説明

籾摺精米設備

【課題】
本発明は、籾摺精米設備において、籾を精米機に供給しないようにすることを課題とする。
【解決手段】
穀物を投入する投入ホッパ(1)と、投入ホッパ(1)に投入した穀物を揚穀する昇降機(2)と、昇降機(2)で揚穀した穀物を籾摺する籾摺機(M)と、穀物を精米処理する精米機(S)を設けた籾摺精米設備において、籾摺機(M)と精米機(S)との間の工程に、玄米と籾とを分離選別する選別機(K)を設け、選別機(K)で選別した籾を排出する排出口と、昇降機(2)の投入口とを籾案内筒(30)で連通する構成としたことを特徴とする籾摺精米設備とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾を籾摺精米するか玄米を精米する籾摺精米設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には籾摺精米設備に関して、夾雑物選別装置を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-276720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投入する穀物が籾の場合には精米機で精米処理する前に、籾摺機で脱ぷ処理される。しかしながら籾摺機Mでは100%脱ぷできず、一部の籾が精米機に供給されて精米処理される。そのため、若干の籾殻が発生して精白米と共に精白米タンクに排出される場合があった。
【0005】
本願発明は、籾摺精米設備において、籾を精米機に供給しないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、かかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講ずる。すなわち、請求項1記載の発明は、穀物を投入する投入ホッパ(1)と、投入ホッパ(1)に投入した穀物を揚穀する昇降機(2)と、昇降機(2)で揚穀した穀物を籾摺する籾摺機(M)と、穀物を精米処理する精米機(4)を設けた籾摺精米設備において、籾摺機(M)と精米機(4)との間の工程に、玄米と籾とを分離選別する選別機(K)を設け、選別機(K)で選別した籾を排出する排出口と、昇降機(2)の投入口とを籾案内筒(30)で連通する構成としたことを特徴とする籾摺精米設備とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、選別機(K)には籾摺機から供給された穀物から夾雑物を選別する夾雑物選別板(21)と、夾雑物選別板(21)を通過した穀物を籾と玄米とに分離する籾選別板(22)とを設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺精米設備とする。
【0008】
請求項3記載の発明においては、選別機(K)には玄米が通過する玄米流下板(23)を設け、選別機(K)に供給された穀物を籾選別板(22)に供給するか玄米流下板に供給するかを切り替える切替体(31)を設けたことを特徴とする請求項2記載の籾摺精米設備とする。
【0009】
請求項4記載の発明においては、夾雑物選別板(21)と籾選別板(22)は共通の揺動リンク(26)で揺動する構成とし、それぞれ異なる方向に下がり傾斜に配置する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の籾摺精米設備とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明においては、籾摺機で脱ぷ出来なかった一部の籾を精米機に供給しないで再度籾摺機に供給して脱ぷすることができるため、精白米に籾殻が混じる等の不具合を防止できる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、夾雑物を選別してから籾を選別する構成のため、夾雑物が再度籾摺機に供給するのを防止することができる。
請求項3記載の発明においては、投入ホッパに玄米を投入した場合には迅速に玄米流下板に供給して次工程に移送することができる。
【0012】
請求項4記載の発明においては、選別した夾雑物と籾とをそれぞれ異なる方向に取り出すことができるため構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】側面から見た籾摺精米設備の内部を示す図
【図2】正面から見た機械室を示す図
【図3】平面から見た籾摺精米設備の内部を示す図
【図4】側面から見た選別機を説明する図
【図5】平面から見た選別機を説明する図
【図6】側面から見た伝動構成を示す図
【図7】平面から見た伝動構成を示す図
