説明

義肢用ソケットライナーおよびその製造方法

【課題】通気性・透湿性・耐久性が優れ、良好なクッション性を有する義肢用ソケットライナー及びその製法を提供する。
【解決手段】先端部が閉じて基端部が開口した筒状である義肢用ソケットライナーAにおいて、前記ライナーの筒状部は連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ1からなる内層および編物基材2からなる外層から形成され、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、外側層もしくは外側編地は内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側層もしくは内側編地の空隙を充填して編物基材と一体的に結合しているが、外層の表面には露出していない、義肢用ソケットライナー。また、シリコーンエマルション組成物を硬化させる、義肢用ソケットライナーの製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の四肢に病気や事故等によりできた断端部を支持する義肢のソケットの内部に用いられる義肢用ソケットライナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような義肢用ソケットライナーにおいては、これらが残存四肢にぴったりと合い、残存四肢の全ての表面の輪郭及び表面下の骨格要素を受け入れ、かつ残存四肢を覆って取り付けられる硬いソケットとの間に快適なクッションを与えることが非常に望ましく、このため義肢用ソケットライナーに使用される材料は適度な弾性と硬さ、優れた機械的強度、成形容易性、易清浄性などを有することが望ましい。
【0003】
そのための材料としてシリコーンゴムが好適である。特表2001−524010号公報(特許文献1)には、柔らかい内側シリコーンエラストマー層と比較的硬い外側シリコーンエラストマー層からなることを特徴とする補綴のための残存四肢のサスペンションライナーが提案され、特開2004−160052公報(特許文献2)には、義肢補綴装置が装着される残存四肢の先端領域を気密に被覆するシリコーンゴム製の筒状スリーブを有する義肢補綴装置用シリコーンライナーにおいて、上記スリーブの一部を繊維状粉末が配合されたシリコーンゴムにより形成したことを特徴とする義肢補綴装置用シリコーンライナーが提案されている。
【0004】
特表2003−526447(特許文献3)には、シリコーンオイルと中空微細球を含むシリコーンエラストマー層(内層)と伸縮性をもたせた織物層(外層)とからなるライナー、および、シリコーンオイルと中空微細球を含むシリコーンエラストマー層(内層)とシリコーンエラストマー薄層(中間層)と伸縮性をもたせた織物層(外層)とからなる吸引ライナーが提案されている。
【0005】
しかし、これらのシリコーンゴム層を有するライナーは通気性がよくないので、義肢着用者の残存四肢が発汗して不快感をもよおし、残存四肢の皮膚が炎症を起こしかねないという問題がある。そのため、特開2007−289680号公報(特許文献4)には、通気性・透湿性のあるイソプレンゴム、クロロプレンゴムもしくは天然ゴムのラテックス発泡体からなる義肢用ソケットライナーが提案されている。しかし、硫黄加硫により製造されるので少々臭気があり、加硫残渣が義肢着用者の残存四肢の皮膚を刺激しかねないという問題、機械的強度と耐久性が不十分であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−524010号公報
【特許文献2】特開2004−160052公報
【特許文献3】特表2003−526447号公報
【特許文献4】特開2007−289680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、上記問題点を解消した義肢用ソケットライナーを開発すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。本発明は、シリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成され、通気性・透湿性・耐久性が優れ、良好なクッション性を有する義肢用ソケットライナーを提供することを目的とする。また、かかる義肢用ソケットライナーを容易適確に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、下記手段により達成することができる。
[1] 先端部が閉じて基端部が開口した筒状である義肢用ソケットライナーにおいて、前記ライナーの筒状部は連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成され、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、前記編物基材の外側層もしくは外側編地は、内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側層もしくは内側編地の空隙を充填して前記編物基材に一体的に結合しているが、外層の表面には露出していないことを特徴とする、義肢用ソケットライナー。
[1-1] 編物基材は合成繊維製であることを特徴とする、[1]に記載の義肢用ソケットライナー。
[1-2] 合成繊維がポリエステル繊維またはポリアミド繊維であることを特徴とする、[1-1]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0009】
[2] 連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、JIS K6268に規定される密度が0.4〜0.8g/cmであり、JIS L1099A-1に規定される透湿度が10〜400g/m・hrであることを特徴とする、[1]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0010】
[3] 連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、SRISO0101準拠のアスカーゴム硬度計C型による硬さが10〜40であり、JIS K6251に規定される引張強さが0.5MPa以上、伸びが150〜600%であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0011】
[4] 前記シリコーンゴムスポンジは、補強性微粉末シリカおよびスメクタイトクレーを含有することを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
【0012】
[5] 前記シリコーンゴムスポンジは、補強性微粉末シリカを5〜30重量%含有し、スメクタイトクレーを0.5〜5重量%含有することを特徴とする、[4]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0013】
[6] 前記編物基材の外側層もしくは外側編地のカバーファクターが2800以上、内側層もしくは内側編地のカバーファクターが2000以下であることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
ただし、
【数1】

である。
[6-1] 前記編物基材の外側層もしくは外側編地のカバーファクターが2800以上、内側層もしくは内側編地のカバーファクターが2000以下であることを特徴とする、[1-1]または[1-2]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0014】
[7] 前記編物基材は、両面スムース編地の外側編地と平編地の内側編地が透湿性樹脂で一体化されたものであることを特徴とする、[1]〜[6]および[6-1]のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
[7-1] 前記編物基材は、両面スムース編地の外側編地と平編地の内側編地が透湿性樹脂で一体化されたものであることを特徴とする、[1-1]または[1-2]に記載の義肢用ソケットライナー。
