管理システム
【課題】工具の固有情報の取得および管理を容易に行う。
【解決手段】空圧工具10Aの制御基板50Aには、ホスト装置158,164,194から入力される工具の固有情報が記憶される。固有情報としては、例えば、顧客番号、顧客名、購入日、修理情報、工具使用情報が記憶される。空圧工具10Aの記憶部に記憶される固有情報は、例えば、営業センター160のホスト装置164のデータベース165、修理センター190のホスト装置194のデータベース195に記憶される。これにより、営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続されるので、データベース165,195に記憶された空圧工具10Aの最新の固有情報を共有することができる。
【解決手段】空圧工具10Aの制御基板50Aには、ホスト装置158,164,194から入力される工具の固有情報が記憶される。固有情報としては、例えば、顧客番号、顧客名、購入日、修理情報、工具使用情報が記憶される。空圧工具10Aの記憶部に記憶される固有情報は、例えば、営業センター160のホスト装置164のデータベース165、修理センター190のホスト装置194のデータベース195に記憶される。これにより、営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続されるので、データベース165,195に記憶された空圧工具10Aの最新の固有情報を共有することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管理システムに関し、詳しくは、管理システムは、情報処理装置のデータベースに工具から工具の固有情報を読み出して記憶するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅建築の躯体・外装・内装の施工においてはねじや釘などの止具を連続的に供給する空圧工具や電動工具が広く利用されている。これらの工具を構成する部品は所定の耐久性を有しているが、止具の実打回数の増加やモータの通電時間の経過に伴って、ドライバの先端部が磨耗したり、ドライバピストンの衝撃を吸収するバンパの衝撃吸収効果が低下してしまう場合がある。そのため、例えば、工具の実打回数が数十万回に達したときにはオーバーホール等のメンテナンス作業を行い、故障した部品の交換を行っている。
【0003】
メンテナンス時期を知るためには工具の実打回数やモータの通電時間を把握する必要がある。工具の実打回数を把握する工具としては、ドライバの往復動作を検出する近接センサと、近接センサにより検出された検出信号に基づいて工具の実打回数を計数する計数回路とを備えた工具が提案されている(特許文献1参照)。この工具によれば、ユーザは、液晶表示装置に表示された実打回数を読み取ることで、メンテナンス時期か否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−174460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される工具では以下のような問題がある。
(1)上記工具によれば、工具の実打回数については取得できるが、工具の製造番号等の固有情報については得ることができない。一般に工具の製造番号は、工具の表面に製造番号が付されたシールを貼り付けたり、製造番号を直接刻印して表記している。しかし、工具を使用していく過程でシールが剥がれたり、刻印が消えてしまう場合がある。このような場合には、上記工具では製造番号を得ることができず、顧客データベースに蓄積されている購入情報と結び付けた工具の管理が困難となる。
(2)上記工具により計数された実打回数により修理を行う場合、上記工具では修理した際の交換した部品等の修理情報が修理センターにしか残らないので、営業の担当者が工具の修理情報を取得するためには、修理センターに問い合わせしなければならず、時間がかかってしまうという問題がある。これは、営業の促進にも影響を与える恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、工具の固有情報の取得および管理を容易に行うことが可能な管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管理システムは、上記課題を解決するために、工具の固有情報を情報処理装置により管理する管理システムであって、工具は、情報処理装置および情報処理装置と異なる他の情報処理装置と通信を行う通信部と、通信部を介して情報処理装置および/または他の情報処理装置から入力される工具の固有情報を得る制御部と、制御部により得られた工具の固有情報を記憶する記憶部とを備え、情報処理装置は、工具と通信を行う通信部と、通信部を介して工具の記憶部から工具の固有情報を読み出す制御部と、制御部により読み出された工具の固有情報を記憶するデータベースを有した記憶部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、工具の記憶部には、情報処理装置から入力される工具の固有情報が記憶される。工具の固有情報としては、例えば、工具を所有する顧客の顧客番号、顧客名や工具の購入日、工具の修理情報、工具の使用情報が含まれている。工具の記憶部に記憶される固有情報は、例えば情報処理装置等の読取装置により通信部を介して工具の記憶部から固有情報を読み出して、例えば表示部の画面に表示させることができる。
【0009】
情報処理装置のデータベースには、工具の記憶部から通信部を介して読み出された工具の固有情報が記憶される。データベースに記憶される固有情報は、例えば情報処理装置が備える表示部に表示することができる。これにより、管理者は、表示部の画面に表示されたデータベースにより、工具の固有情報を得ることができる。また、情報処理装置と他の情報処理装置とを共通のデータベースに接続することで、工具の最新の固有情報を共有できるようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る管理システムによれば、工具の記憶部には情報処理装置から入力される工具の固有情報が記憶され、情報処理装置のデータベースには工具の記憶部から通信部を介して読み出された工具の固有情報が記憶される。これにより、管理者は、情報処理装置のデータベースにより工具の固有情報を得ることができ、工具から取得した工具の固有情報を利用することで、工具の修理時期の告知や営業の促進、さらには盗難防止の抑制効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【図2】空圧工具の構成例を示す図である。
【図3】制御基板の構成例を示す斜視図である。
【図4】空圧工具のブロック構成例を示す図である。
【図5】端末装置の構成例を示す図である。
【図6】端末装置のブロック構成例を示す図である。
【図7】情報処理装置のブロック構成例を示す図である。
【図8】データベースの構成例を示す図である。
【図9】制御基板、端末装置および情報処理装置の接続構成例を示す図である。
【図10】管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【図11】空圧工具の制御部の動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る電動工具のブロック構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
<管理システムの構成>
図1は、この発明の一実施形態に係る管理システム300の構成を示す図である。管理システム300は、空圧工具10Aの固有情報を、工場150、販売店154、営業センター160および修理センター190のそれぞれに設置された、端末装置152,156,162,192やホスト装置158,164,194により管理するものである。
【0013】
端末装置152,156,162,192は、空圧工具10Aの制御基板50から固有情報を読み出して表示したり、入力操作により空圧工具10Aの制御基板50に固有情報を書き込んだりする。また端末装置152,156,162,192は、空圧工具10Aとホスト装置158,164,194との間で通信を行う際の中継用端末としても機能する。
【0014】
ホスト装置158,164,194は、情報処理装置の一例であり、空圧工具10Aから固有情報を読み出してデータベース159,165,195に記憶したり、空圧工具10Aに固有情報を書き込んだりする。
【0015】
工場150には端末装置152が設けられている。端末装置152は、工場150で製造された空圧工具10Aに割り当てられた固有の製造番号を空圧工具10Aの制御基板50(記憶部)に記憶する。
【0016】
販売店154には、端末装置156およびホスト装置158が設けられている。端末装置156は、空圧工具10Aの制御基板50に空圧工具10Aの購入日等を記憶する。ホスト装置158は、端末装置156に接続され、端末装置156から供給される購入日等の固有情報をデータベース159に記憶する。
【0017】
営業センター160には、端末装置162およびホスト装置164が設けられている。端末装置162には、例えば営業担当者が取得した顧客情報等の空圧工具10Aに関する固有情報が入力される。ホスト装置164は、端末装置162に接続され、端末装置162から送信される顧客情報等の固有情報をデータベース165に記憶する。
【0018】
修理センター190には、端末装置192およびホスト装置194が設けられている。端末装置192は、顧客から配送された空圧工具10Aから空圧工具10Aの使用情報を制御基板50から読み出して記憶部(図3参照)に記憶する。また端末装置192は、空圧工具10Aを修理した際の修理情報を空圧工具10Aの制御基板50に記憶する。ホスト装置194は、端末装置192に接続され、端末装置192から送信される空圧工具10Aの使用情報等の固有情報をデータベース195に記憶する。
【0019】
営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続され、各データベース165,195に記憶される固有情報等のデータを双方向で通信できるように構成されている。
【0020】
なお、上述した端末装置152,156,162,192およびホスト装置158,164,194のそれぞれは同一構成であるため、以下の例では営業センター160の端末装置162およびホスト装置164についてのみ説明する。
