説明

肉用家禽類の成長を改善するための方法および組成物

本発明は、動物飼料を給与された未成熟および成長中の動物の成長成績(growth performance)の改善方法、飼料利用効率の改善方法、飼料消化率の増大方法、および死亡率の減少方法を提供する。これらを達成するための粗ケラチナーゼ酵素抽出物および動物飼料サプリメントの製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2002年8月9日出願の米国特許仮出願番号第60/402,228号(その開示全体が本明細書中で参考として組み込まれる)の利益を主張する。
連邦政府支援の記述
【0002】
本発明に関する研究は、米国農務省の小規模事業における革新的研究の助成金番号2002−33610−11850によって一部支援されている。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、動物飼料を給与された未成熟および成長中の動物の成長成績(growth performance)の改善方法ならびにこれを達成するための動物飼料サプリメントに関する。
【背景技術】
【0004】
ブロイラー雛の肥育前期用飼料(starter diet)は、相当量の粗タンパク質を含む。ほとんどの粗タンパク質は、ダイズミールなどの伝統的な飼料成分から得られる。ダイズミール(粗タンパク質含有率48%)中に存在する約90%の粗タンパク質は、家禽類での消化率が高い(National Research Council(1994).Nutrient requirements of poultry.9th revised Ed.National Academy Press,Washington,DC)。伝統的なトウモロコシ−ダイズミールブロイラー肥育前期用飼料は消化率が高いと考えられているが、これらはしばしば幼若期の必要な先天的酵素の欠失により幼若雛によって容易に消化されない種々の複合タンパク質を含む(Uni,et al.(1999)Poultry Sci.78:215−222)。ブロイラー飼料中へのプロテアーゼの混入が提案されているが、穀物ベースの飼料へのプロテアーゼ添加を含む多くの初期作業では、鳥類の成績は全く改善されなかった(Jensen,et al.(1957)Poultry Sci.36:919−921)。
【0005】
より最近では、酵素混合物(プロテアーゼおよびアミラーゼが含まれる)での家禽類飼料の酵素補足により、成長成績がいくらか改良されている(Greenwood,et al.(2002)Poultry Sci.81(Suppl.1):25;Burrows,et al.(2002)Poultry Sci.81(Suppl.1):29;Short,et al.(2002)Poultry Sci.81(Suppl.1):136)。トウモロコシ−ダイズブロイラー肥育前期飼料へのキシラナーゼ、プロテアーゼ、およびアミラーゼの混合物を含む酵素調製物の補足により、14日齢および42日齢で体重が改善されたが、飼料要求率に有意な影響を及ぼさなかった(Greenwood,et al.(2002)supra)。トウモロコシ−ダイズベースのアヒル用飼料へのこの酵素混合物の補足の際、酵素補足により、体重増加および飼料要求率が改善された(Burrows,et al.(2002)supra)。
【0006】
家禽類飼料は、いくつかの複合抗栄養および/または不消化化合物をさらに含む。これらの化合物のいくつか(非デンプン多糖類など)は、糜粥内の粘性塊に水分が吸収されて栄養素が容易に吸収されない(Odetallah,2000;Odetallah,et al.(2002)supra)。糜粥粘度が増大するにつれて、消化酵素および栄養素の拡散速度が減少し、それにより、腸細胞による栄養素の吸収が妨害される。糜粥濃度の増加につれて脂肪ミセル形成および吸収も減少し、それにより多くの脂溶性化合物(脂溶性ビタミン、色素、および脂質が含まれる)の吸収が損なわれる(Ferket and Veldkamp(1999)In:Proceedings of the 1998 World Poultry Science Association,pgs 43−52)。したがって、内溶解性(endolytic)酵素活性によって達成された粘度の減少は、高粘度シリアルを給与した幼若雛で見出された改善で役割を果たすことができ、種々の酵素の相対効果はその粘性減少能力に関連するようである(Rotter,et al.(1990)J.Sci.Food Agric.50:19−27)。
【0007】
PWD−1キナーゼは、バチルスリケニフォルミスPWD−1の成長培地から最初に精製された酵素である(Williams,et al.(1990)Appl.Environ.Microbiol.56:1509−1515;Lin,et al.(1992)Appl.Environ.Microbiol.58:3271−3275)。PWD−1ケラチナーゼは、広範なタンパク質基質(カゼイン、コラーゲン、エラスチン、およびケラチンが含まれる)を加水分解する(Shih(2001)In:Proceedings International Conference of Agricultural Science and Technology,Beijing,China,pgs 244−247)。PWD−1ケラチナーゼを使用して、市販の羽毛粉と無細胞ケラチナーゼとの一晩のインキュベーションによって加水分解羽毛粉が製造されている(Carter(1998)Bacterial Keratinase:Assay development and nutritional application.Ph.D.Thesis,North Carolina State University,Raleigh,NC)。Shihらに付与された米国特許第4,908,220号;同第5,186,961号;および同第5,063,161号も参照のこと。
【0008】
前述にもかかわらず、ブロイラー雛の成長成績を増大させるさらなる方法およびこれを達成する動物飼料サプリメントが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、動物飼料を給与された未成熟動物および成長中の動物の成長成績を増大させる方法および組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の体重増加の促進に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の成長方法に関する。
【0011】
本発明の別の態様は、肉用家禽類に肥育前期用飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の体重増加の促進に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の成長方法に関する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率の改善に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率を改善する方法に関する。
【0013】
本発明のさらなる態様は、肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類における動物飼料の消化率の増大に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の消化率を増大させる方法に関する。
【0014】
本発明の別の態様は、肉用家禽類に肥育前期用飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の死亡率の減少に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の死亡率を減少させる方法に関する。
【0015】
本発明のさらなる態様は、本質的にケラチナーゼ、タンパク質、および炭水化物からなる動物飼料に関する。
【0016】
本発明のさらなる態様は、粗ケラチナーゼ酵素抽出物の製造方法に関する。
【0017】
