粉体搬送装置及び画像形成装置
【課題】複数の搬送管で回収したトナーをそれぞれ搬送部材の駆動によって個別に搬送する場合に比べて構成の簡素化を図りつつ、合流部103内でのトナー詰まりの発生を抑える。
【解決手段】鉛直方向に延びる第1搬送管101の下方に位置しつつ、水平方向に延びる第2搬送管102の側方に位置するように配設され、第1搬送管101から落下してくるトナー、及び第2搬送管102から搬送されてくるトナーを、をそれぞれ受け入れながら、回収トナー容器120に向けて重力落下させる合流部103に、第1搬送管101から落下してくるトナーを受け入れながら重力落下させる第1落下領域A1と、これに連通しつつ第2搬送管102から送り込まれてくるトナーを第1落下領域A1よりも手前側で重力落下させる第2落下領域A2とを設けた。
【解決手段】鉛直方向に延びる第1搬送管101の下方に位置しつつ、水平方向に延びる第2搬送管102の側方に位置するように配設され、第1搬送管101から落下してくるトナー、及び第2搬送管102から搬送されてくるトナーを、をそれぞれ受け入れながら、回収トナー容器120に向けて重力落下させる合流部103に、第1搬送管101から落下してくるトナーを受け入れながら重力落下させる第1落下領域A1と、これに連通しつつ第2搬送管102から送り込まれてくるトナーを第1落下領域A1よりも手前側で重力落下させる第2落下領域A2とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と第2搬送管とを途中で合流させる合流部を具備する粉体搬送装置、並びにこれを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体としてのトナーを用いてトナー像を形成する画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のような電子写真方式の画像形成装置では、感光体などの潜像担持体の表面に形成した潜像に対してトナーを選択的に付着させることでトナー像を形成する。また、特許文献2に記載のような直接記録方式の画像形成装置では、トナー飛翔手段からドット状に飛翔させたトナー群を記録体や中間記録体に直接付着させてトナー像を形成する。何れの方式においても、潜像担持体やトナー飛翔手段などにおいて、転写残や飛散などによってトナー像の形成に寄与することができなかった使用済みトナーがどうしても発生してしまう。これらの使用済みトナーについては、クリーニング装置などによって回収した後、廃棄や再利用のためにトナー搬送装置によって回収トナー容器に搬送するのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像形成装置の小型化やカラー化などが進められる近年においては、トナー搬送装置の構成がより複雑化する傾向にある。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、潜像担持体たる感光体1つしか備えていないため、感光体の表面上から回収した転写残トナーを回収容器まで搬送するための搬送管を1本だけ設ければよい。これに対し、カラー画像を形成する画像形成装置においては、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)トナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの感光体を備えているものがある。この種の画像形成装置では、4つの感光体から転写残トナーをそれぞれ個別に回収するための4つの搬送管が必要になるため、トナー搬送装置の構成がより複雑化する。そこで、本発明者らは、4つの感光体を設けた画像形成装置に搭載するトナー搬送装置として、図1に示すものを新規に開発中である。同図において、画像形成装置のトナー搬送装置は、第1搬送管960と、第2搬送管970と、それら搬送管が合流する合流部980とを具備している。第1搬送管960は、鉛直方向に延在する姿勢で配設され、鉛直方向における上側端部が図示しないベルトクリーニング装置に接続されるとともに、下側端部が合流部980に接続されている。この第1搬送管960の上側端部に接続された図示しないベルトクリーニング装置は、図示しない中間転写ベルトに対して転写残トナーのクリーニング処理を施すものである。ベルトクリーニング装置によって中間転写ベルトから除去されたトナーは、第1搬送管960に送り込まれる。そして、第1搬送管960内を重力落下して、合流部980内に進入する。
【0004】
第2搬送管970は、水平方向に延在する姿勢で配設されている。この第2搬送管970の内部には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるスクリュウ部材971が配設されている。第2搬送管970に対しては、Y(イエロー)回収トナー、M(マゼンタ)回収トナー、C(シアン)回収トナー、K(ブラック)回収トナーをそれぞれ重力落下によって個別に落とし込むためのYトナー搬送管、Mトナー搬送管、Cトナー搬送管、Kトナー搬送管が図示しない領域で接続されている。Y,M,C,Kトナー搬送管は、Y,M,C,Kトナー像を作像するための図示しないY,M,C,K用の感光体から回収されたY,M,C,K転写残トナーをそれぞれ個別に第2搬送管970に落とし込むためのものである。第2搬送管970内に落とし込まれたY,M,C,K転写残トナーは、スクリュウ部材971の回転駆動に伴って図中右側から左側に向けて搬送されながら、合流部980内に送り込まれる。
【0005】
合流部980は、第1搬送管960に対してその下方から一直線状に繋がった状態で鉛直方向に延在している。そして、第1搬送管960から受け入れたトナーや、第2搬送管970から受け入れたトナーを、重力落下によって図示しない回収トナー容器内に落とし込む。
【0006】
このように、開発中のトナー搬送装置においては、第1搬送管960、第2搬送管970、及び図示しないY,M,C,Kトナー搬送管を最終的に1つにまとめてから回収トナー容器に重力落下させる。かかる構成では、それぞれの搬送管で回収したトナーをトナー容器の直前までスクリュウ部材等の搬送部材によって個別に搬送する場合に比べて、トナー搬送装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0007】
しかしながら、このトナー搬送装置においては、図2に示すように、合流部980内をトナーで詰まらせ易いという問題があった。そこで、本発明者らは、合流部980をトナーで詰まらせてしまう原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、各トナー搬送管内のトナー量は、複数の記録紙に対して画像を連続的に形成する連続画像形成動作のときに多くなる。但し、連続画像形成動作中に出力されるトナー像の累積画像面積が比較的小さい場合には、画像形成に伴って発生する転写残トナーが比較的少ないことから、図3に示されるように、第2搬送管970内でのトナー搬送量が比較的少なくなる。この状態では、スクリュウ部材971の周りに保持されるトナーがスクリュウ回転方向に自由に動き回れることから、スクリュウ部材971からトナーに付与されるスクリュウ軸線方向への力が比較的弱くなる。このため、トナーは、底壁のない合流部980に進入すると、スクリュウ軸線方向にはそれほど移動せず、回収容器に向けて速やかに落下する。これに対し、連続画像形成動作中に出力されるトナー像の累積画像面積が比較的大きい場合には、画像形成に伴って発生する転写残トナーが比較的多いことから、図4に示されるように、第2搬送管970内でのトナー搬送量が比較的多くなる。この状態では、スクリュウ部材の周りに保持されるトナーのスクリュウ回転方向の動きがある程度制限されることから、スクリュウ部材971からトナーに対して付与されるスクリュウ軸線方向への力が比較的強くなる。すると、図示のように、トナーが第2搬送管970内から合流部内に勢い良く飛び出して、合流部980の側壁にぶつかりながら回収容器に向けて落下するようになる。このとき、合流部980の側壁にぶつかったトナーの一部が側壁に固着すると、そのトナーの上に新たなトナーが固着していって、やがて図5に示すような庇状のトナー塊を形成する。このトナー塊は、第1搬送管960から落下してくるトナーや、累積画像面積の比較的大きな連続画像形成動作が行われたときに第2搬送管970から勢い良く飛び出してくるトナーが付着することで成長していき、やがて図2に示したように、合流部980内を塞いでしまうのである。
【0008】
なお、同図では、第2搬送管970内のスクリュウ部材971を合流部980の内部まで延ばした構成を示したが、合流部980まで延ばさない構成であっても、第2搬送管970内のトナー量やスクリュウ部材971によるトナー搬送速度によっては、同様のトナー詰まりを発生させるおそれがある。また、粉体たるトナーを搬送するトナー搬送装置にて発生する問題について説明してきたが、トナーとは異なる粉体を搬送する粉体搬送装置においても、同様の問題を生じ得る。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような粉体搬送装置や画像形成装置を提供することである。即ち、複数の搬送管で回収した粉体をそれぞれ搬送先の直前まで搬送部材の駆動によって個別に搬送する場合に比べて構成の簡素化を図りつつ、合流部内での粉体詰まりの発生を抑えることができる粉体搬送装置や画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と、粉体を前記搬送先に向けて搬送するための第2搬送管とを有する粉体搬送装置において、前記第1搬送管として、粉体を重力落下によって前記搬送先に向けて落とし込むものを用い、前記第2搬送管として、粉体を搬送部材の駆動によって相対的に水平方向に搬送するものを用い、前記第1搬送管の下方に位置しつつ、前記第2搬送管の側方に位置するように配設され、前記第1搬送管から落下してくる粉体、及び前記第2搬送管から搬送されてくる粉体を、をそれぞれ受け入れながら、前記搬送先に向けて重力落下させる合流部を設け、且つ、前記第1搬送管から落下してくる粉体を前記第1搬送管の真下で受け入れながら前記搬送先に向けて重力落下させる第1落下領域と、前記第1搬送管の真下よりも前記第2搬送管の側にずれた位置で前記第1落下領域に連通するように配設され、前記第2搬送管から送り込まれてくる粉体を前記第1落下領域よりも手前側で前記搬送先に向けて重力落下させる第2落下領域とを、前記合流部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の粉体搬送装置において、前記搬送部材として、回転軸部材とこれの周面に立設された螺旋状の突起とを具備するスクリュウ部材を用い、このスクリュウ部材の軸線方向における一端部を前記第2搬送管内から前記合流部内に通して管外に抜けさせたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材における前記螺旋状の突起の粉体搬送方向下流端を前記第2落下領域内に位置させ、前記第1落下領域内には、前記スクリュウ部材における前記回転軸部材と前記螺旋状の突起とのうち、前記回転軸部材だけを位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材の前記回転軸部材の回転軸線方向における全域のうち、前記第1落下領域内の箇所に、可撓性の羽根部材を固定し、前記回転軸部材とともに回転する前記羽根部材の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、前記第1落下領域の内壁に摺擦させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、片持ち支持された状態で自由端側を前記スクリュウ部材の前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の粉体搬送装置において、所定の回転角度位置で前記摺擦部材を弾く突起を、前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材に振動を与える加振手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、粉体としてのトナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段から回収されたトナーを回収トナー貯留手段に向けて搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、前記トナー搬送装置として、請求項1乃至7の何れかの粉体搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
これらの発明においては、第1搬送管によって搬送される粉体と、第2搬送管によって搬送される粉体とを合流部で合流させて1つにまとめた後に、搬送先に向けて重力落下させる。これにより、それぞれの搬送管の粉体を搬送先の直前まで搬送部材の駆動によって個別に搬送する場合に比べて構成の簡素化を図ることができる。