[7-2] 透湿性樹脂がポリウレタン樹脂であることを特徴とする、[7]または[7-1]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0015】
[8] 前記編物基材の筒状部の径方向のJIS L1096に規定される伸びが200%以上であることを特徴とする、[1]〜[7]および[7-1]のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
【0016】
[9] 閉じた先端部に、義肢又は義肢用ソケットに取付け可能とする接合部が存在することを特徴とする、[1]または[8]に記載の義肢用ソケットライナー。
【0017】
[10] 先端部が閉じて基端部が開口した筒状の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物の外表面に、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のシリコーンエマルション組成物を塗布し、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材(ただし、編物基材の外側層もしくは外側編地は内側層もしくは内側編地より緻密に編成されている)を被せ、前記シリコーンエマルション組成物を硬化させることを特徴とする、[1]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【0018】
[11] 前記シリコーンエマルション組成物が、ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物のW/O型エマルション組成物であることを特徴とする、[10]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【0019】
[12] ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が、補強性微粉末シリカとスメクタイトクレーを含有することを特徴とする、[11]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【0020】
[13] ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が、補強性微粉末シリカを5〜30重量%含有し、スメクタイトクレーを0.5〜5重量%含有することを特徴とする、[12]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【0021】
[14] 前記シリコーンエマルション組成物が、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと(b)補強性微粉末シリカとからなる液状シリコーンゴムベース、(c)スメクタイクレー含有水、(d)乳化剤、および(a)成分を架橋させるに充分な量の(e1)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(e2)白金系触媒からなり、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物が、前記のシリコーンエマルション組成物を加熱して硬化させ,ついで脱水するか、前記のシリコーンエマルション組成物を加熱硬化させつつ脱水することにより形成されるものであることを特徴とする、[12]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【0022】
[15] 成分(a)が100重量部、成分(b)が5〜40重量部、成分(c)が70〜170重量部、成分(d)が0.1〜7重量部であることを特徴とする、[14]に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の義肢用ソケットライナーは、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成されており、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、前記編物基材の外側層もしくは外側編地は、内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも編物基材の内側層もしくは内側編地の空隙を充填して編物基材と一体的に結合しているので、通気性・透湿性・耐久性が優れ、クッション性が良好である。また、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジが外層の表面には露出していないので、着用性が優れ、長期間着用しても外側表面は汚れにくく、傷付きにくく摩耗しにくい。
本発明の義肢用ソケットライナーの製造方法は、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物の外表面に、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のシリコーンエマルション組成物を塗布し、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材(ただし、編物基材の外側層もしくは外側編地は、内側層もしくは内側編地より緻密に編成されている)を被せ、前記シリコーンエマルション組成物を硬化させることからなるので、当該義肢用ソケットライナーを容易確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の義肢用ソケットライナーの軸方向断面図である。
【図2】図2は、図1中の筒状部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の義肢用ソケットライナーは、先端部が閉じて基端部が開口した筒状である義肢用ソケットライナーにおいて、前記ライナーの筒状部は連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成され、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、前記編物基材の外側層もしくは外側編地は、内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側層もしくは内側編地の空隙を充填して編物基材と一体的に結合しているが、外層の表面には露出していないことを特徴とする。
【0026】
義肢用ソケットライナーの方式として、サスペンションライナー、吸引ライナーが例示される。
【0027】
義肢用ソケットライナーの形状は、先端部が閉じて基端部が開口した筒状、特には円筒状である。先端側から基端側に向けて漸次拡径するように形成されており、その肉厚が先端側から基端側に向かうに従い、漸次薄肉になるように形成されていることが好ましい。義肢用ソケットライナーの筒状部は、義肢着用者の残存四肢を挿入するのに十分な内径と深さを有する。
【0028】
義肢用ソケットライナーの筒状部は、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成され、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、前記編物基材の外側層もしくは外側編地は、内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側層もしくは内側編地の空隙を充填して前記編物基材に一体的に結合しているが、外層の表面には露出していない。
外側層もしくは外側編地が内側層もしくは内側編地より緻密に編成されているとは、外側層もしくは外側編地のカバーファクターが内側層もしくは内側編地のカバーファクターより大きいことを意味する。外側層のカバーファクターが内側層のカバーファクターより800以上大きいことが好ましい。なお、カバーファクターは後述するとおりである。
