索道用ゴンドラ
【課題】ゴンドラ本体の外面に取り付けられたソーラパネルの発電効率を良好に維持することができる索道用ゴンドラを提供する。
【解決手段】ゴンドラ本体2の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台14を設け、該取付台14と前記ゴンドラ本体2との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞58を設ける。該風洞58内には風力発電機60を設けてもよい。また、前記ゴンドラ本体2の外面における取付台14が設けられた部位に、該ゴンドラ本体2の内部空間と前記風洞58の内部空間とを連通する換気口70,72を設けてもよい。
【解決手段】ゴンドラ本体2の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台14を設け、該取付台14と前記ゴンドラ本体2との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞58を設ける。該風洞58内には風力発電機60を設けてもよい。また、前記ゴンドラ本体2の外面における取付台14が設けられた部位に、該ゴンドラ本体2の内部空間と前記風洞58の内部空間とを連通する換気口70,72を設けてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープウェイ等の索道に用いられるゴンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロープウェイ等の索道用のゴンドラには、外部から電力を供給することが困難であるが、その一方で、空調装置、前照灯、尾灯、室内灯、音声装置などといった電気機器を索道用ゴンドラに搭載することが強く望まれている。例えば、観光地等に設置されたロープウェイではゴンドラ側面の略全周に亘って窓が設けられていることから、該窓からの入射光によりゴンドラ内の温度が上昇しやすいため、ゴンドラに冷房装置を搭載することが強く望まれている。
【0003】
このような要求を受けて、一部の索道用ゴンドラには、空調装置等の電気機器と、該電気機器に電力を供給する蓄電池とが搭載されている。ところが、この場合、電気機器に十分な電力を供給するためには蓄電池の大型化が避けられないため、蓄電池の充電または交換の際、ゴンドラから蓄電池を取り外して運搬する作業が作業者にとって大きな負担になる。
【0004】
この問題に対して、特許文献1には、ゴンドラ本体の側面にソーラパネルを取り付け、該ソーラパネルで発生した電力により、ゴンドラに搭載された蓄電池を充電するようにした技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、蓄電池をゴンドラに搭載したまま充電できるため、蓄電池のメンテナンス作業を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3022255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術のようにゴンドラ本体の外面にソーラパネルを取り付ける場合、次のような不具合が生じ得る。つまり、発電効率を高くしようとすれば、必然的に太陽光を受けやすいようにソーラパネルを設置することになる。そうすると、太陽熱によってパネルの温度が上昇しやすくなる。一方で、ソーラパネルは、温度が高くなると発電効率が低下することが知られている。したがって、ゴンドラ本体の外面にソーラパネルを搭載しても、高い発電効率を得るのは難しく、ゴンドラに搭載された蓄電池や電気機器へ供給するための電力を十分に得られないことがある。
【0007】
そこで、本発明は、ゴンドラ本体の外面に取り付けられたソーラパネルの発電効率を良好に維持することができる索道用ゴンドラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る索道用ゴンドラは、次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、本願の請求項1に記載の発明に係る索道用ゴンドラは、ゴンドラ本体の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台が設けられ、該取付台と前記ゴンドラ本体との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記取付台は、ゴンドラ本体の上面に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられていることを特徴とする。
【0012】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記風洞内に風力発電機が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記風力発電機は、前記風洞の両端近傍部にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、該ゴンドラ本体の内部空間と前記風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1に記載の発明に係る索道用ゴンドラによれば、ソーラパネルを取り付けるための取付台と、ゴンドラ本体の外面との間に風洞が設けられるため、該風洞に導入された風により、ソーラパネルを冷却することができる。しかも、該風洞はゴンドラ前後方向に延びるように形成されているため、ゴンドラの運転時、ゴンドラの進行方向とは反対方向の風を確実に前記風洞に導入することができ、ソーラパネルを効率的に冷却することができる。よって、温度上昇に伴うソーラパネルの発電効率の悪化を防止することができるため、ソーラパネルの発電電力を、ゴンドラに搭載された電気機器または蓄電池に十分に供給することができる。
【0016】
