説明

胃腸障害のための処置

本発明は、胃腸障害の処置のために有用であるペプチドを提供する。本発明は、胃腸障害を処置する組成物および方法、ならびにそれを達成するための薬学的組成物も提供する。一部の実施形態では、これらの薬学的組成物には、経口用の投薬形態が含まれる。本発明は、上部胃腸障害および状態(例えば、消化不良、GP、術後胃イレウス、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、胃食道逆流疾患(GERD)、または十二指腸もしくは胃潰瘍)を処置するためのペプチド、組成物および関連した方法を特徴とし、ならびに他の状態および障害が本発明で記載される。本発明は、上部GIでグアニル酸シクラーゼC(GC−C)を活性化するが、下部GIではGC−Cをずっと弱く活性化するかまたはまったく活性化しないペプチドを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、上部胃腸障害の処置のためのペプチド、組成物および方法に関する。
【0002】
優先権の主張
本出願は、2009年11月9日に出願された米国出願番号第61/259,264号への優先権を主張する。上記米国出願の全容は、参考として本明細書に援用される。
【0003】
配列表
本出願には、参考として、「IW077US_ST25.txt」(6.64キロバイト)という名称の配列表の全容が組み込まれる。上記配列表は、2010年11月3日に作成され、本明細書と共に電子的に提出される。
【背景技術】
【0004】
背景
機能性消化不良(FD)および胃不全麻痺(GP)は、鼓脹、上腹部(腹上部)疼痛および/または灼熱、吐き気、嘔吐および早期の満腹を含む症状を一括して特徴とする、上部胃腸(GI)の障害である。既存の療法の効力の欠如および劣る安全性プロファイルのために、FDおよびGP患者のための治療選択肢は極めて制限される。消化不良は、それらの症状を説明しそうないかなる器質的、全身性または代謝性の疾患も存在しない条件下での、胃十二指腸領域から生じるとみなされる1つまたは複数の消化不良症状(上腹部疼痛、灼熱、厄介な食後の充満感および早期の満腹)の存在と定義される(非特許文献1を参照)。FDは、上部内視鏡検査を含む標準的な医学検査の後に構造上の説明を有さない消化不良を指す。FDに関与することができる病態生理学的機構には、後発性胃内容物排出、損なわれた胃適応、胃膨張への過敏性、脂質または酸への十二指腸感受性の変化、および異常な十二指腸空腸の運動性がとりわけ含まれる。長期にわたる十二指腸の酸曝露も一部のFDおよびGP患者で見られ、この曝露は胃内容物排出を遅らせ、FDまたはGP様症状を引き起こすことができる。消化不良は、胃腸病専門医によって見られる症例の約30%を占めるありふれた症候群であり、FDは全てのそのような消化不良症例の約60%に相当する。
【0005】
GPは、機械的な閉塞がない条件下での後発性胃内容物排出を特徴とする異常な胃運動性を指す。GPは特発性であってもよく、またはI型もしくはII型糖尿病、ウイルス感染、強皮症、パーキンソン病などの神経系障害、甲状腺機能低下症などの代謝異常、術後イレウス、ならびに麻薬性疼痛薬物投与、三環系抗うつ薬およびカルシウムチャネル遮断薬を含む特定の薬物投与を含む様々な状態に起因することができる。化学療法薬ならびに胸部および腹部への放射線を含む癌の処置も、胃不全麻痺を一時的または恒久的に引き起こすことができる。最もありふれた症状は、吐き気、嘔吐、鼓脹、上腹部疼痛、体重減少および早期の満腹である。胃不全麻痺は、頻繁な入院、生活の質の低下、および障害の増加、および重症例では死亡率の増加につながることがある慢性状態である。糖尿病を起こしている個体では重症の徴候的なGPが一般的であり、米国単独で1,000,000人の総患者集団に対して糖尿病患者の5〜10%に影響している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Drossman, D.A.編、Rome III: The Functional Gastrointestinal Disorders、3版、McLean、VA: Degnon Associates, Inc.、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FDおよびGP、ならびに他の上部胃腸障害のための従来の処置選択肢は、多くの患者で限られた効力のものであった。したがって、FD、GPおよび他の胃腸障害を処置する新しい化合物および方法の必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本発明は、上部胃腸障害および状態(例えば、消化不良、GP、術後胃イレウス、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、胃食道逆流疾患(GERD)、または十二指腸もしくは胃潰瘍)を処置するためのペプチド、組成物および関連した方法を特徴とし、ならびに他の状態および障害が本明細書で記載される。組成物は、上部GIでグアニル酸シクラーゼC(GC−C)を活性化するが、下部GIではGC−Cをずっと弱く活性化するかまたはまったく活性化しないペプチドを特徴とする。いかなる特定の理論によっても縛られることなく、本発明のペプチドは、下部GI管で目立った影響(例えば、下痢を含む腸習性の用量制限性の変化)を引き起こさずに、上部GI症状を低減するのに十分な用量レベルおよび投与頻度で、上部GI障害の症状を(全体的にまたは一部、上部GI運動性を増加させ、および/または上腹部疼痛/不快および鼓脹を低減することによって)軽減することができるので有用である。本発明のペプチドは、胃腸の疼痛および不快を改善するためにも有用である。