【0029】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、少なくとも編物基材の内側層もしくは内側編地の編目の空隙を充填して、すなわち、内側層もしくは内側編地の編目を目詰して、編物基材と一体的に結合している。外側層もしくは外側編地の編目を一部充填しても良いが、外層の表面には露出していない。連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジが編物基材の外層表面に露出していると、外観や着用性が不良となり、長期間使用時に汚れが目立つようになることがあるからである。
【0030】
編物基材の糸使いとしては、機械的強度と耐摩耗性と耐久性の点で合成繊維糸であることが好ましく、合成繊維としてポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリビニルアルコール系繊維が例示される。合成繊維と天然繊維、再生繊維もしくは半合成繊維との混紡であってもよい。
【0031】
なかでも機械的強度と耐摩耗性と耐久性の点で、ポリエステル(特には、ポリエチレンテレフタレート)繊維糸とポリアミド(特には、ナイロン6、ナイロン66)繊維糸が好ましい。捲縮加工を施したポリエステル繊維糸やポリアミド繊維糸から伸縮性の大きな編物基材を得ることが出来るので、捲縮加工を施したポリエステル繊維糸やポリアミド繊維糸は、より好ましい態様である。
【0032】
また、天然繊維として、綿、麻、絹、羊毛が例示される。再生繊維として、人絹糸、スフ、ビスコース、ベンベルグが例示される。上記以外の合成繊維としてポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維が例示される。半合成繊維としてアセテート繊維が例示される。
【0033】
編物基材の厚みは、0.2〜3.0mmであることが好ましく、0.3〜1.5mmであることがより好ましい。
【0034】
編物基材の編地は、特に限定されず、シングルトリコット、ダブルトリコットのような経編地、平編やゴム編のような緯編地が例示される。なかでも緯編地である両面スムース編地は伸縮性が得られ易い点から好ましい。
【0035】
また、編物基材は、一枚の編地で構成されても良いが、二枚の編地が一体となったものが好ましい。この場合、外側編地に両面スムース編地を、内側編地に平編地を用い、両編地を透湿性樹脂で接着させてなる二重編地が好ましい。シリコーンゴムスポンジ成形物と編物基材を接着させるための、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のシリコーンエマルション組成物は、二つの編地間に存在する透湿性樹脂層に妨げられて、外側編地表面へ露出することがない。外側編地と内側編地を接着させる透湿性樹脂としては、接着性と伸縮性を有している透湿性合成樹脂が好ましく、なかでも透湿性のポリウレタン樹脂は編地への接着性が優れ、大きな伸縮性を有しているので、より好ましい。透湿性合成樹脂は、接着作業性の点で液状ないしペースト状であるものが好ましい。
【0036】
一枚の編地で構成されている編物基材は、両面に編目を有した編地が好ましく、外側層の編目密度は内側層の編目密度より緻密であることが好ましい。シリコーンゴムスポンジ成形物と編物基材を前記シリコーンエマルション組成物により接着させる際に、緻密に編成されている外側層が、低粘度であるシリコーンエマルション組成物の外層表面への露出を防ぐからである。
【0037】
一方、内側層は外側層より粗い密度で編成され、編目内および編目間に、相対的に大きな空隙を有しているので、前記シリコーンエマルション組成物が内側層の空隙部に浸透して硬化することにより、編物基材との接着が強固となる。なお、内側層を外側層より粗い密度で編成するには、内側層となる側の編針を選択的にタック位置にする、あるいは不作用(ウエルト)にすればよく、編目内、あるいは編目間に相対的に大きな空隙を設けることができる。
【0038】
二枚の編地が透湿性樹脂で一体化された編物基材は、緻密に編成された外側編地と粗密度で編成された内側編地とが透湿性樹脂により接着されていることが好ましい。緻密に編成された外側編地に透湿性樹脂を塗布し、透湿性樹脂が高粘度状態になってから内側編地を密着させて硬化させることにより製造することができる。
二つの編地間の透湿性樹脂が障壁になって、筒状部の成形時にシリコーンエマルション組成物が外層表面に露出することを完全に防げる。編物基材の一体化加工において、外側編地に透湿性樹脂をコーティングする際に反対面への露出を防ぐために、外側編地は、緻密に編成されていることが必要である。一方、外側編地に張り合わせる内側編地は、外側編地にコーティングされた透湿性樹脂が高粘度状態になってから接着させれば、粗密度で編成された編地であっても問題ない。
【0039】
前記編物基材の外側層もしくは外側編地のカバーファクターは、内側層もしくは内側編地のカバーファクターより大きいことが必要である。外側層もしくは外側編地のカバーファクターは、2800以上であることが好ましく、内側層もしくは内側編地のカバーファクターは、2000以下であることが好ましい。
ただし、ここでいうカバーファクターは以下の式に従って求めた値であり、編地面の緻密度を表すものである。
【数2】

なお、コース密度、およびウェール密度は編物基材をフリーな状態にした際に測定された値である。
編物基材の外層とは本発明の義肢ソケットライナー、特にはその筒状部での外層であり、編物基材の内側面とはシリコーンスポンジ成形物が接着される側である。
外側層もしくは外側編地のカバーファクターが2800以下となると、シリコーンゴムスポンジ成形物と編物基材を接着させる際、あるいは二枚の編地を接着させる際に、接着剤となる低粘度のシリコーンエマルション組成物や透湿性ポリウレタン樹脂が外側面に露出して、義肢ソケットライナーの外観が不良となり、着用性が劣るという問題がある。使用する糸の繊度に対して出来る限り緻密に編成されるようにするため、カバーファクターは2800以上であることが好ましい。
編物基材の外側層もしくは外側編地のカバーファクターは高い程好ましいが、編機ゲージや編成可能な糸繊度に限界があるので、カバーファクターの上限は好ましくは6000である。
【0040】
一方、編物基材の内側層もしくは内側編地のカバーファクターは2000以下であることが好ましい。
シリコーンゴムスポンジ成形物と編物基材間の接着剤となるシリコーンエマルション組成物はシリコーンゴムスポンジ成形物との接着性には問題ないが、編物基材との接着性が悪いために、接着剤を編物基材内に含浸させて接着強度を得る必要がある。カバーファクターが2000より大となると編目間、編目内に空隙が少なくなるので接着剤が浸透しにくく、編物基材表面だけに付着する状態となり、接着強度が期待できない。そこで、編物基材の内側層もしくは内側編地は比較的細繊度糸の使用が好ましく、または粗密度編成が好ましく、カバーファクターが2000以下であることが好ましい。
しかし、カバーファクターが余りにも低くいと、内側層もしくは内側編地を形成する編糸の周りを接着剤が覆いにくくなり、十分な接着強度が得られないので、カバーファクターの下限は500であることが好ましい。
【0041】
編物基材のJIS L1099(A-1法)による透湿度は10g/m・h以上であることが好ましく、50g/m・h以上であることがより好ましい。10g/m・h未満であると義肢用ソケットライナーになった際の透湿度がなくなるからである。
【0042】
編物基材のJIS L1096に規定される引張強さは、20N/cm以上であることが好ましい。
20N/cm未満では、義肢用ソケットライナーを残存四肢にかぶせる際や、義肢用ソケットライナーを残存四肢から剥ぎ取る際に破損しかねないからである。
【0043】
編物基材の径方向のJIS L1096に規定される伸びは、200%以上であることが好ましく、300〜500%がより好ましい。200%未満では義肢用ソケットライナーを残存四肢にかぶせる際や、義肢用ソケットライナーを残存四肢から剥ぎ取る際に十分に伸びず取り扱いにくいからである。編物基材の筒状部は、軸方向にあまり伸縮しないことが好ましく、そのJIS L1096に規定される伸びは150%以下であることが好ましい。もっとも、膝周辺や肘関節周辺では、軸方向にも径方向並みに伸縮することが好ましい。
