説明

粘着剤組成物、粘着シートおよび表面保護フィルム

【課題】剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染性が低減された、接着信頼性に優れる粘着剤組成物、ならびにそれを用いた帯電防止性の粘着シートおよび表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1〜4.9重量%および炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート50〜99.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、ならびにアルカリ金属塩を含有してなることを特徴とする粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクリル系の粘着剤組成物に関する。さらに詳細には、帯電防止性の粘着剤組成物とそれを用いた粘着シートおよび表面保護フィルムに関する。
【0002】
特に本発明の帯電防止性の粘着剤組成物を用いた粘着シートは、静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられる。なかでも特に、電子機器など静電気を嫌う用途で用いられる帯電防止性の再剥離型粘着シートおよび再剥離型粘着テープとして有用である。
【0003】
再剥離型粘着シートおよび再剥離型粘着テープとしては、たとえば、建築養生用マスキングテープ、自動車塗装用マスキングテープ、電子部品(リードフレーム、プリント基板)用マスキングテープ、サンドブラスト用マスキングテープなどのマスキングテープ類、アルミサッシ用表面保護フィルム、光学プラスチック用表面保護フィルム、光学ガラス用表面保護フィルム、自動車保護用表面保護フィルム、金属板用表面保護フィルムなどの表面保護フィルム類、バックグラインドテープ、ペリクル固定用テープ、ダイシング用テープ、リードフレーム固定用テープ、クリーニングテープ、除塵用テープ、キャリアテープ、カバーテープなどの半導体・電子部品製造工程用粘着テープ類、電子機器や電子部品の梱包用テープ類、輸送時の仮止めテープ類、結束用テープ類、ラベル類などがあげられる。
【背景技術】
【0004】
近年、光学部品・電子部品の輸送やプリント基板への実装に際しては、個々の部品を所定のシートで包装した状態や粘着テープへ貼り付けた状態によって移送することが多々行われている。なかでも、表面保護フィルムは光学・電子部品の分野で特に広く用いられている。
【0005】
表面保護フィルムは、一般的に保護フィルム側に塗布された粘着剤層を介して被保護体に貼り合わせ、被保護体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止する目的で用いられる。たとえば、液晶ディスプレイのパネルは、液晶セルに粘着剤層を介して偏光板や波長板などの光学部材を貼り合わせることにより形成されている。液晶セルに貼り合わせるこれらの光学部材は、表面保護フィルムが粘着剤層を介して貼り合わされている。
【0006】
そして、この光学部材が液晶セルに貼り合わされるなどして、表面保護フィルムが不要となった段階で保護フィルムは剥離し、除去される。一般に表面保護フィルムや光学部材は、プラスチック材料により構成されているため電気絶縁性が高く、摩擦や剥離の際に静電気を発生する。したがって、保護フィルムを偏光板などの光学部材から剥離する際にも静電気が発生する。この際に生じた静電気が残ったままの状態で液晶に電圧を印加すると、液晶分子の配向が損失し、またパネルの欠損が生じてしまう問題がある。そこで、このような問題点を解消するために、表面保護フィルムには各種帯電防止処理が施されている。
【0007】
これまでに、これらの静電気を抑制する試みとして、たとえば、粘着剤に1種以上の界面活性剤を添加し、粘着剤中から界面活性剤を被着体に転写させて帯電防止する方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、この発明は界面活性剤を粘着剤表面にブリードさせて被着体に転写する発明であり、表面保護フィルムに適用した場合、十分な帯電防止特性を発現させるためには被保護体への汚染が懸念される。したがって、低分子の界面活性剤を添加した粘着剤を光学部材用途の保護フィルムに適用した場合には、光学部材の光学特性を損なわず、十分な帯電防止特性を発現させることは困難である。
【0008】
また、ポリエーテルポリオール化合物とアルカリ金属塩からなる帯電防止剤をアクリル系粘着剤に添加し、粘着剤表面に帯電防止剤がブリードするのを抑制する方法が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法においても帯電防止剤などのブリード現象は避けられず、その結果、実際に表面保護フィルムに適用した場合に、経時や高温条件下の処理を施すと、ブリード現象により被着体への汚染が発生してしまう問題を有している。
【0009】
上述のように、これらのいずれにおいても、いまだ上記問題点をバランスよく解決できうるものではなく、帯電や汚染が特に深刻な問題となる電子機器関連の技術分野において、帯電防止性表面保護フィルムへのさらなる改良要請に対応することは難しい。
【特許文献1】特開平9−165460号公報
【特許文献2】特開平6−128539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、このような事情に照らし、剥離した際に帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染性が低減された、接着信頼性に優れる粘着剤組成物、ならびにそれを用いた帯電防止性の粘着シートおよび表面保護フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す粘着剤組成物を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の粘着剤組成物は、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1〜4.9重量%および炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート50〜99.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、ならびにアルカリ金属塩を含有してなることを特徴とする。
【0013】
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0014】
本発明の粘着剤組成物によると、実施例の結果に示すように、単量体成分として、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーを0.1〜4.9重量%有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとし、さらにアルカリ金属塩を含有する粘着剤組成物を用いることにより、これを架橋した粘着剤層は、剥離した際の帯電防止されていない被保護体(被着体)への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減されたものとなる。上記粘着剤組成物の架橋物が、かかる特性を発現する理由の詳細は明らかではないが、アルキレンオキシド基含有反応性モノマーのエーテル基にアルカリ金属塩が配位することでアルカリ金属塩がブリードしにくくなり、優れた帯電防止性と低汚染性を並立して実現していると推測される。
【0015】