また、これらの発明において、搬送部材の駆動によって第2搬送管から合流部内に勢い良く飛び出した粉体が、第2搬送管と対面している合流部側壁にぶつかるためには、合流部における第2落下領域と第1落下領域とを横切る必要がある。この間、粉体は、空気抵抗を受けて合流部側壁に向けての移動力が弱められていくため、第2搬送管から飛び出した直後の状態よりも弱い力で合流部側壁にぶつかる。図4に示した開発中のトナー搬送装置では、合流部980に進入したトナーは第1落下領域に相当する第1搬送管960の直下を横切るだけで合流部側壁にぶつかってしまう。これに対し、本発明では、粉体が合流部側壁にぶつかるためには、第1落下領域に加えて第2落下領域も横切る必要があり、その分だけ余計に合流部側壁にぶつかるときの力が弱められる。このため、開発中のトナー搬送装置に比べて、粉体が合流部側壁に固着し難くなる。本発明では、このようにして粉体を合流部側壁に固着させ難くすることで、合流部内での粉体詰まりの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】開発中のトナー搬送装置の要部を示す縦断面図。
【図2】合流部でトナー詰まりを発生させた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図3】単位時間あたりのトナー搬送量が比較的少ない状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図4】庇状のトナー塊を形成し始めた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図5】同トナー塊を成長させた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図6】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図7】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図8】同プリンタにおける転写ユニット15とその周囲構成とを示す斜視図。
【図9】同プリンタのトナー搬送装置を示す縦断面図。
【図10】第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す縦断面図。
【図11】第2実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【図12】回転軸部材に固定された羽根部材の自由端を第1搬送管の内壁に突き当てている状態の同合流部を示す横断面図。
【図13】第3実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【図14】第1搬送管の内壁に片持ち支持される摺擦部材の自由端を回転軸部材から離間させた状態の同合流部を示す横断面図。
【図15】摺擦部材の自由端を第1搬送管の内壁から離間させた状態の同合流部を示す横断面図。
【図16】第4実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図6は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、Y,M,C,Kのトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図7に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像装置5K等を備えている。これらが一体的に共通の支持体に支持された状態で、プリンタ本体に脱着されるようになっている。
【0014】
帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置5KによってKトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0015】
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、除電装置は、クリーニング後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0016】
現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。
【0017】
ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。このトナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0018】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2K及びトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0019】
図7を用いてK用のプロセスユニットについて説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0020】
先に示した図6において、プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、光書込装置70が配設されている。潜像書込装置たる光書込装置70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット1Y,M,C,Kにおける感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置70は、光源から発したレーザー光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0021】
プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,K、2次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0022】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17、従動ローラ18、クリーニングバックアップローラ22及び4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0023】
4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0024】
1次転写ローラ19Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、1次転写ローラ19Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ19Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0025】
Y用のプロセスユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト16上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0026】
転写ユニット15の2次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、2次転写ローラ20とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間には、2次転写電界が形成される。
【0027】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0028】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0029】
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0030】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。なお、以下、ベルトクリーニング装置21によって中間転写ベルト16表面から除去されたトナーを、ベルト廃トナーという。
【0031】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0032】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0033】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の外面部であるシート載置部にスタックされる。
【0034】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0035】
図6において、本プリンタの一側端部は、揺動軸40aを中心に揺動することで筐体の本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0036】
反転ユニット40は、筺体の本体に対して揺動可能な外部カバー45と、これに対して更に揺動可能な第2揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた揺動軸40aを中心にして揺動するように支持されている。この揺動により、外部カバー45は、その内部に保持している第2揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の第2揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0037】
また、第2揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして揺動するように外部カバー45に支持されている。この揺動により、第2揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0038】
プリンタの筺体の上カバー50は、筺体の開閉扉になっている。そして、図中矢印で示すように、軸部材51を中心にして揺動自在に支持されており、図中反時計回り方向に所定角度回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の保守点検開口を開く。
【0039】
プリンタ内部の鉛直方向において、転写ユニット15と給紙カセット30との間には、トナー搬送装置100が配設されている。このトナー搬送装置100は、各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kや、中間転写ベルト21から回収されたトナーを、自らの回収トナー容器まで搬送するものである。
【0040】
図8は、本プリンタにおける転写ユニット15とその周囲構成とを示す斜視図である。なお、図6においては、本プリンタを正面側から示していたが、図8においては、転写ユニット15やその周囲構成を図6とは逆に背面側から示している。図8において、転写ユニット15の上方には、ベルトクリーニング装置21やY用のプロセスユニット1Yが配設されている。これらの他、M,C,K用のプロセスユニットも配設されているが、同図においては、便宜上、Y用のプロセスユニット1Yだけを示している。
【0041】
転写ユニット15の下方には、トナー搬送装置100が配設されている。このトナー搬送装置100は、第1搬送管101、第2搬送管102、合流部103、Yトナー搬送管104、Mトナー搬送管105、Cトナー搬送管106、Kトナー搬送管107、回収トナー容器120などを有している。
【0042】
第1搬送管101、Yトナー搬送管104、Mトナー搬送管105、Cトナー搬送管106、及びKトナー搬送管107は、それぞれ鉛直方向に延在する姿勢で、互いに水平方向に並ぶように配設されている。また、合流部103は、鉛直方向に延在する姿勢で、第1搬送管101の真下に位置するように配設されている。また、第2搬送管102は、水平方向に延在する姿勢で配設されている。
【0043】
第1搬送管101の上側端には、トナー受入開口が形成されている。一方、ベルトクリーニング装置21のケーシングからは、トナー排出管21aがベルト幅方向に突出している。このトナー排出管21aは、ベルトクリーニング装置21内に配設された図示しない排出スクリュウの回転駆動に伴ってトナーをベルトクリーニング装置21の外部に排出するためのものであり、その端部には、鉛直方向下方を向くトナー排出口が形成されている。ベルトクリーニング装置21がプリンタ本体の正規位置にセットされた状態では、トナー排出管21aの鉛直方向下方を向くトナー排出口と、第1搬送管101の上側端に設けられたトナー受入開口とが対向する。トナー排出管21aのトナー排出口から排出されたベルト廃トナーは、第1搬送管101のトナー受入開口を通って、第1搬送管101内に落とし込まれる。
【0044】
