説明

経皮オキシブチニン療法のための組成物および方法

【課題】オキシブチニン療法に随伴する薬の副作用体験の発生率および/または重度を最小化しつつ、オキシブチニンを投与するための組成物および方法の提供。
【解決手段】低い血漿濃度のオキシブチニン代謝物、例えば、N-デスエチルオキシブチニンを生じ、この代謝物が、オキシブチニン療法で被験者に効能を与えるのに十分なオキシブチニン血漿濃度を維持し、薬の副作用を低減した組成物および方法。また、薬の副作用の発生率および/または重度を最小化するというこれらの特性と過活動膀胱に対しての有益かつ効果的な治療の維持に合致するオキシブチニンおよびその代謝物の異性体。好ましくは咬合しないかまたは遊離形のゲルの形で局所的に投与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権データ
本出願は、2000年4月26日に出願された米国特許出願シリアルNo.09/559,711の継続である2002年3月15日に出願された米国特許出願シリアルNo.10/098,752の一部継続である2002年11月1日に出願された米国特許出願シリアルNo.10/286,381の優先権を主張し、これらの各々は、参考とすることによって本明細書に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、オキシブチニン療法に随伴する薬の副作用体験を最小化するための組成物および方法に関する。したがって、本発明は、薬科学、医学およびその他の健康科学の分野に該当する。
【背景技術】
【0003】
経口オキシブチニン療法は、現在、種々の形態の過活動膀胱および尿失禁を治療するために使用されている。とりわけ、オキシブチニンは、神経原性的に発生した膀胱疾患を治療するのに効果的である。このような疾患の軽減は、オキシブチニンが副交感神経系および膀胱排尿筋に与える抗コリン作働性および抗痙攣性作用に帰す。
【0004】
この抗コリン作働活性は、オキシブチニンの臨床的な有用性に寄与するものの、それは、また、不快な薬の副作用体験、例えば、口の渇き、めまい、かすみおよび便秘も招くと概して考えられる。さらに詳しくは、これらの体験は、概して、オキシブチニンの活性な代謝物、例えば、N-デスエチルオキシブチニンの存在および量にも帰す。上記列挙した薬の副作用体験は、現在のオキシブチニン配合物を使用する患者の大半にて観測される。幾つかの場合、これらの副作用体験は、ひどくて、患者が治療の中断を訴えるほどである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述に照らし、上記した薬の副作用体験の発生率および/または重度を最小化する補助となるようなオキシブチニンを投与するための組成物および方法が極めて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、オキシブチニン療法に随伴する薬の副作用体験を最小化する方法であって、オキシブチニン対オキシブチニン代謝物の血漿濃度-時間曲線下の面積(AUC)比が約0.5:1〜約5:1となるように、被験者にオキシブチニンを含む医薬組成物を投与する工程を含む方法を提供する。薬の副作用体験は、オキシブチニンの投与によって生ずるいずれかの副作用体験、例えば、事実上、抗コリン作働性および/または抗ムスカリン様作働性であってもよい。
【0007】
公知のオキシブチニン副作用体験の具体的な例としては、とりわけ、胃腸/尿生殖器体験、神経系体験、心臓血管体験、皮膚体験および眼体験が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0008】
オキシブチニンは、キラルな分子中心を有し、(R)-および(S)-異性体の存在を導く。代謝される時、オキシブチニンは、代謝物、例えば、N-デスエチルオキシブチニンを生じ、これは、また、(R)-および(S)-異性体またはそれらの組み合わせとして存在してもよい。本発明の方法は、特に、オキシブチニンとそのいずれかの対応する代謝物との両方について各異性体を包含する。例えば、1つの態様にて、(R)-オキシブチニン対(S)-オキシブチニンの平均血漿AUC比は、約0.7:1である。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(R)-オキシブチニンの平均AUC比は、約0.4:1〜約1.6:1である。1つの態様にて、この平均AUC比は、約1:1であるのがよい。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-N-デスエチルオキシブチニンの平均AUC比は、約0.5:1〜約1.3:1である。例えば、この平均AUC比は、約0.9:1であるのがよい。もう1つの態様にて、代謝物は、平均ピーク血漿濃度約8ng/ml未満を有するのがよい。
【0009】
被験者にオキシブチニンを投与するための医薬組成物も、また、提供され、オキシブチニン対オキシブチニン代謝物のAUC比約0.5:1〜約5:1を生ずるオキシブチニンを含む。
本発明の方法に関連して有用な供給配合物としては、経口、非経口、経皮、吸入または移植可能な配合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の1つの態様にて、供給配合物は、経皮供給配合物であるのがよい。さらに詳細な態様にて、供給配合物は、咬合されないかまたはフリーの形で皮膚に局所投与されるゲル配合物であるのがよい。
【0010】
本発明の組成物は、薬学的に許容可能な担体;および、個々の投薬配合物の具体的な要求によって支配されるその他の成分を含んでもよい。このような成分は、当業者周知である。例えば、Gennaro,A. Regmington:The Science and Practice of Pharmacy 19thed.(1995)参照。この文献は、その全体を参考とすることによって組み込む。例えば、経皮配合物は、浸透増強剤、抗刺激原、接着調節剤およびそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定するものではない。
【0011】
1つの態様にて、本発明の配合物は、局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物であるのがよい。このようなゲルは、治療学的に有効量のオキシブチニンおよびゲル担体を含み、その配合物は、pH約4〜約11を有し、オキシブチニンは、オキシブチニン遊離塩基、薬学的に許容可能なオキシブチニン塩またはそれらの混合物として存在し、その配合物は、皮膚表面に咬合しない局所施用されるように調製される。もう1つの態様にて、配合物のpHは、約4〜約11であるのがよい。さらなる態様にて、配合物のpHは、約5〜約11であるのがよい。なおさらなる態様にて、配合物のpHは、約6〜約11であるのがよい。さらなる態様にて、配合物のpHは、約4〜約10であるのがよい。もう1つの態様にて、配合物のpHは、約5〜約10であるのがよい。さらなる態様にて、配合物のpHは、約6〜約10であるのがよい。さらに詳細な態様にて、配合物のpHは、約6であるのがよい。本発明のなおもう1つの詳細な態様にて、配合物のpHは、約9である。
【0012】
本発明のもう1つの態様に従えば、局所施用のためのゲル配合物であって、ゲル担体中に治療学的に有効量のオキシブチニンを含み、それが、咬合することなく局所投与される際に、少なくとも約24時間にわたってオキシブチニン皮膚浸透速度少なくとも約10ug/cm2を生ずるのに十分であるゲル配合物が提供される。
【0013】
本発明のさらなる態様にて、局所施用のためのゲル配合物であって、ゲル担体中に治療学的に有効量のオキシブチニンを含み、それが、咬合することなく局所投与される際に、投与開始後少なくとも約3時間内にオキシブチニン血漿濃度少なくとも約0.5ng/mlを達成するのに十分であるゲル配合物が提供される。
【0014】
本発明のもう1つの態様にて、ゲル担体中に治療学的に有効量のオキシブチニンを含み、それが、咬合することなく局所投与される際に、約0.5〜約5倍のオキシブチニン代謝物血漿濃度であるオキシブチニン血漿濃度を達成するのに十分である局所施用のためのゲル配合物が提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様にて、ゲル担体中に治療学的に有効量のオキシブチニンを含み、それが、咬合することなく局所投与される際に、治療学的に有効なオキシブチニン濃度および最大オキシブチニン代謝物血漿濃度約8ngを達成するのに十分である局所施用のためのゲル配合物が提供される。
【0016】
本明細書に挙げた組成物以外に、本発明は、さらに、被験者の神経因子膀胱障害を治療するための方法であって、本明細書に挙げたゲル配合物を被験者の皮膚表面に局所施用することを含む方法を包含する。さらに、本発明は、オキシブチニン療法に随伴する副作用効果を最小化する方法であって、本明細書に挙げたオキシブチニンゲル配合物を被験者の皮膚表面に施用することを含む方法を含む。
【0017】
かくして、本発明を、どちらかといえば広く、概説したゆえに、本発明のさらに重要な特徴は、続くその詳細な説明により、よりよく理解され、当分野におけるその寄与もよりよく理解されうるであろう。本発明のその他の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲の請求項とともに、本発明の以下の詳細な説明により明らかとなるであろうか、または、本発明の実施により、知りうるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、5mgオキシブチニン直-レリース経口投薬配合物に従い測定した合計オキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニン血漿濃度をグラフで示す。
【図2】図2は、最初のオキシブチニン投与から24時間までの時間をスパンさせた本発明に従う経皮投与の際に測定される合計オキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニン血漿濃度をグラフで示す。
【図3】図3は、最初のオキシブチニン投与から96時間、96時間での経皮系除去に続くさらに12時間、時間をスパンさせた本発明に従う経皮投与の際に測定される合計オキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニン血漿濃度をグラフで示す。
【図4】図4は、尿失禁症状の出現数を記録することによって、5mg直-レリースオキシブチニン経口錠剤での処置と比較した、本発明に従うオキシブチニンの経皮投与で過活動膀胱を有する被験者の処置結果をグラフで示す。
【図5】図5は、5mgのオキシブチニン直-レリース経口錠剤での処置と比較した、本発明に従うオキシブチニン経皮投与で過活動膀胱についての処置を受けた被検者によって報告された抗コリン作働性副作用体験をグラフで示す。
【図6】図6は、5mg直-レリース経口錠剤を投与する際のオキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニンの両方の(R)-および(S)-異性体について生ずる血漿濃度をグラフで示す。
【図7】図7は、本発明に従う経皮投与によって達成されるオキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニンの両方についての(R)-および(S)-異性体の血漿濃度をグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
A. 定義
本発明を説明しかつ特許請求するのに、以下の用語は、以降に記載する定義に従い使用する。
【0020】
単数形“a”、“an”および“the”は、コンテキストを明瞭に断らない限り、複数形の指示体も包含する。かくして、“接着剤(an adhesive)”とは、このような接着剤の1つ以上を指すことを含み、“賦形剤(an excipient)”とは、このような賦形剤の1つ以上を指すことを含む。
【0021】
“オキシブチニン”とは、一般構造式:
【0022】
【化1】