【図8】利用者室側から見た図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を建屋式の料金式籾摺精米設備に基づいて説明する。
建屋T内を利用者が入る利用者室Rと機械室Bとを仕切壁5で仕切る。
この設備では利用者室R側を前、機械室B側を後とする。
【0015】
機械室Bには投入ホッパ1内に投入した穀物を揚穀する第一昇降機2と、籾を脱ぷする籾摺機Mと、籾摺機Mを通過した穀物から夾雑物や籾を選別する選別機Kと、石を抜く石抜機3と、精米機4と、精米機4の精米処理で発生した糠を処理する糠処理部Nを設ける。
【0016】
利用者室R側には操作盤6と投入ホッパ1の穀物投入口1aと白米タンク7の白米取り出し口7aを設ける。
操作盤6は料金投入口8と精白度選択スイッチ9を設けている。
【0017】
投入ホッパ1の側壁には投入した穀物が籾か玄米かを判別する籾玄米判別センサ10を設け、投入ホッパ1の底部には穀物を第一昇降機2に繰り出す繰り出しラセン11を設ける。第一昇降機2の後方に配置する籾摺機Mはインペラ式の脱ぷ装置12と、箱体状の風選部13とから構成される。脱ぷ装置12は風選部13の左右一側でかつ、機械室Bへの出入り用の扉14と対向する構成としている。
【0018】
第一昇降機2の投げ口と脱ぷ装置12とを穀物流下筒15で連結し、脱ぷ装置12と風選部13の上部とを穀物搬送筒16で連結する。
風選部13内は吸引ファン17と風選棚18とを設け、下部には穀物排出口19を設け、穀物排出口19から下方に向かって穀物排出筒20が延びる構成としている。
【0019】
選別機Kは夾雑物選別板21と籾選別板22と玄米流下板23と玄米排出筒24と籾排出筒25と揺動リンク26とを備える。夾雑物選別板21は穀物が通過して大きな異物が通過しない程度の夾雑物選別孔21aを多数形成し、機械室Bの後方に向かって下がり傾斜に配置する。籾選別板22は玄米が通過して籾が通過しない程度の籾選別孔22aを多数形成し、前方に向かって下がり傾斜に配置し、前端部に籾排出口27を形成している。玄米流下板23はフラットな板面で籾選別板22の下方にあって前方に下がり傾斜に配置し、前端部には玄米排出口28を設けている。
【0020】
夾雑物選別板21と籾選別板22と玄米流下板23は一体構成し、揺動リンク29で前後方向に揺動する構成である。玄米排出口28は玄米案内筒29を介して石抜機3の投入口と連通し、籾排出口27は籾案内筒30を介して第一昇降機2の投入口と連通する。
【0021】
夾雑物選別板21は選別機Kの穀物供給側、すなわち後側に配置し、夾雑物選別板21の下方には籾選別板22の上流側を配置する。籾選別板22の下方には玄米流下板23を平行に設け、籾選別板22の途中部には籾選別板22上の籾を玄米流下板23に案内するための切換弁31を設けている。
【0022】
尚、図5に示すように夾雑物選別板21の一部に穀物排出筒と対向する部分にフラット面のある穀物受け面21bを形成し、穀物排出筒から落下した穀物が当たることで穀物の拡散を促進し、選別性能を向上させている。また、籾選別孔22aは選別板面の一部のみ図示しているだけで、実際は全面に形成している。
【0023】
次に、選別機Kの伝動構成について説明する。
風選部13の下方には本機モータ32を設け、本機モータ32のプーリ33を機械室B内側に向けて設け、同様に吸引ファン17を駆動する吸引ファン軸34のプーリ35、インペラ36を駆動するインペラ軸37のプーリ38、選別機Kのプーリ39を機械室Bの内側に向けて設け、伝動ベルト40を巻き掛ける構成である。切換弁31は別途切替モータ(図示せず)を設けている。
【0024】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
利用者が籾を投入した場合について説明する。
利用者が料金を投入し、投入ホッパ1に籾を投入して、精白度選択スイッチ9を操作すると籾摺精米運転が開始する。繰り出しラセン11で籾を第一昇降機2に繰り出し、第一昇降機2で揚穀する。次いで穀物流下筒15を流下し、脱ぷ装置12のインペラ36で脱ぷし、穀物搬送筒16で風選部13に搬送し風選部13で籾殻を吸引除去する。
【0025】
風選部13を通過した脱ぷ米、すなわち籾と玄米の混合米は穀物排出口19から穀物排出筒20を経て夾雑物選別板21に供給される。夾雑物選別板21の夾雑物選別孔21aを通過しなかった夾雑物は後方の夾雑物案内筒37を経て夾雑物貯留箱38に貯留される。
【0026】
夾雑物選別板21を通過した脱ぷ米は籾選別板22に落下し、籾選別板22を流下する。籾選別板22を流下中に玄米は孔を通過して玄米流下板23に落下し、玄米排出口28から玄米案内筒29を経て石抜機3に供給される。籾選別板22で孔を通過しなかった籾は籾排出口27から籾案内筒30を経て第一昇降機2の投入口へ戻され、再度脱ぷ装置12で脱ぷ処理される。
