説明

端末装置及びプログラム

【課題】周囲温度の変化に応じて表示速度が変化したとしても、タッチ操作を表示速度に追従できるようにする。
【解決手段】制御部1は、温度測定部10により測定された温度に応じて変化する表示部7の表示速度に連動するように、タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御する(例えば、タッチ感度を変更する)。これによって周囲温度が変化に応じて表示部7の表示速度が変化したとしても、タッチ操作を表示部7の表示速度に追従させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ操作を検出してそのタッチ入力に応じた表示を行う端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、指などで接触することによってコマンドやデータを入力するタッチパネルを備えた端末装置(例えば、デジタルカメラや携帯電話機)において、静電容量式や抵抗皮膜式のタッチパネルの感度は、周囲温度に依存することはないが、タッチパネルとセットになっている表示パネル、例えば、液晶表示パネルなどでは周囲温度が下がって低温になると、液晶の応答速度が低下し、表示切替の速度が遅くなって残像が発生するようになる。その結果、低温下においても常温と同じ速度でタッチパネルが操作されると、そのタッチ操作の速さに表示パネル側の応答速度が追随することができなくなり、正常なタッチ操作であるにも関わらず、ユーザがその操作状況を確認することが困難になるという問題があった。
【0003】
このような低温による表示速度の影響に対して、従来では、周囲の温度と明るさの変化に応じて、表示装置の輝度、コントラストを調整するようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−60080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の先行技術を、タッチパネルを備えた端末装置に適用したものとすると、
コントラストを温度に応じて変更することにより残像を軽減することができるようになるが、低温下で常温と同じ速度でタッチパネルが操作された場合、タッチ操作と表示速度の差から生じる違和感を解消することはできない。
【0006】
本発明の課題は、周囲温度の変化に応じて表示速度が変化したとしても、タッチ操作を表示速度に追従できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、
タッチ操作を感知してタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行うタッチ入力手段と、該タッチ入力手段により入力されたデータに応じた表示を行う表示手段とを備えた端末装置であって、
当該端末装置の周辺温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された温度に応じて変化する前記表示手段の表示速度に連動するように、前記タッチ入力手段によるタッチ入力処理を制御するタッチ制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に従属する発明として、
前記タッチ制御手段は、前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ入力手段のタッチ感度を制御する、
ようにしたことを特徴とする、請求項2記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、
前記タッチ制御手段は、前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ操作を感知してからそのタッチ操作に応じたデータを入力するまでのタッチ入力処理の時間を制御する、
ようにしたことを特徴とする、請求項3記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項3に従属する発明として、
前記タッチ入力処理の時間は、前記タッチ入力手段を構成するタッチセンサの出力値を計測するスキャン時間、前記タッチセンサの出力値に基づいてタッチ操作位置を特定する演算時間、前記タッチ操作位置に応じたデータの転送後における待機時間のうち、少なくともいずれかの時間であり、
前記タッチ制御手段は、前記スキャン時間、前記演算時間、前記待機時間のうち、少なくともいずれかの時間を変更することによりタッチ入力処理の時間を変更する、
ようにしたことを特徴とする、請求項4記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1〜4のいずれかに従属する発明として、
前記タッチ制御手段は、タッチ操作が行われる毎に、前記測定手段により測定された温度に応じて前記タッチ入力手段によるタッチ入力処理を制御する、
ようにしたことを特徴とする、請求項5記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1〜5のいずれかに従属する発明として、
