出することを特徴とする空気調和機群制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の空気調和機群制御装置において、
前記記憶手段は、電力会社ごと使用電源ごとに単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を記憶するとともに、ガス会社ごとに単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量を記憶しており、
前記二酸化炭素排出量抑制制御パターン導出手段による制御パターンの導出時に使用する単位消費電力当たりの二酸化炭素排出量を電力会社ごと使用電源ごとに選択するとともに、単位ガス消費量当たりの二酸化炭素排出量をガス会社ごとに選択する契約内容選択手段を備えることを特徴とする空気調和機群制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−7834(P2012−7834A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145278(P2010−145278)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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