本発明における粘着剤組成物は、アルカリ金属塩を含むことを特徴とする。アルカリ金属塩を用いて(メタ)アクリル系ポリマーなどとの相溶性およびバランスの良い相互作用を得ることにより、剥離した際の帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された粘着剤組成物を得ることができる。
【0016】
上記において用いるアルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムからなる金属塩などをあげることができるが、なかでも特に高い解離性を有するリチウム塩が好ましい。
【0017】
また、本発明における粘着剤組成物においては、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1〜4.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることを特徴とする。上記平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーをベースポリマーに用いることにより、ベースポリマーとアルカリ金属塩との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
【0018】
また、さらに、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることが好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーとアルカリ金属塩との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
【0019】
一方、本発明の粘着剤層は、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなることを特徴とする。本発明の粘着剤層によると、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなるため、帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された粘着剤層となる。このため、特に帯電防止型の粘着剤層として有用となる。また、(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率などを適宜調節して架橋することにより、より耐熱性、耐候性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0020】
また、本発明の粘着シートは、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を支持体上に形成してなることを特徴とする。本発明の粘着シートによると、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、帯電防止されていない被着体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された、接着信頼性に優れる粘着シートとなる。このため、汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性の粘着シートとして非常に有用となる。
【0021】
さらに、本発明の表面保護フィルムは、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を帯電防止処理したプラスチック基材からなる支持体の片面または両面に形成してなることを特徴とする。本発明の表面保護フィルムによると、上記の如き作用効果を奏する本発明の粘着剤組成物を使用するため、剥離した際に帯電防止されていない被着体の帯電防止が図れ、被着体への汚染が低減された、接着信頼性に優れる表面保護フィルムとなる。このため、汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性の表面保護フィルムとして非常に有用となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明の粘着剤組成物は、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1〜4.9重量%および炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート50〜99.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、ならびにアルカリ金属塩を含有してなることを特徴とする。
【0024】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーとしては、上述したものに該当する粘着性を有する(メタ)アクリル系ポリマーであれば特に限定されない。
【0025】
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーのオキシアルキレン単位としては、炭素数1〜6のアルキレン基を有するものがあげられ、たとえば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられる。オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
【0026】
また、アルキレンオキシド基含有反応性モノマーへのオキシアルキレン単位の平均付加モル数としては、アルカリ金属塩との相溶性の観点から3〜40であることが好ましく、4〜35であることがより好ましく、5〜30であることが特に好ましい。上記平均付加モル数が3以上の場合、被保護体の汚染低減効果が効率よく得られる傾向がある。また、上記平均付加モル数が40より大きい場合、アルカリ金属塩との相互作用が大きく、粘着剤組成物がゲル状となって塗工が困難となる傾向があるため好ましくない。なお、オキシアルキレン鎖の末端は、水酸基のままや、他の官能基などで置換されていてもよい。
【0027】
また、さらに、上記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーであることが好ましい。エチレンオキシド基を有する反応性モノマーを有する(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いることにより、ベースポリマーとアルカリ金属塩との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。
【0028】
本発明におけるアルキレンオキシド基含有反応性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物や、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有する反応性界面活性剤などがあげられる。
【0029】
本発明における(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の具体例としては、たとえば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール−ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0030】
また、アルキレンオキシド基を有する反応性界面活性剤の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリロイル基またはアリル基を有するアニオン型反応性界面活性剤、ノニオン型反応性界面活性剤、カチオン型反応性界面活性剤などがあげられる。
【0031】
アニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(A1)〜(A10)で表されるものなどがあげられる。
【0032】
【化1】

