耐力フレームの構造
【課題】簡単な構造で斜材の端部を補強しうる鉄骨軸組構造の建築物の耐力壁として用いられる耐力フレームの構造を提供する。
【解決手段】耐力フレーム1の斜材6は、面外座屈方向が垂直構面S1と平行に配置された板材からなるブレース芯材16と、このブレース芯材16の面外座屈方向Xの両側に添設されるとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼17A、17Bからなる内補剛材17と、前記ブレース芯材16及び内補剛材17に外挿される筒状の外補剛材18とを含む。ブレース芯材16の両端は、内補剛材17及び外補剛材18からはみ出すはみ出し部20を有する。はみ出し部20には、ブレース芯材16の面外座屈方向の両側面に固着されかつ該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブ21が設けられ、補強リブ21の一部は、ブレース芯材16と内補剛材17とが囲む空所i内にのびている。
【解決手段】耐力フレーム1の斜材6は、面外座屈方向が垂直構面S1と平行に配置された板材からなるブレース芯材16と、このブレース芯材16の面外座屈方向Xの両側に添設されるとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼17A、17Bからなる内補剛材17と、前記ブレース芯材16及び内補剛材17に外挿される筒状の外補剛材18とを含む。ブレース芯材16の両端は、内補剛材17及び外補剛材18からはみ出すはみ出し部20を有する。はみ出し部20には、ブレース芯材16の面外座屈方向の両側面に固着されかつ該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブ21が設けられ、補強リブ21の一部は、ブレース芯材16と内補剛材17とが囲む空所i内にのびている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨軸組構造の建築物の耐力壁として用いられる耐力フレームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨軸組構造の建築物、とりわけ規格化住宅等の低層建築物において、種々の耐力フレームが提案されている(例えば下記特許文献1ないし2参照)。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、耐力フレームに用いられる斜材として、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材と略同長の筒状をなすとともに前記ブレース芯材に外挿される外補剛材とを具えた座屈拘束ブレースが記載されている。また、前記外補剛材は、ブレース芯材に向けた外側からの加圧力によって内側へ向けて変形した変形部を有し、この変形部によってブレース芯材の座屈が抑制されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、耐力フレームに用いられる斜材として、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材と略同じ長さを有し、前記ブレース芯材に外挿される補剛材とを含むものが記載されている。前記補剛材は、ブレース芯材に向き合う受板部を有する主補剛材と、断面コ字状をなしかつ主補剛材の受板部を覆って主補剛材と固着される副補剛材とからなる。そして、ブレース芯材は、主補剛材の受板部と副補剛材のウエブとで挟着されることで、面外座屈が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−75281号公報
【特許文献2】特開2008−75280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記斜材は、ブレース芯材にのみ実質的な軸力を負担させるため、このブレース芯材を柱等に固定する必要がある。このため、ブレース芯材の両端部は、補剛材からはみ出すはみ出し部を設ける必要がある。しかしながら、前記特許文献1乃至2の構成では、ブレース芯材のはみ出し部の強度が低く、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、低コストかつシンプルな構造でブレース芯材のはみ出し部の補強を効果的に行いうる耐力フレームの構造を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、基礎とその上をのびる梁との間の垂直構面、又は上下の梁間の垂直構面に架設される耐力フレームの構造であって、前記垂直構面を互いに平行に上下にのびる第1の柱材及び第2の柱材と、前記第1の柱材と第2の柱材との間を斜めにのびて継ぐ斜材とを有し、前記斜材は、面外座屈方向が前記垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含み、前記ブレース芯材の両端は、前記内補剛材及び外補剛材からはみ出すはみ出し部を有し、前記ブレース芯材の前記はみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられ、この補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記内補剛材とが囲む空所内にのびていることを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記ブレース芯材のはみ出し部は、取付プレートを介して第1の柱材又は第2の柱材に固着され、前記取付プレートは、前記はみ出し部の幅方向両側に固着されかつ前記垂直構面と平行にのびる一対の板材からなる請求項1記載の耐力フレームの構造である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、前記はみ出し部は、前記第1の柱材及び第2の柱材と離間して設けられる請求項2記載の耐力フレームの構造である。
【0011】
また請求項4記載の発明は、前記端部プレートは、前記ブレース芯材の大圧縮変形時、前記外補剛材の端面と接触しうる対向面を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【0012】
また請求項5記載の発明は、前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の上端側にのびる上斜材を含み、該上斜材は、前記第2の柱材の上端側の構造心よりも下部側に固着される請求項1乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【0013】
また請求項6記載の発明は、前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の下端側にのびる下斜材を含み、該下斜材は、前記第2の柱材の下端側の構造心よりも上部側に固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の耐力フレームでは、斜材は、面外座屈方向が梁間等の垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含む。そして、ブレース芯材の補剛材からはみ出すはみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられる。
【0015】
