説明

籾殻処理設備

【課題】ライスセンター等では、その施工の関係上できるだけ収容庫などの設置面積を少なくすることが求められるが、籾摺りによって生じる籾殻に対しては、重量は小さいものの嵩が大きいため、大きな容積の収容庫を準備する必要があると共に、籾殻搬送管も太く形成する必要があり、それによりに多大な費用を要するという問題があった。
【解決手段】籾摺部(100)及び風選部(200)と、この風選部(200)からの籾殻が通過する籾殻搬送管と、この籾殻搬送管に籾殻搬送の空気を供給する籾殻搬送ファン(57)と、前記籾殻搬送管の出口に接続した籾殻収容庫(55)とを備えた籾殻処理設備において、前記風選部(200)と前記籾殻搬送ファン(57)との間に籾殻粉砕機(51)を設けることを特徴とする籾殻粉砕処理設備により上記問題を解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺部で生じた籾殻を処理する設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、収穫した籾米を乾燥等して出荷するライスセンターのような大型の設備においては、玄米などを貯蔵する収容庫だけでなく、籾摺り工程で生じた籾殻を貯蔵する籾殻専用の収容庫を複数用意していた。このような大型の設備において籾殻を処理する主な設備は、籾摺部・風選部を有する籾摺選別装置と、この籾摺選別装置の風選部で分離した籾殻が通過するための籾殻搬送管と、この籾殻搬送管に空気を供給する籾殻搬送ファンと、籾殻搬送管に接続した籾殻収容庫とである(以後これらと、これらの付属品を含めて籾殻処理設備とする)。籾殻処理設備においては、籾摺り部で乾燥機から搬出される籾米を脱ぷした後、風選部で籾殻を分離し、その籾殻は籾殻搬送ファンにより籾殻搬送管内を通過して籾殻収容庫に蓄積される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玄米から剥離した後の籾殻は、重量は小さいものの嵩が大きいため、大きな容積の収容庫を要すると共に、風選部とその収容庫を接続する籾殻搬送管も太く形成する必要がある。ライスセンターでは、その施工の関係上できるだけ設置面積を少なく、また内部の要素の体積を小さくすることが求められるが、嵩の大きい籾殻の収容スペースは大きくせざるをえず問題となっていた。また、風選部と収容庫を接続する搬送管も太く、そして籾殻搬送ファンを大きくする必要があり、その施工に多大な費用を要することとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、籾米を脱ぷする籾摺部(100)と、この籾摺部(100)で生じた籾殻を籾殻選別ファン(12)により分離する風選部(200)と、この風選部(200)からの籾殻が通過する籾殻搬送管と、この籾殻搬送管に籾殻搬送の空気を供給する籾殻搬送ファン(57)と、前記籾殻搬送管の出口に接続した籾殻収容庫(55)とを備えた籾殻処理設備において、前記風選部(200)と前記籾殻搬送ファン(57)との間に籾殻粉砕機(51)を設けることを特徴とする籾殻粉砕処理設備である。
【0006】
また、請求項2記載の発明は、前記籾殻粉砕機(51)の籾殻搬入口に、籾殻一時収容タンク(52)を連設することを特徴とした請求項1に記載の籾殻粉砕処理設備である。
【0007】
また、請求項3記載の発明は、前記籾殻搬送ファン(57)が、加圧送風ファンであり、この籾殻搬送ファン(57)からの搬送空気が、前記籾殻粉砕機(51)の粉砕籾殻出口の側方から供給されると共に、前記粉砕籾殻出口にロータリーバルブ(53)を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の籾殻粉砕処理設備である。
【0008】
また、請求項4記載の発明は、前記籾殻収容庫(55)が、二以上の塵芥受入口を有することを特徴とする請求項1から請求項3に記載の籾殻粉砕処理設備である。
【0009】