第1搬送管101と同様に、Yトナー搬送管104の上側端にも、トナー受入開口が形成されている。一方、Y用のプロセスユニット1Yのケーシングからは、トナー排出管13Yがベルト幅方向に突出している。Y用のプロセスユニット1Yの内部では、ドラムクリーニング装置が感光体の表面上から転写残Yトナーを掻き取りながら、回収スクリュウの回転駆動によってケーシング外に向けて搬送している。プロセスユニット1Yのトナー排出管13Yは、回収スクリュウによって搬送される転写残Yトナーをプロセスユニット1Yの外部に排出するためのものであり、その端部には、鉛直方向下方を向くトナー排出口が形成されている。Y用のプロセスユニット1Yがプリンタ本体の正規位置にセットされた状態では、ユニットのトナー排出管13Yの鉛直方向下方を向くトナー排出口と、Yトナー搬送管104の上側端に設けられたトナー受入開口とが対向する。トナー排出管13Yのトナー排出口から排出された転写残Yトナーは、Yトナー搬送管104のトナー受入開口を通って、Yトナー搬送管104内に落とし込まれる。Y,M,C,Kの2色のうち、Yについてのみ説明したが、M,C,Kにおいても、Yと同様にして、プロセスユニットのトナー排出管から排出された転写残トナーが、M,C,Kトナー搬送管(105,106,107)内に落とし込まれる。
【0045】
図9は、トナー搬送装置100を示す縦断面図である。同図において、水平方向に延在する姿勢で配設された第2搬送管102の中には、回転可能に支持される回転軸部材110bと、これの周面に立設せしめられた螺旋状の突起110aとを具備するスクリュウ部材110が配設されている。このスクリュウ部材110に対しては、先に図8に示したように、転写ユニット15の駆動ローラの軸に固定された駆動ギヤ111と、はすばギヤ112と、スクリュウ部材110の回転軸部材に固定されたスクリュウギヤ113とを介して、回転駆動力が伝達される。この伝達によって回転せしめられるスクリュウ部材110は、図9において、第2搬送管102内のトナーを図中右側から左側に向けて搬送する。この第2搬送管102に対しては、スクリュウ部材110によるトナー搬送方向の下流側から順に、Kトナー搬送管107、Cトナー搬送管106、Mトナー搬送管105、Yトナー搬送管104が接続されている。K用のプロセスユニットからKトナー搬送管107内に落とし込まれたKトナーは、Kトナー搬送管107内を重力落下して、第2搬送管102内のスクリュウ部材110の中に送り込まれる。そして、スクリュウ部材110によって搬送される過程で、C用のプロセスユニットからCトナー搬送管106内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるCトナーと混合される。その後、スクリュウ部材110内のC,Kトナーは、スクリュウ部材110によって更に搬送される過程で、M用のプロセスユニットからMトナー搬送管105内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるMトナーと混合される。その後、スクリュウ部材110内のM,C,Kトナーは、スクリュウ部材110によって更に搬送される過程で、Y用のプロセスユニットからYトナー搬送管104内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるYトナーと混合される。このようにして、第2搬送管102内のスクリュウ部材110は、Y,M,C,Kトナー搬送管(104〜107)から重力落下してくるY,M,C,Kトナーを混合しながら、第2搬送管102の図中左側端部に向けて搬送する。なお、以下、第2搬送管102内におけるY,M,C,Kトナーの混合物を、ドラムトナーという。
【0046】
第1搬送管101の下側端部や、第2搬送管102の図中左側端部は、それぞれ合流部103に接続されている。この合流部103は、第1落下領域A1と第2落下領域A2とを有している。第1落下領域A1は、第1搬送管101から重力落下してくるベルト廃トナーを受け入れた後、更に回収トナー容器120に向けて重力落下させるための領域である。また、第2落下領域A2は、第2搬送管102内のスクリュウ部材110の回転駆動に伴って送り込まれてくるドラム廃トナーを受け入れた後、回収トナー容器120に向けて重力落下させるための領域である。第1落下領域A1と第2落下領域A2とは、互いに水平方向にずれた位置に設けられており、それぞれ受け入れたトナーをそのまま回収トナー容器120に向けて落下させるように、トナーを受け止める底壁を具備していない。第2落下領域A2におけるスクリュウ軸線方向の長さは、スクリュ部材110の回転駆動によって第2搬送管102から第2落下領域A2によって送り込まれてくるドラム廃トナーを、スクリュウ部材110の回転によって第1落下領域A1まで搬送してしまう前に、スクリュウ部材110内からスクリュウ外に落下させるのに十分な大きさになっている。より詳しくは、本プリンタにおいては、Y,M,C,K用の感光体2Y,M,C,Kにそれぞれ形成した全面ベタ画像を中間転写ベルト21に重ね合わせて転写する4色全面ベタ画像を複数の記録紙に連続して出力する際に、第2搬送管102内における単位時間あたりのトナー搬送量が最も多くなる。このような4色全面ベタ画像の連続画像形成動作を実施しても、第2搬送管102内のドラム廃トナーを全て合流部103の第2落下領域A2でスクリュウ内からスクリュウ外に落下させることができるほどの長さに、第2落下領域A2のスクリュウ軸線方向の寸法が設定されている。
【0047】
かかる構成において、第2搬送管102から合流部103に進入したドラム廃トナーが、第1搬送管101から続く合流部側壁にぶつかるためには、第2落下領域A2と第1落下領域A1とを横切る必要がある。第1落下領域A1に相当する第1搬送管101直下を横切らせただけでドラム廃トナーを合流部側壁にぶつけてしまっていた開発中のトナー搬送装置に比べて、ドラム廃トナーが合流部側壁にぶつかり難くなる。また、たとえぶつけてしまっても、そのときの衝撃は、第2落下領域A2を横切らせている分だけ、開発中のトナー搬送装置よりも弱くなる。これらの結果、合流部側壁における庇状の粉体塊の発生を抑えて、合流部103内でのトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0048】
回収トナー容器120内には、回収搬送スクリュウ部材122が、回収トナー容器120内におけるトナー貯留上限レベルよりも少し上方の位置において水平方向に延在する姿勢で配設されている。合流部103から回収トナー容器120内に落下した廃トナーは、回収トナー容器120の水平方向における全域のうち、合流部103の直下の領域(以下、合流部直下領域という)に堆積する。このようにして合流部直下領域に堆積していく廃トナーの高さが、上述したトナー貯留上限レベルよりも上になると、廃トナーが回収搬送スクリュウ部材122に接触して、図中左側から右側に向けて搬送されるようになる。このようにして、合流部直下領域でトナー貯留上限レベルを超えた廃トナーが回収搬送スクリュウ部材122によって搬送されることで、回収トナー容器120内の廃トナーのレベルがトナー貯留上限レベルに均されていく。
【0049】
回収トナー容器120の全域のうち、図中右側端の領域まで、廃トナーのレベルがトナー貯留上限レベルに均されると、回収トナー容器120の外壁に固定されたトナー満杯エラーセンサが、容器内の廃トナーを検知して満杯エラー信号を出力する。なお、回収搬送スクリュウ部材122は、回収トナー容器120の外部において、回転軸部材に固定された回収スクリュウギヤ121に対して図示しない駆動伝達系から回転駆動力が伝達ことで、回転駆動する。
【0050】
第2搬送管102内のドラム廃トナーを搬送するためのスクリュウ部材110は、第2搬送管102内から合流部103内を通って管外に抜けている。このようにスクリュウ部材110を管外に抜けさせることで、スクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側の端部を、管壁又は管外に配設した軸受けで、回転可能に支持することができる。
【0051】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図10は、第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す縦断面図である。図示のように第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置は、スクリュウ部材110における螺旋状の突起100aのスクリュウ軸線方向における一端を第2落下領域A2内に位置させ、第1落下領域A1内には、スクリュウ部材110における回転軸部材110bと螺旋状の突起110aとのうち、回転軸部材110bだけを位置させている。かかる構成では、螺旋状の突起110aを第1落下領域A1内に位置させる場合に比べて、第1搬送管101内でのトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0052】
より詳しくは、第1搬送管101から合流部103の第1落下領域A1内に落とし込まれたベルト廃トナーの一部は、スクリュウ部材110にぶつかる。この際、スクリュウ部材110の表面に固着することがある。スクリュウ部材110の表面に固着したトナーに対しては、後続のトナーが固着してトナー塊を形成し易い。第1落下領域A1内にスクリュウ部材110の螺旋状の突起110aが存在すると、存在しない場合に比べて、スクリュウ部材110が第1搬送管101からの落下トナーを受け止める面積が大きくなる。そして、螺旋状の突起110aの表面上でトナー塊を成長させていくと、やがて、トナー塊が第1搬送管101から第1落下領域A1内へのベルト廃トナーの進入を阻害して、第1搬送管101の末端にベルト廃トナーを滞留させ始める。そして、その滞留トナーが増加すると、第1搬送管101の末端を架橋して、トナー詰まりを発生させてしまう。
【0053】
そこで、第1実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。こうすることで、第1落下領域A1内において、スクリュウ部材110が第1搬送管101から落下してくるトナーを受け止める面積を低減して、スクリュウ部材110表面上でのトナー塊の成長を抑える。これにより、スクリュウ部材110表面上のトナー塊が第1搬送管101から第1落下領域A1内へのトナーの進入を阻止してしまうという現象を発生し難くして、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0054】
[第2実施例]
第2実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0055】
図11は、第2実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。この図は、合流部におけるスクリュウ軸線方向の全域のうち、第1落下領域の位置の断面を示している。図示のように、スクリュウ部材の回転軸部材110bにおける第1落下領域内の箇所には、可撓性の羽根部材111が固定されている。この羽根部材111は、ゴム板やプラスチック板などの可撓性部材からなり、羽根先端側を自在に撓ませることが可能である。
【0056】
横断面方向において、第1搬送管101の寸法は、合流部103の寸法よりも小さくなっており、第1搬送管101と合流部103との境界には、管内壁によるエッジが形成されている。回転軸部材110bが羽根部材111を時計の概ね10時方向に延在させる回転角度位置まで回転すると、図12に示すように、羽根部材111の自由端が上記エッジ付近における第1搬送管101内壁に突き当たりながら撓んでいく。そして、回転軸部材110bが更に回転すると、羽根部材111の自由端が第1搬送管101内壁から離脱して、その腰の強さによって撓んでいない元の姿勢に一気に戻る。このときの反動により、回転軸部材110bを振動させる。
【0057】
また、回転軸部材110bが羽根部材111を時計の概ね2時方向に延在させる回転角度位置まで回転すると、羽根部材111の自由端が上記エッジ付近における合流部103上壁に突き当たりながら撓んでいく。そして、回転軸部材110bが更に回転すると、羽根部材111の自由端が合流部103上壁から離脱して、その腰の強さによって撓んでいない元の姿勢に一気に戻る。このときの反動によっても、回転軸部材110bを振動させる。
【0058】
このように回転軸部材110bに対して定期的に振動を与えることで、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110b表面からふるい落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0059】
[第3実施例]
第3実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0060】
