緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤ
【課題】 簡単かつ確実にロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着でき、農作物に与える衝撃を緩和することができる緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤを提供する。
【解決手段】 農作物収穫機のロータリバケットコンベヤ2を構成する駆動レール24に装着される緩衝具1Aであって、前記駆動レール24の内周面に内接する台座基部13と、この台座基部13の下面から延出されて 前記駆動レール24の両側面を狭持する狭持部14と、前記台座基部13の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材11とを有する。
【解決手段】 農作物収穫機のロータリバケットコンベヤ2を構成する駆動レール24に装着される緩衝具1Aであって、前記駆動レール24の内周面に内接する台座基部13と、この台座基部13の下面から延出されて 前記駆動レール24の両側面を狭持する狭持部14と、前記台座基部13の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材11とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物収穫機のロータリバケットコンベヤに装着され、農作物への衝撃を緩和する緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトやビート等の農作物を収穫する収穫機には、図12に示すように、掘り取った農作物を収納タンクへ搬送するためのロータリバケットコンベヤが設けられている。このロータリバケットコンベヤは、一般的に、農作物を載せて搬送する複数枚の搬送板が、環状のフレームに沿って適当な間隔を隔てて配置されており、収穫機によって回転駆動されることで農作物を収納タンクまで持ち上げて収納するようになっている。
【0003】
例えば、実開平5−48626号公報には、掘上げ刃によって掘り上げたポテトを搬送する下位コンベアと、該下位コンベアから落下するポテトを方向転換して搬送する方向転換コンベアと、該方向転換コンベアから落下するポテトを受け取って上位コンベアの始端に荷揚げするロータリーバケットコンベアと、上位コンベアから落下するポテトを収容する荷台とからなるポテトハーベスタが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−48626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来のロータリバケットコンベヤにおいては、収穫機側の駆動源によって回転駆動される駆動レールが硬い金属で構成されている。このため、農作物がロータリバケットコンベヤ内へ投入されると、硬い駆動レールに衝突したときに損傷し、あるいは衝突の勢いで弾かれて他の駆動レールにぶつかってさらに損傷するため、品質が低下してしまうという問題がある。
【0006】
上記問題に鑑みて、駆動レールの内周面に帯状のゴムベルトを張設し、農作物が直接駆動レールに衝突するのを防止するロータリバケットコンベヤも存在する。しかしながら、ゴムベルトは経年変化により劣化しやすい性質を有している。このため、ゴムベルトが伸びて弾力性を失うと、農作物と駆動レールとの衝撃を緩和できなくなるという問題がある。また、その場合、別途、ゴムベルトを張り直して適度な緊張状態に調整しなければならず、手間や費用がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、簡単かつ確実にロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着でき、農作物に与える衝撃を緩和することができる緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る緩衝具は、農作物収穫機のロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着される緩衝具であって、前記駆動レールの内周面に内接する台座基部と、この台座基部の下面から延出されて 前記駆動レールの両側面を狭持する狭持部と、前記台座基部の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材とを有する。
【0009】
また、本発明において、前記台座基部の下面は、前記駆動レールの内周面の曲率と同一の曲率に形成されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明において、前記狭持部の先端部には、前記駆動レールの外周面に掛止するフック部が形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係るロータリバケットコンベヤは、請求項1または請求項2に記載の緩衝具を配置してなるロータリバケットコンベヤであって、駆動レールの内周面に沿って緩衝用ベルトが張設されている場合、当該緩衝用ベルトの裏面に前記クッション部材を接触させるように前記緩衝用ベルトと前記駆動レールとの間に前記緩衝具を装着するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単かつ確実にロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着でき、農作物に与える衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す正面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】本発明に係る緩衝具の第2実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る緩衝具の第2実施形態を示す側面図である。