本発明は、さらに、孵化栄養状態の改良ならびにそれによる肉用家禽類のより高い成長成績レベルを達成するための未成熟のトリの耐病性および生存性の増大に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記および本発明の他の態様を、本明細書中に記載の他の実施形態に関してより詳細に記載する。本発明を異なる形態で実施することができ、且つ本明細書中に記載の実施形態に制限されると解釈すべきでないことを認識すべきである。むしろ、本開示が詳細且つ完全であり、且つ当業者に本発明の範囲が完全に伝達されるようにこれらの実施形態を提供する。
【0019】
本明細書中の発明の説明で使用された専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。本発明の説明および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、他で明記しない限り、複数形も含まれることが意図される。
【0020】
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解されている意味と同一である。
【0021】
本明細書中で引用された全ての刊行物、米国特許出願、米国特許、および他の引例は、その全体が本明細書中で参考として組み込まれる。
【0022】
本明細書中で使用される、用語「肉用家禽類」は、当業者によって理解される肉の消費のために製造または使用される任意の鳥類をいう。このような鳥類の例には、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、および走鳥類などが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書中で使用される、用語「未成熟のトリ」は、完全な成長、分化、または発達を欠く鳥類のメンバーをいう。このようなメンバーは、成熟形態または状態を定義する潜在的な能力を有し得る。未成熟のトリは、約1日齢から約50日齢まで、好ましくは約1日齢から約21日齢まで、より好ましくは約1日齢から約5日齢までであり得るか、これらの範囲内のトリに匹敵する体重を有し得る。
【0024】
本明細書中で使用される、用語「成長中のトリ」は、未成熟のトリよりも年長であるか重い鳥類のメンバーをいう。
【0025】
本明細書中で使用される、用語「成熟したトリ」は、成長中のトリよりも年長であるか重い鳥類のメンバーをいう。
【0026】
本明細書中で使用される、用語「ブロイラー雛」は、肉の消費のために製造されるか最終的に使用される任意の未成熟のニワトリをいう。
【0027】
本明細書中で使用される、用語「家禽類飼料」は、トリの成長の促進または維持のための鳥類メンバーに投与することができる飼料をいう。家禽類飼料は、タンパク質源、ビタミン源、ミネラル源、エネルギー源(脂肪、炭水化物など)、さらなるタンパク質、抗生物質、および動物飼料(特に、家禽類飼料)中に含まれることが公知の他の物質または化合物を含み得る。家禽類飼料には、肥育前期用飼料、肥育後期用飼料、および仕上げ用飼料が含まれるが、これらに限定されない。「肥育前期用飼料」は、出生または孵化から所望の年齢および/または体重が得られるまでの動物に投与することができる飼料をいう。「肥育後期用飼料」は、初期成長段階の完了時に動物に投与することができる飼料をいう。「仕上げ用飼料」は、成長期から食肉解体処理までの動物に投与することができる飼料をいう。
【0028】
本明細書中で使用される、用語「成長」または「成長成績」は、本発明の方法を実施し、そして/または組成物を投与することなく得られるものを超える体重およびサイズ(例えば、高さ、幅、直径、外周など)のいずれかまたは両方の増加をいう。成長は、動物全体または特定の組織(例えば、一般的な筋組織または特定の筋肉)の集団(例えば、重量またはサイズ)の増大を言及することができる。あるいは、成長は、ある組織集団の別の集団に対する相対的増加、特に、筋組織の他の組織(例えば、脂肪組織)に対する増加を示すことができる。成長は、さらに、栄養状態の改善および/または耐病性の増大もまた成長成績の改良を示す、栄養状態および耐病性に関する。
【0029】
上記を考慮して、本発明の実施形態は、肉用家禽類に動物飼料として家禽類飼料を給与し、前記飼料が、前記肉用家禽類の体重増加の促進に有効な量のケラチナーゼをさらに含み、これを前記家禽類飼料に添加することとを含む、肉用家禽類の成長方法に関する。家禽類飼料は、タンパク質源(例えば、ダイズミール、魚粉、血粉、家禽類副産物(粉末家禽類屑(ground poultry offal))、肉粉、小麦全粒粉、ナタネ、カノーラ、およびこれらの組み合わせ)を含む動物飼料であり得る。動物飼料は、動物飼料での使用のために粉末に粉砕することができる炭水化物(例えば、トウモロコシ、カラスムギ、オオムギ、モロコシ、またはその組み合わせ)をさらに含む。さらに、動物飼料は、ビタミン、ミネラル、脂肪、抗生物質、および必要または所望の他の物質または化合物を含み得る。動物飼料(家禽類飼料)の非限定的な例には、オオムギ、トウモロコシ、ダイズ、コムギ、ライコムギ、およびライムギなどの穀類を含む穀類ベースの飼料が含まれる。トウモロコシ−ダイズ、コムギ−ダイズ、およびコムギ−トウモロコシ−ダイズ、モロコシ−ダイズ、およびトウモロコシ−モロコシ−ダイズは、本発明の適切な動物飼料の他の非限定的な例を示す。家禽類飼料がトウモロコシ−ダイズミール飼料である場合、トウモロコシ−ダイズミール飼料は、約60重量%から約70重量%までのトウモロコシおよび約20重量%から約30重量%までのダイズを含む。
【0030】
家禽類飼料を、肥育前期用飼料、肥育後期用飼料、または仕上げ用飼料にさらに分類することができる。動物飼料(すなわち、家禽類飼料)の正確な組成および物理的特徴は、飼料が意図される種、動物の年齢および/または体重、ならびに給与期間に依存し、当業者はこれらを容易に決定することができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、肉用家禽類の成長方法には、ケラチナーゼと共に特定のケラチン含有基質を同時に提供するは必要ない。例えば、本発明の実施形態では、Carter,1998に記載の加水分解羽毛粉の製造と対照的に、飼料添加物として家禽類飼料にケラチナーゼを直接補足することができる。したがって、動物飼料は、本質的にケラチンを含まなくて良い(例えば、1重量%または2重量%以下のケラチン)。
【0032】
本発明の実施に適切なケラチナーゼは、米国特許第4,908,220号および同第4,959,311号(本明細書中で引用した全特許引例の開示が本明細書中で参考として組み込まれる)に記載のバチルスリケニフォルミスPWD−1株から得られる。この細菌は、1988年3月23日にブタペスト条約に従ってアメリカ合衆国、メリーランド州、ロックビルのAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託し、ATCCアクセッション番号53757号が割り当てられた。本発明を実施するために使用することができる他のケラチナーゼは、ストレプトミセス・フラジアエなどの種々の細菌供給源から利用可能である。一般に、Nickersonに付与された米国特許第2,988,487号を参照のこと;Goktan,D.,「Decomposition Rates of Keratinous Material Used by Certain Microorganisms,」(Abstract No.207369b),Microbial Biochem.101,333(1984);Daniels,G.,「The Digestion of Human Hair Keratin by Microsporum Canis,」J.Gen.Microbiol.8,289(1953);Koh,W.et al.,「Keratinolytic Enzymes from Aspergillus flavus and Aspergillus niger,」Bacillus.Aust.J.Biol.Sci.274(1959);Molyneaux,G.S.,「The Digestion of Wool by a Keratinolytic Bacillus,」Aust.J.Biol.Sci.274(1959);Noval,J.and Nickerson,W.,「Decomposition of Native Keratin by Streptomyces Fradiae,」J.Bacteriol.77,251(1959);Kapica,L.and Blank,F.,「Growth of Candida Parapsilosis with Keratin as Sole Source of Nitrogen,」Dermatologica 117,433(1958);Kapica,L.and Blank,F.,「Growth of Albicans on Keratin as Sole Source of Nitrogen,」Dermatologica 115,81(1957)も参照のこと。