【0044】
義肢用ソケットライナーの閉じた先端部は、通常、中央部が外方に膨出する円形ドーム状である。円形ドーム状部分は、ライナー内に挿入された残存四肢の先端を支持するに足りる硬さと弾性を有しており、好ましくは硬質ゴム製、プラスチック製または金属製である。連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジとの接着性の点で硬質シリコーンゴム製が好ましい。円形ドーム状部分は、先端キャップと称することができる
【0045】
該先端部の円形ドーム状部分には、義肢又は義肢用ソケットに取付け可能とする接合部が存在する。接合部は、該先端部の円形ドーム状部分の中央部に位置し、少なくとも一部が埋設されている。接合部はねじ穴を有しており、義肢又は義肢用ソケットの結合ピン又は固定ピンを螺合可能である。あるいは、ねじ付きピンが突出しており、義肢又は義肢用ソケットのねじ穴に螺合可能である。接合具は金属製、硬質プラスチック製、セラミック製が例示される。
【0046】
義肢用ソケットライナーの閉じた先端部の反対側である基端部は開口している。開口部の径方向の断面形状は通常円形である。
【0047】
内層である連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、気泡を有しないシリコーンゴムよりも当然に密度が小さい。該シリコーンゴムスポンジはJIS K6268に規定される密度が0.4〜0.8g/cmであり、0.5〜0.7g/cmであることが好ましい。0.4g/cm未満では押圧により変形し易く、0.8g/cmより大では軽量性、クッション性に欠けるからである。
また、義肢用ソケットライナーの筒状部の透湿性の面から、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、JIS L1099(A-1法)に規定される透湿度が10〜400g/m・hrであることが好ましく、30〜300g/m・hrであることがより好ましい。
【0048】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、SRISO0101準拠のアスカーゴム硬度計C型による硬さが10〜40であることが好ましい。10未満では伸張回復性が低く、40より大ではでは柔軟性に欠けてくるからである。
耐摩耗性や機械的強度の面からJIS K6251に規定される引張強さが0.5MPa以上であることが好ましい。0.7MPa以上であることがより好ましい。
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、JIS K6251に規定される伸びが150〜600%であることが好ましい。150%未満では残存四肢を義肢用ソケットライナーの筒状部分に挿入しにくく、筒状部分から曳き抜きにくく、600%より大では該ライナーの筒状部分が伸長しすぎ、伸長した該ライナーの弾性回復が遅いからである。
【0049】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層の厚みは、0.5〜30mmであることが好ましい。0.5mm未満ではクッション性が乏しく、30mmより大では、義肢用ソケットライナーが重くなるからである。こうした観点から0.8〜20mmであることがより好ましい。
【0050】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、好ましくは連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性の液状シリコーンゴム組成物を硬化させることより形成される。
該液状シリコーンゴム組成物は、迅速な硬化性の点でヒドロシリル化反応硬化型であることが好ましく、形態としてW/O型エマルション組成物であることが好ましい。
【0051】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジの機械的強度と耐久性の点で、成分として少なくとも補強性微粉末シリカを含有することが好ましく、さらにスメクタイトクレーを含有することが好ましい。
補強性微粉末シリカは乾式シリカであるフュームドシリカ、湿式シリカに代表され、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ中に5〜30重量%含まれることが好ましい。補強性微粉末シリカは、シリコーンゴムスポンジのセル形状の点で、フュームドシリカと湿式シリカの併用であり、フュームドシリカ/湿式シリカの重量比が0.01/1〜30/1であることが好ましい。
スメクタイトクレーは、天然スメクタイト族クレー、それをアニオン系ポリマーで複合精製したもの、合成スメクタイト族クレーに代表され、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ中に0.5〜5重量%含まれることが好ましい。
【0052】
本発明の義肢用ソケットライナーの製造に好ましく使用される、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のシリコーンエマルション組成物、特にはヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物のエマルション組成物は、好ましくは、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと(b)補強性微粉末シリカとからなる液状シリコーンゴムベース、(c)スメクタイクレー含有水、(d)乳化剤、および(a)成分を架橋させるに充分な量の(e1)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(e2)白金系触媒からなり、より好ましくは、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部と(b)補強性微粉末シリカ5〜40重量部とからなる液状シリコーンゴムベース、(c)スメクタイクレー含有水70〜170重量部、(d)乳化剤0.1〜7重量部、および(a)成分を架橋させるに充分な量の(e1)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(e2)白金系触媒からなる。
【0053】
(a)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基が例示されるが、製造の容易性の点からビニル基が好ましい。アルケニル基以外の有機基として、メチル基;エチル基、プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基が例示されるが、製造の容易性の点からメチル基が好ましい。本成分の分子構造は直鎖状、分枝を含む直鎖状のいずれであってもよい。本成分は、常温において液状であるものが好ましく、25℃における粘度が100mPa・s〜100,000mPa・sであることが好ましい。
【0054】
かかる成分(a)として、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサン、メチルアルキルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、ジメチル・シロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、メチルフェニルポリシロキサン、メチル(3,3,3−トリフロロプロピル)ポリシロキサン;両末端トリメチルシロキシ基封鎖のメチルビニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー;両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖のメチルビニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー;両末端メチルジビニルシロキシ基もしくはトリビニルシロキシ基封鎖のジメチルポリシロキサンが例示される。上記ジオルガノポリシロキサンは2種以上組み合わせてよい。