【0027】
石抜機3に供給された玄米は石抜処理され、次いで第二昇降機41を経て精米機4で精米処理され白米タンク7に排出される。
精米機4で精米処理された糠は糠処理部Nのサイクロン42まで空気搬送されて、糠移送樋43内のラセン(図示せず)で順次糠袋44に貯留される。
【0028】
次に利用者が玄米を投入した場合について説明する。
利用者が料金を投入し、投入ホッパ1に玄米を投入して、精白度選択スイッチ9を操作すると精米運転を開始する。繰り出しラセン11で玄米を第一昇降機2に繰り出し、第一昇降機2で揚穀する。次いで穀物流下筒15を流下し、脱ぷ装置12のインペラ36で跳ね上げられて穀物搬送筒16で風選部13に搬送し、風選部13で小米を吸引除去する。
【0029】
風選部13を通過した玄米は穀物排出口19から穀物排出筒20を経て夾雑物選別板21に供給される。夾雑物選別孔21aを通過しなかった夾雑物は後方の夾雑物案内筒49を経て夾雑物貯留箱50に貯留される。
【0030】
夾雑物選別板21を通過した玄米は籾選別板22の上流側に落下し、籾選別板22を流下する。このとき、籾玄米判別センサ10の判別で玄米を判別しているのを受けて切換弁31が玄米を玄米流下板23に落下供給する側に切り換わり、玄米は籾選別板22の下流に流れることなく玄米流下板23から玄米排出口29、玄米案内筒30を経て石抜機3に供給される。
【0031】
石抜機3に供給された玄米は石抜処理され、次いで第二昇降機41を経て精米機4で精米処理され白米タンク7に排出される。
精米機4で精米処理された糠は糠処理部Nのサイクロン42まで空気搬送されて、糠移送樋43内のラセンで順次糠袋44に貯留される。
【0032】
本実施の形態における特徴や効果について以下記載する。
籾を籾摺精米する籾摺精米作業時に、精米機4に供給する前に籾を選別することで、精米機4から白米タンク7に籾殻が排出するのを防止できる。選別した籾を再脱ぷ処理を行なうことができるので、利用者が投入した籾を無駄なく籾摺精米処理することが出来、目減りを防止できる。また、投入ホッパ1に玄米を投入した場合には迅速に玄米流下板23に供給することで、迅速に次工程の石抜機3に移送することができる。また、選別した夾雑物と籾とをそれぞれ前後反対方向方向に取り出すことができるため、籾案内筒30や夾雑物案内筒49及び夾雑物貯留箱50を設けやすくすることができる。また、選別機Kを石抜機3より高い位置でかつ風選部13より低い位置に設けることで、穀物を上から下に順に落下搬送を行なうことができ、かつ籾案内筒30の角度を大きく取ることができ、選別した籾を円滑に第一昇降機に戻すことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 投入ホッパ
2 昇降機
4 精米機
21 夾雑物選別板
22 籾選別板
23 玄米流下板
26 揺動リンク
31 切替体(切換弁)
K 選別機
M 籾摺機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物を投入する投入ホッパと、投入ホッパに投入した穀物を揚穀する昇降機と、昇降機で揚穀した穀物を籾摺する籾摺機と、穀物を精米処理する精米機を設けた籾摺精米設備において、籾摺機と精米機との間の工程に、玄米と籾とを分離選別する選別機を設け、選別機で選別した籾を排出する排出口と、昇降機の投入口とを戻しダクトで連通する構成としたことを特徴とする籾摺精米設備。
【請求項2】
選別機には籾摺機から供給された穀物から夾雑物を選別する夾雑物選別板と、夾雑物選別板を通過した穀物を籾と玄米とに分離する籾選別板とを設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺精米設備。
【請求項3】
選別機には玄米が通過する玄米流下板を設け、選別機に供給された穀物を籾選別板に供給するか玄米流下板に供給するかを切り替える切替体を設けたことを特徴とする請求項2記載の籾摺精米設備。
【請求項4】
夾雑物選別板と籾選別板は共通の揺動リンクで揺動する構成とし、それぞれ異なる方向に下がり傾斜に配置する構成としたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の籾摺精米設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157804(P2012−157804A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18434(P2011−18434)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】