【0033】
[式(A1)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0034】
【化2】

【0035】
[式(A2)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素またはアルキル基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素、アルキル基、ベンジル基またはスチレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0036】
【化3】

【0037】
[式(A3)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。」。
【0038】
【化4】

【0039】
[式(A4)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0040】
【化5】

【0041】
[式(A5)中のRは炭化水素基、アミノ基、カルボン酸残基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の整数を表す。]。
【0042】
【化6】

【0043】
[式(A6)中のRは炭素数1から30の炭化水素基、Rは水素または炭素数1から30の炭化水素基を表し、Rは水素またはプロペニル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0044】
【化7】

【0045】
[式(A7)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0046】
【化8】

【0047】
[式(A8)中のRおよびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0048】
【化9】

【0049】
[式(A9)中のRは炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基を表し、Mは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0050】
【化10】

【0051】
[式(A10)中のR、R、およびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、Rは炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はRがないことを示す)を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Xはアニオン性親水基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0052】
上記式(A1)〜(A6)、および(A10)中のXは、アニオン性親水基を表す。アニオン性親水基としては、下記式(a1)〜(a2)で表されるものがあげられる。
【0053】
【化11】

【0054】
[式(a1)中のMは水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0055】
【化12】

【0056】
[式(a2)中のMおよびMは同一または異なって、水素、アルカリ金属、アンモニウム基、またはアルカノールアンモニウム基を表す。]。
【0057】
ノニオン型反応性界面活性剤としては、たとえば、式(N1)〜(N6)で表されるものなどがあげられる。
【0058】
【化13】

【0059】
[式(N1)中のRは水素またはメチル基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0060】
【化14】

【0061】
[式(N2)中のRは水素またはメチル基を表し、R、R、およびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数n、m、およびlは0〜40であって、(n+m+l)が3〜40となる数を表す。]。
【0062】
【化15】

【0063】
[式(N3)中のRは水素またはメチル基を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、Rは炭素数1から30の炭化水素基またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0064】
【化16】

【0065】
[式(N4)中のRおよびRは同一または異なって、炭素数1から30の炭化水素基を表し、Rは水素またはプロペニル基を表し、Rは炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数nは3〜40の数を表す。]。
【0066】
【化17】

【0067】
[式(N5)中のRおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、RおよびRは同一または異なって、水素、炭素数1から30の炭化水素基、またはアシル基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0068】
【化18】

