説明

粉体物計量装置

【課題】 計量の正確さは維持しつつ、計量対象である粉体物のホッパー内の貯留量を少なくすることが可能な粉体物計量装置を提供する。
【解決手段】 所定量の粉体物5を収容可能な収容部13を備えた粉体物収容手段14と、この粉体物収容手段14の収容部13に所定量の粉体物5を供給する粉体物供給手段15とを備えた粉体物計量装置で、粉体物供給手段15は、粉体物収容手段14の上側に配置され且つ粉体物5を貯留可能な貯留部23と、この貯留部23の下側に収容部13に向けて下向きに配置される供給口21と、貯留部23と供給口21との間に配置され且つ貯留部23側の粉体物5を供給口21側に繰り出す粉体物繰り出し手段25とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体物を所定量ずつ計り分ける粉体物計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に広く普及している使い捨てカイロは、磁性粉を含有した発熱剤を通気性のある扁平状の袋体内に収納したカイロ本体を、非通気性の外装袋の中に気密状に封入した状態で販売されており、使用時に外装袋を破ってカイロ本体を取り出したときに、空気中の酸素が袋体を通過して磁性粉と反応し、発熱剤が発熱するようになっている。
【0003】
この種の使い捨てカイロの製造装置は、発熱剤をカイロ一個分ずつに計り分ける発熱剤計量装置、その発熱剤計量装置により計り分けられた発熱剤を袋体に封入する発熱剤封入装置、この発熱剤封入装置により発熱剤が封入されたカイロ本体を外装袋に封入するカイロ本体封入装置等を備えている。
【0004】
このような使い捨てカイロの製造装置のうち、発熱剤計量装置としては、外周面上に収容部が複数形成され且つ略水平の軸廻りに回転駆動される計量ドラムと、発熱剤を貯留すると共にその発熱剤を計量ドラムの収容部に供給するホッパーとを備えたものが既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
この種の発熱剤計量装置では、ホッパーは計量ドラムの一側に近接して配置され、上部側には発熱剤を投入するための投入口が上向きに設けられ、下部側にはその発熱剤を計量ドラム側に供給するための供給口が計量ドラムの外周面に向けて横向き開口状に設けられ、更に底面は供給口側が低い傾斜状に形成されている。
【0006】
計量ドラムは、各収容部がカイロ1個分の発熱剤を収容可能な容量に形成されており、ホッパーの供給口を上向きに通過する方向に所定速度で回転駆動されるようになっている。
【0007】
投入口からホッパー内に投入された発熱剤は、その自重により底面の傾斜に沿って供給口側に案内され、計量ドラムの側方から収容部内に流入する。収容部内に流入した発熱剤は、収容部がホッパーの供給口を上向きに抜ける際に、供給口の上端側に設けられたスクレーパーによって余分な部分が掻き落とされ、収容部内に残った分が、下流側の発熱剤封入装置側に受け渡されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−029187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の発熱剤計量装置では、ホッパー内に投入された発熱剤を斜面に沿って自重により収容部内に流入させるように構成されているため、各収容部内に発熱剤を隙間なく充填するためには、下流側の発熱剤に十分な圧力が作用するように、ホッパー内に常に多量の発熱剤を収容しておく必要があった。
【0009】
ところで、上述したように、使い捨てカイロに使用される発熱剤は空気中の酸素と反応して発熱するようになっているため、ホッパー内に収容されている間も時間の経過と共に徐々に酸化が進んでいく。従って、ホッパー内に投入された発熱剤はなるべく短時間のうちに使用して製品にしてしまう必要があり、例えば製造装置のメンテナンス等のために製造装置を長時間停止させる際には、ホッパー内に残った発熱剤は廃棄しなければならない。
【0010】
しかしながら、従来の発熱剤軽量装置では、製造装置が作動している間はホッパー内に常に多量の発熱剤を収容して置く必要があるため、製造装置を停止させる際にはホッパー内に多量の発熱剤が残ってしまい、それらを廃棄しなければならないために非常に不経済であった。
【0011】
