説明

籾摺選別機の操作装置

【課題】籾摺選別機のシャッタと揺動クラッチの操作の容易化。
【解決手段】籾摺部1、揺動選別板型の混合米選別部3を具備する籾摺選別機において、前後方向に所定間隔隔てた第1操作溝46及び第2操作溝47、これら操作溝46,47を接続する連通操作溝48によりU字型の操作溝Gを構成し、前後方向及び左右方向に回動可能な操作レバー36を操作溝Gに沿って移動可能に構成し、前記操作レバー36の左右一側には籾摺部へ籾を供給するシャッタ41を開閉操作すべく連動するシャッタ操作アーム39を前後方向に回動自在に設けると共に、上記操作レバー36を左右一側に回動すると前記シャッタ操作アーム39に係合可能で且つ操作レバー36を左右他側に回動するとシャッタ操作アーム39から離脱可能に構成し、前記操作レバー36には上記揺動選別板型の混合米選別部への伝動を入切連動する揺動クラッチに連繋する揺動操作アーム45を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺選別機の操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
籾摺選別機の操作装置において、第1操作レバーをU字型の操作溝に沿って移動可能に構成し、第1操作レバーを籾供給調節弁作動体に係合して閉位置から開位置に移動して籾供給調節弁を開作動し、次いで、第1操作レバーをクラッチ切り位置に移動して揺動クラッチ作動体に係合し、揺動切り位置から揺動入り位置に移動して揺動クラッチを入り状態にし、次いで、第二操作レバーを仕上米循環位置から仕上米排出位置に操作し、仕上米循環・排出弁を機内循環から機外取出に切り替えるものは公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−61402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術にあっては、第1操作レバーをU字型の操作溝に沿って操作することにより、第1操作レバーを籾供給調節弁作動体に係合して閉位置から開位置に移動して籾供給調節弁を開作動し、次いで、籾供給調節弁を開調節したままの状態で籾供給調節弁作動体との係合を離脱し、第1操作レバーをクラッチ切り位置に移動し揺動クラッチ作動体に係合し、次いで、揺動切り位置から揺動入り位置に移動して揺動クラッチを入り状態にするものである。
【0004】
従って、単一の操作レバーにより作業の進み具合に応じて籾供給調節弁及び揺動クラッチを関連的に操作できる点で優れるものではあるが、揺動クラッチの入/切操作は籾供給調節弁の開調節状態に限られ、籾供給調節弁の閉調節状態での揺動クラッチの入/切操作ができないという不具合があった。
【0005】
そこで、この発明は、単一の操作レバーによる操作でありながら、籾供給調節弁及び揺動クラッチの関連的操作、並びに、籾供給調節弁の操作とは切り離した揺動クラッチの単独操作を可能にして、前記不具合を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、籾摺部1、揺動選別板型の混合米選別部3を具備する籾摺選別機において、前後方向の所定間隔隔てた第1操作溝46及び第2操作溝47、第1及び第2操作溝46,47の端部を接続する左右方向の連通操作溝48によりU字型の操作溝Gを構成し、前後方向及び左右方向に回動可能な操作レバー36を前記操作溝Gに沿って移動可能に構成し、前記操作レバー36の左右一側には籾摺部へ籾を供給するシャッタ41を開閉操作すべく連動するシャッタ操作アーム39を前後方向に回動自在に設けると共に、上記操作レバー36を左右一側に回動すると前記シャッタ操作アーム39に係合可能で且つ操作レバー36を左右他側に回動するとシャッタ操作アーム39から離脱可能に構成し、前記操作レバー36には上記揺動選別板型の混合米選別部への伝動を入切連動する揺動クラッチに連繋する揺動操作アーム45を取り付けたことを特徴とする籾摺選別機の操作装置とする。
【0007】
前記構成によると、操作レバー36を連通操作溝48に沿って左右方向に回動すると、第1操作溝46あるいは第2操作溝47に移動し、前後方向に回動すると第1操作溝46及び第2操作溝47に沿って移動操作できる。しかして、操作レバー36を左右一側に回動すると、操作レバー36はシャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39に係合し、次いで、操作レバー36を前後方向に回動しシャッタ閉位置からシャッタ開位置に移動すると、シャッタ41が開調節されると共に、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが切り状態から入り状態に切り替えられる。