前記測定手段により測定された温度に応じて、前記表示手段による表示画質を制御する表示制御手段を更に備え、
前記タッチ制御手段による制御及び前記表示制御手段による制御をそれぞれ行う、
ようにしたことを特徴とする、請求項6記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1〜6のいずれかに従属する発明として、
前記タッチ制御手段により前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ入力手段のタッチ感度を制御するか、前記タッチ操作を感知してからそのタッチ操作に応じたデータを入力するまでのタッチ入力処理の時間を制御するかを任意に選択する選択手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする、請求項7記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1に従属する発明として、
前記タッチ入力手段は、前記表示手段上に積層配設する、
ようにしたことを特徴とする、請求項8記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1に従属する発明として、
前記タッチ入力手段によるタッチ操作の検出を報知する報知手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする、請求項9記載の発明であってもよい。
【0016】
また、上述した課題を解決するために請求項10記載の発明は、
コンピュータに対して、
タッチ操作を感知してタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行う機能と、
入力されたデータに応じた表示を行う機能と、
周辺温度を測定する機能と、
前記測定された温度に応じて変化する前記表示速度に連動するように前記タッチ入力処理を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、周囲温度の変化に応じて表示速度が変化したとしても、タッチ操作と表示速度との差から生じる違和感を解消し、表示速度の変化に影響されない快適なタッチ操作を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】端末装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】カメラの外観図で、温度測定部10がタッチ入力部6の近傍に配設されている状態を示した図。
【図3】タッチ感度テーブルTB1を説明するための図。
【図4】第1実施形態において、タッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャート。
【図5】第2実施形態において、処理時間テーブルTB2を説明するための図。
【図6】第2実施形態において、タッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャート。
【図7】第3実施形態において、表示画質テーブルTB3を説明するための図。
【図8】第3実施形態において、タッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャート。
【図9】実施形態の変形例を示した携帯端末装置の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、端末装置として適用したデジタルカメラの基本的な構成要素を示したブロック図である。
このデジタルカメラ(撮像装置)は、例えば、コンパクトカメラで、タッチ操作による入力が可能なタッチ入力機能を有し、制御部1を中核としている。制御部1は、電源部(二次電池)2からの電力供給によって動作し、記憶部3内の各種のプログラムに応じてこのデジタルカメラ(以下、カメラと略称する)の全体動作を制御するもので、この制御部1には図示しないCPU(中央演算処理装置)やメモリなどが設けられている。
【0020】
記憶部3は、例えば、ROM、フラッシュメモリなどを有する構成で、後述する図4に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどが格納されているプログラム記憶部M1と、撮像済み画像(静止画像)をフォルダ単位などに分類して記憶保存する画像記憶部M2と、後述するタッチ感度テーブルTB1、処理時間テーブルTB2、表示画質テーブルTB3を有するほか、このカメラが動作するために必要となる各種の情報(例えば、フラグ、タイマなど)を一時的に記憶するワーク領域を有する構成となっている。なお、記憶部3は、例えば、SDカード、ICカードなど、着脱自在な可搬型メモリ(記録メディア)を含む構成であってもよく、図示しないが、通信機能を介してネットワークに接続された状態においては所定の外部サーバ側の記憶領域を含むものであってもよい。
【0021】