を有する化合物をいう。オキシブチニン付加塩、オキシブチニンHClは、Merck Index,entry no.7089,at page 1193,12thed.,(1996)に挙げられ、幾つかのIUPAC名称、例えば、α-シクロヘキシル-ヒドロキシ-ベンゼン酢酸4-(ジエチルアミノ)-2-ブチニルエステル塩酸塩;α-フェニルシクロヘキサングリコール酸4-(ジエチルアミノ)-2-ブチニルエステル塩酸塩;および、4-ジエチルアミノ-2-ブチニルフェニルシクロヘキシルグリコレート塩酸塩によって公知である。本明細書で使用する“オキシブチニン”としては、オキシブチニン遊離塩基、その酸付加塩、例えば、オキシブチニンHCl、それらの類縁体およびそれらの関連化合物、異性体、多形およびプロドラッグが挙げられる。オキシブチニンは、(R)-および(S)-異性体として公知のその異性体形の一方または両方、または、これら2つの異性体の混合物にて存在してもよい。これらの異性体形およびそれらの混合物は、本発明の範囲に入る。注意すべきことは、本出願の幾つかの部分にて、このコンテキストは、オキシブチニンの特異な形、例えば、オキシブチニンクロライドと明瞭に指示しうるが、それでも、単に“オキシブチニン”とのみ称す。
【0023】
“投与(Adminstration)”および“投与すること(administrating)”とは、薬剤が被験者に与えられるやり方を称す。投与は、種々の技術公知ルート、例えば、経口、非経口、経皮、吸入、移植等によって達成することができる。かくして、経口投与は、薬剤を含む経口剤形のえん下、そしゃく(chewing)、吸入(sucking)によって達成することができる。非経口投与は、薬剤組成物を、静脈内、動脈内、筋肉内、くも膜下内または皮下等に注射することによって達成することができる。経皮投与は、経皮製剤の皮膚表面上への塗布、ペースティング、ローリング、付着、注入、プレス、なすりつけ等によって達成することができる。投与のこれらおよびさらなる方法は、当分野周知である。
【0024】
“非経口投与(non-oral administration)”という用語は、薬剤組成物が固形または液体経口剤形で提供されないいずれかの投与方法を表し、このような固形または液体経口剤形は、口および/または口腔を通り越して胃腸管に薬剤を実質的にレリースおよび/または供給することを慣用的に意図する。このような固形剤形としては、慣用的な錠剤、カプセル、カプレット等が挙げられ、これらは、口または口腔内に薬剤を実質的にレリースしない。
【0025】
多くの経口液体剤形、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン等および幾つかの経口固形剤形は、これらの配合物のえん下の間に口または口腔内に幾分かの薬剤をレリースしうるであろうと理解される。しかし、口および口腔を通るそれらの非常に短い一時性ゆえに、これらの配合物からの口または口腔内への薬剤のレリースは、最小かまたは微量であると考えられる。かくして、口内に薬剤をレリースするように設計された口辺パッチ、接着フィルム、舌下錠剤およびロゼンジは、その目的のための非経口組成物である。
【0026】
また、“非経口(non-oral)”という用語は、非経口(parenteral)、経皮、吸入、移植片および膣もしくは直腸配合物および投与を含むと理解される。さらに、移植片配合物は、移植の物理的位置に関わらず、“非経口(non-oral)”という用語に含まれるべきである。特に、胃腸管に移植および保持するように特に設計された移植配合物が公知である。このような移植片は、また、非経口供給配合物であると考えられ、したがって、“非経口(non-oral)”という用語によって包含される。
【0027】
“被験者”という用語は、本発明の薬剤組成物の投与または方法が有益な哺乳動物をいう。被験者の例としては、ヒト;および、その他の動物、例えば、馬、ブタ、牛、犬、猫、ウサギおよび水性哺乳動物が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用する場合、“配合物(formulation)”および“組成物(composition)”という用語は、互換的である。“薬剤(drug)”および“医薬品(pharmaceutical)”という用語も、また、薬理学的に活性な物質または組成物を称するのに互換的に使用される。当分野のこれらの用語は、薬学および医学分野で周知である。
【0029】
“経皮(transdermal)”という用語は、皮膚表面を介して薬剤の移動を促進する投与ルートを称し、経皮組成物は、皮膚表面に投与される。
“皮膚(skin)”または“皮膚表面(skin surface)”という用語は、1つ以上の表皮層を含む被験者の外皮を含むのみならず、薬剤組成物が投与される粘膜表面をも含むことを意味する。粘膜表面の例としては、(鼻腔および肺を含め)呼吸器、口(口および口腔)、膣および直腸の粘膜が挙げられる。したがって、“経皮(transdermal)”という用語は、同様に、“経粘膜(transmucosal)”を包含する。
【0030】
“増強(enhancement)”または“浸透増強(pearmation enhanncement)”という用語は、薬剤が皮膚を介して浸透する速度が増加するような、薬剤に対する皮膚の浸透性が増加することを意味する。かくして、“浸透増強剤(permeation enhancer)”または、単に、“増強剤(enhancer)”とは、このような浸透増強を達成する作用物質または作用物質の混合物を称す。
【0031】
増強剤の“有効量”は、選択される度合いに対して、皮膚を介する薬剤の浸透を増加させるのに有効な量を意味する。浸透増強剤の特性を検定するための方法は、当分野で周知である。例えば、Merritt et al.,Diffusion Apparatus for Skin Penetration,J.of Controlled Release 61(1984)参照。この文献は、その全体を参考とすることによって本明細書に組み込む。“有効量(effective amount)”または“治療学的に有効な量(therapeutically effective amount)”または類似した用語によって、薬剤が有効であることが公知の状態の処置にて治療結果を達成するための薬剤の非毒性であるが十分な量を意味する。有効量の決定は、薬科学および医科学分野の当業者であれば、十分に承知であろう。例えば、Curtis L.Meinert & Susan Tonascia,Clinical Trials:Design,Conduct and Analysis,Monograph in Epidemiology and Biostatics,vol.8(1986)参照。
【0032】
“平均(mean)”、“数学的平均(mathematical mean)”、“平均(average)”または類似の用語は、1つまたは複数の数を列挙して使用する時、(試料の個々の観測または項目の全ての合計)÷(試料中の項目の数)を意味する。
【0033】
“マトリックス”、“マトリックスシステム”または“マトリックスパッチ”という用語により、高分子相に溶解または分散された有効量の薬剤を含む組成物を意味し、これは、また、その他の成分、例えば、浸透増強剤およびその他の任意の成分を含有してもよい。この定義は、このような高分子相が感圧接着剤に積層されるかまたは上に重なる接着剤内で使用される実施態様を含むことを意味する。
【0034】
マトリックスシステムは、また、その遠心面上に付着された不浸透性のフィルム裏装と、経皮施用前には、接着剤の基部面上のレリースライナーとを有する接着剤層も含む。フィルム裏装は、マトリックスパッチの高分子相を保護し、薬剤および/または任意の成分の環境へのレリースを防止する。レリースライナーは、不浸透性の裏装に対して同様に機能するが、上記定義したように、パッチの皮膚への施用前にマトリックスパッチから剥がされる。上記した一般的な特性を有するマトリックスパッチは、経皮供給の分野にて公知である。例えば、U.S.特許Nos.5,985,317;5,783,208;5,626,866;5,227,169参照。これらの特許は、それらの全体を参考とすることによって組み込む。
【0035】
“局所配合物”とは、薬剤が皮膚表面に直接施用されるように置かれ、それより、有効量の薬剤がレリースされる組成物を意味する。このような配合物としては、ゲル、ローション、クリーム;または、皮膚に施用されるその他の配合物を挙げることができる。幾つかの態様にて、このような配合物は、さらなる裏装、構造部材またはデバイスなしに咬合されない形で皮膚に施用することができる。
【0036】
本明細書で使用する場合、“咬合されない(unoccluded)”および“非咬合(non-occluded)”とは、互換的に使用することができ、支持部材あるいは随伴する構造部材を使用することなく、局所配合物を皮膚に施用することをいう。換言すれば、局所配合物は、フリーな形で皮膚に施用され、これで、構造部材、例えば、裏装部材を使用することなく、オキシブチニンの経皮供給を行うのに十分である。
【0037】
本明細書で使用する場合、“ゲル”は、半固体または懸濁液タイプの配合物を生ずるための増粘剤として作用する高分子量を有する化合物を含む組成物を称す。増粘またはゲル化剤は、疎水性であっても親水性であってもよく、概して、事実上、高分子である。親水性ポリマーを混和したゲルは、典型的には、ヒドロゲルとして当分野公知である。ゲルは、種々のさらなる成分、例えば、活性剤、賦形剤、溶剤、乳化剤、キレート剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、浸透増強剤、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、pH調節剤、アジュバント、染料および香料を含んでもよいが、これらに限定するものではない。
【0038】
“薬の副作用体験”は、被験者における薬剤の使用に伴ういずれかの副作用事象をいい、例えば、以下の:専門的な実施における薬剤製品の使用過程にて生ずる副作用事象;事故または意図的な薬剤過剰投与により生ずる副作用事象;薬物乱用により生ずる副作用事象;薬物禁断症状により生ずる副作用事象;および、予想される薬理学的作用のいずれかの不全が挙げられる。薬の副作用体験は、正常な生命機能を営むヒトの能力の実質的な破壊を導きかねない。幾つかの例にて、薬の副作用体験は、重大または致命的であるかもしれない。
【0039】
薬の副作用体験の幾つかは予想されうるものの、幾つかの例にて、このような体験は、予想されえない。“予想されない(Unexpected)”とは、責任ある政府官庁(例えば、米国食品および薬剤管理局)によってカタログ済みではなく、および/または、薬剤製品に現在ラベルされていない薬の副作用体験をいう。
【0040】
予想されない副作用体験は、公知事象に症状的かつ病態生理学的に関連しうる事象を含んでもよいが、重度または特異性が大きいゆえに、公知事象とは異なる。例えば、この定義の下では、肝組織壊死(hepatic necrosis)は、公知事象が肝酵素の上昇または肝炎である場合、(重度が大きいことにより)予想されないだろう。同様に、脳血栓塞栓症および脳脈管炎は、公知事象が脳血管偶発症候である場合、(特異性が大きいことにより)予想されないであろう。薬の副作用体験のさらに包括的な定義および説明については、21 C.F. R.§ 314.80参照。この文献は、その全体を参考とすることによって組み込む。
【0041】
オキシブチニン療法に随伴する副作用体験の大半は、抗コリン作働性および/または抗ムスカリン様作働性としてカテゴリー化することができる。オキシブチニンに随伴するある種の副作用体験は、Physician’s Desk Referenceに、とりわけ、心臓血管体験、胃腸/尿生殖器体験、皮膚体験、神経系体験および眼体験としてカテゴリー化されている。
【0042】
心臓血管副作用体験の例としては、動悸、頻拍、血管拡張およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定するものではない。皮膚副作用体験の例としては、発汗の低下、発疹およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定するものではない。胃腸/尿生殖器副作用体験の例としては、便秘、胃腸運動の低下、口の渇き、悪心、排尿躊躇および停留、および、それらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定するものではない。神経系副作用体験の例としては、無力症、めまい、嗜眠状態、幻覚、不眠、不穏およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定するものではない。眼の副作用体験の例としては、弱視、毛様体筋麻痺、涙液分泌の低下、瞳孔散大およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定するものではない。その他の副作用体験の例としては、不能症および乳汁分泌の抑制が挙げられるが、これらに限定するものではない。副作用体験のさらに包括的な列挙は、所轄官庁によって与えられるようなオキシブチニン配合物のラベルにて見ることができる。
【0043】
“最小化する(minimize)”という用語およびその文法的な等価体は、所定の被験者または被験者個体群における1つ以上の薬の副作用体験の頻度および/または重度の低下を称する。被験者個体群は、薬剤および/またはその副作用体験に暴露されうる総個体群よりもサイズにてはるかに小さい必要性を有しうることが理解されるであろう。
【0044】
薬の副作用体験の頻度および/または重度における低下を決定するための方法により得られる結果は、変数、例えば、被験者内および被験者間の因子に従いうることも理解されるであろう。しかし、ある種の科学的に許容される方法を使用して研究を行い、このような研究による結果が統計学的に信頼しうることもまた理解されるであろう。このような方法およびこのような方法による結果の解釈は、当分野で周知である。例えば、Robert R,Sokal & F.James Rohlf,Biometry:The Principles and Practice of Statistics in Biological Research,2nd ed.(1969)参照。この刊行物は、その全体を参考とすることによって本明細書に組み込む。
【0045】
“曲線下の面積(area under the curve)”、“血漿濃度-時間曲線下の面積”または類似用語は、医薬分野で周知である。これらの値は、所定の薬剤またはその代謝物の血漿濃度からのデータを時間の関数としてグラフにプロットすることによって計算され、X-軸は、概して、時間を表し、Y-軸は、概して、血漿濃度を表す。種々のデータ点を結合することにより形成される線下の面積は、ついで、積分され、数値化される。例えば、Milo Gibaldi & Donald Perrier,PharmacoKinetics,2nded.(1982)参照。測定される物質のクリアランスまたは総クリアランス(CL)倍したAUCは、かくして、測定される物質(薬剤または1つ以上のその代謝物)の合計量または用量の推定値を提供する。血漿濃度、AUCおよびCLは、種々の配合物および/または組成物にて、医学的作用因子、例えば、オキシブチニンの投与の間に、個々の被験者に存在する生理学的および/または環境的因子により、被験者間および被験者内の変位に従わせうる。したがって、個々の値および平均値は、可変性であるかもしれないものの、概括的な傾向および相関は、保たれ、かつ、再現可能である。
【0046】
濃度、量、溶解度およびその他の数値データは、本明細書にて、範囲形式で表すことができる。このような範囲形式は、単に便宜上かつ簡潔なために使用するものであり、範囲の限界として明示した数値のみを含むのではなく、各数値および亜範囲が明示されている場合のようなその範囲内の包含される個々の数値または亜範囲の全てを含むものと柔軟に解釈する必要がある。
【0047】
例えば、濃度範囲0.1〜5ng/mlは、明示された濃度限界0.1ng/mlおよび5ng/mlのみを含むのではなく、また、個々の濃度、例えば、0.2ng/ml、0.7ng/ml、1.0ng/ml、2.2ng/ml、3.6ng/ml、4.2ng/ml;および、亜範囲、例えば、0.3〜2.5ng/ml、1.8〜3.2ng/ml、2.6〜4.9ng/ml等をも含むと解釈する必要がある。この解釈は、記載する範囲または特性の幅にかかわらず、適用するものとする。
【0048】
B. 本発明
上記したように、本発明は、オキシブチニンを投与するための組成物および方法を提供する。これら組成物および方法は、オキシブチニン投与に随伴する副作用体験の発生率および/または重度を最小化したことを示すものの、治療学的利点を与えるのに十分なオキシブチニンを提供する。いずれかの特定の理論に結び付けようとする意図はないが、副作用体験の最小化は、慣用的な経口投与と比較する時、一部、本組成物および方法によるオキシブチニン代謝物、例えば、N-デスエチルオキシブチニンの血漿濃度の低下によると考えられる。“慣用的経口投与”という語句は、上記した経口配合物を含むことを意味し、例えば、オキシブチニンを含む直-レリースまたは持続性-レリース経口錠剤が挙げられる。1つのこのような慣用的な経口配合物は、5mg直レリース経口錠剤として入手可能である。
【0049】
1) 総薬剤および代謝物血漿濃度に関連する薬物速度論的態様
所望される薬物速度論的特性、例えば、オキシブチニン代謝物の血漿濃度低下は、とりわけ、1) 投与されるオキシブチニンの量の減少;2) オキシブチニンが体による代謝に利用可能となる速度の低下;および/または、3) オキシブチニンのファースト-パス(first-pass)肝および/または腸代謝の回避または最小化によって達成することができる。非経口投与ルートを使用するのがこれらの目的の1つ以上を達成する1つの方法である。あるいは、経口剤形は、本明細書に記載する血漿濃度およびその他の薬物速度論的データを達成するために、非経口投与をまねるように設計することができる。
【0050】
本発明の1つの実施態様を立証するために、臨床研究を行った。16人の健康なボランティアにおける交差臨床研究を行い、オキシブチニンの血漿濃度および薬物速度論と、その代謝物、N-デスエチルオキシブチニンおよびそれらのそれぞれの(R)-および(S)-エナンチオマー成分の血漿濃度および薬物速度論とを比較した。
【0051】
オキシブチニンの慣用的な経口剤形、例えば、本研究にて使用される5mgオキシブチニン錠剤は、親薬剤(parent drug)と比較して、オキシブチニン代謝物、例えば、N-デスエチルオキシブチニンの有意に高い血漿濃度を生ずる(図1参照)。代謝物対オキシブチニン濃度の平均AUC比は、大半の場合、約10:1であり、おおむね、約5:1より大である。
【0052】
対照的に、オキシブチニンを非経口の遅延性レリース組成物、例えば、本発明の経皮組成物実施態様で投与する時、代謝物(N-デスエチルオキシブチニン)対オキシブチニンの平均AUC比は、はるかに低い。概して、オキシブチニン代謝物(N-デスエチルオキシブチニン)対オキシブチニンの平均AUC比は、約2:1未満である。さらに、大半の例にて、その比は、約1.2:1未満であり、その比は、ほぼ0.9:1であることが多い(図3参照)。
【0053】
また、平均N-デスエチルオキシブチニン血漿濃度は、概して、約8ng/ml未満であり、大半の例にて、約5ng/ml未満である。平均は、約3ng/ml未満であることが多い。
【0054】
2) 異性体の薬物速度論的態様
本発明者らは、上記した態様をさらに探求し、本配合物および方法が、ある種のオキシブチニン代謝物の個々の異性体の有意に低いレベルを生じ、代謝物異性体のこれら低いレベルが、上記した薬の副作用体験を最小化するのに相関することを発見した。
【0055】
オキシブチニンが(R)-異性体もしくは(S)-異性体またはそれらの組み合わせとして存在することは、一般的に公知である。とりわけ、(R)-オキシブチニンは、単離した組織を使用する動物薬理学的研究によって示されるように、この2つの異性体のうちでより活性であると考えられていた。例えば、Kachur JF,Peterson JS,Carter JP,et al.J.Pharm.Exper.Ther.1988;247:867-872参照。また、Noronha-Blob L,Kachur JF.J.Pharm.Exper.Ther.1990;256:56-567もまた参照。このように、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、代謝物の合計量のうちさらに活性な成分であるので、より不活性な(S)-N-デスエチルオキシブチニンよりも薬の副作用体験、例えば、抗コリン作働性副作用に対してさらに有意に寄与しうる。例えば、U.S.特許No.:5,677,346参照。この特許は、その全体を参考とすることによって組み込む。
【0056】
したがって、上記した臨床研究の間に、(R)-および(S)-オキシブチニンの両方、および、その代謝物、N-デスエチルオキシブチニンの一方の対応する異性体について、血漿濃度を測定した。実施した試験により、本発明は、慣用的な経口剤形および投与方法と比較して、有意に低い(R)-N-デスエチルオキシブチニン血漿濃度を生ずることが明らかとなった。
【0057】
図6は、慣用的なオキシブチニンである5mgオキシブチニン経口錠剤による血漿濃度プロフィールを示す。見られるように、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、最大濃度で存在し、(R)-および(S)-オキシブチニンの両方の濃度の数倍である。(R)-N-デスエチルオキシブチニンおよび(R)-オキシブチニンは、2つの最も活性な異性体であり、それらの平均AUC比は、経口投与に従い、約17:1である。また、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-N-デスエチルオキシブチニンの平均AUC比は、約1.5:1であり、(R)-オキシブチニン対(S)-オキシブチニンの平均AUC比は、約0.6:1である。これらのAUC比は、経口投与されるオキシブチニンがラセミオキシブチニンの大量な合計投与で示される比較的低い量の治療学的に活性な(R)-オキシブチニンを生ずることを一致して示す。さらに、経口投与は、比較的大量の(R)-N-デスエチルオキシブチニンを生じ、その部分が幾つかまたは多くの薬の副作用体験を生ずる原因である傾向が最も大きい。
【0058】
対照的に、図7は、非経口的に供給されるオキシブチニンによる臨床研究の間に達成された本発明の(R)-および(S)-異性体の血漿プロフィールを示す。(R)-オキシブチニン対(S)-オキシブチニンの平均AUC比は、約0.7:1であり、(R)-オキシブチニンの持続する血漿濃度は、経口投与に従い達成されるピーク濃度と同等である。治療学的に活性な(R)-オキシブチニン部分に対するこの匹敵しうる暴露は、本発明と一致する。
【0059】
