説明

粒子状物質処理装置

【課題】電極に付着した凝縮水により過大な電流が通ることを抑制する。
【解決手段】内燃機関の排気通路に設けられる電極と、電極に接続され電圧を印加する電源と、電極を通る電流を検出する検出装置と、検出装置により検出される電流が所定値以上の場合に、電源から電極に供給する電力に上限を設定する電力上限設定装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放電電極を通る電流が所定値以上のときに、該放電電極に粒子状物質(以下、PMともいう。)が付着していると判定し、放電電極からPMを除去するために印加電圧を増加させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。なお、電極から付着物を除去することを、電極の再生という。
【0003】
また、機関始動直後に排気管内に発生した凝縮水がセンサ電極部に付着することによるこのセンサ電極部の静電容量の変化に基づいて、PMセンサの故障を判定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、内燃機関の排気通路に放電電極を設け、該放電電極からコロナ放電を発生させることによりPMを帯電させてPMを凝集させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照。)。PMを凝集させることにより、PMの粒子数を減少させることができる。また、PMの粒子径が大きくなるため、下流側にフィルタを設けたときに該フィルタにてPMを捕集しやすくなる。
【0005】
ここで、排気中に含まれる水が凝縮して電極に付着すると、凝縮水を介して電極と排気通路との間に電気が流れる。このため、電極を通る電流が大きくなり、電源や電極、その他の回路などの粒子状物質処理装置を構成する部材が劣化したり、故障したりする虞がある。また、大きな電流に耐え得るように装置を構成すると、コストアップとなる。さらに、電流が増加すると消費電力が大きくなるため、燃費が悪化する虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−105081号公報
【特許文献2】特開2010−275917号公報
【特許文献3】特開2006−194116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極に付着した凝縮水により過大な電流が通ることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために本発明による粒子状物質処理装置は、
内燃機関の排気通路に設けられる電極と、
前記電極に接続され電圧を印加する電源と、
前記電極を通る電流を検出する検出装置と、
前記検出装置により検出される電流が所定値以上の場合に、前記電源から前記電極に供給する電力に上限を設定する電力上限設定装置と、
を備える。
【0009】
ここで、電極に電圧を印加すると、PMを帯電させることができる。帯電したPMは、クーロン力や排気の流れにより排気通路の内壁へ向かって移動する。排気通路の内壁に到
達したPMは、排気通路に電子を放出するため、電極よりも接地側に電気が流れる。そして、電子を放出したPMは、近くに存在する他のPMと凝集するため、粒子数を減少させることができる。
【0010】
ところで、電極に水が付着すると、排気中に浮遊しているPMを帯電させることが困難となるので、PMを凝集させることが困難となる。一方、電極に付着した水を介して電極と排気通路との間に電気が流れると、検出装置により検出される電流が大きくなる。そして、電極に付着している水を介して通る電流は、排気中に浮遊しているPMを凝集するときに通る電流よりもはるかに大きい。
【0011】
凝縮水を介して電極と排気通路との間に過大な電気が流れると、電源や電極などの粒子状物質処理装置を構成する部材が劣化したり、故障したりする虞がある。これに対し電力上限設定装置は、検出装置により検出される電流が所定値以上の場合に電力供給量に上限を設定する。すなわち、電極に水が付着したために電流が大きくなったとしても、電力が上限に達した場合に電流がさらに大きくなると電圧は小さくなる。電圧が小さくなることで電極から電子が放出され難くなるため、電流を抑制できるので、電極や電源などに過大な電流が通ることを抑制できる。また、電力に上限を設定しつつ電極に電圧を印加させておくことができるため、PMの凝集を促進させることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、該電力が上限よりも低下した場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置を備えることができる。
【0013】
電極に水が付着したとしても、その後に排気通路や電極の温度が上昇すれば、電極から水が蒸発する。電極から水が蒸発した後に、印加電圧を適正な値に設定することにより、PMの凝集を促進させることができる。ここで、電流が大きくなっている間は、印加電圧が低減されることにより、供給電力が前記上限で一定となるが、電極から水が除去されると、電流が小さくなり印加電圧が大きくなる。ここで、印加電圧は、もともと設定されている印加電圧よりも大きくならないため、電流が小さくなるにしたがって電力が小さくなる。この関係に基づいて、電極から水が除去されたと判定することができる。
【0014】
本発明においては、前記検出装置により検出される電流に基づいて電気抵抗を算出する電気抵抗算出装置と、