また、発熱剤に限らず、粉体物計量装置の計量対象である粉体物は、時間と共にその品質が低下するのが通常であるから、ホッパーに貯留する粉体物の量は必要最小限に抑え、ホッパー内に投入された粉体物がなるべく短時間で計量されるようにすることが望ましい。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、計量の正確さは維持しつつ、計量対象である粉体物のホッパー内の貯留量を少なくすることが可能な粉体物計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、所定量の粉体物5を収容可能な収容部13を備えた粉体物収容手段14と、該粉体物収容手段14の前記収容部13に前記所定量の粉体物5を供給する粉体物供給手段15とを備えた粉体物計量装置において、前記粉体物供給手段15は、前記粉体物収容手段14の上側に配置され且つ前記粉体物5を貯留可能な貯留部23と、該貯留部23の下側に前記収容部13に向けて下向きに配置される供給口21と、前記貯留部23と前記供給口21との間に配置され且つ前記貯留部23側の粉体物5を前記供給口21側に繰り出す粉体物繰り出し手段25とを備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯留部23内の粉体物5の貯留量に拘わらず収容部13内に粉体物5を確実に充填することができ、計量の正確さは維持しつつ、計量対象である粉体物5の貯留部23内の貯留量を少なくすることができる。これにより、メンテナンス等のために装置を停止させる際に貯留部23内に残る粉体物5の量、即ち廃棄する粉体物5の量を最小限にすることができ、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図4は本発明に係る粉体物計量装置を使い捨てカイロ用の発熱剤の計量装置に適用した第1の実施形態を例示している。
【0016】
図4は、本実施形態に係る使い捨てカイロ製造装置1で製造される使い捨てカイロ2の一例を示している。使い捨てカイロ2は、カイロ本体3と、このカイロ本体3の外側を覆う外装袋4とで構成されている。
【0017】
カイロ本体3は、粉体状の発熱剤(粉体物)5を略扁平状の袋体6内に封入したものである。発熱剤5は、例えば鉄粉等の磁性粉、水、バーミキュライト、活性炭、塩類等が混合された混合粉体で、酸素と反応して発熱するように構成されている。なお、発熱剤5は、使い捨てカイロ用の材料として一般的なものを使用することができ、その組成は製品の特性、例えば発熱温度や持続時間等に応じて適宜変更可能である。
【0018】
袋体6は、内部の発熱剤5に酸素を供給できるように少なくともその一部分が通気性を有するように構成され、例えば略同一形状の通気性シート7と非通気性シート8とを、その周縁部で互いにシールすることにより略扁平な袋状に形成されている。通気性シート7には、例えば不織布シートの内側に合成樹脂フィルムをラミネートして微少な通気口を穿孔したものが使用され、非通気性シート8には、例えば非通気性の合成樹脂フィルムが使用されている。
【0019】
外装袋4は、例えば2枚の非通気性シートをその周縁部においてシールすることにより形成されており、カイロ本体3を気密状に覆うことにより、カイロ本体3の使用時まで発熱剤5への酸素の供給を遮断するようになっている。
【0020】
図1は、上記のような使い捨てカイロ2の製造に用いる使い捨てカイロ製造装置1のうち、発熱剤5を所定量ずつ計り分ける発熱剤計量装置11と、その発熱剤計量装置11により計り分けられた発熱剤5を袋体6内に封入する発熱剤封入装置12とを示している。
【0021】
発熱剤計量装置11は、図1及び図2に示すように、発熱剤5を収容可能な凹状の計量側収容部(収容部)13を備えた計量ドラム(粉体物収容手段)14と、この計量ドラム14の計量側収容部13に発熱剤5を供給する発熱剤供給手段(粉体物供給手段)15とを備えている。
【0022】
計量ドラム14は、略円筒状の計量ドラム本体16と、この計量ドラム本体16の内周側に配置された発熱剤保持手段17と、計量ドラム本体16と発熱剤保持手段17との間に配置された保持力遮断手段18とを備えている。
【0023】
計量ドラム本体16は、中心軸19が略水平となるように横向きに配置され、その中心軸19において軸受20により回転自在に支持されており、所定の駆動手段(図示省略)の駆動力が中心軸19に伝達されることにより、所定方向、例えば図1における反時計方向に所定速度で回転するようになっている。なお、計量ドラム本体16は、例えばその軸方向一端側に装着された側板16aを介して中心軸19と連結されている。
【0024】