【0008】
また、操作レバー36を左右他側に回動すると、操作レバー36はシャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39から離脱して第2操作溝47の揺動クラッチ切り位置に移動し、次いで、操作レバー36を前後方向に回動し揺動クラッチ切り位置から揺動クラッチ入り位置に回動すると、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが入りに切り替えられる。
【0009】
請求項2の発明は、籾摺部1、揺動選別板型の混合米選別部3を具備する籾摺選別機において、前後方向の所定間隔隔てた第1操作溝46及び第2操作溝47、第1及び第2操作溝46,47の端部を接続する左右方向の連通操作溝48によりU字型の操作溝Gを構成し、前後方向及び左右方向に回動可能な操作レバー36を前記操作溝Gに沿って移動可能に構成し、前記操作レバー36の左右一側には籾摺部へ籾を供給するシャッタ41を開閉操作すべく連動するシャッタ操作アーム39を前後方向に回動自在に設けると共に、上記操作レバー36を左右一側に回動すると前記シャッタ操作アーム39に係合可能で且つ操作レバー36を左右他側に回動するとシャッタ操作アーム39から離脱可能に構成し、前記操作レバー36にはU型金具43とスプリング44を連結して操作レバー36を支点越え機構によって付勢し、前記操作レバー36には上記揺動選別板型の混合米選別部への伝動を入切連動する揺動クラッチに連繋する揺動操作アーム45を取り付けたことを特徴とする籾摺選別機の操作装置とする。
【0010】
前記構成によると、操作レバー36を連通操作溝48に沿って左右方向に回動すると、第1操作溝46あるいは第2操作溝47に移動し、前後方向に回動すると第1操作溝46及び第2操作溝47に沿って移動操作できる。しかして、操作レバー36を左右一側に回動すると、操作レバー36はシャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39に係合し、次いで、操作レバー36を前後方向に回動しシャッタ閉位置からシャッタ開位置に移動すると、シャッタ41が開調節されると共に、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが切り状態から入り状態に切り替えられる。なお、操作レバー36にはU型金具43を介してスプリング44を連結し支点越えするよう付勢しているので、この操作レバー36はシャッタ閉調節位置あるいはシャッタ開調節位置に保持される。
【0011】
また、操作レバー36を左右他側に回動すると、操作レバー36はシャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39から離脱して第2操作溝47の揺動クラッチ切り位置に移動し、次いで、操作レバー36を前後方向に回動し揺動クラッチ切り位置から揺動クラッチ入り位置に回動すると、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが入りに切り替えられる。なお、操作レバー36にはU型金具43を,介してスプリング44を連結し支点越えするよう付勢しているので、操作レバー36は揺動クラッチ切り位置あるいは揺動クラッチ入り位置に保持される。
【0012】
請求項3の発明は、操作溝Gの連通操作溝48の中途部に取り外し自在のストッパ51を設けたことを特徴とする請求項1に記載の籾摺選別機の操作装置とする。
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、連通操作溝48にストッパ51を設けた状態では、操作レバー36を左右一側にだけ回動可能となり、操作レバー36を左右一側に回動してシャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39に係合し、次いで、操作レバー36をシャッタ開位置からシャッタ閉位置に回動すると、シャッタ41が開調節されると共に、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが切り状態から入り状態に切り替えられ、シャッタ41と揺動クラッチとの関連的操作だけを行なうことができる。
【0013】