【0055】
(e1)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(e2)白金系触媒の作用により、そのケイ素原子結合水素原子が、成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して成分(a)を架橋させ、硬化させるものである。成分(a)1分子中にアルケニル基数が2個のときは、成分(e1)は1分子中に3個以上のケイ素原子結合水素原子を有することが必要である。成分(e1)中のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基などのハロゲン化アルキル基が例示される。製造の容易性の点からメチル基が好ましい。
成分(e1)の分子構造は、直鎖状、分枝状、環状、網目状のいずれでもよい。成分(e1)の重合度は2以上であれば特に限定されないが、25℃における粘度が3〜10,000mPa・sであることが好ましい。
【0056】
成分(a)と成分(e1)の配合比は、成分(e1)中のケイ素原子結合水素原子と成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基のモル比が(0.5:1)〜(20:1)となるような量が好ましく、(0.8:1)〜(5:1)となるような量がより好ましい。
【0057】
(e2)白金系触媒は、成分(e1)中のケイ素原子結合水素原子が、成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して、すなわち、ヒドロシリル化して成分(a)を架橋させ、硬化させる作用がある。これには、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体、ジビニルテトラメチルジシロキサンの白金錯体、塩化白金酸とβ―ジケトンの錯体、β―ジケトンの白金錯体、ロジウム化合物、パラジウム化合物が例示される。成分(e2)は、成分(e1)中のケイ素原子結合水素原子が成分(a)中のケイ素原子結合アルケニル基に付加して成分(a)を架橋させ、硬化させるのに十分な量であればよい。
【0058】
(b)補強性微粉末シリカは、乾式シリカであるフュームドシリカ、湿式シリカに代表される。成分(a)だけでは、硬化して得られるシリコーンゴムスポンジの機械的強度が不十分なので、硬化物の機械強度を向上させるための必須成分である。その配合量は成分(a)100重量部当たり5〜40重量部が好ましい。配合する補強性微粉末シリカの比表面積は50〜350mが好適であり、とりわけ、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの有機ケイ素化合物で疎水化処理したものが好ましい。
【0059】
無処理のフュームドシリカや湿式シリカは親水性であるので、成分(a)との混合時にヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、低粘度の両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン(例えば、25℃における粘度が50〜100mPa・sの両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン)など反応性有機ケイ素化合物により処理して疎水化することが好ましい。
【0060】
成分(c)であるスメクタイトクレー含有水中のスメクタイトクレーは、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト等の天然スメクタイト族クレー、それをアニオン系ポリマーで複合精製したもの、および合成スメクタイト族クレーを総称するものであり、いずれも使用可能である。スメクタイトクレー含有量は、スメクタイトクレー含有水の0.5〜5重量%が好ましく、成分(c)であるスメクタイトクレー含有水の配合量は、成分(a)100重量部当たり70〜170重量部が好ましい。
スメクタイトクレーの代わりに、水に溶かすと粘度を上昇させるポリマー(例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール)であってもよいが、これを含有する連続気泡のシリコーンゴムスポンジは、スメクタイトクレーを含有する連続気泡のシリコーンゴムスポンジに比べて機械的強度が少々劣る。スメクタイトクレーを含有する連続気泡のシリコーンゴムスポンジは、ぬめり感が少ないので、義肢用ソケットライナーの内層部用として好適である。
【0061】
(d)乳化剤はHLB値が10以下の界面活性剤が好ましく、非イオン系乳化剤が好ましく、ソルビタン脂肪酸エステル系の非イオン系乳化剤がより好ましい。(d)乳化剤は、成分(a)100重量部当たり0.1〜7重量部が好ましい。
【0062】
成分(a)と成分(e1)と成分(e2)の混合物は、常温でもヒドロシリル化反応しがちであり、混合中や、乳化中やエマルション組成物の保存中に架橋反応が進行するのを防止するために、(f)ヒドロシリル化反応抑制剤をさらに配合することが好ましい。
(f)ヒドロシリル化反応抑制剤として、アセチレンアルコール、エン・イン化合物、ベンゾトリアゾール、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが例示される。成分(f)は、成分(a)と成分(e1)の常温でのヒドロシリル化反応を抑制し、加熱下での架橋反応を阻害しない量を含有させるとよい。ヒドロシリル化反応抑制剤の好ましい配合量は、成分(a)と成分(e1)の合計量100重量部当たり通常0.01〜5重量部である。
【0063】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物は、必要に応じて、耐熱剤、接着性付与剤、抗菌剤、防黴剤、制汗剤、保湿剤、中空フィラー、顔料などを含有してもよい。
【0064】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物、とくにはW/O型シリコーンエマルション組成物は、成分(a)〜成分(e2)または成分(a)〜成分(f)を均一に混合・乳化することにより製造することができるが、成分(a)と成分(b)をあらかじめ加熱下混合するか、または混合したものを加熱処理して、液状シリコーンゴムベースの形態にしてから他成分と混合することが望ましい。
成分(a)と成分(b)とからなる液状シリコーンゴムベース、成分(e1)、成分(e2)および必要に応じて成分(f)を均一に混合して、ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製し、これを成分(d)とともに成分(c)中に乳化することにより、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を製造することができる。
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性エマルション組成物は、2包装型にしてもよい。成分(e1)を含有するエマルション組成物と成分(e2)を含有するエマルション組成物をそれぞれ調製して別々の容器に保管しておき、ライナー製造時に両者を均一に混合して硬化させればよい。
【0065】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物は、25℃での粘度が2,000〜30,000mPa・s(回転粘度計DVH-B4II(東機産業株式会社製)にローターNo.6を装着し、回転数2rpmで測定時)であることが好ましい。かかる粘度の水性エマルション組成物は、流動性があるのでギアーポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ネジポンプなどでの液送が可能である。