図13は、第3実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。この図は、合流部103におけるスクリュウ軸線方向の全域のうち、第1落下領域の位置の断面を示している。図示のように、合流部103における第1落下領域の位置には、第1搬送管101の内壁の末端付近に片持ち支持された状態で自由端側をスクリュウ部材の回転軸部材110bにおける第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材115が配設されている。この摺擦部材115は、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110から擦り落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0061】
回転軸部材110における第1落下領域内の箇所には、回転軸部材110が所定の回転角度位置まで回転したときに、摺擦部材115を弾く突起112が設けられている。この突起112は、変形不能な剛性の高い材料からなる。本プリンタにおいては、摺擦部材115の自由端を回転軸部材110に対して常時摺擦させているのではなく、回転軸部材110が所定の回転角度位置まで回転したときに、図14に示すように、突起112を摺擦部材115の自由端に接触させて、摺擦部材115を撓ませる。そして、この撓みによって摺擦部材115の自由端を一時的に回転軸部材110から離間させる。その後、回転軸部材110の回転によって摺擦部材115を突起112から離間させる位置まで移動させると、図15に示すように、大きく撓んでいた摺擦部材115を、その腰の強さにより、撓んでいない元の姿勢に一気に戻す。このときに、摺擦部材115の自由端を回転軸部材110に強く擦り付けることで、摺擦部材115による回転軸部材110表面からのトナーの掻き取り効果を向上させる。
【0062】
[第4実施例]
第4実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0063】
図16は、第4実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。同図において、合流部103の外壁には、自らが振動することで合流部103のケーシングに対して振動を加える加振器130が固定されている。この加振器130は図示しない制御部によって定期的に駆動されることで、合流部103のケーシングを介して、回転軸部材110bに振動を与える。この振動により、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110b表面からふるい落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0064】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、第1搬送管101として、粉体たるベルト廃トナーを合流部103に向けて重力落下させるものを用いるとともに、第2搬送管102として、管内に配設された搬送部材たるスクリュウ部材110の回転駆動によって粉体たるドラム廃トナーを相対的に水平方向に移動させて合流部103に向けて搬送するものを用い、第1落下領域A1を第1搬送管101の真下に配設するとともに、第2落下領域A2を第1搬送管101の真下よりも第2搬送管102の方にずれた領域に配設している。かかる構成では、第1搬送管101内でベルト廃トナーを合流部103に向けて重力落下させることで、第1搬送管101内でベルト廃トナーを搬送部材の駆動によって搬送するものに比べて、構成の簡素化を図って低コスト化を実現することができる。また、第1搬送管101から合流部103の第1落下領域A1内に落とし込んだベルト廃トナーを、そのまま回収トナー容器120に向けて落下させることができる。
【0065】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第2搬送管102内に配設する搬送部材として、回転軸部材110bとこれの周面に立設された螺旋状の突起110aとを具備するスクリュウ部材110を用い、このスクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側端部を、第2搬送管102内から合流部内103に通して管外に抜けさせている。かかる構成では、スクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側の端部を、管壁又は管外に配設した軸受けで、回転可能に支持することができる。
【0066】
また、各実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110における螺旋状の突起110aのトナー搬送方向下流端を第2落下領域A2内に位置させ、第1落下領域A1内には、スクリュウ部材110における回転軸部材110bと螺旋状の突起110aとのうち、回転軸部材110bだけを位置させている。かかる構成では、螺旋状の突起110aを第1落下領域A1内に位置させる場合に比べて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0067】
また、第2実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110の回転軸部材110bの回転軸線方向における全域のうち、第1落下領域A1内の箇所に、可撓性の羽根部材111を固定し、回転軸部材110bとともに回転する羽根部材111の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、第1落下領域A1の内壁に摺擦させるようにしている。かかる構成では、羽根部材111を定期的に第1落下領域A1の内壁に摺擦させて弾くときに発生する反動により、回転軸部材110bに定期的に振動を与えて、回転軸部材110b表面からのトナーの離脱を促すことで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0068】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、片持ち支持された状態で自由端側をスクリュウ部材110の回転軸部材110bにおける第1落下領域A1内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材115を設けている。かかる構成では、回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、摺擦部材115によって回転軸部材110から擦り落とすことで、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0069】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、所定の回転角度位置で摺擦部材115を弾く突起112を、回転軸部材110bにおける第1落下領域A1内の箇所に設けている。かかる構成では、摺擦部材115を突起によって定期的に弾いて回転軸部材110bに強く擦り付けることで、摺擦部材115による回転軸部材110表面からのトナーの掻き取り効果を向上させて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0070】
また、第4実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110に振動を与える加振装置130を設けている。かかる構成では、加振装置130で与えた振動により、回転軸部材110b表面からのトナーの離脱を促すことで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1Y,M,C,K:プロセスユニット(作像手段の一部)
15:転写ユニット(作像手段の一部)
70:光書込装置70(作像手段の一部)
101:第1搬送管
102:第2搬送管
103:合流部
110:スクリュウ部材
110a:螺旋状の突起
110b:回転軸部材
111:羽根部剤
112:突起
115:摺擦部材
120:回収トナー容器(搬送先)
A1:第1落下領域
A2:第2落下領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特許第4373849号公報
【特許文献2】特開2002−307737号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と第2搬送管とを途中で合流させる合流部を具備する粉体搬送装置、並びにこれを用いる複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体としてのトナーを用いてトナー像を形成する画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のような電子写真方式の画像形成装置では、感光体などの潜像担持体の表面に形成した潜像に対してトナーを選択的に付着させることでトナー像を形成する。また、特許文献2に記載のような直接記録方式の画像形成装置では、トナー飛翔手段からドット状に飛翔させたトナー群を記録体や中間記録体に直接付着させてトナー像を形成する。何れの方式においても、潜像担持体やトナー飛翔手段などにおいて、転写残や飛散などによってトナー像の形成に寄与することができなかった使用済みトナーがどうしても発生してしまう。これらの使用済みトナーについては、クリーニング装置などによって回収した後、廃棄や再利用のためにトナー搬送装置によって回収トナー容器に搬送するのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像形成装置の小型化やカラー化などが進められる近年においては、トナー搬送装置の構成がより複雑化する傾向にある。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、潜像担持体たる感光体1つしか備えていないため、感光体の表面上から回収した転写残トナーを回収容器まで搬送するための搬送管を1本だけ設ければよい。これに対し、カラー画像を形成する画像形成装置においては、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)トナー像をそれぞれ個別に形成するための4つの感光体を備えているものがある。この種の画像形成装置では、4つの感光体から転写残トナーをそれぞれ個別に回収するための4つの搬送管が必要になるため、トナー搬送装置の構成がより複雑化する。そこで、本発明者らは、4つの感光体を設けた画像形成装置に搭載するトナー搬送装置として、図1に示すものを新規に開発中である。同図において、画像形成装置のトナー搬送装置は、第1搬送管960と、第2搬送管970と、それら搬送管が合流する合流部980とを具備している。第1搬送管960は、鉛直方向に延在する姿勢で配設され、鉛直方向における上側端部が図示しないベルトクリーニング装置に接続されるとともに、下側端部が合流部980に接続されている。この第1搬送管960の上側端部に接続された図示しないベルトクリーニング装置は、図示しない中間転写ベルトに対して転写残トナーのクリーニング処理を施すものである。ベルトクリーニング装置によって中間転写ベルトから除去されたトナーは、第1搬送管960に送り込まれる。そして、第1搬送管960内を重力落下して、合流部980内に進入する。
【0004】
第2搬送管970は、水平方向に延在する姿勢で配設されている。この第2搬送管970の内部には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるスクリュウ部材971が配設されている。第2搬送管970に対しては、Y(イエロー)回収トナー、M(マゼンタ)回収トナー、C(シアン)回収トナー、K(ブラック)回収トナーをそれぞれ重力落下によって個別に落とし込むためのYトナー搬送管、Mトナー搬送管、Cトナー搬送管、Kトナー搬送管が図示しない領域で接続されている。Y,M,C,Kトナー搬送管は、Y,M,C,Kトナー像を作像するための図示しないY,M,C,K用の感光体から回収されたY,M,C,K転写残トナーをそれぞれ個別に第2搬送管970に落とし込むためのものである。第2搬送管970内に落とし込まれたY,M,C,K転写残トナーは、スクリュウ部材971の回転駆動に伴って図中右側から左側に向けて搬送されながら、合流部980内に送り込まれる。
【0005】
合流部980は、第1搬送管960に対してその下方から一直線状に繋がった状態で鉛直方向に延在している。そして、第1搬送管960から受け入れたトナーや、第2搬送管970から受け入れたトナーを、重力落下によって図示しない回収トナー容器内に落とし込む。
【0006】
このように、開発中のトナー搬送装置においては、第1搬送管960、第2搬送管970、及び図示しないY,M,C,Kトナー搬送管を最終的に1つにまとめてから回収トナー容器に重力落下させる。かかる構成では、それぞれの搬送管で回収したトナーをトナー容器の直前までスクリュウ部材等の搬送部材によって個別に搬送する場合に比べて、トナー搬送装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0007】
