説明

組立式換気扇

【課題】農業用の換気扇では、直径が1m程度の口径が大きいものが使われるため、積載・保管スペースを大きく取ってしまう。また、従来の構成の羽根車では、一旦工場での組付けとピッチバランス調整が必要であった。
【解決手段】モータ1のシャフトには、円盤状の回転板7がはめ込まれ、この回転板7には、2枚の回転翼3と2枚のバランス板4が取り付けられている。バランス板4は、その回転板7との取付位置において、回動可能となる。バランス板4を回転翼3とが重なるように固定することにより、回転翼3とバランス板4は略直線上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用のビニールハウス、畜舎等に設けられた換気扇などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の換気扇の典型的な構成は、モータ、羽根、取付脚、ベルマウスとなっている。また、農業用の換気扇では、大きな風量が必要であり、故に直径が1m程度の口径が大きいものが使われる。この種の換気扇は、工場で組み立て、羽根のピッチバランスを調整した後、完成品として梱包し、出荷している。このような構成では、梱包サイズが大きくなってしまうという課題が有る。また、農業用のような大きな換気扇では、一人で運ぶことができず、更には、運送時の積載スペース、保管スペースを大きく取ってしまい、高い運送保管料が必要となる。
【0003】
このような背景の中、図9に記載のような組立・分解式の換気扇が開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
このような組立・分解式の換気扇は、図9に示すように、モータ101と、このモータ101に取り付けられる支持枠102と、この支持枠102に組み付ける枠体103と、モータ101の軸承される羽根車104で構成される。支持枠102、枠体103は、パイプ素材で形成され、支持体102と枠体103とは、クリップ105で組付けられる。
【特許文献1】特開2004−232548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の換気扇においては、羽根車104とモータ101を組み付けた上で出荷しなくてはならず、羽根径分の梱包サイズが必要であった。または、梱包サイズを小さくするためには、一旦羽根車104の組付けを行ってピッチバランスを調整した後、羽根車104のブレードを外さなくてはならず、工数の削減が求められている。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、梱包サイズを小さくして設置現場までの運送コストを削減し、なおかつ、容易に現場での組み付け作業を行うことのできる換気扇を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の換気扇の第一の手段は、モータと、このモータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と所定の角度で前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成されるものである。
【0008】
この手段により、ピッチバランスの調整を2枚の回転翼で行い、運搬の際にはバランス板を取り外すことによって、梱包サイズを小さくすることができる。
【0009】
また、他の手段は、モータのシャフトに回転板を取りつけ、回転翼とバランス板は、回転板のまわりに取り付けられることを特徴とするものである。この手段により、バランス板を容易に取り付けることができる。
【0010】
また、他の手段は、バランス板は、回転板に回動可能に取り付けられ、回転翼と重ねることができるものである。この手段により、バランス板を取り外さずに梱包ができ、かつ、容易に組立が可能となる。
【0011】
また、他の手段は、バランス板には、回動する支点を中心にした1/4の円弧状穴を設け、この円弧状穴と回動支点とで回転板と固定するものである。この手段により、バランス板を取り外さずに梱包ができ、かつ、容易に組立が可能となる。
【0012】
また、他の手段は、バランス板は、長辺にヘミング曲げを設け、ヘミング曲げの間に回転板の取り付け部分を挟みこんで位置決めするものである。この手段により、容易にバランス板の位置調整ができる。
【0013】
また、他の手段は、回転板の、前記バランス板との取り付け部分にエンボスを設け、前記バランス板の、回転板との取付部分に位置決め穴を設け、前記バランス板を拡げた際に、前記エンボスが前記位置決め穴にはまり込むことによってバランス板の位置決めをすることを特徴とするものである。この手段により、簡単にバランス板の位置決めを行うことができる。