【0021】
<空圧工具の構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る空圧工具10Aの構成例を示す図である。
空圧工具10Aは、工具本体12と制御基板50Aとを備えている。工具本体12は、図示しない打撃機構と、ノーズ部24と、コンタクト部26と、図示しないねじ締め込み機構とを備える。打撃機構は、打撃シリンダと、打撃シリンダ内に摺動自在に設けられた打撃ピストンと、打撃ピストンに一体に結合されたドライバビットとを備える。そして、図2に示すように、トリガ16が操作されると、圧縮エアを貯留するエアチャンバ20から打撃シリンダ内に圧縮エアが供給され、ドライバビットが打ち込み動作する。エアチャンバ20は、把持部18の内部に形成されている。
【0022】
ノーズ部24は、ねじを被締込部材に射出するための射出口を有する。安全装置としてのコンタクト部26は、ノーズ部24に摺動可能に配置されると共にねじの打ち込み側に突出するように付勢され、コンタクト部26を押し付けたときにのみトリガ16の構成が有効となるように構成されている。
【0023】
ねじ締め込み機構は、エアモータの動力によってドライバビットを締め込み作動させるものである。すなわち、打撃機構の作動開始とほぼ同時に、図2に示すエアチャンバ20から流入した圧縮空気の一部は、エアモータ22に供給され、ドライバビットをその軸心回りに回転させる。そして、回転するドライバビットにより、射出口に位置するねじは、図示しない被締込部材例えば石膏ボード等に締め込まれる。
【0024】
また工具本体12は、工具本体12の動作を制御する制御基板50Aを収容するための収容ボックス32を有する。収容ボックス32は、マガジン30の前方上部とエアモータ22の前方下部との間の空間部に設けられている。
【0025】
図3は制御基板50Aの構成例を示す図である。制御基板50Aは、基板本体52と、メモリ部48と、制御部(制御手段)54と、複数のインタフェース(以下I/Fという)68と、通信部69と、電池66と、センサ部64とを有する。
【0026】
基板本体52は、図示しない配線パターンが形成された例えばポリイミド等の材料からなる基体であって、工具本体12の収容ボックス32(図2参照)内部に配置されている。I/F68は、基板本体52の主面52aの角部のそれぞれに設けられる。制御部54は、マイクロコンピュータから構成され、工具本体12の実打回数の計数や、工具本体12の固有情報等をメモリ部48に記憶したり、固有情報を読み出す制御を行う。
【0027】
メモリ部48は、記憶手段の一例であり、不揮発性の半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)から構成されている。メモリ部48には、工具本体12の固有情報が記憶されている。固有情報としては、例えば、工具本体12の製造番号、工具本体12を購入した顧客の顧客番号、購入日および修理情報等の少なくとも1以上の固有情報が記憶される。なお、メモリ部48は制御部54に組み込んで一体化して構成しても良い。
【0028】
電池66は、ボタン形状をなし、工具本体12(図2参照)内部に配置される。電池66にはリード線66aの一端が接続され、リード線66aの他端はI/F68を介して基板本体52に接続されている。電池66は、センサ部64により工具本体12の実打が検出されたときにのみ制御部54等に電力を供給するように構成される。これにより、電池66の消耗が削減され、電池66の交換回数を削減できる。また電池66を用いることで空圧工具10Aの軽量化を図ることができる。
【0029】
センサ部64は、例えば衝撃センサや加速度センサから構成されている。センサ部64にはリード線64aの一端が接続され、リード線64aの他端はI/F68を介して基板本体52に接続されている。センサ部64はその平面部64bが工具本体12の打込方向D(図2参照)に対して垂直となるように収容ボックス32に収容される。これにより、工具本体12の実打を正確に検出することができる。なお、工具本体12の実打回数を検出する方法としては、上述したセンサ部64を用いる以外にも、図2に示したトリガ16やコンタクト部26、図示しないフィード部にセンサ(スイッチ)を取り付けることで、工具本体12の実打回数を検出しても良い。
【0030】
次に、制御基板50Aを含む空圧工具10Aのブロック構成について説明する。図4は、空圧工具10Aのブロック構成を示す図である。通信部69には、端末装置162が接続される。
【0031】
空圧工具10Aのセンサ部64は、工具本体12が実打されたときの衝撃や加速度などを検出して検出信号(打込情報)を生成し、生成した検出信号を制御部54および電池66のそれぞれに供給する。電池66は、供給された検出信号に基づいて電力を発生して制御部54に供給する。
【0032】
制御部54は、CPU(Central Processing Unit)56とROM(Read Only Memory)58とRAM(Random Access Memory)60とから構成されている。ROM58は、制御部54を動作させるためのプログラムを記憶する。RAM60は、CPU56で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU56は、ROM58に記憶されているプログラムを実行する。
【0033】
制御部54は、電池66から供給された電力により起動した後、センサ部64から供給された検出信号が実打であるか非実打であるかを判断する。判断方法としては、例えば予め閾値(電圧値)をROM58に記憶し、この閾値と検出信号の値(電圧値)とを比較して検出信号が閾値以上の場合には実打であると判断する。検出信号の継続時間の長さによって判断しても良い。制御部54は、実打であると判断した検出信号を計数して実打回数情報をメモリ部48に供給する。また制御部54は、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から入力される空圧工具10Aの固有情報を得て、この固有情報をメモリ部48に供給する。
【0034】
メモリ部48は、制御部54に接続され、制御部54から供給される実打回数情報に基づいてメモリ部48に記憶されている実打回数を加算(インクリメント)し、空圧工具10Aに関する固有情報として加算した累積実打回数を記憶する。またメモリ部48は、制御部54の指示により、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から供給された固有情報を記憶する。
【0035】
<端末装置の構成>
次に、上述した空圧工具10Aの制御基板50Aから空圧工具10Aの固有情報を読み出すための端末装置162の構成について説明する。図5は、端末装置162の構成例を示す斜視図である。端末装置162は、装置本体102を備えている。
【0036】
装置本体102は、偏平な直方体形状からなる筐体を有し、筐体表面には表示部104と操作部118とが設けられている。表示部104は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescence)等から構成され、制御基板50Aから読み出した空圧工具10Aの実打回数や製造番号、購入日時等の固有情報を画面に表示する。装置本体102の上部の図示しない差込口には、ケーブル126の一端側のコネクタ128が挿し込まれ、他端部のコネクタ127は図示しない制御基板50の通信部69に接続される。
【0037】
操作部118は、装置本体102の電源をオン/オフする電源ボタン106と、カーソルを左方向に移動する左移動ボタン108と、カーソルを右方向に移動する右移動ボタン110と、画面中のカーソルを改行する改行ボタン112と、コマンドを選択する選択ボタン114とから構成されている。なお、入力装置としては、表示部104と操作部118とを一体に組み合わせたタッチパネルを用いても良い。
【0038】
次に、端末装置162のブロック構成について説明する。図6は、端末装置162のブロック構成を示す図である。バス137には、制御部130、操作部118、表示部104および通信部138,139のそれぞれが接続されている。通信部139は第1の通信部の一例であり、通信部139にはケーブル126(図9参照)を介して空圧工具10Aが接続される。通信部138は第2の通信部の一例であり、通信部138にはケーブル230(図9参照)を介してホスト装置164が接続される。
【0039】
操作部118は、空圧工具10Aに関する固有情報を入力するための入力装置であり、ユーザの操作により入力された固有情報に基づく操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部130に供給する。
【0040】
制御部130は、CPU132とROM134とRAM136とから構成される。制御部130は、操作部118から供給された操作信号に基づく固有情報を通信部139を介して空圧工具10Aのメモリ部48に供給する。また制御部130は、操作部118からの指示により、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を通信部139を介して読み出し、読み出した固有情報に基づく画像信号を生成して表示部104に供給する。さらに制御部130は、通信部139を介して空圧工具10Aのメモリ部48から読み出した固有情報を、通信部138を介してホスト装置164に供給する。
【0041】
表示部104は、制御部130から供給された画像信号に基づく画像を画面上に表示する。例えば、画面上に空圧工具10Aの実打回数や製造番号等の固有情報等を表示する。
【0042】
<ホスト装置の構成>
次に、ホスト装置164のブロック構成について説明する。図7は、ホスト装置164のブロック構成の一例を示す図である。なお、その他の販売店154のホスト装置158、修理センター190のホスト装置194は、営業センター160のホスト装置164と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0043】
ホスト装置164は、例えばパーソナルコンピュータから構成され、操作部178と、表示部180と、制御部166と、記憶部182と、通信部174と、通信インタフェース(通信I/F)176とを備えている。