また、連通操作溝48からストッパ51を取り外した状態では、操作レバー36を左右他側にも回動可能となり、操作レバー36を左右他側に回動すると、シャッタ41操作用のシャッタ操作アーム39から分離し操作レバー36は第2操作溝47の揺動クラッチ切り位置に移動し、次いで、操作レバー36を前後方向に回動し揺動クラッチ切り位置から揺動クラッチ入り位置に操作すると、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチが入りに切り替えられ、揺動クラッチだけを単独操作することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明は、籾摺部1のシャッタ41の開閉及び揺動クラッチの入/切の関連的操作、並びに、揺動クラッチの単独操作をすることができて、操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項2の発明は、上記効果に加え、操作レバー36にはU型金具43とスプリング44を連結して操作レバー36を支点越え機構によって付勢するから操作感覚を向上する。すなわち、操作レバー36のシャッタ閉位置(A)からシャッタ開位置(B)への移動、及び、クラッチ切り位置(C)からクラッチ入り位置(D)への移動に関連して、U型金具43に連結されているスプリング44が支点越えをして弱状態から強状態を経て弱状態に変化するので、シャッタ41の開閉調節、及び、揺動クラッチの入/切を操作荷重が最初が弱いが次第に高くなることで操作終了を感覚的に察知できフィーリング感を良好としながら軽快確実に操作することができる。
【0016】
請求項3の発明は、操作溝Gの連通操作溝48にストッパ51を取り付けると、操作レバー36を左右一側にだけ回動操作が可能となって第1操作溝46に沿った操作だけが可能となり、シャッタ41及び揺動クラッチの関連的操作ができて、誤操作を防止しながら楽に運転操作をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下本発明の一実施形態について説明する。
まず、図1に基づきこの発明を具備する籾摺選別機の全体構成について説明する。
籾摺選別機は、機体の前側部に配置した籾摺部1と、機体の前後方向中間部に配置した摺落米風選部2と、機体の後側部に配置した揺動選別板型の混合米選別部3と、混合米揚穀機4及び玄米揚穀機6等により構成されている。
【0018】
籾摺部1は、籾ホッパ7と、籾摺ロール8,8の内装されている籾摺室9と、籾摺室9からの摺落米を摺落米風選部2に移送する振動型の摺落米移送棚11等で構成されている。
【0019】
摺落米風選部2は、選別始端側が下方に位置し、選別終端側が上方に位置し、中途部が後側の混合米選別部3側に屈曲している略上下方向に沿った摺落米選別風路12と、摺落米選別風路12の下端部に配設されている摺落米受樋13と、摺落米選別風路12の中途部に配置されている粃受樋14と、摺落米選別風路12の終端部に配設されている吸引ファン16と、排塵筒17等により構成されている。
【0020】
次に、揺動選別板型の混合米選別部3について説明する。
多段の揺動選別板21,…は、板面には選別用の凹凸が形成されていて、穀粒の流下方向である縦方向の始端側を高い供給側、終端側を低い排出側、選別方向である横方向の一方側を高い揺上側、反対側を低い揺下側として、揺動選別板21,…の縦方向及び横方向共に傾斜した構成とし、揺動選別板21,…を揺動アーム,揺動リンク等から構成されている揺動装置22で、横方向斜め上下の往復揺動を付与するように構成している。
【0021】
この揺動選別板21,…の供給側の例えば揺下側に供給口が構成されていて、混合米揚穀機4から揚穀された混合米が、混合米タンク23、分配供給樋24及び分配ケース26を経由して供給される構成である。揺動選別板21,…の排出側に対向して選別玄米と選別混合米を仕切る玄米仕切板27を横方向に移動調節自在に設けている。また、揺動選別板21,…の揺下側側壁21aの排出側には籾取出口28を設けると共に、揺下側側壁21aの側面に沿わせて籾還元流路29を設け、籾取出口28から取り出された選別籾が籾還元流路29に流入する構成である。
【0022】
しかして、揺動選別板21,…に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で、比重の重い小形の玄米は揺上側に偏流分布し、また、玄米に比較して大きく比重の軽い籾は、揺下側に偏流分布し、その中間部には分離されない籾・玄米の混合米が偏流分布しながら選別される。
【0023】
そして、揺下側に偏流分布した選別籾は揺下側側壁21aに沿って排出側に流下し、排出側終端部に到達する前に籾取出口28から籾還元流路29に取り出され、粃受樋14、籾揚穀機30を経て籾ホッパ7に揚穀還元され、再度の籾摺がなされる。
【0024】