このような補強リブは、ブレース芯材のはみ出し部の断面を略十字状とすることにより、該はみ出し部の面外座屈に対する剛性を高めうる。しかも、補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記溝型鋼からなる内補剛材とが囲む空所内にのびて終端している。このように、補強リブをブレース芯材のはみ出し部と非はみ出し部との両方に跨らせて配置することにより、前記補強効果がより一層向上する。さらに、補強リブは、前記内補剛材と干渉することなく設けることができる。従って、溝型鋼からなる内補剛材に切り欠き等の加工を施すことなく、補強リブをブレース芯材に固着できる。従って、本発明の耐力フレームの構造によれば、低コストかつ簡単な構造でブレース芯材の端部補強が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の耐力フレームを用いた軸組構造体の正面図である。
【図2】その斜視図である。
【図3】図2の分解図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】斜材の分解斜視図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【図9】図6のC−C断面図である。
【図10】上部側の取付プレートの実施形態を示す部分正面図である。
【図11】下部側の取付プレートの実施形態を示す部分正面図である。
【図12】斜材の大変形時の状態を示す下斜材の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1〜4に示されるように、本実施形態の耐力フレーム1は、基礎2と、該基礎2に沿ってその上を水平にのびる梁3との間の垂直構面S1に架設されることにより、例えば鉄骨軸組構造住宅の1階の軸組構造体F1の一部を構成している。なお、耐力フレーム1は、2階の軸組構造体F2の梁3、3間の垂直構面S2に配置される場合もあるのは言うまでもない。
【0018】
前記耐力フレーム1は、前記垂直構面S1を互いに平行に上下にのびる第1の柱材4及び第2の柱材5と、前記第1の柱材4と第2の柱材5との間を斜めにのびて継ぐ斜材6とを有する。
【0019】
前記第1の柱材4及び第2の柱材5は、断面角パイプ状の鉄骨柱からなり、その下端は略箱状をなす取付金物B1に固着される。この取付金物B1は、基礎2から突出するアンカーボルト2aに固定される。なお、基礎2と取付金物B1との間に土台等が介在しても良い。
【0020】
また、第1の柱材4及び第2の柱材5の上端には、略水平な板材からなる取付プレートB2が固着される。この取付プレートB2は、コーナ金物C又は梁3にボルトにて固定される。なお、コーナ金物Cは、梁3と剛接合されるので梁3の一部とみなすことができる。
【0021】
また、図3乃至図5に示されるように、第1の柱材4には、その長さ方向の略中央部に、第2の柱材5側に突出する上の受け金物7と、下の受け金物8とが上下に距離を隔てて設けられる。
【0022】
前記上の受け金物7は、第2の柱材5側を向く柱面4aに溶接にて固着された一対の側板部7a、7aと、該側板部7aの下面に溶接にて固着された略水平な板状の受け部7bとから構成される。この受け部7bには、略中央部に透孔7cが形成されるとともに、受け部7bの下面は、実質的に水平な第1取付面10が形成される。
【0023】
同様に、下の受け金物8も、第1の柱材4の前記柱面4aに溶接にて固着された一対の側板部8a、8aと、該側板部8aの上面に溶接にて固着された略水平な板状の受け部8bとから構成される。受け部8bにも、略中央部に透孔8cが形成されるとともに、受け部8bの上面は、実質的に水平をなす第2取付面11が形成される。この第2取付面11は、上の受け金物7の前記第1取付面10と平行に向き合いかつその下方に位置する。
【0024】
前記斜材6は、第1の柱材4の長さ方向の略中間部から第2の柱材5の上端側にのびる上斜材6Aと、第1の柱材4の長さ方向の略中間部から第2の柱材5の下端側にのびる下斜材6Bとを含む。本実施形態の上斜材6Aは、第2の柱材5から第1の柱材4に向かって下降する傾斜を有する。逆に、本実施形態の下斜材6Bは、第2の柱材5から第1の柱材4に向かって上昇する傾斜を有する。そして、これらの各斜材6A、6Bには、引張力のみならず圧縮力が作用した場合でも大きく座屈することなく十分な耐変形抵抗性を示すいわゆる座屈拘束ブレースが採用される。
【0025】
さらに、本実施形態では、図3に示されるように、上斜材6A及び下斜材6Bの一端側は、それぞれ予め工場等で第2の柱材5に固着されるとともに、上斜材6A及び下斜材6Bの他端側は、継ぎ部材15に固着される。これにより、本実施形態の耐力フレーム1は、第1の柱材4と、壁と対向した正面視において第1の柱材4に向かって凸となる横向きの略二等辺三角形状の三角フレーム体9とを、前記上下の受け金物7、8にボルト等で結合することにより形成される。このように、耐力フレーム1を2分割で構成することにより、現場への運搬性を向上できるとともに、現場での施工性が大幅に向上する。
【0026】
図6には、斜材6の代表例として上斜材6Aの斜視図を示す(なお、下斜材6Bも同様の構成を有する)。また、図7〜9には、図6のA−A、B−B及びC−Cの各断面図が示される。
【0027】
図6〜9に示されるように、前記斜材6は、ブレース芯材16と、その面外座屈を抑制するための内補剛材17及び外補剛材18とを含んで構成される。
【0028】
詳細は後述するが、ブレース芯材16の端部は、それぞれ第1の柱材4及び第2の柱材5に固着される。これにより、ブレース芯材16が、軸組構造体F1の軸力を負担しうる。また、ブレース芯材16は、面外座屈方向X(図6、図7に示す)が前記垂直構面S1(垂直面)と平行に配置された長尺な板材から形成される。つまり、ブレース芯材16の厚さt1の方向及び長さL1の方向が垂直構面S1と平行であり、ブレース芯材16の幅W1の方向が、前記垂直構面S1と直交している。このような向きにブレース芯材16を配置することにより、仮に軸組構造体F1に大変形が生じブレース芯材16に大きな面外座屈が生じた場合でも、軸組構造体の壁材等に変形した斜材6が接触し壁材などを損傷させるのを防止できる。
【0029】
ブレース芯材16には、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼又は合金鋼など各種の鉄鋼材料が採用される。特に限定されるものではないが、ブレース芯材16には、極低降伏点鋼等が好適である。極低降伏点鋼は、一般鋼(例えばSM490やSS400)に比べると約1/4〜1/3の降伏点しか持たないが、伸びに関しては50%以上と非常に優れた性能を発揮できる。
【0030】
ブレース芯材16には、内補剛材17ないし外補剛材18との摩擦を軽減するために、表面がめっき仕上げされても良い。本実施形態のブレース芯材16は、例えば断面矩形状の長尺板状をなし、一例として幅W1が20〜100mm程度、厚さt1が例えば3〜15mm程度で構成される。
【0031】
図7によく表されているように、前記内補剛材17は、ブレース芯材16の面外座屈方向Xの両側面16aにブレース芯材16を挟むように配置された一対の溝型鋼17A、17Bからなる。各溝型鋼17A、17Bは、それぞれウエブ17aと、その両側から張り出す一対のフランジ17bとを有し、かつ、各々の溝部をブレース芯材16側に向けて固着されている。内補剛材17は、フランジ17b、17b間の幅がブレース芯材16の幅W1よりも小さく設定され、それらのフランジ17bの端面17b1でブレース芯材16を両側から挟むように配置される。
【0032】