前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、前記電気抵抗算出装置により算出される電気抵抗が、所定値以上となった場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置と、
を備えることができる。
【0015】
ここで、電極に水が付着すると、電気抵抗が小さくなる。この電気抵抗は、印加電圧と検出される電流とに基づいて算出することができる。したがって、算出される電気抵抗に基づいて、電極に水が付着しているか否か判定することができる。そして、電極から水が除去されたときの電気抵抗を所定値として予め設定しておけば、電気抵抗が所定値以上となった場合に、電極から水が除去されたと判定できる。これにより、印加電圧を速やかに適正な値とすることができるため、PMの凝集を促進させることができる。
【0016】
本発明においては、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記電極から蒸発する水の量を推定する推定装置と、
前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、前記推定装置により推定される水の量が所定値以上となった場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置と、
を備えることができる。
【0017】
ここで、内燃機関の運転状態に応じて排気通路や電極の温度が変化するため、該内燃機関の運転状態に基づいて、電極に付着した水の蒸発量を算出することができる。そして、電極に付着する水の量には限度があるため、この限度を所定値として設定しておけば、蒸発したと推定される水の量が所定値以上となった場合に、電極から水が除去されたと判定できる。これにより、印加電圧を速やかに適正な値とすることができるため、PMの凝集を促進させることができる。
【0018】
なお、電極に付着している水の量を推定し、該水の量が所定値以下となった場合に、前記電極から水が除去されたと判定することもできる。この所定値は、電極から水が除去されたとすることのできる水の付着量、または電極に電圧を印加しても過大な電流が流れない水の付着量とすることができる。この場合の所定値は0としてもよい。
【0019】
本発明においては、前記排気通路に設けられ前記電極が設置される処理部と、
前記処理部と前記排気通路との間で電気を絶縁する絶縁部と、
前記処理部を接地させる接地部と、
前記検出装置により検出される電流にパルス電流が発生したか否か判定するパルス電流判定装置と、
を備え、
前記検出装置は、前記接地部にて電流を検出し、
前記検出装置により検出される電流が、前記所定値未満の場合には、前記パルス電流判定装置によりパルス電流が発生したと判定されるまで前記電極に印加する電圧を増加させ、前記パルス電流判定装置によりパルス電流が発生したと判定された場合に前記電極に印加する電圧を低減させることで、前記電極に印加する電圧をパルス電流が発生する電圧よりも低く調整するパルス電流抑制装置を備えることができる。
【0020】
電極に印加する電圧を大きくすると、電極からより多くの電子が放出される。このため、PMの凝集を促進させることができるので、PMの粒子数をより減少させることができる。しかし、電極への印加電圧を大きくし過ぎると、コロナ放電やアーク放電などの強い放電が起こり得る。このような強い放電が起こると、高速電子によりPMが微細化されてしまう。したがって、印加電圧を大きくすれば良いというものでもない。
【0021】
このため、電圧を印加したときに強い放電が発生しないように印加電圧を設定する。なお、コロナ放電やアーク放電などの強い放電を発生させないような印加電圧であっても、PMを凝集させることはできる。ここで、接地部において電流を検出している場合には、電極において強い放電が発生したときに、パルス電流が検出される。すなわち、パルス電流が発生しないように電圧を印加すれば、強い放電が発生することを抑制できる。
【0022】
たとえば、印加電圧を徐々に増加させていき、パルス電流が発生したときに印加電圧を低減させる。これにより、強い放電が発生することを抑制できるため、PMが微細化されることを抑制できる。
【0023】
また、パルス電流が発生しない範囲で印加電圧をより大きくすることにより、PMがより凝集しやすくなる。すなわち、パルス電流が発生しない範囲で印加電圧を増加させることにより、PMの凝集を促進させることができる。このため、パルス電流が発生しない範囲で印加電圧が最大となるようにフィードバック制御を行ってもよい。
【0024】
なお、検出装置は、電極よりも電位の基準点側において電流を検出している。一般に、電極より電源側では、電極より接地側よりも、配線が長かったり、配線を太くしたりする
。また、電極よりも電源側では電荷が蓄えられることもある。そうすると、仮に電極よりも電源側において電流を検出した場合には、電極において強い放電が発生しても、そのときに検出装置により検出される電流の上昇および下降が緩慢となる。このため、パルス電流を検出することが困難な場合もある。
【0025】
一方、電極より接地側では、相対的に配線を短く且つ細くすることができる。このため、電極より接地側において電流を検出した場合には、強い放電が発生したときにパルス電流を検出しやすい。したがって、電極よりも接地側において電流を検出することで、強い放電が発生したことをより確実に検出することができる。
【0026】
また、絶縁部を備えることにより、接地部以外に電気が流れることを抑制できる。このため、強い放電が発生したときにパルス電流をより正確に検出することができる。