また、揺下側の選別籾は籾取出口28から取り出しているので、揺動選別板21,…の排出側終端部では、揺上側に玄米が偏流分布し揺下側に選別混合米が偏流分布し、これらの選別穀粒は玄米仕切板27により仕切られて取り出される。そして、揺上側の選別玄米は玄米取出樋31、玄米揚穀機6を経て機外に取り出される。また、揺下側の選別混合米は混合米取出樋32、摺落米受樋13、混合米揚穀機4、混合米タンク23、分配供給樋24、分配ケース26を経て揺動選別板21,…に供給されて再選別される。
【0025】
また、揺動選別板21,…の縦方向の長さを例えば95センチメートルと長く、横方向の長さを45センチメートルと比較的短く構成し、揺動選別板21,…の縦方向の傾斜角度及び横方向傾斜角度を縦傾斜調節手段(図示省略)及び横傾斜調節手段により夫れ夫れ調節可能に構成している。従って、縦傾斜調節手段(図示省略)及び横傾斜調節手段を調節することにより、選別籾を揺動選別板21,…の排出側終端に至る前の籾取出口28により取り出しが終了し、揺動選別板21,…の排出側終端では選別玄米と選別混合米が偏流分布することとなる。
【0026】
次に、図2及び図3に基づき操作レバー36について説明する。
フレームには左右方向の軸37を軸架し、軸37のボス部37aには軸37に直交する軸38を介して操作レバー36の基部を軸支し、操作レバー36を軸37回りの前後方向、及び、軸38回りの左右方向に回動自在に支持している。前記軸37における操作レバー36の一側にはシャッタ操作アーム39の基部を軸支している。籾ホッパ7の供給口には供給量調節用のシャッタ41を開閉自在に軸支し、シャッタ41とシャッタ操作アーム39とをロッド42を介して連結する。すなわち、シャッタ41の軸41aには、ロッド42の一端を係合すべく長孔が形成され、該シャッタ41を開側に付勢するバネ41bを装着した連携板41cを固定し、上記レバー36によるシャッタ41の開き操作に追従し連携板41cが作動すべく構成している。
【0027】
また、軸37のボス部37aにはこのボス部37aと一体の取付棒37bを介してU型金具43の一端をピン連結し、U型金具43の他端をスプリング44の一端に連結し、スプリング44の他端をフレームに支持し、操作レバー36をスプリング44により基部側に引っ張り付勢している。即ち、操作レバー36の揺動動作に伴ってスプリング44の作用方向が軸37を越える所謂支点越え機構に構成され、いずれかの揺動位置を維持する構成である。また、操作レバー36の基部には揺動クラッチ(図示省略)操作用の揺動操作アーム45を連結し、揺動クラッチを連動連結するワイヤ45aの一端を連結している。また、平面視で操作レバー36の左右両側に前後方向の第1操作溝46及び第2操作溝47を配置し、第1操作溝46及び第2操作溝47の端部を連通操作溝48により接続し、U字型の操作溝Gを構成している。
【0028】
しかして、操作レバー36を軸38回りに左右方向に回動し、操作レバー36を連通操作溝48に沿ってシャッタ操作アーム39側に回動し、シャッタ閉鎖位置(A)に移動すると、閉鎖状態のシャッタ操作アーム39の係合凹部39aに操作アーム36が係合する。この状態ではシャッタ41は閉鎖状態にあり、揺動クラッチ(図示省略)はクラッチ切り状態にあり、U型金具43の操作レバー36との連結部は回動中心である軸37の前側(図2の左側)に位置し、スプリング44により下方に引っ張られ、シャッタ閉鎖位置に保持されている。
【0029】
次いで、操作レバー36を軸37回りに後側(図2の右側)に回動し、第1操作溝46の後側のシャッタ開位置(B)に移動させる。すると、シャッタ操作アーム39は同方向に回動し、ロッド42を介してシャッタ41が開調節されると共に、揺動操作アーム45を介して揺動クラッチ(図示省略)がクラッチ切り位置からクラッチ入り位置に切り替えられる。また、操作レバー36のシャッタ開位置(B)への移動により、U型金具43の操作レバー36との連結点は軸37の後側(図2の右側)に移動し、操作レバー36はスプリング44により下方に引っ張られ操作レバー36はシャッタ開位置(B)に保持される。
【0030】
また、操作レバー36を軸38回りに他側に回動し、操作レバー36を連通操作溝48に沿ってシャッタ操作アーム39から遠ざかるクラッチ切位置(C)に移動させる。すると、操作レバー36はシャッタ操作アーム39の係合凹部39aから離脱し、揺動操作アーム45は揺動クラッチ(図示省略)は切り状態にある。次いで、操作レバー36を軸37回りに後側(図2の右側)に回動し第2操作溝47のクラッチ入り位置(D)に移動する。すると、シャッタ41を閉調節にしたままの状態で、揺動クラッチ(図示省略)が切り状態から入り状態に切り替えられる。
【0031】