【0044】
操作部178は、空圧工具10Aに関する固有情報を入力するための入力装置であり、例えば、マウスやキーボード等から構成される。操作部178は、ユーザの操作により入力された固有情報に基づく操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部166に供給する。
【0045】
表示部180は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイから構成される。表示部180は、制御部166からの指示により記憶部182から読み出されたデータベース165を表示したり、ネットワーク220を介して送信された画像データ等の各種情報を表示する。
【0046】
制御部166は、CPU168とROM170とRAM172とから構成されている。ROM170は、CPU168が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM172は、CPU168で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU168は、ROM170に記憶されているプログラムを実行する。
【0047】
また制御部166は、操作部178により入力された固有情報を通信部174および端末装置162を介して空圧工具10Aのメモリ部48に供給する。さらに制御部166は、操作部178からの操作信号に基づいて空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を通信部174を介して読み出して、読み出した固有情報を記憶部182に供給する。
【0048】
記憶部182は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成され、空圧工具10Aの固有情報を記憶するデータベース165を有している。記憶部182は、制御部80の指示により、空圧工具10Aのメモリ部48や他のホスト装置194等から読み出された空圧工具10Aの固有情報をデータベース165に記憶し、固有情報が供給される毎に更新する。データベース165の構成については後述する。
【0049】
通信部174は、例えば端末装置162や他の外部周辺機器を接続するためのものであり、USB、IEEE1394等の接続端子を有する。通信部174は、例えば、Bluetooth(登録商標)、 802.11a/b/g等の無線通信により構成しても良い。
【0050】
通信インタフェース(通信I/F)176は、ネットワーク220に接続するための通信デバイス等で構成されたインタフェースである。通信インタフェース176は、例えば修理センター190のホスト装置194との間で空圧工具10Aの固有情報等の各種データの送受信を行う。この通信インタフェース176は、例えば、Ethernet(登録商標)の有線通信や802.11a/b/g等の無線通信に対応している。
【0051】
図8は、ホスト装置164に記憶されるデータベース165の構成の一例である。データベース165には、顧客番号400、顧客名402、製造番号404、購入日406、修理情報408および工具使用情報416等の情報が、例えば顧客番号400に関連付けられて記憶されている。さらに、修理情報408は、修理日410、修理内容412および交換部品414から構成される。工具使用情報416は、実打回数418、モータ通電時間420およびバッテリー交換回数422から構成される。
【0052】
顧客番号400は空圧工具10Aを購入したユーザに割り当てられる固有の識別番号であり、顧客名402は購入したユーザの氏名である。製造番号404は、購入された空圧工具10Aに割り当てられる固有の識別番号であり、購入日406は空圧工具10Aを購入した日付である。
【0053】
修理日410は、空圧工具10Aが修理センター190に配送されて修理が行われた日付であり、修理内容412は空圧工具10Aの故障箇所を修理した際の処理内容であり、交換部品414は修理した際に交換した部品名である。実打回数418は空圧工具10Aが実際に打ち出された累積実打回数であり、モータ通電時間420はモータが駆動している時間であり、バッテリー交換回数422は故障によりバッテリーを交換した回数である。
【0054】
<制御基板と端末装置とホスト装置との接続例>
次に、上述した空圧工具10Aの制御基板50Aと端末装置162とホスト装置164との接続について説明する。図9は、空圧工具10Aの制御基板50Aと端末装置162とホスト装置164との接続構成の一例について説明する。図9では、空圧工具10Aの工具本体12については省略して図示している。
【0055】
端末装置162と空圧工具10Aの制御基板50Aとはケーブルを介して電気的に接続される。ケーブル126の一端側のコネクタ127は通信部69に接続され、ケーブル126の他端側のコネクタ128は端末装置162の通信部138に接続される。
【0056】
端末装置162とホスト装置164とはケーブル230を介して電気的に接続される。ケーブル230の一端側のコネクタ232は端末装置162の通信部139に接続され、ケーブル230の他端側のコネクタ324はホスト装置164の通信部174に接続される。
【0057】
このように端末装置162を中継機器として用いることで、ホスト装置164を空圧工具10Aに接続することができ、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出してデータベース165に格納することができる。また、営業先などにおいて端末装置162を単体で用いる場合には、図に示したようにホスト装置164のみを空圧工具10Aに接続すれば良い。
【0058】
<管理システムの動作>
図10は、管理システム300の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS300で、工場150の端末装置152は、空圧工具10Aに実装される前段階の制御基板50のメモリ部48に空圧工具10Aの製造番号を記憶する。その後、制御基板50が空圧工具10Aに実装され、制御基板50が実装された空圧工具10Aが販売店154に納品される。
【0059】
ステップS310で販売店154の端末装置156は、顧客に空圧工具10Aを販売する際に、空圧工具10Aの購入日、顧客番号を空圧工具10Aのメモリ部48に記憶する。また、ホスト装置158は、端末装置156を介して空圧工具10Aのメモリ部48から空圧工具10Aの製造番号を読み出してデータベース159に記憶する。
【0060】
ステップS320で販売店154では、空圧工具10Aを購入した顧客により記入されたお客様登録カードを営業センター160に送付する。お客様登録カードには、例えば空圧工具10Aを購入した顧客の顧客番号、空圧工具10Aの購入日等が記載されている。営業センター160では販売店154から送付されたお客様登録カードに記載される顧客番号、購入日等を操作部178を操作してホスト装置164に入力する。ホスト装置164は、入力された顧客番号、購入日をデータベース165に記憶する。
【0061】
ステップS330で営業センター160では、営業担当者が顧客の会社や作業場において直接取得した顧客に関する顧客情報をホスト装置164のデータベース165に記憶する。顧客情報としては、例えば、顧客の会社名やこの会社の社員数等の情報が含まれる。
【0062】
ステップS340では、修理センター190に配送される空圧工具10Aの故障箇所等が修理される。修理センター190の端末装置192およびホスト装置194は、修理により得られた空圧工具10Aの交換部品等の修理情報を空圧工具10Aのメモリ部48に記憶する。この作業と同時に、空圧工具10Aの修理情報を自身のデータベース195に記憶する。
【0063】
ステップS350で修理センター190のホスト装置194は、修理センター190に修理依頼された空圧工具10Aのメモリ部48から実打回数等の工具使用情報を読み出す。そして、ホスト装置194は、読み出した工具使用情報をデータベース195に記憶する。
【0064】
ステップS360で修理センターのホスト装置194は、自身が所有するデータベース195に記憶された修理情報等の固有情報をネットワーク220を介して営業センター160のホスト装置164に送信する。すなわち、営業センター160のホスト装置164のデータベース165には登録されていない情報を含めて送信する。営業センター160のホスト装置164は、修理センターのホスト装置194から送信された修理情報等の固有情報をデータベース165に記憶する。
【0065】
ステップS370で営業センター160のホスト装置164は、自身が所有するデータベース165に記憶された工具使用情報等の固有情報をネットワーク220を介して修理センター190のホスト装置194に送信する。すなわち、修理センター190のホスト装置194のデータベース195には登録されていない情報を含めて送信する。修理センター190のホスト装置194は、営業センター160のホスト装置164から送信された工具使用情報等の固有情報をデータベース195に記憶する。
【0066】
次に、空圧工具10Aの制御部54の動作について説明する。図11は、空圧工具10Aの制御部54の動作の一例を示すフローチャートである。本例では、修理センター190のホスト装置194により空圧工具10Aに固有情報を書き込むおよび空圧工具10Aから固有情報を読み出す場合の動作の一例について説明する。
【0067】
ステップS400で制御部54は、通信部69に端末装置192が接続されたか否かを判断する。これはケーブル126が通信部69に接続されたか否かにより判断できる。制御部54は、通信部69に端末装置192が接続されたと判断した場合にはステップS410に進み、接続されていないと判断された場合には接続されるまで待機する。
【0068】
ステップS410で制御部54は、端末装置192から空圧工具10Aの固有情報が送信されたか否かを判断する。つまり、端末装置192からメモリ部48に固有情報を書き込む書き込み要求がされたか否かを判断する。固有情報はホスト装置194のデータベース195から読み出されたものであり、固有情報としては例えば修理した際に得られる修理情報が送信される。空圧工具10Aの固有情報が供給されたと判断した場合にはステップS420に進み、固有情報が供給されていないと判断した場合にはステップS430に進む。