【0027】
そして、電極から水が除去された後であれば、パルス電流が検出されるまで印加電圧を大きくしても、過大な電流が通ることもないため、最適な印加電圧に調整し得る。なお、電極から水が除去された後に検出されるパルス電流の最大値は、電極に水が付着しているときに検出される電流よりも小さい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電極に付着した凝縮水により過大な電流が通ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例に係る粒子状物質処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施例1に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。
【図3】実施例2に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。
【図4】実施例3に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。
【図5】実施例4に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。
【図6】実施例5に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る粒子状物質処理装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【0031】
(実施例1)
図1は、本実施例に係る粒子状物質処理装置1の概略構成を示す図である。粒子状物質処理装置1は、例えばガソリン機関の排気通路2に設けられる。なお、ディーゼル機関の排気通路に設けることもできる。
【0032】
粒子状物質処理装置1は、両端が排気通路2に接続されているハウジング3を備えて構成される。ハウジング3の材料には、ステンレス鋼材を用いている。ハウジング3は、排気通路2よりも直径の大きな中空の円柱形に形成されている。ハウジング3の両端は、端部に近くなるほど断面積が小さくなるテーパ状に形成されている。なお、図1においては、排気が排気通路2を矢印の方向に流れて、ハウジング3内に流入する。このため、ハウジング3は排気通路2の一部としてもよい。なお、本実施例においてはハウジング3が、本発明における処理部に相当する。
【0033】
排気通路2とハウジング3とは、絶縁部4を介して接続されている。絶縁部4は、電気の絶縁体からなる。絶縁部4は、排気通路2の端部に形成されるフランジ21と、ハウジング3の端部に形成されるフランジ31と、に挟まれる。排気通路2とハウジング3とは
、たとえばボルト及びナットにより締結される。そして、これらボルト及びナットを介して電気が流れないように、これらボルト及びナットにも絶縁処理を施しておく。このようにして、排気通路2とハウジング3との間に電気が流れないようにしている。
【0034】
ハウジング3には、電極5が取り付けられている。電極5は、ハウジング3の側面を貫通しており、該ハウジング3の側面から該ハウジング3の中心軸方向へ延びて該中心軸近傍において排気の流れの上流側へ折れ曲がり、該中心軸と平行に排気の流れの上流側へ向かって伸びている。このため、電極5の端部はハウジング3の中心軸近傍に位置する。また、電極5とハウジング3との間に電気が流れないように、電極5には電気の絶縁体からなる碍子部51が設けられている。この碍子部51は、電極5とハウジング3との間に位置しており、電気を絶縁すると共に、電極5をハウジング3に固定するための機能を有する。
【0035】
そして、電極5は電源側電線52を介して電源6に接続されている。電源6は、電極5へ通電すると共に、印加電圧を変更することができる。この電源6は、電線を介して制御装置7及びバッテリ8に接続されている。制御装置7は、電源6が電極5に印加する電圧を制御する。
【0036】
また、ハウジング3には接地側電線53が接続されており、該ハウジング3は接地側電線53を介して接地されている。接地側電線53には、該接地側電線53を通る電流を検出する検出装置9が設けられている。検出装置9は、例えば、接地側電線53の途中に設けられる抵抗の両端の電位差を測定することで電流を検出する。この検出装置9は、電線を介して制御装置7に接続されている。そして、検出装置9により検出される電流が制御装置7に入力される。なお、本実施例においては接地側電線53が、本発明における接地部に相当する。
【0037】
なお、制御装置7には、アクセル開度センサ71、クランクポジションセンサ72、機関温度センサ73、エアフローメータ74、外気温度センサ75、排気通路温度センサ76が接続されている。アクセル開度センサ71は、内燃機関が搭載される車両の運転者がアクセルペダルを踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し、機関負荷を検出する。クランクポジションセンサ72は、機関回転数を検出する。機関温度センサ73は、内燃機関の冷却水の温度または潤滑油の温度を検出することで内燃機関の温度を検出する。エアフローメータ74は、内燃機関の吸入空気量を検出する。外気温度センサ75は、外気の温度を検出する。また、排気通路温度センサ76は、ハウジング3よりも上流側の排気通路2に取り付けられており、該排気通路2の温度を検出する。
【0038】