また、図4に示すように、操作レバー36と機枠との間にバネ50を介装して操作レバー36を常にシャッタ操作アーム39側に回動しがちに付勢するように構成してもよい。このように構成することにより、操作レバー36はシャッタ操作アーム39に係合しがちとなり、シャッタ41と揺動クラッチを関連的に操作する通常操作状態となり、操作性を向上させることができる。
【0032】
なお、操作レバー36のシャッタ閉位置(A)からシャッタ開位置(B)への移動、及び、クラッチ切り位置(C)からクラッチ入り位置(D)への移動に関連して、U型金具43に連結されているスプリング44が支点越えをして弱状態から強状態を経て弱状態に変化するので、シャッタ41の開閉調節、及び、揺動クラッチの入/切を操作荷重が最初が弱いが次第に高くなることで操作終了を感覚的に察知できフィーリング感を良好としながら軽快確実に操作することができる。
【0033】
また、図5に示すように、前後方向の第1操作溝46、前後方向の第2操作溝47、及び、第1操作溝46及び第2操作溝47の端部を接続する連通操作溝48により操作溝Gを構成し、連通操作溝48の中間部に蝶ボルト49等により容易に向き変更できるストッパ51を設けてもよい。
【0034】
このように構成することにより、ストッパ51を連通操作溝48に介在すべく設定する作動状態とすることにより、操作レバー36を連通操作溝48から第1操作溝46にだけ移動できる状態となり、シャッタ41及び揺動クラッチ(図示省略)を関連的に操作し、誤操作を防止しながら操作を向上させることができる。
【0035】
また、蝶ボルト49を緩めてストッパ51を向き変更し連通操作溝48から退避動作させ、操作レバー36を連通操作溝48から第2操作溝47にも移動可能な状態とし、操作レバー36を第2操作溝47に移動し、揺動クラッチ切り位置Cから揺動クラッチ入り位置Dに移動すると、シャッタ41の開閉調節をせずに、揺動クラッチ(図示省略)だけの入/切をすることができる。従って、揺動選別板21,…だけの揺動駆動あるいは揺動停止をすることができ操作性の向上を図ることができる。
【0036】
次に、図6に基づきシャッタ41と吸引ファン16の関連的調節構成について説明する。
吸引ファン16のケーシング16aの吸入口16bには風力調節板52を調節自在に設け、吸入口16bの開口面積を広狭に調節可能に構成している。そして、シャッタ41と風力調節板52とを連動ロッド53を介して連動連結し、シャッタ41を小供給状態に調節すると、ケーシング16aの吸入口16bの開面積が大に関連調節されて、摺落米選別風路10の選別風が弱く調節される。また、シャッタ41を大供給状態に調節すると、ケーシング16aの吸入口16bの開面積が小に関連調節されて、摺落米選別風路10の選別風が強く調節される。しかして、シャッタ41の供給量の増減調節に関連して摺落米選別風路10の選別風も関連的に強弱に調節され、調節操作を簡単化しながら籾摺作業を円滑に進めることができる。
【0037】
また、前記実施例にあっては、吸引ファン16のケーシング16aの吸入口16bに対して風力調節板52をスライド自在に構成して、吸入口16bの開口面積を広狭に調節するように構成したが、図7に示すように、風力調節板52を軸支52aして開口面積を広狭に調節するようにしてもよい。
【0038】
また、図8のように構成してもよい。即ち、混合米タンク23を上下動可能に支持すると共に、バネ(図示省略)により上方に持ち上げるように構成し、混合米タンク23と籾摺部1のシャッタ41とを供給連動ロッド54により連動連結すると共に、混合米タンク23と風力調節板52とを風力連動ロッド56により連動連結し、籾摺部1の供給量の増減に関連して、摺落米選別風路10の選別風量を関連的に強弱に調節するものである。
【0039】
また、図9に示すように構成してもよい。即ち、摺出米風選部2の摺落米選別風路10の中途部には粃受樋14を設け、粃受樋14には粃風力調節弁57を設けて、粃受樋14に流れる粃選別風量を調節可能に構成している。そして、籾摺部1のシャッタ41と粃風力調節弁57とを風力連動ロッド56により連動連結している。しかして、シャッタ41の開閉度に応じて粃風力調節弁57が関連的に調節され、粃受樋14の粃選別風量を粃量に合わせて調節することができ、操作を簡単化しながら籾摺作業を円滑に進めることができる。
【0040】
また、図10に示すように構成してもよい。即ち、混合米タンク23を上下動可能に支持すると共に、バネ(図示省略)により上方に持ち上げるように構成し、混合米タンク23と籾摺部1のシャッタ41とを供給連動ロッド54により連動連結すると共に、混合米タンク23と粃風力調節板57とを風力連動ロッド56により連動連結し、籾摺部1の供給量の増減に関連して、粃受樋14の粃選別風量を関連的に強弱に調節するものである。しかして、シャッタ41の開閉度に応じて粃風力調節弁57が関連的に調節され、粃受樋14の粃選別風量を粃量に合わせて調節することができ、操作を簡単化しながら籾摺作業を円滑に進めることができる。
