説明

給湯システム

【課題】各リモコンに表示される時刻の精度を高く維持すると共に、各リモコンにおける時刻変更処理と時刻同期処理を簡素化した給湯システムを、コストを抑えて提供する。
【解決手段】台所リモコン3のマイコン92は、時刻変更操作がなされていないときは浴室リモコン2から送信される時刻計時用発振回路75の出力パルスに基づく第1の時刻データにより示される時刻を表示すると共に、該第1の時刻データを第2の時刻データとして浴室リモコン2に送信し、時刻変更操作がなされたときに、所定時間が経過するまでマイコン駆動用発振回路93の出力パルスに基づく計時時刻を表示すると共に、該計数した時刻を示すデータを浴室リモコンに送信する。浴室リモコン2のマイコン73は、直近に送信した第1の時刻データが示す時刻と第2の時刻データが示す時刻が相異したときに、該第2の時刻データにより示される時刻に計時手段80の計時時刻を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器と該給湯器を遠隔する主リモコン及び従リモコンとを備えた給湯システムに関し、特に各リモコンに表示される時刻の変更処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯器を遠隔操作するリモコンにおいては、給湯器の予約運転の設定を行なうために時刻を表示する機能が備えられている。そして、例えば、浴室と台所のように複数の箇所にリモコンを設置する場合、各リモコンにおいて個別に計時処理が実行され、各リモコンには計時時刻を変更するための時刻変更スイッチが備えられていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、複数のリモコンで計時処理を行う場合、各リモコンにおける計時時刻の差を修正して計時時刻を同期させる処理と、いずれかのリモコンで時刻変更スイッチが操作されて計時時刻が変更されたときに、これに応じて他のリモコンの計時時刻を変更する処理とを行なう必要がある。そのため、各リモコンにおける計時処理が複雑になる。
【0004】
さらに、各リモコンにおける計時精度を上げるためには、各リモコンに精度の高い発振器を備える必要があるが、発振器は精度が高いほど高価になるため、それに応じて各リモコンのコストが高くなるという不都合があった。
【特許文献1】特開2003−98279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記不都合を解消し、各リモコンに表示される時刻の精度を高く維持すると共に、各リモコンにおける時刻変更処理と時刻同期処理を簡素化した給湯システムを、コストを抑えて提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、給湯器と、該給湯器を遠隔操作する主リモコン及び少なくとも1つの従リモコンとを備え、該主リモコンと該従リモコンとは相互に通信する手段を有する給湯システムの改良に関する。
【0007】
そして、前記主リモコンは、第1の表示器と、第1の発振器と、該第1の発振器の出力パルスを計数して計時を行なう第1の計時手段と、該第1の計時手段による計時時刻を前記第1の表示器に表示する計時時刻表示手段と、該第1の計時手段による計時時刻を示す第1の時刻データを、所定のタイミングで前記従リモコンに送信する時刻データ送信手段と、前記従リモコンから送信される第2の時刻データを受信したときに、該第2の時刻データにより示される時刻と直近に送信された前記第1の時刻データにより示される時刻とを比較し、両時刻が相違するときは、前記第1の計時手段の計時時刻を該第2の時刻データにより示される時刻に変更する計時時刻変更手段とを備え、前記従リモコンは、第2の表示器と、前記第1の発振器よりも精度の低い第2の発振器と、該第2の発振器の出力パルスを計数して計時を行なう第2の計時手段と、時刻変更を指示するための時刻変更スイッチと、前記第1の時刻データを受信したときに、該第1の時刻データにより示される時刻を前記第2の表示器に表示すると共に、該第1の時刻データを前記第2の時刻データとして前記主リモコンに送信する受