このように構成された粒子状物質処理装置1では、電源6から電極5へ負の直流高電圧を印加することで、該電極5から電子が放出される。すなわち、ハウジング3よりも電極5のほうの電位を低くすることで、電極5から電子を放出させている。そして、この電子により排気中のPMを負に帯電させることができる。負に帯電したPMは、クーロン力とガス流によって移動する。そして、PMがハウジング3へ到達すると、PMを負に帯電させた電子は該ハウジング3へと放出される。ハウジング3へ電子を放出したPMは凝集して粒子径が大きくなる。また、PMが凝集することで、PMの粒子数は低減する。すなわち、電極5へ電圧を印加することで、PMの粒子径を大きくし且つPMの粒子数を低減させることができる。
【0039】
なお、本実施例では、電極5を排気の流れの上流側に向けて折り曲げているが、これに代えて、下流側に向けて折り曲げてもよい。ここで、本実施例のように、電極5を排気の流れの上流側に向けて折り曲げると、碍子部51にPMが付着し難い。すなわち、碍子部51よりも上流側においてPMを帯電されることができるため、該PMがハウジング3の
内周面に向かう。このため、碍子部51に衝突するPMが減少するので、該碍子部51にPMが付着し難くなる。しかし、電極5を排気の流れの上流側へ向けて折り曲げると、排気の流れから力を受けて電極5が変形し易い。このため、電極5が短い場合に適している。一方、電極5を排気の流れの下流側に向けて折り曲げると、碍子部51にPMが付着し易いが、排気の流れから力を受けても電極5が変形し難い。このため、耐久性及び信頼性が高く、電極5を長くすることができる。
【0040】
ところで、碍子部51を含む電極5に、排気通路2内で凝縮した水が付着すると、電極5の絶縁性が低下する。そして、この水を介して電極5とハウジング3との間に電気が流れ得る。このため、電極5を通る電流が大きくなり、電源6や電極5、その他の回路などの粒子状物質処理装置1を構成する部材が劣化したり、故障したりする虞がある。また、水を介して電気が流れるので、電極5から放出される電子が減少するため、排気中に浮遊しているPMを帯電させることが困難となり、PMを凝集させることが困難となる。
【0041】
そこで、電極5に水が付着していることを検出装置9により検出される電流に基づいて判定し、電極5に水が付着していると判定される場合に、電源6から供給する電力に上限を設ける。このように電力に上限を設定すると、電力が上限となっているときには、電流が増加したときに電圧が減少するため、電流の増加が抑制される。したがって、電流の増加を抑制することで、上記装置を保護することができる。また、電極5へは電力が供給されるため、PMの凝集を継続することができる。ここで、電極5とハウジング3との間に水を介して電気が流れていないときには、排気中に浮遊するPM量に応じて電流が変化する。このときに検出される電流は、比較的小さい。一方、電極5に付着している水を介して電流が通るときに検出される電流は、比較的大きい。したがって、検出電流が所定値以上の場合に電極5に水が付着していると判定できる。所定値は、電極5に付着している水を介して電流が通るときの検出電流の下限値として予め実験等により求めておく。なお、電力の上限は、予め実験等により最適値を求めておくことができる。
【0042】
一方、電極5に水が付着していない場合には、印加電圧の目標値を算出し、該印加電圧の目標値となるように電圧を印加する。このときには、排気中のPMの粒子数に応じた電流が電極5を通る。
【0043】
なお、本実施例では絶縁部4を備えているため、排気通路2へ電気が通ることが抑制される。したがって、電極5に付着した水及び排気中に浮遊するPMを介してハウジング3へ通る電流は、検出装置9により検出される。また、接地側電線53において電流を検出することで、電流の検出精度を高めることができる。一般に、接地側電線53よりも、電源側電線52のほうの、配線が長かったり、配線を太くしたりする。そうすると、仮に電源側電線52において電流を検出した場合には、実際の電流の変化に対して検出される電流の上昇および下降が緩慢となる。このため、電流の検出精度が低くなる虞がある。
【0044】
一方、接地側電線53では、相対的に配線を短く且つ細くすることができる。このため、接地側電線53において電流を検出したほうが、実際の電流の変化に対する応答性が高い。したがって、接地側電線53において電流を検出することで、より正確に電流を検出することができる。ただし、電源側電線52において電流を検出することもできる。
【0045】
次に、図2は、本実施例に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンは、制御装置7により所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0046】
ステップS101では、内燃機関の運転状態が取得される。たとえば、機関回転数、機関負荷、内燃機関の温度など、これ以降の処理に必要となる値が読み込まれる。機関回転数は、クランクポジションセンサ72により検出され、機関負荷は、アクセル開度センサ
71により検出される。また、内燃機関の温度(たとえば、潤滑油の温度または冷却水の温度)を機関温度センサ73により検出する。
【0047】
ステップS102では、電極5への印加電圧が算出される。印加電圧は、推定されるPM粒子数(個/cm)に応じて設定する。このPM粒子数は、内燃機関から排出されるPM粒子数であり、ハウジング3に流入する前のPM粒子数である。PM粒子数は、機関回転数、機関負荷、及び内燃機関の温度(たとえば、潤滑油の温度または冷却水の温度)と相関関係にあるため、これらの値に基づいて算出する。機関回転数と機関負荷とから、PM粒子数を算出するためのマップを内燃機関の温度に応じて複数記憶しておき、該マップに基づいてPM粒子数を算出してもよい。