【0009】
本発明の一態様は、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩を提供し、ここで、ペプチドはアミノ酸配列:
Xaa Xaa Xaa Xaa Cys Xaa Xaa Xaa Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Xaa14 Gly15 Xaa16 Xaa17を含み、ここで、
Xaaは、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、D−Glu、γ−カルボキシル化Glu、α−アミノスベリン酸(Asu)、α−アミノアジピン酸(Aad)、α−アミノピメリン酸(Apm)であるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaaは、P−Ser、P−Thr、P−ホモ−Ser、4−ヒドロキシバリンホスフェート、P−ホモ−Thr、P−CysまたはP−Tyrであり、
Xaaは、Tyr、Leu、PheまたはIleであり、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaa14は、Thr、AlaまたはPheであり、
Xaa16は、CysまたはD−Cysであり、
Xaa17は、Tyr、D−Tyrであるか、または存在せず、
ここで、
Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
Xaaが存在せず、Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
XaaおよびXaaの両方が存在しない場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよい。
【0010】
本発明の第二の態様は、本発明のペプチドを含む薬学的組成物を提供する。
【0011】
本発明の第三の態様は、本発明による薬学的組成物を投与することを含む、胃腸障害の処置方法を提供する。
【0012】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、付随する記載に示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1Aは、本発明の例示的なペプチドのアルカリホスファターゼとの反応を図示する。図1Bは、対照のp−ニトロフェニルリン酸のホスファターゼによる加水分解を図示する。
【図2】図2は、ペプチド2およびペプチド4が十二指腸の液分泌を促進することを示す例を提示する。
【図3】図3は、マウス腸(空腸)の液中のペプチド2、デホスホペプチド2およびペプチド3の安定性に関する試験の結果を提示する。
【図4】図4は、STZによって誘導された糖尿病のラットにおける液体胃内容物排出に及ぼすペプチド2および3の影響に関する試験の結果を提示する。
【0014】
これらの図は例として提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
グアニル酸シクラーゼC(GC−C)は、胃および腸の上皮細胞の先端表面に位置する膜貫通受容体である。受容体は、細胞外のリガンド結合性ドメイン、単一の膜貫通領域およびC末端のグアニリルシクラーゼドメインを有する。リガンドがGC−Cの細胞外ドメインに結合するとき、細胞内の触媒ドメインはGTPからのcGMPの生成を触媒する。in vivoで、細胞内cGMPのこの増加は、腸内腔への塩化物および重炭酸塩の分泌の増加、内腔pHの上昇、内腔ナトリウム吸収の減少、液分泌の増加ならびに腸管輸送の促進に導くカスケード事象を開始する。上皮から粘膜および内腔へ双方向に分泌されるcGMPは、求心性C線維ファイヤリングを弱めることも示され、内臓痛に対するGC−Cアゴニストの観察された鎮痛効果の可能な機構を示唆した。
【0016】
経口投与され、現在便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS−c)および慢性便秘(CC)の処置のために治験中であるペプチドGC−Cアゴニストリナクロチドは、下部GI生理に対して(1)内臓痛の減少、(2)鼓脹の減少、および(3)GI輸送の増加を含む多数の効果を有し、それらは便通頻度の増加および改善された大便硬度をもたらすことができる。経口投与されたリナクロチドは、内腔表面のGC−Cを活性化することによって局所的に作用する。治療量レベルでの経口投与の後に全身で見られるリナクロチドの検出可能なレベルはない。したがって、リナクロチドの治験、ならびにリナクロチドおよび関連したペプチドで実施された前臨床試験からの結果は、GC−Cペプチドアゴニストを治療的に用いることができることを示唆する。