【0069】
ステップS420で制御部54は、端末装置192から供給された空圧工具10Aの固有情報をメモリ部48に記憶する。例えば、固有情報が修理情報である場合にはこの修理情報をメモリ部48に記憶する。
【0070】
ステップS430で制御部54は、空圧工具10Aのメモリ部48に記憶される固有情報を読み出す制御信号が端末装置192から送信されたか否かを判断する。ホスト装置194側では、メモリ部48に記憶される全ての固有情報を読み出すように指示することもできるし、一部の固有情報を読み出すように指示することもできる。制御部54は、制御信号が供給されたと判断した場合にはステップS440に進み、制御信号が供給されていないと判断した場合には他の指示を待機する。
【0071】
ステップS440で制御部54は、端末装置192からの制御信号に基づいてメモリ部48から固有情報を読み出して通信部69を介して端末装置192に送信する。端末装置192は、通信部139を介して固有情報を受信し、受信した固有情報を端末装置192に接続されたホスト装置194に供給する。ホスト装置194では、端末装置192から供給された固有情報をデータベース165に記憶する。
【0072】
このようにして、端末装置192およびホスト装置194によって、空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出したりできる。もちろん、端末装置192単体でも、空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、メモリ部48から固有情報を読み出したりできる。例えば、営業等により営業センター160から離れる場合等においては容易に携帯できるので、端末装置192を好適に使用できる。また、図11に示した動作により、販売店154のホスト装置158や営業センター160のホスト装置164からも空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出したりすることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、例えば修理センター190に修理に出された空圧工具10Aから、顧客番号や顧客名、製造番号等の固有情報を読み出すことにより、空圧工具10Aの所有者を把握できる。そのため、この空圧工具10Aが以前から盗難情報として提供されている場合には、読み出した固有情報により空圧工具10Aが盗難品であるか否かを判断できるので、盗難の抑制効果を得ることができる。
【0074】
従来では、一般的なパーソナルコンピュータ等の情報処理装置のデータ伝送路の規格では情報処理装置を工具10A(の制御基板50A)に接続することは困難であったが、本実施の形態の端末装置152,156,162,192によれば工具10Aに直接接続することが可能となる。また、営業担当者は、端末装置152,156,162,192を顧客のところまで持参し、顧客の空圧工具10Aから工具使用情報や購入日などの固有情報を直接読み出すことで、空圧工具10Aの修理時期や買い替え時期等の警告を迅速に行うことができる。これにより、空圧工具10Aの販売促進につなげることができると共に、顧客本位のアフターや販売活動が行えるようになる。また、営業センター160のデータベース165から顧客が所有する空圧工具10Aの修理情報や工具使用情報を閲覧することができる。これにより、営業センター160からも電話や手紙等により顧客に空圧工具10Aの販売案内をすることができ、空圧工具10Aの販売促進を図ることができる。
【0075】
さらに、営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続されているので、空圧工具10Aの最新の固有情報を共有することができる。
【0076】
[第2の実施の形態]
次に、上述した空圧工具10Aに代えて電動工具10Bを用いた場合について説明する。なお、上述した第1の実施の形態で説明した空圧工具10Aおよび制御基板50A等と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0077】
図12は、第2の実施の形態に係る電動工具10Bのブロック構成を示す図である。電動工具10Bは、制御基板50Bと、電池66と、センサ部64と、モータ70と、バッテリー72とを備える。制御基板50Bは、CPU56、ROM58およびRAM60から構成される制御部54と、メモリ部48と、タイマー部142と、複数のI/F68と、通信部69とを有する。
【0078】
モータ70はI/F68を介して制御部54に接続され、トリガ操作によりモータ70が回転駆動したときに生成される駆動信号を制御部54に供給する。また、モータ70は、モータ70の回転駆動が停止されたときに生成される停止信号が制御部54に供給する。制御部54は、モータ70から供給される駆動信号および停止信号のそれぞれに基づく制御信号をタイマー部142に供給する。
【0079】
タイマー部142は、制御部54から供給される制御信号に基づいてモータ通電時間を計測する。計測されたモータ通電時間はメモリ部48に既に記憶されているモータ通電時間に加算されて再度メモリ部48に記憶される。すなわち、メモリ部48には累積されたモータ通電時間が記憶される。
【0080】
バッテリー72はI/F68を介して制御部54やモータ70に接続される。制御部54は、バッテリー72の電動工具10Bへの装着時または電動工具10Bからの取り外し時の動作をトリガとして、バッテリー72の交換回数を計数する。
【0081】
制御部54には通信部69を介して端末装置162が接続され、端末装置162やこの端末装置162に接続されるホスト装置164から入力される電動工具10Bに関する固有情報が供給される。また、制御部54は、端末装置162からの指示に基づいて、メモリ部48から固有情報を読み出して、読み出した固有情報を通信部69を介して端末装置162や端末装置162に接続されるホスト装置164に供給する。
【0082】
メモリ部48は不揮発性の半導体メモリから構成され、制御部54の指示により、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から入力される電動工具10Bに関する固有情報を記憶する。またメモリ部48には、電動工具10Bのモータ通電時間、バッテリー72の交換回数、工具本体12の製造番号、工具本体12を購入した顧客の顧客番号、購入日、修理情報等の固有情報が記憶される。
【0083】
このように構成された電動工具10Bは、図示しないハウジング内部にモータ70が内蔵され、トリガ16を引き操作するとモータ70が作動し、モータ70により回転駆動伝達部を介してドライバビットが回転することでネジ止め作業を行う。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、電動工具10Bや各データベース159,165,195から電動工具10Bの固有情報を取得することができるので、電動工具10Bの修理時期の告知や営業の促進、さらには盗難防止の抑制効果を得ることができる。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0086】
上記第1および第2の実施の形態では、端末装置152,156,162,192をケーブル126を介して制御基板50A,50Bに接続していたがこれに限定されることはない。例えば、制御基板50A,50Bと端末装置152,156,162,192とのそれぞれに無線通信部を設けることにより、制御基板50A,50Bと端末装置152,156,162,192との間を無線通信で接続することもできる。また、端末装置152,156,162,192と空圧工具10A、電動工具10Bのそれぞれに発光素子および受光素子を設け、固有情報を手滅信号に変換して発光素子で発光させて、この点滅信号を受光素子により受光することにより固有情報を送受信させることもできる。
【符号の説明】
【0087】
10・・・空圧工具、50・・・制御基板、54・・・制御部、62・・・発光素子、64・・・センサ部、69…通信部、70・・・モータ、100・・・情報処理装置、104・・・表示部、124・・・受光素子、130・・・制御部、142・・・タイマー部、152,156,162,192・・・端末装置、158,164,192・・・ホスト装置、159,165,195・・・データベース、300・・・管理システム
【技術分野】
【0001】
本発明は管理システムに関し、詳しくは、管理システムは、情報処理装置のデータベースに工具から工具の固有情報を読み出して記憶するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅建築の躯体・外装・内装の施工においてはねじや釘などの止具を連続的に供給する空圧工具や電動工具が広く利用されている。これらの工具を構成する部品は所定の耐久性を有しているが、止具の実打回数の増加やモータの通電時間の経過に伴って、ドライバの先端部が磨耗したり、ドライバピストンの衝撃を吸収するバンパの衝撃吸収効果が低下してしまう場合がある。そのため、例えば、工具の実打回数が数十万回に達したときにはオーバーホール等のメンテナンス作業を行い、故障した部品の交換を行っている。
【0003】
メンテナンス時期を知るためには工具の実打回数やモータの通電時間を把握する必要がある。工具の実打回数を把握する工具としては、ドライバの往復動作を検出する近接センサと、近接センサにより検出された検出信号に基づいて工具の実打回数を計数する計数回路とを備えた工具が提案されている(特許文献1参照)。この工具によれば、ユーザは、液晶表示装置に表示された実打回数を読み取ることで、メンテナンス時期か否かを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−174460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される工具では以下のような問題がある。