かくして、経皮投与では、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(R)-オキシブチニンの平均AUC比は低く、オキシブチニンの活性な代謝物の量が非常に減少するものの、治療学的に有効な量のオキシブチニンを生ずることが発見された。
【0060】
図4、5および7を比較することにより、本組成物および方法が代謝物、例えば、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対オキシブチニンの血漿濃度の最適比を生ずるので、これら方法および組成物が、オキシブチニン療法の利点を生ずるのに治療学的に十分な濃度の(R)-オキシブチニンを維持しつつ、慣用的な経口投与と比較して、オキシブチニン投与に随伴する副作用体験を最小化することが明らかとなる。上記示したように、これら組成物および方法は、オキシブチニン療法にて有意な進歩性を提供する。
【0061】
3) 治療学的態様
過活動膀胱を有する72人のヒト被験者(患者)を使用し、非経口投与されるオキシブチニンに随伴する薬の副作用体験の発生率および重度の効能および最小化についての臨床的研究を行った。ほぼ半分の患者に、オキシブチニン塩酸塩を経口投与配合物にて投与した。残りの患者に、非経口供給ルート、例えば、約6週間かけての経皮接着マトリックスパッチを使用し、オキシブチニンを投与した。結果は、図4および5にグラフで示す。
【0062】
本発明の非経口持続性レリース組成物を、その治療効能について、慣用的なオキシブチニンの5mg経口錠剤と比較した。複数日の患者の尿日誌から誘導される1日当りに体験する失禁症状の出現の平均数を所望される治療効能インジケータとして使用した。データは、本発明の非経口法によって処置した個体についての失禁症状の出現の数が経口配合物で処置した個体の数とほぼ同等であることを示す(図4参照)。
【0063】
次に、本発明の非経口持続性レリース配合物を、薬の副作用体験の発生率および重度について、慣用的な直レリース経口錠剤と比較した。口の渇きの副作用体験をこの実験のインジケータとして選択した。見られるように、慣用的な経口オキシブチニン錠剤を受容した参加者の6%だけが口の渇きの副作用がないと報告した。逆に言えば、これら参加者の94%が幾分かの口の渇きを体験すると報告した。
【0064】
対照的に、本発明の経皮接着マトリックスパッチで処置された参加者の62%が口の渇きの副作用がないと報告した。したがって、これら参加者の38%のみが幾分かの口の渇きを体験すると報告し、口の渇きを不耐性と評価するものはない。
【0065】
これらのデータは、オキシブチニン代謝物対オキシブチニンのAUCの最適比が生ずるように、オキシブチニンを投与することによるオキシブチニンの治療学的効能を十分に保持しつつ、オキシブチニン投与に随伴する副作用体験が有意に最小化されうることを示す。
【0066】
4) 本発明の薬物速度論的態様のまとめ
上記した薬物速度論的データから、本発明の以下の態様が提供されうる。1つの態様にて、オキシブチニン代謝物の平均ピーク血漿濃度は、約8ng/ml未満である。もう1つの態様にて、代謝物の平均ピーク血漿濃度は、約0.5ng/ml〜約8ng/mlであり;なおもう1つの態様にて、その濃度は、約5ng/ml未満であり;なおもう1つの態様にて、その濃度は、約1.0ng/ml〜約3ng/mlである。幾つかの態様にて、オキシブチニンの代謝物は、N-デスエチルオキシブチニンである。
【0067】
幾つかの態様にて、平均オキシブチニン代謝物AUCは、約2:1の比より大きいことによりオキシブチニンAUCを上回らない量に減少する。幾つかの態様にて、平均オキシブチニン代謝物AUCは、約0.9:1ng/ml未満に減少する。
【0068】
幾つかの態様にて、本発明は、オキシブチニン対オキシブチニン代謝物の平均AUC比が約0.5:1〜約5:1となるようなオキシブチニンを被験者に投与するための組成物および方法を提供する。幾つかの態様にて、その比は、約0.5:1〜約4:1であり;幾つかのその他の態様にて、その比は、約1:1〜5:1であり;なおその他の態様にて、その比は、約0.8:1〜約2.5:1であり;なお幾つかのその他の態様にて、その比は、約0.8:1〜約1.5:1である。上記態様の全てにおいて、代謝物は、N-デスエチルオキシブチニンであるのがよい。
【0069】
本発明の方法を特徴づけるもう1つのやり方は、処置開始に続くある時間間隔でオキシブチニンおよび代謝物濃度について個々の血漿濃度を特定することによる。したがって、1つの態様にて、オキシブチニン血漿濃度は、オキシブチニン処置開始後約6時間で約2.0ng/mlより下である。もう1つの態様にて、代謝物血漿濃度は、処置開始後約6時間でやはり、約2.0ng/mlより下である。
【0070】
なおもう1つの態様にて、オキシブチニンおよびその代謝物血漿濃度は、最初のオキシブチニン投与後約24時間で約8ng/mlより下である。さらに、平均定常状態オキシブチニンおよびその代謝物血漿濃度は、オキシブチニン処置の間、約8ng/mlより下である。
【0071】
1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンについての平均ピークおよび平均AUCは、(S)-N-デスエチルオキシブチニンについての平均ピークおよび平均AUC以下である。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-N-デスエチルオキシブチニンの平均AUC比は、約0.9:1である。なおもう1つの態様にて、(R)-オキシブチニンについての平均ピークおよび平均AUCは、(R)-N-デスエチルオキシブチニンにほぼ等しい。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-N-デスエチルオキシブチニンの比は、約1:1である。
【0072】
さらなる態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、平均ピーク血漿濃度約4ng/ml未満を有する。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、平均ピーク血漿濃度約0.25〜約4nm/mlを有し、約1.5ng/mlを有する。
【0073】
1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、平均AUC約100ng x hr/mlを有する。もう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンは、平均AUC約30ng x hr/ml〜約170ng x hr/mlを有する。
【0074】
なおもう1つの態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンの血漿濃度は、オキシブチニン投与開始後約6時間で約1ng/mlより下である。さらなる態様にて、(R)-N-デスエチルオキシブチニンの血漿濃度は、オキシブチニン投与開始後約24時間で約2ng/mlより下である。
【0075】
治療学的オキシブチニン血漿濃度は、失禁の重度に基づき変動する。概して、治療学的結果は、0.5ng/mlほどの低いオキシブチニン血漿濃度から得ることができる。治療学的血液レベルは、治療開始後3時間ほどの短さで本発明の方法を使用して達成することができ、約24時間で、ピークオキシブチニン血漿濃度に到達する。しかし、所望される血漿レベルを達成させるやり方について、これらの一般的なパラメータは制限とならない。種々のパラメータを生ずる配合物を使用することによって、所望される血漿濃度を達成するために、種々の供給方法、速度および量を使用することができる。
【0076】
5) 組成物の態様
いずれの薬学的に許容可能な組成物およびこのような組成物を投与するための方法も、本発明の所望される態様を達成するために使用することができる。例えば、経口および非経口組成物ならびに投与方法を使用することができる。非経口組成物および投与方法としては、腸管外(parenteral)、移植、吸入および経皮組成物ならびに方法が挙げられる。
【0077】
経口組成物および投与は、上記したそれらの薬物速度論的特性に関して本明細書に具体的に開示する非経口組成物および投与をまねるように設計された遅延性レリース組成物を含みうる。当業者であれば、このような遅延性レリース経口配合物の配合および投与方法を容易に理解しうるであろう。これら配合物は、錠剤、カプセル、カプレット、ペレット、封入されたペレット等;または、液体配合物、例えば、溶液または懸濁液の形をとることができる。例えば、U.S.特許No.5,840,754およびWO99/48494参照。これらの特許は、それらの全体を参考とすることによって組み込む。
【0078】
非経口組成物および投与としては、静脈内、動脈内、筋肉内、くも膜下、皮下等を挙げることができる。これらの組成物は、オキシブチニンの遅延性レリースを生ずるように調製および投与され、上記した薬物速度論的プロフィールおよび治療学的利点を達成する。非経口使用のためのデポー配合物を調製する1つの具体的な例を本明細書に示す。ミクロスフェアを含む非経口使用のための薬剤の持続性供給を準備するための一般的な方法は、当分野公知である。例えば、U.S.特許Nos.,:75,987;5,759,583;5,028,430;4,959,217および4,652,441参照。これらの特許は、それらの全体を参考とすることによって組み
込む。
【0079】
移植は、長期間にわたって薬剤の制御されたレリースを生ずることが十分に確立されている技術である。数腫の皮下移植可能なデバイスが当分野にて開示されている。例えば、U.S.特許Nos.5,985,305;5,972,369;および、5,922,342参照。これらの特許は、それらの全体を参考とすることによって組み込む。これらの一般的な技術を使用することにより、当業者であれば、本発明の薬物速度論および治療学的利点を達成するために、移植可能なオキシブチニン組成物を調製し、投与することができるであろう。
【0080】
オキシブチニン経皮投与配合物の例としては、1) 局所配合物、例えば、軟膏、ローション、ゲル、ペースト、ムース、エアロゾルおよび皮膚クリーム;2) 経皮パッチ、例えば、接着マトリックスパッチおよび液体溜め系が挙げられるが、これらに限定するものではない。その他の非経口例としては、経粘膜錠剤、例えば、頬または舌下錠剤またはロゼンジ;および、坐剤が挙げられる。
【0081】
オキシブチニンの所望される量以外に、経皮オキシブチニン配合物は、また、オキシブチニンに対する皮膚の浸透性を増加させるために、浸透増強剤または浸透増強剤の混合物を含んでもよい。浸透増強剤の指標は、“Pharmaceutical Technology”(June 1998)にて刊行されたDavid W.Osborne and Jiill J.HenkeによるSkin Penetration Enhancers Cited in the Technical Literature,と題する出版物に開示されており、これは、また、pharmtech.com/technical/Osborne.htmとして公知の世界中のweb addressにて見られ、これは、参考とすることによって本明細書に組み込む。
【0082】
さらに詳しくは、オキシブチニンの供給を増加させることが公知の浸透増強剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、乳酸またはグリコール酸の脂肪酸エステル、グルセロールトリ-、ジ-およびモノエステル、トリアセチン、短鎖アルコールおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。特異な種または種の組み合わせは、当業者であれば、使用する個々のオキシブチニン組成物の増強を最適化するために、上記列挙した化合物類から選択することができうる。
【0083】
本発明の経皮配合物は、咬合しない局所配合物、例えば、ゲル;軟膏、例えば、ローション、クリームまたはペースト;または、咬合デバイス、例えば、経皮パッチの形をとることができる。本発明に従う経皮パッチは、接着マトリックスパッチ、液体溜め系タイプのパッチ、舌下錠等のいずれかであってもよい。任意の成分、例えば、接着剤、賦形剤、裏装フィルム等および各々の要求される量は、所望されるパッチのタイプに大きく依存して変動するであろうし、当業者であれば、必要に応じて決定しうるであろう。上記特性を有する経皮配合物を調製し、投与するための方法は、当分野で公知である。例えば、U.S.特許Nos. :5,762,953および5,152,997を参照。これら特許は、それらの全体を参考とすることによって組み込む。
【0084】
本発明の1つの態様にて、遊離形のオキシブチニン軟膏は、本明細書での考察に従い局所投与のために調製される。軟膏は、周知の物質、例えば、油性の基材、ラノリン、エマルジョンまたは水溶性の基材に基づく半固体の医薬製剤である。軟膏の調製は、例えば、Remington,supra,vol. 2,pp.1585-1595に記載されているように当分野周知である。このような製剤は、活性剤とともに、ワセリンまたは酸化亜鉛を含有することが多い。本発明にて使用するのに適した油性軟膏基材としては、概して、植物油、動物脂肪および石油から得られる半固体の炭化水素が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の吸収性の軟膏基材は、水をほとんどまたは全く含有しないのがよく、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリンおよび親水性ワセリンのような成分が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明のエマルジョン軟膏基材は、油中水(W/O)形のエマルジョンかまたは水中油(O/W)形のエマルジョンのいずれかであり、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン、ポリアルキルシロキサンおよびステアリン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明にて使用するのに適した水溶性軟膏基材は、種々の分子量のポリエチレングリコールから調製するのがよい。
【0085】
さらなる態様にて、本発明の軟膏は、さらなる成分、例えば、さらなる活性剤、賦形剤、溶剤、乳化剤、キレート剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、浸透増強剤、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、pH調節剤、アジュバント、染料および香料を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。このようなさらなる成分の具体的な選択および組成は、当業者であれば、本発明の原理に従いなすことができるであろう。
【0086】
本発明のもう1つの態様にて、遊離形のオキシブチニンクリームは、本発明の原理に従い調製することができる。クリームは、当分野で周知のように、水中油形または油中水形のいずれかの粘性の液体または半固体のエマルジョンである軟膏タイプである。クリーム基材は、水溶性であり、油相、乳化剤、水溶液相および活性剤を含有するのがよい。本発明の詳細な態様にて、油相は、ワセリンおよび脂肪アルコール、例えば、セチルまたはステアリルアルコールによって構成することができる。本発明のもう1つの詳細な態様にて、水相は、体積にて油相を上回ってもよく、湿潤剤を含有してもよい。本発明のもう1つ
の詳細な態様にて、クリーム配合物中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤であってもよい。
【0087】
本発明のさらに詳細な態様にて、遊離形のオキシブチニンクリームは、水中油形のエマルジョンである。オキシブチニンクリームの水相は、約20〜約60% w/wの水、約1〜約15% w/wの少なくとも1つの乳化剤、約50% w/wまでの油相および約1% w/wまでの防腐剤、例えば、パラベンを含有するのがよい。遊離形オキシブチニンクリームの油相は、約40% w/wまでの溶剤、約15% w/wまでの少なくとも1つの乳化剤、約40% w/wまでの油相および約1% w/wまでの防腐剤、例えば、パラベンを含有するのがよい。
【0088】
本発明のもう1つの態様にて、遊離形のオキシブチニンローションは、本発明の原理に従い調製することができる。ローションは、活性剤を含め固体粒子が水またはアルコール基材中に存在する液体または半固体の製剤であってもよい軟膏である。本発明にて使用するのに適したローションは、固体の懸濁液であってもよいかまたは水中油形のエマルジョンであってもよい。本発明のもう1つの態様にて、ローションは、また、分散を改善する懸濁剤または活性剤の皮膚との接触を改善するその他の化合物、例えば、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは類似の化合物を含有してもよい。
【0089】
さらなる態様にて、本発明のオキシブチニンローションは、さらなる成分、例えば、さらなる活性剤、賦形剤、溶剤、乳化剤、キレート剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、浸透増強剤、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、pH調節剤、アジュバント、染料および香料を含んでもよく、これら以外を含んでもよい。このようなさらなる成分の個々の選択および組成物は、当業者であれば、本発明の原理に従いなすことができ、本発明のその他の局所配合物について選択されるであろう成分と異なってもよい。
【0090】
本発明のもう1つのさらに詳細な態様にて、遊離形のオキシブチニンローションは、水および油相のエマルジョンであってもよい。オキシブチニンローションの水相は、約20% w/w〜約90% w/wの賦形剤、例えば、水;約5% w/wまでの界面活性剤;約5% w/wまでの塩化ナトリウム等;および、約1% w/wまでの防腐剤、例えば、パラベンを含有するのがよい。オキシブチニンローションの油相は、約40% w/wまでの少なくとも1つの溶剤、例えば、グリセリンおよびセチルアルコール;約10% w/wまでの吸収基材、例えば、ワセリン;約5% w/wまでの抗酸化剤、例えば、イソプロピルパルミテート;約5% w/wまでの油相、例えば、ジメチコン;および、約1% w/wまでの防腐剤、例えば、パラベンを含有するのがよい。
【0091】
本発明のなおもう1つの態様にて、遊離形のオキシブチニンペーストは、本発明に従い調製することができる。本発明のペーストは、活性剤が適当な基材に懸濁した半固体の配合物を形成する有意な量の固体が存在する軟膏である。本発明の詳細な態様にて、ペーストは、脂肪ペーストを生ずる基材から形成されるかまたは単一相水性ゲルからなる。本発明にて使用するのに適した脂肪ペーストは、基材、例えば、ワセリン、親水性ワセリン等から形成される。本発明にて使用するのに適した単一相水性ゲルからなるペーストは、基材として、セルロース基体のポリマー、例えば、カルボキシメチルセルロース等を混和することができる。
【0092】
さらなる態様にて、本発明のオキシブチニンペーストは、さらなる成分、例えば、さらなる活性剤、賦形剤、溶剤、乳化剤、キレート剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、浸透増強剤、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、pH調節剤、アジュバント、染料および香料を含んでもよく、これら以外を含んでもよい。
【0093】
本発明のもう1つの態様にて、遊離形のオキシブチニンゲルを調製することができる。本発明に従い調製されるオキシブチニンゲルは、粘性の製品を生ずるために、分散相が連続相と合わされたコロイド製剤であるのがよい。ゲル化剤は、間隙に溶剤を保持する超顕微鏡的な結晶質粒子群を形成することができる。当業者であれば理解されるであろうように、ゲルは、半固体懸濁液タイプの系である。単一相ゲルは、担体液体全体に実質的に均一に分布する有機巨大分子を含有することができ、水性または非水性であってもよく、アルコールまたは油を含有することができる。
【0094】
もう1つの態様にて、本発明の経皮配合物は、皮膚に咬合することなく投与するためのオキシブチニンを含有する局所ゲルであってもよい。種々の特異なゲルビヒクルが、当業者公知である。特異なゲルタイプ、それらの製造および使用の例は、例えば、U.S.特許Nos.2,909,462;4,340,706;4,652,441;5,516,808;5,643,584;5,840,338;5,912,009;および、6,258,830にて見ることができ、これら特許の各々は、それらの全体を参考とすることによって本明細書に組み込む。
【0095】
しかし、幾つかの態様にて、ゲル配合物は、ゲル化剤を、通常、粉末形態で用意し、賦形剤、例えば、親水性ゲル化剤の場合、水を、疎水性ゲル化剤の場合、鉱油を加えることによって調製することができる。ついで、ゲルは、膨潤させ、任意に中和することができる。別個の容器にて、オキシブチニンは、適当な溶剤に溶解させることができる。溶解させたオキシブチニンとゲルとは、ついで、混合して、最終的なゲル配合物を形成することができる。薬剤含有ゲルを製造するその他の方法は、当業者であれば、承知できるであろう。
【0096】
溜めデバイスにて使用されるゲルは、同様の成分を有することができるが、遊離形のゲルを設計するには、さらなる考察が重要であるかもしれない。例えば、遊離形のゲルは、多数の利点、例えば、投与の容易性、患者のコンプライアンスの増加、投薬量の簡単な調節、製造コストの低下および皮膚刺激の軽減を示す。さらに、オキシブチニンの投与を行うのに有用なある種の賦形剤は、効能因子、例えば、皮膚刺激等により、咬合したゲル、例えば、LRSパッチにて可能なよりも、遊離形のゲルにより大量に含ませることができる。
【0097】
本発明のさらに詳細な態様に従えば、遊離形のゲルは、多様なさらなる成分、例えば、さらなる活性剤、賦形剤、溶剤、乳化剤、キレート剤、界面活性剤、皮膚軟化剤、浸透増強剤、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、pH調節剤、アジュバント、染料および香料を含んでもよく、これら以外を含んでもよい。さらなる成分は、ゲルとの組み合わせ前または後のいずれかに溶解させたオキシブチニンに加えるのがよい。さらに、均一なゲルを調製するために、分散剤、例えば、アルコールまたはグリセリンを加えるか、または、すりつぶし、機械的混合もしくは攪拌またはそれらの組み合わせによって、ゲル化剤を分散させることができる。しかし、当業者であれば、本発明の教示に矛盾することなく、オキシブチニンおよびその他の成分をゲルに混和させるその他の方法および手段を使用することができることが理解されるであろう。
【0098】
