説明

結合したポリマー基を有する凝集体およびポリマー発泡体

【課題】エラストマーおよび/またはポリマー材料に配合され得る、向上した性質を付与する凝集体を提供する。
【解決手段】少なくとも1種の結合したポリマーを有する凝集体であって、少なくとも1つの炭素相と少なくとも1つのケイ素含有種相を含んでいる。他の凝集体は、少なくとも1つ炭素相と少なくとも1つの金属含有種相および少なくとも部分的にシリカで被覆されたカーボンブラックを含む凝集体を含むが、これらに限定されない。該凝集体は、出発凝集体を反応性ポリマーと混合し、凝集体にポリマーを結合させるために混練することを含む製造方法で得られる。凝集体は、ポリマー発泡体、他のポリマー製品およびエラストマー製品に配合することができる。ポリマー発泡体および化学修飾した炭素質充填剤を含み、炭素質充填剤は炭素質粒子に化学的に結合されたポリマー部分を有するポリマー発泡体組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、エラストマー組成物、ポリマー組成物等のような種々の用途に有用である充填剤のような凝集体に関する。本発明はさらにこれらの凝集体の製造法に関する。さらに本発明は断熱用途に有用なポリマー発泡体、特に独立気泡のポリマー発泡体に関し、表面を改質した炭素質充填剤を含む。本発明はさらにこのようなポリマー発泡体の製造に有用な新規組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンブラックはゴム、ならびに他のエラストマーおよびポリマー配合物の配合および製造に、顔料、充填剤および補強剤として広く用いられている。カーボンブラックはタイヤおよび他の物品の製造に用いられるエラストマー配合物の製造に補強剤として特に有用である。
【0003】
カーボンブラックは、炭化水素原料を高温燃焼ガスで熱分解して粒子カーボンブラックを含む燃焼生成物を製造することによりファーネス型反応器で製造されるのが通常である。カーボンブラックは凝集体の形態で存在する。そして凝集体はカーボンブラック粒子で形成される。しかし、カーボンブラック粒子はカーボンブラック凝集体と独立して存在しないのが通常である。カーボンブラックは粒径および比表面積;凝集体径、形状および分布;ならびに表面の化学的および物理的性質を含むが、これらに限定されない、分析的特性にもとづいて特徴づけられるのが通常である。カーボンブラックの性質はこの分野に公知の試験により分析的に測定される。例えば、窒素吸着表面積(ASTM試験法のD3037−A法もしくはD4820−B法により測定される)およびセチル−トリメチルアンモニウムブロマイド吸収バルブ(CTAB)(ASTM試験法D3765〔09.01〕で測定される)は比表面積の尺度である。破砕(CDBP)(ASTM試験法D3493−86で測定される)および非破砕(DBP)カーボンブラック(ASTM試験法D2414−93で測定される)のジブチルフタレート吸収は凝集体ストラクチャーに関連する。結合ゴム値(bound rubber value)はカーボンブラックの表面活性に関する。所与のカーボンブラックの性質は製造条件に依存し、例えば温度、圧力、原料、滞留時間、急冷温度、流量、および他のパラメータを変更することにより改質され得る。
【0004】
シリカもエラストマーのための強化剤(もしくは充填剤)として使用される。しかし、エラストマーの補強剤としてシリカ単独を使用することは、補強剤としてカーボンブラック単独で得られる結果と比べて不十分な性能をもたらす。強い充填剤−充填剤相互作用と不十分な充填剤−エラストマー相互作用が不十分なシリカの性能を説明すると述べられる。シリカ−エラストマー相互作用は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラ−スルファン(ドイツDegussa AGからSi−69として商業的に入手し得る)のような化学的カップリング剤でその2つを化学的に結合することにより改良され得る。Si−69のようなカップリング剤はエラストマーとシリカの間に化学的結合を創り出し、それによりシリカをエラストマーにカップリングする。
【0005】
シリカが化学的にエラストマーにカップリングされるとき、得られるエラストマー組成物のある性能特性が向上される。乗物のタイヤに配合されるとき、このようなエラストマー配合物は改良されたヒステリシスバランスを付与する。しかし主要な補強剤としてシリカを含有するエラストマー配合物は低熱伝導、高電気抵抗率、高密度および不十分な加工性(processability)を示す。
【0006】
カーボンブラック単独がエラストマー組成物に補強剤として使用されるとき、それはエラストマーに化学的にカップリングするのではなく、カーボンブラック表面はエラストマーと相互作用するための多くの部位を付与する。カーボンブラックとともにカップリング剤の使用はエラストマー組成物に多少の性能向上を付与するが、その向上は、カップリング剤をシリカとともに使用するときに得られるものと同等ではない。
【0007】
加えて、粒子充填剤材料のような充填剤材料を含むポリマー発泡体は広く知られており、数多くの用途に使用されている。カーボンブラックもしくは他の粒子充填剤のような粒子充填剤を含有する、独立気泡の硬質ポリマー発泡体、特にポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体は、断熱目的のために広く用いられている。この型の発泡体および断熱目的のためのその使用は、例えばDe Vosらの米国特許第5,604,265号明細書に開示される。さらにBartzらの米国特許第5,373,026号明細書に、カーボンブラック充填剤を配合したポリマー発泡体構造が断熱目的のために教示される。これらの特許は引用によりここに組入れられる。
【0008】
例えばポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体のようなポリマー発泡体において、コスト低減および/または断熱改良は発泡体セル径を制御することにより、および/または赤外吸収を増加させることにより発泡体中に充填剤材料の分散を改良することにより達成され得る。
【0009】
ポリウレタンおよびポリイソシアヌレート発泡体のようなポリマー発泡体において、セル構造の窓は赤外放射に大部分透明であると考えられる。これらの発泡体の熱伝導はセルの窓の赤外吸収を増加させることにより改良されるべきである。これを行なう1つの方法はセルの窓の赤外吸収を改良しようと努力して発泡体にカーボンブラックのような赤外吸収物質を添加することである。しかし、これらの発泡体におけるカーボンブラックの分布は不十分であり、大部分のカーボンブラックは発泡体の支柱に存在する。すなわち、発泡体の窓はカーボンブラックをほとんど、もしくは全く含有しない。実際に、従来の検討が支柱にみられるカーボンブラック濃度と同等の窓におけるカーボンブラック濃度を達成したか疑わしい。
【0010】
改良された性能特性を有する発泡体および/またはそのような発泡体製造のコストと複雑さの低減に関してポリマー発泡体産業において承認された必要性がある。
【0011】
発泡体遮断、冷凍ユニットもしくは他の器具、または建築遮断のような、ある用途において、この必要性はハロゲン化発泡剤の減少もしくは排除により引起される遮断性能の損失により増加した。いくつかの代替吹込み剤がもっと高い熱伝導性を有する発泡体を製造するために見出されている。したがって、種々の遮断用途、特に器具および建築用断熱用途のために適切なポリマー発泡体の熱伝導を低下させる必要性が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,604,265号明細書
【特許文献2】米国特許第5,373,026号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、エラストマーもしくはポリマー材料に配合されるときに、改良された特性および/または上述の困難の1つ以上を克服する改良された充填剤を提供する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の要約
本発明の特徴は、エラストマーおよび/またはポリマー材料に配合され得、少なくとも1つの向上した性質を付与する凝集体を提供することである。
【0015】
本発明のもう1つの特徴はポリマー発泡体に配合され得る充填剤材料を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの特徴はタイヤ等の物品に配合され得る充填剤材料を提供することである。
【0017】
改良されたポリマー発泡体を提供することが本発明のさらなる特徴である。比較的低い熱伝導、あるいは発泡体の単位コストあたり比較的低い熱伝導を有するポリマー発泡体を提供することが本発明の特別な特徴である。本発明のある好適な態様によれば、以前にはそのような用途には用いられておらず、種々の遮断目的に適している表面改質粒子充填剤材料を配合する硬質の、独立気泡のポリマー発泡体を提供することが特徴である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の付加的な特徴および利点はつづく説明で部分的に述べられるが、残りはその説明から明らかであり、または本発明の実施により修得され得る。本発明の目的および他の利点は記載された説明および請求項に特に指摘された要素および組合わせにより認識され、得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの、そして他の利点を達成するために、ならびに本発明の目的により、ここに具体化され、広範に説明されるとおり、本発明は少なくとも1つの付着ポリマーを有する凝集体に関し、凝集体は少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つのケイ素含有種相を含む。
【0020】
さらに本発明は少なくとも1つのエラストマーおよび本発明の凝集体を含むエラストマー組成物に関する。
【0021】
さらに本発明は、本発明の凝集体を含有するポリマー発泡体に関する。
【0022】
さらに本発明は少なくとも1つのポリマーおよび本発明の凝集体を含有するポリマー組成物に関する。
【0023】
さらに、本発明は本発明の凝集体の製造方法に関し、少なくとも1つの炭素相およびケイ素含有種相を含有する凝集体を、官能基を有する少なくとも1つの反応性ポリマーと結合させること、ならびに少なくとも1つの付着ポリマーを有する凝集体を形成するために混合することを含む。好適にはこの方法において、熱もしくは他の手段も生すべき付着のための反応時間を低減させるために加えられる。
【0024】
加えて、本発明は、ある化学修飾した炭素質(「CMC」)充填剤を含む新規なポリマー発泡体、すなわちポリマー発泡体中に分散された化学修飾炭素材材料、に関する。本発明に用いられる化学修飾した炭素質充填剤は粒子表面に付着した、ポリマーユニット、任意に化学的に官能化されたポリマーユニット、を有する炭素質粒子材料を含む。さらに次に開示されるように化学修飾した炭素質充填剤はポリマー部分の付着を有する炭素質材料を含む。
【0025】
前述の一般的説明および次の詳細な説明は例示的、説明的にすぎず、請求項に記載される本発明をさらに説明するために提供される。
本発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1つのポリマーに付着した凝集体に部分的には関する。出発凝集体は少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つのケイ素含有種相を有する凝集体であるのが好適である。ポリマーの付着は好ましくは出発凝集体の表面であり、もっと好ましくは共有結合によるのが好適な化学的付着であるが、他の種類の付着も本発明に使用され得る。
【0026】
本発明の出発凝集体は米国特許第5,948,835;5,919,841;5,904,762;5,877,238;5,869,550;5,863,323;5,830,930;5,749,950;5,622,557;および5,747,562号明細書に記載されている凝集体であり得る。さらに、WO 98/47971;WO 96/37547;およびWO 98/13418に記載されている出発凝集体も使用され得、そしてこれらの特許および公開は引用によりここに丸ごと組入れられる。
【0027】
本発明の目的のために、少なくとも1つのカーボン相およびケイ素含有種相を含有する出発凝集体もケイ素処理カーボンブラックとして知られている。好ましくは、使用されるケイ素処理カーボンブラックは、エラストマーに使用されるとき、カーボンブラックに比較して、低温で不十分な耐摩耗性、同等もしくは高い損失係数、ならびに高温で比較的低い損失係数をエラストマーに付与する能力を有する。少なくとも1つの炭素相およびケイ素含有種相を含有する出発凝集体はこれらの特許および公開に記載された態様で製造され得る。
【0028】