信時刻表示処理を実行する受信時刻表示手段と、前記時刻変更スイッチにより時刻変更操作がなされたときに、前記受信時刻表示処理を禁止して、該時刻変更操作により設定された時刻から前記第2の計時手段による計時を開始し、該時刻変更操作が行なわれてから、前記主リモコンにおける前記第1の計時手段の計時時刻の変更に要する時間よりも長い時間に設定された待機期間が経過するまで、前記第1の時刻データを受信したときに、前記第2の計時手段による計時時刻を示すデータを前記第2の時刻データとして前記主リモコンに送信すると共に、前記第2の計時手段による計時時刻を前記第2の表示器に表示し、該待機時間が経過した時に前記受信時刻表示処理の禁止を解除する時刻変更制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
かかる本発明によれば、従リモコンに備えられた前記第2の発振回路は、主リモコンに備えられた前記第1の発振回路よりも精度が低いため、前記第1の発振回路よりもコストが安くなる。そのため、主リモコンと従リモコンの双方に前記第1の発振回路を備えた場合に比べて、給湯システム全体のコストを下げることができる。
【0009】
そして、従リモコンにおいては、前記時刻変更スイッチによる時刻変更操作が行なわれていないときには、前記受信時刻表示手段により、主リモコンから送信される第1の時刻データにより示される時刻が前記第2の表示器に表示されるため、主リモコンと同期させて同じ精度で時刻を表示することができる。
【0010】
また、前記時刻変更スイッチによる時刻変更操作が行なわなければ、主リモコンから送信される第1の時刻データが、そのまま第2の時刻データとして従リモコンから主リモコンに送信され、前記時刻変更スイッチによる時刻変更操作が行なわれたときに、変更された時刻を示すデータが第2の時刻データが従リモコンから主リモコンに送信される。
【0011】
そのため、主リモコンでは、直近に送信した第1の時刻データと、それに応じて従リモコンから送信される第2の時刻データとの異同を確認するという簡易な処理により、従リモコンにおける時刻変更操作の有無を判断して、前記第1の計時手段の計時時刻を変更することができる。
【0012】
一方、従リモコン側においては、前記時刻変更制御手段により、前記時刻変更スイッチにより時刻変更操作が行なわれてから前記待機時間が経過するまで、前記第2の計時手段により該時刻変更操作による設定時刻からの計時が行なわれて、前記第2の計時手段による計時時刻が前記第2の表示器に表示される。そして、前記待機時間が経過した後に、主リモコンから送信される第1の計時データにより示される時刻を前記第2の表示器に表示するという簡易な処理により、再び主リモコンと同期した精度の高い時刻表示を行なうことができる。
【0013】
また、従リモコンで時刻変更スイッチにより時刻の変更操作が行なわれてから、前記所定時間が経過するまでは、前記第2の計時手段による計時時刻が前記第2の表示器に表示される。そのため、主リモコンで計時時刻の変更処理が実行されている間も、従リモコンで時刻の表示を継続させることができる。なお、このように前記第2の計時手段による計時時刻が表示されるのは、前記待機時間が経過するまでの微小時間に限られるため、計時精度は問題とならない。
【0014】
また、前記第2の発振器の出力パルスは、前記従リモコンに備えられたマイクロコンピュータの駆動クロックとしても使用されることを特徴とする。
【0015】
かかる本発明によれば、前記従リモコンがマイクロコンピュータを備え、前記第2の発振器の出力が該マイクロコンピュータの駆動クロックとして使用される場合には、前記第2の計時手段による計時処理のために専用の発振器を設ける必要がないため、前記従リモコンのコストをさらに低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。図1は本発明の給湯システムの全体構成図、図2は図1に示した浴室リモコンの外観図、図3は図1に示した台所リモコンの外観図、図4は浴室リモコン及び台所リモコンの回路構成図、図5は浴室リモコンの作動フローチャート、図6は台所リモコンの作動フローチャート、図7は浴室リモコン及び台所リモコンの表示時刻の推移を示したタイミングチャートである。