【0017】
GI管の下部部分でGC−Cの刺激から生じる可能性がある腸習性に対する顕著な影響を促進することなく、上部GIの障害および症状(例えば、機能性消化不良(FD)および胃不全麻痺(GP))を軽減するために用いることができるであろうGC−Cアゴニストを有することは有用であろう。そのようなGC−Cアゴニストは、変化した腸習性および下痢を含む下部GIの有害事象の可能性を減少させよう。本明細書に記載されるGC−Cペプチドアゴニストは、上部のGI管(例えば、胃および十二指腸)でより活性であり、下部GI管では活性がより低い。そのようなアゴニストは、(1)cGMP生成およびまたは/他の機構を通して内臓痛を低減すること、(2)鼓脹を減少させること、(3)胃内容物排出および/または上部小腸輸送(例えば、十二指腸輸送)を増加させること、ならびに(4)重炭酸塩分泌を促進することによって十二指腸で酸を中和することによって、上部GI障害(例えば、FDおよびGP)を有する患者で利点を有する。重要なことに、これらのアゴニストは、上部GIを標的にするそれらの活性によって、腸習性に顕著な影響(例えば、GI管の下部部分でGC−Cの刺激から生じることができる)を及ぼすことなく、FDおよびGPの症状を軽減することができよう。
【0018】
一態様では、本発明は、胃腸障害、特にFDおよびGPなどの上部GI障害の処置のために有用な新規GC−Cペプチドアゴニストを提供する。GC−Cペプチドアゴニストは、食道、胃および上部小腸(十二指腸)を含む上部GIで活性であるが、それが残りの小腸および大腸を移動するにしたがい活性が低くなるように設計されている。本発明のペプチドは、胃腸の疼痛および不快を改善するためにも有用である。GC−Cアゴニストペプチドは、他のGC−Cアゴニストペプチドで見出される保存されたグルタミン酸またはアスパラギン酸を置換するためのホスホアミノ酸、例えばホスホセリンを含む。ホスホセリンなどのホスホアミノ酸−OPO2−のリン酸塩は、グルタミン酸またはアスパラギン酸のCOOの生物模倣剤として作用することができ、その結果ホスホアミノ酸を含むペプチドはGC−Cに結合してそれを活性化することができる。ホスホアミノ酸を含むペプチドは、ペプチドのGC−C結合性およびアゴニスト活性を大いに減少させる腸アルカリホスファターゼが脱リン酸化することができる。腸アルカリホスファターゼはGI管全体で見出され、小腸を含むアルカリ性内腔環境で最も活性である。ホスホアミノ酸を含むペプチドは、酸性胃環境および上部GI管を含む上部GI管でGC−Cを活性化し、液および重炭酸塩の分泌を促進することができる。ペプチドが上部GIで液および重炭酸塩の分泌の増加を促進するので、腸の内腔はよりアルカリ性になり、このようにアルカリホスファターゼ活性を活性化する。したがって、GC−Cに対するペプチドの作用ならびに腸を通るペプチドの移動を通して、ペプチドのホスホアミノ酸は脱リン酸化されたアミノ酸に変換され、それによって、それが上部から下部のGIに移動するにしたがってGC−Cアゴニストとしてのその活性を減少させる。
【0019】
本明細書で用いるように、アミノ酸またはその3文字略記号の前の用語「P−」は、ホスホアミノ酸を指す。例えば、用語「P−Ser」、「P−Thr」、「P−Tyr」、「P−Cys」、「P−ホモ−Cys」、「P−ホモ−Ser」および「P−ホモ−Thr」は、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ホスホシステイン、ホスホホモシステイン、ホスホホモセリンおよびホスホホモトレオニンをそれぞれ指す。本明細書で用いるように、ホスホアミノ酸は、アミノ酸およびリン酸のエステルまたはチオエステルを指し、例えばアルコールまたはチオール官能基の水素は、−P(O)(OH)によって置換される。例えば、P−Serは、構造:
【0020】
【化1】

を有し、P−Thrは、構造:
【0021】
【化2】

を有し、P−Tyrは、構造:
【0022】
【化3】

を有し、P−Cysは、構造:
【0023】
【化4】

を有する。
【0024】
一態様では、本発明は、アミノ酸配列:
Xaa Xaa Xaa Xaa Cys Xaa Xaa Xaa Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Xaa14 Gly15 Xaa16 Xaa17を含み、ここで、
Xaaは、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、D−Glu、γ−カルボキシル化Glu、α−アミノスベリン酸(Asu)、α−アミノアジピン酸(Aad)、α−アミノピメリン酸(Apm)であるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaaは、P−Ser、P−Thr、P−ホモ−Ser、4−ヒドロキシバリンホスフェート、P−ホモ−Thr、P−CysまたはP−Tyrであり、