【図9】第2実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す一部拡大図である。
【図10】クッション部材の他の実施例を示す正面図である。
【図11】図10における7B−7B線断面図である。
【図12】従来のロータリバケットコンベヤを備えた農作物収穫機を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤの第1実施形態について図面を用いて説明する。図1から図3は、本第1実施形態の緩衝具1Aを示す斜視図、正面図および側面図であり、図4から図6は、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着したロータリバケットコンベヤ2を示す斜視図、正面図および一部拡大図である。
【0015】
まず、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着するロータリバケットコンベヤ2について説明する。ロータリバケットコンベヤ2は農作物収穫機(図示せず)に備えられ、掘り取った農作物を上方へ搬送するためのものである。本第1実施形態において、ロータリバケットコンベヤ2は、図4および図5に示すように、農作物を載せて搬送する複数枚の搬送板21と、これら搬送板21を両側から保持して周方向に等間隔で固定する環状フレーム22と、各搬送板21の外周縁に沿って張設される複数本の被覆ワイヤ23と、農作物収穫機によって回転駆動される駆動レール24とを有している。
【0016】
本第1実施形態において、駆動レール24は環状に形成されており、図4に示すように、各搬送板21の外周縁における略中央部に沿って配置されている。また、ロータリバケットコンベヤ2の内部は、各搬送板21によって複数のバケット室25に仕切られている。そして、各バケット室25においては、駆動レール24の内周面が露出されており、図4から図6に示すように、当該内周面から離隔するように帯状の緩衝用ベルト26が張設されている。
【0017】
以上の構成を備えたロータリバケットコンベヤ2は、農作物収穫機の駆動源によって駆動レール24が回転駆動されると、ロータリバケットコンベヤ2全体が回転する。そして、農作物収穫機によって掘り取られた農作物が投入されると、順次、搬送板21に載せて上方へと搬送し、図示しない収納タンクへと投入するようになっている。
【0018】
本第1実施形態の緩衝具1Aは、以上の構成を備えたロータリバケットコンベヤ2の駆動レール24に装着されるものであり、図1に示すように、衝撃を緩和するクッション部材11と、このクッション部材11を固定する台座12とを有している。
【0019】
クッション部材11は、農作物への衝撃を緩和する役割を果たすものである。本第1実施形態において、クッション部材11は、図1から図3に示すように、スポンジやゴム等の緩衝材によって略直方体形状に形成されている。
【0020】
台座12は、クッション部材11を駆動レール24に取り付けるためのものである。本第1実施形態において、台座12は樹脂や金属等から形成されており、図1から図3に示すように、クッション部材11が設けられる台座基部13と、駆動レール24の両側面を狭持する狭持部14とを有している。
【0021】
本第1実施形態において、台座基部13は、その上面が略平面状に形成されており、クッション部材11の裏面と密着されるようになっている。一方、台座基部13の下面は、図2に示すように、凸状に湾曲されており、好ましくは駆動レール24の内周面の曲率と同一の曲率に形成されている。また、台座基部13の下面からクッション部材11の上面までの高さが、駆動レール24の内周面から緩衝用ベルト26の裏面までの長さと略同一となるように形成されている。
【0022】
また、本第1実施形態において、狭持部14は、図1から図3に示すように、台座基部13の長手方向の両側面に沿って下方に延出されている。各狭持部14の内壁面間の幅は、駆動レール24のレール幅と略同一に形成されている。また、各狭持部14の延出長さは、駆動レール24のレール高さの略半分程度の長さに形成されている。
【0023】
以上の構成を備えた本第1実施形態の緩衝具1Aおよびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤ2による作用について、図面を用いて説明する。
【0024】
まず、本第1実施形態の緩衝具1Aを上述したロータリバケットコンベヤ2の駆動レール24に装着する場合、各バケット室25内の緩衝用ベルト26を引っ張り上げた状態で、狭持部14を駆動レール24に嵌め込む。そして、緩衝用ベルト26を元の状態に戻すと、図5および図6に示すように、緩衝用ベルト26の裏面がクッション部材11の上面を軽く押圧し、緩衝具1Aの落下を防止する。また、各狭持部14が駆動レール24の両側面を狭持し、位置ズレを抑制する。これにより、緩衝具1Aは簡単かつ確実に緩衝用ベルト26と駆動レール24との間に配置される。
【0025】
