説明

継ぎ手金(つぎてがね)

【課題】プレハブ製作のための骨子部分であるパイプと継ぎ手(フィッティング部品)を仮付けする際、複数の測定部品を一つの器具に収容し、持ち運びを容易にするとともに、片手での作業も可能にする。
【解決手段】メインアーム2、45度アーム4、スライドアーム5は本体1を、ロックアーム3はアーム2を軸として可動するようになっており、非使用時には折りたたむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、小口径配管(10A〜65A)のプレハブ製作時に使用する測定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の溶接タイプの小口径配管(差し込みタイプ、付き合わせタイプ)プレハブ製作時には、差し金とメジャーを使用する。骨子の部分を製作するために、継ぎ手(90度エルボ、45度エルボ、T字エルボ、カップリング等のフィッティング部品)を仮付け(仮溶接)する。この時に差し金またはメジャー等を使用して、部品間の対角を仮止めし、順に合わせながら四点を止めていく。
この際、継ぎ手と差し込んだパイプ間の口径差。そして差し込み口とパイプ間の微妙な隙間によるパイプのブレ。この二つを加味し、もう一つの測定器具(スケール、差し金)で測りながら仮付けをする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−000000号公報
【非特許文献】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記にある現行の施工方法では、差し金とスケール等の二つ以上の道具を同時に使用して測定しなくてはならない為、両手がふさがり、多くの場合、二人での作業が必要である。また作業時間がかかる。
そこで、この発明はこれらの工程を「高精度・効率化」し、かつ「一人でも容易に制作可能」にする新たな測定器具を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、第一発明は、継ぎ手(フィッティング部品)とパイプの仮止め角度を、口径差による間隔を加味しながら測定可能であることを特徴とする器具である。
また、第二発明は、同時に90度差し金の機能を付随することにより、関連する他の工程を効率化することができる事を特徴とする器具。
第三発明は、上記の機能を持つ器具を全て変形により内包し、標準的な工具箱に収納可能なサイズにまで変形することを特徴とする可変機構。
【発明の効果】
【0007】
第一発明によれば、通常複数の測定器具及び、継ぎ手とパイプを固定するために二人以上の人数が必要な作業工程を、一つの測定器具を用いて一人で施工が可能になるため作業効率が上がる。
【0008】
第二、または第三発明によれば、大きめのサイズゆえに持ち運びの際にかさばりやすい差し金やスケールなどを一つの器具としてツール化することで、携行性が上がり、作業全体の効率が上昇する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態を示す平面図である。
【図2】この発明の一実施形態を示す平面図である。
【図3】この発明の一実施形態を示す拡大図である。
【図4】この発明の一実施形態を示す拡大図である。
【図5】この発明の一実施形態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
測定器具の未使用時における実施形態を、図1に示す。測定器具の全ての構成部品は厚さ1mmの金属である。本体▲1▼を中心に、各構成部品が可動する仕組みになっている。メインアーム▲2▼、45度アーム▲4▼、スライドアーム▲5▼はそれぞれ本体▲1▼を、ロックアーム▲3▼はアーム▲2▼を軸として可動するようになっており、非使用時には図のように折りたたむことができる。45度用ストッパー▲7▼は45度アーム▲4▼を45度で固定するための部品である。ロック用ネジ▲8▼はロックアーム▲3▼使用時に接合部分を締めて固定するためのものである。
【0011】
測定器具の使用時における実施形態を、図2に示す。
各部を全て展開すると図2のようになる。
本体▲1▼を中心に、クギ止めの形で各構成部品が可動するようになっている。
測定器具のサイズは全幅45mm、全長320mmであり、標準的な工具箱に収納可能。
【0012】
継ぎ手A(図ではカップリングとティー字エルボ)とパイプBを仮付け溶接する際の実施形態を、図3に示す。
まず本体▲1▼を継ぎ手Aに当てる。このままではパイプBが継ぎ手Aの差し込み口との間に生じる微妙な隙間によりぐらついてしまうので、スライドアーム▲5▼を動かして垂直に固定することで仮付け可能となる。このスライドアーム▲5▼は水平に動くため、大小の継ぎ手に対応できる。
従来技術ではこの口径差(段差)と、パイプと継ぎ手間の隙間により発生するブレを解決するために、差し金を当てたあとにスケールなどを別途用意して継ぎ手AとパイプBが垂直になるように調整していた。
【0013】
図4にはプレハブ製作時に多用する継ぎ手である、90度エルボと45度エルボをパイプBと仮付けする際の実施形態を示す。
45度エルボAとパイプBを仮付けするには、45度アーム▲4▼を45度に起こし、45度エルボAの逆側の差し込み口に当てる。そしてスライドアーム▲5▼をパイプBに当て、垂直にすればよい。
90度エルボCとパイプBを仮付けするには、図3のティー字、カップリングと同じように本体▲1▼を当てた後に、スライドアーム▲4▼で垂直にすればよい。
【0013】
継ぎ手A(図では45度エルボ、90度エルボ)の逆側をパイプCと仮付けする際の実施形態を、図5に示す。
まず本体▲1▼をパイプBに当てる。そしてメインアーム▲2▼を起こし、ロックアーム▲3▼のロック用ネジ▲8▼を本体▲1▼の専用ミゾにはめ込み、本体▲1▼とロックアーム▲3▼を固定する。この専用ミゾは90度用と45度用の二種を設けており、それぞれの継ぎ手に対応している。こうして角度定規として組み立てれば、メインアーム▲2▼に沿ってパイプCを継ぎ手Aに対して垂直に仮付けすることが可能である。この角度定規は角を斜めに切り落としていることで、パイプAとパイプB間を直接的に測定可能になっているため、継ぎ手の種類(10A〜65A)を問わず仮付け可能である。
【0014】
このエルボ測定時の90度展開状態においては、本体▲1▼とメインアーム▲2▼には定規のように目盛りがついているため、同時に差し金としても使用できるようになっている。
【0015】
従来技術による継ぎ手AとパイプBを仮付けする際の実施形態を、図3に示す。
まず差し金等を継ぎ手Aに垂直になるように添える。そしてパイプBと差し金が平行に、即ち継ぎ手AとパイプBが垂直になるように調節する。この際、継ぎ手Aの差し込み口とパイプBの微妙な口径差により、ブレが生じてしまう。よって、別途スケールなどを用意し、差し金とパイプBが平行であるかを測定する必要がある。
【0016】
「実施形態の効果」
プレハブの製作にあたり、従来技術では二つ以上の測定器具が必要であり、また両手が塞がるために仮付けの際、継ぎ手(フィッティング部品)とパイプを固定するのが一人では難儀であった。これに対し、実施形態の効果によれば、この工程を一つの器具で可能にしたことで、より作業工程を簡略化できる。
【符号の説明】
【0017】
1 本体部分 2 メインアーム
3 ロックアーム 4 45度アーム
5 スライドアーム 6 スライドアーム可動部
7 45度用ストッパー 8 ロックネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継ぎ手(フィッティング部品)とパイプを仮付けする用途に特化した機能を備えることを特徴とする専用の測定器具。
【請求項2】
種類を問わずあらゆる継ぎ手(フィッティング部品)に対応できるように、複数の測定用部品を、標準的な工具箱に収まるサイズである一つの器具に収納し、携帯性、利便性を向上させていることを特徴とする変形機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−157802(P2011−157802A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34067(P2010−34067)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(510045829)
【Fターム(参考)】