【0033】
本発明の実施のためのケラチナーゼを、コードされたケラチナーゼを発現させる条件下でケラチナーゼをコードする核酸配列を含む宿主細胞を成長させること、培地を濾過して細胞を除去すること、および限外濾過によって残存する上清を回収および濃縮してケラチナーゼを得ることによって得ることができる。受益補因子(beneficiary co−factor)も得ることができる。
【0034】
バチルスリケニフォルミス株を本明細書中で例示しているが、ケラチナーゼをコードする核酸配列を含む他の真核微生物および原核微生物も本発明の動物飼料サプリメントの製造に有用であり得ることが意図される。ケラチナーゼをコードする核酸配列を含む真核微生物および原核微生物には、天然に酵素を産生するものならびにケラチナーゼを発現するように遺伝子操作された株が含まれ得る。一般に、タンパク質の組換え産生には、宿主細胞中でのタンパク質発現に適切な形態での組換え発現ベクターへのタンパク質をコードする核酸配列の組み込みが必要であり得る。発現に適切な形態は、核酸がmRNAに転写されてmRNAがタンパク質に翻訳される様式で組換え発現ベクターがケラチナーゼタンパク質をコードする核酸に作動可能に連結された1つまたは複数の調節配列を含むことを提供する。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれ得る。このような調節配列は当業者に公知であり、Goeddel D.D.,ed.,Gene Expression Technology,Academic Press,サンディエゴ,カリフォルニア州(1991)に記載されている。発現ベクターのデザインは、トランスフェクトすべき宿主細胞の選択および/または必要な発現レベルなどの因子に依存し得ると理解すべきである。ケラチナーゼタンパク質をコードする核酸配列またはこれを保有する発現ベクターを、標準的な細胞の形質転換技術によって、真核生物または原核生物起源であり得る宿主細胞に移入することができる。宿主細胞の適切な形質転換方法を、Sambrook,et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2000))および他の実験マニュアルに見出すことができる。ケラチナーゼタンパク質をコードする核酸配列で形質転換した宿主細胞数は、少なくとも一部が使用した組換え発現ベクターの型および使用した形質転換技術の型に依存する。核酸を宿主細胞に一過性に移入することができるか、より典型的には、ケラチナーゼタンパク質の長期発現のために、核酸配列を宿主細胞のゲノムに安定して組み込むか宿主細胞中の安定なエピソームとしてとどめる。一旦産生されると、ケラチナーゼタンパク質を、分泌ポリペプチドとして培養培地から回収することができるが、分泌シグナルを含まず直接発現する場合、宿主細胞溶解物から回収することもできる。
【0035】
酵母培養物などの真核微生物を、ケラチナーゼをコードする核酸配列を保有するベクターで形質転換することができる。例えば、米国特許第4,745,057号を参照のこと。サッカロミセス・セレビシエは、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に使用されているが、多数の他の株が一般に利用可能である。酵母ベクターは、2ミクロンの酵母プラスミド由来の複製起点または自己複製配列(ARS)、プロモーター、ケラチナーゼをコードするDNA(米国特許第5,712,147号で提供されているものなど)、ポリアデニル化配列、転写終結配列、および選択遺伝子を含んでもよい。プラスミドの例は、YRp7である(Stinchcomb,et al.(1979)Nature 282:39;Kingsman,et al.(1979)Gene 7:141;Tschemper,et al.(1980)Gene 10:157)。酵母ベクターにおける適切なプロモーター配列には、メタロチオネイン、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman,et al.(1980)J Biol.Chem.255:2073)、または他の解糖酵素(Hess,et al.(1968)J.Adv.Enzyme Reg.7:149;Holland,et al.(1978)Biochemistry 17:4900)のプロモータが含まれる。酵母発現での使用に適切なベクターおよびプロモーターは、EPO公開番号73,657号にさらに記載されている。さらに、トリコデルマ属などの真菌株(例えば、トリコデルマロンギブラチアタム、トリコデルマリーゼイ、またはトリコデルマビリディ)は、分泌酵素発現で特に有用である。
【0036】
ケラチナーゼを産生するために使用することができる原核宿主細胞には、グラム陰性またはグラム陽性生物(例えば、大腸菌(E.coli)またはバチルス属)が含まれる。宿主細胞の例は、E.coliW3110(ATCC 27,325),E.coliB,E.coliX1776(ATCC 31,537),E.coli294(ATCC 31,446)である。広範な種々の適切な原核生物および微生物ベクターが利用可能である。E.コリは、典型的には、pBR322を使用して形質転換される。組換え細菌発現ベクターで最も一般的に使用されているプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Chang et al.(1978)Nature 275,615;Goeddel et al.(1979)Nature 281,544)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al.(1980)Nucleic Acids Res.8,4057;EPO公開番号36,776号)、およびtacプロモーター(De Boer,et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21)が含まれる。プロモーターおよびShine-Delgarno配列(原核生物宿主発現用)は、ケラチナーゼをコードするDNAに作動可能に連結される(すなわち、これらはDNAからのケラチナーゼ伝令RNAの転写を促進するように位置付けられる)。ケラチナーゼ産生ではバチルス属を使用することが好ましい。バチルス用の組換え発現ベクターは、当業者に周知である。バチルス属は、バチルスアルカロフィラス(B.alkalophilus)、バチルスアミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルスブレビス、バチルスサーキュランス、バチルスコアグランス、バチルスフィルムス(B.firmus)、バチルスロータス(B.lautus)、バチルスレンタス(B.lentus)、バチルスリケニフォルミス、バチルスメガテリウム、バチルスプミラス、バチルスステアロサーモフィラス、バチルスズブチリス、およびバチルスチューリンゲンシスであり得る。好ましい実施形態では、バチルスリケニフォルミス株を使用する。いくつかの実施形態では、バチルスリケニフォルミスT399D株またはPWD−1株を使用する。
【0037】
本明細書中に提供される、ケラチナーゼ酵素を、コードされたケラチナーゼを発現させる条件下での上記宿主細胞の培養および発現したケラチナーゼの回収によって産生することができる。宿主細胞を、細胞が成長する条件下で培養し、その後、コードされたケラチナーゼを発現させる条件下で培養することができるか、細胞を成長させると同時にコードされたケラチナーゼを発現させることができる。このような条件は、当業者に周知であり、宿主細胞および所望の酵素発現レベル量によって変化し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、形質転換宿主細胞の培養に使用される培地は、ケラチナーゼ産生に適切な任意の培地であり得る。従来技術(遠心分離または濾過による培地からの細胞の分離、限外濾過または蒸発による上清または濾過物中のタンパク質の濃縮、およびその後の凍結乾燥または吹き付け乾燥による乾燥が含まれる)によってケラチナーゼを培地から回収する。
