説明

粗選機の排出口切替装置

【課題】操作性や作業性を向上させた粗選機を提供する。
【解決手段】フィード穀粒を回転選別する選別網3と、選別網3により選別された一方の穀粒を、流穀樋12から揚穀コンベア5を介して機体上方に排出させる上方排出口7と、選別された他方の穀粒を機体下方に排出させる下方排出口4とを備え、下方排出口4の近傍に、摺動自在な排出口切替装置17を備え、排出口切替装置17の摺動により、選別された一方の穀粒の排出を、上方排出口7または、下方排出口4のいずれかに選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別装置と、上方排出口と、下方排出口とを備える粗選機に関し、より詳細には、選別装置で選別された穀粒の排出口を選択的に変更しうる排出口切替装置を備えた粗選機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粗選機21には、図7に示すように、供給ホッパ22より供給された、被害粒など比較的大きな異物が混入されるフィード穀粒を、機体選別枠内に設けられた、外周面にスリット状の通孔を多数有する回転選別体23内で、通孔を通過して下方の横コンベヤ24下方に有する受樋25上に落下させ、縦コンベヤ26を介して機体上方の排出口27より取り出す精選物と、通孔を通過せずに回転選別体23終端から下方に備える下方排出口28より取り出す異物とに選別を行うものがある。(特許文献1)
【0003】
【特許文献1】特開2006−26466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の粗選機21では、設けられた回転選別体23の通孔サイズやフィードの状態により、穀粒選別の際、異物が通孔を通過して上方排出口27より、また、通孔を通過しなかった精選物が下方排出口28よりそれぞれ排出されることがあり、選別した穀粒を所望する排出口から取り出すことができず、フィードの状態により回転選別体の取替えや、この粗選機に連係される下流装置などのレイアウトをその都度変更しなければならないという問題があった。そのため、作業性が低下していた。
そこでこの発明の目的は、操作性や作業性を向上させた粗選機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため請求項1に記載の発明は、フィード穀粒を回転選別する選別網と、前記選別網により選別された一方の穀粒を、流穀樋から揚穀コンベアを介して機体上方に排出させる上方排出口と、前記選別された他方の穀粒を機体下方に排出させる下方排出口とを備える粗選機において、前記下方排出口の近傍に、摺動自在な排出口切替装置を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粗選機において、前記排出口切替装置の摺動により、前記選別された一方の穀粒の排出を、前記上方排出口または、前記下方排出口のいずれかに選択できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、フィード穀粒を回転選別する選別網と、選別網により選別された一方の穀粒を、流穀樋から揚穀コンベアを介して機体上方に排出させる上方排出口と、選別された他方の穀粒を機体下方に排出させる下方排出口とを備える粗選機において、下方排出口の近傍に、摺動自在な排出口切替装置を備えるので、流穀樋後部を接続または断続させることで選別された穀粒の排出口を選択することができる。従って、作業性を向上させた粗選機を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、排出口切替装置の摺動により、選別された一方の穀粒の排出を、上方排出口または、下方排出口のいずれかに選択できることを特徴とするので、選別した穀粒を所望する排出口から取り出すことができ、これに合わせて粗選機に連係される下流装置などのレイアウトを設定することができる。従って、作業性を向上させた粗選機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の一例としての粗選機の断面側面図、図2は同粗選機の断面背面図である。
【0010】
この例の粗選機1は、図1〜図2に示すように、機体前部に原料を投入するホッパー2と、機体中央部には選別部である選別網3と、この選別網3後部下方に備えられた下方排出口4と、機体後部に揚穀コンベア5およびこの揚穀コンベア5上部に排出樋ケース6と、排出樋ケース6の下端には上方排出口7とがそれぞれ配設される。