代替として、少なくとも1つの炭素相およびケイ素含有種相を含有する出発凝集体の代わりに、出発凝集体は少なくとも部分的にシリカで被覆されたカーボンブラックであり得る。そのような凝集体の例は、米国特許第5,916,934号明細書およびWO98/13428に記載されており、それらは引用によりここに組入れられる。少なくとも部分的にシリカで被覆されたカーボンブラックは米国特許第5,916,934号明細書に記載されるように製造され得る。
【0029】
上述の出発凝集体のほかに、出発凝集体は引用によりここに丸ごと両方とも組入れられる、PCT公開WO98/47971に記載されるように、少なくとも1つの炭素相および金属含有種相を含有する凝集体でもあり得る。
【0030】
本発明の目的のために、ポリマーを付着させるために用いられる出発凝集体は好ましくは少なくとも1つの炭素相およびケイ素含有種相を含有する凝集体である。もっと好ましくは凝集体は、ケイ素含有種相の大部分が凝集体表面にさらされているような凝集体である。したがって、ケイ素含有種相は凝集体の表面に、もしくは近くに主に存在するが、なお炭素相と同一の凝集体の部分であるのが好適である。ひとつの例として、凝集体表面積の約1%〜約50%以上にケイ素含有種相がさらされている凝集体が好適である。
【0031】
加えて、好ましくは、凝集体のケイ素含有相を形成するのに使用されるケイ素含有化合物は次の通りである。有用な揮発性のケイ素含有化合物は、カーボンブラック反応器温度で揮発し得る化合物を含む。例は、テトラエトキシオルソシリケート(TEOS)およびテトラメトキシオルソシリケートのようなシリケート、シラン例えば、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシランおよびアリールアルキルアルコキシシラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジエチルプロピルエトキシシラン、ハロゲン−オルガノシラン例えば、テトラクロロシラン、トリクロロメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチルエチルブロモシラン、シリコーン油、ポリシロキサンおよび環状ポリシロキサン例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMTS)、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、およびシラザン例えば、ヘキサメチルジシラザンを含むが、これらに限定されない。さらに、揮発性化合物、必ずしも揮発性でない分解性のケイ素含有化合物もケイ素処理カーボンブラックを生成するのに使用され得る。使用され得るケイ素含有化合物はEncyclopedia of Science and Engineering Vol.15、2版204〜308頁、および英国特許出願2 296 915号に記載されており、両方とも引用によりここに組入れられる。これらの化合物の有用性はそれらの揮発性および/または分解性について容易に測定され得る。低分子量のケイ素含有化合物が好適である。揮発性化合物の流速はケイ素処理カーボンブラック中のケイ素の質量%を決定する。
【0032】
本発明の好適な出発凝集体は次の種々の性質の1つ以上により特徴づけられる。例えば、凝集体は、好ましくは約2〜約100m2 /gの範囲であるBET(N2 )表面積とt−面積の間の差異により特徴づけられる粗い表面を有し得る。100m2 /gを超えるt−面積を有する凝集体について、BET(N2 )表面積とt−面積との間の差異は好適には約10〜約50m2 /gである。HF処理凝集体の表面粗さはBET(N2 )表面積とt−面積との間の差異で特徴づけられ、通常約1〜約50m2 /g、もっと好適には約5〜約40m2 /gである。HF処理後に、凝集体はなお粗い表面を有する。HF処理凝集体の表面粗さは、HF処理なしのもとの凝集体試料のケイ素含量(質量%)に対するHF処理後および前の凝集体の間のBET(N2 )表面積の差異の比により特徴づけられる。この比は好適には約0.1〜約10、もっと好適には約0.5〜約5である。HF処理後にDCPにより測定された質量平均凝集体径は未処理凝集に比較して約5%〜約40%減少するのが通常である。有意の量のシリカが、HF処理後に凝集体中に残り得る。残るシリカ灰分含量はHF処理試料の質量にもとづいて約0.05%〜約1%の範囲であるのが好ましい。凝集体中のこのシリカ灰分の量はケイ素含有化合物に由来するシリカ灰分を含み、カーボンブラック産生原料に由来するものではない。空気中で500℃における熱処理後に得られた凝集体におけるシリカ灰分のBET表面積は約200m2 /g〜約1000m2 /gであるのが通常であり、好ましくは約200m2 /g〜約700m2 /gである。前述の通り、いかなる組合わせも種々の性質について可能であり、凝集体は性質の1つ、そして2つ、いかなる3つ、いかなる4つ、いかなる5つ、もしくは全部を有し得る。さらに、すべてのこれらの凝集体は凝集体の質量にもとづいて、約0.1〜約5質量%の含量のイオウおよび/または窒素を含み得るのが通常である。ケイ素処理カーボンブラックにおけるケイ素の質量%は凝集体の、好適には約0.1%〜約25%、もっと好適には約0.5%〜約10%、そして最も好適には約4%〜約10質量%、または約8%〜約15質量%である。経済的な視点からは、受け入れられる性能特性が得られるならば、凝集体を製造するコストを低限させるという点で比較的少ないケイ素の使用が好適である。カーボンブラック反応器にケイ素含有化合物を注入することは生成物のストラクチャー(例えば、CDBP)の増加を生じ得ることが見出された。
【0033】
凝集体に付着されるポリマーに関して、凝集体に付着し得るいかなるポリマーも本発明に使用し得る。出発凝集体と反応され得る出発ポリマーの例は、ヒドロキシ末端ポリマー、アミン末端ポリマー等を含むが、これらに限定されない。好適には、出発凝集体と反応して付着する出発ポリマーは、シラン含有ポリマーであり、そしてもっと好適にはポリジメチルシロキサンのようなシロキサン型ポリマーである。付着され得る好適なポリマーの他の例は、ポリエーテル、メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアルキレン等を含むがこれらに限定されない。さらなる例は、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、イオウ含有ポリマー、ポリオレフィン、ポリオール、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、多糖類、ケトン基含有ポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、および不飽和ポリエステルならびにそれらの組合わせを含むが、これらに限定されない。
【0034】
さらに、みられるように、付着されるポリマーは炭化水素型のポリマーであり得る。すべてのこれらの出発ポリマーは商業的に入手し得るか、もしくは当業者に公知の方法により製造され得る。
【0035】
本発明の凝集体は、凝集体にポリマーを付着させるいかなる態様でも製造され得る。好適には、凝集体は、ヒドロキシ基、シラノール基、カルビノール/アルコール基(例えばC−OH)、Si−OR基(Rはアルキル基)、Si−X基(Xはハロゲン化物)もしくはアミン基のような、少なくとも1つの官能基を有する出発ポリマーと結合される、出発凝集体および官能基を有する出発ポリマーは一緒に結合され、出発凝集体中に出発ポリマーを均一に分布させるために好ましくは低〜中程度のせん断条件下で混合される。出発ポリマーは凝集体にそれ自体でずっと付着し得、好適には官能基の縮合によるが、他の反応メカニズムも可能である。反応時間を促進するために、熱が加えられ得、そして熱は温和な加熱もしくはポリマーが約300℃以下のように破壊する点までの温度であり得る。好適には、使用されるならば、加えられる温度は約35〜約275℃、そしてもっと好適には約50〜約120℃である。反応を触媒する他の手段が使用され得る。本発明の目的のためには、官能基は、出発ポリマーのどこにでも位置され得る。好適には、官能基は、ポリマーの末端に位置される。さらに1種より多い官能基が存在し得る。
【0036】
反応がいったん終了すると、ポリマーの少なくともいくつかの官能基がポリマーから置換され、ポリマーの残りの部分は凝集体に付着される。本発明の目的のために、ポリマーは凝集体のいかなる相にも付着し得、好ましくは主にケイ素含有種相に付着される(そのような凝集体が使用されるときには)。出発反応性ポリマーに対する出発凝集体の量もしくは比は凝集体に付着する所望の量に依存していかなる量であってもよい。好適には反応のための反応性ポリマーに対する凝集体の比は約30:1〜約1:10、そして好ましくは約20:1〜約1:5、そして最も好ましくは約10:1〜約1:1である。
【0037】
出発ポリマーは液体、もしくは粉末のような固体として存在し得る。もし粉末等が使用されるならば、粉末は溶媒中に溶解もしくは分散されるのが好ましい。
【0038】
本発明の目的のために、1種以上のポリマーが同一の凝集体に付着され得、または凝集体の混合物が凝集体の1つの部分が1種のポリマーを付着され、凝集体のもう1つの部分が異なる種のポリマーを付着されているように使用され得る。
【0039】
凝集体に付着される反応性ポリマーの含量はいかなる量であってもよく、凝集体の表面積に依存し、そしてさらに凝集体の所望の用途に依存する。好ましくは、そして1例としてのみ、凝集体に付着される反応性ポリマーの量は好ましくは0.01mmol/g〜約3.0mmol/g、もっと好ましくは約0.3mmol/g〜約2.0mmol/g、そして最も好ましくは約0.05mmol/g〜約1.0mmol/gの凝集体である。
【0040】
上述の付着のほかに、反応性ポリマーの付着の前に、もしくは後に、もしくは反応性ポリマーの付着の間でさえも、凝集体は凝集体に付着される他の有機基を有し得る。これらの有機基はさらに同定され、そして付着の好適な方法は米国特許第5,922,118;5,900,029;5,895,522;5,885,335;5,851,280;5,803,959;5,747,563;5,713,988;5,707,432;5,700,845;5,698,016;5,672,198;5,630,868;5,554,739;5,955,232号明細書に記載されており、これらのすべての特許はその使用を含めて、引用により丸ごとここに組入れられる。もし有機基が凝集体に付加的に付着されるならば、好適にはこの有機基は少なくとも1つの芳香族基および/または少なくとも1つのアルキル基、そしてもっと好適にはアルキルもしくは芳香族基は凝集体に直接に付着される。
【0041】
さらに、種々の処理をされた凝集体の混合物が結合され得る。すなわち、他の充填剤材料の混合物を、本発明の凝集体もしくは化学修飾した下の炭素質充填剤とともに使用することも本発明の範囲内である。付加的な成分を本発明凝集体と組合わせることも次の1つ以上のように使用され得る;
a)シランカップリング剤で任意に処理された付着有機基を有するケイ素処理カーボンブラック;
b)付着有機基を有する修飾カーボンブラック;
c)シリカで少なくとも部分的に被覆されたカーボンブラック;
d)シリカ;
e)例えば付着カップリング基を有する修飾シリカ;および/または
f)カーボンブラック。
【0042】
本発明のさらなる態様において、新規なポリマー発泡体はある化学修飾した炭素質(「CMC」)充填剤を含み、すなわちポリマー発泡体中に分散された化学修飾した炭素質材料を含む。本発明で使用され得る化学修飾した炭素質充填剤は、粒子表面に付着された、付着ポリマーユニット、任意には化学的に官能化されたポリマーユニット、を有する炭素質粒子材料を含む。好適な態様によれば、化学修飾した炭素質充填剤はカーボンブラック、黒鉛、活性炭等のような炭素質粒子充填剤であり、充填剤粒子について多くのポリマー部分を付着するように表面修飾されている。適切な化学修飾した炭素質充填剤材料は例えば商標ChemBlack(登録商標)で、Cabot Corporation,Boston、マサチューセッツ、米国により販売されている粒子充填剤を含む。適切な修飾カーボンブラック充填剤材料は引用により開示全体がここに組入れられる次の文献に開示されているものを含む:米国特許第5,672,198;5,571,311;5,630,868;5,707,432;5,803,959;5,554,739;5,698,016;および5,713,988号;ならびに公開された出願WO96/18688;WO97/47697;およびWO97/47699、すべては付着された有機基を有する炭素製品および顔料に関する;米国特許第5,747,562;および5,622,557;および公開された出願WO96/37547;およびWO98/13418、すべてはケイ素処理されたカーボンブラックに関する;および公開された出願WO98/13428;シリカ被覆カーボンブラックに関する;および米国特許出願USSN08/962,244;USSN08/968,299;USSN09/089,363;USSN09/089,263;およびUSSN09/181,926、すべては基の安定なフリーラジカル付着に関する。本発明の目的のために、先述の少なくともポリマー付着を有する凝集体も同様に化学修飾した炭素質材料であると考えられ得る。さらに、これらの充填剤材料のいかなる混合物も本発明のポリマー発泡体に使用され得る。