本発明に従えば、遊離形のゲルは、水性基材であっても非水性基材であってもよい。いずれの場合にても、配合物は、本明細書に挙げるレリース速度および血漿濃度に従いオキシブチニンを供給するように設計する必要がある。本発明の1つの態様にて、水性ゲルは、水または水/エタノールと約1〜5重量%のゲル化剤を含むのがよい。本発明のもう1つの態様にて、非水性ゲルは、シリコーン流体、例えば、コロイド状の二酸化ケイ素;または、鉱油によって構成することができる。個々のゲルの適合性は、その成分のオキシブチニンと、使用される場合、浸透増強剤との両方;および、配合物中のいずれかのその他の成分との相容性に依存する。
【0099】
本発明に従えば、遊離形のゲルにて使用されるオキシブチニンは、オキシブチニン遊離塩基;その酸付加塩、例えば、オキシブチニンHCl;それらの類縁体および関連化合物;異性体;多形;プロドラッグ;光学的に純粋な(R)または(S)異性体;ラセミ混合物;および、それらの組み合わせとして提供することができる。オキシブチニンは、超微粉またはその他の粉末形にて提供することができる。本発明の1つの態様にて、オキシブチニンは、約0.1重量%〜約10重量%の遊離形で存在する。本発明の1つの態様に従えば、オキシブチニンは、約5〜約20mg/グラム存在するのがよい。
【0100】
本発明に従えば、ゲル化剤は、半固体または懸濁液タイプの配合物を生ずるために、増粘剤として作用する高分子量の化合物であるのがよい。上記したように、ゲル化剤は、疎水性または親水性であってもよく、概して、ポリマーであるのがよい。親水性ポリマーを均質混合するゲルは、当業者であれば理解されようが、ヒドロゲルと称される。
【0101】
本発明にて使用するのに適したゲル化剤の例としては、合成ポリマー、例えば、ポリアクリル酸またはポリ(1-カルボキシエチレン);(ポリアルキル)スクロースまたはペンタエリスリトールのアリールエーテルと架橋されたアクリル酸から製造されるカルボキシポリメチレン(例えば、CARBOPOL940/941/980/981/1342/1382およびカルバマーポリマー(carbamer polymers)、例えば、カルボマー(carbomer)934P/974P);ナトリウムアクリレートポリマー(例えば、AQUAKEEP J-550/J-400);その他のポリカルボン酸;アルキルアクリレートポリマー(例えば、PEMULEN);および、それらの混合物またはコポリマーが挙げられる
が、これらに限定するものではない。本発明のもう1つの態様にて、ゲル化剤は、CARBOPOLである。本発明の1つのさらに詳細な態様にて、ゲル化剤は、アルキルアクリレートポリマーである。本発明のなおもう1つの態様にて、ゲル化剤は、CARBOPOLとアルキルアクリレートポリマーとの混合物である。
【0102】
本発明のもう1つの態様にて、適したゲル化剤としては、ビニルポリマー、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルスルホネートおよびそれらの混合物またはコポリマーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0103】
本発明のさらなる態様にて、適したゲル化剤としては、ポリマー、例えば、ポリエチレン化合物(例えば、ポリエチレングリコール等)、ポリサッカライド(例えば、ポリスクロース、ポリグルコース、ポリラクトース等)およびその塩;アクリル酸エステル;アルコキシブチニンポリマー(例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、例えば、BASF,Parsippany,NJのPLURONIC系統);ポリエチレンオキシドポリマー;ポリエーテル;ゼラチンスクシネート;コロイド状マグネシウムアルミニウムシリケート(もう1つのゲル化剤との関連にてゲル安定化剤として有用でありうる);石油ゼリー;およびそれらのコポリマーの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0104】
適したゲル化剤としては、また、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KLUCEL)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、KLUCEL HF、METHOCEL)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、ヒドロキシプロピルペンチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(NATROSOL)、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびセルロースアセテートが挙げられる。本発明の1つのさらに詳細な態様にて、ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。本発明のさらに詳細な態様にて、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明のなおもう1つの態様にて、ゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロースとアルキルアクリレートポリマーとの混合物である。本発明のさらなる態様にて、ゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロースとCARBOPOLとの混合物である。
【0105】
本発明のなおもう1つのさらに詳細な態様にて、適したゲル化剤は、天然ゲル化剤であってもよく、例えば、デキストラン、グアーガム、トラガカンス、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アカシアガム、アイルランドコケ、カラヤガム、グアヤクガム、イナゴマメガム等が挙げられるものの、天然高分子量化合物としては、とりわけ、種々の蛋白質、例えば、カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、グロブリン、フィブリン等;および、種々の炭水化物、例えば、セルロース、デキストリン、ペクチン、澱粉、寒天、マンナン等が挙げられる。これらの物質は、また、化学的に修飾されていてもよく、例えば、エステル化またはエーテル化された形、加水分解された形(例えば、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸ナトリウム等)またはそれらの塩であってもよい。
【0106】
本発明のゲルにて使用されるゲル化剤の量は、達成される個々の結果に依存して変化させることができる。しかし、1つの態様にて、ゲル化剤の量は、ゲル配合物の約0.05〜約10重量%であるのがよい。さらに詳細な態様にて、ゲル化剤の量は、溶解させたオキシブチニンおよびいずれかの随伴成分の導入前のゲル配合物の0.1〜5重量%であるのがよい。なおさらに詳細な態様にて、遊離形のゲルは、ゲル配合物にて約0.1〜約3重量%のゲル化剤を含有するのがよい。
【0107】
本発明のもう1つの態様にて、溶剤または可溶化剤も、また、遊離形のゲルにて使用することができる。このような溶剤は、薬剤が選択したゲル化剤に溶解性でない時に、必要であるかもしれない。本発明にて使用するのに適した溶剤としては、低級アルコール、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、プロパノール、メタノール、その他のC4-C10モノアルコールおよびそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定するものではない。もう1つの態様にて、本発明にて使用するのに適した溶剤としては、アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミンナトリウムテトラアセテート、デキストリン、DMSO、ジメチルホルムアミド、2-ピロリドンン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドン、N-メチルピロリドン、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンおよびその他のN-置換されたアルキルアザシクロアルキル-2-オン(アゾン)、ナトリウムヒドロサルファイトおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0108】
1つの態様にて、エタノールは、配合物の約60%〜約85% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、エタノールは、配合物の約65%〜約80% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、エタノールは、配合物の約70%〜約85% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、エタノールは、配合物の約70%〜約75% w/w存在するのがよい。
【0109】
1つの態様にて、水は、配合物の約1%〜約30% w./w存在するのがよい。もう1つの態様にて、水は、配合物の約5%〜約30% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、水は、配合物の約5%〜約20%w/w存在するのがよい。なおもう1つの態様にて、水は、配合物の約10%〜約30% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、水は、配合物の約10〜約25% w/w存在するのがよい。なおもう1つの態様にて、水は、配合物の約10% 〜約20% w/w存在するのがよい。なおもう1つの態様にて、水は、配合物の約15%〜約25% w/w存在するのがよい。もう1つの態様にて、水は、配合物の約20%〜約25% w/w存在するのがよい。
【0110】
当業者であれば、選択される溶剤の個々の量およびタイプは、達成される個々の結果に基づき決定しうることが理解されよう。しかし、1つの態様にて、溶剤の量は、配合物の少なくとも約25% w/wであるのがよい。もう1つの態様にて、溶剤の量は、配合物の少なくとも約30% w/wであるのがよい。さらなる態様にて、溶剤の量は、配合物の少なくとも約40% w/wであるのがよい。さらなる態様にて、溶剤の量は、配合物の少なくとも約70% w/wであるのがよい。
【0111】
本発明のなおさらに詳細な態様にて、賦形剤、例えば、水、鉱油またはシリコーン油(これらに限定するものではない)を加えることもでき、これらは、選択されるゲル化剤に大きく依存する。賦形剤は、ゲル配合物の実質的な部分を占め、すなわち、約50%より多い。本発明の1つの態様にて、遊離形のゲルは、賦形剤を0%〜約75%の量含む。
【0112】
本発明のなおもう1つのさらに詳細な態様にて、乳化剤は、また、特に溶剤が使用される時、使用するのがよい。本発明にて使用するのに適した乳化剤としては、ポリオールおよびそのエステル、例えば、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコールヘキシレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、ブタンジオール、ポリエチレングリコールモノラウレートおよびアルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられるが、これらに限定するものではない。乳化は、慣用的な分散技術によって達成することができる。例えば、間欠的な振盪、プロペラミキサー、タービンミキサー等による混合、コロイドミル操作、機械的均質化、超音波処理またはその他の公知方法を利用することができる。乳化剤は、安定な水中油形エマルジョンを形成することができ、このような乳化剤の例としては、アニオン界面活性剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween 80およびTween 60,Atlas Powder,U.S.A.)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(HCO-60およびHCO-50,Nikko Chemicals,Japan〕,等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。乳化剤の濃度は、約0.01%〜約20%の範囲から選択することができる。これら乳化剤の多くもまたゲル化剤として作用することに触れておく。
【0113】
本発明のもう1つの態様にて、キレート剤は、オキシブチニンの沈殿または分解を防止するために使用することができる。本発明にて使用するのに適したキレート剤としては、EDTAのナトリウムおよびカルシウム塩およびエデト酸ジナトリウムが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0114】
本発明のなおさらに詳細な態様にて、界面活性剤が含まれると、ゲル配合物の均一な懸濁液中に活性成分を維持することを助けつつ、オキシブチンの生物利用能を高めるという二重の利点を有するので、界面活性剤は、望ましい。さらに、多くの界面活性剤もまた浸透増強剤として作用する。本発明にて使用するのに適した界面活性剤としては、レシチン;ソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート;ポリソルベート、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸から製造されるようなポリソルベート(ポリソルベート20およびポリソルベート40);ポリエチレングリコールのモノニルフェニルエーテル、例えば、モノキシノール(例えば、オクトキシノールおよびノノキシノール);ポリオキシエチレンモノエステル、例えば、ポリオキセエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノレート;ジオクチルナトリウムスルホスクシネート;ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウリレート、ナトリウムラウレート、ポリオキシエチレン-ソルビタンモノラウレート;および、分子量2,000〜8,000を有するポリオキシマー、ポロキサマー(182,184,231,407);ならびに、それらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0115】
本発明のもう1つの態様にて、本発明にて使用するのにさらなる適した溶剤としては、エタノール、グリセリン、トリエタノールアミン;尿素、例えば、ジアゾリルジニル尿素;アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性界面活性剤、例えば、ジアルキルナトリウムスルホスクシネート、ポリオキシエチレングリセロール、ポリエチレングリコールグリセリルステアレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、プロポキシ-エトキシブチニンコポリマー、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリコールサリチレート、クロタミトン(crotamiton)、エトキシ化され水素化されたヒマシ油、ブトキシ化され水素化されたヒマシ油、リモネン、ペパーミント油、ユーカリ樹油、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンズアルコニウムクロライドおよびTween(20,40,60,80)が挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の1つの態様にて、非イオン性界面活性剤は、遊離形ゲル中の酸化性成分の安定性が配合物のイオン強度によって影響を受ける場合に使用するのがよい。本発明の1つの態様にて、エタノールが溶剤として使用される。本発明のもう1つの態様にて、グリセリンが溶剤として使用される。本発明のもう1つの態様にて、溶剤または界面活性剤は、遊離形のゲルの約30重量%〜約100%の量で存在するのがよい。界面活性剤または溶剤は、遊離形ゲルの約30重量%までの量で存在するのがよい。
【0116】
本発明のもう1つの態様にて、遊離形のゲルは、約10重量%までの親油性または疎水性の作用原因物質を含有することができ、これは、皮膚軟化剤または抗刺激剤として、もしあれば、オキシブチニンまたはその他の配合物成分によって生ずる刺激を緩和するのにさらなる補助として役割を果たしうる。本発明にて使用するのに適した皮膚軟化剤としては、親油性薬剤、例えば、脂肪物質、例えば、約12〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、脂肪酸部分に約12〜20個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、ワセリン、鉱油および植物油、例えば、大豆油、ゴマ油、アーモンド油、アロエベラゲル、グリセロールおよびアラントインが挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明のもう1つの態様にて、グリセロールが皮膚軟化剤として使用される。
【0117】
本発明のなおもう1つの詳細な態様にて、遊離形のゲルのpHを調節し、かくして、刺激を軽減し、および/または、適切なゲル化を達成する補助のために、その他の添加剤を使用することができ、pH添加剤としては、例えば、有機アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジ/トリアルキルアミン、アルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリエタノールアミン)、炭酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸またはリン酸、それらのナトリウムまたはカリウム塩、塩化水素酸、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムおよびそれらの混合物を要求されるが、これらに限定するものではない。
【0118】
驚くべきことに、幾つかの実施態様にて、配合物の特定のpHがもう1つのpHと比較して、皮膚を通してのオキシブチニンの浸透を高めることが発見された。その結果、本発明の1つの態様にて、オキシブチニンゲル配合物は、異なるpHにて達成される浸透と比較して、皮膚を通るオキシブチニンの浸透を高めるpHを有するのがよい。幾つかの態様にて、浸透増強にて促進するpHは、浸透増強にて促進しないpHよりも高いpHであるかもしれない。幾つかの態様にて、そのpHは、塩基性pHであるのがよい。その他の態様にて、そのpHは、中性pHおよびその近傍であるのがよい。さらなる態様にて、pHは、使用される個々のタイプのオキシブチニンの固有のpHに実質的に等しいpHであるのがよい。もう1つの態様にて、個々のpHは、異なるpHにて達成される増強よりも少なくとも約20%より大きい浸透増強を生じうる。したがって、オキシブチニン浸透を高める特異な配合物およびpHの例を以降に示す。
【0119】
本発明のなおもう1つの詳細な態様にて、浸透増強剤は、また、活性剤、例えば、オキシブチニンの表皮層を横切る浸透速度を増加させるために加えることもできる。有用な浸透増強剤は、妥当なサイズの皮膚面積にわたって所望される薬剤供給速度を達成可能とし、非毒性であり、最小の刺激を生じ、非感作性である。上記した溶剤の幾つかは、また、浸透増強剤として作用するが、本発明にて使用するのに適したその他の増強剤としては、トリアセチン、モノグリセリド、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノリネオレート、グリセロールジオレエート、グリセロールトリオレエート;脂肪酸エステル、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルアジペート、メチルプロピオネートおよびエチルオレエート;チオグリセロール、カルシウムチオグリコレート、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、リノレイン酸、パルミチン酸、バレリン酸、イソプロパノールおよびそれらの混合物が挙げられ、また、これらに限定するものではない。本発明の1つの態様にて、増強剤は、モノグリセリドである。本発明のもう1つの態様にて、増強剤は、トリアセチンである。
【0120】
本発明にて使用するのに適したさらなる増強剤としては、N-メチルピロリドン、N-ドデシルピロリドン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウリルアルコール、スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシドおよびデシルメチルスルホキシド;エーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル;1-置換されたアザシクロヘプタン-2-オン、特に、1-n-ドデシルシクラアザシクロヘプタン-2-オン(例えば、U.S.特許Nos.3,989,816;4,316,893;4,405,616および4,557,934を参照。これら特許の各々は、参考とすることによって本明細書に組み込む);アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、オクタノール、ベンジルアルコール等;アミドおよびその他の含窒素化合物、例えば、尿素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン;テルペン;アルカノン;有機酸、例えば、サリチル酸およびサリチレート、クエン酸およびコハク酸;ある種のペプチド、例えば、N-末端にPro-Leuを、続いて、保護基を有するペプチド(例えば、U.S.特許No.5,534,496参照。この特許は、参考とすることによって本明細書に組み込む);および、それらの混合物
が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0121】
もう1つの態様にて、本発明の遊離形ゲルは、さらに、約0.05〜2重量%の防腐剤、抗微生物剤または抗細菌剤を含有してもよく、これは、ゲル配合物中での細菌または微生物の成長を防止する。本発明にて使用するのに適した防腐剤としては、ソルビトール、p-オキシ安息香酸エステル(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、βヒドロキシトルエンおよびチメロサールが挙げられるが、これらに限定するものではない。しかし、医薬組成物にて一般に使用されるその他の慣用的な防腐剤は、当業者であれば、容易に理解されよう。本発明の1つの態様にて、防腐剤は、パラベンである。
【0122】