【0011】
ホッパー2内は、その下部に有する選別網3への供給口8に向けて下方に傾斜させた供給樋9が設けられる。また、選別網3は、ホッパー2と揚穀コンベア5との間であって、多角形のシリンダー形状を有し、機体前後方向に前部(ホッパー2側)を高く、後部(揚穀コンベア5側)を低く傾斜させて前後方向に有する軸芯を中心に矢印イ方向に回転自在に設けられ、その外周面には図示しないスリット状の通孔が多数穿孔される。そして、選別網3後部の下部に有する選別網排出口10は、その下方に有する下方排出口4に連通される。
【0012】
選別網3の下方であって、機体の前部から後部に至る機体底部には、その前後方向に穀粒などを機体の前部から後部へ移送させる横コンベア11と、この横コンベア11の下方に有する流穀樋12とが外枠内に配設され、この横コンベア11の後端は、選別網3の後方に有する穀粒などを上方に移送させる外枠内に有する揚穀コンベア5の下部に受樋ケース13を介して連通される。
【0013】
そして、揚穀コンベア5上部の受渡口14は、排出樋ケース6内に有する、前部が下方に傾斜して設けられた排出樋15を介して上方排出口7に連通して設けられる。
【0014】
ここで、異物を含むフィード籾を異物と選別籾とに選別作業を行うときは、フィード籾が粗選機1のホッパー2内に投入され、供給樋9からホッパー2内下部に設けられた不図示の供給用リードローラなどを介して供給口8から選別網3内に送り込まれる。
【0015】
このとき、選別網3が傾斜しているため、フィード籾は選別網3の前部から後部へ移動する際、選別網3が軸芯を中心に回転していることによりフィード籾が選別網3内で撹拌され、選別籾などの精選物が通孔を通過して矢印ロ方向である下方直下の流穀樋12上に落下される。また、選別網3の通孔を通過できない藁切れなどの異物は、選別網3の後部に移動して、矢印ハ方向である選別網排出口10から下方排出口4を介して機外に排出される。
【0016】
一方、流穀樋12上に落下した選別籾は、横コンベア11により機体後部に運搬され、受樋ケース13を介して揚穀コンベア5によって機体後部上方に運搬される。なお、矢印ハ方向に選別網3内の後端部から異物が下方排出口4に向け落下する際、選別網排出口10と横コンベア11後部との間に下方排出口4の前後方向に沿って設けられた屋根型の形状を有する傘16に接触し、下方排出口4に誘導され機外に排出されるため、異物が流穀樋12上に落下することなく、従って、異物と選別籾とが混合されることはない。
【0017】
そして、揚穀コンベア5によって、機体後部上方に運搬された選別籾は、受渡口14から排出樋ケース6内に有する排出樋15上に放擲され、この排出樋15に沿って落下し、上方排出口7より機外に排出される。
【0018】
次に、本願発明の特徴である粗選機1の排出口切替装置17について、その具体的構成を説明する。図3は、下方排出口付近を拡大した断面側面図、図4は排出口切替装置の斜視図、図5は図3における(a)はB部の背面断面図、(b)は排出口切替装置を位置させたA部の背面断面図であり、図6は同図3における(a)は排出口切替装置を位置させたB部の背面断面図、(b)はA部の背面断面図である。
【0019】
この排出口切替装置17は、下方排出口4を前後方向に略二等分した長さを有し、中央部は下方に凸部を有する流穀樋12の後部を構成する一部分であって、左右の誘導樋18の隙間部に挟持される左右の傾斜樋19が設けられるものであり、排出口切替装置15に連係される不図示のレバーなどの操作によって、位置Bと位置Aとの間で摺動自在に設けられる。このとき位置Aに有し、流穀樋12後部の一部を構成する排出口切替装置17を位置Bに摺動させると、排出口切替装置17が位置Bに有する流穀樋12の下部に当接され、位置Aでは流穀樋12が断続される。
【0020】
ここで、選別網3の通孔を通過できず選別網3内に残存して後部に移動する異物を矢印ハ方向に下方排出口4より排出させたい場合は、図5(b)に示すように、排出口切替装置17を位置Aに摺動させることで、流穀樋12の後部が連接される。この結果、図5(a)に示すように選別網3内の異物は、選別網排出口10から傘16を介して下方排出口4より機外に排出される。
【0021】