【0066】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物は、前記の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を加熱して硬化させ、ついで脱水するか、前記の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を加熱硬化させつつ脱水することにより形成される。
【0067】
先端部が閉じて基端部が開口した筒状の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物は、注型成形法や、プレス成型法により製造することができる。
注型成形法では、成形装置の内型と外型間のキャビティに前記の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を液注し、内型と外型を加熱して該シリコーンエマルション組成物を硬化させ、生成した含水硬化物を脱型し、脱型した含水硬化物を加熱して乾燥すると、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の,連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物が得られる。
内型と外型として、石膏型、粘土型、木型、樹脂型、金型が例示されるが、石膏型、粘土型、木型は水の透湿を防ぐための防水コートが必要である。
含水硬化物の加熱乾燥には、熱風循環式オーブンや赤外線式乾燥炉などが使用でき、加熱乾燥に要する時間は温度に依存する。
【0068】
本発明の義肢用ソケットライナーは、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の,連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物の外表面に、前記の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を塗布し、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材(ただし、編物基材の外側層もしくは外側編地は内側層もしくは内側編地より緻密に編成されている)を被せ、該シリコーンエマルション組成物を硬化させることにより製造することができる。
前記の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物を先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材の内側に塗布したものを、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の,連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物の外表面に被せてもよい。
【0069】
この際使用する、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材は、筒状編物基材の先端部に先端キャップが接着したものが好ましい。該先端キャップは中央部が外方に膨出する円形ドーム状であるものが好ましい。該先端部の円形ドーム状部分の中央部には、義肢又は義肢用ソケットに取付け可能とする接合部が存在するものが好ましい。
【0070】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から構成される筒状部材は、JIS K6268に規定される密度が0.4〜0.8g/cmであり、JIS L1099(A-1法)に規定される透湿度が0.6〜100g/m・hであり、SRISO0101準拠のアスカーゴム硬度計C型による硬さが10〜40であり、JIS K6251に規定される引張強さが0.5MPa以上であり、径方向の伸びが100〜200%であり、軸方向伸びが50%以下であることが好ましい。
【0071】
本発明の義肢用ソケットライナーを図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例の義肢用ソケットライナーの軸方向断面図である。先端部が閉じて基端部が開口した筒状である義肢用ソケットライナーAにおいて、義肢用ソケットライナーAの筒状部は、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層1である内層および編物基材2である外層からなる。
【0072】
図2は、図1中の筒状部の部分拡大図である。編物基材2である外層は、一体化された内側編地2aと外側編地2bとからなる。外側編地は内側編地より編構造が緻密であり、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側編地2aの空隙を充填して内側編地2aと一体的に結合しているが、外側編地2bの外側表面には露出していない。
【0073】
開口部3は、平面視にて円形である。先端部は、底面視にて円形である。連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層1は、基端部から先端部に向けて漸次肉厚になっており、同時に円筒状部の内径が漸次減少しており、先端部手前で閉じている。先端部の先端面に先端キャップ5が貼着されており、正面視にて中央部が外方に膨出する円形ドーム状である。
先端キャップ5の中央部に接合具4が存在する。接合具4は、先端部の円形ドーム状と対応した断面円弧状の基体部と内周面にねじ山を有する円筒状部とからなっており、基体部は先端部の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層5中に埋設されており、円筒状部は先端キャップ5の中央部の孔を貫通して外部に突出している。
円筒状部の穴に、義肢または義肢用ソケットの結合ピンまたは固定ピンをねじ留め可能である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例と比較例をあげて本発明を具体的に説明する。実施例と比較例中、部とあるのは重量部を、%は重量%をそれぞれ意味し、粘度は25℃での測定値を示す。シリコーンゴムスポンジ、ならびに、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層とポリエステルフィラメントの捲縮加工糸からなる二枚の編地が透湿性ポリウレタン樹脂により一体化された編物基材の外層とから形成されるライナーの物理特性は、25℃で下記の条件で測定した。
・密度:JIS K6268に準拠して測定した。
・硬さ:厚み6mmの試験片についてSRISO0101準拠のアスカーゴム硬度計C型により測定した。
・引張強さと伸び:厚み6mmの試験片についてJISK6251に準拠して測定した。
・透湿度(透湿性):JIS L1099(A-1法)に準拠して測定した。具体的には、下記のとおりである。
約40℃に加温した透湿カップに約31gの塩化カルシウムを入れ、表面を平らにならした。厚み2mmのシート状試験片を約7cmの円盤状に切り出し、透湿カップにのせ、次いでパッキン及び固定リングをのせナットで固定し、透湿カップの側面をビニールテープでシーリングした。準備した試験体を温度40℃±2℃、湿度90±5%の恒温槽に置き、1時間後に試験体を取り出し質量(a1)を測定した。測定後、試験体を恒温槽に戻し、更に1時間後の試験体質量(a2)を測定した。透湿度を以下の式により算出した。なお、Pは透湿度(g/m・h)、Sは透湿面積(cm)であり、P=10×(a−a)÷Sである。
【0075】
[実施例1で使用する液状シリコーンゴムベースおよびシリコーンゴムスポンジ形成性シリコーンエマルション組成物の成分]
a:粘度10,000mPa・sであり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.14%);
b:フュームドシリカおよび湿式シリカ;
c:ベンゲルW−100Uの水溶液(ベンゲルW−100Uの含有量2%)(ベンゲルW−100Uは株式会社ホージュン製のアニオン系ポリマー複合精製ベントナイト);