つぎに、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着したロータリバケットコンベヤ2に農作物が投入された場合、クッション部材11が緩衝用ベルト26に衝突した農作物と駆動レール24との衝撃を緩和する。このため、農作物の損傷を防ぎ、品質の低下を防止する。
【0026】
また、経年劣化により緩衝用ベルト26が多少弛んでしまっても、クッション部材11が農作物と駆動レール24との直接的な衝突を抑制する。このため、緩衝用ベルト26の張り直し作業を頻繁に行う必要がなく、その作業に要する手間や時間が低減される。
【0027】
以上のような本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.ロータリバケットコンベヤ2内の農作物が駆動レール24に衝突するのを防止し、農作物の損傷や品質低下を抑制することができる。
2.緩衝具1Aを簡単かつ確実に駆動レール24に装着することができる。
3.緩衝用ベルト26の調整回数や調整費用を低減することができる。
【0028】
つぎに、本発明に係る緩衝具1Bおよびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤ2の第2実施形態について図面を用いて説明する。なお、本第2実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0029】
本第2実施形態の緩衝具1Bは、上述した緩衝用ベルト26のないロータリバケットコンベヤ2に装着するのに好適なものである。具体的には、図7および図8に示すように、本第2実施形態の特徴は、駆動レール24に掛止するためのフック部15を有している点にある。また、緩衝用ベルト26がない代わりに、クッション部材11が、各バケット室25内に露出する駆動レール24の略全体を被覆しうる形状に形成されている。
【0030】
フック部15は、緩衝具1Bを単独で駆動レール24に掛止する役割を果たすものである。本第2実施形態において、各狭持部14の延出長さは、駆動レール24のレール高さよりも若干長めに形成されている。そして、各狭持部14の先端部から内側へ向けてフック部15が突出形成されている。
【0031】
つぎに、本第2実施形態の緩衝具1Bによる作用について説明する。まず、本第2実施形態の緩衝具1Bを駆動レール24に装着する場合、狭持部14を駆動レール24に当接させながら強く押し込む。これにより、各狭持部14は、弾性変形しながら拡開し、フック部15を駆動レール24の両側面に摺動させる。そして、各フック部15が駆動レール24の外周面まで到達すると、図9に示すように、各狭持部14の復元力によって内方へと戻され駆動レール24の外周面に掛止する。これにより、緩衝具1Bは、緩衝用ベルト26が設けられていないロータリバケットコンベヤ2に対しても、簡単かつ確実に装着される。
【0032】
また、本第2実施形態の緩衝具1Bを装着したロータリバケットコンベヤ2に農作物が投入された場合、クッション部材11が、駆動レール24の略全体を被覆するため、農作物が駆動レール24に直接衝突してしまうのを防止する。このため、農作物の損傷が低減されるとともに、品質の低下を防止できる。
【0033】
以上のような本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、緩衝用ベルト26が設けられていないロータリバケットコンベヤ2に対しても、緩衝具1Bを単独で簡単かつ確実に駆動レール24に装着でき、農作物の損傷や品質低下を抑制することができる。
【0034】
なお、本発明に係る緩衝具1Bは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0035】
例えば、上述した第2実施形態では、フック部15を駆動レール24に引っ掛けて装着しているが、この構成に限定されるものではない。具体的には、狭持部14が駆動レール24の両側面を強固に狭持し、簡単に脱落し難い弾性力を有している場合には、フック部15を設けなくてもよい。
【0036】
また、上述した各実施形態では、クッション部材11として、スポンジやゴム等の緩衝材を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、図10および図11に示すように、弾力性が高くて破れ難い材料によって内部を空洞に構成し、クッション部材11として用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1A,1B 緩衝具
2 ロータリバケットコンベヤ
11 クッション部材
12 台座
13 台座基部
14 狭持部
15 フック部
21 搬送板
22 環状フレーム
23 被覆ワイヤ
24 駆動レール
25 バケット室
26 緩衝用ベルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物収穫機のロータリバケットコンベヤに装着され、農作物への衝撃を緩和する緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポテトやビート等の農作物を収穫する収穫機には、図12に示すように、掘り取った農作物を収納タンクへ搬送するためのロータリバケットコンベヤが設けられている。このロータリバケットコンベヤは、一般的に、農作物を載せて搬送する複数枚の搬送板が、環状のフレームに沿って適当な間隔を隔てて配置されており、収穫機によって回転駆動されることで農作物を収納タンクまで持ち上げて収納するようになっている。
【0003】
