説明

耳付面木の型枠への取り付け方とその外し方

【課題】耳付面木を型枠に敏速かつ完全に取り付けることが出来、取り外し作業が簡単にしかも耳付面木を傷めることなく行える。
【解決手段】釘5の釘先を取り去ることにより太さを一定にし、耳付面木の耳部120上にその釘5の径と同じ径もしくは、ほんの少し大きな径の釘穴130をあけて釘5を押し込むと耳部120上に釘5を立てることができるので、釘5を手で支えなくても金槌6で簡単に打ち込むことができる。また、型枠を形成するコンパネ300の積層部分、すなわち表面、裏面、芯からなる堅い部分によってサンドイッチ状に囲まれているコンパネ300の側面の柔らかい部分に釘5を打ち込んで耳付面木を型枠に取り付ければ、20mm前後の長さの釘5を使用してもその取り外し時の抵抗が少ないので耳付面木を型枠から傷つけずに取り外すことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明では道路の路肩やビルなどのコンクリート構造物の面取りに使用する面木に新たに耳部を設けた耳付面木の耳部に以下に述べる工法で釘を打ち込み型枠に止めることにより、その型枠への取り付け及び、取り外しの作業が迅速かつ正確にしかも品物を損傷することなく行えるようにしたものであり、当工法によりその経済性を大きく高めることができる。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の従来の面木による面取り及び耳付面木による面取は以下の出願に記載されている。
実用新案 第2560875,特許第3849104号 特願平9−367621,特願平成10−134606,特願2001−235586 特願2001−355377,特願2002−179216,特願20050124185 特願2007−24835
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
実用新案代2560875においての面木の型枠への取り付け方は耳付面木の耳部に釘を途中まで打ち込み型枠に取り付ける方法であり、生コン打設時のコテでの作業に釘の頭が邪魔になっていた。そこで以後の考案では釘の頭が飛び出さないセパレイト型の釘又はタッカー針による取り付け方に変更した。しかし、セパレイト型の釘は製造コストが高く、又作業時の持ち運びの振動により接着部あるいは取り付け部に剥がれが生じ使用できないセパレイト釘ができる。他方、タッカーの取り付けでは、塩ビ材は温度が低くなると硬度が増すのでタッカーによる打ち込みが困難となり、その取り付けに問題が生じる。又、特願2007−24835の工法においても釘の頭部の一部によって品物を型枠に押し付け固定する工法なので、その取り付けは完全とはいえず、又その取り付け及び取り外し後の釘の型枠からの取り外しなどが煩わしい。以上を踏まえ、どの方法による取り付けが理想的かと考えると10mm前後の長さの釘を耳付面木の耳部に打ち込み耳付面木を型枠に取り付けるとその取り付けは万全で有り、しかもその型枠からの取り外しの際に耳付面木を傷めることもないと言う結論に達した、ところが10mm前後の釘は短すぎて手に持つと指の間に埋もれてしまって金槌を使い打ち込むことはきわめて困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、手に持って打ち込むことが出来ないこの10mm前後の長さの短い釘を打ち込める方法を模索した。その結果、釘の細くなっている部分、すなわち釘先を取り去り釘の太さを一定にした状態の釘を耳付面木の耳部上に開けられたその釘の径と同じ径、もしくはほんの少し大きな径の釘穴に差し込んだ場合には、隙間が生じないため釘穴によって釘を耳部上に保持することができ、手で支えなくても、金槌で簡単に釘を打ち込むことができることが判明した。
【0005】
又、コーナー部への耳付面木の取り付けは型枠の側面に釘を打ち付けるので型枠の側面を形成するコンパネの積層状態に着目した。すなわち、コンパネは表面、裏面、芯からなる堅い層に柔らかい層がサンドイッチ状に挟み込まれ積層されているため、その側面の柔らかい部分に釘を打ち込めばその引き抜きの時の抵抗は小さく、太さが1.3mm程度の細めの釘であれば、手で持って打ち込むことが出来る範囲である20mm程度の長さの釘で耳付面木を型枠に取り付けても、その取り外し時に耳付面木が損傷することはないことに考え及んだ。
【発明の効果】
【0006】
当工法では耳付面木の型枠への取り付けを上述のような釘を用いて行うので、その取り付けは完璧に行うことが出来、しっかりと型枠に取り付けることができる。又、その取り外しも容易であり、しかも外される耳付面木に損傷を与えることがないため繰り返し使用することが可能となり、その経済性は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
【実施例1】
【0008】
まず、最初にコンクリート構造物の天端部の面取りについて述べると、型枠9を立て、その内部の天端となるべき位置に天端墨を打ち、その墨に沿って直径が1.8mmの釘穴130がその耳部120上に開けられている天端用の耳付面木100を当て、直径が1.8mmで長さ10mmの釘先がほとんど無い釘5をその耳部上の釘穴130に差し込むことにより釘を耳部上に立て、その釘5を金槌6で打ち込むことにより耳付面木を型枠に取り付け、生コンを流し込み、面木の上面にコテを乗せ、滑らせることにより天端を均し、数日の間、生コンの固化を待ち、その固化後に型枠を少し浮かせて隙間を作り耳付面木の一端を手で持ち、打ち込み方向と逆の方向に引き上げ釘を抜き去るように外し、残った型枠をばらすと天端部が面取りされたコンクリート構造物が出来上がる。