【0014】
また、他の手段は、前記バランス板は、回転板に着脱可能に取り付けられることを特徴とするものである。この手段により、運搬の際にはバランス板を取り外すことによって、梱包サイズを小さくすることができる。
【0015】
また、他の手段は、モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車と、モータのハウジングに放射状に取り付けられた少なくとも3本の取付脚と、前記取付脚の先端に前記羽根車の回転する外周を囲むように設けられた外周枠で構成され、前記外周枠は、分割されることを特徴とするものである。この手段により、換気扇の外形寸法を決定づける外枠となる外周枠を分割して構成することにより、梱包サイズの削減を図ることができる。
【0016】
また、他の手段は、前記外周枠は、前記取付脚の本数と同数に分割されることを特徴とするものである。
【0017】
また、他の手段は、前記取付脚は4本であり、前記外周枠を4分割したことを特徴とするものである。
【0018】
また、他の手段は、前記外周枠は、回転軸を含む面での断面が円弧状のベルマウスであることを特徴とするものである。
【0019】
また、他の手段は、前記取付脚の先端にはベルマウス連結部材を設け、このベルマウス連結部材によって前記ベルマウスと接続することを特徴とするものである。
【0020】
また、他の手段は、前記ベルマウスは、前記取付脚の本数と同数で分割され、前記ベルマウス連結部材は、取付脚取付穴と、ベルマウス取付穴を有することを特徴とするものである。
【0021】
また、他の手段は、前記ベルマウス連結部材は、取付脚に直接嵌め込んでベルマウスを乗せる連結部材Aと、連結部材Aとでベルマウスを挟みこんで固定する連結部材Bで構成されることを特徴とするものである。
【0022】
また、他の手段は、前記連結部材Aには、ベルマウスを乗せたときにベルマウスの端部を引っ掛けるフックを設けたことを特徴とするものである。
【0023】
また、他の手段は、前記取付脚の先端近傍に設けた受け側固定金具と、前記連結部材A、ベルマウス、連結部材Bを、前記受け側固定金具とで両側から挟みこんで固定する連結部材固定金具を設けたことを特徴とするものである。
【0024】
また、他の手段は、前記受け側固定金具は、換気扇本体を建造物に固定する本体固定穴を設けたことを特徴とするものである。
【0025】
また、他の手段は、モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車で構成され、前記モータには、少なくとも3本のパイプ状の取付脚を回動可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【0026】
この手段により、輸送・保管時に、取付脚を回動させて梱包サイズを小さくすることができる。
【0027】
また、他の手段は、前記取付脚は4本であり、その4本の取付脚のうち、対向する2本はモータに固定され、残りの2本が回動可能に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0028】
また、他の手段は、換気扇の周囲には、取付脚連結部材を一体に有するベルマウスを設け、この取付脚連結部材と前記取付脚を接続することを特徴とするものである。
【0029】
また、他の手段は、前記ベルマウスは、前記取付脚の本数と同数で分割され、取付脚連結部材は、分割されたベルマウスの略中心に設け、隣り合ったベルマウス同士を接合することを特徴とするものである。
【0030】
また、他の手段は、前記羽根車は、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と約90°の角度の位置に回動可能に取り付けられ、かつ、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成され、前記取付脚は、4本のパイプ状の取付脚で、モータとの取付位置で回動可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明の換気扇によれば、羽根となる回転翼を2枚とし、2枚の回動可能なバランス板を設けることにより、梱包する際にはたたんで梱包サイズを小さくし、なおかつ、容易に現場での組み付け作業を行うことのできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の請求項1に記載の換気扇は、モータと、このモータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と所定の角度で前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成されるものであり、ピッチバランスの調整を2枚の回転翼で行い、運搬の際にはバランス板を取り外すことによって、梱包サイズを小さくすることができる。