【0043】
化学修飾した炭素質充填剤のポリマー部分は、好ましくはイオン、共有結合もしくは等価の化学結合により炭素質粒子の表面に直接に付着されている。したがって、本発明のポリマー発泡体に配合されるこれらの充填剤材料は炭素質粒子上のポリマー被覆ではない。単なる被覆は十分には処理し得ず、断熱性能における必要な改良および商業的に製造されたポリマー発泡体におけるコスト低減を付与しない。界面活性剤もしくは他のポリマーを充填剤材料と混合することにより得られたような、炭素質充填剤粒子上の単なるポリマー被覆は、特に、もしポリマーが、終了したポリマー発泡体において実質的に向上した断熱値を付与するのに有効な種類およびポリマー鎖の長さであれば、商業的なポリマー発泡体製造法で出会うせん断力により炭素質粒子から実質的な量を取り除かれ得る。商業的な反応射出成型(RIM)法で出会うせん断力は、例えば、カーボンブラックのような炭素質粒子から実質的量のポリマー被覆を取り除くことがわかった。
【0044】
対照的に、ポリマー発泡体における充填剤として使用されるための本発明の化学修飾した炭素質充填剤は、特に好適な態様で、商業的なポリマー発泡体製造において出会うせん断力のもとでさえ炭素質粒子から実質量を取り除かれない。好適な態様において、化学修飾した炭素質充填剤は少なくとも1つの付着ポリマー部分を好適に有する表面修飾炭素質粒子材料を含み、ポリマー発泡体断熱等を製造するためのRIM処理で出会うせん断力下でさえも炭素質粒子に好適には付着したままである。理論に縛られるのを望まないが、本発明の化学修飾した炭素質充填剤の少なくともある好適な態様は、炭素質粒子の表面、もしくは炭素質粒子にそれ自体、同様に付着している官能基と原子価−軌道相互作用を有し得る。次に説明されるように、化学修飾炭素質充填剤はポリマー部分を炭素質粒子材料の表面に付着することにより製造され得る。ポリマー部分はオリゴマーであってもよい。修飾される適切な炭素質粒子材料は、カーボンブラック、活性炭、黒鉛、木炭、活性木炭、炭素繊維、フィブリル等を含むが、これらに限定されない。さらに、修飾される適切な炭素質粒子材料は前述の出発凝集体を含む。
【0045】
化学修飾した炭素質充填剤は従来の量でポリマー発泡体中に存在し得る。好ましくは化学修飾した炭素質充填剤は最終の発泡体組成物において、約0.1〜約18.0質量%以上、もっと好ましくは約1.0〜約12.0質量%、例えば約8.0質量%、の量で使用される。好適には、修飾したカーボンブラック充填剤は最終発泡体組成物において、約0.1〜約10.0質量%、もっと好適には約1.0〜約5.0質量%、例えば約4.0質量%の量で使用される。
【0046】
好適な態様によれば、ポリマー発泡体に用いられる化学修飾した炭素質充填剤は対応する未充填発泡体よりも高い、改良された断熱値を付与し、そして付着されたポリマー部分を有さない対応する従来の炭素質充填剤を含む対応する発泡体よりも高い。この改良は、充填剤の比較的良好な加工性に1部は由来し得、特に商業的に利用し得る発泡体製造材料、装置および方法を用いる良好な加工性であり、発泡体中の充填剤のより良好な分散を導く。ある態様において改良は、以下に述べるように発泡体の窓における化学修飾した炭素質充填剤の優先的な配置に1部由来し得る。
【0047】
もう1つの態様において、硬質の、独立気泡のポリマー発泡体が用意され、上述の化学修飾した炭素質充填剤を含む。ある好適な態様は化学修飾した炭素質充填剤を有する硬質の、独立気泡のポリマー発泡体であり、非CFC発泡剤および/または発泡体製造につづくその反応生成物を含んでいる。ある好適な態様によれば、ポリウレタン発泡体が用意され、発泡体中に分散された化学修飾した炭素質充填剤を含む。ある好適な態様によれば、ポリイソシアヌレート発泡体が用意され、発泡体中に分散された化学修飾した炭素質充填剤を含む。ある好適な態様によれば、ポリスチレン発泡体が用意され、発泡体中に分散された化学修飾した炭素質充填剤を含む。
【0048】
もう1つの態様によれば、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体および/またはポリスチレン発泡体が用意され、発泡体中に分散された化学修飾した充填剤を含む。ある特に好適な態様によれば、硬質の、独立気泡のポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体および/またはポリスチレン発泡体は適切なカーボンブラック材料をポリスチレン官能化反応物と反応させて、カーボンブラック粒子の表面に官能基を置くことにより形成された修飾したカーボンブラック充填剤を配合する。ある態様によると、修飾した炭素質充填剤はC1〜C20の基のような官能基、例えばイソシアネート、アシルアジド、アルコール、アミン、チオール、アルコキシド、もしくはそれらの混合物から選ばれるC1〜C8の基を有する。
【0049】
ある好適な態様によれば、化学修飾した炭素質充填剤はポリウレタン発泡系のポリオールもしくはイソシアネート反応成分(または両方)に分散された表面修飾カーボンブラックである。もう1つの態様によれば、ポリマー発泡体、好ましくは硬いポリウレタンもしくはポリイソシアヌレート発泡体、は種々の適切なシランおよび/またはシリコーン材料で処理された炭素質粒子材料の反応生成物であり得る化学修飾した炭素質充填剤を含む。理論に縛られることを望まないが、炭素質材料の表面の化学的性質はシランもしくはシリコーン材料でのそのような処理により修飾されると現在理解される。好適には、シラン材料はイソシアナートと反応する、アミンおよび/またはアルコールのような、官能基を含む。適切なシリコーン処理材料はカーボンブラック粒子材料を処理して修飾したカーボンブラック粒子充填剤を形成するための、シリコーン/エチレンオキシドもしくはシリコーン/プロピレンオキシドコポリマーのようなシリコーン界面活性剤を含む。好適には、炭素質粒子材料は表面の化学的性質の1部として、シラン、シリコーン、もしくはシリコーン界面活性剤で結合され得る領域を有する。任意には、そのような表面領域はシリカ質であり、シラノール基を含む。その構造の1部としてヒドロキシ(Si−OH)および/またはアルコキシ基(例えばSi−OR、Rはアルキル基)を有するシラン、シリコーンおよびシリコーン界面活性剤がこのような態様での使用に好適である。理論に縛られたくはないが、これらのシラン、シリコーンもしくはシリコーン界面活性剤と炭素質粒子材料のシラノール基との縮合は粒子材料の表面修飾を生じ、それによりシラン、シリコーンもしくはシリコーン界面活性剤は粒子の表面に付着される。ある好適な態様によると、これらの表面官能化炭素質粒子充填剤はポリウレタン発泡体系のポリオールもしくはイソシアネート反応成分(または両方)によく分散されている。この種の修飾炭素質粒子充填剤は、ある特に好適な態様により硬質の、独立気泡のポリウレタン発泡体中に配合されるとき、対応する未処理カーボンブラック粒子材料で同一のポリマー系を用いて得られるよりも発泡体セルの窓において高い濃度でみられる。特に、修飾炭素質粒子充填剤の多くはポリウレタン発泡体の気体/固体界面でみられる。充填剤材料の改良された分布は対応する未処理カーボンブラック材料を含む同一の発泡体に比較して低い熱伝導の発泡体を生じる。
【0050】
この種の化学修飾した炭素質充填剤は、ある好適な態様により硬質の、独立気泡のポリウレタン発泡体に配合されるとき、対応する未処理カーボンブラック材料を含む同一のポリマー系を用いて得られるよりも発泡体セルの窓で比較的高い濃度を有する。特に、修飾炭素質粒子の多くはポリウレタン発泡体の気体/固体界面でみられる。充填剤材料の改良された分布は、対応する未処理カーボンブラックを含む同一の発泡体に比較して低い熱伝導の発泡体を生じる。
【0051】
ある好適な態様によると、化学修飾した炭素質充填剤の約90%が発泡体の支柱部分に存在し、残りの約10%は発泡体セルの窓に存在する。もっと好ましくは、化学修飾した炭素質充填剤の約80%のみが支柱に存在し、少なくとも約20%が窓に存在する。さらに代わりの態様において発泡体セルの窓部分における化学修飾炭素質充填剤の粒子密度は約20%より大きい。あるいは修飾炭素質粒子充填剤の約70%は支柱に存在し、そして少なくとも約30%が窓に存在する。さらなる代りの態様において、発泡体セルの窓部分における修飾した炭素質粒子充填剤の粒子密度は発泡体セルの支柱部分にみられるよりも同等以上である。
【0052】
1つの態様によると、修飾した炭素質粒子充填剤を含む、独立気泡のポリマー発泡体が用意され、そこでは修飾した炭素質粒子充填剤の不釣合いに高い部分が発泡体セルの窓の部分に位置され、そして修飾したカーボンブラック粒子充填剤の相応して低い部分が発泡体セルの支柱部分に位置される。
【0053】
ある好適な態様によると、独立気泡のポリマー発泡体、好ましくはポリウレタンもしくはポリイソシアヌレート発泡体は、表面修飾された(例えば、上述のように特にポリマー部分に化学的に結合される)カーボンブラック、活性炭、木炭、活性木炭、黒鉛、炭素繊維もしくはフィブリル、またはそれらの1つもしくはそれより多い混合物の形態で、化学修飾した炭素質充填剤を含む。好ましくはそのような化学修飾炭素質充填剤は、発泡体内で、特に発泡体の窓で、気体/固体界面で個々の粒子を優先的に位置させるに有効な官能基を付与する。これらの化学修飾炭素質充填剤のための好適な官能基は、例えば、アリール基、アルキル基、ケトン基、シラン基、エーテル基、フッ素化アリールおよびアルキル基、アルキルエステルおよびアルキルエーテル基、ケトン、ピロリジノン、ポリエーテル、ポリ(アルキレンオキシド)基、ポリ(フルオロエーテル)基、およびポリ(ジアルキルシロキサン)基を含む。好適には、このような表面官能性は、置換ジアゾニウム塩の炭素質材料との反応により炭素質充填剤表面に付着される。適切な反応方法および材料は上で、そして例えば上述の米国特許で開示されており、それらは引用によりここに組入れられる。表面修飾は好ましくは炭素質材料の表面への官能基の共有結合による付着により生ずるが、他の付着も可能である。他の好適な態様によると、官能基の付着のための前述の表面修飾はラジカル反応によりカーボンブラックの表面にポリマーをグラフト化することによって達成され得る。ラジカル反応の例は炭素質充填剤との安定化フリーラジカルポリマーの反応を含む。他の好適な態様によると、付着基のさらなる官能化は、例えばイオンもしくはフリーラジカル重合法を用いることによるような炭素質粒子の表面からポリマーを成長させることにより可能である。本発明で使用するためのこれらおよび他の適切な表面修飾法および材料およびその安定性は本発明の開示を受けた利益により当業者により明らかであろう。
【0054】
もう1つの態様によると、独立気泡のポリマー発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体は、化学修飾した炭素質充填剤を配合して、ポリウレタン発泡体系のイソシアネート成分もしくはポリオール成分のいずれかで充填剤の改良された分散を与える。改良された充填剤分散は得られるポリウレタン発泡体系の熱伝導性を低下させる。対照的に、種々のカーボンブラックのような公知の粒子材料がポリウレタン発泡体系に分散されるとき、得られる材料は発泡体内で一様でない分布を有するのが通常である。もっと詳しくは、カーボンブラックもしくは他の粒子材料は発泡体構造の支柱内に集中されているのが通常である。この一様でない分布は望ましいよりも高い熱伝導をもたらす。ある好適な態様によると、化学修飾炭素質充填剤はいくつかのもしくはすべてのそのような従来公知充填材料に加えて、もしくは代って使用される。もっと具体的には、表面修飾カーボンブラックを含む化学修飾炭素質充填剤、最も好ましくは1つ以上の有機基、またはエステルもしくはアルキルのような有機基を有するポリマー部分を与えるために化学的に処理されたカーボンブラックはポリウレタン発泡体系のイソシアネート部分に改良された分散を生じる粒子に有益な性質を与える。1つ以上の極性官能基またはアルコール、アミン等のような極性官能基を有するポリマー部分を得るために化学的に処理されたカーボンブラックを含む化学修飾した炭素質充填剤はポリウレタン系のポリオール部分に改良された分散を有する。さらに、アルコールもしくはアミン基を有するこれらの化学修飾した炭素質充填剤はポリウレタン系のイソシアネート部分と反応性がある。
【0055】
ある特に好適な態様によると、分散および熱伝導における追加の改良(すなわち、良好な分散および比較的低い熱伝導)は上述の化学修飾した炭素質充填剤材料を例えばシリコーン/エチレンオキシドもしくはシリコーン/プロピレンオキシドコポリマーのような界面活性剤と結合させることにより達成される。
【0056】