【0039】
あるいは、培養物上清を、濃縮することなく分離後に吹き付け乾燥または凍結乾燥することができる。
【0040】
ケラチナーゼは、少なくとも意図する効果を達成するのに十分な量で存在すべきであるが、ケラチナーゼ量の上限を意図する効果の達成に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、動物飼料は、約0.01重量%から約20重量%までのバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼを含む。さらに、本発明の実施で使用されるケラチナーゼは、粗形態または純粋な形態であり得る。粗形態のケラチナーゼを、例えば、その液体成長培地(粗ケラチナーゼを含む液体成長培地)からのケラチナーゼを産生する細菌細胞の分離によって調製することができる。あるいは、細胞を液体培養培地中に(化学的または物理的に)溶解して、粗無細胞抽出物を産生することができる。このような抽出物の他の調製手段は、当業者に自明である。粗キナーゼを、適合可能な任意の形態(水性形態または凍結乾燥形態など)にて飼料中に含めることができる。いくつかの実施形態では、粗ケラチナーゼは、凍結乾燥形態である。
【0041】
純粋(または実質的に純粋な)ケラチナーゼを、公知の技術による上記の粗ケラチナーゼのその個別の構成要素への分離によって得ることができる。一般に、W.Jakoby,Ed.,Enzyme purification and Related Techniques,Methods in Enzymology,vol.22(1971)およびvol.104,pt.C(1984),Academic Press,NYを参照のこと。カラムクロマトグラフィなどの多数の適切な分離手順が当業者に公知である。各構成タンパク質を、ケラチン様物質を分解する能力についてスクリーニングすることができ、ケラチン様物質を最も良好に分解する構成要素はケラチナーゼを含む。粗ケラチナーゼと同様に、純粋なケラチナーゼを任意の適切な形態(水性形態および凍結乾燥形態が含まれる)で使用することができる。
【0042】
本発明の実施形態は、さらに、肉用家禽類に動物飼料として家禽類飼料を給与し、前記飼料が、前記飼料が肉用家禽類に提供した動物飼料の飼料利用効率の改善に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率を改善する方法に関する。動物飼料には、上記の動物飼料が含まれる得るが、特定の実施形態では、トウモロコシ−ダイズミールであり得る。ケラチナーゼには、上記ケラチナーゼ(バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得る。上記のように、ケラチナーゼは、粗抽出物形態または純粋な形態の酵素であり得る。
【0043】
「飼料利用効率の改善」は、本発明の方法の実施および/または組成物の投与を実施せずに得られたものと比較した飼料要求率(FCR)の減少をいう。FCRは、消費飼料の量と動物の体重増加との比である。本発明の1つの実施形態では、腸エネルギー消費が同時増加することなく胃腸栄養吸収の増加によって飼料利用効率を改善することができる。本発明の別の実施形態では、動物飼料の消化率の増大によって飼料利用効率を改善することができる。本発明の別の実施形態では、動物飼料の粘度の減少によって飼料利用効率を改善することができる。特定の実施形態では、本発明は、肉用家禽類に動物飼料として家禽類飼料を給与し、前記飼料が、前記肉用家禽類における動物飼料の消化率の増大に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の消化率を増大させる方法に関する。動物飼料には、上記の動物飼料が含まれ得るが、特定の実施形態では、トウモロコシ−ダイズミールであり得る。ケラチナーゼには、上記ケラチナーゼ(バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得る。上記のように、ケラチナーゼは、粗抽出物形態または純粋な形態の酵素であり得る。「動物飼料の消化率の増大」は、飼料摂取または栄養素の消化を同時に増大させること無く動物の腸から吸収された栄養素の利用可能性の増大をいう。本発明のいくつかの実施形態では、動物の腸中に存在する物質の粘度または消化物(digesta)の粘度が減少する。他の実施形態では、動物が栄養素として利用不可能にする栄養素の取り込みが減少する。
【0044】
他の実施形態では、本発明は、肉用家禽類に動物飼料として家禽類飼料を給与し、前記飼料が、前記肉用家禽類(例えば、未成熟のトリ、より詳細にはブロイラー雛)の死亡率の減少に有効な量のケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の死亡率を減少させる方法に関する。動物飼料には、上記の動物飼料が含まれ得るが、特定の実施形態では、トウモロコシ−ダイズミールであり得る。ケラチナーゼには、上記ケラチナーゼ(バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得る。上記のように、ケラチナーゼは、粗抽出物形態または純粋な形態の酵素であり得る。「死亡率の減少」は、本発明の方法の実施および/または組成物の投与を実施しないで起こるものと比較した出生または孵化後の動物の生存性の増加または死亡率の減少をいう。死亡率は、任意の原因(特に、ストレス、発育阻害、「飢餓(starveouts)」、および疾患)に由来し得る。いくつかの実施形態では、本発明により、未成熟のトリの死亡率が減少する。他の実施形態では、トリは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、31、32、33、34、または35日齢、好ましくは約1〜約21日齢、より好ましくは約1〜5日齢である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明は、主成分としてタンパク質、炭水化物、およびケラチナーゼを含む動物飼料に関する。ケラチナーゼは、動物飼料を補足する主成分である。動物飼料には、上記の動物飼料が含まれ得るが、特定の実施形態では、トウモロコシ−ダイズミールであり得る。ケラチナーゼには、上記ケラチナーゼ(バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼが含まれるが、これらに限定されない)が含まれ得る。上記のように、ケラチナーゼは、粗抽出物形態または純粋な形態の酵素であり得る。
【0046】
本発明によって提供された動物飼料サプリメントを、動物飼料(オオムギを含むものなど)と直接混合して最終飼料を調製することができる。あるいは、動物飼料サプリメントを、ビタミン動物飼料サプリメント、ミネラル動物飼料サプリメント、およびアミノ酸動物飼料サプリメントなどの1つまたは複数の他の動物飼料サプリメントと混合することができる。いくつかの異なる型の成分を含む得られた適量の動物飼料サプリメントを、動物飼料と混合することができる。
【0047】
本発明の動物飼料は、少なくとも意図する効果の達成に十分な量のケラチナーゼを含み、ケラチナーゼ量の上限を、意図する効果の達成に基づいて決定することができる。意図する効果には、動物成長成績(体重増加など)の増大、飼料利用効率の改善、飼料消化率の増大、および死亡率の減少が含まれるが、これらに限定されない。動物飼料に添加される動物飼料サプリメントは、100重量%までのケラチナーゼを含み得る。サプリメントを含む動物飼料は、約5重量%から約25重量%までのケラチナーゼを含む。いくつかの実施形態では、ケラチナーゼは、バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼである。
【0048】
任意の動物は、本発明の適切な被験体であり、ウシ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、フェレット、および鳥類が含まれるが、本発明は、単胃動物を使用することが好ましい。適切な被験体は、任意の年齢範囲(新生動物、成長中の動物、および成熟動物が含まれる)であり得る。いくつかの実施形態では、適切な被験体は、鳥類、好ましくはニワトリ、より好ましくはブロイラー雛であり得る。他の実施形態では、適切な被験体は、ニワトリであり得る。さらに他の実施形態では、適切な被験体は、未成熟、成長中、または成熟したトリであり得る。他の実施形態では、適切な被験体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、もしくは65日齢またはこれらの数の任意の範囲内のニワトリであり得る。したがって、本発明は、種々の異なる飼料(ペット用飼料、家禽類飼料、および豚用飼料が含まれる)を提供する。