【0048】
なお、PM粒子数を検出するセンサをハウジング3よりも上流側の排気通路2に取り付けて、該センサによりPM粒子数を検出してもよい。
【0049】
そして、該PM粒子数及び内燃機関の排出ガス量(g/sec)に基づいて印加電圧を算出する。この関係は予め実験等により求めてマップ化しておいてもよい。内燃機関の排出ガス量は、内燃機関の吸入空気量と相関関係にあるため、エアフローメータ74により検出される吸入空気量に基づいて求めることができる。
【0050】
ここで、排出ガス量が少ないほど、PMの慣性力が小さくなるため、相対的に静電作用の影響が大きくなる。このため、PMが凝集しやすくなる。したがって、排出ガス量が少ないほど、より小さな印加電圧でPMが凝集する。このため、排出ガス量が少ないほど、印加電圧を小さくする。また、PM粒子数が多いほど、PM粒子間の距離が短くなるために、相対的に静電作用の影響が大きくなる。このためPM粒子数が多いほど、より小さな印加電圧でPMが凝集する。このため、PM粒子数が多いほど、印加電圧を小さくする。
【0051】
また、印加電圧は、たとえば、PM粒子数の低減率が所定値(たとえば40%)となるような値としてもよい。また、印加電圧を予め定めておいた規定値としてもよい。さらに、パルス電流が発生しない範囲で印加電圧を可及的に大きくしても良い。
【0052】
そして、印加電圧が算出された後、この電圧を印加して、ステップS103へ進み、検出電流が取得される。この検出電流は、検出装置9により検出される値である。
【0053】
ステップS104では、外気温度が取得される。この外気温度は、外気温度センサ75により得る。
【0054】
ステップS105では、排気通路2の温度が取得される。この排気通路2の温度は、排気通路温度センサ76により得る。なお、内燃機関の運転状態や外気温度に基づいて、排気通路2の温度を推定してもよい。
【0055】
ステップS106では、凝縮水が生成されているか推定される。これは、排気通路2の中で凝縮水が生成される条件が成立しているか否かに基づいて推定される。本ステップでは、電極5に水が付着しているか推定しているのではなく、排気通路2内に液体の水が存在するか推定している。凝縮水が生成されるのは、排気通路2の温度が比較的低いときであるため、該排気通路2の温度が閾値以下のときにおいて凝縮水が生成していると推定することができる。この閾値は、凝縮水が生成される排気通路2の温度の上限値として予め実験等により求めておく。また、内燃機関の始動から所定の期間は凝縮水が生成されると推定してもよい。さらに、排気通路2内に水が凝縮するか否かは、排気の温度、外気の温度、内燃機関の運転状態などによって決まるため、凝縮水が生成する条件をマップ化しておいてもよい。また、周知の技術により、凝縮水が生成されるか推定してもよい。
【0056】
ステップS107では、ステップS106において凝縮水が生成されたと推定されたか否か判定される。すなわち、電極5に水が付着する虞があるか否か判定される。ステップS107で肯定判定がなされた場合にはステップS108へ進み、否定判定がなされた場合には電極5に付着した水を介して電流が通る虞がないため、本ルーチンを終了させる。なお、本ステップで凝縮水が生成されたか否か判定するのは、たとえば、電極5に付着したPMや、排気中に含まれる未燃燃料の影響により検出電流が大きくなることもあり得るため、これらと区別するためである。
【0057】
ステップS108では、ステップS103で取得される検出電流が、所定値A以上であるか否か判定される。この所定値Aは、電極5に水が付着しているときに検出される電流の下限値であり、電極5に水が付着していないときに検出される電流よりも十分に大きな値である。ステップS108で肯定判定がなされた場合にはステップS109へ進み、否定判定がなされた場合には電極5に水が付着していないため本ルーチンを終了させる。
【0058】
ステップS109では、電源6から電極5へ供給する電力の上限である最大供給電力が設定される。これにより、過大な電流が流れることを抑制できる。なお、本実施例においてはステップS109を処理する制御装置7が、本発明における電力上限設定装置に相当する。
【0059】
以上説明したように本実施例によれば、電極5に水が付着しているときには、印加電圧に上限を設けるため、過大な電流が流れることを抑制できる。これにより、粒子状物質処理装置1が劣化したり又は故障したりすることを抑制できる。
【0060】
(実施例2)
本実施例では、印加電圧に上限が設けられた後に、通常の印加電圧に戻すときの条件を設定している。その他の装置などは実施例1と同じため、説明を省略する。
【0061】
ここで、内燃機関の運転時間が長くなると、排気通路2内の凝縮水が蒸発する。したがって、電極5に水が付着していても、時間の経過によりこの水が除去される。このようにして水が除去されたときに、速やかに印加電圧を大きくすることにより、PMの凝集を促進させることができる。
【0062】
そして、電極5に水が付着しているときには、電流が大きくなるため、電極5に供給される電力は、最大供給電力で一定となる。一方、電極5から水が除去されると、供給電力が最大供給電力よりも小さくなる。すなわち、供給電力が最大供給電力よりも小さくなった場合に、電極5から水が除去されたと判定できる。
【0063】
次に、図3は、本実施例に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンは、制御装置7により所定の時間毎に繰り返し実行される。また、実施例1に示したフローと同じ処理がなされるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