(1)上記工具によれば、工具の実打回数については取得できるが、工具の製造番号等の固有情報については得ることができない。一般に工具の製造番号は、工具の表面に製造番号が付されたシールを貼り付けたり、製造番号を直接刻印して表記している。しかし、工具を使用していく過程でシールが剥がれたり、刻印が消えてしまう場合がある。このような場合には、上記工具では製造番号を得ることができず、顧客データベースに蓄積されている購入情報と結び付けた工具の管理が困難となる。
(2)上記工具により計数された実打回数により修理を行う場合、上記工具では修理した際の交換した部品等の修理情報が修理センターにしか残らないので、営業の担当者が工具の修理情報を取得するためには、修理センターに問い合わせしなければならず、時間がかかってしまうという問題がある。これは、営業の促進にも影響を与える恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、工具の固有情報の取得および管理を容易に行うことが可能な管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管理システムは、上記課題を解決するために、工具の固有情報を情報処理装置により管理する管理システムであって、工具は、情報処理装置および情報処理装置と異なる他の情報処理装置と通信を行う通信部と、通信部を介して情報処理装置および/または他の情報処理装置から入力される工具の固有情報を得る制御部と、制御部により得られた工具の固有情報を記憶する記憶部とを備え、情報処理装置は、工具と通信を行う通信部と、通信部を介して工具の記憶部から工具の固有情報を読み出す制御部と、制御部により読み出された工具の固有情報を記憶するデータベースを有した記憶部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、工具の記憶部には、情報処理装置から入力される工具の固有情報が記憶される。工具の固有情報としては、例えば、工具を所有する顧客の顧客番号、顧客名や工具の購入日、工具の修理情報、工具の使用情報が含まれている。工具の記憶部に記憶される固有情報は、例えば情報処理装置等の読取装置により通信部を介して工具の記憶部から固有情報を読み出して、例えば表示部の画面に表示させることができる。
【0009】
情報処理装置のデータベースには、工具の記憶部から通信部を介して読み出された工具の固有情報が記憶される。データベースに記憶される固有情報は、例えば情報処理装置が備える表示部に表示することができる。これにより、管理者は、表示部の画面に表示されたデータベースにより、工具の固有情報を得ることができる。また、情報処理装置と他の情報処理装置とを共通のデータベースに接続することで、工具の最新の固有情報を共有できるようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る管理システムによれば、工具の記憶部には情報処理装置から入力される工具の固有情報が記憶され、情報処理装置のデータベースには工具の記憶部から通信部を介して読み出された工具の固有情報が記憶される。これにより、管理者は、情報処理装置のデータベースにより工具の固有情報を得ることができ、工具から取得した工具の固有情報を利用することで、工具の修理時期の告知や営業の促進、さらには盗難防止の抑制効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
【図2】空圧工具の構成例を示す図である。
【図3】制御基板の構成例を示す斜視図である。
【図4】空圧工具のブロック構成例を示す図である。
【図5】端末装置の構成例を示す図である。
【図6】端末装置のブロック構成例を示す図である。
【図7】情報処理装置のブロック構成例を示す図である。
【図8】データベースの構成例を示す図である。
【図9】制御基板、端末装置および情報処理装置の接続構成例を示す図である。
【図10】管理システムの動作例を示すフローチャートである。
【図11】空圧工具の制御部の動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る電動工具のブロック構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
<管理システムの構成>
図1は、この発明の一実施形態に係る管理システム300の構成を示す図である。管理システム300は、空圧工具10Aの固有情報を、工場150、販売店154、営業センター160および修理センター190のそれぞれに設置された、端末装置152,156,162,192やホスト装置158,164,194により管理するものである。
【0013】
端末装置152,156,162,192は、空圧工具10Aの制御基板50から固有情報を読み出して表示したり、入力操作により空圧工具10Aの制御基板50に固有情報を書き込んだりする。また端末装置152,156,162,192は、空圧工具10Aとホスト装置158,164,194との間で通信を行う際の中継用端末としても機能する。
【0014】
ホスト装置158,164,194は、情報処理装置の一例であり、空圧工具10Aから固有情報を読み出してデータベース159,165,195に記憶したり、空圧工具10Aに固有情報を書き込んだりする。
【0015】
工場150には端末装置152が設けられている。端末装置152は、工場150で製造された空圧工具10Aに割り当てられた固有の製造番号を空圧工具10Aの制御基板50(記憶部)に記憶する。
【0016】
販売店154には、端末装置156およびホスト装置158が設けられている。端末装置156は、空圧工具10Aの制御基板50に空圧工具10Aの購入日等を記憶する。ホスト装置158は、端末装置156に接続され、端末装置156から供給される購入日等の固有情報をデータベース159に記憶する。
【0017】
営業センター160には、端末装置162およびホスト装置164が設けられている。端末装置162には、例えば営業担当者が取得した顧客情報等の空圧工具10Aに関する固有情報が入力される。ホスト装置164は、端末装置162に接続され、端末装置162から送信される顧客情報等の固有情報をデータベース165に記憶する。
【0018】
修理センター190には、端末装置192およびホスト装置194が設けられている。端末装置192は、顧客から配送された空圧工具10Aから空圧工具10Aの使用情報を制御基板50から読み出して記憶部(図3参照)に記憶する。また端末装置192は、空圧工具10Aを修理した際の修理情報を空圧工具10Aの制御基板50に記憶する。ホスト装置194は、端末装置192に接続され、端末装置192から送信される空圧工具10Aの使用情報等の固有情報をデータベース195に記憶する。
【0019】
営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続され、各データベース165,195に記憶される固有情報等のデータを双方向で通信できるように構成されている。
【0020】
なお、上述した端末装置152,156,162,192およびホスト装置158,164,194のそれぞれは同一構成であるため、以下の例では営業センター160の端末装置162およびホスト装置164についてのみ説明する。
【0021】
<空圧工具の構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る空圧工具10Aの構成例を示す図である。
空圧工具10Aは、工具本体12と制御基板50Aとを備えている。工具本体12は、図示しない打撃機構と、ノーズ部24と、コンタクト部26と、図示しないねじ締め込み機構とを備える。打撃機構は、打撃シリンダと、打撃シリンダ内に摺動自在に設けられた打撃ピストンと、打撃ピストンに一体に結合されたドライバビットとを備える。そして、図2に示すように、トリガ16が操作されると、圧縮エアを貯留するエアチャンバ20から打撃シリンダ内に圧縮エアが供給され、ドライバビットが打ち込み動作する。エアチャンバ20は、把持部18の内部に形成されている。
【0022】
ノーズ部24は、ねじを被締込部材に射出するための射出口を有する。安全装置としてのコンタクト部26は、ノーズ部24に摺動可能に配置されると共にねじの打ち込み側に突出するように付勢され、コンタクト部26を押し付けたときにのみトリガ16の構成が有効となるように構成されている。
【0023】
ねじ締め込み機構は、エアモータの動力によってドライバビットを締め込み作動させるものである。すなわち、打撃機構の作動開始とほぼ同時に、図2に示すエアチャンバ20から流入した圧縮空気の一部は、エアモータ22に供給され、ドライバビットをその軸心回りに回転させる。そして、回転するドライバビットにより、射出口に位置するねじは、図示しない被締込部材例えば石膏ボード等に締め込まれる。
【0024】
また工具本体12は、工具本体12の動作を制御する制御基板50Aを収容するための収容ボックス32を有する。収容ボックス32は、マガジン30の前方上部とエアモータ22の前方下部との間の空間部に設けられている。
【0025】
図3は制御基板50Aの構成例を示す図である。制御基板50Aは、基板本体52と、メモリ部48と、制御部(制御手段)54と、複数のインタフェース(以下I/Fという)68と、通信部69と、電池66と、センサ部64とを有する。
【0026】
基板本体52は、図示しない配線パターンが形成された例えばポリイミド等の材料からなる基体であって、工具本体12の収容ボックス32(図2参照)内部に配置されている。I/F68は、基板本体52の主面52aの角部のそれぞれに設けられる。制御部54は、マイクロコンピュータから構成され、工具本体12の実打回数の計数や、工具本体12の固有情報等をメモリ部48に記憶したり、固有情報を読み出す制御を行う。
【0027】
メモリ部48は、記憶手段の一例であり、不揮発性の半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)から構成されている。メモリ部48には、工具本体12の固有情報が記憶されている。固有情報としては、例えば、工具本体12の製造番号、工具本体12を購入した顧客の顧客番号、購入日および修理情報等の少なくとも1以上の固有情報が記憶される。なお、メモリ部48は制御部54に組み込んで一体化して構成しても良い。
【0028】