また、計量ドラム本体16は、ステンレス等の非磁性材により形成されており、その外周面上に計量側収容部13が設けられている。この計量側収容部13は、計量ドラム本体16の周方向に等間隔で複数個(例えば12個)配列されると共に、更にその周方向の配列が軸方向に1又は複数列(例えば4列)設けられている。
【0025】
計量側収容部13は、製造するカイロ本体3の形状に応じて例えば略一定深さの矩形状に形成されており、使い捨てカイロ2の1個分に相当する発熱剤5を収容可能となっている。
【0026】
発熱剤保持手段17は、計量側収容部13内に収容された発熱剤5を計量側収容部13内に保持するもので、例えば磁性粉を含む発熱剤5を吸着可能な永久磁石により構成されており、各計量側収容部13に対応して計量ドラム本体16の内周側に配置され、計量ドラム本体16と共に回転するようになっている。
【0027】
保持力遮断手段18は、発熱剤保持手段17による発熱剤5の保持力を遮断するもので、発熱剤保持手段17からの磁力を遮蔽可能な鉄板等の遮蔽板により構成されており、計量側収容部13内に保持された発熱剤5を発熱剤封入装置12側に移送する移送位置Aに対応して計量ドラム本体16と発熱剤保持手段17との間に配置されている。
【0028】
保持力遮断手段18は、計量ドラム本体16の駆動系から切り離されて固定的に支持されており、計量ドラム本体16及び発熱剤保持手段17が回転しても回転しないようになっている。
【0029】
発熱剤供給手段15は、計量ドラム14の上部側の例えば最上部に対応してその上側に配置されており、図1及び図2に示すように、計量ドラム本体16の外周面の上側に近接して略下向きに配置される供給口21、この供給口21の上側に連結され且つ上部側の投入口22から投入された発熱剤5を貯留可能な貯留部23等を備えた貯留供給ケース24と、この貯留供給ケース24上における供給口21と貯留部23との間に配置され且つ貯留部23側の発熱剤5をその下側の供給口21側に繰り出す発熱剤繰り出し手段(粉体物繰り出し手段)25と、供給口21に対して計量ドラム14の回転方向下流側近傍に設けられ且つ計量側収容部13から溢れた発熱剤5を計量ドラム本体16の外周面上から掻き落とすスクレーパー26とを備えている。
【0030】
更に、貯留部23の上下方向の中間部分には、それよりも上側の上部貯留部23a内の発熱剤5を下側の下部貯留部23b側に繰り出す貯留量調整繰り出し手段(貯留量調整手段)27が配置されている。
【0031】
貯留供給ケース24は、計量ドラム14の軸方向に沿ってその回転方向下流側及び上流側に配置される前壁28及び後壁29と、計量ドラム14の軸方向両端側に配置される一対の側壁30,30とで断面略矩形状に形成されており、その下端側が供給口21、上端側が投入口22となっている。
【0032】
供給口21は、計量ドラム14の軸方向に配列された1又は複数(例えば4個)の全ての計量側収容部13に跨る軸方向幅で、且つ1個の計量側収容部13の周方向長さよりも小さい周方向幅に形成されている。
【0033】
発熱剤繰り出し手段25は、略円柱状の繰り出しロール31と、この繰り出しロール31を回転駆動する繰り出し駆動手段32とを備えている。
【0034】
繰り出しロール31は、その外周面上の全周にわたって例えば軸方向の繰り出し溝33が形成されており、貯留部23と供給口21との連結部を略閉鎖するように、計量ドラム14と平行に配置され、その回転軸34が、例えば貯留供給ケース24の側壁30に設けられた軸受け35,35により回転自在に保持されている。
【0035】
繰り出し駆動手段32は、例えばステッピングモータにより構成され、その駆動軸32aが繰り出しロール31の回転軸34に連結されており、例えば貯留供給ケース24の前壁28に沿って発熱剤5を下向きに繰り出すように、繰り出しロール31を図1における反時計方向に所定速度で回転駆動するようになっている。
【0036】
貯留部23は、例えば下部貯留部23b側に、上側に向けて断面積が広くなる拡幅部36が形成されている。この拡幅部36では、例えば軸方向幅は変化せず、周方向幅、即ち側壁30,30の幅が例えば周方向の一方側、例えば計量ドラム14の回転方向上流側にのみ上側に向けて徐々に拡幅し、後壁29に前下がりの傾斜面37を形成している。
【0037】
また、下部貯留部23bの例えば後壁29側には、その下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量を検出する貯留量検出手段38が設けられている。この貯留量検出手段38は、フォトセンサ、近接スイッチ等により構成され、例えば下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量が所定量以上の場合にON(又はOFF)となり、貯留量が所定量を下回った場合にOFF(又はON)に切り替わるようになっている。