なお、図7に溶接部jで示されるように、内補剛材17は、例えばその長さ方向の中間部等において、小長さで部分的にブレース芯材16と溶接されている。これにより、内補剛材17とブレース芯材16との位置ずれが防止され、内補剛材17によるブレース芯材16の面外座屈防止効果が発揮される。また、前記溶接は小長さに限定されるため、ブレース芯材16は、内補剛材17に拘束されることなくその長さ方向については自由に伸びることができ、軸力を確実に負担できる。
【0033】
図6及び図7に示されるように、本実施形態の外補剛材18は、ブレース芯材16及び内補剛材17に外挿される例えば角筒状の鋼材からなる。そして、外補剛材18は、少なくともブレース芯材16と内補剛材17とを前記面外座屈方向Xで拘束して座屈を抑制しうる。本実施形態では、外補剛材18の内周面の寸法は、面外座屈方向Xで内補剛材17との隙間を小としその変位を抑制する。さらに好ましい態様として、外補剛材18は、面外座屈方向Xと直交する方向においても、ブレース芯材16の幅W1の方向の両側面との隙間を小として該幅方向の変位をも小さく抑制するものが望ましい。
【0034】
斜材6を組み立てる際、外補剛材18は、内補剛材17とブレース芯材16とを予め溶接した組立体に嵌め込まれるのが望ましい。また、嵌め込まれた後、外補剛材18は、内補剛材17と例えばかしめ又は溶接等の固着手段により一体化されるのが望ましい。なお、本実施形態では、内補剛材17は、外補剛材18よりも長尺に形成されており、その両端部が外補剛材18の両端部からそれぞれ小長さではみ出している。
【0035】
ブレース芯材16の両端は、前記軸組構造体F1の軸力を負担するために、第1の柱材4及び第2の柱材5に固着される必要がある一方、内補剛材17及び外補剛材18は、第1の柱材4及び第2の柱材5とは固着されてはならない。従って、斜材6のブレース芯材16は、内補剛材17及び外補剛材18よりも長尺に形成され、その両端は、内補剛材17及び外補剛材18からはみ出すはみ出し部20として形成される。そして、本実施形態では、はみ出し部20の一端側は、第2の柱材5に取付プレート22を介して固着されている。勿論、内補剛材17及び外補剛材18は、取付プレート22とは接触することなく離間している。このように構成された斜材6は、軸力が作用したときには、内補剛材17及び外補剛材18に対してブレース芯材16に対して、相対的に伸び、又は座屈することなく圧縮され得る。
【0036】
図6、図8及び図9に示されるように、ブレース芯材16の両側のはみ出し部20には、それぞれ一対の補強リブ21が設けられる。
【0037】
前記補強リブ21は、ブレース芯材16の前記面外座屈方向Xの両側面16aかつ幅W1の中間部に内側の端面21bを当接させ、例えばすみ肉溶接により一体に固着されている。符号jは、溶接部を示している。本実施形態の補強リブ21は、その幅方向をブレース芯材16の面外座屈方向Xに沿わせた金属製の板材からなる。補強リブ21の厚さt2は、ブレース芯材16の厚さt1と実質的に同一に形成されているが、このような態様に限定されるものではない。
【0038】
このような補強リブ21は、図8に示されるように、ブレース芯材16の前記両側面16aから面外座屈方向Xの両側にそれぞれ突出してブレース芯材16と一体化することにより、はみ出し部20を断面略十字状とする。すなわち、はみ出し部20の面外座屈方向の曲げに対する断面二次モーメントを増大させ、面外座屈に対する剛性を高め得る。従って、軸組構造体F1に水平変位が生じた場合でも、補剛材17及び18で拘束されていないはみ出し部20の面外座屈を簡単な構造で補強でき、該はみ出し部20の局部的な座屈変形を効果的に防止できる。
【0039】
また、図5、図6、図10及び図11に示されるように、補強リブ21の一部は、ブレース芯材16と内補剛材17とが囲む空所i内に内補剛材17と干渉することなくのびて終端している。これにより、補強リブ21は、ブレース芯材16のはみ出し部20と、ブレース芯材16の内補剛材17面外座屈が拘束された非はみ出し部23との両方に跨って配置されている。しかも、本実施形態の補強リブ21の外端21aは、非はみ出し部23において、内補剛材17のウエブ17aの内面とは干渉することなく小隙間を隔てて設けられる。
【0040】
このような補強リブ21は、例えば内補剛材17側に補強リブ21との干渉を防ぐための切り欠き等の加工を施すことなく設けることができる。従って、本発明の耐力フレーム1の構造によれば、低コストかつ簡単な構造でブレース芯材16の端部(はみ出し部20)の補強が確実に行える。また、補強リブ21の長さ、厚さ及び/又は高さ(板材の幅に相当)を調節することにより、耐力性能を任意に調整できる。しかも、補強リブ21の一部は、内補剛材17で拘束されることにより高い耐面外座屈性を示す非はみ出し部23にも跨って配置される。このため、補強リブ21は、はみ出し部20に作用する座屈荷重の一部を非はみ出し部23にも負担させることができる。従って、本実施形態では、はみ出し部20の耐面外座屈性能をさらに向上させることができる。
【0041】
なお、補強リブ21の外端21aは、ブレース芯材16の前記両側面16aから突出しているため、仮にはみ出し部20に面外座屈が生じた場合でも、内補剛材17の前記空所i内をのびる補強リブ21の外端21aが内補剛材17の内周面と当接し、その座屈量が一定範囲に抑えることが可能である。このような観点より、補強リブ21の前記面外座屈方向Xの外端21aとウエブ17aとは、例えば5〜20mm程度の隙間hが形成されるのが望ましい。
【0042】
図6、図9に示されるように、前記取付プレート22は、本実施形態では、垂直構面S1と正対した正面図において略三角形状をなし、第2の柱材5に添着される縦面22aと、該縦面22aから斜め上にのびる下斜面22bと、縦面22aから斜め下にのびる上斜面22cとを含み、かつ、垂直構面S1と平行にのびる金属製の一対の板材からなる。この取付プレート22は、はみ出し部20の幅方向の両側縁に、それぞれすみ肉溶接により固着される。また、取付プレート22の前記縦面22aは、第2の柱材5の第1の柱材4側を向く外面5aかつ両コーナ側に寄った位置でそれぞれ溶接されている。従って、本実施形態によれば、垂直にのびる第2の柱材5に対して傾斜してのびるブレース芯材16を、第2の柱材5に容易に固着できる。
【0043】
また、取付プレート22が固着されたはみ出し部20は、図9に示されるように、ブレース芯材16をウエブとし取付プレート22をフランジとする断面略H字状をなす。このようなはみ出し部20は、面外座屈方向の曲げに対する断面二次モーメントがさらに大きくなるため、ブレース芯材16のはみ出し部20の耐面外座屈性能がさらに向上する。しかも、本実施形態では、はみ出し部20に固着された補強リブ21は、図10乃至11に示されるように、ブレース芯材16の長手方向で取付プレート22とオーバーラップして設けられている。このため、はみ出し部20の耐面外座屈性能がさらに向上し、より一層、安定した耐荷重特性を得ることができる。
【0044】
さらに、本実施形態のはみ出し部20は、第2の柱材5とは接触することなくその手前で終端している。つまり、斜材6と第2の柱材5とは、ブレース芯材16の両側に固着された取付プレート22だけで接合され、ブレース芯材16自体は、第2の柱材5とは離間している。もし、ブレース芯材16の端部が第2の柱材5に直接溶接固着されると、斜材6に例えば引張力が作用した場合、第2の柱材5の外面5aの変形が大きくなり、耐久性に難がある。これに対して、本実施形態のように、はみ出し部20を第2の柱材5から離すとともに、はみ出し部20を、第2の柱材5の外面5aのコーナ側に寄せて固着された取付プレート22を介して固着することにより、第2の柱材5の外面5aの変形を抑え耐久性を高めることができる。
【0045】