【実施例2】
【0009】
次に、コンクリート構造物のコーナー部の面取りについて述べると、型枠9を立て、次にコーナー用の耳付面木200を型枠のコーナーに当て、その耳付面木の耳部上に開けられている釘穴130に、直径が1.3mmで長さが20mmの釘7を打ち込むことによりコンパネの側面の柔らかい部分340に釘を打ち込み耳付面木を型枠のコーナーに取り付け、生コンを流し込み一定の期間生コンの固化を待ち、固化後に型枠を少し浮かせて隙間を作り、耳付面木の一端を手で持ち、打ち込み方向と逆の方向に引き上げることにより釘を抜き去るように外し、残った型枠を外すとコーナー部が面取りされたコンクリート構造物が出来上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】a天端の面取りに使用する天端用の耳付面木を表す bコーナーの面取りに使用するコーナー用の耳付面木を表す c長さが10mm前後の釘先のない釘を表す
【図2】a天端用の耳付面木を型枠上の天端墨に合わせて当て、釘先のない釘を耳部 上にあけられている釘穴に押し込み立てた状態を表す b上記の釘を金槌で打ち込んでいる状態を表す
【図3】a型枠の上に取り付けられた天端用の耳付面木を表す b天端用の面木を型枠から取り外している状態を表している
【図4】aコーナー用の耳付面木を型枠に取り付けている状態を表している bコーナーが組まれた状態を表している
【図5】a組まれたコーナーの型枠の一方が取り外された状態を表す b型枠からコーナー用の耳付面木が外されている状態を表す
【図6】他のいろいろな耳付面木を表す
【図7】a従来の面木を表す b型枠上に取り付けられた従来の面木を表す
【符号の説明】
5 10mm前後の釘先のほとんどない釘
6 金槌
7 細めで長さが20mm前後の釘
8 指で釘を持っている状態を表す
9 型枠
10 従来の面木
100 天端用の耳付面木
110 耳付面木の本体
120 耳部
130 釘穴
140 突起部
200 コーナー用の耳付面木
300 コンパネ
310 コンパネの表面
320 コンパネの裏面
330 コンパネの芯
340 コンパネの柔らかい部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物の天端の面取りを行うべき耳付面木を型枠に取り付けるのに、その耳付面木の耳部上にその耳付面木を取り付けるのに使用する釘の太さと同じかまたはほんの少し大きな径の穴を開け、その穴に長さ10mm前後で釘先の無い、又は釘先がほとんど無い釘を差し込むことにより釘穴でその釘を保持し、耳部上にその釘を立て、金槌でその釘の頭を叩き込み型枠に耳付面木を取り付ける工法。
【請求項2】
請求項1の型枠上に取り付けられている耳付面木の一端を持ち、打ち込み方向と逆の方向に引き上げることにより、釘を抜き去り、耳付面木を損傷すること無く元の状態に取り外す工法。
【請求項3】
耳付面木を型枠のコーナーに当てたときに、ちょうどコンパネの側面の柔らかい部分、すなわち表面、裏面、芯からなる堅い部分によりサンドイッチ状に挟まれている柔らかい部分に、釘が打ち込まれるように位置決めされた釘穴をその耳部上に有するコーナー用の耳付面木を、型枠のコーナーに当て、その耳付面木の耳部上にあけられているその釘穴に釘を打ち込むことにより、コンパネ側面の柔らかい部分に釘を打ち込み耳付面木を型枠のコーナーに取り付ける工法。
【請求項4】
請求項3の型枠のコーナー部に取り付けられている耳付面木の一端を持ち、打ち込み方向と逆の方向に引き上げることにより釘を抜き去り耳付面木を損傷することなく元の状態に取り外す工法。
【請求項5】
ちょうどコンパネの側面の柔らかい部分、すなわち表面、裏面、芯からなる堅い部分によりサンドイッチ状に挟まれているコンパネ側面の柔らかい部分に、釘が打ち込めるよう位置決めされているラインが、その耳部の裏面に印されている耳付面木を、型枠のコーナーに当て、ラインに沿って釘を打ちこむことで、耳付面木を型枠に取り付ける工法。
【請求項6】
請求項5の型枠のコーナー部に取り付けられている面木の一端を持ち、打ち込み方向と逆の方向に引き上げることにより耳部に釘がついた状態で耳付面木を型枠から取り外す工法。
【請求項7】
天端部の面取りに使用する耳付面木の耳部上にその耳付面木を型枠上に取り付ける釘先の無い釘又は釘先がほとんどない長さが10mm前後の釘の径と同じ大きさの径の釘穴が開けられている天端用の耳付面木。
【請求項8】
耳付面木を型枠のコーナーに当て、その耳付面木の耳部上に開けられている釘穴に釘を打ち込むと、ちょうどコンパネの側面の柔らかい部分、すなわち表面、裏面、芯からなる堅い部分によりサンドイッチ状に挟まれているコンパネ側面の柔らかい部分に、正確に釘が打ち込めるように位置づけされた釘穴がその耳部上にあけられているコーナー用の耳付面木。
【請求項9】
耳付面木を型枠のコーナーに当てたときに、コンパネの側面の柔らかい部分、すなわち表面、裏面、芯からなる堅い部分によりサンドイッチ状に挟まれているコンパネ側面の柔らかい部分に釘が打ち込めるよう位置決めされたラインがその耳部の裏面に印されているコーナー用の耳付面木。
【請求項10】
長さが10mm前後の釘で釘先のない、もしくは釘先がほとんどない釘。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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