また、請求項1に記載の発明に請求項2に記載の発明を適用すれば、ゴンドラ本体の上面に前記取付台が取り付けられるため、ゴンドラ本体の側面に設けられる窓に取付台が干渉することを回避できるとともに、ソーラパネルに太陽光を十分に入射させることができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられているため、時間帯や季節によって太陽光の入射方向が変化したとき、特定の取付台に取り付けられたソーラパネルの発電効率が低下しても、別の取付台に取り付けられたソーラパネルにおいて効率的に発電させることができる。そのため、ソーラパネル全体の発電効率を安定させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記風洞内に風力発電機が設けられているため、風洞内の風力を利用して風力発電機で発電させることができる。よって、ソーラパネルの発電電力に加えて、前記風力発電機の発電電力も利用することができるため、ゴンドラに搭載された電気機器または蓄電池への電力供給を一層充実させることができる。
【0019】
さらに、請求項4に記載の発明に請求項5に記載の発明を適用すれば、前記風洞の両端近傍部、すなわち、風洞へ導入された直後の風の通過部分にそれぞれ風力発電機が設けられているため、ゴンドラが往路または復路のいずれを進行するときも、進行方向前側の風力発電機において、風洞への導入直後の風を利用して効率よく発電することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明によれば、ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、ゴンドラ本体の内部空間と風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられるため、該換気口は前記取付台で覆われることとなり、前記換気口を覆うための専用のカバー部材を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る索道用ゴンドラを示す斜視図である。
【図2】索道用ゴンドラに搭載される各種電気機器への電力供給経路を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係るゴンドラのソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図4】第1の実施形態におけるゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図5】左右のソーラパネルを同一方向に傾斜させたゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図6】側面にソーラパネルが取り付けられたゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図7】第2の実施形態に係るゴンドラのソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態における電力供給経路を示す模式図である。
【図9】風力発電機の取付位置を示す平面図である。
【図10】第3の実施形態において内側換気口を閉じた状態におけるソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図11】第3の実施形態において内側換気口を開いた状態におけるソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、ゴンドラの進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0023】
図1は、本実施形態に係る索道用ゴンドラ1の外観を示す斜視図である。該ゴンドラ1は、ロープウェイにおいて乗客を輸送するために使用されるゴンドラであるが、本発明は、ロープウェイ以外の索道(例えばゴンドラリフト)に使用されるゴンドラや、荷物を輸送するために使用されるゴンドラにも適用することができる。
【0024】
ゴンドラ1は、前後方向に長い概略直方体のゴンドラ本体2を有する。ゴンドラ本体2の前後左右の側面には、略全周に亘って複数の窓4が設けられており、これにより、ゴンドラ本体2の室内のあらゆる位置において高い視認性が確保されている。
【0025】
ゴンドラ本体2の上面の左右両端部には、前後一対の連結部6,8が設けられており、該連結部6,8に吊り下げ部材10の下端部が連結されている。ゴンドラ本体2は、該吊り下げ部材10の上端部に連結された車輪を介して図示しない支索に吊り下げ支持されており、吊り下げ部材10の上端部に連結された図示しない曳索または平衡索により引っ張られることにより支索に沿って進行するようになっている。
【0026】
ゴンドラ本体2の上面には、ソーラパネル12を取り付けるための左右一対の取付台14が設けられている。各取付台14は前後方向に延設されており、各取付台14に、複数のソーラパネル12が前後方向に並べて取り付けられている。また、取付台14は、前記支索の下方部、すなわちゴンドラ本体2の左右方向中央部を避けるように配設されており、これにより、支索と車輪との間から落下する潤滑油がソーラパネル12に付着して該ソーラパネル12の発電効率が低下することが防止されている。
【0027】
図2は、ソーラパネル12の発電電力の電力供給経路を示している。ゴンドラ1には、ゴンドラ本体2の室内を空調する空調装置21、ゴンドラ本体2の前面に設けられた前照灯22、ゴンドラ本体2の後面に設けられた尾灯24、ゴンドラ本体2の室内に設けられた室内灯26、ゴンドラ本体2の室内で放送を行うための放送操作器28、及び、ゴンドラ本体2の室内と外部の運転室等との間で無線連絡を行うための無線機本体20などといった電気機器と、これらの電気機器へ供給する蓄電池18とが搭載されている。蓄電池18はソーラパネル12に電気的に接続されており、ソーラパネル12の発電電力が蓄電池18に蓄電されるようになっている。また、蓄電池18は、スイッチ盤20を介して前記電気機器21,22,24,26,28,30に電気的に接続されており、スイッチ盤20の操作に応じて各種電気機器21,22,24,26,28,30が作動するようになっている。なお、放送操作器28には、該放送操作器28で行われる放送の音声を流すためのスピーカ32が電気的に接続されており、該スピーカ32には放送操作器28を介して電力が供給されるようになっている。また、無線機本体30には、該無線機本体30による無線連絡において通話するためのインターホン34が電気的に接続されており、該インターホン34には無線機本体30を介して電力が供給されるようになっている。
【0028】