電池66は、ボタン形状をなし、工具本体12(図2参照)内部に配置される。電池66にはリード線66aの一端が接続され、リード線66aの他端はI/F68を介して基板本体52に接続されている。電池66は、センサ部64により工具本体12の実打が検出されたときにのみ制御部54等に電力を供給するように構成される。これにより、電池66の消耗が削減され、電池66の交換回数を削減できる。また電池66を用いることで空圧工具10Aの軽量化を図ることができる。
【0029】
センサ部64は、例えば衝撃センサや加速度センサから構成されている。センサ部64にはリード線64aの一端が接続され、リード線64aの他端はI/F68を介して基板本体52に接続されている。センサ部64はその平面部64bが工具本体12の打込方向D(図2参照)に対して垂直となるように収容ボックス32に収容される。これにより、工具本体12の実打を正確に検出することができる。なお、工具本体12の実打回数を検出する方法としては、上述したセンサ部64を用いる以外にも、図2に示したトリガ16やコンタクト部26、図示しないフィード部にセンサ(スイッチ)を取り付けることで、工具本体12の実打回数を検出しても良い。
【0030】
次に、制御基板50Aを含む空圧工具10Aのブロック構成について説明する。図4は、空圧工具10Aのブロック構成を示す図である。通信部69には、端末装置162が接続される。
【0031】
空圧工具10Aのセンサ部64は、工具本体12が実打されたときの衝撃や加速度などを検出して検出信号(打込情報)を生成し、生成した検出信号を制御部54および電池66のそれぞれに供給する。電池66は、供給された検出信号に基づいて電力を発生して制御部54に供給する。
【0032】
制御部54は、CPU(Central Processing Unit)56とROM(Read Only Memory)58とRAM(Random Access Memory)60とから構成されている。ROM58は、制御部54を動作させるためのプログラムを記憶する。RAM60は、CPU56で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU56は、ROM58に記憶されているプログラムを実行する。
【0033】
制御部54は、電池66から供給された電力により起動した後、センサ部64から供給された検出信号が実打であるか非実打であるかを判断する。判断方法としては、例えば予め閾値(電圧値)をROM58に記憶し、この閾値と検出信号の値(電圧値)とを比較して検出信号が閾値以上の場合には実打であると判断する。検出信号の継続時間の長さによって判断しても良い。制御部54は、実打であると判断した検出信号を計数して実打回数情報をメモリ部48に供給する。また制御部54は、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から入力される空圧工具10Aの固有情報を得て、この固有情報をメモリ部48に供給する。
【0034】
メモリ部48は、制御部54に接続され、制御部54から供給される実打回数情報に基づいてメモリ部48に記憶されている実打回数を加算(インクリメント)し、空圧工具10Aに関する固有情報として加算した累積実打回数を記憶する。またメモリ部48は、制御部54の指示により、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から供給された固有情報を記憶する。
【0035】
<端末装置の構成>
次に、上述した空圧工具10Aの制御基板50Aから空圧工具10Aの固有情報を読み出すための端末装置162の構成について説明する。図5は、端末装置162の構成例を示す斜視図である。端末装置162は、装置本体102を備えている。
【0036】
装置本体102は、偏平な直方体形状からなる筐体を有し、筐体表面には表示部104と操作部118とが設けられている。表示部104は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)やEL(Electro Luminescence)等から構成され、制御基板50Aから読み出した空圧工具10Aの実打回数や製造番号、購入日時等の固有情報を画面に表示する。装置本体102の上部の図示しない差込口には、ケーブル126の一端側のコネクタ128が挿し込まれ、他端部のコネクタ127は図示しない制御基板50の通信部69に接続される。
【0037】
操作部118は、装置本体102の電源をオン/オフする電源ボタン106と、カーソルを左方向に移動する左移動ボタン108と、カーソルを右方向に移動する右移動ボタン110と、画面中のカーソルを改行する改行ボタン112と、コマンドを選択する選択ボタン114とから構成されている。なお、入力装置としては、表示部104と操作部118とを一体に組み合わせたタッチパネルを用いても良い。
【0038】
次に、端末装置162のブロック構成について説明する。図6は、端末装置162のブロック構成を示す図である。バス137には、制御部130、操作部118、表示部104および通信部138,139のそれぞれが接続されている。通信部139は第1の通信部の一例であり、通信部139にはケーブル126(図9参照)を介して空圧工具10Aが接続される。通信部138は第2の通信部の一例であり、通信部138にはケーブル230(図9参照)を介してホスト装置164が接続される。
【0039】
操作部118は、空圧工具10Aに関する固有情報を入力するための入力装置であり、ユーザの操作により入力された固有情報に基づく操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部130に供給する。
【0040】
制御部130は、CPU132とROM134とRAM136とから構成される。制御部130は、操作部118から供給された操作信号に基づく固有情報を通信部139を介して空圧工具10Aのメモリ部48に供給する。また制御部130は、操作部118からの指示により、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を通信部139を介して読み出し、読み出した固有情報に基づく画像信号を生成して表示部104に供給する。さらに制御部130は、通信部139を介して空圧工具10Aのメモリ部48から読み出した固有情報を、通信部138を介してホスト装置164に供給する。
【0041】
表示部104は、制御部130から供給された画像信号に基づく画像を画面上に表示する。例えば、画面上に空圧工具10Aの実打回数や製造番号等の固有情報等を表示する。
【0042】
<ホスト装置の構成>
次に、ホスト装置164のブロック構成について説明する。図7は、ホスト装置164のブロック構成の一例を示す図である。なお、その他の販売店154のホスト装置158、修理センター190のホスト装置194は、営業センター160のホスト装置164と同一の構成であるため、説明を省略する。
【0043】
ホスト装置164は、例えばパーソナルコンピュータから構成され、操作部178と、表示部180と、制御部166と、記憶部182と、通信部174と、通信インタフェース(通信I/F)176とを備えている。
【0044】
操作部178は、空圧工具10Aに関する固有情報を入力するための入力装置であり、例えば、マウスやキーボード等から構成される。操作部178は、ユーザの操作により入力された固有情報に基づく操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部166に供給する。
【0045】
表示部180は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイから構成される。表示部180は、制御部166からの指示により記憶部182から読み出されたデータベース165を表示したり、ネットワーク220を介して送信された画像データ等の各種情報を表示する。
【0046】
制御部166は、CPU168とROM170とRAM172とから構成されている。ROM170は、CPU168が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM172は、CPU168で各種の処理を行うときに得られたデータを一時的に記憶保持するなど、主に各種の処理の作業領域として用いられる。CPU168は、ROM170に記憶されているプログラムを実行する。
【0047】
また制御部166は、操作部178により入力された固有情報を通信部174および端末装置162を介して空圧工具10Aのメモリ部48に供給する。さらに制御部166は、操作部178からの操作信号に基づいて空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を通信部174を介して読み出して、読み出した固有情報を記憶部182に供給する。
【0048】
記憶部182は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成され、空圧工具10Aの固有情報を記憶するデータベース165を有している。記憶部182は、制御部80の指示により、空圧工具10Aのメモリ部48や他のホスト装置194等から読み出された空圧工具10Aの固有情報をデータベース165に記憶し、固有情報が供給される毎に更新する。データベース165の構成については後述する。
【0049】
通信部174は、例えば端末装置162や他の外部周辺機器を接続するためのものであり、USB、IEEE1394等の接続端子を有する。通信部174は、例えば、Bluetooth(登録商標)、 802.11a/b/g等の無線通信により構成しても良い。
【0050】
通信インタフェース(通信I/F)176は、ネットワーク220に接続するための通信デバイス等で構成されたインタフェースである。通信インタフェース176は、例えば修理センター190のホスト装置194との間で空圧工具10Aの固有情報等の各種データの送受信を行う。この通信インタフェース176は、例えば、Ethernet(登録商標)の有線通信や802.11a/b/g等の無線通信に対応している。
【0051】
図8は、ホスト装置164に記憶されるデータベース165の構成の一例である。データベース165には、顧客番号400、顧客名402、製造番号404、購入日406、修理情報408および工具使用情報416等の情報が、例えば顧客番号400に関連付けられて記憶されている。さらに、修理情報408は、修理日410、修理内容412および交換部品414から構成される。工具使用情報416は、実打回数418、モータ通電時間420およびバッテリー交換回数422から構成される。