【0038】
貯留量調整繰り出し手段27は、略円柱状の繰り出しロール41と、この繰り出しロール41を回転駆動する繰り出し駆動手段42とを備えている。
【0039】
繰り出しロール41は、繰り出しロール31と同様、その外周面上の全周にわたって軸方向の繰り出し溝43が形成され、上部貯留部23aと下部貯留部23bとの連結部を略閉鎖するように、計量ドラム14と平行に配置され、その回転軸44が、例えば貯留供給ケース24の側壁30に設けられた軸受け44a,44aにより回転自在に保持されている。
【0040】
繰り出し駆動手段42は、例えばステッピングモータにより構成され、その駆動軸42aが繰り出しロール41の回転軸44に連結されており、例えば貯留供給ケース24の前壁28に沿って発熱剤5を下向きに繰り出すように、繰り出しロール41を図1における反時計方向に回転駆動するようになっている。なお、繰り出しロール41の回転方向はどちらでもよい。
【0041】
また、繰り出し駆動手段42は、貯留量制御手段45によって下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量を略一定に保持するように制御されるようになっている。即ち、貯留量制御手段45は、貯留量検出手段38の検出結果に基づいて、例えば貯留量検出手段38がON(下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量が所定量以上)の場合には繰り出し駆動手段42の作動を停止させ、貯留量検出手段38がOFFになったときに、少なくとも貯留量検出手段38がONになるまで繰り出し駆動手段42を作動させて、繰り出しロール41により上部貯留部23a側の発熱剤5を下部貯留部23b側に繰り出させるようになっている。
【0042】
スクレーパー26は、ステンレス材料等により薄板状に形成されており、その下縁側の掻き取り部46が計量ドラム本体16の外周面に上側から接触するように計量ドラム14の軸方向に沿って配置され、例えば貯留供給ケース24の前壁28に取付部材47を介して着脱自在に装着されている。なお、スクレーパー26は、弾性変形可能な材料であればステンレス以外の金属や合成樹脂等で形成してもよい。
【0043】
スクレーパー26は、少なくとも計量ドラム14の軸方向に配列された1又は複数(例えば4個)の全ての計量側収容部13に跨るように、計量ドラム14の軸方向に沿って配置されている。
【0044】
発熱剤封入装置12は、移送位置Aにおいて計量ドラム14と近接するシールドラム51と、移送位置Aよりも下流側のシール位置Bにおいてシールドラム51と接触するヒートロール52とを備えている。
【0045】
シールドラム51は、略円筒状のシールドラム本体53と、このシールドラム本体53の内周側に配置された発熱剤保持手段54とを備えている。
【0046】
シールドラム本体53は、移送位置Aにおいて計量ドラム14に近接又は当接するように計量ドラム14に平行に配置され且つ計量ドラム14と略同じ周速で供回り方向に回転駆動されるようになっている。
【0047】
シールドラム本体53は、例えばステンレス等の非磁性材により形成されており、その外径は計量ドラム本体16と略同じに形成されているが、シールドラム本体53と計量ドラム本体16との外径は異なっていてもよい。
【0048】
シールドラム本体53の外周面上には、発熱剤5を収容可能な凹状のシール側収容部55が、計量ドラム14側の計量側収容部13と対応するように、周方向及び軸方向に夫々所定個数、例えば周方向に12個、軸方向に4列で配列されている。なお、シールドラム本体53の外径が計量ドラム本体16の外径と異なる場合には、シール側収容部55の周方向の配置数は計量側収容部13の周方向の配置数と異なってくることは言うまでもない。
【0049】
発熱剤保持手段54は、移送位置Aにおいて計量ドラム14側の計量側収容部13内の発熱剤5をシール側収容部55側に移送させると共に、その移送された発熱剤5をシール側収容部55内に保持するもので、例えば磁性粉を含む発熱剤5を吸着可能な永久磁石により構成されており、各シール側収容部55に対応してシールドラム本体53の内周側に配置され、シールドラム本体53と共に回転するようになっている。
【0050】