Xaaは、Tyr、Leu、PheまたはIleであり、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaa14は、Thr、AlaまたはPheであり、
Xaa16は、CysまたはD−Cysであり、
Xaa17は、Tyr、D−Tyrであるか、または存在せず、
ここで、
Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
Xaaが存在せず、Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
XaaおよびXaaの両方が存在しない場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよい、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0025】
一部の実施形態では、XaaおよびXaaの両方が存在しない。他の実施形態では、XaaはAspまたはGluであり、Xaaは存在しない。さらに他の実施形態では、XaaはAspまたはGluであり、XaaはAspまたはGluである。
【0026】
一部の実施形態では、XaaはTyrまたはLeuである。
【0027】
一部の実施形態では、Xaa14はThrである。
【0028】
一部の実施形態では、Xaa17はTyr、または存在しない。
【0029】
一部の実施形態では、XaaはAsn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、GluまたはD−Gluである。さらなる実施形態では、XaaはAsp、D−Asp、GluまたはD−Gluである。
【0030】
一部の実施形態では、XaaはP−SerまたはP−Thrである。さらなる実施形態では、XaaはP−Serである。
【0031】
一部の実施形態では、Xaa、XaaおよびXaaは存在せず、XaaはD−CysまたはCysである。さらなる実施形態では、XaaはTyrまたはLeuである。さらなる実施形態では、Xaa14はThrである。さらなる実施形態では、Xaa17はTyr、または存在しない。さらなる実施形態では、XaaはP−Serである。
【0032】
一部の実施形態では、Xaa、XaaまたはXaa16の少なくとも1つはCysである。一部の実施形態では、Xaa、XaaまたはXaa16の少なくとも2つはCysである。一部の実施形態では、Xaa、XaaおよびXaa16の全てはCysである。一部の実施形態では、Xaa、XaaまたはXaa16の少なくとも1つはD−Cysである。一部の実施形態では、Xaa、XaaまたはXaa16の少なくとも2つはD−Cysである。一部の実施形態では、Xaa、XaaおよびXaa16の全てはD−Cysである。
【0033】
一部の実施形態では、ペプチドがアミノ酸配列:
Cys Cys P−Ser Xaa Cys Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Thr14 Gly15 Cys16 Xaa17を含み、ここでXaaはTyrまたはLeuである、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0034】
一部の実施形態では、ペプチドがアミノ酸配列:
【0035】
【化5】

を含む、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0036】
一部の実施形態では、ペプチドが50、40、30または20個以下のアミノ酸を含む、ペプチドまたはその薬学的に許容される塩が提供される。さらなる実施形態では、ペプチドは19、18、17、16、15または14個以下のアミノ酸を含む。
【0037】
別の態様では、本発明は、ペプチドがアミノ酸配列:
Xaa Xaa Xaa Xaa Cys Xaa Xaa Xaa Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Xaa14 Gly15 Xaa16 Xaa17、または薬学的に許容されるその塩からなり、ここで、
Xaaは、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、D−Glu、γ−カルボキシル化Glu、α−アミノスベリン酸(Asu)、α−アミノアジピン酸(Aad)、α−アミノピメリン酸(Apm)であるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaaは、P−Ser、P−Thr、P−ホモ−Ser、4−ヒドロキシバリンホスフェート、P−ホモ−Thr、P−CysまたはP−Tyrであり、
Xaaは、Tyr、Leu、PheまたはIleであり、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaa14は、Thr、AlaまたはPheであり、