以下、取付台14及びその周辺部の構成について実施形態毎に説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
図3及び図4を参照しながら第1の実施形態について説明する。なお、図3及び図4はいずれも進行方向の後側から見た図である。また、右側の取付台14及びその周辺部と左側の取付台14及びその周辺部とは左右対称に構成されているため、図3を参照した説明においては、代表して左側部分の構成について説明する。
【0030】
図3に示すように、ゴンドラ本体2の上面部は、屋外に露出する外側パネル40と、室内空間に面する内側パネル42とを有する2層構造となっている。外側パネル40と内側パネル42とは上下方向に間隔を空けて且つ互いに平行に配設されており、複数のスペーサ44,46を介して相互に連結されている。
【0031】
取付台14は、前後方向の全長に亘って略同一の断面形状を有し、該取付台14の断面形状は略三角形となっている。具体的に、取付台14は、ゴンドラ本体2の上面から立ち上がる第1の立ち上がり部50と、該第1の立ち上がり部50よりもゴンドラ本体2の左右方向中央部側においてゴンドラ本体2の上面から立ち上がる第2の立ち上がり部52と、第1及び第2の立ち上がり部50,52の上端部間に跨るソーラパネル取付面部54とを有する。第2の立ち上がり部52は第1の立ち上がり部50よりも高く形成されており、ソーラパネル取付面部54は左側に傾いて配設されている。これにより、ソーラパネル取付面部54に取り付けられたソーラパネル12も左側に傾いて配設されるようになっており、該ソーラパネル12には、斜め左上方からの光が特に効率的に入射するようになっている。
【0032】
取付台14は、第1及び第2の立ち上がり部50,52の下端部が外側パネル40に固定されることで、ゴンドラ本体2に取り付けられている。取付台14の前後方向両側の端面は開放しており、ゴンドラ本体2の上面と取付台14とで囲まれた空間は前記開放端面を通して外部空間に連通している。なお、取付台14の前後両側の開放端面には複数の桟16が取り付けられており、これにより、鳥などの異物がゴンドラ本体2の上面と取付台14との間に侵入することが防止されている。また、隣接する桟16の間には、風洞58内への風の導入を許容するための隙間17が設けられている。
【0033】
上記のように取付台14が取り付けられていることにより、ゴンドラ本体2の上面と取付台14との間には、前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞58が形成されている。そのため、該風洞58を風が通ることにより、ソーラパネル12の底面側から該ソーラパネル12を冷却することができる。特に、ゴンドラ1の運転時は、ゴンドラ1の進行方向とは反対方向の風を確実に風洞58に導入することができ、ソーラパネル12を効率的に冷却することができる。よって、温度上昇に伴うソーラパネル12の発電効率の悪化を防止することができるため、ソーラパネル12の発電電力を、ゴンドラ1に搭載された電気機器または蓄電池に十分に供給することができる。
【0034】
図4に示すように、本実施形態において、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、互いに異なる傾斜角度を有する。具体的に、左側の取付台14のソーラパネル取付面は左側に傾いて配設され、右側の取付台14のソーラパネル取付面は右側に傾いて配設されている。そのため、時間帯によって太陽光の入射角度が変化しても、晴天であれば昼間のいずれの時間帯においても左右いずれかのソーラパネル12に太陽光が効率的に入射するため、全てのソーラパネル12の総発電量を良好に維持することができる。具体的には、例えば、ゴンドラ1が北から南に向かって進行する場合、すなわち、午前の太陽光Pが斜め左上方から入射し、午後の太陽光Qが斜め右上方から入射する場合、午前の太陽光Pは左側のソーラパネル12に効率的に入射し、午後の太陽光Qは右側のソーラパネル12に効率的に入射するため、晴天であれば昼間のいずれの時間帯においても十分な発電量を安定して得ることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、取付台14のソーラパネル取付面が右側または左側に傾斜して配設されているが、ソーラパネル取付面の傾斜方向は特に限定されるものでない。また、取付台14の設置数は必ずしも2つである必要はなく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0036】
また、図5に示すように、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、同一の方向(例えば左方向)に傾斜して配設するようにしてもよい。これにより、例えば、北半球においてゴンドラ1が東から西に向かって進行する場合、すなわち、昼間のいずれの時間帯においても太陽光が斜め左上方から入射する場合、晴天であれば昼間のいずれの時間帯も全てのソーラパネル12で効率的に発電することができる。なお、図5に示す実施形態において、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、同一の角度で傾斜して配設されているが、異なる角度で傾斜させるようにしてもよい。
【0037】
さらに、本発明において、ソーラパネル12及び取付台14は、ゴンドラ本体2の外面であれば、必ずしもゴンドラ本体2の上面に取り付ける必要はない。例えば、図6に示すように、ゴンドラ本体2の側面に取付台14を取り付けて、該取付台14に、太陽光が入射可能な傾斜角度でソーラパネル12を取り付けるようにしてもよい。また、図示は省略するが、複数の取付台14をゴンドラ本体2の同一の側面に設けたり、ゴンドラ本体2の複数の側面にそれぞれ1又は複数の取付台14を設けたりしてもよい。
【0038】
[第2の実施形態]
図7〜図9を参照しながら第2の実施形態について説明する。なお、図7は進行方向の後側から見た図である。また、右側の取付台14及びその周辺部と左側の取付台14及びその周辺部とは左右対称に構成されているため、図7を参照した説明においては、代表して左側部分の構成について説明する。さらに、第1の実施形態と同様の構成からなる部材については、図7〜図9において第1の実施形態と同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0039】