もう1つの態様によると、化学修飾した炭素質充填剤を配合するポリマー反応物材料が用意され、上述のポリマー発泡体製品の製造に適する。
【0057】
特に、断熱分野で重要であり、本発明は改良された熱性能特性を有する充填されたポリマー発泡体を提供する。もっと詳しくは、本発明の少なくともある好適な態様により、修飾したカーボンブラック粒子充填剤を配合するポリマー発泡体は、実質的に同一の粒径およびストラクチャーを有するカーボンブラックもしくは充填剤を同様の質量%で配合する、他の点で比較し得る発泡体と比較されるとき、改良された熱的性能を与えることがわかる。
【0058】
好適なポリマー発泡体は、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、ポリスチレン等を含む。好ましくはポリマー発泡体は硬質の、独立気泡の発泡体であり、本発明の化学修飾したある量の炭素質材料を有する。本発明の化学修飾した炭素質材料は、好適な態様により硬質の、独立気泡のポリマー発泡体に配合されるとき、従来の充填剤材料で同一のポリマー系を用いて得られるよりも発泡体セルの窓で高い濃度となると考えられる。特に、多くの化学修飾した炭素質材料がポリマー発泡体の気体/固体界面でみられ得る。この充填剤材料の改良された分布は従来の充填剤材料を含む同一の発泡体に比較して発泡体の比較的低い熱伝導を生じるのが好ましい。ポリマー発泡体において本発明の化学修飾炭素質材料の使用は、改良された赤外放射吸収、良好な分散性、および/または発泡体の改良された断熱性をさらにもたらし得る。したがって本発明の化学修飾した炭素質材料は同様の量を用いる従来の充填剤材料よりも低い熱伝導をもたらす、発泡体中に化学修飾した炭素質材料の分布を有する、得られる材料を好適に導く。
【0059】
種々の態様は、例えば家もしくは他の建築用途のための遮断材料として、家庭もしくは産業用器具、例えば冷凍ユニット等、のための断熱および遮音材として、適切である。特定の意図された用途に合わせるためにポリマー発泡体を配合することは当業者の能力の範囲内である。特に、化学修飾した炭素質材料を含むポリマー発泡体を配合するためのこの開示の利益を、遮断用ポリマー発泡体における使用に周知であるようなそのような添加物と任意に一緒に与えられた、当業者の能力の範囲内である。理論に縛られたくないが、以前の充填されたポリマー発泡体における従来の充填剤は発泡体のセルの「窓」よりも、個々のセルの「支柱」部分に優先的に位置されていたと考えられる。ポリマー材料が窓を形成するために薄くされる発泡工程は従来の充填剤材料を窓領域から支柱領域に移動させると考えられる。本発明のある好適な態様によれば、化学修飾した炭素質材料が使用され、発泡体セルの支柱よりも窓部分に優先的に位置される。したがって、例えば同一粒径およびストラクチャーのカーボンブラック粒子の使用で比較すると、本発明の化学修飾炭素質材料の使用は従来のカーボンブラック粒子充填剤を使用して得られるよりもポリマーセル発泡体の窓部分の比較的大きい粒子密度を生じさせる。好適な態様において、化学修飾した炭素質材料は発泡体セルの支柱部分でみられるのと同等の、発泡体セルの窓側部分の粒子密度を達成する。ある非常に好適な態様において、セルの窓における粒子分布は、発泡セルの支持部分のものよりはるかに高い。
【0060】
本発明の発泡体に使用されるのに適切なポリマー材料は遮断用発泡体用途に現在知られているものを含む。好適なポリマー発泡体はポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体およびポリスチレン発泡体を含む。ある好適な態様において、そのような発泡体はクロロフルオロカーボン(CFC)およびヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)なしに形成され得る。むしろ、これらの好適な態様は発泡剤としてペンタンおよびイソペンタンのような、ある炭化水素を使用する。そのような炭化水素発泡剤を用いて形成されたポリウレタン発泡体のようなポリマー発泡体の熱伝導率は、CFCもしくはHCFCで形成された対応する発泡体よりも高い熱伝導率を有する。しかし、炭化水素発泡剤はCFCおよびHCFCに対して環境的に有利であると考えられる。本発明のある好適な態様によって、炭化水素発泡剤で形成されるポリマー発泡体の比較的高い熱伝導率は本発明の化学修飾した炭素質充填剤もしくは化学修飾した炭素質材料の使用により低下される。
【0061】
発泡体セルの窓における、化学修飾した炭素質材料もしくは充填剤の優先的な配置は付加的な利益を付与する。具体的には、発泡体セルの窓に位置される化学修飾した炭素質材料もしくは充填剤は、赤外(IR)吸収体として作用するが、放射性熱損失を減少するのにもっと効果的であることがわかる。粒子充填剤の熱伝導率はポリマー材料の熱伝導率より実質的に高いのが通常であるので、粒子充填剤の量を低下させることは発泡体の熱伝導を減少させ得る。したがって、発泡体セルの窓に優先的に位置する本発明の化学修飾した炭素質材料を用いることにより、所望の放射性損失の減少が比較的少ない粒子充填剤で達成され得、それにより所望の固相伝導率の低下も達成され得る。好適な態様により化学修飾した炭素質材料は発泡体の質量の(すなわち合計発泡体組成物の単位質量あたり)約6%より少ない量で本発明のポリマー発泡体において使用される。もっと好適には本発明の化学修飾した炭素質材料は約4wt%より少ない量で、例えば約1%〜約4%で使用される。
【0062】
ある好適な態様によると、構造を遮断する方法が提供され、特に断熱材および遮音材を提供する方法である。前述の開示により独立気泡のポリマー発泡体の層、例えばシートもしくはブロック、が構造の壁の少なくとも1要素として使用される。好ましくは硬ポリマー発泡体パネル、任意には押出された遮断ポリマー発泡体構造が、遮断されるために構造の壁に用いられる。この点について、本発明はBartzらの米国特許第5,373,026号明細書の開示の改良であり、その開示全体は引用によりここに組入れられる。
【0063】
同様に、本発明はDe Vosらの米国特許第5,604,265号明細書の開示の改良であり、それは微細セル、独立気泡の硬ポリウレタンもしくはウレタン修飾ポリイソシアネート発泡体の製造に関する。De Vosらの特許の全開示は、微細セル、独立気泡の硬質発泡体の製造および使用についての教示を引用することによりここに組入れられる。De Vosらの特許で提案されたカーボンブラック充填剤に代えて本発明の化学修飾した炭素質材料を配合するポリマー発泡体製品を製造し使用することは、本発明のこの開示の利益を与えられる当業者の能力内である。ある好適な態様において、本発明のポリマー発泡体は2つ以上のポリマー成分、例えばポリイソシアネート成分およびポリオール成分を一緒に混合することにより製造される。本発明の化学修飾した炭素質材料は、反応性成分が一緒に混合されるので反応性成分を混合する前に1つ以上のそのような反応成分に分散され得る。あるいは、本発明の化学修飾した炭素質材料は、反応性成分が一緒に混合されるので、反応性成分に分散され得る。好適にはポリマー発泡体は、少なくとも約87%の独立気泡、もっと好ましくは少なくとも91%の独立気泡を有する。ある好適な態様によると、ここに開示される化学修飾した炭素質材料を含む硬質の、独立気泡の、ポリウレタン発泡体は厚さが約0.5μmであるセル窓を有する。この種の特に好適な態様は化学修飾した炭素質材料を用い、表面はアミンもしくはアルコール基を有するポリマー部分に結合されており、そのようなポリウレタン発泡体のポリオールもしくはイソシアネート反応性成分に反応性もしくは親和性を付与する。ポリウレタン発泡体は、本発明の化学修飾した炭素質材料を、発泡体の適切な反応性成分に優れた初期分散を達成することにより形成される。
【0064】
ある好適な態様によると、独立気泡の、硬質ポリマー発泡体は化学修飾した炭素質材料の表面に付着された低表面エネルギー基を有する、本発明の化学修飾した炭素質材料を含む。理論に縛られたくはないが、本発明の化学修飾した炭素質材料の表面の低表面エネルギー基はそれらのぬれ特性を変化させると今は理解される。表面エネルギーのこれらの変化は、発泡体セルの窓に主にみられる気体/固体界面の方へ充填剤粒子を向かわせると考えられる。ある特に好適な態様によると、本発明の化学修飾した炭素質材料は、C1〜C20基、例えばC1〜C8基のようなアルキル、もしくはハロゲン化アルキル基、特にフッ素化アルキル基、ポリアルキレンオキシド、もしくはポリシロキサンを有する。ある好適な態様により、ここで開示される発泡体に用いられる化学修飾した炭素質材料の表面処理は好適には約1〜約5μmol /m2である。
【0065】
好適な態様によると、ポリマー反応物は:フルオロポリマー、アルキレンオキシドポリマーもしくはポリエーテル、最も好ましくはフルオロプロピレンオキシドポリマー、数平均分子量約200〜20,000、もっと好ましくは約500〜5000、例えば約1000;アルキレンオキシドポリマーもしくはポリエーテル、最も好ましくはプロピレンオキシドポリマー、数平均分子量約200〜20,000、もっと好ましくは約500〜5000、例えば約1300;および数平均分子量約200〜20,000を有するシロキサン、もっと好ましくは500〜5000、例えば約1300、から選ばれる。ポリマー反応物の反応性官能性は上述のように化学的に結合された反応生成物を産生するために選ばれる。ここで開示される充填発泡体材料に適した化学修飾した炭素質材料のための例示的なシリコーン表面修飾剤は、例えばポリジメチルシロキサン、他の有機シロキサンおよび、例えばアルキレンオキシドのような他の材料を含むブロックコポリマーを含む。
【0066】
特に好適な態様において、本発明の化学修飾した炭素質材料を配合する独立気泡の、硬質ポリマー発泡体は、少なくとも1%の熱伝導率を有し、そしてある特に好適な態様において5%もしくは10%でもあるが、充填剤なしの対応するポリマー発泡体よりも良好(すなわち低い)である。さらに、本発明の化学修飾した炭素質材料と同様な量で対応する従来のカーボンブラックを用いるポリマー発泡体よりも良好な断熱値を有し得る。
【0067】
ある好適な態様によると、化学修飾した炭素質材料を含む硬質の、独立気泡のポリウレタン発泡体は、厚さが約0.5μmであるセル窓を有する。ある好適な態様によると、硬質の、独立気泡のセルの発泡体、例えばポリウレタン発泡体は、200μmより小さいセル大きさ、好ましくは約150〜約200μmで得られる。好適な態様に適している、ここで開示された化学修飾した炭素材料は、例えば発泡体製造時に核セル形成にガスを発生できるもの、とくに上昇された温度でガスを発生し得る表面官能性を有するもの、を含む。この種の特に好適な態様は、t−ブチルカーボネートもしくはアシルアジド等で処理された化学修飾した炭素質材料を配合するポリウレタン発泡体を含む。ある代わりの態様によれば、化学修飾した炭素質材料は高温で分解してガスを発生する物質もしくは表面被覆を有する。なお他の好適なこの種の態様において、硬質の、独立気泡のポリウレタン発泡体は高度に多孔質である、化学修飾した炭素質材料を含む。理論に縛られたくはないが、このような化学修飾した炭素質材料は発泡体セル形成の核をなす発泡体製造工程の間に放出されるガスを捕捉すると現在は理解される。
【0068】
本発明のある好適な態様において、修飾された炭素質粒子充填剤は、さらに説明されるように、炭素質粒子材料の表面を化学的に修飾することにより製造される。特に好適な態様において、修飾された炭素質粒子充填剤のような化学的に修飾した材料を配合する、独立気泡の、硬質ポリマー発泡体は少なくとも1%の熱伝導率、そしてある特に好適な態様においては5%もしくは10%でもあるが、充填剤なしの対応するポリマー発泡体よりも良好(すなわち低い)である。さらに、修飾したカーボンブラック粒子充填剤と同様な量で、対応する従来のカーボンブラックを用いる対応するポリマー発泡体よりも良好な断熱値を有する。
【0069】
この種の特に好適な態様は、化学修飾したカーボンブラックにより形成された修飾炭素質粒子充填剤を用いて、カーボンブラック表面にアミンもしくはアルコール官能基を付与し、そのようなポリウレタン発泡体のポリオールもしくはイソシアネート反応性部分に反応性もしくは親和性を付与する。したがって、ポリウレタン発泡体は、修飾したカーボンブラック粒子充填剤を発泡体の適切な反応成分に優れた初期分散を達成させることにより形成される。
【0070】
この種の修飾カーボンブラックの例示は、Cabot Corporationから商業的に入手し得る化学修飾した「BP2000」(商標)カーボンブラックのような、化学修飾した多孔質のカーボンブラックを含む。
【0071】
上述のとおり、本発明における使用に適したある修飾カーボンブラック粒子充填剤はカーボンブラック粒子材料を化学的に処理することにより形成され得る。約1〜4μmol /m2の表面処理が好適であり、たいていの場合4μmol /m2が特に好適である。なぜなら、これは代表的なカーボンブラック材料のおよそ全表面範囲を供給すると現在は理解されるからである。後記の実施例1〜13において、例示的な硬質の、独立気泡の、ポリウレタン発泡体が、本発明の好適な態様にしたがって形成される。