操作部4は、図示省略したが、静止画撮影操作、撮影条件の設定操作、撮影済み画像の再生を指示する再生操作などを行う押しボタン式の各種のキーを備えたもので、制御部1は、この操作部4からの入力操作信号に応じた処理として、例えば、撮影処理、撮影条件の設定、再生処理、データ入力処理などを行う。撮像部5は、光学レンズからの被写体像が撮像素子(CCDやCMOSなど)に結像されることにより被写体を高精細に静止画撮影することが可能なカメラ部を構成する。
【0022】
タッチ入力部6は、表示部7とタッチセンサ8とを有し、指などでのタッチ操作を感知してそのタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行うもので、タッチ操作の感知からタッチ位置に応じた座標データを入力するまでの各処理をタッチ入力処理として行うようにしている。すなわち、タッチ入力部6は、図示省略したが、タッチ操作を感知するタッチ感知部、タッチセンサ8の出力値に基づいてタッチ操作位置を求める演算部、このタッチ操作位置に応じた座標データを制御部1に転送するデータ転送部などによってタッチ入力処理を行うようにしている。なお、タッチセンサ8としては、静電容量方式、抵抗皮膜方式、電磁誘導方式、圧電方式などの各種方式のうち、軽量化、光透過性、耐久性などに優れた静電容量方式を採用するようにしているが、その他の方式を採用するようにしてもよい。
【0023】
タッチ入力部6を構成する表示部7は、例えば、縦横比(横4:縦3)の異なる画面を有した高精細な液晶ディスプレイで、ソフトウェアキーとしての機能名を表示するほか、撮像された画像(スルー画像:ライブビュー画像)を表示するファインダ画面(モニタ画面)として機能したり、保存済み画像を表示する再生画面として機能したりする。また、タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8は、静電容量の変化によりタッチ面にタッチ(接近又は接触)操作されたことを感知するもので、表示部7の表示面全体には、透明なタッチセンサ8が積層配設されている。
【0024】
タッチ報知部9は、タッチセンサ8にタッチ操作されたことを報知するもので、例えば、LED(発光ダイオード)、スピーカなどを駆動するようにしている。温度測定部10は、カメラの周辺温度を測定するもので、例えば、温度を感知してその電気抵抗が変化(温度上昇と共に抵抗値が減少)するセラミック半導体(サーミスタ)によって構成され、図2に示すようにタッチ入力部6(表示部7)の近傍に配設されている。制御部1は、カメラの周辺温度の変化により表示部7の液晶の応答速度が低下して、表示切替の速度(表示速度)が遅くなった場合に、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度に応じて変化した表示部7の表示速度に連動するようにタッチ入力部6のタッチ感度を制御するようにしている。
【0025】
すなわち、タッチ入力部6によるタッチ入力処理、つまり、タッチ操作の感知からタッチ位置に応じた座標データを入力するまでの各処理のうち、最初の段階(タッチ操作を感知する段階)でタッチセンサ8のタッチ感度を制御するようにしている。この場合、静電容量の変化に基づいてタッチ操作の有無を判定する際の閾値レベルを調整することでタッチセンサ8のタッチ感度を制御(変更)するようにしている。なお、タッチ感度を下げた場合には、それだけタッチ時間を長くする必要がある。
【0026】
図3は、タッチ感度テーブルTB1を説明するための図である。
タッチ感度テーブルTB1は、周辺温度に応じてタッチ感度を制御するためのテーブル、つまり、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度に応じて変化した表示部7の表示速度に連動するようにタッチ入力部6のタッチ感度を制御するためのテーブルで、「温度」、「タッチ感度」の項目を有している。図中、“T1〜T4”は、温度を示し、T1<T2<T3<T4の関係にある。「温度」は、常温範囲の温度“T2〜T3”と、常温範囲の温度に対してマイナス方向の温度範囲“T1〜T2”、“T1未満”と、プラス方向の温度範囲“T3〜T4”、“T4越”に区分されている。
【0027】
図中、“s1〜s5”は、タッチ感度を示し、s1<s2<s3<s4<s5の関係にある。「タッチ感度」には、常温範囲の温度“T2〜T3”に対応して“s3(デフォルト)”が記憶され、温度“T1〜T2”に対応して“s2”が記憶され、温度“T1未満”に対応して“s1”が記憶されている。また、「タッチ感度」には、温度“T3〜T4”に対応して“s4”が記憶され、温度“T4越”に対応して“s5”が記憶されている。このタッチ感度テーブルTB1の内容は、ユーザ操作により任意に設定されたもので、必要に応じて変更可能となっている。なお、カメラの電源を投入した際には「タッチ感度」として、“s3(デフォルト)”が設定される。
【0028】
次に、第1実施形態におけるカメラの動作概念を図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、このフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードに従った動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0029】