図7に示すように、第2の実施形態では、風力発電機60が前記風洞58内に設けられ、例えば外側パネル40に固定されている。風力発電機60は風車61を備え、風洞58を風が通るときに風車61が適切に回転するような位置及び向きで配設されている。風車61としては例えば水平軸タイプの風車が用いられるが、垂直軸タイプの風車を用いてもよい。第2の実施形態によれば、風洞58を通る風の風力を利用して風力発電機60で効率的に発電することができ、該風力発電機60の発電電力を、ソーラパネル12の発電電力と組み合わせて利用することができる。
【0040】
図8を参照しながら具体的に説明すると、風力発電機60は蓄電池18に電気的に接続されている。そのため、第2の実施形態では、ソーラパネル12の発電電力に加えて、風力発電機60の発電電力も蓄電池18に供給されるため、蓄電池18の充電効率を高めることができる。よって、ゴンドラ1に搭載された各種電気機器21,22,24,26,28,30への電力供給を一層安定させることができる。
【0041】
また、風力発電機60は、好ましくは、風車61を利用した風力計としての機能を兼ね備えている。そのため、風力計を別途設置しなくても、風力発電機60により、ゴンドラ1を安全に運転できる風の状態であるか否かを確認することができる。なお、風力発電機60を風力計として使用する場合は、蓄電池18からスイッチ盤20を経由して風力計60に電力が供給される。
【0042】
図9に示すように、風力発電機60は、左右の各風洞58の両端近傍部にそれぞれ設けられている。そのため、ゴンドラ1が往路または復路のいずれを進行するときも、進行方向前側の風力発電機60において、風洞58に取り込まれた直後の比較的大きな風力を利用して効率よく発電することができる。
【0043】
[第3の実施形態]
図10及び図11を参照しながら第3の実施形態について説明する。なお、図10及び図11は進行方向の後側から見た図である。また、第1の実施形態と同様の構成からなる部材については、図10及び図11において第1の実施形態と同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0044】
図10及び図11に示すように、ゴンドラ本体2の上面における取付台14が設けられた部位に、ゴンドラ本体2の内部空間と風洞58の内部空間とを連通する換気口70,72が設けられており、該換気口70,72を通してゴンドラ本体2の室内を換気できるようになっている。なお、換気口70,72は、左右の取付台14が設けられた両部位のうち一方にのみ設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0045】
具体的に、外側パネル40に第1の換気口70が設けられ、内側パネル42に第2の換気口72が設けられている。これらの換気口70,72は、風洞58の長さ方向中央部に配設されており、取付台14により上側から覆われている。そのため、換気口70,72を専用のカバー部材で覆わなくても、雨水等が換気口70,72を経由してゴンドラ本体2の室内へ侵入することが防止されている。
【0046】
また、第2の換気口72には、該換気口72を塞ぐ蓋82が開閉可能に設けられており、該蓋82の開閉により、ゴンドラ本体2の室内を換気状態と密閉状態との間で切り換え可能となっている。
【0047】
蓋82の例えば左端部は、内側パネル42に固定された連結部材84に回転可能に支持されており、蓋82の例えば右端部には、閉じた状態の蓋82の当該部分を内側パネル42に係止するための係止機構が設けられている。該係止機構は、内側パネル42に固定された係止部材86と、該係止部材86に係止可能なように蓋82に設けられた被係止部材88とを備えている。蓋82と外側パネル40との間には油圧シリンダ90が設けられており、該油圧シリンダ90は、蓋82の上面に連結されたシリンダ本体92と、外側パネル40の下面に連結されたシリンダロッド94とを有する。該油圧シリンダ90が伸縮すると、蓋82は回動し、第2の換気口72を開閉するようになっている。具体的に、シリンダ90が伸長した状態では、図10に示すように蓋82が閉じられた状態となり、シリンダ90が収縮されると、図11に示すように蓋82が開くようになっている。なお、このような蓋82の開閉動作は、ゴンドラ本体2の所定位置に設けられた操作部により操作可能となっている。
【0048】
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、風洞58内に風力発電機60を設けるようにしてもよい。
【0049】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明によれば、ゴンドラ本体の外面に取り付けられたソーラパネルの発電効率を良好に維持することが可能となるから、蓄電池や種々の電気機器をゴンドラに搭載した索道関連産業の分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0051】
1:索道用ゴンドラ、2:ゴンドラ本体、12:ソーラパネル、14:ソーラパネル取付台、18:蓄電池、60:風力発電機、70:第1の換気口、72:第2の換気口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープウェイ等の索道に用いられるゴンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロープウェイ等の索道用のゴンドラには、外部から電力を供給することが困難であるが、その一方で、空調装置、前照灯、尾灯、室内灯、音声装置などといった電気機器を索道用ゴンドラに搭載することが強く望まれている。例えば、観光地等に設置されたロープウェイではゴンドラ側面の略全周に亘って窓が設けられていることから、該窓からの入射光によりゴンドラ内の温度が上昇しやすいため、ゴンドラに冷房装置を搭載することが強く望まれている。
【0003】
このような要求を受けて、一部の索道用ゴンドラには、空調装置等の電気機器と、該電気機器に電力を供給する蓄電池とが搭載されている。ところが、この場合、電気機器に十分な電力を供給するためには蓄電池の大型化が避けられないため、蓄電池の充電または交換の際、ゴンドラから蓄電池を取り外して運搬する作業が作業者にとって大きな負担になる。