しかしながら、このトナー搬送装置においては、図2に示すように、合流部980内をトナーで詰まらせ易いという問題があった。そこで、本発明者らは、合流部980をトナーで詰まらせてしまう原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、各トナー搬送管内のトナー量は、複数の記録紙に対して画像を連続的に形成する連続画像形成動作のときに多くなる。但し、連続画像形成動作中に出力されるトナー像の累積画像面積が比較的小さい場合には、画像形成に伴って発生する転写残トナーが比較的少ないことから、図3に示されるように、第2搬送管970内でのトナー搬送量が比較的少なくなる。この状態では、スクリュウ部材971の周りに保持されるトナーがスクリュウ回転方向に自由に動き回れることから、スクリュウ部材971からトナーに付与されるスクリュウ軸線方向への力が比較的弱くなる。このため、トナーは、底壁のない合流部980に進入すると、スクリュウ軸線方向にはそれほど移動せず、回収容器に向けて速やかに落下する。これに対し、連続画像形成動作中に出力されるトナー像の累積画像面積が比較的大きい場合には、画像形成に伴って発生する転写残トナーが比較的多いことから、図4に示されるように、第2搬送管970内でのトナー搬送量が比較的多くなる。この状態では、スクリュウ部材の周りに保持されるトナーのスクリュウ回転方向の動きがある程度制限されることから、スクリュウ部材971からトナーに対して付与されるスクリュウ軸線方向への力が比較的強くなる。すると、図示のように、トナーが第2搬送管970内から合流部内に勢い良く飛び出して、合流部980の側壁にぶつかりながら回収容器に向けて落下するようになる。このとき、合流部980の側壁にぶつかったトナーの一部が側壁に固着すると、そのトナーの上に新たなトナーが固着していって、やがて図5に示すような庇状のトナー塊を形成する。このトナー塊は、第1搬送管960から落下してくるトナーや、累積画像面積の比較的大きな連続画像形成動作が行われたときに第2搬送管970から勢い良く飛び出してくるトナーが付着することで成長していき、やがて図2に示したように、合流部980内を塞いでしまうのである。
【0008】
なお、同図では、第2搬送管970内のスクリュウ部材971を合流部980の内部まで延ばした構成を示したが、合流部980まで延ばさない構成であっても、第2搬送管970内のトナー量やスクリュウ部材971によるトナー搬送速度によっては、同様のトナー詰まりを発生させるおそれがある。また、粉体たるトナーを搬送するトナー搬送装置にて発生する問題について説明してきたが、トナーとは異なる粉体を搬送する粉体搬送装置においても、同様の問題を生じ得る。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような粉体搬送装置や画像形成装置を提供することである。即ち、複数の搬送管で回収した粉体をそれぞれ搬送先の直前まで搬送部材の駆動によって個別に搬送する場合に比べて構成の簡素化を図りつつ、合流部内での粉体詰まりの発生を抑えることができる粉体搬送装置や画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と、粉体を前記搬送先に向けて搬送するための第2搬送管とを有する粉体搬送装置において、前記第1搬送管として、粉体を重力落下によって前記搬送先に向けて落とし込むものを用い、前記第2搬送管として、粉体を搬送部材の駆動によって相対的に水平方向に搬送するものを用い、前記第1搬送管の下方に位置しつつ、前記第2搬送管の側方に位置するように配設され、前記第1搬送管から落下してくる粉体、及び前記第2搬送管から搬送されてくる粉体を、をそれぞれ受け入れながら、前記搬送先に向けて重力落下させる合流部を設け、且つ、前記第1搬送管から落下してくる粉体を前記第1搬送管の真下で受け入れながら前記搬送先に向けて重力落下させる第1落下領域と、前記第1搬送管の真下よりも前記第2搬送管の側にずれた位置で前記第1落下領域に連通するように配設され、前記第2搬送管から送り込まれてくる粉体を前記第1落下領域よりも手前側で前記搬送先に向けて重力落下させる第2落下領域とを、前記合流部に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の粉体搬送装置において、前記搬送部材として、回転軸部材とこれの周面に立設された螺旋状の突起とを具備するスクリュウ部材を用い、このスクリュウ部材の軸線方向における一端部を前記第2搬送管内から前記合流部内に通して管外に抜けさせたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材における前記螺旋状の突起の粉体搬送方向下流端を前記第2落下領域内に位置させ、前記第1落下領域内には、前記スクリュウ部材における前記回転軸部材と前記螺旋状の突起とのうち、前記回転軸部材だけを位置させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材の前記回転軸部材の回転軸線方向における全域のうち、前記第1落下領域内の箇所に、可撓性の羽根部材を固定し、前記回転軸部材とともに回転する前記羽根部材の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、前記第1落下領域の内壁に摺擦させるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、片持ち支持された状態で自由端側を前記スクリュウ部材の前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の粉体搬送装置において、所定の回転角度位置で前記摺擦部材を弾く突起を、前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項3の粉体搬送装置において、前記スクリュウ部材に振動を与える加振手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、粉体としてのトナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段から回収されたトナーを回収トナー貯留手段に向けて搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、前記トナー搬送装置として、請求項1乃至7の何れかの粉体搬送装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
これらの発明においては、第1搬送管によって搬送される粉体と、第2搬送管によって搬送される粉体とを合流部で合流させて1つにまとめた後に、搬送先に向けて重力落下させる。これにより、それぞれの搬送管の粉体を搬送先の直前まで搬送部材の駆動によって個別に搬送する場合に比べて構成の簡素化を図ることができる。
また、これらの発明において、搬送部材の駆動によって第2搬送管から合流部内に勢い良く飛び出した粉体が、第2搬送管と対面している合流部側壁にぶつかるためには、合流部における第2落下領域と第1落下領域とを横切る必要がある。この間、粉体は、空気抵抗を受けて合流部側壁に向けての移動力が弱められていくため、第2搬送管から飛び出した直後の状態よりも弱い力で合流部側壁にぶつかる。図4に示した開発中のトナー搬送装置では、合流部980に進入したトナーは第1落下領域に相当する第1搬送管960の直下を横切るだけで合流部側壁にぶつかってしまう。これに対し、本発明では、粉体が合流部側壁にぶつかるためには、第1落下領域に加えて第2落下領域も横切る必要があり、その分だけ余計に合流部側壁にぶつかるときの力が弱められる。このため、開発中のトナー搬送装置に比べて、粉体が合流部側壁に固着し難くなる。本発明では、このようにして粉体を合流部側壁に固着させ難くすることで、合流部内での粉体詰まりの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】開発中のトナー搬送装置の要部を示す縦断面図。
【図2】合流部でトナー詰まりを発生させた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図3】単位時間あたりのトナー搬送量が比較的少ない状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図4】庇状のトナー塊を形成し始めた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図5】同トナー塊を成長させた状態の同トナー搬送装置を示す縦断面図。
【図6】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図7】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図8】同プリンタにおける転写ユニット15とその周囲構成とを示す斜視図。
【図9】同プリンタのトナー搬送装置を示す縦断面図。
【図10】第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す縦断面図。
【図11】第2実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【図12】回転軸部材に固定された羽根部材の自由端を第1搬送管の内壁に突き当てている状態の同合流部を示す横断面図。
【図13】第3実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【図14】第1搬送管の内壁に片持ち支持される摺擦部材の自由端を回転軸部材から離間させた状態の同合流部を示す横断面図。
【図15】摺擦部材の自由端を第1搬送管の内壁から離間させた状態の同合流部を示す横断面図。
【図16】第4実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図6は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタは、Y,M,C,Kのトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図7に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置4K、現像装置5K等を備えている。これらが一体的に共通の支持体に支持された状態で、プリンタ本体に脱着されるようになっている。
【0014】
帯電装置4Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザー光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置5KによってKトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0015】
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。また、除電装置は、クリーニング後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0016】
現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向下方で図示しない駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。
【0017】
ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。このトナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0018】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2K及びトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0019】
図7を用いてK用のプロセスユニットについて説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0020】
先に示した図6において、プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向上方には、光書込装置70が配設されている。潜像書込装置たる光書込装置70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット1Y,M,C,Kにおける感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込装置70は、光源から発したレーザー光(L)を、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0021】