また、請求項5記載の発明は、前記籾殻収容庫(55)が、水分を供給する湿式収容庫(55A)と、水分を供給しない乾式収容庫(55B)とから構成され、外気温度により、破砕籾殻の搬送先を選択する制御機を有することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の籾殻粉砕処理設備である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、風選部200と籾殻搬送ファン57との間に籾殻粉砕機51を設けることにより、籾殻を破砕して嵩の小さい破砕籾殻とすることができ、それを搬送する籾殻搬送ファン57を小型化したり、籾殻搬送管を細くすることができる。また、籾殻収容庫55を小さくできる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、籾殻粉砕機51の籾殻搬入口に、籾殻一時収容タンク52を連設することにより、一定量の籾殻を確実に破砕機に供給できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、粉砕籾殻搬出口にロータリーバルブ53を設けることにより、籾殻送風ファン57からの空気によって粉砕籾殻が粉砕機51の粉砕籾殻出口から入り込むことを防止できる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、籾殻収容庫55が二以上の塵芥受入口を有することにより、乾燥機から排出された塵芥等とその収容庫に収容することができ、塵芥等のために新たに収容庫を設ける必要がなくなる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、外気温度により粉砕籾殻の収容先を、湿式収容庫55Aと乾式収容庫55Bへ選択する制御機を有することにより、所定温度以上の場合には湿式の湿式収容庫55Aを用いて収容効率をあげることができると共に、所定温度以下の場合には乾式収容庫55Bを用いて内部の氷結を防止し、粉砕籾殻が搬出できないという事態を自動的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】籾殻処理設備の一部を構成する籾摺選別装置の正面図である。
【図2】本発明の要部である籾殻破砕機51周辺の構成図である。
【図3】籾摺破砕機51と、破砕籾殻を貯蔵する籾殻収容庫55との接続図である。
【図4】籾殻収納庫55の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつ
つ説明する。
【0017】
まず、図1は本発明に係る籾殻処理設備の一実施形態の一部を構成する籾摺選別装置の全体構成を示した正面図である。
本籾摺選別施設は、籾米を脱ぷする籾摺部100と、この籾摺部100で分離した摺落米(玄米、籾米、籾殻)を籾殻選別ファン12により風選する風選部200と、風選後の混合米を籾・玄米に分離選別する揺動選別部300と、その他図示しない、玄米を粒選別する粒選別部・穀粒を搬送する揚穀機・穀粒通路等により構成する。
【0018】
籾摺部100は、籾ホッパ1と一対の籾摺ロ−ルが内装されている籾摺室2とで構成する。また、風選部200は次のように構成されている。即ち摺落米風選ケ−ス3内に摺落米風選路4を斜設し、摺落米風選路4の上部には、籾摺部100から摺落米の供給される摺落米供給口5を開口している。摺落米供給口5の終端部には下方に屈曲するように籾殻風路6を接続し、籾殻風路6の終端部に対向して、籾殻選別ファン12を配置し、籾殻選別ファン12の吸引部を籾殻風路6の終端部に連通し、籾殻選別ファン12の送風部を循環風路13の始端部に連通し、循環風路13の終端部を前記摺落米風選路4の始端部に連通している。このように、摺落米風選路4・籾殻風路6・籾殻選別ファン12・循環風路13の順に、循環選別風路を構成している。
【0019】
この循環選別風路を摺落米が通過することにより籾殻が分離される。分離された籾殻は、籾殻風路6の終端部下方に設けた籾殻移送ラセン7を有する籾殻受樋8に集積し、籾殻移送ラセン7によりその終端側に移送され、籾殻繰出バルブ9で下方の籾殻排出通路11に繰り出されることにより、風選部200から搬出される。
【0020】
図2は、本発明の要部である籾殻破砕機51周辺の構成図である。