d:イオネットS−80(イオネットS−80は三洋化成工業株式会社製のソルビタンモノオレートであり、イオネットは該社の登録商標である);
e1:粘度5mPa・sであり、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー(ケイ素原子結合水素含有量0.8%);
e2:塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体;
f:3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール。
【0076】
[実施例1で使用する液状シリコーンゴムベースの調製]
ab−1:ミキサー内で粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.14%)(A)100部、BET法比表面積225m/gのフュームドシリカ40部、ヘキサメチルジシラザン7部、水2部を均一に混合し、混練しつつ減圧下200℃で2時間加熱処理を行うことにより、流動性のある液状シリコーンゴムベースを得た。その粘度は8,280,000 mPa・sであった。
ab−2:ミキサー内で粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.14%)(A)100部と粘度50mPa・sの両末端シラノール基封鎖のジメチルポリシロキサン2部と比表面積210m/gの沈降法シリカ33部を均一に混合し、混練しつつ200℃で2時間熱処理を行うことにより、流動性のある液状シリコーンゴムベースを得た。その粘度は450,000mPa・sであった。
【0077】
[実施例1での乳化方法、乳化条件]
上記のab−1、ab−2、e1、c、d、fを手混合した後、遊星式攪拌脱泡装置であるマゼルスター型式KK−100(クラボウ株式会社製、マゼルスターは倉敷紡績株式会社の登録商標である)により下記3段階のステップで乳化した。
第1ステップ:公転約1340rpm、自転なし、60秒間
第2ステップ:公転約1340rpm、自転約1340rpm、120秒間
第3ステップ:公転約980rpm、自転約670rpm、60秒間
【0078】
[円筒状二重編地の仕様]
円筒状編物基材は、平編地(天竺編)からなる内側編地と、両面スムース編地からなる外側編地とが、透湿性のポリウレタン樹脂で一体化されてなる二重編地からなり、先端部が閉じて基端部が開口した円筒状である。
上記内側編地は、繊度が56Dtexのポリエステルフィラメントの捲縮加工糸使いであり、コース密度が15c/cm、ウェール密度が15w/cmの平編地(天竺編)からなる。上記外側編地は、繊度が33Dtexのポリエステルフィラメントの捲縮加工糸使いであり、コース密度が25c/cm、ウェール密度が28w/cmの両面スムース編地からなる。内側編地のカバーファクターは1684であり、外側編地のカバーファクターは4021であり、二重編地の透湿度は161g/m・hである。
【0079】
[実施例1]
マゼルスター型式KK−100に、aの60部、液状シリコーンゴムベースab−1の20部と液状シリコーンゴムベースab−2の20部、cの100部、dの2.5部、e1の2部、fの2部を投入し、均一に混合することにより、粘度20,000mPa・sのW/O型シリコーンエマルション組成物を調製した。
次に、このW/O型シリコーンエマルション組成物100部にe2の0.15部を均一に混合し、真空ポンプで脱気することにより、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のW/O型シリコーンエマルション組成物を調製し、このW/O型シリコーンエマルション組成物をシリンダー状容器に充填した。
筒状体成型用アルミニウム金型内に、ポリアセタール製接合具を載置した。ポリアセタール製接合具を載置した筒状体成型用アルミニウム金型内に、その下部金属金具周辺ゲートから、ピストンポンプを使用して、前記シリンダー状容器内のW/O型シリコーンエマルション組成物を120cc/minの速度で注入した。
次に、前記W/O型シリコーンエマルション組成物を注入した筒状体成型用アルミニウム金型を90℃の熱風循環式オーブン内に入れ、1時間かけてW/O型シリコーンエマルション組成物を硬化させた。次に、硬化物を脱型して、ポリアセタール製接合具を先端部に内包した含水シリコーンゴムスポンジの円筒状体を得た。この含水シリコーンゴムスポンジの円筒状体を150℃の熱風循環式オーブン内に入れ、3時間かけて乾燥・脱水して、ポリアセタール製接合具を先端部に内包した連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ製の円筒状体を作製した。この円筒状体は、先端部が閉じて基端部が開口した円筒状であった。
【0080】
なお、物性測定用試料は、前記W/O型シリコーンエマルション組成物を厚さ2mmの金型に流し込み、80℃、10分間かけて硬化し、含水シリコーンゴム様シートを得た後に、このシートを120℃の熱風循環式オーブンに入れ、3時間かけて乾燥・脱水することにより、シート状のシリコーンゴムスポンジを得た。このシリコーンゴムスポンジの密度は0.64、硬さは23、引張強さは0.94MPa、伸び394%、透湿度は55g/m・hであった。
【0081】
上記仕様の円筒状二重編地を雄金型に取り付け、雌金型内に2液型付加反応硬化性液状シリコーンゴム組成物であるSE6271A/B(東レ・ダウコーニング株式会社製)を充填し、雄型と雌型を圧着させて150℃、30時間放置することによりSE6271A/Bを硬化させた。つぎに、硬化物を脱型して、硬質シリコーンゴム製先端キャップを有する円筒状二重編地を得た。なお、硬質シリコーンゴムの硬さは63であった。
上記のポリアセタール製接合具を先端部に内包した連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ製の円筒状体からスプール部を切除し、この円筒状体の全外表面に、バインダーとして上記のシリコーンゴムスポンジ形成性のW/O型シリコーンエマルション組成物をコーティングした。
コーティング面に上記の硬質シリコーンゴム製先端キャップを有する円筒状二重編地を被覆し、90℃の熱風循環式オーブンに1時間入れることにより、コーティングしたW/O型シリコーンエマルション組成物を乾燥し硬化させることにより、円筒状部が連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジの内層と編物基材の外層とからなる義肢用ソケットライナーを作製した。この義肢用ソケットライナーAは、ポリアセタール製接合具4を先端部のシリコーンゴムスポンジ1内に内包しており、円筒状二重編地層2の先端に硬質シリコーンゴム製先端キャップ5を有していた。
【0082】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジの内層と二重編地の外層からなる円筒状部は、下記の特性を有していた。
厚さ:2.9mm
密度:0.67g/cm
軸方向の引張強さ:4.6MPa、径方向の引張強さ:1.46MPa
径方向の伸び:141%、軸方向の伸び:43%
透湿度:10g/m・h
【0083】
この義肢用ソケットライナーは、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジが内側編地の空隙を充填して内側編地と一体的に結合しており、外側編地の外側表面には露出していなかった。したがって、通気性・透湿性が優れ、クッション性が良好であり、着用性が優れていた。長期間着用しても外表面が汚れにくく、傷付きにくく摩耗しにくかった。
【0084】
[比較例1]
マゼルスター型式KK−100に、aの60部、液状シリコーンゴムベースab−1の20部と液状シリコーンゴムベースab−2の20部、e1の2部、e2の0.15部、fの2部を投入し、均一に混合することにより液状シリコーンゴム組成物を調製した。
この液状シリコーンゴム組成物を前記ポリエステル繊維製二重編地の内側編地にコーティングし、120℃で15分間加熱して硬化させることによりシリコーンゴム層と編物基材とからなるシート状物を作製した。