図4は、タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャートである。なお、図4は、カメラの全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図4のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御部1は、タッチ操作が行われると、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度を取得して(ステップA1)、タッチ感度テーブルTB1を参照し(ステップA2)、この測定温度(周辺温度)に該当する「タッチ感度」をタッチ感度テーブルTB1から読み出して、タッチセンサ8のタッチ感度を変更する処理を行う(ステップA3)。
【0030】
ここで、タッチセンサ8のタッチ感度は、カメラの電源を投入した際にデフォルト値“s3”に設定されており、タッチ操作時の測定温度が常温範囲の温度“T2〜T3”から外れたときには、タッチ感度をデフォルト値“s3”から測定温度に対応した値に変更する。すなわち、測定温度が“T1〜T2”又は“T1未満”であれば、タッチ感度を“s2”又は“s1”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が低くなれば、タッチ感度を下げる制御を行い、測定温度が“T3〜T4”又は“T4越”であれば、タッチ感度を“s4”又は“s5”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が高くなれば、タッチ感度を上げる制御を行うことにより、タッチ感度を表示部7の表示速度に追従(連動)させる。
【0031】
このようにしてタッチ感度を変更した後は、タッチ操作に応じた処理(例えば、タッチ操作されたソフトウェアキーに応じた処理)を行う(ステップA4)。そして、タッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知する処理を行った後(ステップA5)、図4のフローから抜ける。以下、タッチ操作が行われる毎に上述の動作が繰り返される。その結果、タッチ操作される毎に温度測定部10により測定された温度に基づいてタッチセンサ8のタッチ感度を調整する処理が行われる。
【0032】
以上のように、第1実施形態において制御部1は、温度測定部10により測定された温度に応じて変化する表示部7の表示速度に連動するように、タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御するようにしたので、周囲温度の変化に応じて表示部7の表示速度が変化したとしても、タッチ操作を表示部7の表示速度に追従させることができ、タッチ操作と表示速度との差から生じる違和感を解消し、表示速度の変化に影響されない快適なタッチ操作を実現することが可能となる。
【0033】
タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御する場合に、タッチセンサ8のタッチ感度を制御するようにしたので、温度測定部10により測定された温度が低ければ、タッチ感度を下げるだけで、表示速度の変化に追従させることができる。
【0034】
タッチ操作が行われる毎に測定温度に応じてタッチ感度を変更するようにしたので、タッチ感度をタッチ操作毎に制御することができ、その制御が適切なものとなる。
【0035】
タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8は、表示部7の表示面全体に積層配設するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなったとしても、ユーザにあってはタッチ操作を違和感無く行うことができる。
【0036】
タッチ操作時にタッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなったとしても、ユーザにあっては違和感の無いタッチ操作が可能である旨を知ることができる。
【0037】
なお、上述した第1実施形態においては、静電容量方式のタッチセンサ8であるため、低温時にタッチ感度を下げることにより常温時に比べてタッチ時間を長くしなければ反応しないようにしたが、抵抗皮膜方式のタッチセンサ8にあっては、タッチ感度を下げることにより常温時に比べて押圧を強くしなければ反応しないようにしてもよい。
【0038】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図5及び図6を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御する場合に、タッチセンサ8のタッチ感度を制御するようにしたが、この第2実施形態においては、タッチ入力部6によるタッチ入力処理の時間(タッチ処理時間)を制御するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0039】