本ルーチンでは、ステップS109に次いで、ステップS201が実行される。ステップS201では、電極5に供給される電力が所定値B未満であるか否か判定される。なお、所定値Bは、ステップS109において設定される最大供給電力に対して誤差の影響を考慮した値であり、最大供給電力よりも小さな値である。なお、所定値Bを最大供給電力と等しいとしても良い。本ステップでは、電極5から水が除去されか否か判定される。ステップS201で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS109へ戻る。なお、本実施例においてはステップS201を処
理する制御装置7が、本発明における水除去判定装置に相当する。
【0065】
ステップS202では、電極5への印加電圧が算出される。このときの印加電圧は、ステップS102と同様にして算出してもよい。また、以下のようにして印加電圧を算出しても良い。
【0066】
ここで、電極5に印加する負の電圧を大きくすると、電極5からより多くの電子が放出される。このため、PMの凝集を促進させることができるので、PMの粒子数をより減少させることができる。しかし、電極5への印加電圧を大きくし過ぎると、コロナ放電やアーク放電などの強い放電が起こり得る。このような強い放電が起こると、高速電子によりPMが微細化されてしまう。したがって、PMの凝集を促進させるためには、コロナ放電などの強い放電が起こるよりも低い電圧に調節するとよい。ここで、コロナ放電などの強い放電が発生すると、検出装置9によりパルス電流が検出される。
【0067】
そこで本実施例では、印加電圧をパルス電流が発生しない範囲に調節してもよい。この場合、パルス電流が発生する印加電圧よりも小さな電圧を電極5に印加する。これにより、パルス電流が発生することを抑制し、PMの粒子数が増加することを抑制する。このため、パルス電流が発生するまで印加電圧を大きくし、該パルス電流が発生し始める印加電圧を検出する。なお、本実施例ではパルス電流が発生し始める印加電圧を検出する制御装置7が、本発明におけるパルス電流判定装置に相当する。そして、パルス電流が発生した場合に電極5に印加する電圧を低減させることで、該電極5に印加する電圧をパルス電流が発生する電圧よりも低く調整する。なお、パルス電流が発生する前に、パルス電流が発生する予兆を電流から読み取って、パルス電流が発生する印加電圧を検出してもよい。また、パルス電流が発生するか否かの境界となる印加電圧としてもよい。なお、本実施例ではこのように印加電圧を制御する制御装置7が、本発明におけるパルス電流抑制装置に相当する。
【0068】
なお、本実施例では絶縁部4を備えており、さらに接地側電線53において電流を検出しているため、より正確にパルス電流を検出することができる。
【0069】
以上説明したように本実施例によれば、電極5に水が付着しているときには、過大な電流が通らないように最大供給電力を設定することにより、PMを凝集させつつ装置の故障が発生することを抑制できる。また、供給電力に基づいて電極5から水が蒸発したことを判定できるため、水が蒸発した後にすぐに適正な電圧の印加を開始することができるため、PMの凝集を促進させることができる。
【0070】
(実施例3)
本実施例では、印加電圧に上限が設けられた後に、通常の印加電圧に戻すときの条件を、電極5に付着していた水の蒸発量に基づいて設定している。その他の装置などは実施例1と同じため、説明を省略する。
【0071】
ここで、内燃機関の運転時間が長くなると、排気通路2内の凝縮水が蒸発する。したがって、電極5に水が付着していても、時間の経過によりこの水が除去される。このようにして水が除去されたときに、速やかに印加電圧を大きくすることにより、PMの凝集を促進させることができる。
【0072】
そして、電極5に付着していた水の蒸発量は、排気の温度、外気の温度、内燃機関の運転状態などによって決まる。これらの関係を予め実験等により求めておいてもよい。これらの関係をマップ化しておいてもよい。また、周知の技術により、水の蒸発量を求めてもよい。この水の蒸発量が十分多くなった場合に、電極5から水が除去されたと考える。
【0073】
次に、図4は、本実施例に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンは、制御装置7により所定の時間毎に繰り返し実行される。また、実施例1,2に示したフローと同じ処理がなされるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
本ルーチンでは、ステップS109に次いで、ステップS301が実行される。ステップS301では、電極5に付着していた水の蒸発量が算出される。水の蒸発量は、予め記憶されているマップに基づいて算出される。なお、本実施例においてはステップS301を処理する制御装置7が、本発明における推定装置に相当する。
【0075】
ステップS302では、ステップS301で算出される蒸発量が所定値C以上であるか否か判定される。所定値Cは、電極5に付着している水の蒸発量として必要十分である値として予め実験等により求めておく。すなわち、電極5に付着している水の量を算出していないため、現時点で電極5に残存している水の量を算出することはできないが、電極5に付着し得る水の量には限度があるため、この限度の付着量以上の水が蒸発したと判定されれば、電極5には水が残存しないことになる。すなわち、本ステップでは、電極5から水が除去されか否か判定される。ステップS302で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS301へ戻る。なお、本実施例においてはステップS302を処理する制御装置7が、本発明における水除去判定装置に相当する。