【0033】
また、本発明の請求項2に記載の換気扇は、モータのシャフトに回転板を取りつけ、回転翼とバランス板は、回転板のまわりに取り付けられることを特徴とするものである。この手段により、バランス板を容易に取り付けることができる。
【0034】
また、本発明の請求項3に記載の換気扇は、バランス板は、回転板に回動可能に取り付けられ、回転翼と重ねることができるものである。この手段により、バランス板を取り外さずに梱包ができ、かつ、容易に組立が可能となる。
【0035】
また、本発明の請求項4に記載の換気扇は、バランス板には、回動する支点を中心にした1/4の円弧状穴を設け、この円弧状穴と回動支点とで回転板と固定するものである。この手段により、バランス板を取り外さずに梱包ができ、かつ、容易に組立が可能となる。
【0036】
また、本発明の請求項5に記載の換気扇は、バランス板は、長辺にヘミング曲げを設け、ヘミング曲げの間に回転板の取り付け部分を挟みこんで位置決めするものである。この手段により、容易にバランス板の位置調整ができる。
【0037】
また、本発明の請求項6に記載の換気扇は、回転板の、前記バランス板との取り付け部分にエンボスを設け、前記バランス板の、回転板との取付部分に位置決め穴を設け、前記バランス板を拡げた際に、前記エンボスが前記位置決め穴にはまり込むことによってバランス板の位置決めをすることを特徴とするものである。この手段により、簡単にバランス板の位置決めを行うことができる。
【0038】
また、本発明の請求項7に記載の換気扇は、前記バランス板は、回転板に着脱可能に取り付けられることを特徴とするものである。この手段により、運搬の際にはバランス板を取り外すことによって、梱包サイズを小さくすることができる。
【0039】
また、本発明の請求項8に記載の換気扇は、モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車と、モータのハウジングに放射状に取り付けられた少なくとも3本の取付脚と、前記取付脚の先端に前記羽根車の回転する外周を囲むように設けられた外周枠で構成され、前記外周枠は、分割されることを特徴とするものである。この手段により、換気扇の外形寸法を決定づける外枠となる外周枠を分割して構成することにより、梱包サイズの削減を図ることができる。
【0040】
また、本発明の請求項9に記載の換気扇は、前記外周枠は、前記取付脚の本数と同数に分割されることを特徴とするものである。
【0041】
また、本発明の請求項10に記載の換気扇は、前記取付脚は4本であり、前記外周枠を4分割したことを特徴とするものである。
【0042】
また、本発明の請求項11に記載の換気扇は、前記外周枠は、回転軸を含む面での断面が円弧状のベルマウスであることを特徴とするものである。
【0043】
また、本発明の請求項12に記載の換気扇は、前記取付脚の先端にはベルマウス連結部材を設け、このベルマウス連結部材によって前記ベルマウスと接続することを特徴とするものである。
【0044】
また、本発明の請求項13に記載の換気扇は、前記ベルマウスは、前記取付脚の本数と同数で分割され、前記ベルマウス連結部材は、取付脚取付穴と、ベルマウス取付穴を有することを特徴とするものである。
【0045】
また、本発明の請求項14に記載の換気扇は、前記ベルマウス連結部材は、取付脚に直接嵌め込んでベルマウスを乗せる連結部材Aと、連結部材Aとでベルマウスを挟みこんで固定する連結部材Bで構成されることを特徴とするものである。
【0046】
また、本発明の請求項15に記載の換気扇は、前記連結部材Aには、ベルマウスを乗せたときにベルマウスの端部を引っ掛けるフックを設けたことを特徴とするものである。
【0047】
また、本発明の請求項16に記載の換気扇は、前記取付脚の先端近傍に設けた受け側固定金具と、前記連結部材A、ベルマウス、連結部材Bを、前記受け側固定金具とで両側から挟みこんで固定する連結部材固定金具を設けたことを特徴とするものである。
【0048】
また、本発明の請求項17に記載の換気扇は、前記受け側固定金具は、換気扇本体を建造物に固定する本体固定穴を設けたことを特徴とするものである。
【0049】