プロセスユニット1Y,M,C,Kの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、駆動ローラ17、従動ローラ18、4つの1次転写ローラ19Y,M,C,K、2次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0022】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された駆動ローラ17、従動ローラ18、クリーニングバックアップローラ22及び4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ17の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0023】
4つの1次転写ローラ19Y,M,C,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。
【0024】
1次転写ローラ19Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2Y,M,C,Kの静電潜像と、1次転写ローラ19Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。なお、1次転写ローラ19Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0025】
Y用のプロセスユニット1Yの感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴って上述のY用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト16上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってM,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0026】
転写ユニット15の2次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されて、ループ内側の従動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、2次転写ローラ20とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加される。この印加により、2次転写ローラ20と、アース接続されている従動ローラとの間には、2次転写電界が形成される。
【0027】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタの筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0028】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。
【0029】
2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0030】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。なお、以下、ベルトクリーニング装置21によって中間転写ベルト16表面から除去されたトナーを、ベルト廃トナーという。
【0031】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0032】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が図中実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0033】
図示しないテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、図示しないパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の外面部であるシート載置部にスタックされる。
【0034】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中一点鎖線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0035】
図6において、本プリンタの一側端部は、揺動軸40aを中心に揺動することで筐体の本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、2次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括2次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0036】
反転ユニット40は、筺体の本体に対して揺動可能な外部カバー45と、これに対して更に揺動可能な第2揺動体46とを有している。具体的には、反転ユニット40の外部カバー45は、プリンタ本体の筺体に設けられた揺動軸40aを中心にして揺動するように支持されている。この揺動により、外部カバー45は、その内部に保持している第2揺動体46とともに筺体に対して開閉する。図中点線で示すように、外部カバー45がその内部の第2揺動体46とともに開かれると、反転ユニット40とプリンタ本体側との間に形成されていた給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36が縦に2分されて、外部に露出する。これにより、給紙路31、2次転写ニップ、転写後搬送路33、定着ニップ、定着後搬送路35、排紙路36内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0037】
また、第2揺動体46は、外部カバー45が開かれた状態で、外部カバー45に設けられた図示しない揺動軸を中心にして揺動するように外部カバー45に支持されている。この揺動により、第2揺動体46が外部カバー45に対して開かれると、反転前搬送路41や反転搬送路44が縦に2分されて外部に露出する。これにより、反転前搬送路41内や反転搬送路44内のジャム紙を容易に取り除くことができる。
【0038】
プリンタの筺体の上カバー50は、筺体の開閉扉になっている。そして、図中矢印で示すように、軸部材51を中心にして揺動自在に支持されており、図中反時計回り方向に所定角度回転することで、筺体に対して開いた状態になる。そして、筺体の保守点検開口を開く。
【0039】
プリンタ内部の鉛直方向において、転写ユニット15と給紙カセット30との間には、トナー搬送装置100が配設されている。このトナー搬送装置100は、各色のプロセスユニット1Y,M,C,Kや、中間転写ベルト21から回収されたトナーを、自らの回収トナー容器まで搬送するものである。
【0040】
図8は、本プリンタにおける転写ユニット15とその周囲構成とを示す斜視図である。なお、図6においては、本プリンタを正面側から示していたが、図8においては、転写ユニット15やその周囲構成を図6とは逆に背面側から示している。図8において、転写ユニット15の上方には、ベルトクリーニング装置21やY用のプロセスユニット1Yが配設されている。これらの他、M,C,K用のプロセスユニットも配設されているが、同図においては、便宜上、Y用のプロセスユニット1Yだけを示している。
【0041】
転写ユニット15の下方には、トナー搬送装置100が配設されている。このトナー搬送装置100は、第1搬送管101、第2搬送管102、合流部103、Yトナー搬送管104、Mトナー搬送管105、Cトナー搬送管106、Kトナー搬送管107、回収トナー容器120などを有している。
【0042】
第1搬送管101、Yトナー搬送管104、Mトナー搬送管105、Cトナー搬送管106、及びKトナー搬送管107は、それぞれ鉛直方向に延在する姿勢で、互いに水平方向に並ぶように配設されている。また、合流部103は、鉛直方向に延在する姿勢で、第1搬送管101の真下に位置するように配設されている。また、第2搬送管102は、水平方向に延在する姿勢で配設されている。
【0043】
第1搬送管101の上側端には、トナー受入開口が形成されている。一方、ベルトクリーニング装置21のケーシングからは、トナー排出管21aがベルト幅方向に突出している。このトナー排出管21aは、ベルトクリーニング装置21内に配設された図示しない排出スクリュウの回転駆動に伴ってトナーをベルトクリーニング装置21の外部に排出するためのものであり、その端部には、鉛直方向下方を向くトナー排出口が形成されている。ベルトクリーニング装置21がプリンタ本体の正規位置にセットされた状態では、トナー排出管21aの鉛直方向下方を向くトナー排出口と、第1搬送管101の上側端に設けられたトナー受入開口とが対向する。トナー排出管21aのトナー排出口から排出されたベルト廃トナーは、第1搬送管101のトナー受入開口を通って、第1搬送管101内に落とし込まれる。
【0044】
第1搬送管101と同様に、Yトナー搬送管104の上側端にも、トナー受入開口が形成されている。一方、Y用のプロセスユニット1Yのケーシングからは、トナー排出管13Yがベルト幅方向に突出している。Y用のプロセスユニット1Yの内部では、ドラムクリーニング装置が感光体の表面上から転写残Yトナーを掻き取りながら、回収スクリュウの回転駆動によってケーシング外に向けて搬送している。プロセスユニット1Yのトナー排出管13Yは、回収スクリュウによって搬送される転写残Yトナーをプロセスユニット1Yの外部に排出するためのものであり、その端部には、鉛直方向下方を向くトナー排出口が形成されている。Y用のプロセスユニット1Yがプリンタ本体の正規位置にセットされた状態では、ユニットのトナー排出管13Yの鉛直方向下方を向くトナー排出口と、Yトナー搬送管104の上側端に設けられたトナー受入開口とが対向する。トナー排出管13Yのトナー排出口から排出された転写残Yトナーは、Yトナー搬送管104のトナー受入開口を通って、Yトナー搬送管104内に落とし込まれる。Y,M,C,Kの2色のうち、Yについてのみ説明したが、M,C,Kにおいても、Yと同様にして、プロセスユニットのトナー排出管から排出された転写残トナーが、M,C,Kトナー搬送管(105,106,107)内に落とし込まれる。
【0045】
図9は、トナー搬送装置100を示す縦断面図である。同図において、水平方向に延在する姿勢で配設された第2搬送管102の中には、回転可能に支持される回転軸部材110bと、これの周面に立設せしめられた螺旋状の突起110aとを具備するスクリュウ部材110が配設されている。このスクリュウ部材110に対しては、先に図8に示したように、転写ユニット15の駆動ローラの軸に固定された駆動ギヤ111と、はすばギヤ112と、スクリュウ部材110の回転軸部材に固定されたスクリュウギヤ113とを介して、回転駆動力が伝達される。この伝達によって回転せしめられるスクリュウ部材110は、図9において、第2搬送管102内のトナーを図中右側から左側に向けて搬送する。この第2搬送管102に対しては、スクリュウ部材110によるトナー搬送方向の下流側から順に、Kトナー搬送管107、Cトナー搬送管106、Mトナー搬送管105、Yトナー搬送管104が接続されている。K用のプロセスユニットからKトナー搬送管107内に落とし込まれたKトナーは、Kトナー搬送管107内を重力落下して、第2搬送管102内のスクリュウ部材110の中に送り込まれる。そして、スクリュウ部材110によって搬送される過程で、C用のプロセスユニットからCトナー搬送管106内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるCトナーと混合される。その後、スクリュウ部材110内のC,Kトナーは、スクリュウ部材110によって更に搬送される過程で、M用のプロセスユニットからMトナー搬送管105内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるMトナーと混合される。その後、スクリュウ部材110内のM,C,Kトナーは、スクリュウ部材110によって更に搬送される過程で、Y用のプロセスユニットからYトナー搬送管104内に落とし込まれた後にスクリュウ部材110に向けて重力落下してくるYトナーと混合される。このようにして、第2搬送管102内のスクリュウ部材110は、Y,M,C,Kトナー搬送管(104〜107)から重力落下してくるY,M,C,Kトナーを混合しながら、第2搬送管102の図中左側端部に向けて搬送する。なお、以下、第2搬送管102内におけるY,M,C,Kトナーの混合物を、ドラムトナーという。
【0046】