例えば、実開平5−48626号公報には、掘上げ刃によって掘り上げたポテトを搬送する下位コンベアと、該下位コンベアから落下するポテトを方向転換して搬送する方向転換コンベアと、該方向転換コンベアから落下するポテトを受け取って上位コンベアの始端に荷揚げするロータリーバケットコンベアと、上位コンベアから落下するポテトを収容する荷台とからなるポテトハーベスタが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−48626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来のロータリバケットコンベヤにおいては、収穫機側の駆動源によって回転駆動される駆動レールが硬い金属で構成されている。このため、農作物がロータリバケットコンベヤ内へ投入されると、硬い駆動レールに衝突したときに損傷し、あるいは衝突の勢いで弾かれて他の駆動レールにぶつかってさらに損傷するため、品質が低下してしまうという問題がある。
【0006】
上記問題に鑑みて、駆動レールの内周面に帯状のゴムベルトを張設し、農作物が直接駆動レールに衝突するのを防止するロータリバケットコンベヤも存在する。しかしながら、ゴムベルトは経年変化により劣化しやすい性質を有している。このため、ゴムベルトが伸びて弾力性を失うと、農作物と駆動レールとの衝撃を緩和できなくなるという問題がある。また、その場合、別途、ゴムベルトを張り直して適度な緊張状態に調整しなければならず、手間や費用がかかるという問題もある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、簡単かつ確実にロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着でき、農作物に与える衝撃を緩和することができる緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る緩衝具は、農作物収穫機のロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着される緩衝具であって、前記駆動レールの内周面に内接する台座基部と、この台座基部の下面から延出されて 前記駆動レールの両側面を狭持する狭持部と、前記台座基部の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材とを有する。
【0009】
また、本発明において、前記台座基部の下面は、前記駆動レールの内周面の曲率と同一の曲率に形成されていてもよい。
【0010】
さらに、本発明において、前記狭持部の先端部には、前記駆動レールの外周面に掛止するフック部が形成されていてもよい。
【0011】
また、本発明に係るロータリバケットコンベヤは、請求項1または請求項2に記載の緩衝具を配置してなるロータリバケットコンベヤであって、駆動レールの内周面に沿って緩衝用ベルトが張設されている場合、当該緩衝用ベルトの裏面に前記クッション部材を接触させるように前記緩衝用ベルトと前記駆動レールとの間に前記緩衝具を装着するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単かつ確実にロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着でき、農作物に与える衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る緩衝具の第1実施形態を示す側面図である。
【図4】第1実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す正面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】本発明に係る緩衝具の第2実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る緩衝具の第2実施形態を示す側面図である。
【図9】第2実施形態の緩衝具を装着したロータリバケットコンベヤを示す一部拡大図である。
【図10】クッション部材の他の実施例を示す正面図である。
【図11】図10における7B−7B線断面図である。
【図12】従来のロータリバケットコンベヤを備えた農作物収穫機を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る緩衝具およびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤの第1実施形態について図面を用いて説明する。図1から図3は、本第1実施形態の緩衝具1Aを示す斜視図、正面図および側面図であり、図4から図6は、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着したロータリバケットコンベヤ2を示す斜視図、正面図および一部拡大図である。
【0015】
まず、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着するロータリバケットコンベヤ2について説明する。ロータリバケットコンベヤ2は農作物収穫機(図示せず)に備えられ、掘り取った農作物を上方へ搬送するためのものである。本第1実施形態において、ロータリバケットコンベヤ2は、図4および図5に示すように、農作物を載せて搬送する複数枚の搬送板21と、これら搬送板21を両側から保持して周方向に等間隔で固定する環状フレーム22と、各搬送板21の外周縁に沿って張設される複数本の被覆ワイヤ23と、農作物収穫機によって回転駆動される駆動レール24とを有している。
【0016】