さらに、好ましい実施形態では、取付プレート22は、ブレース芯材16の大圧縮変形時、外補剛材18の端面18aと接触しうる対向面24を有するのが望ましい。本実施形態において、図10に示されるように、上斜材6Aを固着される取付プレート22については、前記下斜面22bが対向面24をなす。他方、図11に示されるように、下斜材6Bを固着される取付プレート22については、前記上斜面22cが対向面24をなす。
【0046】
取付プレート22の対向面24は、耐力フレーム1の静的な安定時において、角筒状をなす外補剛材18の端面18aと少なくとも一部で向き合い、かつ、実質的に平行な面で形成されている。そして、図12に下斜材6B側が代表して示されるように、ブレース芯材16に急激な圧縮変形が生じたとき、外補剛材18の前記端面18aが、取付プレート22の上斜面22cがなす対向面24と実質的に面接触しうる。従って、このような耐力フレーム1では、建物に想定外の外力が加えられ、ブレース芯材16が圧縮力を負担できなくなった場合でも、外補剛材18の端面18aが取付プレート22の対向面24と面接触し、想定外の荷重に対しては、外補剛材18が角筒状の圧縮ブレース材として機能することで建物の倒壊等を防止することができる。なお、本実施形態の内補剛材17は、前記圧縮変形時、取付プレート22、22間に進入可能な寸法に形成されている。
【0047】
また、本実施形態では、図10及び図11に示されるように、垂直構面S1の正面視において、上斜材6Aは、第2の柱材5の上端側の構造心P1よりも下部側(即ち、上斜材6Aの延長線と柱材5の中心線との交点PsがP1よりも下側)に固着されるのが望ましい。同様に、下斜材6Bは、第2の柱材5の下端側の構造心P2よりも上部側(即ち、下斜材6Bの延長線と柱材5の中心線との交点PsがP2よりも上側)に固着されているのが望ましい。ここで、第2の柱材5の上端側の構造心P1とは、第2の柱材5の構造芯(中心線)CL1と、上部側の梁3の構造芯(中心線)CL2との交点とする。また、第2の柱材5の下端側の構造心P2は、基礎上面と第2の柱材5の構造芯(中心線)CL1との交点とする。
【0048】
以上のような構成では、斜材6と梁3、又は斜材6と基礎2との間に十分なスペースを形成することができる。従って、耐力フレーム1を配置しつつも、天井材30や床材31等を容易にかつ能率的に設置することができ、施工性及び生産性が向上する。とりわけ、前記取付プレート22を正面視三角形状とすることにより、前記スペースを拡大させるのに役立つ。
【0049】
前記各斜材6A、6Bの他端側は、図1〜5に示したように、前記継ぎ部材15を介して第1の柱材4に固着される。
【0050】
図4及び図5に良く表されるように、本実施形態の継ぎ部材15は、溝部を第2の柱材5側に向けた溝型の枠材15aと、この枠材15aの上端に溶着されることにより継ぎ部材15の上端面Uをなす上板15bと、枠材15aの下端に溶着されることにより継ぎ部材15の下端面Dをなす下板15cとで構成される。また、前記上板15b及び下板15cには、上下の受け金物7、8にそれぞれ設けられた透孔7c、8cと同心に揃えられる透孔15dが形成される。
【0051】
前記継ぎ部材15の上板15bの上端面U及び下板15cの下端面Dは、実質的に平坦な水平面として形成される。そして、継ぎ部材15の前記上端面Uから下端面Dまでの垂直長さは、前記上、下の受け金物7、8の第1取付面10と第2取付面11との間の垂直方向の間隙の高さよりもわずかに小さく形成されている。
【0052】
前記継ぎ部材15は、ボルト25によって、第1の柱材4基礎2と梁3との間に予め固定された第1の柱材4に固定される。前記ボルト25は、上側ボルト25A及び下側ボルト25Bからなる。上側ボルト25Aは、継ぎ部材15の上板15bと上の受け金物7とを締結する。また、下側ボルト25Bは、継ぎ部材15の下板15cと下の受け金物8とを締結する。各ボルト25A、25Bは、それぞれ受け金物側から透孔15dに挿入され、継ぎ部材15の内側に溶着されたナット26に螺着される。
【0053】
前記三角フレーム体9の継ぎ部材15の上端面U及び下端面Dは、それぞれ水平な第1、第2取付面10、11と面接触し、上側ボルト25A及び下側ボルト25Bで固定される。この際、必要に応じてシム等を介在させることにより、継ぎ部材15と受け金物7,8との隙間が適宜調整される。
【0054】
軸組構造体F1に水平荷重が作用した場合、三角フレーム体9は第1の柱材4に対して相対的に上下に変位する。しかし、第1の柱材4と、三角フレーム体9とは、軸組構造体F1に作用する水平荷重を水平な前記第1、第2の取付面10、11の面圧方向で受けることができる。これは、垂直面で軸組構造体の水平荷重を受ける場合に比べて、接合面に作用するせん断力を大幅に減じことができ、両部材4、9の位置固定をより確実とし接合面での滑りによる位置ずれを確実に防止できる。また、上記面圧方向で水平荷重を受ける結果、ボルト25A、25Bに、標準的な中ボルトなどを用いた場合でも、その折損等を効果的に防止でき低コストで軸組構造体F1の耐久性をも向上しうる。
【0055】
以上本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の耐力フレーム1は、種々の態様に変更して実施することができるのは言うまでもない。例えば、本実施形態の補強リブ21は、高さ及び幅を一定としているが、これらを部分的に変化させることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 耐力フレーム
2 基礎
3 梁
4 第1の柱材
5 第2の柱材
6 斜材
6A 上斜材
6B 下斜材
15 継ぎ部材
16 ブレース芯材
17 内補剛材
17A、17B 溝型鋼
18 外補剛材
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨軸組構造の建築物の耐力壁として用いられる耐力フレームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨軸組構造の建築物、とりわけ規格化住宅等の低層建築物において、種々の耐力フレームが提案されている(例えば下記特許文献1ないし2参照)。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、耐力フレームに用いられる斜材として、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材と略同長の筒状をなすとともに前記ブレース芯材に外挿される外補剛材とを具えた座屈拘束ブレースが記載されている。また、前記外補剛材は、ブレース芯材に向けた外側からの加圧力によって内側へ向けて変形した変形部を有し、この変形部によってブレース芯材の座屈が抑制されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、耐力フレームに用いられる斜材として、軸力を負担する長尺板状のブレース芯材と、このブレース芯材と略同じ長さを有し、前記ブレース芯材に外挿される補剛材とを含むものが記載されている。前記補剛材は、ブレース芯材に向き合う受板部を有する主補剛材と、断面コ字状をなしかつ主補剛材の受板部を覆って主補剛材と固着される副補剛材とからなる。そして、ブレース芯材は、主補剛材の受板部と副補剛材のウエブとで挟着されることで、面外座屈が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−75281号公報