風選部200に接続し、籾殻搬送管の一部をなす籾殻排出通路11は、その他端を籾殻一時収容タンク52に接続し、その籾殻一時収容タンク52は籾殻粉砕機51の籾殻搬入口に連接した構成としている。籾殻繰出バルブ9で繰出された籾殻はこの籾殻一時収容タンク52に蓄えられ、この籾殻一時収容タンク52からは設定量以下の籾殻が籾殻粉砕機51に排出されるため、籾殻粉砕機51の粉砕能力以上の籾殻が供給されることがなくなり、確実に籾殻を粉砕することができる。
【0021】
本実施形態にかかる籾殻粉砕機51は、粉砕室内で高速回転する粉砕刃51Aによって籾殻粉砕を行なう方式のものであるが、籾殻を加圧しつつ磨り潰しながら粉砕するスクリュー式粉砕装置を採用することもできる。籾殻粉砕機51により粉砕された籾殻の嵩は、粉砕前の1/10程度のものとなる。また、籾殻は分解しにくくそのままでは堆肥として用いることは難しいが、粉砕されることで堆肥として用いることが容易となる。
【0022】
籾殻粉砕機51の粉砕籾殻出口には、粉砕籾殻を定量的に繰り出すロータリーバルブ53を設け、そのロータリーバルブ53には籾殻排出通路11の1/2から1/3程度の径の破砕籾殻排出通路54を接続し、その破砕籾殻排出通路54の出口は籾殻収容庫55まで到達するように構成する。また、籾殻粉砕機51の粉砕籾殻出口近傍には、側方から搬送空気が供給されるように送風管56を設け、その送風管56へは加圧送風ファンである籾殻搬送ファン57により搬送空気が供給され、その搬送空気により破砕籾殻が籾殻収容庫55に搬送される。
【0023】
風選部200と、籾殻搬送ファン57との間に、籾殻粉砕機51を設けたことにより、籾殻を破砕して嵩の小さい破砕籾殻とすることができ、籾殻粉砕機51の粉砕籾殻出口から籾殻収容庫55に至る籾殻搬送管を細くすることができると共に、籾殻収容庫55を小さくできる。破砕方法にもよるが、籾殻収容庫の容積については、従来の1/10程度にまで小さくできるので、設置面積が大幅に小さくなると共に、搬送管についても細くすることができるのでコストを大幅に削減することができる。また、通常の籾殻は、エア搬送を行うと部材の磨耗が大きいという問題があったが、破砕籾殻はその磨耗が少なく設備の耐久性が向上する。
【0024】
また、風選部200と籾殻収容庫55とを接続する籾殻搬送管は、通常十数mの長さとなるため、籾殻搬送ファン57には加圧送風ファンを用いる必要があるが、籾殻粉砕機51により籾殻を粉砕するので、その容量を小さくしてコストを削減することができる。籾殻粉砕機51の粉砕籾殻出口には、ロータリーバルブ53を設ける。これにより、籾殻送風ファン57からの搬送空気によって粉砕籾殻が粉砕籾殻出口から入り込むことを防止できる。
【0025】
図3は、籾摺破砕機51と、破砕した籾殻を貯蔵する籾殻収容庫55との接続図である。通常籾殻収容庫55は籾殻専用の収容庫として取り扱う必要があるが、粉砕された籾殻は乾燥機等で発生する塵芥とその粒径が大きく変わらないので、同じ収容庫として設置することができる。この場合、籾殻収容庫55には粉砕籾殻搬出通路54と接続する塵芥受入口のほかに、乾燥機等からの塵芥の通路である塵芥通過通路59と接続する他の塵芥受入口を設ける。籾殻収容庫55が二以上の塵芥受入口を有することにより、籾殻収容庫55とは別の塵芥等のための収容庫を設ける必要がなくなる。
【0026】
ライスセンター等には複数の籾殻収容庫55を準備しており、それらは水分供給機能を有する。通常収容庫の収容効率を上げるため、破砕籾殻を収容庫55に貯蔵した後、破砕収容庫内に水分を供給し破砕籾殻の容積を圧縮する。しかし、寒冷地の場合、籾摺りを行う時期が遅くなると夜間に外気温度が氷点下以下になることがある。この場合には水分を供給すると湿式収容庫55A内部が氷結し、破砕籾殻を湿式収容庫55Aから取り出すことができなくなる。そのため籾殻収容庫55を、水分を供給する湿式収容庫55Aと、水分を供給しない乾式収容庫55Bに分けて使用する。
【0027】