【0049】
本発明の動物飼料サプリメントにより、そのエネルギーおよび/またはタンパク質および/またはアミノ酸含有量の減少によって従来の動物飼料を改変すると同時に動物が利用可能なエネルギー、タンパク質、およびアミノ酸の栄養レベルを同一に維持することができる。したがって、動物飼料中に典型的に含まれる高価なエネルギーおよびタンパク質サプリメントの量を、従来の飼料と比較して減少させることができる。
【0050】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供するが、本発明を制限すると解釈すべきではない。
【実施例1】
【0051】
組換えバチルスリケニフォルミスPWD−1株からのケラチナーゼの産生
野生型バチルスリケニフォルミスPWD−1株を使用したケラチナーゼ産生のために発酵スケールアップストラテジーをデザインした。
【0052】
LB培地でのフラスコ培養。1.0Lの蒸留水、15g BACTO(登録商標)寒天、10gNaCl、10g BACTO(登録商標)トリプトン、および5.0g酵母抽出物を含む製造者の説明書にしたがって調製したLuria−Bertani(LB)培地にてフラスコ培養を行った。バチルスリケニフォルミスPWD−1株をグリセロールストックからLBプレートに画線し、50℃で8〜12時間成長させた。次いで、バチルスリケニフォルミスPWD−1株の1コロニーを、LBプレートから500ml LB培地を含むフラスコに移し、50℃で6時間成長させた。
【0053】
種培養物。バチルスリケニフォルミスPWD−1株の種培養物を、0.7g/L KH2PO4、1.4g/L K2HPO4、0.1g/L MgSO4・7H2O、10g/L脱脂ダイズ粉、および0.1g/L消泡剤を含む培地に入れた。種培養物の初期pHを、1M HClまたはNaOHの添加によって7.0に調整した。
【0054】
500mlのフラスコ培養物を、種培養培地を含む約10L〜20Lの第1段階の種発酵槽に移し、2.5%〜5.0%の接種材料サイズに達するまで50℃で8〜12時間成長させた。次いで、第1段階の種培養物を、100L、250L、または800Lの第2段階の種発酵槽に移し、50℃で8時間成長させ、その後37℃にシフトした。
【0055】
種培養物について、細胞密度は約8時間または10時間の培養プロセスで少なくとも3×108CFU/mLに達した。
【0056】
産生培地。バチルスリケニフォルミスPWD−1株のために使用した産生培養培地は、0.7g/L KH2PO4、1.4g/L K2HPO4、0.1g/L MgSO4・7H2O、10g/L脱脂ダイズ粉、および0.1g/L消泡剤を含んでいた。産生培養物の初期pHを、1M HClまたはNaOHの添加によって7.0に調整した。
【0057】
第2段階の種培養物を、培養最終段階のための産生培養培地を含む産生発酵槽に移した。最終段階の培養を50℃で8時間行い、回収前の総培養時間は約24時間〜30時間に達した。
【0058】
上記培養ステップ中、培養培地の初期pHを7.0に調整したが、培養プロセス中にpHを調整しなかった。バチルスリケニフォルミスPWD−1株の至適溶解酸素レベルは約20%であった。摂取材料サイズは約2.5%〜5%であり、摂取材料の経過時間は、約8〜12時間であった。
【0059】
産生培養物について、ピーク細胞密度は、約20または24時間の培養プロセスで1.2×109CFU/mLに達した。アゾカゼインアッセイで測定したピーク酵素活性は、約24時間〜30時間の培養プロセスでmLあたり35〜40A450に達した。産生培養培地のpH値は7.0から8.3に変化したが、酵素活性および産生性は高レベルのままであり、pH調節が必要ないことを示した。
【0060】
回収および下流プロセシング。回収前に産生培養物の酵素活性をチェックした。培養物の上清を、遠心分離によって細胞塊から分離し、その後限外濾過または蒸発によって濃縮した。濃縮した液体酵素を吹き付け乾燥させた。
【0061】
あるいは、培養物の上清を、細胞塊からの分離後濃縮せずに直接吹き付け乾燥させた。
【0062】
酵素収率および酵素活性。100L産生培養物について、回収前にアゾカゼインアッセイによって測定した酵素活性は3,000〜3,500U/mlであり、細胞数は、1.3×109CFU/mLであった。100L産生培養物の総乾燥重量は、9.12g/Lであり、そのうち不溶性乾燥重量が2.15g/Lであり、可溶性乾燥重量が6.88g/Lであった。
【0063】
粗酵素収率は約1.75〜2.0g/Lであった。5kDa分子量カットオフを使用したPellicon濾過による発酵上清の濃縮によって粗酵素を調製し、凍結乾燥させた。粗乾燥酵素の酵素活性は、アゾカゼインアッセイで測定したところ約1,000,000〜約1,400,000U/gであった。粗乾燥酵素の総タンパク質含有量は約30〜36%であり、その約14〜20%が純粋なケラチナーゼからなる。
【実施例2】
【0064】
組換えバチルスリケニフォルミスT399D株からのケラチナーゼの産生
組換えバチルスリケニフォルミスT399D株(以後「バチルスリケニフォルミスT1株」)を使用したケラチナーゼ産生のために発酵スケールアップストラテジーをデザインした。
【0065】
LB培地でのフラスコ培養。1.0Lの蒸留水、15g BACTO(登録商標)アガー、10gNaCl、10g BACTO(登録商標)トリプトン、および5.0g酵母抽出物を含む製造者の説明書にしたがって調製したLB培地にてフラスコ培養を行った。バチルスリケニフォルミスT1株をグリセロールストックからLBプレートに画線し、37℃で18時間成長させた。次いで、バチルスリケニフォルミスT1株の1コロニーを、LBプレートから500ml LB培地を含むフラスコに移し、37℃で6時間成長させた。660nmでの光学密度の測定によって、細胞成長をモニターした(Beckman DU Series 660 Spectrophotometer,フラートン,カリフォルニア州)。6時間の成長後、1.0を超えるOD660が測定された。
【0066】
種培養物。バチルスリケニフォルミスT1株の種培養物を、0.7g/L KH2PO4、1.4g/L K2HPO4、0.1g/L MgSO4・7H2O、10g/L脱脂ダイズ粉、および0.1g/L消泡剤を含む培地に入れた。種培養物の初期pHを、1M HClまたはNaOHの添加によって7.0に調整した。
【0067】
500mlのフラスコ培養物を、種培養培地を含む約10L〜20Lの第1段階の種発酵槽に移し、2.5%〜5.0%の接種材料サイズに達するまで37℃で8時間成長させた。次いで、第1段階の種培養物を、100L、250L、または800Lの第2段階の種発酵槽に移し、37℃で8時間成長させた。
【0068】
産生培地。バチルスリケニフォルミスT1株のために使用した産生培養培地は、0.7g/L KH2PO4、1.4g/L K2HPO4、0.1g/L MgSO4・7H2O、13g/L脱脂ダイズ粉、40g/Lデンプン、13g/L羽毛粉、および0.1g/L消泡剤を含んでいた。産生培養物の初期pHを、1M HClまたはNaOHの添加によって7.0に調整した。
【0069】
第2段階の種培養物を、培養最終段階のための産生培養培地を含む産生発酵槽に移した。最終段階の培養を37℃で48時間行い、その後回収した。
【0070】
上記培養ステップ中、培養培地の初期pHを7.0に調整したが、pHを調整しなかった。バチルスリケニフォルミスT1株の至適溶解酸素レベルは約30%であった。摂取材料サイズは約2.5%〜5%であり、摂取材料の経過時間は、約12時間であった。
【0071】
回収および下流プロセシング。回収前に産生培養物の酵素活性をチェックした。培養物の上清を、遠心分離によって細胞塊から分離し、その後限外濾過または蒸発によって濃縮した。濃縮した液体酵素を吹き付け乾燥させた。
【0072】
あるいは、培養物の上清を、細胞塊からの分離後濃縮せずに直接吹き付け乾燥させた。
【0073】