【0069】
[式(N6)中のR、R、およびRは同一または異なって、水素またはメチル基を表し、Rは炭素数0から30の炭化水素基(炭素数0の場合はRがないことを示す)を表し、RおよびRは同一または異なって、炭素数1から6のアルキレン基を表し、平均付加モル数mおよびnは0〜40、ただし(m+n)は3〜40の数を表す。]。
【0070】
また、アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの市販品としての具体的としては、たとえば、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマー50POEP−800B(以上、いずれも日本油脂社製)、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430(以上、いずれも花王社製)、アデカリアソープER−10、アデカリアソープNE−10(以上、いずれも旭電化工業社製)などがあげられる。
【0071】
アルキレンオキシド基含有反応性モノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中0.1〜4.9重量%であることが好ましく、0.15〜4重量%であることがより好ましく、0.2〜3重量%であることが特に好ましく、0.2〜1重量%であることがなお好ましい。アルキレンオキシド基含有反応性モノマーの含有量が0.1重量%よりも少ない場合、アルカリ金属塩との相互作用が不十分となり、アルカリ金属塩のブリード抑制効果および被保護体の汚染低減効果が十分得られない傾向があるため好ましくない。
【0072】
また、ベースポリマーとして上記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が通常0℃以下であるポリマーが用いられるが、−100℃〜−5℃であることが好ましく、−80℃〜−10℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が0℃より高くなると、十分な粘着力を得るのが困難になる場合がある。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより上記範囲内に調整することができる。
【0073】
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、アルカリ金属塩との相溶性のバランスおよび優れた粘着特性が得られることから、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの1種または2種以上を主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく用いられる。
【0074】
炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの1種または2種以上を主成分とする(メタ)アクリル系ポリマーとしては、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの1種または2種以上を単量体成分として50〜99.9重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーが好ましいものとしてあげられ、60〜95重量%含有する(メタ)アクリル系ポリマーがより好ましいものとしてあげられる。
【0075】
本発明において、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0076】
なかでも、本発明の表面保護フィルムに用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0077】
また、その他の重合性単量体成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0078】
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物などの凝集力・耐熱性向上成分や、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類などの接着力向上や架橋化基点としてはたらく官能基を有す成分などを適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0079】
ただし、カルボキシル基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、リン酸基含有モノマーなどの酸官能基を有する(メタ)アクリレートを用いる場合は、(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が29以下になるように調整する方が好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーの酸価が29を超えると、帯電防止特性が悪くなる傾向にある。
【0080】
酸価の調整は、酸官能基を有する(メタ)アクリレートの配合量により調節でき、たとえば、カルボキシル基を有すアクリル系ポリマーとして2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸を共重合したアクリル系ポリマーをあげることができるが、この場合、2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸の合計量100重量部に対して、アクリル酸は3.7重量部以下に調整することで上記酸価29以下の値にすることができる。
【0081】
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウムなどをあげることができる。
【0082】
上記リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
【0083】
上記シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0084】
上記ビニルエステル類としては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0085】
上記芳香族ビニル化合物としては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0086】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などがあげられる。なかでも、特にアクリル酸、およびメタクリル酸が好ましく用いられる。
【0087】
上記酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、および上記カルボキシル基含有モノマーの無水物体などがあげられる。
【0088】
上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0089】
上記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0090】
上記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0091】
上記イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0092】
上記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0093】
上記ビニルエーテル類としては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0094】
また、上述のその他の重合性モノマーのなかでも、架橋の制御が容易に行えることから、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
【0095】
本発明において、上述のその他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマーの単量体成分中0〜40重量%であることが好ましく、0〜35重量%であることがより好ましく、0〜30重量%であることが特に好ましい。その他の重合性モノマーを用いることにより、アルカリ金属塩との良好な相互作用、および良好な接着性を適宜調節することができる。
【0096】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万であることが望ましい。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し偏光板への濡れが不十分となり、はがれの原因となる傾向がある。重量平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0097】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できる。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0098】
本発明に用いられるアルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウムからなる金属塩があげられ、具体的には、たとえば、Li、Na、Kよりなるカチオンと、Cl、Br、I、BF、PF、SCN、ClO、CFSO、(CFSO、(CSO、(CFSOよりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。なかでも特に、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOCなどのリチウム塩が好ましく用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0099】
上記粘着剤組成物において用いられるアルカリ金属塩の配合量については、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、アルカリ金属塩を0.01〜5重量部配合することが好ましく、0.05〜4重量部配合することがより好ましく、0.1〜2重量部配合することがなお好ましく、0.2〜1重量部配合することがより一層好ましい。0.01重量部より少なくなると十分な帯電特性が得られない場合があり、一方、5重量部を超えると被保護体への汚染が増加する傾向があるため、好ましくない。
【0100】
本発明の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系ポリマーを適宜架橋することで、さらに耐熱性に優れた粘着シートが得られる。架橋方法の具体的手段としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、およびアジリジン誘導体化合物など、(メタ)アクリル系ポリマーに適宜架橋化基点として含ませたカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基などと反応しうる基を有する化合物を添加し反応させるいわゆる架橋剤を用いる方法がある。なかでも、主に適度な凝集力を得る観点から、イソシアネート化合物やエポキシ化合物が特に好ましく用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0101】
イソシアネート化合物としては、たとえば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類などがあげられる。
【0102】
より具体的には、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0103】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0104】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。メラミン系樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0105】
アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU(相互薬工社製)、商品名TAZM(相互薬工社製)、商品名TAZO(相互薬工社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0106】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートとしての使用用途によって適宜選択される。アクリル粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには、一般に(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜15重量部含有されていることが好ましく、0.5〜10重量部含有されていることがより好ましい。含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が15重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、被着体への濡れが不十分となってはがれの原因となる傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