シールドラム本体53の外周面には、原反ロール(図示省略)から繰り出された幅広長尺状の通気性シート7が、少なくとも移送位置Aよりも上流側からシール位置Bにかけて所定の張力で巻き掛けられている。従って、移送位置Aにおいては、計量側収容部13内の発熱剤5は通気性シート7を介して発熱剤保持手段54に吸着され、シール側収容部55内に収容される。このとき、通気性シート7は、発熱剤5によりシール側収容部55の内面側に略密着した状態となる。
【0051】
ヒートロール52は、通気性シート7及び非通気性シート8を発熱剤5の周囲、即ちシールドラム本体53の外周面のシール側収容部55を除く部分(以下、シール面56という)に対応して縦横のマス目状にシールして発熱剤5を封入するためのもので、シールドラム51と平行に配置され、シール位置Bにおいてシールドラム51の外周面に両シート7,8を介して転接されている。
【0052】
ヒートロール52の外周面には、シールドラム51側のシール側収容部55と対応するように凹部57が設けられ、その外周面上の凹部57を除く部分が、シールドラム本体53側のシール面56との間に通気性シート7及び非通気性シート8を挟み込んでシールするシール面58となっている。
【0053】
ヒートロール52の外周面には、原反ロール(図示省略)から繰り出された幅広長尺状の非通気性シート8が、シール位置Bからその上流側にかけて所定の張力で巻き掛けられている。
【0054】
また、シールドラム51及びヒートロール52には、夫々内部に熱源(図示省略)が配置されており、少なくともシール面56,58部分が加熱されるようになっている。
【0055】
以上説明した使い捨てカイロ製造装置1の動作を説明する。まず使い捨てカイロ製造装置1を作動させる前に、投入口22から発熱剤供給手段15の上部貯留部23a内に所定量の発熱剤5が投入され、更に貯留量制御手段45の制御により貯留量調整繰り出し手段27が作動される。即ち、繰り出し駆動手段42により繰り出しロール41が回転して、上部貯留部23a側の発熱剤5が下部貯留部23b側に順次繰り出される。なお、貯留量調整繰り出し手段27の作動は、少なくとも貯留量検出手段38により検出されるまで継続された後、停止される。
【0056】
貯留量調整繰り出し手段27により下部貯留部23b側に供給された発熱剤5は、例えば傾斜面37により繰り出しロール31による繰り出し側、即ち前壁28側に案内され、繰り出しロール31の上側に蓄積される。
【0057】
使い捨てカイロ製造装置1の作動が開始され、計量ドラム14が所定方向に回転を始めると、それと同期して発熱剤繰り出し手段25も作動を開始する。即ち、繰り出し駆動手段32により繰り出しロール31が例えば一定速度で回転して、下部貯留部23b内の発熱剤5を順次下向きに繰り出してゆく。繰り出しロール31により下向きに繰り出された発熱剤5は、供給口21を介して、回転中の計量ドラム本体16の外周面上に自然落下する。これにより、各計量側収容部13は、供給口21の下側を通過する際に、回転方向下流側から上流側に向けて発熱剤5が順次充填される(図3(a))。
【0058】
発熱剤5が充填された計量側収容部13が供給口21を下流側に抜ける際には、計量ドラム本体16の外周面に摺接されているスクレーパー26により、計量側収容部13から溢れた発熱剤5が計量ドラム本体16の外周面上から回転方向下流側に掻き落とされ、計量側収容部13内にはちょうどカイロ1個分の発熱剤5が残される。
【0059】
発熱剤供給手段15により計量側収容部13内に充填された発熱剤5は、計量ドラム14内に配置された発熱剤保持手段17の磁力により計量側収容部13内に保持された状態で移送位置A側に搬送される。そして、移送位置Aに到達すると、保持力遮断手段18により発熱剤保持手段17の磁力が遮断されるため、図1に示すように、計量側収容部13内の発熱剤5は対向するシールドラム51側の発熱剤保持手段54の磁力に引かれ、通気性シート7の外側からシール側収容部55内に収容される。
【0060】
シール側収容部55内に収容された発熱剤5は、シールドラム51の回転により下流側に搬送される。そして、シール位置Bにおいて、発熱剤5の外側からヒートロール52により非通気性シート8が重ねられると共に、発熱剤5の周囲を取り囲むように通気性シート7と非通気性シート8とが熱シールされ、下流側に搬送される。
【0061】