【0004】
この問題に対して、特許文献1には、ゴンドラ本体の側面にソーラパネルを取り付け、該ソーラパネルで発生した電力により、ゴンドラに搭載された蓄電池を充電するようにした技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、蓄電池をゴンドラに搭載したまま充電できるため、蓄電池のメンテナンス作業を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3022255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術のようにゴンドラ本体の外面にソーラパネルを取り付ける場合、次のような不具合が生じ得る。つまり、発電効率を高くしようとすれば、必然的に太陽光を受けやすいようにソーラパネルを設置することになる。そうすると、太陽熱によってパネルの温度が上昇しやすくなる。一方で、ソーラパネルは、温度が高くなると発電効率が低下することが知られている。したがって、ゴンドラ本体の外面にソーラパネルを搭載しても、高い発電効率を得るのは難しく、ゴンドラに搭載された蓄電池や電気機器へ供給するための電力を十分に得られないことがある。
【0007】
そこで、本発明は、ゴンドラ本体の外面に取り付けられたソーラパネルの発電効率を良好に維持することができる索道用ゴンドラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る索道用ゴンドラは、次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
まず、本願の請求項1に記載の発明に係る索道用ゴンドラは、ゴンドラ本体の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台が設けられ、該取付台と前記ゴンドラ本体との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記取付台は、ゴンドラ本体の上面に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられていることを特徴とする。
【0012】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記風洞内に風力発電機が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明において、前記風力発電機は、前記風洞の両端近傍部にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、前記ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、該ゴンドラ本体の内部空間と前記風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1に記載の発明に係る索道用ゴンドラによれば、ソーラパネルを取り付けるための取付台と、ゴンドラ本体の外面との間に風洞が設けられるため、該風洞に導入された風により、ソーラパネルを冷却することができる。しかも、該風洞はゴンドラ前後方向に延びるように形成されているため、ゴンドラの運転時、ゴンドラの進行方向とは反対方向の風を確実に前記風洞に導入することができ、ソーラパネルを効率的に冷却することができる。よって、温度上昇に伴うソーラパネルの発電効率の悪化を防止することができるため、ソーラパネルの発電電力を、ゴンドラに搭載された電気機器または蓄電池に十分に供給することができる。
【0016】
また、請求項1に記載の発明に請求項2に記載の発明を適用すれば、ゴンドラ本体の上面に前記取付台が取り付けられるため、ゴンドラ本体の側面に設けられる窓に取付台が干渉することを回避できるとともに、ソーラパネルに太陽光を十分に入射させることができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられているため、時間帯や季節によって太陽光の入射方向が変化したとき、特定の取付台に取り付けられたソーラパネルの発電効率が低下しても、別の取付台に取り付けられたソーラパネルにおいて効率的に発電させることができる。そのため、ソーラパネル全体の発電効率を安定させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記風洞内に風力発電機が設けられているため、風洞内の風力を利用して風力発電機で発電させることができる。よって、ソーラパネルの発電電力に加えて、前記風力発電機の発電電力も利用することができるため、ゴンドラに搭載された電気機器または蓄電池への電力供給を一層充実させることができる。
【0019】
さらに、請求項4に記載の発明に請求項5に記載の発明を適用すれば、前記風洞の両端近傍部、すなわち、風洞へ導入された直後の風の通過部分にそれぞれ風力発電機が設けられているため、ゴンドラが往路または復路のいずれを進行するときも、進行方向前側の風力発電機において、風洞への導入直後の風を利用して効率よく発電することができる。
【0020】
また、請求項6に記載の発明によれば、ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、ゴンドラ本体の内部空間と風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられるため、該換気口は前記取付台で覆われることとなり、前記換気口を覆うための専用のカバー部材を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る索道用ゴンドラを示す斜視図である。
【図2】索道用ゴンドラに搭載される各種電気機器への電力供給経路を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係るゴンドラのソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図4】第1の実施形態におけるゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図5】左右のソーラパネルを同一方向に傾斜させたゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図6】側面にソーラパネルが取り付けられたゴンドラ本体を後方から見た図である。