【0017】
図1を参照して、給湯器1は給湯配管(図示しない)に湯を供給する機能の他に、浴槽(図示しない)に所定量の湯を供給する自動湯張り機能、浴槽内の湯を追焚きする追焚き機能等を備えている。そして、給湯器1を遠隔操作するために、浴室に設けられた浴室リモコン2(本発明の主リモコンに相当する)と、台所に設けられた台所リモコン3(本発明の従リモコンに相当する)と、洗面所等に設けられた増設リモコン4(本発明の従リモコンに相当する)とが備えられている。
【0018】
図2(a)を参照して、浴室リモコン2には、給湯器1の作動状態等を表示する表示器10(本発明の第1の表示器に相当する)、給湯器1を給湯動作が可能な運転状態と給湯動作が不能な待機状態とに切替えるための運転スイッチ11、「追焚き運転」の実行を指示するための追焚きスイッチ12、台所リモコン3と増設リモコン4に設けられたブザーの鳴動を指示するための呼び出しスイッチ13、「自動湯張り運転」の実行を指示するための自動スイッチ14、給湯温度の変更を指示するための給湯温度スイッチ15、「自動湯張り運転」における湯張り温度や「追焚き運転」における追焚き温度の変更を指示するための風呂温度スイッチ16、「自動湯張り運転」における湯量を設定するための湯量スイッチ17、浴槽に高温の湯を所定量供給する「足し湯運転」の実行を指示するための足し湯スイッチ18、浴槽に水を所定量供給する「ぬる湯運転」の実行を指示するためのぬる湯スイッチ21、スピーカ24の出力レベルを設定するための音量スイッチ19、「自動湯張り運転」の終了時から浴槽内の湯を湯張り温度に保持する「保温運転」の実行時間を設定するための保温時間スイッチ20、現在時刻及び予約時刻の設定/変更が可能な「時刻変更モード」への切替えを指示するための時計スイッチ22、時刻の変更を指示するための時刻変更スイッチ23、台所リモコン3と増設リモコン4による給湯温度の設定を無効として浴室リモコン2による給湯温度の設定を優先させる「優先モード」の設定を指示するための優先スイッチ25、及び予約時刻に自動湯張り運転を終了させる「予約運転」の設定/解除を指示するための風呂予約スイッチ26が備えられている。
【0019】
また、図2(b)を参照して、表示器10には、「優先モード」に設定されているときに点灯する優先表示部30、給湯温度が60℃以上に設定されているときに点灯する高温表示部31、給湯用バーナ(図示しない)の燃焼中に点灯する給湯燃焼表示部32、給湯温度を表示する給湯温度表示部33、「予約運転」が設定されているときに点灯する予約表示部34、現在時刻及び予約時刻を表示する時刻表示部35、追焚き用バーナ(図示しない)の燃焼中に点灯する追焚き燃焼表示部36、湯張り量/湯張り温度を切替え表示する風呂表示部42、風呂表示部42の表示内容を示す単位表示部37、「ぬる湯運転」の実行中に点灯する注水表示部38、「足し湯運転」の実行中に点灯する注湯表示部39、自動湯張り運転/追焚き運転/足し湯運転/ぬる湯運転の実行中に点灯する風呂運転表示部40、湯張り量の目安を示す水位表示部41、「保温運転」の実行中に点灯する保温表示部43が備えられている。
【0020】
浴室リモコン2においては、使用者は先ず時計スイッチ22を操作して「時刻設定モード」とする。そして、使用者が時刻変更スイッチ23(もどる、すすむ)を操作すると、それに応じて、時刻表示部35に表示される時刻が変更される。そして、使用者が時計スイッチ22を操作すると、時刻表示部35に表示されていた時刻が新たな計時の開始時刻として設定される。
【0021】
図3(a)を参照して、台所リモコン3には、給湯器1の作動状態等を表示する表示器50、給湯器1を給湯動作が可能な運転状態と給湯動作が不能な待機状態とに切替えるための運転スイッチ51、「自動湯張り運転」の実行を指示するための自動スイッチ52、現在時刻の設定/変更が可能な「時刻変更モード」への切替えを指示するための時計スイッチ55、現在時刻の変更を指示するための時刻変更スイッチ53、スピーカ56の出力レベルを設定するための音量スイッチ54、及び給湯温度を変更するための給湯温度スイッチ57が備えられている。