図5は、記憶部3内のタッチ感度テーブルTB1に代わる処理時間テーブルTB2を説明するための図である。
図5(1)は、処理時間テーブルTB2の構成を示した図である。この処理時間テーブルTB2は、周辺温度に応じてタッチ入力処理の時間を制御するテーブル、つまり、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度に応じて変化した表示部7の表示速度に連動するようにタッチ入力部6によるタッチ入力処理の時間(タッチ処理時間)を制御するためのテーブルで、「温度」、「タッチ処理時間」の項目を有している。図中、“T1〜T4”は、第1実施形態と同様に、温度を示し、T1<T2<T3<T4の関係にある。
【0040】
図中、“t1〜t5”は、タッチ処理時間を示し、t1>t2>t3>t4>t5の関係にある。「タッチ処理時間」には、常温範囲の温度“T2〜T3”に対応して“t3(デフォルト)”が記憶され、温度“T1〜T2”に対応して“t2”が記憶され、温度T1未満”に対応して“t1”が記憶されている。また、「タッチ処理時間」には、温度“T3〜T4”に対応して“t4”が記憶され、温度“T4越”に対応して“t5”が記憶されている。このタッチ処理時間テーブルTB2の内容は、ユーザ操作により任意に設定されたもので、必要に応じて変更可能となっている。なお、カメラの電源を投入した際には「タッチ処理時間」として、“t3(デフォルト)”が設定される。
【0041】
図5(2)〜(4)は、タッチ処理時間の具体例を示したもので、タッチ処理時間は、“スキャン時間”、“演算時間”、“データ転送時間”、“wait時間”の合計時間である。“スキャン時間”は、タッチセンサ8の出力値を計測するスキャン時間であり、“演算時間”は、タッチセンサ8の出力値に基づいてタッチ操作位置を特定する演算時間である。“データ転送時間”は、タッチ操作位置に応じた座標データを制御部1に転送するに要するデータ転送時間であり、“wait時間”は、次のタッチ操作を感知するために必要な準備時間(待ち時間)である。
【0042】
第2実施形態においては、タッチ処理時間を構成する“スキャン時間”、“演算時間”、“データ転送時間”、“wait時間”のうち、“スキャン時間”、“演算時間”、“wait時間”のいずれか一つを変更することにより全体のタッチ処理時間を変更するようにしている。図5(2)は、“wait時間”を延ばすことによりタッチ処理時間を変更した場合を示している。図5(3)は、“スキャン時間”を延ばすことによりタッチ処理時間を変更した場合を示している。図5(4)は、“演算時間”を延ばすことによりタッチ処理時間を変更した場合を示している。なお、図5(2)〜(4)のいずれを使用してタッチ処理時間を変更するかは、ユーザ操作により任意に設定可能としている。
【0043】
図6は、第2実施形態においてタッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャートである。なお、図6は、カメラの全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図6のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御部1は、タッチ操作が行われると、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度を取得して(ステップB1)、処理時間テーブルTB2を参照し(ステップB2)、この測定温度(周辺温度)に該当する「タッチ処理時間」を処理時間テーブルTB2から読み出して、タッチ処理時間を変更する処理を行う(ステップB3)。
【0044】
ここで、タッチ処理時間は、カメラの電源を投入した際にデフォルト値“t3”に設定されており、タッチ操作時の測定温度が常温範囲の温度“T2〜T3”から外れたときには、タッチ処理時間をデフォルト値“s3”から測定温度に対応した値に変更する。すなわち、測定温度が“T1〜T2”又は“T1未満”であれば、タッチ処理時間を“t2”又は“t1”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が低くなれば、タッチ処理時間を長くする制御を行い、測定温度が“T3〜T4”又は“T4越”であれば、タッチ処理時間を“t4”又は“t5”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が高くなれば、タッチ処理時間を短くする制御を行うことにより、タッチ処理時間を表示部7の表示速度に追従(連動)させる。
【0045】
このようにしてタッチ処理時間を変更する処理を行った後は、タッチ操作に応じた処理(例えば、タッチ操作されたソフトウェアキーに応じた処理)を行う(ステップB4)。そして、タッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知する処理を行った後(ステップB5)、図6のフローから抜ける。以下、タッチ操作が行われる毎に上述の動作が繰り返される。その結果、タッチ操作される毎に温度測定部10により測定された温度に基づいてタッチ処理時間を調整する処理が行われる。