【図7】第2の実施形態に係るゴンドラのソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図8】第2の実施形態における電力供給経路を示す模式図である。
【図9】風力発電機の取付位置を示す平面図である。
【図10】第3の実施形態において内側換気口を閉じた状態におけるソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【図11】第3の実施形態において内側換気口を開いた状態におけるソーラパネル取付部及びその周辺部を後方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、ゴンドラの進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0023】
図1は、本実施形態に係る索道用ゴンドラ1の外観を示す斜視図である。該ゴンドラ1は、ロープウェイにおいて乗客を輸送するために使用されるゴンドラであるが、本発明は、ロープウェイ以外の索道(例えばゴンドラリフト)に使用されるゴンドラや、荷物を輸送するために使用されるゴンドラにも適用することができる。
【0024】
ゴンドラ1は、前後方向に長い概略直方体のゴンドラ本体2を有する。ゴンドラ本体2の前後左右の側面には、略全周に亘って複数の窓4が設けられており、これにより、ゴンドラ本体2の室内のあらゆる位置において高い視認性が確保されている。
【0025】
ゴンドラ本体2の上面の左右両端部には、前後一対の連結部6,8が設けられており、該連結部6,8に吊り下げ部材10の下端部が連結されている。ゴンドラ本体2は、該吊り下げ部材10の上端部に連結された車輪を介して図示しない支索に吊り下げ支持されており、吊り下げ部材10の上端部に連結された図示しない曳索または平衡索により引っ張られることにより支索に沿って進行するようになっている。
【0026】
ゴンドラ本体2の上面には、ソーラパネル12を取り付けるための左右一対の取付台14が設けられている。各取付台14は前後方向に延設されており、各取付台14に、複数のソーラパネル12が前後方向に並べて取り付けられている。また、取付台14は、前記支索の下方部、すなわちゴンドラ本体2の左右方向中央部を避けるように配設されており、これにより、支索と車輪との間から落下する潤滑油がソーラパネル12に付着して該ソーラパネル12の発電効率が低下することが防止されている。
【0027】
図2は、ソーラパネル12の発電電力の電力供給経路を示している。ゴンドラ1には、ゴンドラ本体2の室内を空調する空調装置21、ゴンドラ本体2の前面に設けられた前照灯22、ゴンドラ本体2の後面に設けられた尾灯24、ゴンドラ本体2の室内に設けられた室内灯26、ゴンドラ本体2の室内で放送を行うための放送操作器28、及び、ゴンドラ本体2の室内と外部の運転室等との間で無線連絡を行うための無線機本体20などといった電気機器と、これらの電気機器へ供給する蓄電池18とが搭載されている。蓄電池18はソーラパネル12に電気的に接続されており、ソーラパネル12の発電電力が蓄電池18に蓄電されるようになっている。また、蓄電池18は、スイッチ盤20を介して前記電気機器21,22,24,26,28,30に電気的に接続されており、スイッチ盤20の操作に応じて各種電気機器21,22,24,26,28,30が作動するようになっている。なお、放送操作器28には、該放送操作器28で行われる放送の音声を流すためのスピーカ32が電気的に接続されており、該スピーカ32には放送操作器28を介して電力が供給されるようになっている。また、無線機本体30には、該無線機本体30による無線連絡において通話するためのインターホン34が電気的に接続されており、該インターホン34には無線機本体30を介して電力が供給されるようになっている。
【0028】
以下、取付台14及びその周辺部の構成について実施形態毎に説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
図3及び図4を参照しながら第1の実施形態について説明する。なお、図3及び図4はいずれも進行方向の後側から見た図である。また、右側の取付台14及びその周辺部と左側の取付台14及びその周辺部とは左右対称に構成されているため、図3を参照した説明においては、代表して左側部分の構成について説明する。
【0030】
図3に示すように、ゴンドラ本体2の上面部は、屋外に露出する外側パネル40と、室内空間に面する内側パネル42とを有する2層構造となっている。外側パネル40と内側パネル42とは上下方向に間隔を空けて且つ互いに平行に配設されており、複数のスペーサ44,46を介して相互に連結されている。
【0031】
取付台14は、前後方向の全長に亘って略同一の断面形状を有し、該取付台14の断面形状は略三角形となっている。具体的に、取付台14は、ゴンドラ本体2の上面から立ち上がる第1の立ち上がり部50と、該第1の立ち上がり部50よりもゴンドラ本体2の左右方向中央部側においてゴンドラ本体2の上面から立ち上がる第2の立ち上がり部52と、第1及び第2の立ち上がり部50,52の上端部間に跨るソーラパネル取付面部54とを有する。第2の立ち上がり部52は第1の立ち上がり部50よりも高く形成されており、ソーラパネル取付面部54は左側に傾いて配設されている。これにより、ソーラパネル取付面部54に取り付けられたソーラパネル12も左側に傾いて配設されるようになっており、該ソーラパネル12には、斜め左上方からの光が特に効率的に入射するようになっている。
【0032】
取付台14は、第1及び第2の立ち上がり部50,52の下端部が外側パネル40に固定されることで、ゴンドラ本体2に取り付けられている。取付台14の前後方向両側の端面は開放しており、ゴンドラ本体2の上面と取付台14とで囲まれた空間は前記開放端面を通して外部空間に連通している。なお、取付台14の前後両側の開放端面には複数の桟16が取り付けられており、これにより、鳥などの異物がゴンドラ本体2の上面と取付台14との間に侵入することが防止されている。また、隣接する桟16の間には、風洞58内への風の導入を許容するための隙間17が設けられている。