また、本発明の請求項18に記載の換気扇は、モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車で構成され、前記モータには、少なくとも3本のパイプ状の取付脚を回動可能に取り付けたことを特徴とするものであり、輸送・保管時に、取付脚を回動させて梱包サイズを小さくすることができる。
【0050】
また、本発明の請求項19に記載の換気扇は、前記取付脚は4本であり、その4本の取付脚のうち、対向する2本はモータに固定され、残りの2本が回動可能に取り付けられたことを特徴とするものである。
【0051】
また、本発明の請求項20に記載の換気扇は、換気扇の周囲には、取付脚連結部材を一体に有するベルマウスを設け、この取付脚連結部材と前記取付脚を接続することを特徴とするものである。
【0052】
また、本発明の請求項21に記載の換気扇は、前記ベルマウスは、前記取付脚の本数と同数で分割され、取付脚連結部材は、分割されたベルマウスの略中心に設け、隣り合ったベルマウス同士を接合することを特徴とするものである。
【0053】
また、本発明の請求項22に記載の換気扇は、前記羽根車は、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と約90°の角度の位置に回動可能に取り付けられ、かつ、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成され、前記取付脚は、4本のパイプ状の取付脚で、モータとの取付位置で回動可能に取り付けたことを特徴とするものである。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態による換気扇の組立完成図(斜視図)である。
【0055】
本実施の形態による換気扇は、モータ1の底部に取付脚2が4本、放射状に設けられている。取付脚2は、パイプ材を加工したものである。モータ1のシャフトには、円盤状の回転板7がはめ込まれている。この回転板7には、2枚の回転翼3と2枚のバランス板4が取り付けられている。バランス板4は、回転中心の周りに重りを分散させ、回転中心と回転体の重心とが一致するように設けるものであって、本実施の形態では、短冊状の平板を用いている。回転翼3a、3bは、シャフトを中心にして対向して取り付けられ、バランス板4a,4bはそれぞれ回転翼3a,3bと略90°の角度をなすように取り付けられている。一方、取付脚2の先端には、ベルマウス取付部材5が取り付けられている。このベルマウス取付部材5には、取付脚2を嵌め込む取付脚取付穴5a、外周枠となるベルマウス6a,6b,6c,6dを嵌め込むベルマウス取付穴5bを有している。取付脚取付穴5aには、取付脚2の先端がはめ込まれる。取付脚2の本数と同数の4つに分割されたベルマウス6a,6b,6c,6dは、ベルマウス取付穴5bにはめ込まれて結合され、一体のベルマウス6となっている。
【0056】
このような構成において、本実施の形態の換気扇の組立方法、運送状態への移行方法について説明する。
【0057】
図2は、回転翼3、バランス板4と回転板7との取付状態を表す図である。バランス板4は、その回転板7との取付位置において、回転支点となる取付ネジ11を1本残して外すことによって回動可能となる。バランス板4に設けられた固定ネジ12に対応するネジ穴13は、取付ネジ11を中心とした4分の1の円弧状に空けられており、固定ネジ12を緩めるだけで、バランス板4の回動ができる。バランス板4を、回転翼3と重なる位置(図2(a)中記号A)と、運転可能な正規の位置(図2(b)中記号B)で固定できるように、ネジ穴13が設けられている。すなわち、梱包して運送するような場合には、図2(a)で示すように、バランス板4を回転翼3と重なるように固定する。このような状態であれば、回転翼3とバランス板4は略直線上に配置され、コンパクトに収納ができる。また、設置する場合には、図2(b)で示すように、バランス板4を開いて運転できる状態にする。
【0058】
また、バランス板4の長辺側の両端には、ヘミング曲げ14を設ける。回転板7のバランス板の取り付け部分7bは、その幅をヘミング曲げ14間の距離Lとする。このような構成によれば、バランス板4を正規の位置(図2(b)中記号B)にセットしたときに、ヘミング曲げ14の間に取り付け部分7bがはまり込むことになって、バランス板4の固定ができる。
【0059】
さらに、取り付け部分7bには、エンボス7cを設ける。バランス板4には、正規の位置(図2(b)中記号B)にセットしたときにエンボス7cが嵌り込むエンボス穴15を設ける。このような構成によれば、バランス板4を正規の位置(図2(b)中記号B)にセットしたときに、エンボス穴15に取り付け部分7bに設けたエンボス7cがはまり込むことになって、バランス板4の固定ができる。