【0041】
次に、図1、図11及び図12に基づき摺落米風選部2の摺落米受樋13と粃受樋14との関連構成について説明する。
摺落米選別風路12の下端部に摺落米受樋13を設け、摺落米受樋13の底部には摺落米ラセン13aを軸架して選別された摺落米を一側に移送し、混合米揚穀機4の下部に供給するように構成している。また、摺落米選別風路12の中途部には粃受樋14を設け、粃受樋14の底部には粃ラセン14aを軸架して選別された粃を一側に移送し、粃流路58を経て籾揚穀機30に供給し籾摺部1に還元するように構成している。
【0042】
摺落米受樋13の底板13bを開閉自在に軸支すると共に、粃受樋14の底板14bを開閉自在に軸支し、底板13bに取り付けたアーム59と底板14bに取り付けたアーム61とをロッド62により連動連結し、アーム59の端部には操作部59aが一体構成されている。摺落米受樋13の下方には残留穀粒を受ける受箱63を設けている。
【0043】
しかして、操作部59aを握ってアーム59を回動操作することにより、両底板13b,14を同時に開閉し、摺落米受樋13及び粃受樋14の残留穀粒を一挙に受箱63に回収することができる。従って、操作を簡単化しながら摺落米受樋13の底板13b及び粃受樋14の底板14bを一挙に開閉し清掃を容易にすることができる。
【0044】
また、前記受箱63は略機体幅と同幅の底板と前後左右の側板により上方開口状態に構成されている。しかして、摺落米受樋13の底板13bを閉鎖状態にすると、アーム59の下部側が受箱63の左側板の外側に位置し、また、アーム59を反時計方向に回動して上方に移動させると、アーム59が受箱63の左側板よりも上方に退避し、受箱63を側方に取り出すことができる。従って、アーム59は受箱63の係止ストッパの役目も兼ねている。
【0045】
次に、図13及び図14に基づき籾摺ロール8,8のロール間隙調節装置について説明する。
また、図13には籾摺ロール8,8の周知のロール間隙調節手段が図示されている。左側の籾摺ロール8は所定位置で回転駆動される固定籾摺ロールで、右側の籾摺ロール8は、機枠支持部67aに揺動可能に支持される遊動アーム67に軸架されている遊動籾摺ロールである。ロール間隙調節手段66が正逆駆動されて遊動アーム67が時計方向あるいは反時計方向に回動し、籾摺ロール8,8のロール間隙が開閉調節される構成である。すなわち、ロール間隙調節手段66は、上記遊動アーム67の上端側に配置する螺子駒67bに調節ロッド66aを設けており、該調節ロッド66aの正転によって螺合する上記螺子駒67bを図13の左方に移動させて籾摺ロールを接近させ籾摺ロール間隙を狭くする。逆に調節ロッド66aを逆転させると螺子駒67bを図13の右方に移動させて籾摺ロール間隙を広くする構成である。66bは上記調節ロッド66aを軸方向に付勢するスプリングで、調節ロッド66aの螺子部と螺子駒67bとのガタ等を吸収して調整精度を向上している。
【0046】
また、ロール間隙調節ハンドル68を手動操作してロール間隙調節手段66を正逆駆動し、手動で籾摺ロール8,8のロール間隙を開閉調節できる。
69は歯車減速手段で、歯車減速手段69の入力軸69aに主モータ71からの動力が入力され、入力された動力は大小の多数の歯車を経て大幅に減速されて出力軸69bから減速動力が取り出される構成である。出力軸69bから取り出された動力はスプロケット72、伝動チエン73、スプロケット74を経てロール間隙調節手段66の受動歯車66aに伝達され、ロール間隙調節手段66が駆動される構成である。
【0047】
前記歯車減速手段69は、小径ギヤ69cと大径ギヤ69dとを軸受69eによって一体化した単位ギヤ群69fを入力軸69aと出力軸69bに複数組配置し、大・小径を噛み合わせて超減速を可能とする。なお、入力軸69aは主モータ71の回転を例えば供給シャッタ近傍の繰出ロール69g(図13)を回転すべく連動する軸69hの回転をベベルギヤ69iを介して伝動可能に設け、該入力軸69aの回転を受動ギヤ69jを経て上記超減速ギヤ群69f,69f…に伝え、最終の超減速回転は出力ギヤ69kを経て出力軸69bを回転連動するものである。
【0048】
また出力軸69bにはクラッチ手段69mが構成され、オペレータの操作によって伝動を入・切できるように構成している。