【特許文献2】特開2008−75280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記斜材は、ブレース芯材にのみ実質的な軸力を負担させるため、このブレース芯材を柱等に固定する必要がある。このため、ブレース芯材の両端部は、補剛材からはみ出すはみ出し部を設ける必要がある。しかしながら、前記特許文献1乃至2の構成では、ブレース芯材のはみ出し部の強度が低く、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、低コストかつシンプルな構造でブレース芯材のはみ出し部の補強を効果的に行いうる耐力フレームの構造を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、基礎とその上をのびる梁との間の垂直構面、又は上下の梁間の垂直構面に架設される耐力フレームの構造であって、前記垂直構面を互いに平行に上下にのびる第1の柱材及び第2の柱材と、前記第1の柱材と第2の柱材との間を斜めにのびて継ぐ斜材とを有し、前記斜材は、面外座屈方向が前記垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含み、前記ブレース芯材の両端は、前記内補剛材及び外補剛材からはみ出すはみ出し部を有し、前記ブレース芯材の前記はみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられ、この補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記内補剛材とが囲む空所内にのびていることを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記ブレース芯材のはみ出し部は、取付プレートを介して第1の柱材又は第2の柱材に固着され、前記取付プレートは、前記はみ出し部の幅方向両側に固着されかつ前記垂直構面と平行にのびる一対の板材からなる請求項1記載の耐力フレームの構造である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、前記はみ出し部は、前記第1の柱材及び第2の柱材と離間して設けられる請求項2記載の耐力フレームの構造である。
【0011】
また請求項4記載の発明は、前記端部プレートは、前記ブレース芯材の大圧縮変形時、前記外補剛材の端面と接触しうる対向面を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【0012】
また請求項5記載の発明は、前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の上端側にのびる上斜材を含み、該上斜材は、前記第2の柱材の上端側の構造心よりも下部側に固着される請求項1乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【0013】
また請求項6記載の発明は、前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の下端側にのびる下斜材を含み、該下斜材は、前記第2の柱材の下端側の構造心よりも上部側に固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の耐力フレームの構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の耐力フレームでは、斜材は、面外座屈方向が梁間等の垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含む。そして、ブレース芯材の補剛材からはみ出すはみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられる。
【0015】
このような補強リブは、ブレース芯材のはみ出し部の断面を略十字状とすることにより、該はみ出し部の面外座屈に対する剛性を高めうる。しかも、補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記溝型鋼からなる内補剛材とが囲む空所内にのびて終端している。このように、補強リブをブレース芯材のはみ出し部と非はみ出し部との両方に跨らせて配置することにより、前記補強効果がより一層向上する。さらに、補強リブは、前記内補剛材と干渉することなく設けることができる。従って、溝型鋼からなる内補剛材に切り欠き等の加工を施すことなく、補強リブをブレース芯材に固着できる。従って、本発明の耐力フレームの構造によれば、低コストかつ簡単な構造でブレース芯材の端部補強が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の耐力フレームを用いた軸組構造体の正面図である。
【図2】その斜視図である。
【図3】図2の分解図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】斜材の分解斜視図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】図6のB−B断面図である。
【図9】図6のC−C断面図である。
【図10】上部側の取付プレートの実施形態を示す部分正面図である。
【図11】下部側の取付プレートの実施形態を示す部分正面図である。
【図12】斜材の大変形時の状態を示す下斜材の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1〜4に示されるように、本実施形態の耐力フレーム1は、基礎2と、該基礎2に沿ってその上を水平にのびる梁3との間の垂直構面S1に架設されることにより、例えば鉄骨軸組構造住宅の1階の軸組構造体F1の一部を構成している。なお、耐力フレーム1は、2階の軸組構造体F2の梁3、3間の垂直構面S2に配置される場合もあるのは言うまでもない。
【0018】
前記耐力フレーム1は、前記垂直構面S1を互いに平行に上下にのびる第1の柱材4及び第2の柱材5と、前記第1の柱材4と第2の柱材5との間を斜めにのびて継ぐ斜材6とを有する。
【0019】
前記第1の柱材4及び第2の柱材5は、断面角パイプ状の鉄骨柱からなり、その下端は略箱状をなす取付金物B1に固着される。この取付金物B1は、基礎2から突出するアンカーボルト2aに固定される。なお、基礎2と取付金物B1との間に土台等が介在しても良い。
【0020】
また、第1の柱材4及び第2の柱材5の上端には、略水平な板材からなる取付プレートB2が固着される。この取付プレートB2は、コーナ金物C又は梁3にボルトにて固定される。なお、コーナ金物Cは、梁3と剛接合されるので梁3の一部とみなすことができる。
【0021】
また、図3乃至図5に示されるように、第1の柱材4には、その長さ方向の略中央部に、第2の柱材5側に突出する上の受け金物7と、下の受け金物8とが上下に距離を隔てて設けられる。
【0022】
前記上の受け金物7は、第2の柱材5側を向く柱面4aに溶接にて固着された一対の側板部7a、7aと、該側板部7aの下面に溶接にて固着された略水平な板状の受け部7bとから構成される。この受け部7bには、略中央部に透孔7cが形成されるとともに、受け部7bの下面は、実質的に水平な第1取付面10が形成される。
【0023】
同様に、下の受け金物8も、第1の柱材4の前記柱面4aに溶接にて固着された一対の側板部8a、8aと、該側板部8aの上面に溶接にて固着された略水平な板状の受け部8bとから構成される。受け部8bにも、略中央部に透孔8cが形成されるとともに、受け部8bの上面は、実質的に水平をなす第2取付面11が形成される。この第2取付面11は、上の受け金物7の前記第1取付面10と平行に向き合いかつその下方に位置する。
【0024】