本発明のなおもう1つの態様にて、遊離形のゲルは、抗酸化剤を含むのがよい。本発明にて使用されるふさわしい抗酸化剤としては、dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、d-α-トコフェロールアセテート、d-α-トコフェロール酸スクシネート、dl-α-トコフェロール酸スクシネート、dl-α-トコフェロールパルミテート、ブチル化されたヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化されたヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化されたヒドロキシキノン、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セファルム(cephalm)、アスコルビン酸、アスコルビルオレエート、アスコルビルパルミテート、ナトリウムアスコルベート、カルシウムアスコルベート、ヒドロキシクマリン、プロピルヒドロキシベンゾエート、トリヒドロキシブチロフェノン、ジメチルフェノール、ジテルブチルフェノール(diterlbutylphenol)、ビタミンE、レシチンおよびエタノールアミンが、例えば、挙げられるが、これらに限定するものではない。本発明の1つの態様にて、抗酸化剤は、トコフェロール基を含有する。オキシブチニンのためのその他の適した抗酸化剤は、当業者であれば、容易に理解されよう。
【0123】
本発明のなおもう1つの態様にて、滑剤を本発明の遊離形のゲルに加えることができる。典型的な滑剤としては、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、亜鉛ステアレート、マグネシウムオレエート、マグネシウムパルミテート、カルシウムパルミテート、ナトリウムスベレート、カリウムラウレート、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、ベントナイト、柑橘類のパルプ、ステアリン酸、オレイン酸およびパルミチン酸が挙げられる。
【0124】
本発明のもう1つの態様にて、本明細書に記載する局所配合物は、また、リポソーム、ミセルまたはミクロスフェアで調製することもできる。リポソームは、脂質二層を含む脂質壁を有する顕微鏡的な小胞である。本発明にて使用されるリポソーム製剤としては、カチオン性、アニオン性および中性製剤が挙げられる。本発明にて使用するのに適したカチオン性リポソームとしては、N〔1-2,3-ジオレイルオキシ〕プロピル)-N,N,N-トリエチルアンモニウム(LIPOFECTIN)が挙げられるが、これに限定するものではない。同様に、アニオン性および中性リポソーム、例えば、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルグリセロールおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンを使用することができる。これらおよびその他の物質を使用してリポソームを製造するための方法は、当分野周知である。
【0125】
本発明のもう1つの詳細な態様にて、本発明の方法に従いオキシブチニンを供給するために、ミセルが調製される。本発明にて使用するのにふさわしいミセルは、極性端が外側の球殻を形成し、疎水性炭化水素鎖端が球の中心方向を向き、心を形成するように配列された界面活性剤分子によって構成される。本発明にて使用されるミセルを形成するのに有用な界面活性剤としては、カリウムラウレート、ナトリウムオクタンスルホネート、ナトリウムデカンスルホネート、ナトリウムドデカンスルホネート、ナトリウムラウリルサルフェート、ドクセートナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチル-アンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、テトラデシルトリメチル-アンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムクロライド、ポリオキシル8ドデシルエーテル、ポリオキシル12ドデシルエーテル、ノノキシノール10およびノノキシノール30が挙げられるが、これらに限定するものではない。ミセルを調製するためのその他の方法は、当業者公知である。
【0126】
本発明のなおもう1つの態様にて、ミクロスフェアも、また、本発明に組み込まれ、オキシブチニンおよび/またはその他の成分を封入することができる。ミクロスフェアは、脂質、例えば、リン脂質により形成され、ミクロスフェアの調製は、概して、当分野周知である。
【0127】
最後に、本発明のもう1つの態様にて、本発明のビヒクルおよび配合物は、当業者であれば、容易に理解されるであろうように、少量のこのようなその他の一般的に使用される化粧アジュバントまたはその他の添加剤、例えば、染料、香料、パシファイアー、日焼け止め等を含んでもよい。また、本発明の遊離形ゲルは、また、その他の成分、例えば、ビタミン類、脂質、ホルモン、さらなる活性剤;または、抗炎症剤、例えば、コルチコステロイドを含有してもよい。
【0128】
当業者であれば理解されるように、各特異なタイプの配合物は、供給速度に影響を及ぼし、このような配合物の組成を設計するのにさらなる可変性を示す。種々の成分の添加も、また、最終的な局所配合物の薬剤供給特性を達成することができる。供給システムの各成分は、独立の効果;または、もう1つの成分との組み合わせにて生ずる効果を有することができ、使用する個々の局所配合物に依存して変化させうる。
【0129】
列挙した種々の成分の幾つかは、2つ以上の目的を果たしうる。かくして、1つのカテゴリーにて列挙されるが、ある種の化合物は、もう1つのカテゴリーの有益な性質特性が認識されうる。上記カテゴリー化は、単に体系の付加を与えるだけであり、列挙した化合物の定義分類であることを意味しない。しかし、これらの一般的なパラメータは、所望される血漿レベルが達成されうるための方法について限定しない。異なるパラメータを生ずる配合物を使用することによって所望される血漿レベルに影響を及ぼすように、種々の供給方法、速度および量を使用することができる。
【実施例】
【0130】
種々のオキシブチニン含有組成物を有する非経口供給配合物の以下の実施例は、本発明の可能な組み合わせのさらに明瞭な理解を促進するために示すものであって、何等本発明について制限を意味するものではない。本発明にて使用される材料は、以下に示す個々の供給元から得た。材料は、種々の市販源から入手可能であり、個々の供給元は、示さなかった。オキシブチニン遊離塩基は、Ceres Chemical Co.Inc.,White Plains,NY(USA)から入手した。オキシブチニンのエナンチオマー、すなわち、(R)-および(S)-異性体は、Sepracor 。Sepracor,Marborough,MA(USA) から入手した。
【0131】
実施例1: オキシブチニン接着マトリックスパッチの製造
上記した臨床研究に使用される非経口オキシブチニン供給デバイスは、13および/または39cm2経皮接着マトリックスパッチであった。経皮接着マトリックスパッチを製造する一般的な方法は、U.S.特許Nos.5,227,169および5,212,199によって記載されており、これらの特許は、それらの全体を参考とすることによって組み込む。この一般的な方法に従い、本発明のオキシブチニンパッチを以下のようにして製造した:
オキシブチニン遊離塩基、トリアセチン(Eastoman Chemical Co.,Kingsport,NY)および87-2888アクリル系コポリマー接着剤(National Starch and Chemical Co.,Bridgewater,NJ)を混合して、均質な溶液にし、二域塗布/乾燥/ラミネートオーブン(Kraemer Koating,Lakewood,NJ)を使用して、6mg/cm2(乾燥させた重量)でシリコーン処理したポリエステルレリースライナー(Raxham Release,Chicago.IL)上に塗布して、それぞれ、15.4重量%、9.0重量%および75.6重量%のオキシブチニン、トリアセチンおよびアクリル系コポリマー接着剤を含有する最終的なオキシブチニン接着マトリックスを用意した。オキシブチニン含有マトリックスの乾燥させた接着剤表面上に、50ミクロン厚さのポリエチレン裏装フィルム(3M,St.Paul,MN)を逐次積層し、最終ラミネート構造部材を打ち抜いて、約13cm2〜39cm2サイズの範囲のパッチを用意した。
【0132】
実施例2: オキシブチニン生物分解性ミクロスフェアデポー注射剤の製造
持続性レリースデポー注射を行うための生物分解性ミクロスフェアを使用して、本発明の方法に従いオキシブチニンを供給した。以下の方法によりミクロスフェアを調製した:
12,000分子量のポリ-、d,l乳酸(“PLA”,Birmingham Polymers,Birmingham,Alabama)を最終濃度20重量%で塩化メチレンに溶解させた。最終溶液にて4重量%で、オキシブチニン遊離塩基をPLA溶液に溶解させた。Teflonタービン攪拌機に固定したツルーボア攪拌機を備えた(5℃に制御した温度の)水ジャケット反応容器に、0.1%Tween 80を含有する脱イオン水を装填した。
【0133】
オキシブチニン/PLA/塩化メチレン溶液を反応容器に滴下し、攪拌して、水性溶液内の有機ポリマー相を微細粒子として計量分配した。生ずる懸濁液を濾過し、脱イオン水で1回洗浄し、最終的に、ロータリーエバポレータで乾燥させて、塩化メチレンを除去した。生ずるミクロスフェアを筋肉内または皮下注射すると、オキシブチニンの長期間の全身レリースを生ずることができる。
【0134】
実施例3: 局所オキシブチニン配合物の調製
局所施用オキシブチニン含有ゲルを使用して、本発明の方法に従い、オキシブチニンを供給した。局所ゲルを調製する一般的な方法は、当分野公知である。この一般的な方法に従い、オキシブチニンを含む局所ゲルを以下のように調製した:
95%エタノール(USP)を水(USP)、グリセリン(USP)およびグリセロールモノオレエート(Eastman Chemical,Kingsport NY)で希釈すると、それぞれ、エタノール/水/グリセリン/グリセロールモノオレエートのパーセント比35/59/5/1で最終溶液を生じた。ついで、オキシブチニン遊離塩基を上記溶液に溶解させ、10mg/グラムの濃度とした。生ずる溶液を、ついで、1%ヒドロキシプロピルセルロース(Aqualon,Wilmington,Delaware)でゲル化すると、最終的なオキシブチニンゲルを生じた。上記ゲル1〜2グラムを、胸、胴および/または腕上ほぼ200cm2の表面積に局所施用すると、オキシブチニンの局所投与を生ずる。
【0135】
実施例4: ラセミオキシブチニンの経口投与に従うオキシブチニン、N-デスエチルオキシブチニンおよびそれらのそれぞれ(R)および(S)異性体の経皮投与されるラセミオキシブチニンと比較しての薬物速度論を決定するための臨床研究
16人の健康なボランティアにての臨床研究は、クロスオーバー方式で、オキシブチニン、N-デスエチルオキシブチニンおよびそれらのそれぞれの(R)-および(S)-エナンチオマー成分の比較血漿濃度および薬物速度論を比較した。
【0136】
健康なボランティアは、局所個体群から募り、19歳〜45際の年齢範囲の男女が含まれていた。ボランティア全員の健康状態を確認するための前研究調査に続き、各被験者は、2研究期間参加させ、その間、4日間施用される経皮オキシブチニン系かまたは1回5mgのオキシブチニンの経口直レリース投与のいずれかの試験投薬が行われた。研究期間の間、血液試料を周期的に採集した。標準法に従い、試料から血漿を採取した。(R)および(S)オキシブチニンと(R)および(S)-N-デスエチルオキシブチニンの量は、個々の成分の液体クロマトグラフィー分離と結合された確認質量分光法の適用を通して血漿試料にて測定した。Perkin Elmer高性能液体クロマトグラフィー用ポンプをChrom Tech AGP 150.2クロマトグラフィー用カラムと連結して使用した。質量分光機器は、電子スプレーイオン化でMRMスキャンモードにて動作するAPI300であった。被分析物定量の直線的応答は、標準溶液で確認され、検定の性能は、研究試料と関連して分析される定量対照試料を使用して調節される。直線性の範囲は、0.5〜75ng/mlであり、直線相関係数は、全ての被分析物について0.99より大きい。
【0137】
図1、2、3、6および7は、これらのデータのグラフを示す。図1にて、オキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニン血漿濃度は、5mgの直-レリース経口投薬オキシブチニン塩酸塩錠剤,DitropanR(上付きRは、登録商標示す)Alza Corporationの投与の続きを示す。これらの錠剤は、市販によって得られ、種々の一般的な製造者から得ることができる。血漿濃度が、垂直軸上に示され、時間が、水平軸上に示される。見られるように、N-デスエチルオキシブチニンの血漿濃度は、オキシブチニン血漿濃度より有意に大きい。N-デスエチルオキシブチニン対オキシブチニンについての平均AUCは、約10:1である。
【0138】
図3は、経皮系の施用間およびそれに続くオキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニンについての血漿濃度プロフィールを示す。見られるように、接着マトリックスパッチ実施態様についてのN-デスエチルオキシブチニン血漿濃度は、本発明によって定めたパラメータ内に十分に入る。N-デスエチルオキシブチニン対オキシブチニンについての平均AUC日は、約0.9:1であり、N-デスエチルオキシブチニンについての平均血漿濃度は、約2.5ng/ml未満である。
【0139】
図6および7は、上記した臨床トライアルの間に測定されるオキシブチニンおよびN-デスエチルオキシブチニンの個々の異性体の血漿濃度を示す。図6にて見られるように、オキシブチニンの経口投与は、相対的に高い濃度の(R)-N-デスエチルオキシブチニンを導く。この活性な代謝部分は、最高濃度にて存在し、(R)および(S)オキシブチニンの両方の濃度の数倍である。(R)-N-デスエチルオキシブチニンの(R)-オキシブチニンに対するAUCの平均比は、約17:1であり、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-N-デスエチルオキシブチニンの平均AUC比は、約1.5:1である。
【0140】
経皮オキシブチニン系の施用に従い、活性部分、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(R)-オキシブチニンの平均AUC比は、約1:1であり、経口投与に従うよりも実質的に低い。さらに、(R)-N-デスエチルオキシブチニン対(S)-デスエチルオキシブチニンの平均AUC比は、約0.9:1であり、活性な(R)-オキシブチニン対(R)-N-デスエチルオキシブチニンの実質的に低い代謝ファーストパス(first pass)変換と矛盾しない。(R)-対(S)-オキシブチニンの平均AUC比は、約0.7:1であり、経口投与に従い示されるものと同等である。
【0141】
オキシブチニンの経皮供給の間に供給されるオキシブチニンの低い全体量は、未使用の経皮系にて決定される量から4日間の施用後の経皮系にて維持されるオキシブチニンの残留量に基づき見積もられる。4日にわたって供給される平均量は、約12mgであり、または、平均約3mg/日である。研究にて投与されるオキシブチニンの経口投与量は、5mgであり、製品の治療学的使用の間に12時間ごとに投与されうるかまたは毎日2回投与されうる投薬量である。これを比較すると、経皮処置について12時間ごとの約1.5mgと対比して経口処置について12時間ごとに約5mgの投薬量である。
【0142】
要約すると、経皮非経口オキシブチニン投与の薬物速度論は、オキシブチニン投与の持続的遅延した速度と投与されるオキシブチニンの低い投薬量または全体量に関して本発明の態様を示す。
【0143】
実施例5: 慣用的な経口錠剤配合物と本発明の経皮配合物との治療学的効能および抗コリン作働性副作用、原発的な口の渇きの発生率および重度の比較分析
過活動膀胱を有する72人の患者にて、効能および副作用の発生率の臨床研究を行った。これらの患者は、U.S.A.の種々の地域に位置する独立した臨床研究者によって募られた。これら患者のほぼ半数に、直-レリース経口投薬配合物にてオキシブチニン塩酸塩を投与した。残りの患者には、各場合、1つ以上の13cm2のオキシブチニン含有経皮接着マトリックスパッチを使用して、オキシブチニンを投与した。これらの処置群の各々にて、処置のプラシーボ形を合致させる並行投与により投薬をブラインドした。活性経口処置の場合に、患者には、活性薬剤オキシブチニンを除外して活性経皮系の全ての成分を含有させたプラシーボ経皮系を施用した。同様に、活性経皮処置群に、活性オキシブチニン成分を含まない合致する経口配合物を受容させた。
【0144】
この研究にて、患者には、男性および女性の両方が含まれ、大半は、平均年齢63〜64歳の女性であった。全ての患者が過活動膀胱に随伴する尿失禁の経歴があり、失禁についての医学療法を使用しないその間のウオッシュアウト期間の間に1日当り平均少なくとも3回の失禁症状の出現を示した。
【0145】
治療学的効能は、複数日の患者の尿日誌から誘導される1日当りに体験される失禁の平均数に基づいた。そのデータは、図4にグラフで示す。
見られるように、本発明の非経口法によって処置した個体についての失禁症状出現の発生率数は、経口配合物で処置した固体についての数とほぼ同等である。これは、本方法および組成物が慣用的な経口配合物、例えば、5mg経口オキシブチニン錠剤に匹敵する尿失禁および過活動膀胱のための治療学的に有効な処置を提供することを明らかに示す。薬の副作用体験の発生率および/または重度も、また、上記のように投与したオキシブチニンの慣用的な経口錠剤配合物と経皮配合物との間で比較した。抗コリン作働性副作用体験、例えば、口の渇きの発生率および重度をいずれかの配合物の投与に随伴しうる副作用体験のインジケータとして使用すると、抗コリン作働性副作用を表す。臨床研究参加者に、標準化した質問紙に従いその体験を報告するように依頼した。質問紙から誘導されるデータは、図5にグラフで示す。口の渇きを報告した参加者のパーセンテージは、垂直軸に示し、口の渇きの重度は、水平軸に示す。
【0146】
見られるように、経口形を受容した参加者の6%のみが口の渇きの副作用がないと報告した。逆に、これら参加者の94%が幾分かの口の渇きを体験すると報告した。それに反して、13cm2の経皮接着マトリックスパッチで処置された参加者の62%が口の渇きの副作用がないと報告している。したがって、これら参加者の38%もが幾分かの口の渇きを体験すると報告している。したがって、臨床データは、本発明の方法のマトリックスパッチ実施態様が、経口形とほぼ同等の治療有効性を達成する過活動膀胱に対する処置を提供しつつ、オキシブチニン投与に随伴する副作用体験の発生率および/または重度を有意に最小化する
ことを示す。
【0147】
図7は、(R)-N-デスエチルオキシブチニン濃度が(S)-N-デスエチルオキシブチニン濃度よりも低く、(R)-オキシブチニンの濃度が緩やかに上昇し、パッチ施用期間全体を通してほぼ一定レベルを維持することを示す。(R)-N-デスエチルオキシブチニンの血漿濃度の低下が、薬の副作用体験、例えば、口の乾きの発生率および重度の最小化に寄与するようであり、他方、(R)-オキシブチニンの血漿濃度が、図4および5によって示されるように、処置の治療有効性を維持するようである。
【0148】
実施例6: 遊離形のオキシブチニンゲルの調製
局所施用オキシブチニン含有ゲルを使用して、本発明の方法に従いオキシブチニンを供給することができる。本発明のゲルおよび実施例9〜11に記載するゲルは、グリセリン(またはその他の湿潤剤および皮膚軟化剤)を6オンスのジャーに秤取し、ついで、予め秤量した水を加え、続いて、予め秤量した (オキシブチニンクロライドゲルについて) 2N 水酸化ナトリウムを、または、 (オキシブチニン遊離塩基ゲルについて) 2N 塩酸を加えた。水酸化ナトリウムまたはナトリウムヒドロクロライドは、合計遊離形ゲルの0重量%〜約5重量%存在する。予め秤量したエタノールを6オンスジャーに加えた。活性成分(オキシブチニン遊離塩基かまたはオキシブチニンクロライド)を化学天秤上の秤量皿に秤取し、ついで、6オンスのジャーに移した。緊密に蓋をした後、活性成分とグリセリンとの両方が完全に溶解されるまで、ジャーをハンドシェイクした。次に、予め秤量したゲル化剤を前記ジャーに移した(ゲル化剤の凝集は、ジャー内でゲル化剤粒子を緩やかに分散させることによって回避することができる)。各成分の実際の量は、移し容器(transfer container)の重量の差によって測定した。ジャーは、キャップし、パラフィンでラップし、リストシェ−カー(wrist shaker)に一晩かけると、ゲル化剤を完全に溶解した。
【0149】
実施例7: 遊離形オキシブチニンゲルについての実験方法およびインビトロフラックス研究
実施例9〜11のインビトロ皮膚フラックス研究は、スキンバンクから入手した十分に厚い(ほぼ500μmの)皮膚試料を使用して行った。十分に厚い皮膚試料は、実験を行うまで-5℃にて貯蔵した。各供与者についてのジェンダー(gender)、性、年齢および解剖部位情報は、入手可能である時、記録した。
【0150】
ゲル薄膜を皮膚表面に塗布するために使用する方法は、Chia-Ming Chiang et al.,Bioavailability assessment of topical delivery systems:in vitro delivery of minoxidil from semi-solid formulations,IJP,49:109-114,1989から適合させた。この刊行物は、参考とすることによって、本明細書に組み込む。中心にカットした0.64cm2の円形穴を有する接着剤-塗被された金属シムの1つの側に皮膚片の角質層側を取り付けた。シム-膜アセンブリを平坦なガラス表面の頂部に置き、ほぼ15μLの配合物を中心腔に計量分配した。顕微鏡のスライドで、ゲルを表面を横切るように拡げ、0.64cm2の拡散表面積に
わたってほぼ7μLの投薬量を負荷した。施用する投薬量は、拡散表面1cm2当りほぼ11μLのゲルであり、これは、局所施用について典型的である。
【0151】
受け溶液に面する皮膚側で改良フランツ拡散セルの供与区画および受け区画の間にゲル-負荷したシム-膜アセンブリを締結した。受け区画に0.02%(w/v)NaN3を充填して、実験の間全体を通して受け側で吸い込み状態(sink conditions)を維持した。供与区画は、咬合させることなく、大気に開放した。循環水で加熱した水浴にセルを入れ、(32±1)℃に皮膚表面温度を維持するように調整した。
【0152】
予め決められた時点にて、薬剤の量を定量するために、受け区画の全内容物を収集し、皮膚/溶液界面でいずれの気泡も除くように注意を払いつつ、受け区画に新たな受容媒体を再充填した。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用し、各試料を分析した。いずれかの時間tにおける単位面積当り浸透した薬剤の累積量(Qt,μg/cm2)を、以下のように、24時間にわたって測定した:
【0153】
【数1】