【0033】
上記のように取付台14が取り付けられていることにより、ゴンドラ本体2の上面と取付台14との間には、前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞58が形成されている。そのため、該風洞58を風が通ることにより、ソーラパネル12の底面側から該ソーラパネル12を冷却することができる。特に、ゴンドラ1の運転時は、ゴンドラ1の進行方向とは反対方向の風を確実に風洞58に導入することができ、ソーラパネル12を効率的に冷却することができる。よって、温度上昇に伴うソーラパネル12の発電効率の悪化を防止することができるため、ソーラパネル12の発電電力を、ゴンドラ1に搭載された電気機器または蓄電池に十分に供給することができる。
【0034】
図4に示すように、本実施形態において、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、互いに異なる傾斜角度を有する。具体的に、左側の取付台14のソーラパネル取付面は左側に傾いて配設され、右側の取付台14のソーラパネル取付面は右側に傾いて配設されている。そのため、時間帯によって太陽光の入射角度が変化しても、晴天であれば昼間のいずれの時間帯においても左右いずれかのソーラパネル12に太陽光が効率的に入射するため、全てのソーラパネル12の総発電量を良好に維持することができる。具体的には、例えば、ゴンドラ1が北から南に向かって進行する場合、すなわち、午前の太陽光Pが斜め左上方から入射し、午後の太陽光Qが斜め右上方から入射する場合、午前の太陽光Pは左側のソーラパネル12に効率的に入射し、午後の太陽光Qは右側のソーラパネル12に効率的に入射するため、晴天であれば昼間のいずれの時間帯においても十分な発電量を安定して得ることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、取付台14のソーラパネル取付面が右側または左側に傾斜して配設されているが、ソーラパネル取付面の傾斜方向は特に限定されるものでない。また、取付台14の設置数は必ずしも2つである必要はなく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0036】
また、図5に示すように、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、同一の方向(例えば左方向)に傾斜して配設するようにしてもよい。これにより、例えば、北半球においてゴンドラ1が東から西に向かって進行する場合、すなわち、昼間のいずれの時間帯においても太陽光が斜め左上方から入射する場合、晴天であれば昼間のいずれの時間帯も全てのソーラパネル12で効率的に発電することができる。なお、図5に示す実施形態において、左右の取付台14のソーラパネル取付面は、同一の角度で傾斜して配設されているが、異なる角度で傾斜させるようにしてもよい。
【0037】
さらに、本発明において、ソーラパネル12及び取付台14は、ゴンドラ本体2の外面であれば、必ずしもゴンドラ本体2の上面に取り付ける必要はない。例えば、図6に示すように、ゴンドラ本体2の側面に取付台14を取り付けて、該取付台14に、太陽光が入射可能な傾斜角度でソーラパネル12を取り付けるようにしてもよい。また、図示は省略するが、複数の取付台14をゴンドラ本体2の同一の側面に設けたり、ゴンドラ本体2の複数の側面にそれぞれ1又は複数の取付台14を設けたりしてもよい。
【0038】
[第2の実施形態]
図7〜図9を参照しながら第2の実施形態について説明する。なお、図7は進行方向の後側から見た図である。また、右側の取付台14及びその周辺部と左側の取付台14及びその周辺部とは左右対称に構成されているため、図7を参照した説明においては、代表して左側部分の構成について説明する。さらに、第1の実施形態と同様の構成からなる部材については、図7〜図9において第1の実施形態と同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0039】
図7に示すように、第2の実施形態では、風力発電機60が前記風洞58内に設けられ、例えば外側パネル40に固定されている。風力発電機60は風車61を備え、風洞58を風が通るときに風車61が適切に回転するような位置及び向きで配設されている。風車61としては例えば水平軸タイプの風車が用いられるが、垂直軸タイプの風車を用いてもよい。第2の実施形態によれば、風洞58を通る風の風力を利用して風力発電機60で効率的に発電することができ、該風力発電機60の発電電力を、ソーラパネル12の発電電力と組み合わせて利用することができる。
【0040】
図8を参照しながら具体的に説明すると、風力発電機60は蓄電池18に電気的に接続されている。そのため、第2の実施形態では、ソーラパネル12の発電電力に加えて、風力発電機60の発電電力も蓄電池18に供給されるため、蓄電池18の充電効率を高めることができる。よって、ゴンドラ1に搭載された各種電気機器21,22,24,26,28,30への電力供給を一層安定させることができる。
【0041】
また、風力発電機60は、好ましくは、風車61を利用した風力計としての機能を兼ね備えている。そのため、風力計を別途設置しなくても、風力発電機60により、ゴンドラ1を安全に運転できる風の状態であるか否かを確認することができる。なお、風力発電機60を風力計として使用する場合は、蓄電池18からスイッチ盤20を経由して風力計60に電力が供給される。
【0042】
図9に示すように、風力発電機60は、左右の各風洞58の両端近傍部にそれぞれ設けられている。そのため、ゴンドラ1が往路または復路のいずれを進行するときも、進行方向前側の風力発電機60において、風洞58に取り込まれた直後の比較的大きな風力を利用して効率よく発電することができる。
【0043】
[第3の実施形態]
図10及び図11を参照しながら第3の実施形態について説明する。なお、図10及び図11は進行方向の後側から見た図である。また、第1の実施形態と同様の構成からなる部材については、図10及び図11において第1の実施形態と同一の符号を付しており、詳細な説明を省略する。
【0044】