しかして、籾摺作業の開始時に、クラッチを切り、ロール間隙調節ハンドル68を操作して籾摺ロール8,8の初期間隙を設定し、籾摺ロール8,8の籾摺作業が開始される。歯車減速手段69の入力軸69aに動力が伝達されると、入力軸69aに入力された動力は大小の多数の歯車を経て大幅に減速されて出力軸69bから減速動力が取り出される。取り出された動力はスプロケット72、伝動チエン73、スプロケット74を経てロール間隙調節手段66の受動歯車66aに伝達されて、ロール間隙調節手段66は超減速状態で駆動されてロール間隙が常時少しづつ閉調節され、摩耗したロール間隙を補いながら所定のロール間隙を維持しながら籾摺作業がなされる。
【0049】
前記のように構成したので、負荷電流値基準でロール間隙調節モータを開閉調節し所定のロール間隙を維持する制御と同様な制御を、メカ式でコストを低減しながら実現することができる。なお、常時低速で回転する小型モータによりロール間隙調節手段66を駆動するように構成してもよい。このように、常時ロール間隙が縮小方向に作動されるものであるため、所定時間置きに一挙に間隙縮小する従来形態に比較して変更時におけるロールへの負荷変動をなくして円滑なロール間隙制御をなし得る効果がある。
【0050】
次に、図15〜図17に基づき玄米揚穀機6の吸塵構成について説明する。
玄米揚穀機6を昇降機型に構成し、揚穀ケース部6aの上部には吸塵装置76を付設し、吸塵装置76を経由して玄米を取り出すように構成している。吸塵装置76は、吸塵ボックス76aと、穀粒がジグザグに方向変換しながら流下する流下通路76bと、流下通路76bの下部にその始端部を接続している集塵通路76cとにより構成されている。そして、集塵通路76cの終端側を吸塵通路77の始端側に可撓性筒体77aで接続し、断面長方形状に形成した吸塵通路77の中途部が揺動選別板21,…の上方を通るように配置し、分配供給樋24の近傍を通って機体前側に延設し、吸引ファン16の吸入部16a,16aに接続している。
【0051】
吸塵通路77の始端側函部77bを玄米揚穀機6の揚穀ケース部6aの側面に沿わせて下方に延長し、傾斜通路77cの終端を開口77dして揚穀ケース部6aの側面に接続すると共に該開口77d部には上部を支点として下方が揺動可能な閉鎖弁78を設けている。
【0052】
この閉鎖弁78は弾性力の弱いバネ(図示省略)を装着して閉鎖側に押圧するように構成し、閉鎖弁78に所定量の穀粒が溜まると、穀粒の自重により閉鎖弁78を押し開けて穀粒が揚穀ケース部6a内に流下するように構成している。従って、吸塵通路77の吸引力を常時高く保つことができる。
【0053】
次に、図15及び図18に基づき粃受樋14からの粃及び揺動選別板で選別された籾の還元構成及び機外取出構成について説明する。
粃受樋14に選別された粃は粃ラセン14aで一側に移送され、籾揚穀機30に供給される構成である。また前記籾取出口28から取り出された選別籾は籾還元流路29に流入し、さらに漏斗状の籾流路80を経て籾揚穀機30に供給される構成としている。なお、籾揚穀機30で揚穀される籾、粃は籾摺部1に還元される構成である。この籾流路58の下端部には籾切替板82を設け、籾を籾揚穀機30に供給する状態、あるいは、機外に取り出す状態に切り替え可能に構成している。しかして、籾切替板82を機外取出状態とすると、籾流路80を流下した籾は籾揚穀機30に流入せずに、機外に取り出される。しかして、籾処理の自由性を高めることができる。
【0054】
上記のように、粃と籾とを合流して籾摺部1に還元する形態において、籾揚穀機30に流入する手前側で籾の通路を切換えて排出することにより、粃混じりのない籾サンプルを取り出すことができ、籾の性状確認や選別程度の確認に都合がよい。
【0055】
なお、図15,図18において、符号83は籾玄米の揺動選別板の終端出口側に設ける籾仕切り板であり、図1の選別板と異なる形態としている。該籾仕切り板によって仕切られた主として籾は前記籾取出口28の籾と共に籾流路80で合流し籾揚穀機30に供給される構成としている。このように選別板の揺下げ側及び流下排出側の両者から排出される籾は夫々籾流路80に至るもので、この籾流路80を漏斗状に構成することによって円滑に籾揚穀機30に供給することができる。
【0056】
また、図15に示すように、粃受樋14から籾揚穀機30に至る接続樋部14bを下方に回動可能に構成することにより、粃を機外に取り出し可能であるが、該粃受樋14から機外に取り出した粃を粃案内板84を介して、摺落米受樋13の下方に配設した受箱63に回収するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】籾摺選別機の全体の切断側面図。
【図2】操作装置の側面図。
【図3】操作装置の平面図。
【図4】操作レバーの斜視図。
【図5】ストッパを付加した操作装置の平面図。