Xaa16は、CysまたはD−Cysであり、
Xaa17は、Tyr、D−Tyrであるか、または存在せず、
ここで、
Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
Xaaが存在せず、Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
XaaおよびXaaの両方が存在しない場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよい、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0038】
一部の実施形態では、XaaおよびXaaの両方は存在しない。他の実施形態では、XaaはAspまたはGluであり、Xaaは存在しない。さらに他の実施形態では、XaaはAspまたはGluであり、XaaはAspまたはGluである。
【0039】
一部の実施形態では、XaaはTyrまたはLeuである。
【0040】
一部の実施形態では、Xaa14はThrである。
【0041】
一部の実施形態では、Xaa17はTyr、または存在しない。
【0042】
一部の実施形態では、XaaはAsn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、GluまたはD−Gluである。さらなる実施形態では、XaaはAsp、D−Asp、GluまたはD−Gluである。
【0043】
一部の実施形態では、XaaはP−SerまたはP−Thrである。さらなる実施形態では、XaaはP−Serである。
【0044】
一部の実施形態では、Xaa、XaaおよびXaaは存在せず、XaaはD−CysまたはCysである。さらなる実施形態では、XaaはTyrまたはLeuである。さらなる実施形態では、Xaa14はThrである。さらなる実施形態では、Xaa17はTyr、または存在しない。さらなる実施形態では、XaaはP−Serである。
【0045】
一部の実施形態では、ペプチドがアミノ酸配列:
Cys Cys P−Ser Xaa Cys Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Thr14 Gly15 Cys16 Xaa17からなり、ここでXaaはTyrまたはLeuである、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0046】
一部の実施形態では、ペプチドがアミノ酸配列:
【0047】
【化6】

からなる、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0048】
場合により、ペプチドは単離されている。他の場合、ペプチドは精製されている。
【0049】
一部の実施形態では、Xaaは、リン酸化されてもよい任意のアミノ酸である。
【0050】
一部の実施形態では、ペプチドの薬学的に許容される塩が提供される。場合により、薬学的に許容される塩は塩化物塩である。
【0051】
変異体ペプチド
一部の状況では、腸のGC−C受容体に結合してそれを活性化するが、ペプチドの非変異形よりも活性でないかより活性である変異体ペプチドで患者を処置することが好ましいことがある。活性の低下は、受容体への親和性の低下、または結合した受容体を活性化する能力の低下、またはペプチドの安定性の低下から生じることができる。活性の増加は、受容体への親和性の増加、または結合した受容体を活性化する能力の増加、またはペプチドの安定性の増加から生じることができる。
【0052】
一部のペプチドでは、正常なジスルフィド結合の位置で代替の内部架橋を形成するために、ジスルフィド結合を通常形成するCys残基の一方または両方の対の一方または両方のメンバーは、ホモシステイン、ペニシラミン、3−メルカプトプロリン(Kolodziejら1996年Int J Pept Protein Res48巻:274頁)、β,β−ジメチルシステイン(Huntら1993年Int J Pept Protein Res42巻:249頁)またはジアミノプロピオン酸(Smithら1978年J Med Chem21巻:117頁)によって置換されてよい。他の実施形態では、ジスルフィド結合は炭化水素架橋によって置換されてよい(Schafmeisterら2000年J Am Chem Soc122巻:5891頁、Patgiriら2008年Acc Chem Res41巻:1289頁、Hencheyら2008年Curr Opin Chem Biol12巻:692頁)。
【0053】
ペプチドの生成
一実施形態では、それらに限定されないが、細菌(例えば、E.coliもしくはBacillus subtilis)、昆虫細胞系(例えば、ショウジョウバエSf9細胞系)、酵母細胞系(例えば、S.cerevisiae、S.saccharomyces)または糸状菌発現系、または動物細胞発現系(例えば、哺乳動物細胞発現系)を含む任意の公知のタンパク質発現系で組換えにより本発明のペプチドまたは前駆体ペプチドを生成することができる。本発明のペプチドまたは前駆体ペプチドは、化学的に合成されてもよい。