【0076】
以上説明したように本実施例によれば、電極5に水が付着しているときには、過大な電流が通らないように最大供給電力を設定することにより、PMを凝集させつつ装置の故障が発生することを抑制できる。また、水の蒸発量に基づいて、電極5から水が蒸発したことを判定できるため、水が蒸発した後すぐに適正な電圧の印加を開始することができるので、PMの凝集を促進させることができる。
【0077】
(実施例4)
本実施例では、印加電圧に上限が設けられた後に、通常の印加電圧に戻すときの条件を、電気抵抗に基づいて設定している。その他の装置などは実施例1と同じため、説明を省略する。
【0078】
ここで、電極5に付着している水の量に応じて電気抵抗が変化する。すなわち、水が存在しないときには電気抵抗が大きくなるが、水が存在して該水を介して電極5とハウジング3との間に電気が流れると電気抵抗が小さくなる。したがって、電気抵抗が大きくなれば、電極5に付着していた水が蒸発し、電極5の絶縁性が回復したと推定できる。
【0079】
次に、図5は、本実施例に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンは、制御装置7により所定の時間毎に繰り返し実行される。また、実施例1−3に示したフローと同じ処理がなされるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0080】
ステップS401では、電気抵抗Rが算出される。電気抵抗Rは、電極5とハウジング3との間の電気抵抗としても良く、回路全体の電気抵抗としても良い。電気抵抗Rは、検出電流と、印加電圧とに基づいて算出される。他の機器や電線の電気抵抗を予め実験等により求めておいてもよい。なお、本実施例ではステップS401を処理する制御装置7が、本発明における電気抵抗算出装置に相当する。
【0081】
ステップS402では、ステップS401で算出される電気抵抗Rが所定値D以上であ
るか否か判定される。本ステップでは、電極5に付着していた水が蒸発して、電気抵抗Rが十分に大きくなっているか否か判定している。すなわち、所定値Dは、電極5に付着していた水が蒸発したときの電気抵抗の下限値である。そして、電気抵抗Rが所定値D以上である場合には、電極5から水が除去されたと判定することができる。ステップS402で肯定判定がなされた場合にはステップS202へ進む。一方、ステップS402で否定判定がなされた場合にはステップS401へ戻る。すなわち、電気抵抗Rが所定値D以上となるまで、繰り返し電気抵抗Rが算出される。なお、本実施例ではステップS402を処理する制御装置7が、本発明における水除去判定装置に相当する。
【0082】
以上説明したように本実施例によれば、電極5に水が付着しているときには、過大な電流が通らないように最大供給電力を設定することにより、PMを凝集させつつ装置の故障が発生することを抑制できる。また、電気抵抗に基づいて、電極5から水が蒸発したことを判定できるため、水が蒸発した後すぐに適正な電圧の印加を開始することができるので、PMの凝集を促進させることができる。
【0083】
(実施例5)
本実施例では、電極5にPMが付着しているのか又は水が付着しているのかを判断し、電極5にPMが付着している場合には、電極5の再生を行う。その他の装置などは実施例1と同じため、説明を省略する。
【0084】
ここで、電極5にPMが付着した場合には、水が付着した場合と同様に、過大な電流が通る虞がある。このため、電極5にPMが付着して検出電流が大きくなった場合には、電極5の再生を行う。ここで、電極5に水が付着する条件は限られているため、この条件が成立していないときに検出電流が大きくなった場合には、電極5にPMが付着していると考えられる。したがって、電極5に水が付着している場合と、PMが付着している場合と、を区別することができる。
【0085】
図6は、本実施例に係る印加電圧の制御フローを示したフローチャートである。本ルーチンは、制御装置7により所定の時間毎に繰り返し実行される。また、実施例1−4に示したフローと同じ処理がなされるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
ステップS501では、電極5に水が到達する条件が成立しているか推定される。たとえば、排気通路2内に凝縮水が存在しており、且つ、アクセル開度が大きくなって排気の量が増加したときに、排気通路2の壁面に付着していた凝縮水が飛散して電極5に付着する。このように、凝縮水が存在する条件と、凝縮水が電極5に到達する条件と、が共に成立したときに電極5に水が到達すると推定される。そして、排気通路2に凝縮水が存在するか否かは、前記ステップS106と同様にして推定することができる。また、水が電極5に到達するか否かは、たとえばエアフローメータ74により検出される吸入空気量に基づいて推定する。たとえば、吸入空気量が閾値以上の場合に水が電極5に到達すると判定される。なお、本ステップでは、電極5に付着する水の量を推定してもよい。この量は、内燃機関の運転状態などに基づいて周知の技術により推定することができる。たとえば、排気中の存在する液滴の水が所定の割合で電極5に付着するものと仮定してもよい。
【0087】