このように収容庫を分けて使用する場合に、使用者が外気温度等を予想し、破砕籾殻搬出通路54内にある選択弁58を操作することも可能であるが、本実施形態においては、その選択弁58の操作を外気温度により判断することができる制御機を設置し、自動で行うようにしている。外気温度により粉砕籾殻の収容先を、湿式収容庫55Aと乾式収容庫55Bへ選択する制御機を有することにより、所定温度以下の場合には乾式収容庫55Bを用いて内部の氷結を防止し、粉砕籾殻が搬出できないという事態を自動的に防止することができる。
【0028】
籾殻収容庫55は最下端中央に粉砕籾殻の吐出口60を設け、その吐出口60を開閉し粉砕籾殻を自然落下させて搬出する。以前までの籾殻と同様、粉砕籾殻においても搬出する場合にもブリッジ現象を生じるという問題があったため、籾殻収容庫55の下端面に排出を促進する為のエアーバック61と、そのエアーバック61にエアを供給する送気装置62を設ける構成とした。またエアーバック61にはそのエアーバック61内のエアを排気する為の排気弁を複数設けている。
【0029】
このエアーバック61は、粉砕籾殻排出を始めると同時に徐々に膨らませ、籾殻収容庫55からの粉砕籾殻の排出を促進すると共に、粉砕籾殻が排出されたあとは複数の排気弁を用いることで効率よくエアーバック61を元の状態に戻すことが可能となる。なお複数の排気弁のほかに送気方向を切り替える弁を設けて、より効率よくエアーバック61を元の状態に戻すことや、粉砕籾殻のブリッジ現象を検出してエアーバック61へのエアの供給を自動で行うことも可能である。
【0030】
なお、本発明に係る実施形態としてライスセンター等に設置される籾殻処理設備について詳説したが、例えばコイン精米機等の小型の設備内に配備される籾殻処理設備についても本発明を適用することが可能である。
【0031】
1 籾ホッパ
2 籾摺室
3 摺落米風選ケ−ス
4 摺落米風選路
5 摺落米供給口
6 籾殻風路
7 籾殻移送ラセン
8 籾殻受樋
9 籾殻繰出バルブ
11 籾殻排出通路
12 籾殻選別ファン
13 循環風路
51 籾殻粉砕機
51A 粉砕刃
52 籾殻一時収容タンク
53 ロータリーバルブ
54 破砕籾殻搬出通路
55 籾殻収容庫
55A 湿式籾殻収容庫
55B 乾式籾殻収容庫
56 送風管
57 籾殻搬送ファン
58 選択弁
59 塵芥通過通路
60 吐出口
61 エアーバック
62 送気装置
100 籾摺部
200 風選部
300 揺動選別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾米を脱ぷする籾摺部(100)と、
この籾摺部(100)で生じた籾殻を籾殻選別ファン(12)により分離する風選部(200)と、
この風選部(200)からの籾殻が通過する籾殻搬送管と、
この籾殻搬送管に籾殻搬送の空気を供給する籾殻搬送ファン(57)と、
前記籾殻搬送管の出口に接続した籾殻収容庫(55)とを備えた籾殻処理設備において、
前記風選部(200)と前記籾殻搬送ファン(57)との間に籾殻粉砕機(51)を設けることを特徴とする籾殻粉砕処理設備。
【請求項2】
前記籾殻粉砕機(51)の籾殻搬入口に、
籾殻一時収容タンク(52)を連設することを特徴とした請求項1に記載の籾殻粉砕処理設備。
【請求項3】
前記籾殻搬送ファン(57)が、加圧送風ファンであり、
この籾殻搬送ファン(57)からの搬送空気が、
前記籾殻粉砕機(51)の粉砕籾殻出口の側方から供給されると共に、
前記粉砕籾殻出口にロータリーバルブ(53)を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の籾殻粉砕処理設備。
【請求項4】
前記籾殻収容庫(55)が、
二以上の塵芥受入口を有することを特徴とする請求項1から請求項3に記載の籾殻粉砕処理設備。
【請求項5】
前記籾殻収容庫(55)が、
水分を供給する湿式収容庫(55A)と、水分を供給しない乾式収容庫(55B)とから構成され、
外気温度により、破砕籾殻の搬送先を選択する制御機を有することを特徴とする請求項1から請求項4に記載の籾殻粉砕処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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