【0054】
ペプチドまたは変異体ペプチドが例えばE.coliなど組換えで生成される場合、ペプチドをコードする核酸分子は、細胞からの成熟ペプチドの分泌を可能にするリーダー配列をコードすることもできる。したがって、ペプチドをコードする配列は、例えば天然に存在する細菌性STペプチドのプレ配列およびプロ配列を含むことができる。分泌された成熟ペプチドは、培地から精製することができる。
【0055】
本明細書に記載されるペプチドをコードする配列は、細菌細胞で核酸分子を送達および維持することが可能なベクターに挿入することができる。DNA分子は自己複製ベクター(適するベクターには、例えばpGEM3ZおよびpcDNA3、およびその誘導体が含まれる)に挿入することができる。ベクター核酸は、バクテリオファージラムダまたはM13およびその誘導体などの細菌またはバクテリオファージのDNAであってよい。本明細書に記載される核酸を含むベクターの構築には、細菌などの宿主細胞の形質転換が後に続くことができる。適する細菌宿主には、それらに限定されないが、E.coli、B.subtilis、PseudomonasおよびSalmonellaが含まれる。遺伝子構築物は、コード核酸分子に加えて、プロモーターおよび調節配列などの発現を可能にするエレメントも含む。発現ベクターは、転写開始を制御する転写調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよびリプレッサー配列を含むことができる。様々な転写制御配列が当業者に周知である。発現ベクターは、翻訳調節配列(例えば、非翻訳5’配列、非翻訳3’配列またはリボソーム内部進入部位)を含むこともできる。ベクターは自己複製が可能であってよく、またはペプチド生成の間の安定性を確実にするために宿主DNAに組み込まれてもよい。
【0056】
本明細書に記載されるペプチドを含むタンパク質コード配列は、精製を促進するために、ペプチド親和性タグ、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、プロテインA、FLAGタグ、ヘキサヒスチジン、mycタグまたはインフルエンザHAタグをコードする核酸に融合されてもよい。翻訳融合が生成されるように、親和性タグまたはリポーター融合は、親和性タグをコードする遺伝子の読み枠に対象ペプチドの読み枠を連結する。融合遺伝子の発現は、対象ペプチドおよび親和性タグの両方を含む単一のペプチドの翻訳をもたらす。親和性タグが利用される一部の例では、プロテアーゼ認識部位をコードするDNA配列が、親和性タグおよび対象ペプチドの読み枠の間に融合される。
【0057】
当業者に周知であり、細菌以外のタンパク質発現系で本明細書に記載されるペプチドおよび変異体の未熟および成熟形の生成に適する遺伝子構築物および方法も、生物系でペプチドを生成するために用いることができる。
【0058】
組換えで生成されるペプチドは、当業者に公知である方法を用いてリン酸化することができる。一部の実施形態では、ペプチドは、組換えで生成され、発現された細胞から単離され、タンパク質キナーゼ、例えばセリン/トレオニンキナーゼまたはチロシンキナーゼを用いて次にリン酸化される。多数のキナーゼが当技術分野で公知であり、この目的のために用いることができる。異なるキナーゼは異なる基質特異性を有することを当業者は認め、ペプチドの配列に基づいて用いるキナーゼを選出する。他の実施形態では、ペプチドは、ペプチドをリン酸化するセリン/トレオニンキナーゼまたはチロシンキナーゼも発現する細胞で組換えによって生成される。他の実施形態では、ホスホアミノ酸を組み込むことによって、ペプチドを組換えで生成することができる。非天然のおよび/または任意のアミノ酸の組込みを可能にするために、それらに限定されないが、アンチコドン、アミノ酸付着部位および/または受容体ステムを修飾することを含む、tRNAを修飾する方法が当技術分野で公知である(Biochem. Biophys. Res. Comm.(2008年)372巻:480〜485頁、Chem. Biol.(2009年)16巻:323〜36頁、Nat. Methods(2007年)4巻:239〜44頁、Nat. Rev. Mol. Cell Biol.(2006年)7巻:775〜82頁、Methods(2005年)36巻:227〜238頁、Methods(2005年)36巻:270〜278頁、Annu. Rev. Biochem.(2004年)73巻:147〜176頁、Nuc. Acids Res.(2004年)32巻:6200〜6211頁、Proc. Natl. Acad. Sci. USA(2003年)100巻:6353〜6357頁、Royal Soc. Chem.(2004年)33巻:422〜430頁)。
【0059】