ステップS502では、ステップS501において電極5に水が到達する条件が成立していると推定されたか否か判定される。なお、本ステップでは、電極5に付着している水の量が閾値以上であるか否か判定してもよい。この閾値は、検出電流が所定値Aとなる水の付着量である。ここで、ステップS108において検出電流が所定値A以上と判定されているため、電極5に水かPMの何れかが付着していると考えられる。そして、電極5に水が到達する条件が成立していると推定される場合には、電極5に水が付着することにより検出電流が大きくなっているものと考えられる。したがって、ステップS502で肯定
判定がなされた場合にはステップS109へ進み、最大供給電力が設定される。一方、ステップS502で否定判定がなされた場合には、電極5にPMが付着していると考えられるため、ステップS503へ進んで電極5の再生が行われる。
【0088】
ここで、電極5の再生は、碍子部51を含む電極5に付着しているPMなどの付着物を除去するための処理である。たとえば、電極5を短絡させることにより、該電極5の温度を上昇させて付着物を燃焼または蒸発させて除去する。なお、PMを速やかに酸化させるためには、排気中の酸素濃度が高いほうがよい。このため、電極5を短絡させる前または短絡させているときに、排気中の酸素濃度が高くなるようにしてもよい。排気中の酸素濃度を高くするために、たとえば、車両の駆動源として内燃機関及びモータを備えるハイブリッド車においては、内燃機関に燃料を供給せずにモータにより内燃機関のクランク軸を回転させてもよい。これにより、内燃機関から空気を排出することができるため、排気中の酸素濃度を高めることができる。また、内燃機関を停止させる前に機関回転数を一旦上昇させ、該機関回転数が高い状態のときに燃料の供給を停止することで、排気通路内に空気を排出させることができる。そして、その後に内燃機関が停止したときに電極5を短絡させればよい。また、減速運転中のフューエルカット時には、排気中の酸素濃度が高くなるため、このときに電極5を短絡させてもよい。
【0089】
以上説明したように本実施例によれば、電極5にPMが付着している場合と、水が付着している場合と、を区別することができる。電極5にPMが付着している場合には、電極5の再生が行われるため、過大な電流が通るのを抑制すると共に、PMの凝集を促進させることができる。
【符号の説明】
【0090】
1 粒子状物質処理装置
2 排気通路
3 ハウジング
4 絶縁部
5 電極
6 電源
7 制御装置
8 バッテリ
9 検出装置
21 フランジ
31 フランジ
51 碍子部
52 電源側電線
53 接地側電線
71 アクセル開度センサ
72 クランクポジションセンサ
73 機関温度センサ
74 エアフローメータ
75 外気温度センサ
76 排気通路温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられる電極と、
前記電極に接続され電圧を印加する電源と、
前記電極を通る電流を検出する検出装置と、
前記検出装置により検出される電流が所定値以上の場合に、前記電源から前記電極に供給する電力に上限を設定する電力上限設定装置と、
を備える粒子状物質処理装置。
【請求項2】
前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、該電力が上限よりも低下した場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置を備える請求項1に記載の粒子状物質処理装置。
【請求項3】
前記検出装置により検出される電流に基づいて電気抵抗を算出する電気抵抗算出装置と、
前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、前記電気抵抗算出装置により算出される電気抵抗が、所定値以上となった場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置と、
を備える請求項1に記載の粒子状物質処理装置。
【請求項4】
前記内燃機関の運転状態に基づいて前記電極から蒸発する水の量を推定する推定装置と、
前記電源から前記電極に供給する電力が前記上限に達した後に、前記推定装置により推定される水の量が所定値以上となった場合に、前記電極から水が除去されたと判定する水除去判定装置と、
を備える請求項1に記載の粒子状物質処理装置。
【請求項5】
前記排気通路に設けられ前記電極が設置される処理部と、
前記処理部と前記排気通路との間で電気を絶縁する絶縁部と、
前記処理部を接地させる接地部と、
前記検出装置により検出される電流にパルス電流が発生したか否か判定するパルス電流判定装置と、
を備え、
前記検出装置は、前記接地部にて電流を検出し、
前記検出装置により検出される電流が、前記所定値未満の場合には、前記パルス電流判定装置によりパルス電流が発生したと判定されるまで前記電極に印加する電圧を増加させ、前記パルス電流判定装置によりパルス電流が発生したと判定された場合に前記電極に印加する電圧を低減させることで、前記電極に印加する電圧をパルス電流が発生する電圧よりも低く調整するパルス電流抑制装置を備える請求項1から4の何れか1項に記載の粒子状物質処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−219679(P2012−219679A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84811(P2011−84811)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】