下部貯留部23b内の発熱剤5が徐々に減少し、その貯留量が所定量を下回って貯留量検出手段38がOFFになると、貯留量制御手段45の制御により、貯留量調整繰り出し手段27が作動して、少なくとも貯留量検出手段38がONになるまで繰り出し駆動手段42を作動させる(図3(b))。これにより、発熱剤繰り出し手段25の上流側、即ち下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量が略一定に保持されるため、発熱剤繰り出し手段25の繰り出し部分に作用する圧力が略一定となり、発熱剤繰り出し手段25による発熱剤5の繰り出し量、即ち計量側収容部13内への発熱剤5の供給量を略一定に保持できる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の発熱剤計量装置11は、発熱剤供給手段15が、計量ドラム14上の計量側収容部13の上側に略下向きに配置される供給口21と、この供給口21の上方に配置された貯留部23と、供給口21と貯留部23との間に配置され且つ貯留部23側の発熱剤5をその下側の供給口21側に繰り出す発熱剤繰り出し手段25とを備えているため、貯留部23内の発熱剤5の貯留量に拘わらず計量側収容部13内に発熱剤5を確実に充填することができ、計量の正確さは維持しつつ、計量対象である発熱剤5の貯留部23内の貯留量を少なくすることができる。これにより、メンテナンス等のために製造装置を停止させる際に貯留部23内に残る発熱剤5の量、即ち廃棄する発熱剤5の量を最小限にすることができ、経済的である。
【0063】
貯留部23に配置され且つそれよりも上側の上部貯留部23a内の発熱剤5を下側の下部貯留部23b側に繰り出す貯留量調整繰り出し手段27を備えているため、発熱剤繰り出し手段25の上流側の発熱剤5の貯留量が過大となることを防止できる。
【0064】
更に、下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量を検出する貯留量検出手段38と、この貯留量検出手段38からの検出信号に基づいて、下部貯留部23b内の発熱剤5の貯留量を略一定に保持するように貯留量調整繰り出し手段27の動作を制御する貯留量制御手段45とを備えているため、発熱剤繰り出し手段25の上流側の発熱剤5の貯留量を略一定に保持することができる。これにより、発熱剤繰り出し手段25の繰り出し部分に作用する圧力が略一定となり、発熱剤繰り出し手段25による発熱剤5の繰り出し量、即ち計量側収容部13内への発熱剤5の供給量を略一定に保持できる利点がある。
【0065】
図5は本発明の第2の実施形態を例示し、上部貯留部23a内の粉体物5を下側の下部貯留部23b側に供給する貯留量調整手段27を、上部貯留部23aと下部貯留部23bとの連結部を開閉する手段により構成した例を示している。
【0066】
図5に示すように、本実施形態の貯留量調整手段27は、上部貯留部23aと下部貯留部23bとの連結部23cを閉鎖する閉状態と開放する開状態とに変化可能な開閉部材61と、この開閉部材61を駆動する電磁ソレノイド等よりなる開閉駆動手段62とで構成されている。
【0067】
連結部23cは、例えば発熱剤繰り出し手段25の繰り出し位置に対応して、例えば前壁28側に設けられている。また、開閉部材61の上側には、上部貯留部23a側の発熱剤5を連結部23c側、即ち前壁28側に案内する傾斜面63が形成されている。
【0068】
このように、貯留量調整手段27は、上部貯留部23a内の粉体物5を下側の下部貯留部23b側に供給でき、且つその供給量を調整可能であればどのような構成でもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれら各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、貯留部23、上部貯留部23a、下部貯留部23b等の容量は任意であり、発熱剤繰り出し手段25の繰り出し量等に応じて適当な大きさに設定すればよい。従って、例えば図6のように、下部貯留部23bに拡幅部36等を設けることなく、貯留供給ケース24を上下方向略一定の断面積に形成することも可能である。
【0070】
実施形態では、供給口21を、計量ドラム14の軸方向に配列された複数(例えば4個)の全ての計量側収容部13に跨るように形成した例を示したが、図7に示すように、計量ドラム14の軸方向に配列された複数の計量側収容部13に夫々対応するように、複数の供給口21を設けてもよい。また、供給口21だけでなく、発熱剤供給手段15を、計量ドラム14の軸方向に配列された複数の計量側収容部13に夫々対応するように複数設けてもよい。
【0071】
貯留量調整手段27を、発熱剤供給手段15の外部に設けてもよい。即ち、発熱剤供給手段15の外部に設けた貯留量調整手段27により、貯留部23内への発熱剤5の供給量を調整するように構成してもよい。
【0072】