【0046】
以上のように、第2実施形態において制御部1は、温度測定部10により測定された温度に応じて変化する表示部7の表示速度に連動するように、タッチ入力部6によるタッチ入力処理の時間(タッチ処理時間)を制御するようにしたので、周囲温度の変化に応じて表示速度が変化したとしても、タッチ操作を表示速度に追従させることができ、タッチ操作と表示速度との差から生じる違和感を解消し、表示速度の変化に影響されない快適なタッチ操作を実現することが可能となる。
【0047】
タッチ処理時間は、“スキャン時間”、“演算時間”、“データ転送時間”、“wait時間”の合計時間であり、この“スキャン時間”、“演算時間”、“wait時間”のいずれかの時間を変更することによりタッチ入力処理の時間全体を変更するようにしたので、タッチ処理時間の全体を適切に変更することが可能となる。
【0048】
タッチ操作が行われる毎に測定温度に応じてタッチ処理時間を変更するようにしたので、タッチ処理時間をタッチ操作毎に制御することができ、その制御が適切なものとなる。
【0049】
その他、上述した第1実施形態と同様に、タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8は、表示部7の表示面全体に積層配設するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなってもタッチ操作を違和感無く行うことができる。また、タッチ操作時にタッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなっても違和感の無いタッチ操作が可能である旨を知ることができる。
【0050】
なお、上述した第2実施形態においては、“スキャン時間”、“演算時間”、データ転送後における“wait時間”のいずれか一つの時間を変更することによりタッチ処理時間の全体を変更するようにしたが、“スキャン時間”、“演算時間”、“wait時間”の全て又は2つを変更することによりタッチ処理時間の全体を変更するようにしてもよい。
【0051】
(第3実施形態)
以下、この発明の第3実施形態について図7及び図8を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態では、タッチセンサ8のタッチ感度を制御し、第2実施形態では、タッチ処理時間を制御するようにしたが、この第3実施形態においては、タッチ感度又はタッチ入力処理の時間を制御するほか、表示部7の表示画質をも制御するようにしたものである。また、第3実施形態においては、タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御する場合に、タッチ感度又はタッチ処理時間を制御するかを任意に選択可能としている。ここで、第1、第3実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第3実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0052】
図7は、記憶部3内にタッチ感度テーブルTB1、処理時間テーブルTB2と共に設けられている表示画質テーブルTB3を説明するための図である。
表示画質テーブルTB3は、周辺温度に応じて表示部7の表示画質を制御するテーブル、つまり、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度に応じて表示部7の表示画質(例えば、コントラスト比)を制御するためのテーブルで、「温度」、「表示画質」の項目を有している。図中、“T1〜T4”は、第1実施形態と同様に、温度を示し、T1<T2<T3<T4の関係にある。図中、“r1〜r5”は、表示部7全体のコントラスト比を示し、このコントラスト比の大きさは、r1<r2<r3<r4<r5の関係にある。
【0053】
「表示画質」には、常温範囲の温度“T2〜T3”に対応して“r3(デフォルト)”が記憶され、温度“T1〜T2”に対応して“r2”が記憶され、温度“T1未満”に対応して“r1”が記憶されている。また、「表示画質」には、温度“T3〜T4”に対応して“r4”が記憶され、温度“T4越”に対応して“r5”が記憶されている。この表示画質テーブルTB3の内容はユーザ操作により任意に設定されたもので、必要に応じて変更可能となっている。なお、カメラの電源を投入した際には「表示画質」として、“r3(デフォルト)”が設定される。
【0054】
図8は、第3実施形態においてタッチセンサ8へのタッチ操作に応じて実行開始されるフローチャートである。なお、図8は、カメラの全体動作のうち、本実施形態の特徴部分の動作概要を示したフローチャートであり、この図8のフローから抜けた際には、全体動作のメインフロー(図示省略)に戻る。
先ず、制御部1は、タッチ操作が行われると、温度測定部10により測定されたカメラの周辺温度を取得した後(ステップC1)、後述する設定変更種フラグを参照し、周辺温度に応じてタッチ感度を制御することが選択されているのか、タッチ処理時間を制御することが選択されているのかを調べる(ステップC2)。
【0055】