一部の実施形態では、ペプチドは化学的に生成することができる。ペプチドは、伝統的なBOCまたはFMOC保護を用いる溶液および固相合成を含む、いくつかの異なる方法によって合成することができる。例えば、ペプチドは、連続アミノ酸結合を用いて2−クロロトリチルクロリドまたはWang樹脂で合成することができる。以下の保護基を用いることができる:フルオレニルメチルオキシカルボニルまたはtert−ブチルオキシカルボニル(アルファ−アミノ基、N末端);トリチルまたはtert−ブチル(Cyのチオール基);tert−ブチル(存在するならばグルタミン酸のγ−カルボキシルおよびトレオニンのヒドロキシル基);トリチル(存在するならばアスパラギン側鎖のβ−アミド官能基およびチロシンのフェノール基);トリチルまたはtert−ブチルジメチルシリル(存在するならばセリンのヒドロキシ基)、ならびにtert−ブチルオキシカルボニル(以降の側鎖改変より前のN末端)。結合は第三アミンの存在下でDICおよびHOBtによって実行することができ、カクテルK(トリフルオロ酢酸81%、フェノール5%、チオアニソール5%、1,2−エタンジチオール2.5%、水3%、ジメチルスルフィド2%、ヨウ化アンモニウム1.5%w/w)を用いることで、ペプチドを脱保護し、固体支持体から切断することができる。トリフルオロ酢酸および他の揮発性物質の除去の後、有機溶媒を用いてペプチドを沈殿することができる。Cys残基間のジスルフィド結合は、ジメチルスルホキシドを用いて(Tamら(1991年)J. Am. Chem. Soc.113巻:6657〜62頁)または空気酸化手法を用いて形成することができる。生じたペプチドは逆相クロマトグラフィーによって精製し、凍結乾燥することができる。
【0060】
当業者に公知である任意の方法によって、ホスホアミノ酸、例えばホスホセリンをペプチドに導入することができる(例えばG.K.Tothら(2007年)、Current Organic Chemistry11巻:409〜426頁を参照)。一部の実施形態では、保護されたホスホアミノ酸類似体、例えばホスホセリンアミノ酸類似体は、固相の上にペプチドアセンブリーの一部として、例えばFmoc−Ser[PO(OBzl)OH]−OHとして(T. Wakamiyaら(1997年)、Bioorganic and Medicinal Chemistry5巻:135〜145頁、1997年)、またはFmoc−Ser[PO(Oアリール/アルキル)]−OHとして(G.K.Tothら(2007年)Current Organic Chemistry、11巻:409〜426頁)導入することができる。別の実施形態では、保護されたアミノ酸類似体、例えば保護されたセリンアミノ酸類似体は、固相の上にペプチドアセンブリーの一部として導入することができる(例えばヒドロキシル側鎖のためのトリチル保護を有するFmoc保護セリン)。ペプチド鎖の完全なアセンブリーの後、Ser[Trt]またはSer[SiMetBu]を選択的に脱保護することができ、ホスホラミダイト/酸化手法を用いてリン酸基を導入することができる(G. Shapiroら(1994年)Tetrahedron Letters35巻:869〜872頁、P. Hormozdiariら(1996年)Tetrahedron Letters、37巻:8227〜8230頁)。他の実施形態では、前記のようにセリン/トレオニンキナーゼまたはチロシンキナーゼを用いて、化学的に生成されたペプチドをリン酸化することができる。
【0061】
ペプチドは、遊離塩基の形で、または薬学的に許容されるその塩として、作製し、単離し、または用いることができる。塩の例には、ペプチドの酢酸塩、塩化物、硫酸塩およびリン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
ペプチドおよびGC−C受容体アゴニストの組成物
別の態様では、単独または併用のペプチドを、任意の薬学的に許容されるキャリアまたは媒体と組み合わせることができる組成物が提供される。患者に投与されるとき、有害であるか、アレルギー性であるか、他の望ましくない反応を起こさない材料とペプチドを組み合わせることができる。用いられるキャリアまたは媒体には、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御放出剤、および1つまたは複数の不活性の賦形剤(デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶性セルロース(例えば、celphere、Celphere beads(登録商標))、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる)などを含むことができる。所望により、開示される組成物の錠剤投薬量は、標準の水性または非水性の技術によってコーティングされてもよい。
【0063】
薬学的に許容されるキャリアおよび薬学的に許容される不活性のキャリアとして用いる賦形剤ならびに前述のさらなる成分の例には、それらに限定されないが、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、抗微生物剤およびコーティング剤が含まれる。
【0064】