【0052】
顧客番号400は空圧工具10Aを購入したユーザに割り当てられる固有の識別番号であり、顧客名402は購入したユーザの氏名である。製造番号404は、購入された空圧工具10Aに割り当てられる固有の識別番号であり、購入日406は空圧工具10Aを購入した日付である。
【0053】
修理日410は、空圧工具10Aが修理センター190に配送されて修理が行われた日付であり、修理内容412は空圧工具10Aの故障箇所を修理した際の処理内容であり、交換部品414は修理した際に交換した部品名である。実打回数418は空圧工具10Aが実際に打ち出された累積実打回数であり、モータ通電時間420はモータが駆動している時間であり、バッテリー交換回数422は故障によりバッテリーを交換した回数である。
【0054】
<制御基板と端末装置とホスト装置との接続例>
次に、上述した空圧工具10Aの制御基板50Aと端末装置162とホスト装置164との接続について説明する。図9は、空圧工具10Aの制御基板50Aと端末装置162とホスト装置164との接続構成の一例について説明する。図9では、空圧工具10Aの工具本体12については省略して図示している。
【0055】
端末装置162と空圧工具10Aの制御基板50Aとはケーブルを介して電気的に接続される。ケーブル126の一端側のコネクタ127は通信部69に接続され、ケーブル126の他端側のコネクタ128は端末装置162の通信部138に接続される。
【0056】
端末装置162とホスト装置164とはケーブル230を介して電気的に接続される。ケーブル230の一端側のコネクタ232は端末装置162の通信部139に接続され、ケーブル230の他端側のコネクタ324はホスト装置164の通信部174に接続される。
【0057】
このように端末装置162を中継機器として用いることで、ホスト装置164を空圧工具10Aに接続することができ、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出してデータベース165に格納することができる。また、営業先などにおいて端末装置162を単体で用いる場合には、図に示したようにホスト装置164のみを空圧工具10Aに接続すれば良い。
【0058】
<管理システムの動作>
図10は、管理システム300の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS300で、工場150の端末装置152は、空圧工具10Aに実装される前段階の制御基板50のメモリ部48に空圧工具10Aの製造番号を記憶する。その後、制御基板50が空圧工具10Aに実装され、制御基板50が実装された空圧工具10Aが販売店154に納品される。
【0059】
ステップS310で販売店154の端末装置156は、顧客に空圧工具10Aを販売する際に、空圧工具10Aの購入日、顧客番号を空圧工具10Aのメモリ部48に記憶する。また、ホスト装置158は、端末装置156を介して空圧工具10Aのメモリ部48から空圧工具10Aの製造番号を読み出してデータベース159に記憶する。
【0060】
ステップS320で販売店154では、空圧工具10Aを購入した顧客により記入されたお客様登録カードを営業センター160に送付する。お客様登録カードには、例えば空圧工具10Aを購入した顧客の顧客番号、空圧工具10Aの購入日等が記載されている。営業センター160では販売店154から送付されたお客様登録カードに記載される顧客番号、購入日等を操作部178を操作してホスト装置164に入力する。ホスト装置164は、入力された顧客番号、購入日をデータベース165に記憶する。
【0061】
ステップS330で営業センター160では、営業担当者が顧客の会社や作業場において直接取得した顧客に関する顧客情報をホスト装置164のデータベース165に記憶する。顧客情報としては、例えば、顧客の会社名やこの会社の社員数等の情報が含まれる。
【0062】
ステップS340では、修理センター190に配送される空圧工具10Aの故障箇所等が修理される。修理センター190の端末装置192およびホスト装置194は、修理により得られた空圧工具10Aの交換部品等の修理情報を空圧工具10Aのメモリ部48に記憶する。この作業と同時に、空圧工具10Aの修理情報を自身のデータベース195に記憶する。
【0063】
ステップS350で修理センター190のホスト装置194は、修理センター190に修理依頼された空圧工具10Aのメモリ部48から実打回数等の工具使用情報を読み出す。そして、ホスト装置194は、読み出した工具使用情報をデータベース195に記憶する。
【0064】
ステップS360で修理センターのホスト装置194は、自身が所有するデータベース195に記憶された修理情報等の固有情報をネットワーク220を介して営業センター160のホスト装置164に送信する。すなわち、営業センター160のホスト装置164のデータベース165には登録されていない情報を含めて送信する。営業センター160のホスト装置164は、修理センターのホスト装置194から送信された修理情報等の固有情報をデータベース165に記憶する。
【0065】
ステップS370で営業センター160のホスト装置164は、自身が所有するデータベース165に記憶された工具使用情報等の固有情報をネットワーク220を介して修理センター190のホスト装置194に送信する。すなわち、修理センター190のホスト装置194のデータベース195には登録されていない情報を含めて送信する。修理センター190のホスト装置194は、営業センター160のホスト装置164から送信された工具使用情報等の固有情報をデータベース195に記憶する。
【0066】
次に、空圧工具10Aの制御部54の動作について説明する。図11は、空圧工具10Aの制御部54の動作の一例を示すフローチャートである。本例では、修理センター190のホスト装置194により空圧工具10Aに固有情報を書き込むおよび空圧工具10Aから固有情報を読み出す場合の動作の一例について説明する。
【0067】
ステップS400で制御部54は、通信部69に端末装置192が接続されたか否かを判断する。これはケーブル126が通信部69に接続されたか否かにより判断できる。制御部54は、通信部69に端末装置192が接続されたと判断した場合にはステップS410に進み、接続されていないと判断された場合には接続されるまで待機する。
【0068】
ステップS410で制御部54は、端末装置192から空圧工具10Aの固有情報が送信されたか否かを判断する。つまり、端末装置192からメモリ部48に固有情報を書き込む書き込み要求がされたか否かを判断する。固有情報はホスト装置194のデータベース195から読み出されたものであり、固有情報としては例えば修理した際に得られる修理情報が送信される。空圧工具10Aの固有情報が供給されたと判断した場合にはステップS420に進み、固有情報が供給されていないと判断した場合にはステップS430に進む。
【0069】
ステップS420で制御部54は、端末装置192から供給された空圧工具10Aの固有情報をメモリ部48に記憶する。例えば、固有情報が修理情報である場合にはこの修理情報をメモリ部48に記憶する。
【0070】
ステップS430で制御部54は、空圧工具10Aのメモリ部48に記憶される固有情報を読み出す制御信号が端末装置192から送信されたか否かを判断する。ホスト装置194側では、メモリ部48に記憶される全ての固有情報を読み出すように指示することもできるし、一部の固有情報を読み出すように指示することもできる。制御部54は、制御信号が供給されたと判断した場合にはステップS440に進み、制御信号が供給されていないと判断した場合には他の指示を待機する。
【0071】
ステップS440で制御部54は、端末装置192からの制御信号に基づいてメモリ部48から固有情報を読み出して通信部69を介して端末装置192に送信する。端末装置192は、通信部139を介して固有情報を受信し、受信した固有情報を端末装置192に接続されたホスト装置194に供給する。ホスト装置194では、端末装置192から供給された固有情報をデータベース165に記憶する。
【0072】
このようにして、端末装置192およびホスト装置194によって、空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出したりできる。もちろん、端末装置192単体でも、空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、メモリ部48から固有情報を読み出したりできる。例えば、営業等により営業センター160から離れる場合等においては容易に携帯できるので、端末装置192を好適に使用できる。また、図11に示した動作により、販売店154のホスト装置158や営業センター160のホスト装置164からも空圧工具10Aのメモリ部48に固有情報を書き込んだり、空圧工具10Aのメモリ部48から固有情報を読み出したりすることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、例えば修理センター190に修理に出された空圧工具10Aから、顧客番号や顧客名、製造番号等の固有情報を読み出すことにより、空圧工具10Aの所有者を把握できる。そのため、この空圧工具10Aが以前から盗難情報として提供されている場合には、読み出した固有情報により空圧工具10Aが盗難品であるか否かを判断できるので、盗難の抑制効果を得ることができる。
【0074】
従来では、一般的なパーソナルコンピュータ等の情報処理装置のデータ伝送路の規格では情報処理装置を工具10A(の制御基板50A)に接続することは困難であったが、本実施の形態の端末装置152,156,162,192によれば工具10Aに直接接続することが可能となる。また、営業担当者は、端末装置152,156,162,192を顧客のところまで持参し、顧客の空圧工具10Aから工具使用情報や購入日などの固有情報を直接読み出すことで、空圧工具10Aの修理時期や買い替え時期等の警告を迅速に行うことができる。これにより、空圧工具10Aの販売促進につなげることができると共に、顧客本位のアフターや販売活動が行えるようになる。また、営業センター160のデータベース165から顧客が所有する空圧工具10Aの修理情報や工具使用情報を閲覧することができる。これにより、営業センター160からも電話や手紙等により顧客に空圧工具10Aの販売案内をすることができ、空圧工具10Aの販売促進を図ることができる。