このシリコーンゴム層は、気泡を有さず、硬さ47であり、引張強さ0.86MPaであり、伸び740%であった。
得られたシリコーンゴム層と二重編地層とからなるシート状物は、シリコーンゴム層の厚さ:2.6mm、密度:0.90g/cm、軸方向の引張強さ:5.4MPa、径方向の引張強さ:1.07MPa、軸方向の伸び:46%、径方向の伸び:98%、透湿度:0g/m・hであった。
実施例1の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジの内層と二重編地の外層からなる円筒状部にくらべて、密度が大きく、透湿度が著しく小さいことがわかった。しかも、クッション性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の義肢用ソケットライナーは、人体の四肢に病気や事故等によりできた断端部に被覆して、該断端部を支持する義肢のソケットの内部で使用するのに有用である。
本発明の義肢用ソケットライナーの製造方法は、義肢用ソケットライナーを容易適確に製造するのに有用である。
【符号の説明】
【0086】
A 義肢用ソケットライナー
1 連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ層
2 二重編地層
2a 内側編地
2b 外側編地
3 開口部
4 接合部
5 先端キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が閉じて基端部が開口した筒状である義肢用ソケットライナーにおいて、前記ライナーの筒状部は連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジからなる内層および編物基材からなる外層から形成され、前記編物基材は外側層もしくは外側編地と内側層もしくは内側編地とからなり、前記編物基材の外側層もしくは外側編地は内側層もしくは内側編地より緻密に編成されており、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは少なくとも内側層もしくは内側編地の空隙を充填して前記編物基材に一体的に結合しているが、外層の表面には露出していないことを特徴とする、義肢用ソケットライナー。
【請求項2】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、JIS K6268に規定される密度が0.4〜0.8g/cmであり、JIS L1099A-1に規定される透湿度が10〜400g/m・hrであることを特徴とする、請求項1に記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項3】
連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジは、SRISO0101準拠のアスカーゴム硬度計C型による硬さが10〜40であり、JIS K6251に規定される引張強さが0.5MPa以上であり、伸びが150〜600%であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項4】
前記シリコーンゴムスポンジは、補強性微粉末シリカおよびスメクタイトクレーを含有することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項5】
前記シリコーンゴムスポンジは、補強性微粉末シリカを5〜30重量%含有し、スメクタイトクレーを0.5〜5重量%含有することを特徴とする、請求項4に記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項6】
前記編物基材の外側層もしくは外側編地のカバーファクターが2800以上、内側層もしくは内側編地のカバーファクターが2000以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
ただし、
【数1】

である。
【請求項7】
前記編物基材は、両面スムース編地の外側編地と平編地の内側編地とが透湿性樹脂で一体化されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項8】
前記編物基材の筒状部の径方向のJIS L1096に規定される伸びが200%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項9】
閉じた先端部に、義肢又は義肢用ソケットに取付け可能とする接合部が存在することを特徴とする、請求項1または請求項8に記載の義肢用ソケットライナー。
【請求項10】
先端部が閉じて基端部が開口した筒状の連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物の外表面に、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ形成性のシリコーンエマルション組成物を塗布し、先端部が閉じて基端部が開口した筒状の編物基材(ただし、編物基材の外側層もしくは外側編地は内側層もしくは内側編地より緻密に編成されている)を被せ、前記液状シリコーンエマルション組成物を硬化させることを特徴とする、請求項1に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【請求項11】
前記シリコーンエマルション組成物が、ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物のW/O型エマルション組成物であることを特徴とする、請求項10に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【請求項12】
ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が、補強性微粉末シリカとスメクタイトクレーを含有することを特徴とする、請求項11に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【請求項13】
ヒドロシリル化反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が、補強性微粉末シリカを5〜30重量%含有し、スメクタイトクレーを0.5〜5重量%含有することを特徴とする、請求項12に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【請求項14】
前記シリコーンエマルション組成物が、(a)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと(b)補強性微粉末シリカとからなる液状シリコーンゴムベース、(c)スメクタイクレー含有水、(d)乳化剤、および(a)成分を架橋させるに充分な量の(e1)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(e2)白金系触媒からなり、連続気泡を有するシリコーンゴムスポンジ成形物が、前記のシリコーンエマルション組成物を加熱して硬化させ,ついで脱水するか、前記のシリコーンエマルション組成物を加熱硬化させつつ脱水することにより形成されるものであることを特徴とする、請求項12に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。
【請求項15】
成分(a)が100重量部、成分(b)が5〜40重量部、成分(c)が70〜170重量部、成分(d)が0.1〜7重量部であることを特徴とする、請求項14に記載の義肢用ソケットライナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−43032(P2013−43032A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184444(P2011−184444)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(591168932)株式会社SHINDO (22)
【Fターム(参考)】