酵素収率および酵素活性。100L産生培養物について、回収前にアゾカゼインアッセイによって測定した酵素活性は30,000〜35,000U/mlであり、細胞数は、6.0×109CFU/mLであった。100L産生培養物の総乾燥重量は、40g/Lであり、そのうち不溶性乾燥重量が15g/Lであり、可溶性乾燥重量が25g/Lであった。
【0074】
直接乾燥培養上清由来の粗酵素収率は約20g/Lであり、10kDa分子量カットオフを使用したPellicon濾過によって得た培養物濃度由来の粗酵素収率は16g/Lであった。粗乾燥酵素の酵素活性は、アゾカゼインアッセイで測定したところ1,000,000U/g超であった。
【実施例3】
【0075】
家禽類飼料へのケラチナーゼの補足のための材料と方法
トリおよび収容。3つの実験を行った。各実験では、192日齢のブロイラー雛の体重を測定し、2つのAlternate Designバッテリー(Wilveco,ビルリカ,マサチューセッツ州)に対して完全に無作為なデザインの24個のケージに無作為に割り当てた。トリの体重を測定し、羽を縛り、5日齢(実験1および2)および1日齢(実験3)で実験処置を施した。檻あたり8羽のトリを使用して4回繰り返したコントロール処理以外は、檻あたり8羽のトリを使用して各処置を5回繰り返した。トリを、温度、換気、および照明(24時間/日)を制御した部屋に収容した。実験期間中、トリに給餌器で飼料をおよびニップルドリンカーで水を自由に給与した。
【0076】
PWD−1ケラチナーゼ酵素。酵素PWD−1ケラチナーゼを、標準的な方法を使用して150Lの発酵槽で産生した(Wang and Shih(1998)J.Indust.Microb.Biotech.22:608−616)。簡単に述べれば、バチルスリケニフォルミスPWD−1(Williams,et al.(1990)supra)を、発酵槽にて50℃で48時間成長させる。無細胞培地を、膜限外濾過によって濃縮し、凍結乾燥機にて乾燥させた。典型的には、粗酵素の収率は2.0g/Lであった。粗キナーゼの活性は、アゾケラチンの加水分解(Lin,et al.(1992)supra)によって測定したところ、300,000U/gであった。
【0077】
食餌処理。全飼料を、最小費用線形計画ソフトウェアを使用して計画し、表1に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
1実験3のみにおいて最初の5日齢のトリに自由に給与する。
2実験1および2において最初の5日齢のトリに自由に給与する。全ての実験では、コントロール処置を施したトリに最初の5日齢以降同一の飼料を給与し続け、他のトリに対応する処置を施した。
3ミネラルプレミックスは、Eastern Minerals,Inc.,Henderson,NCから入手し、以下(飼料1kgあたり):ZnSO4から120mgのZn;MnSO4から120mgのMn;FeSO4C5H2Oから80mgのFe;CuSO4から10mgのCu;CaIO4から2.5mgのI;CoSO4から1mgのCoが供給される。
4ビタミンプレミックスは、Roche,Nutley,NJから入手し、以下(飼料1kgあたり):13,200IUのビタミンA;4,000ICUのビタミンD;66IUのビタミンE;39.6FgのビタミンB12;13.2mgのリボフラビン;110mgのナイアシン;22mgのd−パントテン酸;0.4mgのビタミンK;2.2mgの葉酸;4.0mgのチアミン;7.9mgのピリドキシン;0.253mgのビオチン;100mgのエトキシキンが供給される。
5セレンプレミックスにより、Na2SeO3として0.2mgSe/kg飼料が供給される。
6計算分析。
【0080】
実験を通して、全飼料をマッシュ形態で給与した。トリに、1日齢のトリに基礎飼料を給与し、その後5日齢で対応する実験飼料に切り換えた。実験1では、最初の5日間に給与した基礎飼料は、粗タンパク質についての米国学術研究会議(NRC)推奨値((1994)supra)の約93%であるが、必須アミノ酸、エネルギー、およびカルシウムおよびリン酸含有量は100%であった。実験2および3では、最初の5日間に給与した基礎飼料は、エネルギーについての米国学術研究会議(NRC)推奨値((1994)supra)の約95%であり、カルシウムおよびリン酸は100%であるが、粗タンパク質含有量は105%であった。その後、1つの檻のブロイラー雛を、各実験の終了(実験1および3では21日目、実験2では26日目)まで5つの飼料処置のうちの1つに供した。実験1および2における5つの飼料処理は以下であった。1)非補足コントロール飼料(C、21.39%粗タンパク質);2)低タンパク質飼料(LP、18%粗タンパク質);3)0.05%(wt/wt)酵素調製物を補足した低タンパク質飼料(LP+0.05E);4)0.10%(wt/wt)酵素調製物を補足した低タンパク質飼料(LP+0.10E);および5)0.15%(wt/wt)酵素調製物を補足した低タンパク質飼料(LP+0.15E)。コントロール飼料は、実験1において最初の5日齢のトリに給与した基礎飼料と同一である。これで処置したトリに5日齢後に同一の飼料を給与し続け、残りの処置を5日齢での実験飼料と切り換えた。実験3の飼料処置は以下であった。1)非補足コントロール(C、21.39%粗タンパク質);2)0.10%(wt/wt)酵素調製物を補足したコントロール飼料(C+010E);3)低タンパク質飼料(LP、18%粗タンパク質);4)0.10%(wt/wt)酵素調製物を補足した低タンパク質飼料(LP+0.10E);および5)処置2と同一であるが、5日齢よりもむしろ1日齢でトリに給与を開始した。
【0081】
飼料給与前に酵素を0.10N炭酸ナトリウム溶液に1g酵素/10ml溶液の比率で溶解した。その後、スプレーボトルを使用して酵素溶液を10ml酵素調製物/kg飼料の比率で飼料の上部に噴霧し、小ボウルミキサー(The Hobart Manufacturing Company,トロイ,オハイオ州)を使用して混合した。
【0082】
消化物(digestae)の粘度。各実験後、檻あたり2羽を除く全てのトリをCO2ガスで安楽死させた。残りの檻あたり2羽のトリを翌日まで保持した。翌日早朝に檻から給餌器を取り出して2時間飼料を与えなかった。2時間後、トリに再度飼料を自由に給与した。1時間後、トリを取り出し(一度に2羽)、その後CO2ガスを使用して安楽死させた。安楽死直後に剖検を行い、空腸内容物を1mlエッペンドルフチューブに入れた。トリ1羽あたり2つのサンプルを採取した。チューブを、直ちに12,000×gで5分間遠心分離し、直後に市販の粘度計(Brookfield Digital Viscometer,Model DV−II Version 2.0,Brookfield Engineering Laboratories,Inc.,ストートン,マサチューセッツ州)を使用して粘度を測定するまで氷中に置いた。溶液中でいかなる細菌の成長も回避する条件下で粘度を読み取った。
【0083】
データ分析。1日齢から開始して各実験の終了まで5日毎に体重および飼料消費を記録した。死亡率および間引き動物について修正した飼料要求率(体重に対する飼料摂取量)を計算した。死亡率を毎日記録した。各実験の体重、飼料消費、飼料要求率、および粘度の読み取りを、SASソフトウェア(SAS Institute(1996)SAS/STAT User’s Guide:Statistics.Release 6.11.SAS Institute,Inc.,Cary,NC)の一般線形モデル法の一元配置分析を使用して個別に分析した。比率データを、アークサイン平方根変換後にANOVAに供した。最小有意差を使用して平均を分離した。有意性の記述は、P≦0.05に基づいた。
【実施例4】
【0084】
ケラチナーゼでの家禽類飼料の補足:実験1
最終体重、累積飼料消費、および飼料要求率を、表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
a,bSASソフトウェア(SAS Institute(1996)supra)の最小自乗平均関数にしたがって、異なる上付き文字を有する列内の平均は有意に異なる(P<0.05)。
1値は、檻あたり8羽のブロイラー雛からなる4〜5つの檻の平均を示す。値は、平均±平均の標準誤差を示す。
2E=酵素。
【0087】