また、本発明において、架橋剤として、放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーを添加することができる。かかる場合には、放射線などを照射することにより粘着剤組成物を架橋させる。一分子中に放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーとしては、たとえば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基などの放射線の照射で架橋処理(硬化)することができる1種または2種以上の放射線反応性不飽和結合を2個以上有する多官能モノマーがあげられる。また、上記多官能モノマーとしては、一般的には放射線反応性不飽和結合が10個以下のものが好適に用いられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0108】
上記多官能モノマーの具体例としては、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどがあげられる。
【0109】
上記多官能モノマーの使用量は、架橋すべき(メタ)アクリル系ポリマーとのバランスにより、さらには、粘着シートの使用用途によって適宣選択される。アクリル粘着剤の凝集力により十分な耐熱性を得るには一般的には、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.1〜30重量部で配合するのが好ましい。また柔軟性、接着性の点から(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、10重量部以下で配合するのがより好ましい。
【0110】
放射線としては、たとえば、紫外線、レーザー線、α線、β線、γ線、X線、電子線などをあげることができるが、制御性および取り扱い性の良さ、コストの点から紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜400nmの紫外線が用いられる。紫外線は、高圧水銀灯、マイクロ波励起型ランプ、ケミカルランプなどの適宜光源を用いて照射することができる。なお、放射線として紫外線を用いる場合にはアクリル粘着剤に光重合開始剤を添加する。
【0111】
光重合開始剤としては、放射線反応性成分の種類に応じ、その重合反応の引金となり得る適当な波長の紫外線を照射することによりラジカルもしくはカチオンを生成する物質であればよい。
【0112】
光ラジカル重合開始剤として、たとえば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、o−ベンゾイル安息香酸メチル−p−ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、トリクロルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4’−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(エトキシ)−フェニルホスフィンオキシドなどのアシルホスフィンオキシド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0113】
光カチオン重合開始剤として、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩などのオニウム塩や、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体類、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホナートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0114】
光重合開始剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、通常0.1〜10重量部配合し、0.2〜7重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0115】
さらにアミン類などの光開始重合助剤を併用することも可能である。上記光開始助剤としては、たとえば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステルなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始助剤は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.05〜10重量部配合するのが好ましく、0.1〜7重量部の範囲で配合するのがより好ましい。
【0116】
さらに本発明の粘着シートに用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、低分子量ポリマー、表面平滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0117】
本発明の粘着剤組成物には、適宜界面活性剤を含有することができる。上記界面活性剤を粘着剤組成物に含有することにより、さらに被着体への濡れ性に優れた粘着剤組成物となる。上記界面活性剤としては、アルカリ金属塩との相互作用の観点から、エーテル基を有する界面活性剤であることが好ましい。
【0118】
エーテル基を有する界面活性剤の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーチル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン誘導体、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤、 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、アルキレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤があげられる。また、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
【0119】
上記エーテル基を有する界面活性剤としては、エチレンオキシド基を有する界面活性剤であることがさらに好ましい。具体例としては、たとえば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル類等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、エチレンオキシド基を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤があげられる。また、分子中にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基などの反応性置換基を有していてもよい。
【0120】
また、エーテル基を有する界面活性剤の市販品としての具体例としては、たとえば、アデカリアソープNE−10、アデカリアソープER−10(以上、いずれも旭電化社製)、エマルゲン120(花王社製)、ノイゲンEA130T(第一工業製薬社製)などがあげられる。
【0121】
上記界面活性剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいが、配合量としては、ベースポリマー100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましい。0.01重量部未満であると、被着体への濡れ性向上の効果が得にくく、10重量部を超えると、被着体への汚染が増加する傾向にあるため好ましくない。
【0122】
一方、本発明の粘着剤層は、上述のような粘着剤組成物を架橋してなるものである。また、本発明の粘着シートは、かかる粘着剤層を支持体(支持フィルム)上に形成してなるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持体などに転写することも可能である。
【0123】
上述のように任意成分とする光重合開始剤を添加した場合において、上記粘着剤組成物を、被保護体上に直接塗工するか、または支持基材の片面または両面に塗工した後、光照射することにより粘着剤層を得ることができる。通常は、波長300〜400nmにおける照度が1〜200mW/cmである紫外線を、光量200〜4000mJ/cm程度照射して光重合させることにより粘着剤層が得られる。
【0124】
フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、上記粘着剤組成物を支持体に塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持体上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持体上に塗布して粘着シートを作製する際には、支持体上に均一に塗布できるよう、該組成物中に重合溶剤以外の1種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0125】
また、本発明の粘着剤層の形成方法としては、粘着シートの製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0126】
本発明の粘着シートは、通常、上記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着シートは、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持体の片面または両面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。特に表面保護フィルムの場合には支持体(支持フィルム)としてプラスチック基材を用いるのが好ましい。
【0127】
また、上記支持体は、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に可とう性を有するプラスチック基材であることが好ましい。支持体が可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0128】
上記プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0129】
また、上記支持体の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。
【0130】
上記支持体には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理をすることもできる。
【0131】
また、本発明の表面保護フィルムに使用するプラスチック基材は帯電防止処理されてなるものがより好ましい。
【0132】
プラスチック基材に施される帯電防止処理としては特に限定されないが、一般的に用いられる基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチック基材に練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
【0133】
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0134】
カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0135】
アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0136】
両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0137】
ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0138】
導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0139】
導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0140】
帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
【0141】
帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上記帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチック基材に塗布、乾燥することで形成される。
【0142】
上記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0143】
上記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる。
【0144】