【0060】
次に、取付脚2の格納について説明する。図3は、取付脚2とモータ1との取付状態を表す図である。取付脚2のうち、対向する2本(回動取付脚2a,2c)は、モータ1との接合部で回動可能に取り付けられ、残りの2本(固定取付脚2b,2d)は、動かないよう、固定する。この回動取付脚2a,2cは、モータに取付脚嵌合部にはめ込まれ、この嵌合部において固定ネジを締め付けることによって固定され、固定ネジを緩めれば、回動させることが可能となる(図示せず)。なお、固定取付脚2b,2dについては、本実施の形態では、固定したが、回動可能にしておいても良い。このような取付脚2の構成によれば、工場出荷時など運送する際には、回動取付脚2a,2cの固定ネジを緩める、あるいは外し、固定取付脚2b,2dに重ねるようにして回動させる。このように、4本の取付脚2は略直線上に配置されるので、上記の直線上に配置された回転翼3・バランス板4と重なるようになり、全体として細長い形状に収まり、梱包サイズの削減がはかれる(図4にバランス板4、取付脚2を格納した状態を示す。)。
【0061】
換気扇の設置する現地における組立時は、バランス板4a,4bを正規の位置(図2(b)中記号B)に、取付脚2も放射状になるよう、固定する。回転翼3は、出荷時にバランス調整を行って固定しているため、現地での調整は不要となる。
【0062】
図5にベルマウス6の組立図を示す。ベルマウス6については、前記したように、ベルマウス取付部材5によって取付脚2および分割されたベルマウス6a,6b,6c,6dを結合する。ベルマウス6の分割状態においては、ある程度細長い形状となるため、図6のように直方体の箱8に収納できるようになる。
【0063】
このように、本実施の形態の組立式換気扇によれば、2枚の回転翼と、回動可能な2枚のバランス板で回転部を構成することにより、工場出荷時にバランス調整が可能となって現地での調整が不要で、かつ、梱包サイズを削減することが可能となる。梱包サイズは従来の同径の換気扇と比較して3分の1程度になる。
【0064】
なお、本実施の形態では、取付脚2を4本で構成したが、ベルマウス6の固定ができる3本以上であればよい。その場合には、固定する取付脚2は、奇数の取付脚の場合には1本、偶数であれば対向する2本とすればよい。この場合、ベルマウス6の分割数は、取付脚2の本数と同じ数にすればよい。
【0065】
また、取付脚2は回動可能として略直線上に配置する構成としたが、モータ1と分離可能とし、取付脚2を取り外した状態で運搬する構成としても良い。
【0066】
また、本実施の形態では、外周枠をベルマウス6としたが、回転翼3の外周を取り囲むように構成されたものであれば、他の形状、例えば、パイプ状の部材であってもよい。
【0067】
また、ベルマウス6の分割方法は、等分割にすると梱包サイズの削減に最も効果的であるが、大きさを変えて分割しても構わない。
【0068】
また、ベルマウス6と取付脚2との結合部材としてベルマウス取付部材5を用いたが、ベルマウス6に取付脚差込部を一体にして備えたものでもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、バランス板4は回動可能として回転翼3と重なるような構成としたが、回転板7と分離し、バランス板4を取り外して運搬する構成としても良い。
【0070】
また、バランス板4には、平板を用いたが、捻りを加えた翼形状をなし、回転翼の補助的な役割、あるいは、回転翼と同等の働きをするものであってもよい。
【0071】
また、バランス板4は2枚としたが、偶数枚であればよい。例えば、バランス板4を4枚とし、正規の位置はそれぞれが回転翼3と約60°の角度で取り付けられる構成でもよい。この場合、梱包時のバランス板4の位置は、2枚のバランス板4が1枚の回転翼3と重なるようにすることが出来る。
【0072】
(実施の形態2)
第2の実施の形態として、他のベルマウス連結部材21について、図7、8を用いて説明する。
【0073】
本実施の形態によるベルマウス連結部材21は、構成部品としてベルマウス6を受ける連結部材A21aと、ベルマウス6を連結部材A21aと挟みこんで固定する連結部材B21bとで構成される。連結部材A21a、連結部材B21bは樹脂成型で製作するとよい。
【0074】