【0072】
次のポリウレタン発泡体成分が本発明の代表的な硬ウレタン発泡体に用いられる:
1.ポリオールもしくはポリオール配合物、
平均官能性3〜8、平均分子量約150〜1,600、そしてヒドロキシル価(mgKOH/g)250〜1,000。ポリオールは例えばポリエーテル、修飾ポリエーテル、もしくはポリエステルポリオール。
【0073】
2.ポリマーMDI、
NCO価(wt%NCO)27〜31、平均官能性2.7〜3.0および粘度230〜2700mPa(25℃)。
【0074】
3.触媒、
例えば第3級アミン(例えばジアミノビシクロオクタン)もしくは有機金属触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ)。
【0075】
4.界面活性剤、
例えばオルガノシロキサン、もしくはシリコーンにもとづく界面活性剤、例えばポリジメチルシロキサン−ポリエーテルグラフト共重合体界面活性剤。
【0076】
5.発泡剤
例えば、CFC,HCFC,FC、炭化水素、水等。
【0077】
6.任意に難燃剤
本発明の充填ポリマー発泡体生成物に適した例示的な硬ポリウレタン発泡体配合は下に示される割合で成分を一緒に混合することにより調製される。
【0078】
成分
ポリオール(ヒドロキシル価750) 100
PMDI(NCO価31) 182
界面活性剤 0.1〜5
アミン触媒 0.1〜3
シクロペンタン 5〜20
水 0.1〜5
上述のような化学修飾した炭素質充填剤が、改良された(すなわち低い)熱伝導度を有する発泡体を製造するために成分リストに追加され得る。化学修飾した炭素質充填剤がポリマー反応物、すなわちポリオールもしくはイソシアネート、に適切な充填含量、例えば6〜12%の充填で、適切な混合装置、例えばSilverson LAR高速回転子/固定子ミキサーを用いて分散され得る。例えば、充填剤/イソシアネート分散は最大速度で高垂直ヘッドを用いて30分間撹拌される。
【0079】
本発明のある好適な態様において、化学修飾した炭素質充填剤は炭素質粒子材料の表面を化学的に修飾することにより調製される。約1〜5μmol /m2 の表面処理が好ましく、たいていの場合4μmol /m2 が特に好ましい。代表的な炭素質材料のおよそ全表面範囲を供給すると現在は理解されるからである。このような態様で炭素質粒子に付着されるポリマー部分は、ある好適な態様において、適切に官能化されたポリマーと適切に官能化された炭素質粒子との反応から生じる。炭素質粒子との反応のために官能化され得るポリマー反応物は、例えば、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアルキレンオキシド、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、イオウ含有ポリマー、ポリオレフィン、ポリオール、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、多糖類、ケトン基含有ポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合含有ポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、および不飽和ポリエステルを含む。
【0080】
ある態様によれば、ポリマー反応物はポリアルキレンオキシドから選ばれ、そのアルキレン部分はC2〜C4部分であり、最も好ましくはポリエチレンオキシドもしくはポリプロピレンオキシド、またはエチレングリコールおよびプロピレングリコールのコポリマーのようなアルキレンオキシドのコポリマーである。炭素質材料、好ましくは低ストラクチャー、中程度の大きさで、MONARCH(登録商標)700のような塗料およびプラスチックにおいて充填剤としての使用が知られているカーボンブラックのそのようなポリマー修飾を使用するある態様において、ポリオールおよびイソシアネート反応物の反応生成物として製造されるポリウレタン発泡体について、3%〜5%もしくはそれより多い増加した断熱値が達成された。
【0081】
このようなポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドは、それぞれポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールといわれるが、好適には、炭素質粒子材料との反応性の良好なバランス、ポリマー発泡体における得られる表面処理充填剤の良好な分散性、および熱伝導率の良好な低下のために約200〜10,000の質量平均分子量を有する。もっと好適には質量平均分子量は約300〜5,000、最も好適には500〜3,000である。
【0082】
ポリアルキレンオキシドは好適には、炭素質粒子材料と共有結合的に、もしくはイオン的に結合される。下で説明されるジアゾニウム反応法は、ポリアルキレンオキシドをカーボンブラックおよび他の炭素質粒子材料に付着させるのに適する。好ましくは、炭素質粒子材料は、処理レベル約0.01mmol/g〜3.0mmol/g、もっと好ましくは0.03〜2.0mmol/g、最も好ましくは約0.05〜1.0mmol/gにポリオキシレンオキシドで処理される。特に、例えば、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(CAS No.9004−74−4)Mn750、およびポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル(CAS No.9003−13−8)Mn1000、ともにAldrich Chemical Co.,から商業的に入手し得る、ならびにコポリマー、例えばエチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー(CAS No.9003−11−6)がこのようなジアゾニウム反応法によりカーボンブラックおよび他の炭素質粒子材料を表面処理するのに使用され得る。このような方法の1つの例において、上述の末端をキャップされたポリエチレングリコール(CAS No.9004−74−4)がニトロフェニルイソシアネートと反応される。反応生成物のニトロフェニル基はついでアニリン、すなわちアミン官能化フェニル基、に、パラジウム触媒および水素ガスを用いて水素化により、還元される。次いで反応生成物は、予備処理もしくは予備官能化なしに、ジアゾニウム反応によりカーボンブラックに付着され、そこでは、硝酸のような2化学量論量の酸および1化学量論量の硝酸ナトリウムを用いてアニリン基を対応するジアゾニウム塩に転換させる。ジアゾニウム塩は任意にカーボンブラックの存在下で形成され得、カーボンブラックの表面に付着する。
【0083】
ある好適な態様によれば、炭素質材料は表面修飾されてシリコーン部分に化学的に結合する。あるそのような態様において、炭素質材料の表面は、炭素質材料の表面に負に帯電した基を付着させるジアゾニウム反応により先ず修飾される(例えばスルファニル酸のそれ、ベンゾスルホネート基の付着のため)。炭素質材料の表面は次いで正に帯電したアミノ−シリコーン化合物でさらに処理され、それは炭素質材料の表面に存在する負に帯電したイオン基で付着され、それ自体炭素質材料に付着される。アミノシリコーン基はオリゴマーシリコーン(例えば、4−アミノブチルジメチルメトキシシラン−C719NOSi)もしくはポリマーシリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン、アミノプロピルジメチル端末−NH2 CH2 CH2 CH2 O〔(CH32 SiO〕y CH2 CH2 CH2 NH2 )、もしくはペンダントアミン基を有するコポリマーからなる。処理基は単一もしくは二重のアミン官能性を有し得る。アミンは1級、2級もしくは3級(そこでは、好ましくはそれらは反応するためにプロトン化される)もしくは四級塩(そこでは、それらは本来的に正に帯電する)であり得、アミンの前述のカテゴリーのアルキル化により製造され得る。
【0084】
これらの新たに表面修飾された炭素質材料は、選択された処理レベルにもとづいて所望のケイ素含量を有し得る。この2段階の処理工程を用いて炭素質材料の表面を修飾することにより、ある好適な態様においてケイ素含有炭素質材料は、特にポリウレタンの枠組の中で、従来のグレードのカーボンブラックよりも発泡体のセル表面で比較的高い濃度であるのが見出される。すなわち、処理された炭素質材料粒子は界面活性剤の性質を有し、泡立つにつれてポリウレタンの気体/固体界面に優先的に移行し、したがって窓に位置してポリウレタン発泡体の断熱値を向上させる。
【0085】
代替の好適な態様において、その表面修飾はカーボンブラックについてであり、他の化学修飾炭素質充填剤はケイ素にもとづく官能基を有し、オリゴマーもしくはポリマーシリコーンもしくはシロキサンの付着により達成される。例示的なシリコーン表面修飾材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン、他の有機シロキサンおよび例えばアルキレンオキシドのような他の材料を含むブロックコポリマーを含む。さらに、表面修飾物品は選ばれた処理水準にもとづいて所望のケイ素含量を有し得る。
【0086】
ある好適な態様によると、カーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤は表面修飾されてポリアルキレンオキシド部分に化学的に結合する。あるそのような態様において炭素質充填剤の表面は、炭素質充填剤の表面に負に帯電した基を付着させるジアゾニウム反応によりまず修飾される(例えばベンゾスルホネート基の付着のためにスルファニル酸)。炭素質充填剤の表面は次いで正に帯電した基(例えばP−アルファ−アミノエチルフェノールプロポキシレート−N300)を含むポリアルキレンオキシドポリマーでさらに処理され、それは炭素質材料の表面に存在する負に帯電した基に付着され、それ自体、炭素質充填剤に付着される。炭素質充填剤はさらにジアゾニウム反応により修飾され得、それは正に帯電した基を炭素質充填剤の表面に付加させる(例えばピリジニウム基の付着のための3−アミノピリジン)。炭素質充填剤の表面は、次いで負に帯電した基を含むポリアルキレンオキシドポリマーでさらに処理され、炭素質充填剤の表面に存在する正に帯電した基に付着する。
【0087】
この2段階処理工程を用いて炭素質材料の表面を修飾することにより、付着基は発泡体製造成分(例えばPMDIもしくはポリオール)中にもっと良好に分散され、従来知られている充填剤と比べて発泡体のセル表面でカーボンブラックの比較的高い濃度にさせる。すなわち、処理された炭素質材料粒子は界面活性剤の性質を有し、泡立つにつれてポリウレタンの気体/固体界面に優先的に移行し、したがって窓に位置してポリウレタン発泡体の断熱値を向上させる。代替的な好適な態様において、カーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤はカーボンブラックにポリマーアルキレンオキシド基を付着することにより化学修飾される。
【0088】
ある好適な態様において、カーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤は粒子にフッ素化ポリマー部を化学的に結合することにより表面修飾される。ポリウレタンもしくはポリイソシアヌレート発泡体における改良された分散性、断熱性および難燃性が特に得られる。反応物として使用されるのに適したフッ素化ポリマーはフッ素化界面活性剤を含む。
【0089】
好適なフッ素化材料は、その構造の1部として、ジフルオロメチレン、ジフルオロメチレンオキシド、フルオロエチレンオキシド、もしくはヘキサフルオロプロピレンオキシドの直鎖、ならびに炭化水素および/またはポリエステルセグメントの短もしくは長鎖、を含む。フッ素化材料は、炭素質材料の表面に付着される。イオン結合による好適な付着のために、フルオロポリマーは、その分子構造に正もしくは負のいずれかの帯電部分を有するのが好適である。カーボンブラックもしくは他の炭素質粒子は反対に荷電された部分を有するように表面処理される。好適な共有結合付着のために、フッ素化合物は炭素質材料の表面に共有結合させる官能基を有するか、もしくは有するように修飾される。さらに、充填剤粒子はフルオロ化合物の官能基と反応性の官能基をもつように表面処理される。
【0090】
直接にフッ素化ポリマーに付着する場合、修飾されるべきカーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤はいくつかの特別の性質を有する必要がある。他の場合には、カーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤の表面は処理を受けて比較的安定で均一な荷電を残したままである。これらの表面官能化材料は、発泡体系のポリオールもしくはイソシアネート側のどちらに分散され得る。
【0091】