第1搬送管101の下側端部や、第2搬送管102の図中左側端部は、それぞれ合流部103に接続されている。この合流部103は、第1落下領域A1と第2落下領域A2とを有している。第1落下領域A1は、第1搬送管101から重力落下してくるベルト廃トナーを受け入れた後、更に回収トナー容器120に向けて重力落下させるための領域である。また、第2落下領域A2は、第2搬送管102内のスクリュウ部材110の回転駆動に伴って送り込まれてくるドラム廃トナーを受け入れた後、回収トナー容器120に向けて重力落下させるための領域である。第1落下領域A1と第2落下領域A2とは、互いに水平方向にずれた位置に設けられており、それぞれ受け入れたトナーをそのまま回収トナー容器120に向けて落下させるように、トナーを受け止める底壁を具備していない。第2落下領域A2におけるスクリュウ軸線方向の長さは、スクリュ部材110の回転駆動によって第2搬送管102から第2落下領域A2によって送り込まれてくるドラム廃トナーを、スクリュウ部材110の回転によって第1落下領域A1まで搬送してしまう前に、スクリュウ部材110内からスクリュウ外に落下させるのに十分な大きさになっている。より詳しくは、本プリンタにおいては、Y,M,C,K用の感光体2Y,M,C,Kにそれぞれ形成した全面ベタ画像を中間転写ベルト21に重ね合わせて転写する4色全面ベタ画像を複数の記録紙に連続して出力する際に、第2搬送管102内における単位時間あたりのトナー搬送量が最も多くなる。このような4色全面ベタ画像の連続画像形成動作を実施しても、第2搬送管102内のドラム廃トナーを全て合流部103の第2落下領域A2でスクリュウ内からスクリュウ外に落下させることができるほどの長さに、第2落下領域A2のスクリュウ軸線方向の寸法が設定されている。
【0047】
かかる構成において、第2搬送管102から合流部103に進入したドラム廃トナーが、第1搬送管101から続く合流部側壁にぶつかるためには、第2落下領域A2と第1落下領域A1とを横切る必要がある。第1落下領域A1に相当する第1搬送管101直下を横切らせただけでドラム廃トナーを合流部側壁にぶつけてしまっていた開発中のトナー搬送装置に比べて、ドラム廃トナーが合流部側壁にぶつかり難くなる。また、たとえぶつけてしまっても、そのときの衝撃は、第2落下領域A2を横切らせている分だけ、開発中のトナー搬送装置よりも弱くなる。これらの結果、合流部側壁における庇状の粉体塊の発生を抑えて、合流部103内でのトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0048】
回収トナー容器120内には、回収搬送スクリュウ部材122が、回収トナー容器120内におけるトナー貯留上限レベルよりも少し上方の位置において水平方向に延在する姿勢で配設されている。合流部103から回収トナー容器120内に落下した廃トナーは、回収トナー容器120の水平方向における全域のうち、合流部103の直下の領域(以下、合流部直下領域という)に堆積する。このようにして合流部直下領域に堆積していく廃トナーの高さが、上述したトナー貯留上限レベルよりも上になると、廃トナーが回収搬送スクリュウ部材122に接触して、図中左側から右側に向けて搬送されるようになる。このようにして、合流部直下領域でトナー貯留上限レベルを超えた廃トナーが回収搬送スクリュウ部材122によって搬送されることで、回収トナー容器120内の廃トナーのレベルがトナー貯留上限レベルに均されていく。
【0049】
回収トナー容器120の全域のうち、図中右側端の領域まで、廃トナーのレベルがトナー貯留上限レベルに均されると、回収トナー容器120の外壁に固定されたトナー満杯エラーセンサが、容器内の廃トナーを検知して満杯エラー信号を出力する。なお、回収搬送スクリュウ部材122は、回収トナー容器120の外部において、回転軸部材に固定された回収スクリュウギヤ121に対して図示しない駆動伝達系から回転駆動力が伝達ことで、回転駆動する。
【0050】
第2搬送管102内のドラム廃トナーを搬送するためのスクリュウ部材110は、第2搬送管102内から合流部103内を通って管外に抜けている。このようにスクリュウ部材110を管外に抜けさせることで、スクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側の端部を、管壁又は管外に配設した軸受けで、回転可能に支持することができる。
【0051】
次に、実施形態に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
[第1実施例]
図10は、第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す縦断面図である。図示のように第1実施例に係るプリンタのトナー搬送装置は、スクリュウ部材110における螺旋状の突起100aのスクリュウ軸線方向における一端を第2落下領域A2内に位置させ、第1落下領域A1内には、スクリュウ部材110における回転軸部材110bと螺旋状の突起110aとのうち、回転軸部材110bだけを位置させている。かかる構成では、螺旋状の突起110aを第1落下領域A1内に位置させる場合に比べて、第1搬送管101内でのトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0052】
より詳しくは、第1搬送管101から合流部103の第1落下領域A1内に落とし込まれたベルト廃トナーの一部は、スクリュウ部材110にぶつかる。この際、スクリュウ部材110の表面に固着することがある。スクリュウ部材110の表面に固着したトナーに対しては、後続のトナーが固着してトナー塊を形成し易い。第1落下領域A1内にスクリュウ部材110の螺旋状の突起110aが存在すると、存在しない場合に比べて、スクリュウ部材110が第1搬送管101からの落下トナーを受け止める面積が大きくなる。そして、螺旋状の突起110aの表面上でトナー塊を成長させていくと、やがて、トナー塊が第1搬送管101から第1落下領域A1内へのベルト廃トナーの進入を阻害して、第1搬送管101の末端にベルト廃トナーを滞留させ始める。そして、その滞留トナーが増加すると、第1搬送管101の末端を架橋して、トナー詰まりを発生させてしまう。
【0053】
そこで、第1実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。こうすることで、第1落下領域A1内において、スクリュウ部材110が第1搬送管101から落下してくるトナーを受け止める面積を低減して、スクリュウ部材110表面上でのトナー塊の成長を抑える。これにより、スクリュウ部材110表面上のトナー塊が第1搬送管101から第1落下領域A1内へのトナーの進入を阻止してしまうという現象を発生し難くして、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0054】
[第2実施例]
第2実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0055】
図11は、第2実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。この図は、合流部におけるスクリュウ軸線方向の全域のうち、第1落下領域の位置の断面を示している。図示のように、スクリュウ部材の回転軸部材110bにおける第1落下領域内の箇所には、可撓性の羽根部材111が固定されている。この羽根部材111は、ゴム板やプラスチック板などの可撓性部材からなり、羽根先端側を自在に撓ませることが可能である。
【0056】
横断面方向において、第1搬送管101の寸法は、合流部103の寸法よりも小さくなっており、第1搬送管101と合流部103との境界には、管内壁によるエッジが形成されている。回転軸部材110bが羽根部材111を時計の概ね10時方向に延在させる回転角度位置まで回転すると、図12に示すように、羽根部材111の自由端が上記エッジ付近における第1搬送管101内壁に突き当たりながら撓んでいく。そして、回転軸部材110bが更に回転すると、羽根部材111の自由端が第1搬送管101内壁から離脱して、その腰の強さによって撓んでいない元の姿勢に一気に戻る。このときの反動により、回転軸部材110bを振動させる。
【0057】
また、回転軸部材110bが羽根部材111を時計の概ね2時方向に延在させる回転角度位置まで回転すると、羽根部材111の自由端が上記エッジ付近における合流部103上壁に突き当たりながら撓んでいく。そして、回転軸部材110bが更に回転すると、羽根部材111の自由端が合流部103上壁から離脱して、その腰の強さによって撓んでいない元の姿勢に一気に戻る。このときの反動によっても、回転軸部材110bを振動させる。
【0058】
このように回転軸部材110bに対して定期的に振動を与えることで、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110b表面からふるい落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0059】
[第3実施例]
第3実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0060】
図13は、第3実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。この図は、合流部103におけるスクリュウ軸線方向の全域のうち、第1落下領域の位置の断面を示している。図示のように、合流部103における第1落下領域の位置には、第1搬送管101の内壁の末端付近に片持ち支持された状態で自由端側をスクリュウ部材の回転軸部材110bにおける第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材115が配設されている。この摺擦部材115は、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110から擦り落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0061】
回転軸部材110における第1落下領域内の箇所には、回転軸部材110が所定の回転角度位置まで回転したときに、摺擦部材115を弾く突起112が設けられている。この突起112は、変形不能な剛性の高い材料からなる。本プリンタにおいては、摺擦部材115の自由端を回転軸部材110に対して常時摺擦させているのではなく、回転軸部材110が所定の回転角度位置まで回転したときに、図14に示すように、突起112を摺擦部材115の自由端に接触させて、摺擦部材115を撓ませる。そして、この撓みによって摺擦部材115の自由端を一時的に回転軸部材110から離間させる。その後、回転軸部材110の回転によって摺擦部材115を突起112から離間させる位置まで移動させると、図15に示すように、大きく撓んでいた摺擦部材115を、その腰の強さにより、撓んでいない元の姿勢に一気に戻す。このときに、摺擦部材115の自由端を回転軸部材110に強く擦り付けることで、摺擦部材115による回転軸部材110表面からのトナーの掻き取り効果を向上させる。
【0062】
[第4実施例]
第4実施例に係るプリンタも、第1実施例と同様に、スクリュウ部材110の長手方向における全域のうち、第1落下領域A1内に位置する箇所は、螺旋状の突起110aを設けないようにしている。
【0063】
図16は、第4実施例に係るプリンタのトナー搬送装置における合流部103を示す横断面図である。同図において、合流部103の外壁には、自らが振動することで合流部103のケーシングに対して振動を加える加振器130が固定されている。この加振器130は図示しない制御部によって定期的に駆動されることで、合流部103のケーシングを介して、回転軸部材110bに振動を与える。この振動により、第1搬送管101内から合流部103内に落下した際に回転軸部材110bにぶつかって回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、回転軸部材110b表面からふるい落とす。これにより、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えることで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0064】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、第1搬送管101として、粉体たるベルト廃トナーを合流部103に向けて重力落下させるものを用いるとともに、第2搬送管102として、管内に配設された搬送部材たるスクリュウ部材110の回転駆動によって粉体たるドラム廃トナーを相対的に水平方向に移動させて合流部103に向けて搬送するものを用い、第1落下領域A1を第1搬送管101の真下に配設するとともに、第2落下領域A2を第1搬送管101の真下よりも第2搬送管102の方にずれた領域に配設している。かかる構成では、第1搬送管101内でベルト廃トナーを合流部103に向けて重力落下させることで、第1搬送管101内でベルト廃トナーを搬送部材の駆動によって搬送するものに比べて、構成の簡素化を図って低コスト化を実現することができる。また、第1搬送管101から合流部103の第1落下領域A1内に落とし込んだベルト廃トナーを、そのまま回収トナー容器120に向けて落下させることができる。