連結部材A21aは、取付脚2を嵌め込む部分「脚嵌合部22」と、ベルマウス6を下から受ける部分「ベルマウス受け23」とで構成される。脚嵌合部22の外側には、溝26が設けられている。取付脚2には、連結部材A21aを受ける「受け固定金具24」を設け、取付脚2に嵌合した連結部材A21aは、受け固定金具24に当接して固定される。また、取付脚2をはさんで両側のベルマウス6を支えるよう、ベルマウス受け23は、脚嵌合部22の両側に設ける。ベルマウス6は、図でもわかるように断面が円弧状になっているため、ベルマウス受け23は円弧状に成型されている(図7は、連結部材A21aを取付脚2に嵌合し、ベルマウス6をのせた状態である。)。
【0075】
連結部材B21bは、取付脚2に取り付けベルマウス6をセットした連結部材A21aに嵌合してベルマウス6を固定する。その内側には凸部27を設け、連結部材A21aに嵌合する際、凸部27が溝26に沿って嵌合する。さらに、連結部材A21aとベルマウス6、連結部材B21bとは、受け固定金具24と固定金具25によって両側から挟みこんで、受け固定金具24と固定金具25とをネジ止めして固定する(図8は、連結部材B21bを連結部材A21aに嵌合し、固定金具25によって固定された状態である。)。
【0076】
このような構成において、その組立作業は、取付脚2を広げた状態でまず連結部材A21aを取り付け、その上でベルマウス6を所定位置に置き、連結部材B21bを嵌め込む。その後、固定金具25によってベルマウス連結部材21の固定を行う。上記構成によれば、組立作業を一人でも行うことができるという効果がある。また、ベルマウス6は、受け固定金具24、固定金具25によって挟まれて固定されているため、連結部材A21a、連結部材B21bの樹脂劣化時にも固定状態を維持できる。
【0077】
また、ベルマウス受け23には、ベルマウス6を支えるための突起29を設ける。ベルマウス受け23にベルマウス6を置くときには、ベルマウス6の両端2点で支えるため、バランスが悪く、傾く、あるいは下に落ちてしまう。ベルマウス6を組み立てる際には、ベルマウス6の端部を突起29に引掛けてベルマウス受け23に置くことによって、バランスを崩さず、一人で組立作業ができるようになる。
【0078】
なお、受け固定金具24は、換気扇本体を構造物等に固定する本体固定金具として用いてもよい。その際には、受け固定金具24には、本体固定穴28を設けておく。
【産業上の利用可能性】
【0079】
大口径のプロペラ型ファンを採用した送風機器に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施の形態の完成状態を示す斜視図
【図2】同第1の実施の形態の回転翼・バランス板の取付状態を表す図((a)バランス板格納状態時の図、(b)バランス板を正規の状態にしたときの図)
【図3】同第1の実施の形態の取付脚の図
【図4】同第1の実施の形態のバランス板・取付脚を格納した状態を表す図
【図5】同第1の実施の形態のベルマウスを示す図((a)ベルマウスの分割図、(b)ベルマウスの組立図)
【図6】同第1の実施の形態の組立式換気扇の梱包状態を表す図
【図7】本発明の第2の実施の形態の連結部材Aの取り付け状態を示す図
【図8】同第2の実施の形態の連結部材Bの取り付け状態を示す図
【図9】従来の組立・分解式換気扇を表す図
【符号の説明】
【0081】
1 モータ
2 取付脚
3 回転翼
4 バランス板
5 ベルマウス取付部材
6 ベルマウス
7 回転板
7b 取り付け部分
7c エンボス
8 箱
13 ネジ穴
14 ヘミング曲げ
15 エンボス穴
21 ベルマウス連結部材
21a 連結部材A
21b 連結部材B
24 受け固定金具
25 固定金具
26 溝
27 凸部
28 本体固定穴
29 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、このモータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と所定の角度で前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成される組立式換気扇。
【請求項2】
前記モータのシャフトに回転板を取りつけ、前記回転翼とバランス板は、回転板のまわりに取り付けられることを特徴とする請求項1記載の組立式換気扇。
【請求項3】
前記バランス板は、回転板に回動可能に取り付けられ、回転翼と重ねることができる請求項2記載の組立式換気扇。
【請求項4】
前記バランス板には、回動する支点を中心にした1/4の円弧状穴を設け、この円弧状穴と回動支点とで回転板と固定する構成の請求項3記載の組立式換気扇。
【請求項5】