すなわち、この設定変更種フラグは、測定温度に基づいてタッチセンサ8のタッチ感度を変更するのかタッチ処理時間を変更するのかを予めユーザ操作により任意に選択設定されたもので、設定変更種フラグとしてタッチ感度が選択設定されている場合には(ステップC2でYES)、上述した第1実施形態と同様に、タッチ感度テーブルTB1を参照し(ステップC3)、測定温度に該当する「タッチ感度」をタッチ感度テーブルTB1から読み出して、タッチセンサ8のタッチ感度を変更する処理を行う(ステップC4)。また、設定変更種フラグとしてタッチ処理時間が選択設定されている場合には(ステップC2でNO)、上述した第2実施形態と同様に、処理時間テーブルTB2を参照し(ステップC5)、測定温度に該当する「タッチ処理時間」を処理時間テーブルTB2から読み出して、タッチ処理時間を変更する処理を行う(ステップC6)。
【0056】
このようにしてタッチ感度を変更する処理又はタッチ処理時間を変更する処理が終わると、次のステップC7に移り、表示画質テーブルTB3を参照し、測定温度に該当する「表示画質」を表示画質テーブルTB3から読み出して、表示部7の表示内容の表示画質を変更する処理を行う(ステップC8)。ここで、表示画質は、カメラの電源を投入した際にデフォルト値“r3”に設定されており、タッチ操作時の測定温度が常温範囲の温度“T2〜T3”から外れたときには、タッチ処理時間をデフォルト値“r3”から測定温度に対応した値に変更する。
【0057】
すなわち、測定温度が“T1〜T2”又は“T1未満”であれば、タッチ処理時間を“r2”又は“r1”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が低くなれば、コントラスト比を下げる制御を行い、測定温度が“T3〜T4”又は“T4越”であれば、タッチ処理時間を“r4”又は“r5”に変更、つまり、常温に比べて測定温度が高くなれば、コントラスト比を上げる制御を行うことにより、温度変化に表示画質を追従させる。この場合、表示画面全体のコントラスト比を測定温度に応じて変更するようにしている。なお、液晶の残像が最も大きくなるのは、画素が“0(オフ)”から“1(オン)”に変化させたときであるが、表示画面全体のコントラスト比を下げることにより画素が“0(オフ)”から“1(オン)”への変化時でも残像を軽減することができる。
【0058】
このようにして表示画質を変更する処理を行った後は、タッチ操作に応じた処理(例えば、タッチ操作されたソフトウェアキーに応じた処理)を行う(ステップC9)。そして、タッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知する処理を行った後(ステップC10)、図8のフローから抜ける。以下、タッチ操作が行われる毎に上述の動作が繰り返される。その結果、タッチ操作される毎に温度測定部10により測定された温度に基づいてタッチ感度又はタッチ処理時間と共に表示画質を調整する処理が行われる。
【0059】
以上のように、第3実施形態において制御部1は、タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御(タッチ感度又はタッチ処理時間の制御)すると共に、表示部7の表示画質を制御するようにしたので、タッチ入力処理を制御と表示画質を制御の両方でタッチ操作と表示速度との差から生じる違和感を解消することができ、周囲温度の変化に応じて表示速度が変化したとしても、表示速度の変化に影響されない快適なタッチ操作を実現することが可能となると共に、表示画面全体のコントラスト比を測定温度に応じて変更することにより残像を軽減することができる。
【0060】
タッチ入力部6によるタッチ入力処理を制御する場合に、タッチ感度又はタッチ処理時間を制御するかを任意に選択可能としたので、ユーザにあってはタッチ感度の制御、タッチ処理時間の制御のうち、表示速度の変化に追従させるために良好な方を選択することができる。
【0061】
その他、上述した第1実施形態と同様に、タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8は、表示部7の表示面全体に積層配設するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなってもタッチ操作を違和感無く行うことができる。また、タッチ操作時にタッチ報知部9を駆動してタッチ操作が行われたことを報知するようにしたので、低温時に表示速度が遅くなっても違和感の無いタッチ操作が可能である旨を知ることができる。
【0062】
なお、上述した第3実施形態においては、表示画質として表示画面全体のコントラスト比を変更するようにしたが、コントラスト比に限らず、例えば、表示画面全体の表示濃度などを変更するようにしてもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態においては、端末装置として適用したデジタルカメラに適用した場合を例示したが、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDF、音楽プレイヤー、パーソナルコンピュータなどに適用するようにしてもよい。