本第1実施形態において、駆動レール24は環状に形成されており、図4に示すように、各搬送板21の外周縁における略中央部に沿って配置されている。また、ロータリバケットコンベヤ2の内部は、各搬送板21によって複数のバケット室25に仕切られている。そして、各バケット室25においては、駆動レール24の内周面が露出されており、図4から図6に示すように、当該内周面から離隔するように帯状の緩衝用ベルト26が張設されている。
【0017】
以上の構成を備えたロータリバケットコンベヤ2は、農作物収穫機の駆動源によって駆動レール24が回転駆動されると、ロータリバケットコンベヤ2全体が回転する。そして、農作物収穫機によって掘り取られた農作物が投入されると、順次、搬送板21に載せて上方へと搬送し、図示しない収納タンクへと投入するようになっている。
【0018】
本第1実施形態の緩衝具1Aは、以上の構成を備えたロータリバケットコンベヤ2の駆動レール24に装着されるものであり、図1に示すように、衝撃を緩和するクッション部材11と、このクッション部材11を固定する台座12とを有している。
【0019】
クッション部材11は、農作物への衝撃を緩和する役割を果たすものである。本第1実施形態において、クッション部材11は、図1から図3に示すように、スポンジやゴム等の緩衝材によって略直方体形状に形成されている。
【0020】
台座12は、クッション部材11を駆動レール24に取り付けるためのものである。本第1実施形態において、台座12は樹脂や金属等から形成されており、図1から図3に示すように、クッション部材11が設けられる台座基部13と、駆動レール24の両側面を狭持する狭持部14とを有している。
【0021】
本第1実施形態において、台座基部13は、その上面が略平面状に形成されており、クッション部材11の裏面と密着されるようになっている。一方、台座基部13の下面は、図2に示すように、凸状に湾曲されており、好ましくは駆動レール24の内周面の曲率と同一の曲率に形成されている。また、台座基部13の下面からクッション部材11の上面までの高さが、駆動レール24の内周面から緩衝用ベルト26の裏面までの長さと略同一となるように形成されている。
【0022】
また、本第1実施形態において、狭持部14は、図1から図3に示すように、台座基部13の長手方向の両側面に沿って下方に延出されている。各狭持部14の内壁面間の幅は、駆動レール24のレール幅と略同一に形成されている。また、各狭持部14の延出長さは、駆動レール24のレール高さの略半分程度の長さに形成されている。
【0023】
以上の構成を備えた本第1実施形態の緩衝具1Aおよびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤ2による作用について、図面を用いて説明する。
【0024】
まず、本第1実施形態の緩衝具1Aを上述したロータリバケットコンベヤ2の駆動レール24に装着する場合、各バケット室25内の緩衝用ベルト26を引っ張り上げた状態で、狭持部14を駆動レール24に嵌め込む。そして、緩衝用ベルト26を元の状態に戻すと、図5および図6に示すように、緩衝用ベルト26の裏面がクッション部材11の上面を軽く押圧し、緩衝具1Aの落下を防止する。また、各狭持部14が駆動レール24の両側面を狭持し、位置ズレを抑制する。これにより、緩衝具1Aは簡単かつ確実に緩衝用ベルト26と駆動レール24との間に配置される。
【0025】
つぎに、本第1実施形態の緩衝具1Aを装着したロータリバケットコンベヤ2に農作物が投入された場合、クッション部材11が緩衝用ベルト26に衝突した農作物と駆動レール24との衝撃を緩和する。このため、農作物の損傷を防ぎ、品質の低下を防止する。
【0026】
また、経年劣化により緩衝用ベルト26が多少弛んでしまっても、クッション部材11が農作物と駆動レール24との直接的な衝突を抑制する。このため、緩衝用ベルト26の張り直し作業を頻繁に行う必要がなく、その作業に要する手間や時間が低減される。
【0027】
以上のような本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1.ロータリバケットコンベヤ2内の農作物が駆動レール24に衝突するのを防止し、農作物の損傷や品質低下を抑制することができる。
2.緩衝具1Aを簡単かつ確実に駆動レール24に装着することができる。
3.緩衝用ベルト26の調整回数や調整費用を低減することができる。
【0028】
つぎに、本発明に係る緩衝具1Bおよびこれを配置してなるロータリバケットコンベヤ2の第2実施形態について図面を用いて説明する。なお、本第2実施形態のうち、前述した第1実施形態の構成と同一若しくは相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0029】
本第2実施形態の緩衝具1Bは、上述した緩衝用ベルト26のないロータリバケットコンベヤ2に装着するのに好適なものである。具体的には、図7および図8に示すように、本第2実施形態の特徴は、駆動レール24に掛止するためのフック部15を有している点にある。また、緩衝用ベルト26がない代わりに、クッション部材11が、各バケット室25内に露出する駆動レール24の略全体を被覆しうる形状に形成されている。
【0030】
フック部15は、緩衝具1Bを単独で駆動レール24に掛止する役割を果たすものである。本第2実施形態において、各狭持部14の延出長さは、駆動レール24のレール高さよりも若干長めに形成されている。そして、各狭持部14の先端部から内側へ向けてフック部15が突出形成されている。
【0031】