酵素処置により、一般に、P>0.05のp値で体重が改良された。低タンパク質+0.10%酵素処置により、低タンパク質処置よりも体重が重かった(低タンパク質+0.10%酵素vs低タンパク質ではそれぞれ700gvs668g、P=0.08)。酵素処置のうち低タンパク質+0.10%酵素処置が最も体重が重くなり、コントロール処置と異ならなかった(低タンパク質+0.10%酵素vsコントロールではそれぞれ700gvs709g)。
【0088】
低タンパク質+0.15%酵素とコントロール処置との間(低タンパク質+0.15%酵素vsコントロールではそれぞれ826gvs901g、P<0.05)以外は飼料消費における処置間の有意差は存在しなかった。酵素処置群間で飼料消費における有意差は存在しなかった。
【0089】
全実験で1羽のトリのみが死亡した。この死亡したトリおよび間引いたトリの体重を飼料要求率の計算に含め、表2に示す。食餌酵素補足は、飼料要求率に対して有効限界となった。累積に基づいて、低タンパク質+0.10%酵素処置は、最も低い飼料要求率を示した(低タンパク質+0.10%酵素vs低タンパク質ではそれぞれ1.51vs1.57、P>0.05)。
【0090】
第1の実験結果により、酵素処置に応答する傾向が明らかとなった。より長い期間での酵素の正の効果をさらに分析するために、トリをさらに5日間成長させる第2の実験を行った(26日齢)。
【実施例5】
【0091】
ケラチナーゼでの家禽類飼料の補足:実験2
本実験は、トリをさらに5日間成長させること(26日齢まで)以外は実験1の繰り返しであった。最終体重、累積飼料消費、および飼料要求率を、表3に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
a,b,cSASソフトウェア(SAS Institute(1996)supra)の最小自乗平均関数にしたがって、異なる上付き文字を有する列内の平均は有意に異なる(P<0.05)。
1値は、檻あたり8羽のブロイラー雛からなる4〜5つの檻の平均を示す。値は、平均±平均の標準誤差を示す。
2E=酵素。
【0094】
26日齢で3つ全ての酵素レベルでの低タンパク質飼料の補足により、体重の改善が認められた(P<0.05)。低タンパク質+0.10%酵素処置および低タンパク質+0.15%酵素処置により、最も良好に体重が改善された(低タンパク質+0.15%酵素および低タンパク質+0.10%vs低タンパク質ではそれぞれ1,032gおよび1,025gvs964g、P<0.05)。しかし、全ての酵素処置は、コントロール処置よりも体重は軽かった(P<0.05)(低タンパク質+0.15%酵素、低タンパク質+0.10%酵素、および低タンパク質+0.05%酵素vsコントロールではそれぞれ1,032g、1,025、および1,016gvs1089g)。
【0095】
低タンパク質飼料を給与した全トリは、コントロール群よりも大量の飼料を消費した(P<0.05)。酵素処置群も低タンパク質飼料よりも大量の飼料を消費した(P<0.05;表2)。酵素処置区間で飼料消費の有意差は認められなかった。0.05%および0.15%レベルでの酵素補足により、低タンパク質処置よりも数値上良好な飼料要求率を示し、低タンパク質+0.10%酵素処置では低タンパク質処置よりも良好な飼料要求率を有意に示した(P<0.05)(低タンパク質+0.10%酵素vs低タンパク質ではそれぞれ2.02vs2.14)。この実験では、低タンパク質飼料への酵素の補足により、雛の成績はコントロール飼料に相当するレベルまで改善されなかった。しかし、低タンパク質飼料への0.10%酵素(wt/wt)レベルの補足により、低タンパク質飼料を超えて雛の成績が改善された(P<0.05)。
【0096】
実験1および2のトリに、最初の5日齢までコントロール飼料を給与し、その後処置飼料を給与した。コントロール飼料により適切なエネルギー、カルシウム、リン、および必須アミノ酸が供給されるにもかかわらず、NRC((1994)supra)の粗タンパク質推奨量の93%しか供給されず、辛うじて適切であり、プロテアーゼ補足に感受性を示した。
【実施例6】
【0097】
ケラチナーゼでの家禽類飼料の補足:実験3
実験3では、トリを、粗タンパク質に関してNRC((1994)supra)の推奨量の105%を供給し、且つエネルギー(NRC推奨量の95%;表1)以外の他の全ての栄養素が推奨量よりも僅かに多く供給される高タンパク質前肥育前期用飼料を給与した。雛が適切な栄養所要量を給与された後でさえも酵素がその効果を発揮し続けるかどうかを決定するために実験3を行った。
【0098】
この実験では、たった1つの酵素レベルを使用した(0.10%wt/wt)。しかし、酵素が辛うじて適切なブロイラー肥育前期用飼料への補足に対して効果を発揮する能力を試験するために2つの新規の処理を導入した。2つの新規の処置は、0.10%酵素(wt/wt)を使用した実験1および2で使用した同一のコントロール飼料(21.39%粗タンパク質)の補足および5日齢(処置2)または1日齢(処置5)のいずれかでの雛への処置飼料の導入からなる。これにより、1日齢での酵素補足により任意のさらなる成績の改善が得られるかどうかの情報が得られた。
【0099】
最終体重、累積飼料消費、および飼料要求率を、表4に示す。
【0100】
【表4】

【0101】
a,b,cSASソフトウェア(SAS Institute(1996)supra)の最小自乗平均関数にしたがって、異なる上付き文字を有する列内の平均は有意に異なる(P<0.05)。
1値は、檻あたり8羽のブロイラー雛からなる4〜5つの檻の平均を示す。値は、平均±平均の標準誤差を示す。
2E=酵素。
3この処置では、1日齢で酵素を添加した。その他の全てには5日齢で添加した。
【0102】
表2、表3、および表4のデータは異なる実験でのトリの最終体重数のみを示しているにもかかわらず、各実験で5日毎にトリの体重を測定した。この実験の5日間隔の数値に注目すると、実験3における低タンパク質飼料への酵素での補足により実験1および2よりも体重増加に類似の効果が認められることが明らかであった。低タンパク質飼料への酵素の補足により21日齢のトリの体重が増加したが、P<0.05で効果を検出することができなかった(低タンパク質+0.10%酵素vs低タンパク質ではそれぞれ679gvs651g)。しかし、コントロール飼料への酵素の補足(コントロール+0.10%酵素調製物、処置2および5)により、コントロール処置より体重が重かった(処置2および5vsコントロールではそれぞれ767および764g vs 695g、P<0.05)。予想外に、1日齢または5日齢のいずれかで酵素を補足した場合、コントロール飼料への酵素の補足は、低タンパク質飼料に酵素を補足した場合よりも体重において有意に高い改善が認められた(表4)。これは、低タンパク質飼料に対してコントロール飼料のタンパク質および/またはアミノ酸含有量がより高いためであろう。ケラチナーゼは、異なる供給源のタンパク質を攻撃してこれらをより小さなポリペプチド成分に分解する広範なプロテアーゼ酵素である。これらのポリペプチドは、腸管腔内の消化酵素によってより容易に消化される。飼料(この場合、コントロール飼料)の粗タンパク質および/またはアミノ酸含有量がより高いことは、より多数のタンパク質成分の放出および幼若な雛がより利用可能となり、より高い体重増加も反映するように作用する酵素の基質含有量がより高いことを意味する。
【実施例7】
【0103】
ケラチナーゼでの家禽類飼料の補足:消化物の粘度
22日齢(実験1および2)および27日齢(実験3)のブロイラー雛の空腸内容物の3つ全ての実験からの粘度の読み取り(mPas)を表5に示す。
【0104】
【表5】

【0105】
a,b,cSASソフトウェア(SAS Institute(1996)supra)の最小自乗平均関数にしたがって、異なる上付き文字を有する列内の平均は有意に異なる(P<0.05)。
1値は、5つの檻(16〜20羽)の平均を示す。値は、平均±平均の標準誤差を示す。
2E=酵素。
3この処置では、1日齢で酵素を添加した。その他の全てには5日齢で添加した。
【0106】
全実験での低タンパク質飼料およびコントロール飼料へのケラチナーゼの補足により、空腸内容物の粘度が減少した。減少は、酵素補足レベルと正比例した。実験1および2では、低タンパク質飼料への0.15%酵素の補足(低タンパク質+0.15%酵素)により、空腸内容物の粘度が減少した(実験1および2での低タンパク質+0.15%酵素vs低タンパク質ではそれぞれ2.27および1.98mPasvs3.59および2.36mPas、P<0.05)。低タンパク質+0.15%酵素処置もまた、コントロール処置と比較した場合により低い空腸粘度であった(実験1および2での低タンパク質+0.15%酵素vsコントロールではそれぞれ2.27および1.98mPasvs3.65および2.31mPas、P<0.05)。