【0154】
ここで、Cnは、対応する採取時間における受け試料中の薬剤の濃度(μg/mL)であり;Vは、受け室内の流体の体積であり;Aは、セルの拡散面積(0.64cm2)である。
実施例8〜10の研究について、典型的には、4つの反復試験区が、パー皮膚パー系当り得られた。各皮膚からの所定の系について得られる値の平均値の比較は、皮膚内の較差による浸透の差を示した。
【0155】
実施例8: 局所オキシブチニン遊離塩基ゲル
実施例8.1
【0156】
【表1】

【0157】
これらの結果は、配合物中のオキシブチニン濃度を増加させることによって、浸透速度の増加を達成することができることを示す。かくして、本発明の1つの態様にて、配合物
中のオキシブチニンの濃度を増加させることによるオキシブチニンフラックス速度を増加させる方法が提供される。
【0158】
実施例8.2
【0159】
【表2】

【0160】
これらの結果は、水性および非水性ゲル配合物の両方を使用し、許容可能なフラックス速度が達成されうることを示す。その結果は、さらに、水性配合物の使用によって、フラックス速度を増加させうることを示す。かくして、オキシブチニンゲル配合物中に含まれる水の濃度を増加させることによって、オキシブチニンのフラックス速度を増加させる方法が提供される。1つの態様にて、水の量は、約1%w/w〜約30%w/wだけ増加させうる。もう1つの態様にて、水は、約5%w/w〜約25%w/wだけ増加させうる。なおもう1つの態様にて、水の量は、約10%w/w〜約20%w/wだけ増加させうる。1つの詳細な態様にて、配合物中のオキシブチニンは、オキシブチニン遊離塩基であるのがよい。
【0161】
実施例8.3
【0162】
【表3】