実施形態では、計量ドラム14側に発熱剤保持手段17として永久磁石を計量側収容部13に対して固定的に配置した例を示したが、例えば発熱剤保持手段17は電磁石等でもよい。また、保持力遮断手段18により発熱剤保持手段17から計量側収容部13に作用する磁力を遮断するように構成したが、例えば発熱剤保持手段17を計量側収容部13に対して可動式とし、発熱剤保持手段17と計量側収容部13との距離を変化させることにより、発熱剤保持手段17から計量側収容部13に作用する磁力を変化させるように構成してもよい。発熱剤保持手段17として電磁石を使用する場合には電磁石のON/OFF制御で対応すればよい。
【0073】
スクレーパー26は、例えば発熱剤供給手段15とは別の部分に固定してもよい。またその素材や形状は任意である。
【0074】
また、当該粉体物計量装置の計量対象とする粉体物は、使い捨てカイロ用の発熱剤に限られるものではなく、脱臭剤等の他種類の粉体物を計量する際にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す使い捨てカイロ製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す発熱剤計量装置の正面部分断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示す発熱剤計量装置の動作説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示す使い捨てカイロの概略構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す発熱剤計量装置の概略構成図である。
【図6】本発明の変更例を示す発熱剤計量装置の概略構成図である。
【図7】本発明の変更例を示す発熱剤計量装置の正面部分断面図である。
【符号の説明】
【0076】
5 発熱剤(粉体物)
13 計量側収容部(収容部)
14 計量ドラム(粉体物収容手段)
15 発熱剤供給手段(粉体物供給手段)
21 供給口
23 貯留部
23a 上部貯留部
23b 下部貯留部
25 発熱剤繰り出し手段(粉体物繰り出し手段)
27 貯留量調整繰り出し手段(貯留量調整手段)
45 貯留量制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の粉体物(5)を収容可能な収容部(13)を備えた粉体物収容手段(14)と、該粉体物収容手段(14)の前記収容部(13)に前記所定量の粉体物(5)を供給する粉体物供給手段(15)とを備えた粉体物計量装置において、前記粉体物供給手段(15)は、前記粉体物収容手段(14)の上側に配置され且つ前記粉体物(5)を貯留可能な貯留部(23)と、該貯留部(23)の下側に前記収容部(13)に向けて下向きに配置される供給口(21)と、前記貯留部(23)と前記供給口(21)との間に配置され且つ前記貯留部(23)側の粉体物(5)を前記供給口(21)側に繰り出す粉体物繰り出し手段(25)とを備えたことを特徴とする粉体物計量装置。
【請求項2】
前記貯留部(23)に配置され且つそれよりも上側の上部貯留部(23a)内の粉体物(5)を下側の下部貯留部(23b)側に供給する貯留量調整手段(27)を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉体物計量装置。
【請求項3】
前記下部貯留部(23b)内の粉体物(5)の貯留量を検出する貯留量検出手段(38)と、該貯留量検出手段(38)からの検出信号に基づいて、前記下部貯留部(23b)内の粉体物(5)の貯留量を略一定に保持するように前記貯留量調整手段(27)の動作を制御する貯留量制御手段(45)とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の粉体物計量装置。
【請求項4】
前記粉体物は、使い捨てカイロ用の発熱剤であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粉体物計量装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−275900(P2006−275900A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97973(P2005−97973)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(390018832)東亜機工株式会社 (14)
【Fターム(参考)】