【0107】
5日齢でコントロール飼料にケラチナーゼを補足した場合、空腸粘度も減少した(コントロール+0.10%酵素(実験3、処置2)vsコントロールではそれぞれ2.18mPasvs2.55mPas、P>0.05)。しかし、1日齢で飼料に酵素を補足し始めた場合のみ有意に減少した(コントロール+0.10%酵素(実験3、処置5)vsコントロールではそれぞれ1.99mPas vs 2.55mPas、P<0.05)。
【実施例8】
【0108】
種々の酵素活性を使用した給与試験
本明細書中に記載の方法に従って産生した乾燥粗酵素抽出物は、主に、ケラチナーゼ酵素から構成されているが、5kDaを超える分子量を有するので、限外濾過で保持される他の型の化合物(他の酵素、炭水化物、非酵素ペプチド、ヌクレオチドフラグメントなどが含まれる)も含み得る。
【0109】
ブロイラー雛の成長成績とその飼料に添加した粗酵素抽出物のケラチナーゼ活性との間の相関を研究するために、さらなる実験を行った。
【0110】
バチルスリケニフォルミスP1株、P2株、およびT399株の発酵産生から得た粗酵素抽出物をこれらの研究で使用し、結果を表1に示した。
【0111】
【表6】

【0112】
16日齢から21日齢まで給与した酵素サプリメント
26日齢から27日齢まで給与した酵素サプリメント
390%超の酵素活性が阻害される
498%超の酵素活性が阻害される
51日齢から21日齢まで給与した酵素サプリメント
【0113】
上記実施例は本発明の例示であり、本発明を制限すると解釈されない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって説明され、特許請求の範囲の等価物が本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉用家禽類の成長方法であって、
前記肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の体重増加の促進に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の成長方法。
【請求項2】
前記肉用家禽類が未成熟のトリである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肉用家禽類がニワトリである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ニワトリが約1日齢から65日齢までである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ニワトリが約1日齢から21日齢までである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ニワトリが約1日齢から7日齢までである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ニワトリがブロイラー雛である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記家禽類飼料が肥育前期用飼料である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記家禽類飼料が肥育後期用飼料である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記家禽類飼料が、仕上げ用飼料である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、約60重量%から約70重量%のトウモロコシを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、約20重量%から約30重量%のダイズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、約0.01重量%から約0.02重量%のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記バチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼが粗抽出物または純粋な酵素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
肉用家禽類の成長方法であって、
前記肉用家禽類に肥育前期用飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の体重増加の促進に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の成長方法。
【請求項16】
肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率を改善する方法であって、
前記肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率の改善に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の飼料利用効率を改善する方法。
【請求項17】
肉用家禽類における動物飼料の消化率を増大させる方法であって、
前記肉用家禽類に家禽類飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類における動物飼料の消化率の増大に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類における動物飼料の消化率を増大させる方法。
【請求項18】
肉用家禽類の死亡率を減少させる方法であって、
前記肉用家禽類に肥育前期用飼料としてトウモロコシ−ダイズミール飼料を給与し、
前記トウモロコシ−ダイズミール飼料が、前記肉用家禽類の死亡率の減少に有効な量のバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼをさらに含むようにした、肉用家禽類の死亡率を減少させる方法。
【請求項19】
前記肉用家禽類が未成熟のトリである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記肉用家禽類がブロイラー雛である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
本質的にダイズミール、トウモロコシミール、およびケラチナーゼからなる動物飼料。
【請求項22】
前記動物飼料が、本質的に少なくとも約0.01重量%のケラチナーゼからなる、請求項21に記載の動物飼料。
【請求項23】
前記ケラチナーゼが粗抽出物または純粋な酵素である、請求項21に記載の動物飼料。
【請求項24】
前記ケラチナーゼがバチルスリケニフォルミスPWD−1ケラチナーゼである、請求項21に記載の動物飼料。
【請求項25】
前記動物飼料を肥育前期用飼料に添加する、請求項24に記載の動物飼料。
【請求項26】
前記肥育前期用飼料がトウモロコシ−ダイズミール肥育前期用飼料である、請求項25に記載の動物飼料。
【請求項27】
前記動物飼料が肥育後期用飼料である、請求項24に記載の動物飼料。
【請求項28】
前記動物飼料が仕上げ用飼料である、請求項24に記載の動物飼料。

【公表番号】特表2006−506982(P2006−506982A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545232(P2004−545232)
【出願日】平成15年8月8日(2003.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/024745
【国際公開番号】WO2004/034776
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(598139601)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (11)
【出願人】(505050175)バイオリソース・インターナショナル,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】