【0075】
さらに、営業センター160のホスト装置164と修理センター190のホスト装置194とはネットワーク220を介して接続されているので、空圧工具10Aの最新の固有情報を共有することができる。
【0076】
[第2の実施の形態]
次に、上述した空圧工具10Aに代えて電動工具10Bを用いた場合について説明する。なお、上述した第1の実施の形態で説明した空圧工具10Aおよび制御基板50A等と共通する構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0077】
図12は、第2の実施の形態に係る電動工具10Bのブロック構成を示す図である。電動工具10Bは、制御基板50Bと、電池66と、センサ部64と、モータ70と、バッテリー72とを備える。制御基板50Bは、CPU56、ROM58およびRAM60から構成される制御部54と、メモリ部48と、タイマー部142と、複数のI/F68と、通信部69とを有する。
【0078】
モータ70はI/F68を介して制御部54に接続され、トリガ操作によりモータ70が回転駆動したときに生成される駆動信号を制御部54に供給する。また、モータ70は、モータ70の回転駆動が停止されたときに生成される停止信号が制御部54に供給する。制御部54は、モータ70から供給される駆動信号および停止信号のそれぞれに基づく制御信号をタイマー部142に供給する。
【0079】
タイマー部142は、制御部54から供給される制御信号に基づいてモータ通電時間を計測する。計測されたモータ通電時間はメモリ部48に既に記憶されているモータ通電時間に加算されて再度メモリ部48に記憶される。すなわち、メモリ部48には累積されたモータ通電時間が記憶される。
【0080】
バッテリー72はI/F68を介して制御部54やモータ70に接続される。制御部54は、バッテリー72の電動工具10Bへの装着時または電動工具10Bからの取り外し時の動作をトリガとして、バッテリー72の交換回数を計数する。
【0081】
制御部54には通信部69を介して端末装置162が接続され、端末装置162やこの端末装置162に接続されるホスト装置164から入力される電動工具10Bに関する固有情報が供給される。また、制御部54は、端末装置162からの指示に基づいて、メモリ部48から固有情報を読み出して、読み出した固有情報を通信部69を介して端末装置162や端末装置162に接続されるホスト装置164に供給する。
【0082】
メモリ部48は不揮発性の半導体メモリから構成され、制御部54の指示により、端末装置162やこれに接続されるホスト装置164から入力される電動工具10Bに関する固有情報を記憶する。またメモリ部48には、電動工具10Bのモータ通電時間、バッテリー72の交換回数、工具本体12の製造番号、工具本体12を購入した顧客の顧客番号、購入日、修理情報等の固有情報が記憶される。
【0083】
このように構成された電動工具10Bは、図示しないハウジング内部にモータ70が内蔵され、トリガ16を引き操作するとモータ70が作動し、モータ70により回転駆動伝達部を介してドライバビットが回転することでネジ止め作業を行う。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、電動工具10Bや各データベース159,165,195から電動工具10Bの固有情報を取得することができるので、電動工具10Bの修理時期の告知や営業の促進、さらには盗難防止の抑制効果を得ることができる。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0086】
上記第1および第2の実施の形態では、端末装置152,156,162,192をケーブル126を介して制御基板50A,50Bに接続していたがこれに限定されることはない。例えば、制御基板50A,50Bと端末装置152,156,162,192とのそれぞれに無線通信部を設けることにより、制御基板50A,50Bと端末装置152,156,162,192との間を無線通信で接続することもできる。また、端末装置152,156,162,192と空圧工具10A、電動工具10Bのそれぞれに発光素子および受光素子を設け、固有情報を手滅信号に変換して発光素子で発光させて、この点滅信号を受光素子により受光することにより固有情報を送受信させることもできる。
【符号の説明】
【0087】
10・・・空圧工具、50・・・制御基板、54・・・制御部、62・・・発光素子、64・・・センサ部、69…通信部、70・・・モータ、100・・・情報処理装置、104・・・表示部、124・・・受光素子、130・・・制御部、142・・・タイマー部、152,156,162,192・・・端末装置、158,164,192・・・ホスト装置、159,165,195・・・データベース、300・・・管理システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具の固有情報を情報処理装置により管理する管理システムであって、
前記工具は、
前記情報処理装置および当該情報処理装置と異なる他の情報処理装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記情報処理装置および/または前記他の情報処理装置から入力される前記工具の前記固有情報を得る制御部と、
前記制御部により得られた前記工具の前記固有情報を記憶する記憶部とを備え、
前記情報処理装置は、
前記工具と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記工具の前記記憶部から前記工具の前記固有情報を読み出す制御部と、
前記制御部により読み出された前記工具の前記固有情報を記憶するデータベースを有した記憶部とを備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置と前記他の情報処理装置は、
共通の前記データベースに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具本体の使用に関する工具使用情報であり、
前記工具の使用に伴って前記工具の前記記憶部に記憶される情報が更新される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具本体の使用に関する工具使用情報であり、
前記工具の作動回数、前記工具の通電時間および前記工具のバッテリー交換回数の少なくとも1以上を含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具を所有する顧客の顧客番号、顧客名、前記工具の購入日、前記工具を修理した際に得られる修理情報、および前記工具の使用情報の少なくとも1以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管理システム。
【請求項6】
前記工具の修理情報は、
前記工具の修理完了日、前記工具の修理内容および前記修理時に交換した交換部品の少なくとも1以上を含むことを特徴とする請求項5に記載の管理システム。
【請求項1】
工具の固有情報を情報処理装置により管理する管理システムであって、
前記工具は、
前記情報処理装置および当該情報処理装置と異なる他の情報処理装置と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記情報処理装置および/または前記他の情報処理装置から入力される前記工具の前記固有情報を得る制御部と、
前記制御部により得られた前記工具の前記固有情報を記憶する記憶部とを備え、
前記情報処理装置は、
前記工具と通信を行う通信部と、
前記通信部を介して前記工具の前記記憶部から前記工具の前記固有情報を読み出す制御部と、
前記制御部により読み出された前記工具の前記固有情報を記憶するデータベースを有した記憶部とを備えることを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記情報処理装置と前記他の情報処理装置は、
共通の前記データベースに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具本体の使用に関する工具使用情報であり、
前記工具の使用に伴って前記工具の前記記憶部に記憶される情報が更新される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具本体の使用に関する工具使用情報であり、
前記工具の作動回数、前記工具の通電時間および前記工具のバッテリー交換回数の少なくとも1以上を含む
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記工具の前記固有情報は、
前記工具を所有する顧客の顧客番号、顧客名、前記工具の購入日、前記工具を修理した際に得られる修理情報、および前記工具の使用情報の少なくとも1以上を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管理システム。
【請求項6】
前記工具の修理情報は、
前記工具の修理完了日、前記工具の修理内容および前記修理時に交換した交換部品の少なくとも1以上を含むことを特徴とする請求項5に記載の管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−101642(P2013−101642A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−279446(P2012−279446)
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−132314(P2008−132314)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月21日(2012.12.21)
【分割の表示】特願2008−132314(P2008−132314)の分割
【原出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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