【0022】
また、図3(b)を参照して、台所リモコン3の表示器50には、「優先モード」に設定されているときに点灯する優先表示部60、給湯温度を表示する給湯温度表示部61、給湯温度が60℃以上に設定されているときに点灯する高温表示部62、給湯運転中に点灯する給湯燃焼表示部63、「保温運転」の実行中に点灯する保温表示部64、現在時刻を表示する時刻表示部65、「予約運転」が設定されているときに点灯する予約表示部66が備えられている。なお、増設リモコン4の構成は台所リモコン3と同様である。
【0023】
台所リモコン3においては、使用者は先ず時計スイッチ55を操作して「時刻設定モード」とする。そして、使用者が時刻変更スイッチ53(もどる、すすむ)を操作すると、それに応じて、時刻表示部65に表示される時刻が変更される。そして、使用者が時計スイッチ55を操作すると、時刻表示部65に表示されていた時刻が計時の新たな開始時刻として設定される。
【0024】
次に、図4を参照して、浴室リモコン2と台所リモコン3の回路構成について説明する。浴室リモコン2には、給湯器1から供給される電力により回路の駆動電圧を生成する電源回路70、停電等により給湯器1からの電力供給が遮断されたときに回路の駆動電圧をバックアップする電源保持回路71、給湯器1と台所リモコン3と増設リモコン4との間で通信を行なうためのインターフェース回路である通信回路72、浴室リモコン2の作動を制御するマイクロコンピュータ73(以下、マイコン73という)、マイコン73の駆動パルス信号を生成するマイコン駆動用発振回路74、時刻のためのパルス信号を生成する計時用発振回路75(本発明の第1の発振器に相当する)、各スイッチの操作信号を入力するためのインターフェース回路であるスイッチ入力回路76、及び表示器10とスイッチに内蔵されたLED(図示しない)に駆動信号を出力するためのインターフェース回路である表示出力回路77が備えられている。
【0025】
そして、マイコン73には、時刻計時用発振回路75から出力されるパルス信号を計数して時刻の計時を行なう計時手段80(本発明の第1の計時手段に相当する)、計時手段80の計時時刻を表示出力回路77を介して表示器10に表示する計時時刻表示手段81、計時手段80の計時時刻を示す第1の時刻データを台所リモコン3及び増設リモコン4に送信する時刻データ送信手段82、及び台所リモコン3又は増設リモコン4における時刻変更操作に応じて計時手段80の計時時刻を変更する計時時刻変更手段83が備えられている。
【0026】
また、台所リモコン3には、給湯器1から供給される電力により回路の駆動電圧を生成する電源回路90、給湯器1と浴室リモコン2と増設リモコン4との間で通信を行なうためのインターフェース回路である通信回路91、台所リモコン3の作動を制御するマイクロコンピュータ92(以下、マイコン92という)、マイコン92の駆動パルス信号を生成するマイコン駆動用発振回路93、各スイッチの操作信号を入力するためのインターフェース回路であるスイッチ入力回路94、及び表示器50とスイッチに内蔵されたLEDに駆動信号を出力するためのインターフェース回路である表示出力回路95が備えられている。
【0027】
そして、マイコン92には、マイコン駆動用発振回路93から出力されるパルス信号を計数して時刻の計時を行なう計時手段100(本発明の第2の計時手段に相当する)、浴室リモコン2から送信される第1の時刻データを受信して該第1の時刻データにより示される時刻を表示出力回路95を介して表示器50に表示する「受信時刻表示処理」を実行する受信時刻表示手段101、及び時計スイッチ55と時刻変更スイッチ53により時刻変更操作がなされたときに、所定の待機時間が経過するまで「受信時刻表示処理」を禁止して計時手段100の計時時刻を表示出力回路95を介して表示器50に表示する時刻変更制御手段102が備えられている。なお、増設リモコン4の回路構成は、台所リモコン3と同様である。
【0028】