上記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては通常0.01〜5μm、好ましくは0.03〜1μm程度である。
【0145】
導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
【0146】
上記導電性物質層の厚みとしては通常20〜10000Åであり、好ましくは50〜5000Åである。
【0147】
また練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチック基材の総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。練り込み方法としては、上記帯電防止剤がプラスチック基材に用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。
【0148】
本発明の粘着シートは必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。セパレーターを構成する材料としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0149】
そのフィルムとしては、上記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0150】
上記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。上記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理などをすることもできる。
【0151】
本発明を用いた粘着剤組成物、ならびに粘着シートおよび表面保護フィルムは、特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いられる。なかでも特に、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルム、などの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして非常に有用となる。
【実施例】
【0152】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0153】
<酸価の測定>
酸価は、自動滴定装置(平沼産業社製、COM−550)を用いて測定を行い、下記式より求めた。
A={(Y−X)×f×5.611}/M
・A:酸価
・Y:サンプル溶液の滴定量(ml)
・X:混合溶媒50gのみの溶液の滴定量(ml)
・f:滴定溶液のファクター
・M:ポリマーサンプルの重量(g)。
【0154】
測定条件は下記の通りである。
・サンプル溶液:ポリマーサンプル約0.5gを混合溶媒(トルエン/2−プロパノール/蒸留水=50/49.5/0.5、重量比)50gに溶解してサンプル溶液とした。
・滴定溶液:0.1N、2−プロパノール性水酸化カリウム溶液(和光純薬工業社製、石油製品中和価試験用)
・電極:ガラス電極;GE−101、比較電極;RE−201
・測定モード:石油製品中和価試験1。
【0155】
<分子量の測定>
重量平均分子量は、GPC装置(東ソー社製、HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
・サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
・サンプル注入量:10μl
・溶離液:THF
・流速:0.6ml/min
・測定温度:40℃
・カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0156】
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
【0157】
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
【0158】
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0159】
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz。
【0160】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
〔アクリル系ポリマー(A)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199.4重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(日本油脂社製、ブレンマーPME−1000、オキシアルキレン単位平均付加モル数:23)0.6重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(A)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は49万、ガラス転移温度(Tg)は−55℃、酸価は0.0であった。
【0161】
〔アクリル系ポリマー(B)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、アルキレンオキシド基含有反応性界面活性剤(花王社製、ラムテルPD−430、オキシアルキレン単位平均付加モル数:3〜40)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(B)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は55万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0162】
〔アクリル系ポリマー(C)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、アルキレンオキシド基含有反応性界面活性剤(旭電化工業社製、アデカリアソープER−10、オキシアルキレン単位平均付加モル数:10)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(C)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(C)の重量平均分子量は50万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0163】
〔アクリル系ポリマー(D)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(日本油脂社製、ブレンマー50POEP−800B、オキシアルキレン単位平均付加モル数:8)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(D)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(D)の重量平均分子量は53万、ガラス転移温度(Tg)は−54℃、酸価は0.0であった。
【0164】
〔アクリル系ポリマー(E)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、アルキレンオキシド基含有反応性界面活性剤(花王社製、ラテムルPD−420、オキシアルキレン単位平均付加モル数:3〜40)1重量部、2−ヒドロキシブチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(E)溶液(40重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(E)の重量平均分子量は56万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0165】
〔アクリル系ポリマー(F)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート200重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル312重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(F)溶液(40重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(F)の重量平均分子量は55万、ガラス転移温度(Tg)は−55℃、酸価は0.0であった。
【0166】
〔アクリル系ポリマー(G)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199.9重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(日本油脂社製、ブレンマーPME−1000、オキシアルキレン単位平均付加モル数:23)0.1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(G)溶液を調製した。上記アクリル系ポリマー(G)(35重量%)の重量平均分子量は52万、ガラス転移温度(Tg)は−55℃、酸価は0.0であった。
【0167】
〔アクリル系ポリマー(H)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199.4重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(日本油脂社製、ブレンマーPME−4000、オキシアルキレン単位平均付加モル数:90)0.6重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(H)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(H)の重量平均分子量は43万、ガラス転移温度(Tg)は−54℃、酸価は0.0であった。
【0168】
〔アクリル系ポリマー(I)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(花王社製、ラテムルPD−420、オキシアルキレン単位平均付加モル数:3〜40)1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル386.3重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(I)溶液(35重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(I)の重量平均分子量は58万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0169】
〔アクリル系ポリマー(J)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート199.78重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(花王社製、ラテムルPD−430、オキシアルキレン単位平均付加モル数:3〜40)0.22重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル325重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(J)溶液(39重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(J)の重量平均分子量は55万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0170】
〔アクリル系ポリマー(K)〕
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート194重量部、(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物(旭電化工業社製、アデカリアソープER−10、オキシアルキレン単位平均付加モル数:10)6重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート8重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4重量部、酢酸エチル325重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー(K)溶液(39重量%)を調製した。上記アクリル系ポリマー(K)の重量平均分子量は49万、ガラス転移温度(Tg)は−53℃、酸価は0.0であった。
【0171】
<帯電防止剤溶液の調製>
〔帯電防止剤溶液(a)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ヨウ化リチウム5重量部、酢酸エチル20重量部を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って2時間混合撹拌を行い、帯電防止剤溶液(a)(20重量%)を調製した。
【0172】
〔帯電防止剤溶液(b)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド5重量部、酢酸エチル20重量部を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って2時間混合撹拌を行い、帯電防止剤溶液(b)(20重量%)を調製した。