前記バランス板は、長辺にヘミング曲げを設け、ヘミング曲げの間に回転板の取り付け部分を挟みこんで位置決めすることを特徴とする請求項3〜4いずれかに記載の組立式換気扇。
【請求項6】
前記回転板の、前記バランス板との取り付け部分にエンボスを設け、前記バランス板の、回転板との取付部分に位置決め穴を設け、前記バランス板を拡げた際に、前記エンボスが前記位置決め穴にはまり込むことによってバランス板の位置決めをすることを特徴とする請求項3〜5いずれかに記載の組立式換気扇。
【請求項7】
前記バランス板は、回転板に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項2記載の組立式換気扇。
【請求項8】
モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車と、モータのハウジングに放射状に取り付けられた少なくとも3本の取付脚と、前記取付脚の先端に前記羽根車の回転する外周を囲むように設けられた外周枠で構成される換気扇において、前記外周枠は、分割されることを特徴とする組立式換気扇。
【請求項9】
前記外周枠は、前記取付脚の本数と同数に分割されることを特徴とする請求項8記載の組立式換気扇。
【請求項10】
前記取付脚は4本であり、前記外周枠を4分割したことを特徴とする請求項9記載の組立式換気扇。
【請求項11】
前記外周枠は、回転軸を含む面での断面が円弧状のベルマウスであることを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載の組立式換気扇。
【請求項12】
前記取付脚の先端にはベルマウス連結部材を設け、このベルマウス連結部材によって前記ベルマウスと接続することを特徴とする請求項11記載の組立式換気扇。
【請求項13】
前記ベルマウス連結部材は、取付脚取付穴と、2つのベルマウス取付穴を有し、前記取付脚を前記取付脚取付穴に嵌合して接続し、前記ベルマウスを前記ベルマウス取付穴に嵌合して接続することを特徴とする請求項12記載の組立式換気扇。
【請求項14】
前記ベルマウス連結部材は、取付脚に直接嵌め込んでベルマウスを乗せる連結部材Aと、連結部材Aとでベルマウスを挟みこんで固定する連結部材Bで構成されることを特徴とする請求項12記載の組立式換気扇。
【請求項15】
前記連結部材Aには、ベルマウスを乗せたときにベルマウスの端部を引っ掛けるフックを設けたことを特徴とする請求項14記載の組立式換気扇。
【請求項16】
前記取付脚の先端近傍に設けた受け側固定金具と、前記連結部材A、ベルマウス、連結部材Bを、前記受け側固定金具とで両側から挟みこんで固定する連結部材固定金具を設けたことを特徴とする請求項14または15記載の組立式換気扇。
【請求項17】
前記受け側固定金具は、換気扇本体を建造物に固定する本体固定穴を設けたことを特徴とする請求項16記載の組立式換気扇。
【請求項18】
モータと、モータのシャフトに取り付けられた羽根車で構成される換気扇において、前記モータには、少なくとも3本のパイプ状の取付脚を回動可能に取り付けたことを特徴とする組立式換気扇。
【請求項19】
前記取付脚は4本であり、その4本の取付脚のうち、対向する2本はモータに固定され、残りの2本が回動可能に取り付けられたことを特徴とする請求項18記載の組立式換気扇。
【請求項20】
換気扇の周囲には、取付脚連結部材を一体に有するベルマウスを設け、この取付脚連結部材と前記取付脚を接続することを特徴とする請求項18記載の組立式換気扇。
【請求項21】
前記ベルマウスは、前記取付脚の本数と同数で分割され、取付脚連結部材は、分割されたベルマウスの略中心に設け、隣り合ったベルマウス同士を接合することを特徴とする請求項20記載の組立式換気扇。
【請求項22】
前記羽根車は、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚の回転翼と、この回転翼と約90°の角度の位置に回動可能に取り付けられ、かつ、前記モータのシャフトに対向して取り付けられた2枚のバランス板とで構成され、前記取付脚は、4本のパイプ状の取付脚で、モータとの取付位置で回動可能に取り付けたことを特徴とする請求項8〜17いずれかに記載の組立式換気扇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−267651(P2008−267651A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108905(P2007−108905)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】