これらのカーボンブラックもしくは他の炭素質充填剤材料は、硬質の独立気泡のポリウレタン発泡体に配合されるとき、従来のグレードのカーボンブラックよりも発泡体のセル表面で比較的高い濃度であることがわかる。すなわち多くのカーボンブラックは修飾した炭素材料を含むポリウレタン発泡体における気体/固体界面でみられる。しかもある好適な態様において、修飾した炭素質材料の改良された分布は従来のカーボンブラックを含むポリウレタン発泡体に比較して比較的低い熱伝導率のポリウレタン発泡体を生じる。
【0092】
ある好適な態様によれば、例えば修飾した合成黒鉛を含む黒鉛が使用される。ここで述べるように黒鉛の表面の化学的性質の化学修飾は対応する未処理の材料に比べて性能が優れている処理黒鉛を供給する。特にこのような処理をされた黒鉛の配合は、低下した熱伝導率、向上した遮断特性を有する遮断性ポリマー発泡材料を、対応する未修飾黒鉛を配合することにより形成される対応材料と比較されるときに、産生する。化学修飾した黒鉛を製造する好適な方法において、表面修飾は、未修飾黒鉛の使用と比較されるとき、発泡体中に優れた分散を示す処理黒鉛材料を産生する。表面修飾は未修飾黒鉛を使用するときの結果よりもセル表面もしくは窓で黒鉛材料の比較的高い濃度も生じ得る。
【0093】
黒鉛表面の化学的性質を修飾する方法は、共有結合もしくはイオン結合により表面に材料を化学的に結合することを含み、好ましくはカーボンブラックおよび他の充填剤材料についてここで述べる表面処理化学による。
【0094】
種々の種類の材料が黒鉛の表面を修飾するために用いられ得る。例は:アルキレンオキシド、シロキサン、ポリ(アクリル酸)ならびにポリ(アミド)、ポリ(ビニルアルコール)、脂肪酸、エトキシル化脂肪酸、および脂肪酸エステル、飽和および不飽和炭化水素、フッ素化もしくはパーフッ素化鎖、ならびにこれらの組合わせを含むコポリマー、を含むがこれらに限定されない。
【0095】
上述の材料は1級、2級、3級もしくは4級アミンを含むか、またはそれらのアミンにより末端化され得、したがってその構造の1部として安定なカチオンを有することができる。上述の材料は硫酸塩、リン酸塩およびカルボン酸塩のような負に荷電された部分を含むか、またはそれらにより末端化され得、したがってその構造の1部として安定なアニオンを有することができる。上述の材料は、1級アリールアミンを含有するか、またはそれにより末端化され得る。アリールアミン部分の存在は、米国特許第5,553,739号明細書(引用により全開示はここに組入れられる)に記載されるようなアミンの対応するジアゾニウム塩の発生により共有結合付着を可能にする。この同一の方法も、それらの構造の1部として安定化された荷電を含む分子を共有結合で付着するのに有用である。例えば、負に荷電されたベンゼンスルフォネート基の付着はスルファニル酸でジアゾニウム処理することをもたらす。同様に正に荷電した分子も同様に付着され得る。表面に荷電分子を有する得られた黒鉛生成物は、ついで上述のような反対の荷電の部分を含む材料で処理され得、予め処理された黒鉛と問題の材料の間にイオン結合を生じる。
【0096】
例えば炭素質充填剤粒子を官能化し、そして対応してある場合にはポリマー反応物を官能化するための適切な反応物および方法を含む、化学修飾した炭素質充填剤を製造するための適切な反応物および方法は次の文献に教示されており、それぞれは引用により丸ごとここに組入れられる:国際出願番号PCT/US97/08855(WO97/47691);米国特許出願番号08/990,715;09/210,370;60/104,117;08/968,299;08/962,244;08/899,263;および09/089,363、ならびに国際出願番号PCT/US98/02518(WO98/34960として公開)。
【0097】
本発明の化学修飾した炭素質材料はカーボンブラックのような従来の顔料と同様な用途で用いられ得る。しかし化学修飾した炭素質材料に付着した基は特定の用途のための所与の顔料の性質を修飾および改良するために使用され得る。
【0098】
本発明による化学修飾した炭素質材料は数多くの最終用途に使用され得る。これらの用途は、例えば、プラスチック組成物、水性および非水性インキ、水性および非水性塗料、ゴム組成物、トナー組成物、紙製品ならびに織物および繊維組成物を含む。次に、これらの用途を一般的に述べ、各々の例が示される。
【0099】
本発明の化学修飾した炭素質材料はプラスチック材料の着色剤として使用され得る。本発明の化学修飾した炭素質材料は、プラスチック材料に導電性を付与するのにも使用され得る。本発明の修飾した顔料製品は対応する未処理顔料に対して増加した分散速度、または改良された分散の性質を与える。これらの改良はプラスチック製造に経済的利点を、そして最終製品の価値をそれぞれ提供する。本発明の化学修飾した炭素質材料を使用することはプラスチックの衝撃強度を改良する。このように、本発明はプラスチックおよび本発明の化学修飾した炭素質材料を含有する改良されたプラスチック組成物に関する。
【0100】
従来の顔料については、本発明の化学修飾した炭素質材料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくはエンジニアリング材料、例えばコンポジットからつくられるプラスチックスを含むが、これらに限定されない、種々のプラスチックスに使用され得る。代表的な種類の熱可塑性樹脂は:(1)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂;(2)アセタール;(3)アクリル;(4)セルロース;(5)塩化ポリエーテル;(6)フルオロカーボン、例えばポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP);(7)ナイロン(ポリアミド);(8)ポリカーボネート;(9)ポリエチレン(コポリマーを含む);(10)ポリプロピレン(コポリマーを含む);(11)ポリスチレン;(12)ビニル(ポリ塩化ビニル);(13)熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート;(14)ポリフェニレンエーテルアロイ;ならびにブレンドおよびゴム改質剤と上述とのアロイを含む。代表的な熱硬化樹脂は:(1)アルキド;(2)アリル;(3)アミノ(メラミンおよび尿素);(4)エポキシ;(5)フェノール;(6)ポリエステル;(7)シリコーン;および(8)ウレタン、を含む。
【0101】
一般に、本発明の化学修飾した炭素質材料はプラスチック予備混合を形成するために用いられる、他の顔料のプラスチックへの添加のように添加される。例えば、これは乾式混合もしくは溶融状態で実施され得る。化学修飾した炭素質材料もプラスチックに配合するか、溶媒に添加することによりプラスチックスに配合され得、そこではプラスチックスは溶解、もしくは部分的に溶解され、次いで溶媒が除去される(例えば蒸発)。本発明の化学修飾した炭素質材料はプラスチック組成物における従来の添加物と一緒に使用され得る。本発明によれば、プラスチック組成物という用語は、いかなるプラスチック材料、物品、商品、表面、織物、シート、フィルム等を含むがこれらに限定されない。例えばプラスチック材料は自動車部品、家用の羽目板、スウィミングプールのライナー、屋根材、包装材、合成繊維、食品および貯蔵用容器、光吸収用品(例えばバーコード)および種々の家庭および産業用製品、を含むが、これらに限定されない。
【0102】
本発明の化学修飾した炭素質材料は、水性および非水性インキ配合物にも有用である。したがって、本発明はインキビヒクルおよび化学修飾した炭素質材料を含むインキ組成物を提供する。他の公知のインキ添加物もインキ配合に配合され得る。代表的なインキは:リソグラフ、凸版、フレクソ、グラビア、スクリーン、相変化インクジェットインキ、およびインキジェット用途、を含むが、これらに限定されない。
【0103】
一般に、インキは4つの基本成分からなる:(1)着色剤、(2)印刷時にキャリアとして作用するビヒクルもしくはワニス、(3)印刷性、乾燥等を改良するための添加剤、および(4)粘度、乾燥および他のインキ成分との相溶性を調節するための溶媒。インクの特性、製造および使用についての一般的な説明に関しては、The Printing Manual、5版、Leachら、Eds.(Chapman and Hall,1993)(引用によりここに組入れられる)を参照されたい。種々のインキ組成物が、例えば、米国特許第2,833,736;3,607,813;4,104,833;4,770,706;および5,026,755号明細書に開示されており、これらは引用により丸ごとここに組入れられる。
【0104】
本発明の化学修飾炭素質材料は、予備分散として、もしくは固体として、標準法を用いてインキ処方に配合され得る。水分散し得る、もしくは溶媒分散し得る、本発明の化学修飾炭素質材料は、他の従来の顔料では一般に使用されるミル工程を減少もしくは除去することにより著しい利点およびコスト低減を提供し得る。
【0105】
フレキソインキは一群のインキ組成物を表わす。通常フレキソインキは着色剤、バインダーおよび溶媒を含む。本発明の化学修飾した炭素質材料はフレキソインキ着色剤として有用である。
【0106】
本発明の化学修飾した炭素質材料は新聞インキとして使用され得る。例えば新聞インキ組成物はインキビヒクル(例えば水)、本発明の化学修飾した炭素質材料、樹脂および消泡剤もしくは界面活性剤のような任意の従来の添加剤を含み得る。
【0107】
本発明の化学修飾した炭素質材料は相変化(ホットメルト)インキにも使用され得る。通常、相変化インキは少なくとも1つの着色剤および少なくとも1つの相変化もしくはワックスキャリア(例えば、テトラアミド化合物およびモノアミド化合物の混合物のような脂肪アミド含有物質、またはアルカノールアミドおよびポリエチレングリコール混合物)を含む。相変化インキは外気温度で固相であり、印刷機の上昇された作業温度で液相である。インキが加熱されると、インキは溶融して小滴として射出され得るような低粘度流体を形成する。噴射に際して、加熱された小滴は基板に衝撃を与え、外気温度に冷却して均一な厚さの膜を形成する。基板への小滴の連続した衝撃は、使用される印刷機の種類に依存して生じ得る。化学修飾した炭素質材料の使用は従来の顔料に対して分散安定性とキャリア相溶性の点で、そして染料に対して光堅ろう度の点で著しい利点を提供する。
【0108】
本発明の化学修飾炭素質材料はリソグラフもしくはフレクソ印刷にも使用され得る。例えば印刷工程で用いられるインキもしくは貯蔵液は本発明の化学修飾炭素質材料を含み得る。
【0109】
本発明の化学修飾炭素質材料は赤外もしくは近赤外のレーザー画像化し得る印刷プレートのようなリソグラフ印刷プレートの製造に使用され得る。通常、プレートが波長800〜1100nmを有する放射に露光するとき画像が生じる。通常、赤外もしくは近赤外レーザー画像化し得るリソグラフ印刷プレートは少なくとも次の層を含む:粒状化金属もしくはポリエステルプレートもしくはシート様の基板、およびその上に被覆された放射吸収層。基板もしくは被覆プレートの表面の保護層も本発明で使用され得る。基板上に被覆されるとき、保護層は接着促進プライマーとして役立ち得る。他の層も、例えば、層間の接着力、および印刷プレートの耐久性を改良するために用いられ得る。放射吸収層は樹脂およびバインダーのような他の従来成分とともに本発明の修飾顔料を含む。画像処理工程において、リソグラフ印刷プレートはレーザー出力または放射吸収層もしくはそれに隣接する層を除去もしくは化学修飾し得る他のソースに選択的に露光される。レーザー出力は印刷プレート上のパターンを規定し、パターンを規定する放射吸収層のこれらの部分のみを除去もしくは調整する。あとで、印刷プレートは、同一パターンを規定する画像処理層(もし残っていれば)を除去し得る溶媒に供することによりさらに現像され得る。このような印刷プレートについての種々の従来の成分および技術の詳細は、米国特許第5,493,971;EP0803771;EP0770494;EP0770495;ならびにPCT公開WO98/31550に記載されており、これらの特許および公開は、引用により丸ごとここに組入れられる。
【0110】
本発明の化学修飾した炭素質材料は塗装および仕上げ等のような塗料組成物に使用され得る。したがって、本発明の具体化は、水性もしくは非水性ビヒクル、樹脂もしくはバインダーおよび本発明の化学修飾した炭素質材料である。他の公知の塗料添加物も塗料組成物に配合され得る。例えば、McGraw−Hill Encyclopedia of Science & Technology、5版(McGraw−Hill,1982)(引用によりここに組入れられる)を参照されたい。米国特許第5,051,464;5,319,044;5,204,404;5,051,464;4,692,481;5,356,973;5,314,945;5,266,406;および5,266,361号明細書(引用により丸ごとここに組入れられる)を参照されたい。
【0111】