つぎに、本第2実施形態の緩衝具1Bによる作用について説明する。まず、本第2実施形態の緩衝具1Bを駆動レール24に装着する場合、狭持部14を駆動レール24に当接させながら強く押し込む。これにより、各狭持部14は、弾性変形しながら拡開し、フック部15を駆動レール24の両側面に摺動させる。そして、各フック部15が駆動レール24の外周面まで到達すると、図9に示すように、各狭持部14の復元力によって内方へと戻され駆動レール24の外周面に掛止する。これにより、緩衝具1Bは、緩衝用ベルト26が設けられていないロータリバケットコンベヤ2に対しても、簡単かつ確実に装着される。
【0032】
また、本第2実施形態の緩衝具1Bを装着したロータリバケットコンベヤ2に農作物が投入された場合、クッション部材11が、駆動レール24の略全体を被覆するため、農作物が駆動レール24に直接衝突してしまうのを防止する。このため、農作物の損傷が低減されるとともに、品質の低下を防止できる。
【0033】
以上のような本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、緩衝用ベルト26が設けられていないロータリバケットコンベヤ2に対しても、緩衝具1Bを単独で簡単かつ確実に駆動レール24に装着でき、農作物の損傷や品質低下を抑制することができる。
【0034】
なお、本発明に係る緩衝具1Bは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0035】
例えば、上述した第2実施形態では、フック部15を駆動レール24に引っ掛けて装着しているが、この構成に限定されるものではない。具体的には、狭持部14が駆動レール24の両側面を強固に狭持し、簡単に脱落し難い弾性力を有している場合には、フック部15を設けなくてもよい。
【0036】
また、上述した各実施形態では、クッション部材11として、スポンジやゴム等の緩衝材を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、図10および図11に示すように、弾力性が高くて破れ難い材料によって内部を空洞に構成し、クッション部材11として用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1A,1B 緩衝具
2 ロータリバケットコンベヤ
11 クッション部材
12 台座
13 台座基部
14 狭持部
15 フック部
21 搬送板
22 環状フレーム
23 被覆ワイヤ
24 駆動レール
25 バケット室
26 緩衝用ベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物収穫機のロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着される緩衝具であって、
前記駆動レールの内周面に内接する台座基部と、この台座基部の下面から延出されて 前記駆動レールの両側面を狭持する狭持部と、前記台座基部の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材とを有する緩衝具。
【請求項2】
前記台座基部の下面は、前記駆動レールの内周面の曲率と同一の曲率に形成されている請求項1に記載の緩衝具。
【請求項3】
前記狭持部の先端部には、前記駆動レールの外周面に掛止するフック部が形成されている請求項1または請求項2に記載の緩衝具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の緩衝具を配置してなるロータリバケットコンベヤであって、
駆動レールの内周面に沿って緩衝用ベルトが張設されている場合、当該緩衝用ベルトの裏面に前記クッション部材を接触させるように前記緩衝用ベルトと前記駆動レールとの間に前記緩衝具を装着するロータリバケットコンベヤ。
【請求項1】
農作物収穫機のロータリバケットコンベヤを構成する駆動レールに装着される緩衝具であって、
前記駆動レールの内周面に内接する台座基部と、この台座基部の下面から延出されて 前記駆動レールの両側面を狭持する狭持部と、前記台座基部の上面に設けられて農作物に与える衝撃を緩和するクッション部材とを有する緩衝具。
【請求項2】
前記台座基部の下面は、前記駆動レールの内周面の曲率と同一の曲率に形成されている請求項1に記載の緩衝具。
【請求項3】
前記狭持部の先端部には、前記駆動レールの外周面に掛止するフック部が形成されている請求項1または請求項2に記載の緩衝具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の緩衝具を配置してなるロータリバケットコンベヤであって、
駆動レールの内周面に沿って緩衝用ベルトが張設されている場合、当該緩衝用ベルトの裏面に前記クッション部材を接触させるように前記緩衝用ベルトと前記駆動レールとの間に前記緩衝具を装着するロータリバケットコンベヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−110005(P2011−110005A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271411(P2009−271411)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000222978)東洋農機株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000222978)東洋農機株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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