【0163】
実施例8.4
【0164】
【表4】

【0165】
かくして、配合物のpHを高くすることによってオキシブチニンフラックス速度を増加させるための方法が提供される。1つの態様にて、配合物は、ゲル配合物であり、pHは、約4〜約11に上昇する。もう1つの態様にて、pHは、約5〜約11に上昇する。なおもう1つの態様にて、pHは、約6〜約11に上昇する。もう1つの態様にて、pHは、約4〜約10に上昇する。なおもう1つの態様にて、pHは、約5〜約10に上昇する。もう1つの態様にて、pHは、約6〜約10に上昇する。なおもう1つの態様にて、pHは、約6〜約9に上昇する。1つの態様にて、ゲル配合物のpHは、約6である。なおもう1つの態様にて、ゲル配合物のpHは、約9である。オキシブチニンがその遊離形かまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、HCl)あるいはそれらの混合物のいずれかとして存在することを理解する必要がある。もう1つの態様にて、オキシブチニンは、そのR-もしくはそのS-異性体またはその薬学的に許容可能な塩あるいはそれらの混合物として存在するのがよい。さらに、配合物は、浸透増強剤が有っても無くても調製することができる。かくして、1つの態様にて、浸透増強剤を実質的に含まない配合物のpHを上昇させることによるオキシブチニンの局所配合物からオキシブチニンのフラックス速度を増加させる方法。もう1つの態様にて、浸透増強剤を含んでもよい配合物のpHを上昇させることによるオキシブチニンの局所配合物からオキシブチニンフラックス速度を増加させる方法。配合物が浸透増強剤を含む時、配合物は、高いpHを占めるが実質的に増強剤を含まない配合物と比較して、速いフラックス速度を示す。幾つかの態様にて、フラックス速度は、少なくとも2倍だけ増加する。幾つかのその他の態様にて、フラックス速度は、2〜3倍あるいはそれ以上増加する。なお幾つかのその他の態様にて、フラックス速度は、5〜10倍だけ増加する。pHの上昇によるフラックス速度の増加は、その他の局所配合物、例えば、クリーム、軟膏、ローション、発泡体、スプレーおよび経皮パッチでも達成され、ゲル配合物に限る必要がないことも理解する必要がある。
【0166】
実施例8.5
【0167】
【表5】