前記斜材6は、第1の柱材4の長さ方向の略中間部から第2の柱材5の上端側にのびる上斜材6Aと、第1の柱材4の長さ方向の略中間部から第2の柱材5の下端側にのびる下斜材6Bとを含む。本実施形態の上斜材6Aは、第2の柱材5から第1の柱材4に向かって下降する傾斜を有する。逆に、本実施形態の下斜材6Bは、第2の柱材5から第1の柱材4に向かって上昇する傾斜を有する。そして、これらの各斜材6A、6Bには、引張力のみならず圧縮力が作用した場合でも大きく座屈することなく十分な耐変形抵抗性を示すいわゆる座屈拘束ブレースが採用される。
【0025】
さらに、本実施形態では、図3に示されるように、上斜材6A及び下斜材6Bの一端側は、それぞれ予め工場等で第2の柱材5に固着されるとともに、上斜材6A及び下斜材6Bの他端側は、継ぎ部材15に固着される。これにより、本実施形態の耐力フレーム1は、第1の柱材4と、壁と対向した正面視において第1の柱材4に向かって凸となる横向きの略二等辺三角形状の三角フレーム体9とを、前記上下の受け金物7、8にボルト等で結合することにより形成される。このように、耐力フレーム1を2分割で構成することにより、現場への運搬性を向上できるとともに、現場での施工性が大幅に向上する。
【0026】
図6には、斜材6の代表例として上斜材6Aの斜視図を示す(なお、下斜材6Bも同様の構成を有する)。また、図7〜9には、図6のA−A、B−B及びC−Cの各断面図が示される。
【0027】
図6〜9に示されるように、前記斜材6は、ブレース芯材16と、その面外座屈を抑制するための内補剛材17及び外補剛材18とを含んで構成される。
【0028】
詳細は後述するが、ブレース芯材16の端部は、それぞれ第1の柱材4及び第2の柱材5に固着される。これにより、ブレース芯材16が、軸組構造体F1の軸力を負担しうる。また、ブレース芯材16は、面外座屈方向X(図6、図7に示す)が前記垂直構面S1(垂直面)と平行に配置された長尺な板材から形成される。つまり、ブレース芯材16の厚さt1の方向及び長さL1の方向が垂直構面S1と平行であり、ブレース芯材16の幅W1の方向が、前記垂直構面S1と直交している。このような向きにブレース芯材16を配置することにより、仮に軸組構造体F1に大変形が生じブレース芯材16に大きな面外座屈が生じた場合でも、軸組構造体の壁材等に変形した斜材6が接触し壁材などを損傷させるのを防止できる。
【0029】
ブレース芯材16には、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼又は合金鋼など各種の鉄鋼材料が採用される。特に限定されるものではないが、ブレース芯材16には、極低降伏点鋼等が好適である。極低降伏点鋼は、一般鋼(例えばSM490やSS400)に比べると約1/4〜1/3の降伏点しか持たないが、伸びに関しては50%以上と非常に優れた性能を発揮できる。
【0030】
ブレース芯材16には、内補剛材17ないし外補剛材18との摩擦を軽減するために、表面がめっき仕上げされても良い。本実施形態のブレース芯材16は、例えば断面矩形状の長尺板状をなし、一例として幅W1が20〜100mm程度、厚さt1が例えば3〜15mm程度で構成される。
【0031】
図7によく表されているように、前記内補剛材17は、ブレース芯材16の面外座屈方向Xの両側面16aにブレース芯材16を挟むように配置された一対の溝型鋼17A、17Bからなる。各溝型鋼17A、17Bは、それぞれウエブ17aと、その両側から張り出す一対のフランジ17bとを有し、かつ、各々の溝部をブレース芯材16側に向けて固着されている。内補剛材17は、フランジ17b、17b間の幅がブレース芯材16の幅W1よりも小さく設定され、それらのフランジ17bの端面17b1でブレース芯材16を両側から挟むように配置される。
【0032】
なお、図7に溶接部jで示されるように、内補剛材17は、例えばその長さ方向の中間部等において、小長さで部分的にブレース芯材16と溶接されている。これにより、内補剛材17とブレース芯材16との位置ずれが防止され、内補剛材17によるブレース芯材16の面外座屈防止効果が発揮される。また、前記溶接は小長さに限定されるため、ブレース芯材16は、内補剛材17に拘束されることなくその長さ方向については自由に伸びることができ、軸力を確実に負担できる。
【0033】
図6及び図7に示されるように、本実施形態の外補剛材18は、ブレース芯材16及び内補剛材17に外挿される例えば角筒状の鋼材からなる。そして、外補剛材18は、少なくともブレース芯材16と内補剛材17とを前記面外座屈方向Xで拘束して座屈を抑制しうる。本実施形態では、外補剛材18の内周面の寸法は、面外座屈方向Xで内補剛材17との隙間を小としその変位を抑制する。さらに好ましい態様として、外補剛材18は、面外座屈方向Xと直交する方向においても、ブレース芯材16の幅W1の方向の両側面との隙間を小として該幅方向の変位をも小さく抑制するものが望ましい。
【0034】
斜材6を組み立てる際、外補剛材18は、内補剛材17とブレース芯材16とを予め溶接した組立体に嵌め込まれるのが望ましい。また、嵌め込まれた後、外補剛材18は、内補剛材17と例えばかしめ又は溶接等の固着手段により一体化されるのが望ましい。なお、本実施形態では、内補剛材17は、外補剛材18よりも長尺に形成されており、その両端部が外補剛材18の両端部からそれぞれ小長さではみ出している。
【0035】
ブレース芯材16の両端は、前記軸組構造体F1の軸力を負担するために、第1の柱材4及び第2の柱材5に固着される必要がある一方、内補剛材17及び外補剛材18は、第1の柱材4及び第2の柱材5とは固着されてはならない。従って、斜材6のブレース芯材16は、内補剛材17及び外補剛材18よりも長尺に形成され、その両端は、内補剛材17及び外補剛材18からはみ出すはみ出し部20として形成される。そして、本実施形態では、はみ出し部20の一端側は、第2の柱材5に取付プレート22を介して固着されている。勿論、内補剛材17及び外補剛材18は、取付プレート22とは接触することなく離間している。このように構成された斜材6は、軸力が作用したときには、内補剛材17及び外補剛材18に対してブレース芯材16に対して、相対的に伸び、又は座屈することなく圧縮され得る。
【0036】
図6、図8及び図9に示されるように、ブレース芯材16の両側のはみ出し部20には、それぞれ一対の補強リブ21が設けられる。
【0037】
前記補強リブ21は、ブレース芯材16の前記面外座屈方向Xの両側面16aかつ幅W1の中間部に内側の端面21bを当接させ、例えばすみ肉溶接により一体に固着されている。符号jは、溶接部を示している。本実施形態の補強リブ21は、その幅方向をブレース芯材16の面外座屈方向Xに沿わせた金属製の板材からなる。補強リブ21の厚さt2は、ブレース芯材16の厚さt1と実質的に同一に形成されているが、このような態様に限定されるものではない。
【0038】
このような補強リブ21は、図8に示されるように、ブレース芯材16の前記両側面16aから面外座屈方向Xの両側にそれぞれ突出してブレース芯材16と一体化することにより、はみ出し部20を断面略十字状とする。すなわち、はみ出し部20の面外座屈方向の曲げに対する断面二次モーメントを増大させ、面外座屈に対する剛性を高め得る。従って、軸組構造体F1に水平変位が生じた場合でも、補剛材17及び18で拘束されていないはみ出し部20の面外座屈を簡単な構造で補強でき、該はみ出し部20の局部的な座屈変形を効果的に防止できる。
【0039】