そして、選別網3の通孔を通過して矢印ロ方向に流穀樋12上に落下した選別籾は、連接される流穀樋12上を横コンベア11によって機体後部の受樋ケース13まで運搬され、揚穀コンベア5により機体の後部上方に運搬され、排出樋15を介して上方排出口7より機外に排出される。
【0022】
また、選別網3内の異物を上方排出口7より排出させたい場合は、図6(a)に示すように、排出口切替装置17を位置Aから位置Bに摺動させる。この際、排出口切替装置17は、流穀樋12後端部(位置B)の下方に当接して重置されるので、図6(b)に示すように位置Aである横コンベア11下方は下方排出口4に連通される。
【0023】
その結果、異物は選別網排出口10から傘16を介して下方に落下するものの、排出口切替装置17の左右傾斜樋19に沿って落下されるため、異物が下方排出口4へ落下することなく流穀樋12上に誘導され、横コンベア11によって機体後部の受樋ケース13に移送され、揚穀コンベア5により機体の後部上方に運搬され、排出樋15を介して上方排出口7より機外に排出される。
【0024】
一方、選別網3の通孔を通過して流穀樋12上に落下した選別籾は、横コンベア11によって機体後部に運搬され、位置Aに到達したところで下方に落下して、下方排出口4より機外に排出される。
【0025】
このように、下方排出口4の上方であって、流穀樋12後部に摺動自在な排出口切替装置17を設けたので、選別網3で選別された精選物と異物とを、排出口を選択して機外に排出させることが可能となる。これにより、粗選機に連係する下流装置のレイアウトを柔軟に設定または固定化することができ、作業効率が向上される。
【0026】
以上詳述したように、この例の粗選機1は、フィード穀粒を回転選別する選別網3と、選別網3により選別された一方の穀粒を、流穀樋12から揚穀コンベア5を介して機体上方に排出させる上方排出口7と、選別された他方の穀粒を機体下方に排出させる下方排出口4とを備え、下方排出口4の近傍に、摺動自在な排出口切替装置17を備え、排出口切替装置17の摺動により、選別された一方の穀粒の排出を、上方排出口7または、下方排出口4のいずれかに選択できるものである。
【0027】
なお、選別網3の回転方向は矢印イ方向に限定されず、矢印イとは反対方向、もしくは交互に回転させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一例としての粗選機の断面側面図である。
【図2】本発明の粗選機の断面背面図である。
【図3】本発明の粗選機の下方排出口付近を拡大した断面側面図である。
【図4】排出口切替装置を示した斜視図である。
【図5】図3における下方排出口付近であって、B部背面断面図(a)と、排出口切替装置を位置させたA部背面断面図(b)を示したものである。
【図6】図3における下方排出口付近の排出口切替装置を位置させたB部背面断面図(a)と、A部背面断面図(b)を示したものである。
【図7】従来の粗選機の断面側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 粗選機
2 ホッパー
3 選別網
4 下方排出口
5 揚穀コンベア
6 排出樋ケース
7 上方排出口
8 供給口
9 供給樋
10 選別網排出口
11 横コンベア11
12 流穀樋
13 受樋ケース13
14 受渡口
15 排出樋
16 傘
17 排出口切替装置
18 誘導樋
19 傾斜樋
A,B 位置
イ,ロ,ハ 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィード穀粒を回転選別する選別網と、
前記選別網により選別された一方の穀粒を、流穀樋から揚穀コンベアを介して機体上方に排出させる上方排出口と、
前記選別された他方の穀粒を機体下方に排出させる下方排出口と、
を備える粗選機において、
前記下方排出口の近傍に、摺動自在な排出口切替装置を備えることを特徴とする粗選機。
【請求項2】
前記排出口切替装置の摺動により、前記選別された一方の穀粒の排出を、前記上方排出口または、前記下方排出口のいずれかに選択できることを特徴とする、請求項1に記載の粗選機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−301438(P2007−301438A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129746(P2006−129746)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】