【0168】
これらの結果は、グリセリンをゲルに混和しても、オキシブチニンの皮膚浸透に測定にかかる影響はないことを示す。したがって、皮膚の刺激を軽減するためまたは当業者であれば承知するであろうその他の理由により、局所オキシブチニンゲル配合物にグリセリンを使用することができる。
【0169】
実施例9: 局所オキシブチニンクロライドゲル
実施例9.1
【0170】
【表6】

【0171】
これらの結果は、局所配合物にてオキシブチニンを供給するのに、エタノール約65%〜約75%を含む配合物を使用するのが有効であることを示す。
【0172】
実施例9.2
【0173】
【表7】

【0174】
これらの結果は、pH6.0を有するオキシブチニンクロライドゲルがpH4.6を有するそれよりも高いオキシブチニン皮膚浸透を生ずることを示す。しかし、ある種の態様にて、約4.6ほどの低いpHを有する配合物が望ましいフラックス速度を生ずることを理解するべきである。
【0175】
実施例9.3
【0176】
【表8】

【0177】
これらの結果は、オキシブチニンクロライドゲルにおけるグリセリンの存在が皮膚を介してのオキシブチニン皮膚浸透に影響しないことを示す。したがって、皮膚刺激の軽減のためまたは当業者であれば理解されるであろうその他の意図する目的のために、皮膚軟化剤またはその他の添加剤としてオキシブチニンゲル配合物にグリセリンを含ませることができる。
【0178】
実施例10:局所オキシブチニンクロライドおよび遊離塩基ゲル
【0179】
【表9】

【0180】
これらの結果は、トリアセチンを含まないゲル配合物と比較して、トリアセチンが合計オキシブチニンの皮膚フラックスを有意に増加させることを示す。
【0181】
実施例11: 局所オキシブチニンクロライドゲルおよびフラックスの経時データ
組成:73.3重量%のエタノール、18.0重量%の水、1.0重量%のグリセリン、2.0重量%のKLUCEL HF、4.4重量%のオキシブチニンクロライドおよび1.3重量%の水酸化ナトリウムを有する遊離形のオキシブチニンクロライドゲルを調製した。生ずるゲルは、pH6を有した。9個の別々の皮膚試料を48時間にわたりフラックスについて試験し、結果を表10に示す。採取24時間後、皮膚の頂部に残ったゲルを除去し、ついで、30時間試料(ゲル除去後6時間)および48時間試料(ゲル除去後24時間)を採取した。
【0182】
【表10】

【0183】
1つの態様にて、施用後約6時間で平均フラックス速度約1.5〜約7.0ug/cm2/時間でオキシブチニンを供給する局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物を生ずる。もう1つの態様にて、施用後約24時間で平均フラックス速度約6〜約17ug/cm2/時間でオキシブチニンを供給する局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物を生ずる。なおもう1つの態様にて、施用後約30時間における平均フラックス速度約8〜約27ug/cm2/時間でオキシブチニンを供給する局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物を生ずる。なおもう1つの態様にて、施用後約48時間における平均フラックス速度約14〜約40ug/cm2/時間にてオキシブチニンを供給する局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物を生ずる。もう1つの態様にて、施用後約6時間における平均フラックス速度約1.5〜約7.0ug/cm2/時間;施用後約24時間における平均フラックス速度約6〜約17ug/cm2/時間;施用後約30時間における平均フラックス速度約8〜約27ug/cm2/時間;および、施用後約48時間における平均フラックス速度約14〜約40ug/cm2/時間にてオキシブチニンを供給する局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物を生ずる。オキシブチニンは、遊離の塩基もしくは薬学的に許容可能な塩(例えば、HCl塩)またはそれらの混合物として存在することができる。なおもう1つの態様にて、オキシブチニンは、そのR-異性体もしくはS-異性体またはそれらの薬学的に許容可能な塩あるいはそれらの混合物として存在することができる。オキシブチニンがその対応する異性体として存在する時、幾つかの態様にて、その異性体についての平均フラックス速度は、以下のようであってもよい:施用後約6時間にて約0.7〜5.0ug/cm2/時間;施用後約24時間にて約3〜約9ug/cm2/時間;施用後約30時間にて約4〜約14ug/cm2/時間;施用後約48時間にて約6〜約25ug/cm2/時間。
【0184】
上記フラックス速度は、その必要のある被験者に治療学的レベルのオキシブチニンを供給する。このような治療学的血漿レベルは、約1.4ng/ml〜約8ng/mlの範囲であるのがよく、ある種の態様にて、血漿濃度は、約1.42ng/ml〜約4ng/mlの範囲であるのがよい。もう1つの態様にて、血漿濃度は、約1.8ng/ml〜約4ngmlの範囲であるのがよい。なおもう1つの態様にて、血漿濃度は、約1.8ng/ml〜約3ngmlの範囲であるのがよい。
【0185】
実施例12: 局所オキシブチニンクリーム
各相に表11に示すような組成物を含有する遊離形のオキシブチニンクリームを製造することができる。オキシブチニンは、配合物中に約1〜約10% w/wにて存在する。
【0186】
【表11】

【0187】
実施例13: 局所オキシブチニンローション
各相に表12に示すような組成物を含有する遊離形のオキシブチニンローションを製造することができる。オキシブチニンは、配合物中に約1〜約10% w/wにて存在する。
【0188】
【表12】

【0189】
実施例14: 局所オキシブチニン乳化されたゲル
各相に表13に示すような組成物を含有する遊離形のオキシブチニンゲルを製造することができる。オキシブチニンは、配合物中に約1〜約10% w/wにて存在する。乳化させたゲル担体を使用して、遊離形のオキシブチニンゲルを製造することができる。オキシブチニンは、配合物中に約1〜約20% w/w存在する。前述に基づき、他の適用可能な実施例にて示したpH効果が、これら配合物のある種の態様にて観測されうることが予想される。さらに、乳化させたゲル基体は、上記した実施例と同様にして、その遊離塩基形、薬学的に許容可能な塩の形またはそれらの混合物の形のいずれかにてオキシブチニンを供給することができ、供給速度はそれらに等しいことが期待される。また、オキシブチニンがそのR-またはS-異性体形で存在しうることを理解するべきである。
【0190】
【表13】

【0191】
実施例15: 局所オキシブチニン軟膏
各相に表14に示すような組成物を含有する遊離形のオキシブチニン軟膏を製造することができる。
【0192】
【表14】

【0193】
実施例16: 光学異性体を含有するオキシブチニン遊離形ゲル
表15は、クロライドおよび遊離塩基形のRおよびS異性体の各々について24時間かけて測定した皮膚フラックスを示す。オキシブチニン遊離塩基およびオキシブチニンクロライドの両方とも、2つの形RおよびSにて存在するキラル分子であり、表15にて示すように、本発明に従いそれらの光学的に活性な形で各々試験した。
【0194】
【表15】

【0195】
これらの結果は、オキシブチニン遊離塩基ゲルおよびオキシブチニンクロライドゲルの両方からRおよびS異性体とも等量皮膚を介して浸透することを示す。さらに、これらの結果は、局所施用した咬合しないゲルからオキシブチニン遊離塩基とほぼ同程度の速度でオキシブチニンクロライドを供給しうることを示す。
【0196】
本出願の上記した組成物およびモードは、本発明の好ましい実施態様のみを示すことを理解するべきである。当業者であれば、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、数多くの変更および別個のアレンジを工夫することができうるであろう。それゆえに、特許請求の範囲の請求項は、このような変更およびアレンジをも包含することを意図する。
【0197】
かくして、本発明の最も実際的かつ好ましい実施態様であると現在的に思われる実施例に関して具体的かつ詳細に上記したものの、当業者であれば、本明細書に記載した原理および概念から逸脱することなく、サイズ、材料、形状、形態、機能および操作のやり方、アセンブリーおよび使用を含め(これらに限定する積もりはないが)、多数の変更をなすことができうることが明瞭であろう。
これに限定されるわけではないが、本発明は以下の発明を包含する。
(1)局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物であって、
治療学的に有効量のオキシブチニン;および、
ゲル担体;
を含み;
該配合物が、pH約4〜約11を有し、オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基、薬学的に許容可能なオキシブチニン塩またはそれらの混合物として存在し、該配合物が、皮膚表面に咬合されることなく局所施用されるように調製されるオキシブチニンゲル配合物。
(2)配合物のpHが、約4〜約11である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(3)配合物のpHが、約5〜約11である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(4)配合物のpHが、約6〜約11である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(5)配合物のpHが、約4〜約10である、(1)オキシブチニンゲル配合物。
(6)配合物のpHが、約5〜約10である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(7)配合物のpHが、約6〜約10である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(8)配合物のpHが、約6である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(9)配合物のpHが、約9である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(10)オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基である、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(11)オキシブチニンが、オキシブチニンクロライドである、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(12)オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基とオキシブチニンクロライドとの組み合わせである、(1)のオキシブチニンゲル配合物。
(13)局所施用のためのオキシブチニンゲル配合物であって、
ゲル担体中に治療学的に有効量のオキシブチニンを含み、それが、咬合することなく局所投与される際に、少なくとも約24時間にわたってオキシブチニン皮膚浸透速度少なくとも約10ug/cm2を生ずるのに十分であるオキシブチニンゲル配合物。
(14)皮膚浸透速度が、少なくとも約24時間にわたって少なくとも約20ug/cm2である、(13)のオキシブチニンゲル配合物。
(15)配合物が、皮膚への配合物の咬合することなく局所投与される際にオキシブチニン皮膚浸透を高めるpHを有する、(13)のオキシブチニンゲル配合物。
(16)配合物が、浸透増強剤を含む、(13)のオキシブチニンゲル配合物。
(17)オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基である、(13)のオキシブチニンゲル配合物。
(18)オキシブチニンが、オキシブチニンクロライドである、(13)のオキシブチニンゲル配合物。
(19)オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基とオキシブチニンクロライドとの混合物である、(13)のオキシブチニンゲル配合物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面への局所施用のための咬合されていないオキシブチニンゲル配合物であって、
治療学的に有効量のオキシブチニン;および、
ゲル担体であって、ポリアクリル酸、(ポリアルキル)スクロースのアリールエーテルと架橋されたアクリル酸から製造されるカルボキシポリメチレン、カルバマーポリマー、ナトリウムアクリレートポリマー、ポリカルボン酸、アルキルアクリレートポリマー、アリールスクロースまたはアリールペンタエリスリトールと架橋されたアクリル酸のポリマー、アクリル酸のポリマー、C10−C30アルキルアクリレートであって、アリールペンタエリスリトール、カルボマーホモポリマーあるいはコポリマーであってポリエチレングリコールと長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含むコポリマーと架橋された前記C10−C30アルキルアクリレート、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルスルホネート、ポリエチレン化合物、ポリサッカライド、アクリル酸エステル、アルコキシブチニンポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ポリエチレンオキシドポリマー、ポリエーテル、セルロースポリマー、天然ゲル化剤、およびそれらの混合物、塩またはコポリマーからなる群から選択されるゲル担体;
を含み;
該配合物が、pH4〜11を有し、オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基、薬学的に許容可能なオキシブチニン塩またはそれらの混合物として存在し、そして咬合することなく皮膚表面へ局所投与される際に、少なくとも24時間にわたってオキシブチニン累積量少なくとも10μg/cmを提供することができる、オキシブチニンゲル配合物。
【請求項2】
配合物のpHが、5〜11である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項3】
配合物のpHが、6〜11である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項4】
配合物のpHが、4〜10である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項5】
配合物のpHが、5〜10である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項6】
配合物のpHが、6〜10である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項7】
配合物のpHが、6である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項8】
配合物のpHが、9である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項9】
オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項10】
オキシブチニンが、オキシブチニンクロライドである、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項11】
オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基とオキシブチニンクロライドとの組み合わせである、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項12】
少なくとも24時間にわたって少なくとも20μg/cmのオキシブチニン累積量を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項13】
配合物が、浸透増強剤を含む、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項14】
オキシブチニンが、オキシブチニン遊離塩基とオキシブチニンクロライドとの混合物である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項15】
投与後少なくとも3時間以内に少なくとも0.5ng/mlおよび投与から24時間後に8ng/mlより下のオキシブチニン血漿濃度を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項16】
オキシブチニン血漿濃度が投与から6時間後に2.0ng/mlより下である、請求項15に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項17】
1.4ng/mlと8ng/mlの間のオキシブチニン濃度を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項18】
1.42ng/mlと4ng/mlの間のオキシブチニン濃度を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項19】
1.8ng/mlと4ng/mlの間のオキシブチニン濃度を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項20】
1.8ng/mlと3ng/mlの間のオキシブチニン濃度を提供することができる、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。
【請求項21】
配合物のpHが4.6である、請求項1に記載のオキシブチニンゲル配合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−46526(P2012−46526A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204430(P2011−204430)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【分割の表示】特願2004−550327(P2004−550327)の分割
【原出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(500058936)ワトソン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】