次に、図5及び図6を参照して、台所リモコン3により時刻変更操作がなされたときの浴室リモコン2のマイコン73及び台所リモコン3のマイコン92における処理について説明する。なお、増設リモコン4により時刻変更操作がなされたときにも、浴室リモコン2と増設リモコン4において同様の処理が実行される。
【0029】
先ず、図5に示したフローチャートに従って、浴室リモコン2に備えられたマイコン73による時刻表示と時刻変更の処理について説明する。マイコン73は、作動を開始するとSTEP1で後述するT1タイマが作動中であることを示すT1フラグをリセット(0→T1)する。
【0030】
そして、次のSTEP2で計時時刻表示手段81が計時手段80の計時時刻を表示器10に表示し、STEP3で時刻データ送信手段82が計時手段80の計時時刻を示す第1の時刻データを台所リモコン3及び増設リモコン4に送信する。なお、STEP2における計時時刻の表示は時、分単位で行なわれ、STEP3における第1の時刻データの送信も時、分単位で行なわれる。
【0031】
続くSTEP4〜STEP6、STEP10〜STEP13、及びSTEP20〜STEP21は、計時時刻変更手段83による処理である。計時時刻変更手段83は、STEP4で台所リモコン3から送信される第2の時刻データを受信したときにSTEP5に進む。
【0032】
そして、計時時刻変更手段83は、STEP5で、STEP3で送信した第1の時刻データ(直近に送信した第1の時刻データ)により示される時刻と、STEP4で受信した第2の時刻データにより示される時刻が一致するか否かを判断する。
【0033】
ここで、両時刻が一致したときは、台所リモコン3側の処理については後述するが、STEP3で送信された第1の時刻データが、そのまま第2の時刻データとして台所リモコン3から送信されており、台所リモコン3で時刻変更操作がなされていないと判断できる。そこで、この場合にはSTEP6に進み、計時時刻変更手段83は、T1フラグをリセットしてSTEP2に戻る。
【0034】
このように、台所リモコン3で時刻変更操作がなされなければ、STEP2〜STEP6が繰り返し実行され、STEP2で計時時刻表示手段81により計時手段80の計時時刻が表示器10に表示されると共に、STEP3で時刻データ送信手段82により計時手段80の計時時刻を示す第1の計時データが台所リモコン3に送信される。なお、この場合は、STEP4〜STEP6及びSTEP2の処理が終了する毎に、STEP3で時刻データ送信手段82により計時手段80の計時時刻を示す第1の計時データが台所リモコン3に送信されるため、STEP2の処理が終了した時点が本発明の所定のタイミングとなる。
【0035】
一方、STEP5で、第1の時刻データにより示される時刻と該2の時刻データに示される時刻が相違したときには、STEP10に分岐する。そして、計時時刻変更手段83は、STEP10で設定時間をT1とするT1タイマが作動中であることを示すT1フラグがセット(T1フラグ=1)されているか否かを判断する。T1フラグがセットされていなければSTEP20に分岐し、計時時刻変更手段83は、STEP20でT1タイマをスタートさせ、STEP21でT1フラグをセットしてSTEP2に戻る。ここで、T1タイマは、ノイズ等による第2の計時データの誤認識を防止するためのものであり、T1として例えば80秒程度が設定される。
【0036】
また、STEP10でT1タイマがセットされていたとき、すなわち、既にT1タイマがスタートしているときにはSTEP11に進む。そして、計時時刻変更手段83は、STEP11でT1タイマがタイムアップしたか否かを判断し、T1タイマがタイムアップしていなかったときにはSTEP2に分岐する。
【0037】
一方、STEP11でT1タイマがタイムアップしたときには、STEP12に進み、計時時刻変更手段83は、第2の時刻データが示す時刻+T1に計時手段80の計時時刻を変更し、STEP13でT1フラグをリセットしてSTEP2に進む。
【0038】