また、図5、図6、図10及び図11に示されるように、補強リブ21の一部は、ブレース芯材16と内補剛材17とが囲む空所i内に内補剛材17と干渉することなくのびて終端している。これにより、補強リブ21は、ブレース芯材16のはみ出し部20と、ブレース芯材16の内補剛材17面外座屈が拘束された非はみ出し部23との両方に跨って配置されている。しかも、本実施形態の補強リブ21の外端21aは、非はみ出し部23において、内補剛材17のウエブ17aの内面とは干渉することなく小隙間を隔てて設けられる。
【0040】
このような補強リブ21は、例えば内補剛材17側に補強リブ21との干渉を防ぐための切り欠き等の加工を施すことなく設けることができる。従って、本発明の耐力フレーム1の構造によれば、低コストかつ簡単な構造でブレース芯材16の端部(はみ出し部20)の補強が確実に行える。また、補強リブ21の長さ、厚さ及び/又は高さ(板材の幅に相当)を調節することにより、耐力性能を任意に調整できる。しかも、補強リブ21の一部は、内補剛材17で拘束されることにより高い耐面外座屈性を示す非はみ出し部23にも跨って配置される。このため、補強リブ21は、はみ出し部20に作用する座屈荷重の一部を非はみ出し部23にも負担させることができる。従って、本実施形態では、はみ出し部20の耐面外座屈性能をさらに向上させることができる。
【0041】
なお、補強リブ21の外端21aは、ブレース芯材16の前記両側面16aから突出しているため、仮にはみ出し部20に面外座屈が生じた場合でも、内補剛材17の前記空所i内をのびる補強リブ21の外端21aが内補剛材17の内周面と当接し、その座屈量が一定範囲に抑えることが可能である。このような観点より、補強リブ21の前記面外座屈方向Xの外端21aとウエブ17aとは、例えば5〜20mm程度の隙間hが形成されるのが望ましい。
【0042】
図6、図9に示されるように、前記取付プレート22は、本実施形態では、垂直構面S1と正対した正面図において略三角形状をなし、第2の柱材5に添着される縦面22aと、該縦面22aから斜め上にのびる下斜面22bと、縦面22aから斜め下にのびる上斜面22cとを含み、かつ、垂直構面S1と平行にのびる金属製の一対の板材からなる。この取付プレート22は、はみ出し部20の幅方向の両側縁に、それぞれすみ肉溶接により固着される。また、取付プレート22の前記縦面22aは、第2の柱材5の第1の柱材4側を向く外面5aかつ両コーナ側に寄った位置でそれぞれ溶接されている。従って、本実施形態によれば、垂直にのびる第2の柱材5に対して傾斜してのびるブレース芯材16を、第2の柱材5に容易に固着できる。
【0043】
また、取付プレート22が固着されたはみ出し部20は、図9に示されるように、ブレース芯材16をウエブとし取付プレート22をフランジとする断面略H字状をなす。このようなはみ出し部20は、面外座屈方向の曲げに対する断面二次モーメントがさらに大きくなるため、ブレース芯材16のはみ出し部20の耐面外座屈性能がさらに向上する。しかも、本実施形態では、はみ出し部20に固着された補強リブ21は、図10乃至11に示されるように、ブレース芯材16の長手方向で取付プレート22とオーバーラップして設けられている。このため、はみ出し部20の耐面外座屈性能がさらに向上し、より一層、安定した耐荷重特性を得ることができる。
【0044】
さらに、本実施形態のはみ出し部20は、第2の柱材5とは接触することなくその手前で終端している。つまり、斜材6と第2の柱材5とは、ブレース芯材16の両側に固着された取付プレート22だけで接合され、ブレース芯材16自体は、第2の柱材5とは離間している。もし、ブレース芯材16の端部が第2の柱材5に直接溶接固着されると、斜材6に例えば引張力が作用した場合、第2の柱材5の外面5aの変形が大きくなり、耐久性に難がある。これに対して、本実施形態のように、はみ出し部20を第2の柱材5から離すとともに、はみ出し部20を、第2の柱材5の外面5aのコーナ側に寄せて固着された取付プレート22を介して固着することにより、第2の柱材5の外面5aの変形を抑え耐久性を高めることができる。
【0045】
さらに、好ましい実施形態では、取付プレート22は、ブレース芯材16の大圧縮変形時、外補剛材18の端面18aと接触しうる対向面24を有するのが望ましい。本実施形態において、図10に示されるように、上斜材6Aを固着される取付プレート22については、前記下斜面22bが対向面24をなす。他方、図11に示されるように、下斜材6Bを固着される取付プレート22については、前記上斜面22cが対向面24をなす。
【0046】
取付プレート22の対向面24は、耐力フレーム1の静的な安定時において、角筒状をなす外補剛材18の端面18aと少なくとも一部で向き合い、かつ、実質的に平行な面で形成されている。そして、図12に下斜材6B側が代表して示されるように、ブレース芯材16に急激な圧縮変形が生じたとき、外補剛材18の前記端面18aが、取付プレート22の上斜面22cがなす対向面24と実質的に面接触しうる。従って、このような耐力フレーム1では、建物に想定外の外力が加えられ、ブレース芯材16が圧縮力を負担できなくなった場合でも、外補剛材18の端面18aが取付プレート22の対向面24と面接触し、想定外の荷重に対しては、外補剛材18が角筒状の圧縮ブレース材として機能することで建物の倒壊等を防止することができる。なお、本実施形態の内補剛材17は、前記圧縮変形時、取付プレート22、22間に進入可能な寸法に形成されている。
【0047】
また、本実施形態では、図10及び図11に示されるように、垂直構面S1の正面視において、上斜材6Aは、第2の柱材5の上端側の構造心P1よりも下部側(即ち、上斜材6Aの延長線と柱材5の中心線との交点PsがP1よりも下側)に固着されるのが望ましい。同様に、下斜材6Bは、第2の柱材5の下端側の構造心P2よりも上部側(即ち、下斜材6Bの延長線と柱材5の中心線との交点PsがP2よりも上側)に固着されているのが望ましい。ここで、第2の柱材5の上端側の構造心P1とは、第2の柱材5の構造芯(中心線)CL1と、上部側の梁3の構造芯(中心線)CL2との交点とする。また、第2の柱材5の下端側の構造心P2は、基礎上面と第2の柱材5の構造芯(中心線)CL1との交点とする。
【0048】
以上のような構成では、斜材6と梁3、又は斜材6と基礎2との間に十分なスペースを形成することができる。従って、耐力フレーム1を配置しつつも、天井材30や床材31等を容易にかつ能率的に設置することができ、施工性及び生産性が向上する。とりわけ、前記取付プレート22を正面視三角形状とすることにより、前記スペースを拡大させるのに役立つ。
【0049】
前記各斜材6A、6Bの他端側は、図1〜5に示したように、前記継ぎ部材15を介して第1の柱材4に固着される。
【0050】
図4及び図5に良く表されるように、本実施形態の継ぎ部材15は、溝部を第2の柱材5側に向けた溝型の枠材15aと、この枠材15aの上端に溶着されることにより継ぎ部材15の上端面Uをなす上板15bと、枠材15aの下端に溶着されることにより継ぎ部材15の下端面Dをなす下板15cとで構成される。また、前記上板15b及び下板15cには、上下の受け金物7、8にそれぞれ設けられた透孔7c、8cと同心に揃えられる透孔15dが形成される。
【0051】
前記継ぎ部材15の上板15bの上端面U及び下板15cの下端面Dは、実質的に平坦な水平面として形成される。そして、継ぎ部材15の前記上端面Uから下端面Dまでの垂直長さは、前記上、下の受け金物7、8の第1取付面10と第2取付面11との間の垂直方向の間隙の高さよりもわずかに小さく形成されている。
【0052】