図10及び図11に示すように、ゴンドラ本体2の上面における取付台14が設けられた部位に、ゴンドラ本体2の内部空間と風洞58の内部空間とを連通する換気口70,72が設けられており、該換気口70,72を通してゴンドラ本体2の室内を換気できるようになっている。なお、換気口70,72は、左右の取付台14が設けられた両部位のうち一方にのみ設けてもよいし、両方に設けてもよい。
【0045】
具体的に、外側パネル40に第1の換気口70が設けられ、内側パネル42に第2の換気口72が設けられている。これらの換気口70,72は、風洞58の長さ方向中央部に配設されており、取付台14により上側から覆われている。そのため、換気口70,72を専用のカバー部材で覆わなくても、雨水等が換気口70,72を経由してゴンドラ本体2の室内へ侵入することが防止されている。
【0046】
また、第2の換気口72には、該換気口72を塞ぐ蓋82が開閉可能に設けられており、該蓋82の開閉により、ゴンドラ本体2の室内を換気状態と密閉状態との間で切り換え可能となっている。
【0047】
蓋82の例えば左端部は、内側パネル42に固定された連結部材84に回転可能に支持されており、蓋82の例えば右端部には、閉じた状態の蓋82の当該部分を内側パネル42に係止するための係止機構が設けられている。該係止機構は、内側パネル42に固定された係止部材86と、該係止部材86に係止可能なように蓋82に設けられた被係止部材88とを備えている。蓋82と外側パネル40との間には油圧シリンダ90が設けられており、該油圧シリンダ90は、蓋82の上面に連結されたシリンダ本体92と、外側パネル40の下面に連結されたシリンダロッド94とを有する。該油圧シリンダ90が伸縮すると、蓋82は回動し、第2の換気口72を開閉するようになっている。具体的に、シリンダ90が伸長した状態では、図10に示すように蓋82が閉じられた状態となり、シリンダ90が収縮されると、図11に示すように蓋82が開くようになっている。なお、このような蓋82の開閉動作は、ゴンドラ本体2の所定位置に設けられた操作部により操作可能となっている。
【0048】
なお、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、風洞58内に風力発電機60を設けるようにしてもよい。
【0049】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明によれば、ゴンドラ本体の外面に取り付けられたソーラパネルの発電効率を良好に維持することが可能となるから、蓄電池や種々の電気機器をゴンドラに搭載した索道関連産業の分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0051】
1:索道用ゴンドラ、2:ゴンドラ本体、12:ソーラパネル、14:ソーラパネル取付台、18:蓄電池、60:風力発電機、70:第1の換気口、72:第2の換気口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴンドラ本体の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台が設けられ、該取付台と前記ゴンドラ本体との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞が設けられていることを特徴とする索道用ゴンドラ。
【請求項2】
前記取付台は、ゴンドラ本体の上面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項3】
ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項4】
前記風洞内に風力発電機が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項5】
前記風力発電機は、前記風洞の両端近傍部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項6】
前記ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、該ゴンドラ本体の内部空間と前記風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項1】
ゴンドラ本体の外面に、該ゴンドラの前後方向に延びるソーラパネル取り付け用の取付台が設けられ、該取付台と前記ゴンドラ本体との間に、ゴンドラ前後方向に延び且つ両端部が開放した風洞が設けられていることを特徴とする索道用ゴンドラ。
【請求項2】
前記取付台は、ゴンドラ本体の上面に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項3】
ソーラパネル取付面の傾斜角度が互いに異なる複数の前記取付台が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項4】
前記風洞内に風力発電機が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項5】
前記風力発電機は、前記風洞の両端近傍部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載の索道用ゴンドラ。
【請求項6】
前記ゴンドラ本体の外面における取付台が設けられた部位に、該ゴンドラ本体の内部空間と前記風洞の内部空間とを連通する換気口が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の索道用ゴンドラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−246043(P2011−246043A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123000(P2010−123000)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(391004241)大阪車輌工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(391004241)大阪車輌工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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