【0173】
〔帯電防止剤溶液(c)〕
攪拌羽根、温度計、冷却器を備えた四つ口フラスコに、ヨウ化リチウム0.1重量部、ポリプロピレングリコール(ジオール型、数平均分子量:2000)7.9重量部、酢酸エチル32重量部を仕込み、フラスコ内の液温を80℃付近に保って2時間混合撹拌を行い、帯電防止剤溶液(c)(20重量%)を調製した。
【0174】
<帯電防止処理フィルムの作製>
帯電防止剤(ソルベックス社製、マイクロソルバーRMd−142、酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10重量部を、水30重量部とメタノール70重量部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
【0175】
得られた帯電防止剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ:0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
【0176】
〔実施例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(A)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
【0177】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)を上記の帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのシリコーン処理面を貼り合わせた後、50℃で2日間養生し、粘着シートを作製した。
【0178】
〔実施例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(B)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(2)を調製した。
【0179】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0180】
〔実施例3〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(C)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(3)を調製した。
【0181】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0182】
〔実施例4〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(D)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(b)(20重量%)2重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(4)を調製した。
【0183】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0184】
〔実施例5〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(E)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(5)を調製した。
【0185】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0186】
〔比較例1〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(F)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(6)を調製した。
【0187】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0188】
〔比較例2〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(G)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(7)を調製した。
【0189】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(7)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0190】
〔比較例3〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(H)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(8)の調製を試みたが、上記アクリル系粘着剤溶液(8)では溶液のゲル化が起きてしまった。
【0191】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(8)ではゲル化が起きたため、粘着シートを作製することができなかった。
【0192】
〔比較例4〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(F)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、アニオン系界面活性剤であるジアルキルスルホコハク酸エステルソーダ塩(第一工業製薬社製、ネオコールSW、29重量%溶液の溶媒を除去して100重量%としたもの)2.0重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(9)を調製した。
【0193】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(9)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0194】
〔比較例5〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(F)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(c)(20重量%)8重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(10)を調製した。
【0195】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(10)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0196】
〔実施例6〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(I)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.5重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(11)を調製した。
【0197】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(11)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0198】
〔実施例7〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(I)溶液(35重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(b)(20重量%)2重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(12)を調製した。
【0199】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(12)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0200】
〔実施例8〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(J)溶液(39重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.4重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(13)を調製した。
【0201】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(13)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0202】
〔実施例9〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(K)溶液(39重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)1重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(14)を調製した。
【0203】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(14)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0204】
〔比較例6〕
(粘着剤溶液の調製)
上記アクリル系ポリマー(F)溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液100重量部に、上記帯電防止剤溶液(a)(20重量%)0.4重量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)0.3重量部、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)0.4重量部を加えて、常温(25℃)下で約1分間混合撹拌し、アクリル系粘着剤溶液(15)を調製した。
【0205】
(粘着シートの作製)
上記アクリル系粘着剤溶液(1)に代えて、上記アクリル系粘着剤溶液(15)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により粘着シートを作製した。
【0206】
上記の実施例、比較例で得られた粘着シートについて、以下の要領で、剥離帯電圧の測定、汚染性の評価、および粘着力の測定を行った。
【0207】
<剥離帯電圧の測定>
粘着シートを幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライト、厚み:1mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせた偏光板(日東電工社製、SEG1425WVAGS2B、幅:70mm、長さ:100mm)表面に片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。
【0208】
23℃×50%RHの環境下に一日放置した後、図1に示すように所定の位置にサンプルをセットした。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度10m/minとなるように剥離した。このときに発生する偏光板表面の電位をサンプルの長さ方向の中央位置に固定してある電位測定機(春日電機社製、KSD−0103)にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
【0209】
<汚染性の評価>
作製した粘着シートを、幅50mm、長さ80mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、偏光板(日東電工社製、SEG1425WVAGS2B、幅:70mm、長さ:100mm)に気泡を入れながらハンドローラーにて圧着し、評価サンプルを作製した。
【0210】
上記評価サンプルを50℃×92%RHの環境下に24時間放置した後、粘着シートを被着体から手で剥離し、その際の被着体表面の気泡跡を目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
・汚染が認められなかった場合:○
・汚染が認められた場合:×。
【0211】
<粘着力の測定>
作製した粘着シートを、幅25mm、長さ100mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、偏光板(日東電工社製、SEG1425DU、幅:70mm、長さ:100mm)に0.25MPaの圧力でラミネートし、評価サンプルを作製した。
【0212】
ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度10m/min、剥離角度180°で剥離したときの粘着力を測定した。測定は23℃×50%RHの環境下で行った。
【0213】
以上の結果を表1に示す。
【0214】
【表1】