以上説明したように、計時時刻変更手段83は、STEP5で第1の時刻データにより示される時刻と第2の時刻データにより示される時刻が相異するようになったときに、STEP10に分岐し、さらにSTEP20に分岐してT1タイマをスタートする。そして、第1の時刻データにより示される時刻と第2の時刻データにより示される時刻が相違した状態が継続してSTEP11でT1タイマがタイムアップしたときに、STEP12で計時手段80の計時時刻を変更する。
【0039】
この場合、T1よりも短い時間しか、第1の時刻データにより示される時刻と第2の時刻データにより示される時刻が相異した状態が継続しなかったときは、STEP5からSTEP6に進んでT1フラグがリセットされる。そのため、ノイズ等の影響により、瞬間的に第1の時刻データにより示される時刻と、第2の時刻データにより示される時刻が異なる状態となったときに、誤って計時手段80の計時時刻が変更されることを防止することができる。
【0040】
次に、図6に示したフローチャートに従って、台所リモコン3に備えられたマイコン92による時刻表示と時刻変更処理について説明する。マイコン92は、作動を開始するとSTEP30でT2を設定時間とするT2タイマが作動中であることを示すT2フラグをリセット(0→T2)する。
【0041】
続くSTEP31で、浴室リモコン2から送信される第1の時刻データを受信したときに、STEP32に進んで、マイコン92はT2フラグがセット(T2フラグ=1)されているか否かを判断する。そして、T2フラグがセットされていなければSTEP33に進み、マイコン92は時刻変更操作の有無を判断し、時刻変更操作がなされていなければSTEP34に進む。
【0042】
STEP34〜STEP35は受信時刻表示手段101による処理である。受信時刻表示手段101は、STEP34で第1の時刻データにより示される時刻を表示器50に表示し、STEP35で第1の時刻データをそのまま第2の時刻データとして浴室リモコン2に送信して、STEP31に戻る。
【0043】
このように、時刻変更操作がなされなければ、STEP31〜STEP33で分岐することなく、受信時刻表示手段101によるSTEP34とSTEP35の処理が繰り返し実行される。この場合、台所リモコン3の表示器50には、浴室リモコン2の計時手段80により計時される計時用発振回路75のパルス信号に基づく高精度のものとなる。そのため、台所リモコン3には、時刻計時用の高精度の発振回路を備える必要がない。
【0044】
また、図4に示したように、浴室リモコン2は電源保持回路71を備えているため、停電により給湯器1からの電源供給が遮断されても、計時手段80による計時を続行することができる。そして、停電が回復したときには、浴室リモコン2から送信される第1の計時データにより、台所リモコン3は時刻表示を再開することができるため、台所リモコン3に電源保持回路を備える必要はない。
【0045】
一方、STEP32でT2フラグがセットされていたとき、すなわち、T2タイマが作動中であるときにはSTEP40に分岐し、マイコン92は、STEP40でT2タイマがタイムアップしているか否かを判断する。そして、T2タイマがタイムアップしていたときはSTEP50に分岐し、T2フラグをリセットしてSTEP34に進む。また、STEP40でT2タイマがタイムアップしていなかったときにはSTEP62に進む。
【0046】
また、STEP33で時刻変更操作がなされたときはSTEP60に分岐する。STEP60〜STEP63は、時刻変更制御手段102による処理である。時刻変更制御手段102は、STEP60でT2タイマをスタートさせ、STEP61でT2フラグをセットする。
【0047】
そして、時刻変更制御手段102は、続くSTEP62で時刻変更処理により設定された時刻にT2タイマの経過時間を加算した時刻を表示器50に表示する。ここで、T2タイマの計時時刻は、計時手段100によりマイコン駆動用発振回路93から出力されるパルス信号を計数することによって計時される。また、STEP63で、時刻変更制御手段102は、時刻変更処理により設定された時刻にT2タイマの経過時間を加算した時刻を示すデータを、第2の計時データとして浴室リモコン2に送信する。
【0048】