【図6】(1)籾摺部及び摺落米風選部の切断側面図。(2)籾摺部及び摺落米風選部の平面図。(3)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。(4)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。
【図7】(1)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。(2)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。
【図8】(1)籾摺部及び摺落米風選部の切断側面図。
【図9】(1)籾摺部及び摺落米風選部の切断側面図。(2)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。(3)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。
【図10】(1)籾摺部及び摺落米風選部の切断側面図。(2)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。(3)籾摺部及び摺落米風選部の側面図。
【図11】摺落米風選部の側面図。
【図12】摺落米風選部の平面図。
【図13】籾摺部の切断側面図。
【図14】籾摺間隙調節部の切断側面図。
【図15】籾摺選別機の全体側面図。
【図16】玄米揚穀機の斜視図。
【図17】玄米揚穀機の切断背面図。
【図18】選別穀粒の回収部斜視図。
【符号の説明】
【0058】
1 籾摺部
2 摺落米風選部
3 揺動選別板型の混合米選別部
4 混合米揚穀機
6 玄米揚穀機
36 操作レバー
39 シャッタ操作アーム
41 シャッタ
43 U型金具
44 スプリング
45 揺動操作アーム
46 第1操作溝
47 第2操作溝
48 連通操作溝
51 ストッパ
G 操作溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部1、揺動選別板型の混合米選別部3を具備する籾摺選別機において、前後方向の所定間隔隔てた第1操作溝46及び第2操作溝47、第1及び第2操作溝46,47の端部を接続する左右方向の連通操作溝48によりU字型の操作溝Gを構成し、前後方向及び左右方向に回動可能な操作レバー36を前記操作溝Gに沿って移動可能に構成し、前記操作レバー36の左右一側には籾摺部へ籾を供給するシャッタ41を開閉操作すべく連動するシャッタ操作アーム39を前後方向に回動自在に設けると共に、上記操作レバー36を左右一側に回動すると前記シャッタ操作アーム39に係合可能で且つ操作レバー36を左右他側に回動するとシャッタ操作アーム39から離脱可能に構成し、前記操作レバー36には上記揺動選別板型の混合米選別部への伝動を入切連動する揺動クラッチに連繋する揺動操作アーム45を取り付けたことを特徴とする籾摺選別機の操作装置。
【請求項2】
籾摺部1、揺動選別板型の混合米選別部3を具備する籾摺選別機において、前後方向の所定間隔隔てた第1操作溝46及び第2操作溝47、第1及び第2操作溝46,47の端部を接続する左右方向の連通操作溝48によりU字型の操作溝Gを構成し、前後方向及び左右方向に回動可能な操作レバー36を前記操作溝Gに沿って移動可能に構成し、前記操作レバー36の左右一側には籾摺部へ籾を供給するシャッタ41を開閉操作すべく連動するシャッタ操作アーム39を前後方向に回動自在に設けると共に、上記操作レバー36を左右一側に回動すると前記シャッタ操作アーム39に係合可能で且つ操作レバー36を左右他側に回動するとシャッタ操作アーム39から離脱可能に構成し、前記操作レバー36にはU型金具43とスプリング44を連結して操作レバー36を支点越え機構によって付勢し、前記操作レバー36には上記揺動選別板型の混合米選別部への伝動を入切連動する揺動クラッチに連繋する揺動操作アーム45を取り付けたことを特徴とする籾摺選別機の操作装置。
【請求項3】
操作溝Gの連通操作溝48の中途部に取り外し自在のストッパ51を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の籾摺選別機の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−35164(P2006−35164A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222018(P2004−222018)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】