【0215】
上記表1の結果から明らかなように、本発明にしたがって作製された粘着剤組成物を用いた場合(実施例1〜9)、いずれの実施例においても、偏光板への剥離帯電圧の絶対値が0.5kV以下という低い値に抑制され、かつ、偏光板への汚染の発生もないことが明らかとなった。
【0216】
これに対して、アルキレンオキシド基含有反応性モノマーを単量体単位として含有していない粘着剤組成物を用いた場合(比較例1、4〜6)、単量体単位中の含有量が0.1重量%未満の場合(比較例2)では、いずれにおいても、剥離帯電圧は抑制されているものの、汚染の発生が認められる結果となった。また、オキシアルキレン単位の平均付加モル数が40を超える場合(比較例3)では、アクリル粘着剤溶液でゲル化が起こり、粘着シートを作製することができないことが判明した。したがって、比較例1〜6の粘着シートでは、いずれにおいても、偏光板への剥離帯電圧の抑制および被着体への汚染の抑制を並立させることができない結果となり、帯電防止性粘着シート用の粘着剤組成物には適さないことが明らかとなった。
【0217】
また、本発明の実施例1〜9の粘着シートは、剥離速度が10m/minでの180°ピール粘着力が0.1〜6N/25mmの範囲にあり、再剥離型の表面保護フィルム用として適用可能な粘着シートであることがわかる。
【0218】
よって、本発明の粘着剤組成物は、剥離した際の帯電防止性に優れるとともに、被着体への汚染性が低減された、接着信頼性に優れた粘着剤組成物であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1】実施例等で剥離帯電圧の測定に使用した電位測定部の概略構成図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3〜40であるアルキレンオキシド基含有反応性モノマー0.1〜4.9重量%および炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート50〜99.9重量%を単量体成分とする(メタ)アクリル系ポリマー、ならびにアルカリ金属塩を含有してなることを特徴とする粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アルカリ金属塩がリチウム塩である請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記アルキレンオキシド基含有反応性モノマーがエチレンオキシド基を有する反応性モノマーである請求項1〜2のいずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を、支持体の片面または両面に形成してなることを特徴とする粘着シート。
【請求項6】
請求項5に記載の粘着シートを用いてなることを特徴とする表面保護フィルム。
【請求項7】
前記支持体が、帯電防止処理したプラスチック基材であることを特徴とする請求項6に記載の表面保護フィルム。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−237004(P2012−237004A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175113(P2012−175113)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2006−237851(P2006−237851)の分割
【原出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】