このように、STEP33で時刻変更操作がなされると、受信時刻表示手段101によるSTEP34及びSTEP35の処理が禁止され、STEP40でT2タイマがタイムアップするまで、時刻変更制御手段102によるSTEP62及びSTEP63の処理が実行される。
【0049】
そして、STEP63で、時刻変更制御手段102により、時刻変更操作により設定された時刻にT2タイマの経過時間を加算した時刻を示すデータが第2の時刻データとして浴室リモコン2に送信されると、上述した図5のSTEP4で受信される第2の時刻データがSTEP3で送信された第1の時刻データと相違する状態となる。そのため、STEP5からSTEP10に分岐し、第1の時刻データと第2の時刻データが相違する状態がT1以上継続したときに、STEP12で、計時時刻変更手段83により計時手段80の計時時刻が変更される。
【0050】
ここで、T2タイマの設定時間T2は、上述した浴室リモコン2における計時時刻の変更処理に要する時間T1よりも長い時間に設定される。そして、STEP33で時刻変更操作がなされてSTEP60でT2タイマがスタートしてから、STEP40でT2タイマがタイムアップするまでの間は、時刻変更制御手段102により、STEP62で時刻変更操作による設定時刻+T2タイマの経過時間が表示器50に表示される。そのため、時刻変更操作が終了してから、浴室リモコン2において計時時刻の変更が終了するまでの間に、表示器50の時刻表示が中断されることがない。
【0051】
なお、このように、T2タイマの経過時間による時刻表示は、T2タイマがタイムアップするまでに限られるため、時刻計時用発振回路よりも精度の低いマイコン駆動用発振回路93の出力パルスを計数する計時手段100によって、T2タイマの計時を行なっても問題はない。
【0052】
次に、図7は、以上説明した図5の浴室リモコン2の処理及び図6の台所リモコン3の処理を実行したときの、浴室リモコン2の表示器10における表示時刻と、台所リモコン3から浴室リモコン2に送信される応答信号(第2の時刻データ)により示される時刻の推移を示したタイミングチャートであり、横軸が時刻(t)に設定されている。
【0053】
図7においては、t0、t1、t3、t5、t7、t8、t9の時点で浴室リモコン2の時刻表示が切替わっている。そして、台所リモコン3から送信される第2の時刻データが示す時刻は、t0、t1、t3、t8、t9の時点で、浴室リモコン2の表示時刻と同期して切替わっている。また、時刻t2で台所リモコン3の時刻変更操作が開始され、該時刻変更操作が終了したt4からT2が経過するt7まで(T2タイマがタイムアップするまで)の間は、時刻変更制御手段102により「受信時刻表示処理」が禁止されて、台所リモコン3の表示時刻は台所リモコン3に備えられた計時手段80の計時時刻となる。
【0054】
一方、浴室リモコン2においては、t4で時刻変更操作により台所リモコン3から送信される第2の時刻データ(11:00)が、直近に送信した第1の時刻データ(10:02)と相異する状態となる。そして、第1の時刻データと第2の時刻データとが相異する状態がT1継続したt5で、計時時刻変更手段83により、計時手段80の計時時刻が第2の計時データ(11:00)+T1に変更される。
【0055】
また、台所リモコン3においては、T2が経過したt7以降は、「受信時刻表示処理」の禁止が解除されて、「受信時刻表示処理」が再開され、浴室リモコン2から送信される第1の時刻データを受信したときに、該第1の時刻データにより示される時刻が表示される。そのため、再び、浴室リモコン2の表示時刻と台所リモコン3の表示時刻が同期する。
【0056】
なお、本実施の形態では、本発明の従リモコンとして、台所リモコン3及び増設リモコン4を備えた給湯システムを示したが、従リモコンを1台備えた給湯システム及び従リモコンが3台以上備えた給湯システムにおいても、本発明の適用が可能である。
【0057】
また、本実施の形態においては、図4に示したように、台所リモコン3に備えられた計時手段100は、マイコン駆動用発振回路93のパルス信号を計数して計時を行ったが、マイコン駆動用発振回路33とは別個に、浴室リモコン2に備えられた計時用発振回路75よりも精度の低い発振回路を備え、計時手段100が該発振回路から出力されるパルス信号を計時する場合にも、本発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の給湯システムの全体構成図。