本発明の化学修飾した炭素質材料は、予備分散として、もしくは固体として、標準法を用いて塗料組成物に配合され得る。水分散し得る、もしくは溶媒分散し得る、本発明の化学修飾炭素質材料は、他の従来の顔料では一般に使用されるミル工程を減少もしくは除去することにより著しい利点およびコスト低減を提供し得る。
【0112】
本発明の化学修飾炭素質材料は、紙組成物に使用され得る。したがって本発明は、紙パルプおよび少なくとも1種の本発明の化学修飾炭素質材料を含む紙製品に関する。
【0113】
本発明の化学修飾炭素質材料は、固体としてもしくは予備分散として従来の顔料のように標準的な製紙法を用いて紙パルプに配合され得る。水および溶媒に分散し得る上述の化学修飾炭素質材料の使用は従来の顔料を分散するのに通常使用される工程を減少もしくは除去することにより著しい利点およびコスト低減を提供する。
【0114】
本発明の紙製品はサイジング剤、保持助剤、固定液、フィラー、脱泡剤、解こう剤等のような他の公知の紙添加剤を配合し得る。有利には上述の水もしくは溶媒に分散し得る化学修飾炭素質材料は保持助剤および酸性もしくはアルカリサイジング剤が使用されるとき未処理顔料と比べて低い充填量でもっと効率的に保持される。
【0115】
本発明の化学修飾炭素質材料は、従来の顔料とともに、顔料、充填剤、および補強剤としてゴム組成物の配合および製造に使用され得る。したがって、本発明は少なくとも1つのゴムもしくはエラストマーおよび本発明の化学修飾炭素質材料を含むゴムもしくはエラストマー組成物に関する。
【0116】
例えば、カーボンブラックはタイヤにおけるゴムのようなゴム硫化物の製造に有用である。十分な耐摩耗性およびヒステリシス特性を有するタイヤを製造するカーボンブラックを利用することがタイヤ製造で望ましいのが通常である。タイヤのトレッド摩耗特性は耐摩耗性に関連する。耐摩耗性が大きければ大きいほど、タイヤが摩耗切れなしに走行し得るマイル数は大きくなる。ゴム配合物のヒステリシスはゴム配合物を変形するのに加わるエネルギーと、最初の変形していない状態を回復するゴム配合物の放出エネルギーの差異を意味する。低ヒステリシス値のタイヤは転がり抵抗を低下させ、したがってタイヤを利用する乗物の燃料消費を低下させ得る。したがって、タイヤのより大きい耐摩擦性とより低いヒステリシスを与えるカーボンブラック製品を得るのが特に望ましい。
【0117】
本発明の化学修飾した炭素質材料は天然および合成ゴム組成物または天然および合成ゴムの混合物に有用である。本発明の化学修飾した炭素質材料はイオウ硬化もしくは過酸化物硬化であるゴム組成物に使用され得る。
【0118】
化学修飾した炭素質材料は通常の手段、例えばミルにより天然もしくは合成ゴムと混合され得る。一般に本発明の化学修飾した炭素質材料の量は有意の程度の補強を付与するためにゴム100部当り約10〜約250質量部の範囲で使用される。しかし、ゴム100質量部につき化学修飾した炭素質材料約20〜約100質量部を用いるのが好適であり、特に好適にはゴム100部につき約40〜80部である。
【0119】
本発明での使用に適したゴムは天然ゴムおよびその誘導体、例えば塩素化ゴムである。本発明の化学修飾炭素材料は合成ゴムにも使用され得る。スチレン約10〜約70質量%およびブタジエン約90〜約30質量%のコポリマー、例えばスチレン19部およびブタジン81部、スチレン30部およびブタジエン70部、スチレン43部およびブタジン57部、スチレン50部およびブタジエン50部のコポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のような共役ジエンのポリマーおよびコポリマー、ならびにそのような共役ジエンと共重合し得るエチレン基含有モノマー、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニルピロリジン、5−メチル2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファメチレンカルボン酸およびエステルおよびそのアミド、例えばアクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド、とのコポリマー;さらにここでの使用に適しているのはエチレンと他の高級アルファオレフィン例えばプロピレン、ブテン−1およびペンテン−1のコポリマーである。
【0120】
本発明のゴム組成物は、したがって少なくとも1つのエラストマー、硬化剤、補強フィラー、カップリング剤、および任意には種々の加工助剤、油展剤および老化防止剤を含む。上述の例に加えて、エラストマーは、1,3ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン等から製造されるポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマー、およびターポリマー)であり得るが、これらに限定されない。これらのエラストマーはDSCによる測定で−120°〜0℃のガラス転移点(Tg)を有するのが好適である。そのようなエラストマーの例はポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、およびポリ(イソプレン)を含む。
【0121】
有利には、本発明の化学修飾した炭素質材料は改良された耐摩耗性および/または減少したヒステリシスを、それらを含むゴムまたはエラストマー組成物に付与する。
【0122】
本発明の化学修飾した炭素質材料はカラー繊維もしくは織物に使用され得る。したがって、本発明は繊維もしくは織物および本発明の化学修飾炭素質材料を含む繊維もしくは織物組成物に関する。使用に適する繊維は木綿、羊毛、絹、麻、ポリエステルおよびナイロンのような天然および合成繊維である。好適には天然繊維および織物は、木綿、羊毛、絹、麻が使用される。
【0123】
本発明の化学修飾した炭素質材料は、例えば直接および酸性染料でカラー繊維および織物に、この分野で知られている手段で染色され得る。さらに、修飾顔料は、湿式紡糸、乾式紡糸および溶融紡糸法のような紡糸法により繊維に配合され得る。染料による染色の一般的説明についてはKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.8,280〜350頁「Dyes,Application and Evaluation」(John Wiles and Sons,1979)(引用によりここに組入れられる)を参照されたい。水および溶媒に分散し得る、上述の本発明の化学修飾炭素質材料の使用は、光堅ろう性の着色剤でこれらの材料を染色する方法を提供する。
【0124】
本発明はさらに、トナー樹脂粒子および本発明の修飾顔料粒子を含むトナー組成物に関する。従来の添加剤は、米国特許第5,278,018;5,510,221;5,275,900;5,571,654;および5,484,575号明細書;およびEP270066に記載されているものが使用でき、これらの特許は引用によりここに組入れられる。
【0125】
本発明は、水性もしくは非水性のビヒクルおよび本発明の化学修飾した炭素質材料を含むインクジェットインキに関する。従来の顔料と違って、本発明のインクジェットインキに使用される本発明の化学修飾した炭素質材料は水性もしくは非水性ビヒクルに分散するのが困難ではない。化学修飾した炭素質材料は従来のミル工程を必ずしも必要としないし、使用し得るインキを得るのに追加の分散剤も必ずしも必要としない。好適には、化学修飾した炭素質材料は水もしくは他の溶媒中で顔料を容易に分散するために低せん断力の撹拌または混合を要求するにすぎない。
【0126】
ビヒクルおよび顔料として安定に分散した化学修飾した炭素質材料を含むインクジェットインキの形成は上述の化学修飾した炭素質材料が用いられるとき、最小の成分と処理段階で実施され得る。このようなインキはこの分野で知られているいかなるインクジェットプリンターにも使用され得る。好ましくは本発明のインクジェットインキにおいて、化学修飾した炭素質材料はインクジェットインキの質量の20%〜25%がそれより少ない量で存在する。本発明の化学修飾した炭素質材料とともに未修飾の顔料との混合物を含むインクジェット配合物を使用することも本発明の範囲内である。下に示すような通常の添加剤が、インクジェットインキの性質をさらに向上するために分散液に添加され得る。
【0127】
特に、湿潤剤は詰りを最小にするためにインキの水の蒸発速度を低下するのに添加され得る。インキが乾燥し始めると、湿潤剤の濃度が上昇し、蒸発が低下する。湿潤剤はインキおよびそれからなされる印刷の他の特性にも作用し、例えば粘度、pH、表面張力、光学密度および印刷の品質である。好適な湿潤剤はエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、アルコール、オルガノスルフィド、オルガノスルフォキシド、スルフォン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコールおよびケトンを含む。
【0128】
ベンゾエートもしくはソルベート塩のような殺生物剤はバクテリアの生育を抑制するのに重要である。バクテリアはインキノズルより大きいことが多く、詰りや他の問題を引起すことができる。着色剤を紙に保持するために、バインダーが基板に付着する。例は、ポリエステル、ポリエステルメラミン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、およびそれらの塩を含む。乾燥促進剤は、インキがいったん紙上に置かれたときにインキの蒸発を促進する。これらは、硫酸ラウリル酸ナトリウム、N,N−ジエチル−m−トルアミド、シクロヘキシルピロリジノン、およびブチルカルビトールを含む。アルコール、硫酸ラウリル酸ナトリウム、エステルおよびケトンのような浸透剤はインクに紙表面を浸透させる。アルコールは液状インキの乾燥速度を増加させるのにも使用され得、洗剤およびセッケンのような界面活性剤は表面張力を低下してインクを基板に展開させる。
【0129】
さらに、化学修飾した炭素質材料にもとづくインクジェットインキはいくつかの染料を配合して色バランスを調節し、光学密度を調整し得る。このような染料は食用染料、FC&C染料、フタロシアニンテトラスルホン酸を含み、フタロシアニン誘導体、テトラナトリウム塩、テトラアンモニウム塩、テトラカリウム塩、テトラリチウム塩等を含む。
【0130】
ポリマーもしくはオリゴマーは化学修飾した炭素質材料にもとづいてインクジェットインキに添加され得る。このようなインキから創り出される画像は添加されたポリマーもしくはオリゴマーの重合もしくは架橋の際に水不溶性であり得る。
【0131】
さらに、本発明の化学修飾した炭素質材料は利用するインクジェットインキの製造において、傾斜サイズのフィルターもしくは遠心分離または双方によりインキの連続ろ過をすることももっと望ましい最終製品を得るのに用いられ得る。例えば、最初に3.0μmのフィルターでろ過し、次いで1.0μmのフィルターでろ過する等、所望による。加えてインクジェットインキにおける化学修飾した炭素材料の大きさは約2μm以下であるのが好ましい。もっと好ましくは1μm以下である。
【0132】
有利には、本発明のインクジェットインクは時間にわたって、広い範囲の温度で優れた安定性を有し、望ましい粘度および表面張力を有し、印刷時には、良好な光学密度、印刷の明瞭さ、摩擦抵抗、を有し、インクジェットインキがこの性質を付与するあるアクリルを含むときに水堅ろう性が得られる。例えばこのようなアクリルは約4200の分子量、約2の多分散性、酸価約215;軟化点約128℃、Tg約67℃を有する。商業的に入手し得る試料はJONCRYL 58アクリルで、(JONCRYLはJohnson Polymer,Racine Wis.の登録商標である)、Joncryl 680の溶液である。
【0133】
本発明の化学修飾した炭素質材料はWO97/47382に記載されるような方法で吸着剤としても使用され得る。
【0134】
さらに、本発明の化学修飾した炭素質材料は、カーボンブラックのような炭素製品の代替物として使用され得る。例えば、電極のような用途において、ガス拡散電極、燃焼電池があり、米国特許5,441,823;4,927,514;5,561,000;および4,877,694に記載される設計を用い得るが、これらは引用により丸ごと組入れられる。
【実施例】
【0135】
実施例
下記の試料調製方法を採用した。改質したカーボンブラック粒状フィラーをSilverson L4R高速ロータ/ステータ混合機を用いて4%の量(loading)でイソシアネートに分散させた。フィラーを導入するために、材料を最初に5にセットした速度で低剪断ヘッドを用いて10分間、次いで最高速度で5分間混合した。次に分散体を最高速度にセットした高剪断ヘッドを用いて30分間混合した。
【0136】
用いた成分の量はポリオール1340グラム、フィラー/イソシアネート分散体215.03グラム、シクロペンタン17.30グラムと、界面活性剤及びアミン触媒で、これらの合計が368.04グラムになるものだった。これらの成分はプラスチックカップに加え、2000rpm で6秒間ブレンドした。ブレンドは急いで10×10×5インチのボックスに注いだ。対照フォームを作成する手順は、フィラーの添加及び分散を省略した以外は同じにした。