前記継ぎ部材15は、ボルト25によって、第1の柱材4基礎2と梁3との間に予め固定された第1の柱材4に固定される。前記ボルト25は、上側ボルト25A及び下側ボルト25Bからなる。上側ボルト25Aは、継ぎ部材15の上板15bと上の受け金物7とを締結する。また、下側ボルト25Bは、継ぎ部材15の下板15cと下の受け金物8とを締結する。各ボルト25A、25Bは、それぞれ受け金物側から透孔15dに挿入され、継ぎ部材15の内側に溶着されたナット26に螺着される。
【0053】
前記三角フレーム体9の継ぎ部材15の上端面U及び下端面Dは、それぞれ水平な第1、第2取付面10、11と面接触し、上側ボルト25A及び下側ボルト25Bで固定される。この際、必要に応じてシム等を介在させることにより、継ぎ部材15と受け金物7,8との隙間が適宜調整される。
【0054】
軸組構造体F1に水平荷重が作用した場合、三角フレーム体9は第1の柱材4に対して相対的に上下に変位する。しかし、第1の柱材4と、三角フレーム体9とは、軸組構造体F1に作用する水平荷重を水平な前記第1、第2の取付面10、11の面圧方向で受けることができる。これは、垂直面で軸組構造体の水平荷重を受ける場合に比べて、接合面に作用するせん断力を大幅に減じことができ、両部材4、9の位置固定をより確実とし接合面での滑りによる位置ずれを確実に防止できる。また、上記面圧方向で水平荷重を受ける結果、ボルト25A、25Bに、標準的な中ボルトなどを用いた場合でも、その折損等を効果的に防止でき低コストで軸組構造体F1の耐久性をも向上しうる。
【0055】
以上本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の耐力フレーム1は、種々の態様に変更して実施することができるのは言うまでもない。例えば、本実施形態の補強リブ21は、高さ及び幅を一定としているが、これらを部分的に変化させることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 耐力フレーム
2 基礎
3 梁
4 第1の柱材
5 第2の柱材
6 斜材
6A 上斜材
6B 下斜材
15 継ぎ部材
16 ブレース芯材
17 内補剛材
17A、17B 溝型鋼
18 外補剛材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎とその上をのびる梁との間の垂直構面、又は上下の梁間の垂直構面に架設される耐力フレームの構造であって、
前記垂直構面を互いに平行に上下にのびる第1の柱材及び第2の柱材と、前記第1の柱材と第2の柱材との間を斜めにのびて継ぐ斜材とを有し、
前記斜材は、面外座屈方向が前記垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、
このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、
前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含み、
前記ブレース芯材の両端は、前記内補剛材及び外補剛材からはみ出すはみ出し部を有し、
前記ブレース芯材の前記はみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられ、
この補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記内補剛材とが囲む空所内にのびていることを特徴とする耐力フレームの構造。
【請求項2】
前記ブレース芯材のはみ出し部は、取付プレートを介して第1の柱材又は第2の柱材に固着され、
前記取付プレートは、前記はみ出し部の幅方向両側に固着されかつ前記垂直構面と平行にのびる一対の板材からなる請求項1記載の耐力フレームの構造。
【請求項3】
前記はみ出し部は、前記第1の柱材及び第2の柱材と離間して設けられる請求項2記載の耐力フレームの構造。
【請求項4】
前記端部プレートは、前記ブレース芯材の大圧縮変形時、前記外補剛材の端面と接触しうる対向面を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【請求項5】
前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の上端側にのびる上斜材を含み、該上斜材は、前記第2の柱材の上端側の構造心よりも下部側に固着される請求項1乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【請求項6】
前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の下端側にのびる下斜材を含み、該下斜材は、前記第2の柱材の下端側の構造心よりも上部側に固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【請求項1】
基礎とその上をのびる梁との間の垂直構面、又は上下の梁間の垂直構面に架設される耐力フレームの構造であって、
前記垂直構面を互いに平行に上下にのびる第1の柱材及び第2の柱材と、前記第1の柱材と第2の柱材との間を斜めにのびて継ぐ斜材とを有し、
前記斜材は、面外座屈方向が前記垂直構面と平行に配置された板材からなるブレース芯材と、
このブレース芯材の前記面外座屈方向の両側に添設されることにより該ブレース芯材の面外座屈を防止するとともに溝部をブレース芯材側に向けて配された一対の溝型鋼からなる内補剛材と、
前記ブレース芯材及び内補剛材に外挿されて少なくとも両者を前記面外座屈方向で拘束する筒状の外補剛材とを含み、
前記ブレース芯材の両端は、前記内補剛材及び外補剛材からはみ出すはみ出し部を有し、
前記ブレース芯材の前記はみ出し部には、ブレース芯材の前記面外座屈方向の両側面に固着されることにより該はみ出し部の少なくとも一部を断面略十字状とする一対の補強リブが設けられ、
この補強リブの一部は、前記ブレース芯材と前記内補剛材とが囲む空所内にのびていることを特徴とする耐力フレームの構造。
【請求項2】
前記ブレース芯材のはみ出し部は、取付プレートを介して第1の柱材又は第2の柱材に固着され、
前記取付プレートは、前記はみ出し部の幅方向両側に固着されかつ前記垂直構面と平行にのびる一対の板材からなる請求項1記載の耐力フレームの構造。
【請求項3】
前記はみ出し部は、前記第1の柱材及び第2の柱材と離間して設けられる請求項2記載の耐力フレームの構造。
【請求項4】
前記端部プレートは、前記ブレース芯材の大圧縮変形時、前記外補剛材の端面と接触しうる対向面を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【請求項5】
前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の上端側にのびる上斜材を含み、該上斜材は、前記第2の柱材の上端側の構造心よりも下部側に固着される請求項1乃至4のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【請求項6】
前記斜材は、前記第1の柱材の長さ方向の略中間部から前記第2の柱材の下端側にのびる下斜材を含み、該下斜材は、前記第2の柱材の下端側の構造心よりも上部側に固着される請求項1乃至5のいずれかに記載の耐力フレームの構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−26123(P2012−26123A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164232(P2010−164232)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】
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