【0065】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、第2搬送管102内に配設する搬送部材として、回転軸部材110bとこれの周面に立設された螺旋状の突起110aとを具備するスクリュウ部材110を用い、このスクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側端部を、第2搬送管102内から合流部内103に通して管外に抜けさせている。かかる構成では、スクリュウ部材110におけるトナー搬送方向下流側の端部を、管壁又は管外に配設した軸受けで、回転可能に支持することができる。
【0066】
また、各実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110における螺旋状の突起110aのトナー搬送方向下流端を第2落下領域A2内に位置させ、第1落下領域A1内には、スクリュウ部材110における回転軸部材110bと螺旋状の突起110aとのうち、回転軸部材110bだけを位置させている。かかる構成では、螺旋状の突起110aを第1落下領域A1内に位置させる場合に比べて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を抑えることができる。
【0067】
また、第2実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110の回転軸部材110bの回転軸線方向における全域のうち、第1落下領域A1内の箇所に、可撓性の羽根部材111を固定し、回転軸部材110bとともに回転する羽根部材111の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、第1落下領域A1の内壁に摺擦させるようにしている。かかる構成では、羽根部材111を定期的に第1落下領域A1の内壁に摺擦させて弾くときに発生する反動により、回転軸部材110bに定期的に振動を与えて、回転軸部材110b表面からのトナーの離脱を促すことで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0068】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、片持ち支持された状態で自由端側をスクリュウ部材110の回転軸部材110bにおける第1落下領域A1内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材115を設けている。かかる構成では、回転軸部材110表面に付着してしまったベルト廃トナーを、摺擦部材115によって回転軸部材110から擦り落とすことで、回転軸部材110b表面上でのトナー塊の成長を抑えて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0069】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、所定の回転角度位置で摺擦部材115を弾く突起112を、回転軸部材110bにおける第1落下領域A1内の箇所に設けている。かかる構成では、摺擦部材115を突起によって定期的に弾いて回転軸部材110bに強く擦り付けることで、摺擦部材115による回転軸部材110表面からのトナーの掻き取り効果を向上させて、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【0070】
また、第4実施例に係るプリンタにおいては、スクリュウ部材110に振動を与える加振装置130を設けている。かかる構成では、加振装置130で与えた振動により、回転軸部材110b表面からのトナーの離脱を促すことで、第1搬送管101の末端におけるトナー詰まりの発生を更に抑えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1Y,M,C,K:プロセスユニット(作像手段の一部)
15:転写ユニット(作像手段の一部)
70:光書込装置70(作像手段の一部)
101:第1搬送管
102:第2搬送管
103:合流部
110:スクリュウ部材
110a:螺旋状の突起
110b:回転軸部材
111:羽根部剤
112:突起
115:摺擦部材
120:回収トナー容器(搬送先)
A1:第1落下領域
A2:第2落下領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特許第4373849号公報
【特許文献2】特開2002−307737号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と、粉体を前記搬送先に向けて搬送するための第2搬送管とを有する粉体搬送装置において、
前記第1搬送管として、粉体を重力落下によって前記搬送先に向けて落とし込むものを用い、
前記第2搬送管として、粉体を搬送部材の駆動によって相対的に水平方向に搬送するものを用い、
前記第1搬送管の下方に位置しつつ、前記第2搬送管の側方に位置するように配設され、前記第1搬送管から落下してくる粉体、及び前記第2搬送管から搬送されてくる粉体を、をそれぞれ受け入れながら、前記搬送先に向けて重力落下させる合流部を設け、
且つ、前記第1搬送管から落下してくる粉体を前記第1搬送管の真下で受け入れながら前記搬送先に向けて重力落下させる第1落下領域と、前記第1搬送管の真下よりも前記第2搬送管の側にずれた位置で前記第1落下領域に連通するように配設され、前記第2搬送管から送り込まれてくる粉体を前記第1落下領域よりも手前側で前記搬送先に向けて重力落下させる第2落下領域とを、前記合流部に設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
請求項1の粉体搬送装置において、
前記搬送部材として、回転軸部材とこれの周面に立設された螺旋状の突起とを具備するスクリュウ部材を用い、このスクリュウ部材の軸線方向における一端部を前記第2搬送管内から前記合流部内に通して管外に抜けさせたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項3】
請求項2の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材における前記螺旋状の突起の粉体搬送方向下流端を前記第2落下領域内に位置させ、前記第1落下領域内には、前記スクリュウ部材における前記回転軸部材と前記螺旋状の突起とのうち、前記回転軸部材だけを位置させたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項4】
請求項3の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材の前記回転軸部材の回転軸線方向における全域のうち、前記第1落下領域内の箇所に、可撓性の羽根部材を固定し、前記回転軸部材とともに回転する前記羽根部材の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、前記第1落下領域の内壁に摺擦させるようにしたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項5】
請求項3の粉体搬送装置において、
片持ち支持された状態で自由端側を前記スクリュウ部材の前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材を設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項6】
請求項5の粉体搬送装置において、
所定の回転角度位置で前記摺擦部材を弾く突起を、前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項7】
請求項3の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材に振動を与える加振手段を設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項8】
粉体としてのトナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段から回収されたトナーを回収トナー貯留手段に向けて搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、
前記トナー搬送装置として、請求項1乃至7の何れかの粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
粉体を搬送先に向けて搬送するための第1搬送管と、粉体を前記搬送先に向けて搬送するための第2搬送管とを有する粉体搬送装置において、
前記第1搬送管として、粉体を重力落下によって前記搬送先に向けて落とし込むものを用い、
前記第2搬送管として、粉体を搬送部材の駆動によって相対的に水平方向に搬送するものを用い、
前記第1搬送管の下方に位置しつつ、前記第2搬送管の側方に位置するように配設され、前記第1搬送管から落下してくる粉体、及び前記第2搬送管から搬送されてくる粉体を、をそれぞれ受け入れながら、前記搬送先に向けて重力落下させる合流部を設け、
且つ、前記第1搬送管から落下してくる粉体を前記第1搬送管の真下で受け入れながら前記搬送先に向けて重力落下させる第1落下領域と、前記第1搬送管の真下よりも前記第2搬送管の側にずれた位置で前記第1落下領域に連通するように配設され、前記第2搬送管から送り込まれてくる粉体を前記第1落下領域よりも手前側で前記搬送先に向けて重力落下させる第2落下領域とを、前記合流部に設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
請求項1の粉体搬送装置において、
前記搬送部材として、回転軸部材とこれの周面に立設された螺旋状の突起とを具備するスクリュウ部材を用い、このスクリュウ部材の軸線方向における一端部を前記第2搬送管内から前記合流部内に通して管外に抜けさせたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項3】
請求項2の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材における前記螺旋状の突起の粉体搬送方向下流端を前記第2落下領域内に位置させ、前記第1落下領域内には、前記スクリュウ部材における前記回転軸部材と前記螺旋状の突起とのうち、前記回転軸部材だけを位置させたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項4】
請求項3の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材の前記回転軸部材の回転軸線方向における全域のうち、前記第1落下領域内の箇所に、可撓性の羽根部材を固定し、前記回転軸部材とともに回転する前記羽根部材の自由端を所定の回転角度範囲内に位置させたときにだけ、前記第1落下領域の内壁に摺擦させるようにしたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項5】
請求項3の粉体搬送装置において、
片持ち支持された状態で自由端側を前記スクリュウ部材の前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に摺擦させる可撓性の摺擦部材を設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項6】
請求項5の粉体搬送装置において、
所定の回転角度位置で前記摺擦部材を弾く突起を、前記回転軸部材における前記第1落下領域内の箇所に設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項7】
請求項3の粉体搬送装置において、
前記スクリュウ部材に振動を与える加振手段を設けたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項8】
粉体としてのトナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段から回収されたトナーを回収トナー貯留手段に向けて搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、
前記トナー搬送装置として、請求項1乃至7の何れかの粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−198311(P2012−198311A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61067(P2011−61067)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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