【0137】
得られたフォームはバンドソーで切断し、表面削りして寸法8×8×1インチのフォームスライスにした。フォームの熱伝導性はLaserCompFOX300装置を用いて10℃で測定した。
【0138】
例において用いるための改質カーボンブラック粒状フィラーは下記表2に示した各種の異なるカーボンブラック粒状材料を化学的に改質して形成した。全ての場合に、フラフィーな(fluffy)カーボンブラックに表面処理を行った。
例1〜8において、それぞれの出発粒状材料はその商品名が列記されており、Cbot Corporation(Boston,MA,USA)から入手できる。それぞれの場合に、得られた改質カーボンブラック粒子は上記の如くフォーム系のイソシアネート部分に予備混合した。得られたポリマーフォームはいずれも良好な熱絶縁性及び良好な物理的特性(構造的安定性及び取り扱い性を含む)を有していた。
【0139】
【表1】

【0140】
下記表3に列記した例9〜13において、改質カーボンブラックは特定の材料、詳しくはシリカ/カーボン多相粒状材料(Cabot Corporation,Boston,MA,USAから入手可能)の表面処理によって形成した。そのような粒状材料のそれぞれのシリカの重量%を表に示す。それぞれポリマーフォームを形成したが、良好な断熱特性と良好な物性(構造安定性及び取り扱い性を含む)を有していた。
【0141】
【表2】

【0142】
例1〜13の各々において、得られたフォーム中の改質カーボンブラック粒状フィラーの分布を光学顕微鏡及び電子顕微鏡で評価した。それぞれの例において、同じフィラーの出発材料を用いしかし表に示した表面処理をしない対応する対照試料を作成した。エチル−4−アミノベンゾエート及び4−ブチルアニリンをそれぞれ用いる例5,6は、対応する対照試料に見られるより窓(windows)により多くの粒状フィラーが見られたので、特に成功裏であった。また、例8もフォームセル(foam cells)の窓に改質カーボンブラック粒状フィラーが有意なレベルで見られたので成功裏であったが、しかし、比較目的の対照フォームはなかった。また、例7はその意味では特に成功裏であった。理論に拘束される意図はないが、改質カーボンブラック粒状フィラーの表面の3−アミノベンジルアルコール官能基がフォーム配合物中のイソシアネート基と反応すると、現在のところ理解される。例9〜14は、改質カーボンブラック粒状フィラーがフォームに対して乏しい分散性を示すことが見られたので、粒状フィラーをポリオールブレンドまたはフォームのその他の成分と混合する改良方法が望ましいことを示唆していた。3本ロールを用いることが改良された混合を達成するために望ましい場合がある。同様に、Kadyミル、あるいは、互換性ロータステータヘッドを持つ高剪断混合を可能にする同様のバッチミキサーが、望ましい場合がある。
【0143】
上記の通り、本発明は改質カーボンブラック粒状フィラーを含むポリマーフォームを提供する。好ましい態様では、フィラーはフォームセルの窓に優先的に局在化される。
【0144】
本発明の以上の開示及び特定の好ましい態様の詳細な説明から、本発明の精神の範囲内において多くの改良及び変形が可能であることは当業者には明らかである。特許請求の範囲において本発明の真の範囲がカバーされるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの結合したポリマーを有する凝集体であり、該凝集体は少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つのケイ素含有種相を含む凝集体。
【請求項2】
エラストマーに配合されるとき、該凝集体はカーボンブラックに比べて、低温で比較的不十分な耐摩耗性、同等もしくは比較的高い損失係数を、そして高温で比較的低い損失係数をエラストマーに付与する請求項1記載の凝集体。
【請求項3】
該ケイ素含有種相が主に凝集体表面にある請求項1記載の凝集体。
【請求項4】
該反応性ポリマーが凝集体のケイ素含有種相に主に結合している請求項1記載の凝集体。
【請求項5】
該ポリマーがシラン含有ポリマーである請求項1記載の凝集体。
【請求項6】
該ポリマーがシロキサンである請求項1記載の凝集体。
【請求項7】
該ポリマーがポリエーテル、メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリアルキレンオキシド、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、イオウ含有ポリマー、ポリオレフィン、ポリオール、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、多糖類、ケトン基含有ポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合含有ポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシおよび不飽和ポリエステル、またはそれらの組み合わせから選ばれる請求項1記載の凝集体。
【請求項8】
該ポリマーはポリジメチルシロキサン、トリエトキシ末端シランポリマー、もしくはトリメトキシ末端シラン、またはそれらの組み合わせを含む請求項1記載の凝集体。
【請求項9】
1種より多いポリマーが凝集体に結合されている請求項1記載の凝集体。
【請求項10】
少なくとも1つの有機基の結合をさらに含む請求項1記載の凝集体。
【請求項11】
該有機基が少なくとも1つの芳香族基もしくは少なくとも1つのアルキル基を含む請求項10記載の凝集体。
【請求項12】
少なくとも1つの結合したポリマーを有する凝集体であり、該凝集体はシリカで少なくとも部分的に被覆されたカーボンブラックを含む凝集体。
【請求項13】
少なくとも1つの結合したポリマーを有する凝集体であり、該凝集体は炭素相および金属含有種相を含む凝集体。
【請求項14】
少なくとも1つの結合したポリマーを有する少なくとも1種の凝集体をその中に分布して有するポリマー発泡体を含むポリマー発泡体であり、該凝集体は少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つのケイ素含有種相を含むポリマー発泡体。
【請求項15】
該ポリマー発泡体は硬質の、独立気泡のセルのポリマー発泡体である請求項14記載のポリマー発泡体。
【請求項16】
該ポリマー発泡体はポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、ポリスチレン発泡体、もしくはそれらの組み合わせである請求項14記載のポリマー発泡体。
【請求項17】
該凝集体は発泡体質量の約0.01〜約10質量%の量で発泡体中に存在する請求項14記載のポリマー発泡体。
【請求項18】
請求項1記載の少なくとも1種の凝集体を分布させた硬質の、独立気泡のセルの発泡体を含む断熱製品。
【請求項19】
請求項15記載の硬質の、独立気泡のセルの発泡体を構造の壁内に配合することを含む構造の断熱方法。
【請求項20】
少なくとも1つの炭素相および少なくとも1つのケイ素含有種相を含む凝集体を、少なくとも1つの官能基を有する少なくとも1種の出発ポリマーと混合させること、ならびにポリマーが凝集体に結合する程度に混練することの段階を含む、請求項1記載の凝集体の製造方法。
【請求項21】
混合の間に熱を加えることをさらに含む請求項20記載の方法。
【請求項22】
該官能基がヒドロキシ基、シラノール基、カルビノール/アルコール基、Si−OR基(Rはアルキル基、Si−X基(Xはハロゲン化物)もしくはアミン基である請求項20記載の方法。
【請求項23】
ポリマー発泡体および少なくとも1つの化学修飾した炭素質充填剤を含むポリマー発泡体組成物であり、該化学修飾した炭素質充填剤が結合したポリマー部分を有する炭素質充填剤を含むポリマー発泡体組成物。
【請求項24】
該炭素質充填剤がカーボンブラック、活性炭、黒鉛、炭素繊維、フィブリルもしくはそれらの混合物である請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項25】
該ポリマー発泡体組成物が独立気泡のセルの、硬質のポリマー発泡体であり、そして化学修飾した炭素質充填剤が約0.1〜10質量%の量で存在する請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項26】
化学修飾した炭素質充填剤が約0.1〜5質量%の量で発泡体中に存在する請求項25記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項27】
ポリマー部分が、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、イオウ含有ポリマー、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン、フルオロポリマー、イオマーポリマー、ケトン基含有ポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合含有ポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、不飽和ポリエステル、もしくはそれらの組み合わせから選ばれる反応的に官能化された反応残渣を含む請求項25記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項28】
ポリマー発泡体がポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート、ポリスチレンもしくはそれらの混合物である請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項29】
ポリマー発泡体が硬質の、独立気泡のセルのポリマー発泡体である請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項30】
化学修飾した炭素質充填剤が約0.1〜約18質量%の量でポリマー発泡体中に存在する請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項31】
ポリマー部分がイソシアネート、アシルアジド、アルコール、アミン、チオール、アルコキシド、もしくはそれらの組み合わせから選ばれる官能基を含む請求項29記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項32】
ポリマー発泡体がポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体もしくはポリスチレン発泡体である請求項29記載の硬質の、独立気泡のセルのポリマー発泡体。
【請求項33】
請求項23記載のポリマー発泡体組成物を製造する反応射出成型法であり、該反応射出成型法は:
化学修飾した炭素質充填剤をポリマー発泡体のための第1の反応物に分散させること、ならびに
ついで第1の反応物の流れをポリマー発泡体のための第2の反応物の流れと混合すること、の段階を含み、
ここでポリマー部分は混合段階により炭素質充填剤から実質的な量を取り除かれない、反応射出成型法。
【請求項34】
炭素質粒子に結合されたポリマー部分を含む化学修飾した炭素質充填剤からなる、ポリマー発泡体のための反応性成分。
【請求項35】
請求項29記載の硬質の、独立気泡のセルのポリマー発泡体を含む断熱製品。
【請求項36】
請求項29記載のポリマー発泡体組成物を構造の壁内に配合することを含む構造の断熱方法。
【請求項37】
構造が建築構造もしくは冷凍器具である請求項36記載の構造の断熱方法。
【請求項38】
ポリマー部分がアルキレンオキシドから選ばれる反応的に官能化されたポリマーの反応残基を含む請求項23記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項39】
アルキレンオキシドのアルキレン部分がC2〜C4部分である請求項38記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項40】
ポリマー部分がポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドから選ばれる反応的に官能化された反応残基を含む請求項23記載のポリマー発泡体組成物。

【公開番号】特開2011−84748(P2011−84748A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−7163(P2011−7163)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【分割の表示】特願2000−594859(P2000−594859)の分割
【原出願日】平成12年1月19日(2000.1.19)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】