【図2】図1に示した浴室リモコンの外観図。
【図3】図1に示した台所リモコンの外観図。
【図4】浴室リモコン及び台所リモコンの回路構成図。
【図5】浴室リモコンの作動フローチャート。
【図6】台所リモコンの作動フローチャート。
【図7】浴室リモコン及び台所リモコンの表示時刻の推移を示したタイミングチャート。
【符号の説明】
【0059】
1…給湯器、2…浴室リモコン、3…台所リモコン、4…増設リモコン、10…(浴室リモコンの)表示器、50…(台所リモコンの)表示器、53…(台所リモコンの)時刻変更スイッチ、73…(浴室リモコンの)マイクロコンピュータ、74…(浴室リモコンの)マイコン駆動用発振回路、75…時刻計時用発振回路、80…(浴室リモコンの)計時手段、81…計時時刻表示手段、82…時刻データ送信手段、83…計時時刻変更手段、92…(台所リモコンの)マイクロコンピュータ、93…(台所リモコンの)マイコン駆動用発振回路、100…(台所リモコンの)計時手段、101…受信時刻表示手段、102…時刻変更制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器と、該給湯器を遠隔操作する主リモコン及び少なくとも1つの従リモコンとを備え、該主リモコンと該従リモコンとは相互に通信する手段を有する給湯システムにおいて、
前記主リモコンは、第1の表示器と、第1の発振器と、該第1の発振器の出力パルスを計数して計時を行なう第1の計時手段と、該第1の計時手段による計時時刻を前記第1の表示器に表示する計時時刻表示手段と、
該第1の計時手段による計時時刻を示す第1の時刻データを、所定のタイミングで前記従リモコンに送信する時刻データ送信手段と、
前記従リモコンから送信される第2の時刻データを受信したときに、該第2の時刻データにより示される時刻と直近に送信された前記第1の時刻データにより示される時刻とを比較し、両時刻が相違するときは、前記第1の計時手段の計時時刻を該第2の時刻データにより示される時刻に変更する計時時刻変更手段とを備え、
前記従リモコンは、第2の表示器と、前記第1の発振器よりも精度の低い第2の発振器と、該第2の発振器の出力パルスを計数して計時を行なう第2の計時手段と、時刻変更を指示するための時刻変更スイッチと、
前記第1の時刻データを受信したときに、該第1の時刻データにより示される時刻を前記第2の表示器に表示すると共に、該第1の時刻データを前記第2の時刻データとして前記主リモコンに送信する受信時刻表示処理を実行する受信時刻表示手段と、
前記時刻変更スイッチにより時刻変更操作がなされたときに、前記受信時刻表示処理を禁止して、該時刻変更操作により設定された時刻から前記第2の計時手段による計時を開始し、該時刻変更操作が行なわれてから、前記主リモコンにおける前記第1の計時手段の計時時刻の変更に要する時間よりも長い時間に設定された待機期間が経過するまで、前記第1の時刻データを受信したときに、前記第2の計時手段による計時時刻を示すデータを前記第2の時刻データとして前記主リモコンに送信すると共に、前記第2の計時手段による計時時刻を前記第2の表示器に表示し、該待機時間が経過した時に前記受信時刻表示処理の禁止を解除する時刻変更制御手段とを備えたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記第2の発振器の出力パルスは、前記従リモコンに備えられたマイクロコンピュータの駆動クロックとしても使用されることを特徴とする請求項1記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−226545(P2006−226545A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37709(P2005−37709)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】