図9は、携帯電話機、PDFなどの携帯端末装置に適用した場合を例示したもので、図示のように温度測定部10は、携帯端末装置の表面略全域に配設されているタッチ入力部6の近傍で、かつ携帯端末装置の筐体内に配設するようにしてもよい。つまり、温度測定部10は、配設位置はタッチ入力部6の近傍であれば任意である。
【0064】
また、上述した各実施形態においては、タッチ入力部6を構成するタッチセンサ8を表示部7の表示面全体に積層配設するようにしたが、表示部7とタッチセンサ8とを別々の位置に配設するようにしてもよい。
【0065】
その他、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 制御部
3 記憶部
4 操作部
6 タッチ入力部
7 表示部
8 タッチセンサ
9 タッチ報知部
10 温度測定部
M1 プログラム記憶部
TB1 タッチ感度テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ操作を感知してタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行うタッチ入力手段と、該タッチ入力手段により入力されたデータに応じた表示を行う表示手段とを備えた端末装置であって、
当該端末装置の周辺温度を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された温度に応じて変化する前記表示手段の表示速度に連動するように、前記タッチ入力手段によるタッチ入力処理を制御するタッチ制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記タッチ制御手段は、前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ入力手段のタッチ感度を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記タッチ制御手段は、前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ操作を感知してからそのタッチ操作に応じたデータを入力するまでのタッチ入力処理の時間を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記タッチ入力処理の時間は、前記タッチ入力手段を構成するタッチセンサの出力値を計測するスキャン時間、前記タッチセンサの出力値に基づいてタッチ操作位置を特定する演算時間、前記タッチ操作位置に応じたデータの転送後における待機時間のうち、少なくともいずれかの時間であり、
前記タッチ制御手段は、前記スキャン時間、前記演算時間、前記待機時間のうち、少なくともいずれかの時間を変更することによりタッチ入力処理の時間を変更する、
ようにしたことを特徴とする請求項3記載の端末装置。
【請求項5】
前記タッチ制御手段は、タッチ操作が行われる毎に、前記測定手段により測定された温度に応じて前記タッチ入力手段によるタッチ入力処理を制御する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の端末装置。
【請求項6】
前記測定手段により測定された温度に応じて、前記表示手段による表示画質を制御する表示制御手段を更に備え、
前記タッチ制御手段による制御及び前記表示制御手段による制御をそれぞれ行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の端末装置。
【請求項7】
前記タッチ制御手段により前記タッチ入力処理を制御する場合に、前記タッチ入力手段のタッチ感度を制御するか、前記タッチ操作を感知してからそのタッチ操作に応じたデータを入力するまでのタッチ入力処理の時間を制御するかを任意に選択する選択手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の端末装置。
【請求項8】
前記タッチ入力手段は、前記表示手段上に積層配設する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項9】
前記タッチ入力手段によるタッチ操作の検出を報知する報知手段を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
【請求項10】
コンピュータに対して、
タッチ操作を感知してタッチ操作に応じたデータを入力するタッチ入力処理を行う機能と、
入力されたデータに応じた表示を行う機能と、
周辺温度を測定する機能と、
前記測定された温度に応じて変化する前記表示速度に連動するように前記タッチ入力処理を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−146184(P2012−146184A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4896(P2011−4896)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】