本明細書で用いるように、用語「結合剤」は、本発明の実施で用いることができる任意の薬学的に許容される結合剤を指す。薬学的に許容される結合剤の非限定例には、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンおよびアルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500(登録商標)およびSTARCH 1500 LM(登録商標)、Colorcon,Ltd.から販売)および他のデンプン)、マルトデキストリン、ゼラチン、天然ならびに合成ゴム、例えばアカシア、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、粉末セルロース、微細セルロース(microfine cellulose)、微結晶性セルロース(例えば、AVICEL(商標)、例えばAVICEL−PH−101(商標)、−103(商標)および105(商標)、FMC Corporation、Marcus Hook、PA、USAから販売))、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(例えば、ポリビニルピロリドンK30)、ならびにその混合物が含まれる。
【0065】
薬学的組成物で特に用いることができる結合剤の例には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、デンプン、マルトデキストリンまたはセルロースエーテル(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース)が含まれる。
【0066】
本明細書で用いるように、用語「充填剤」は、本発明の実施で用いることができる任意の薬学的に許容される充填剤を指す。薬学的に許容される充填剤の非限定例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、粒剤または粉末)、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば、粒剤または粉末)、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101またはCelphere CP−305)、微細セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン(例えば、Starch 1500)、アルファ化デンプン、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、ショ糖、マルトース、イソマルト、ラフィノース、マルチトール、メレチトース、スタキオース、ラクチトール、パラチナイト、キシリトール、ミオイノシトールおよびその混合物が含まれる。
【0067】
ペプチドをコーティングするために特に用いることができる薬学的に許容される充填剤の非限定例には、タルク、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH101またはCelphere CP−305)、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、ショ糖、マルトース、イソマルト、第二リン酸カルシウム、ラフィノース、マルチトール、メレチトース、スタキオース、ラクチトール、パラチナイト、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトールおよびその混合物が含まれる。
【0068】
本明細書で用いるように、用語「添加剤」は、任意の薬学的に許容される添加剤を指す。薬学的に許容される添加剤には、それらに限定されないが、崩壊剤、分散添加剤、潤滑剤、流動促進剤、抗酸化剤、コーティング添加剤、希釈剤、界面活性剤、着香添加剤、湿潤剤、吸収促進添加剤、制御放出添加剤、固化防止添加剤、抗菌剤(例えば、保存剤)、着色剤、乾燥剤、可塑剤および色素が含まれる。本明細書で用いるように、「賦形剤」は、任意の薬学的に許容される添加剤、充填剤、結合剤または剤である。
【0069】
本発明の組成物は、他の治療成分、固化防止剤、保存剤、甘味剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑剤、色素、流動促進剤、接着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(湿潤剤)、抗酸化剤、フィルムコーティング剤などを任意選択で含むこともできる。製剤の安定性を保証するために、そのようないかなる任意選択の成分も、本明細書に記載される化合物と適合しなければならない。組成物は必要に応じて、例えばラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、ショ糖、マルトース、ラフィノース、マルチトール、メレチトース、スタキオース、ラクチトール、パラチナイト、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトールなど、およびその水和物、ならびにアミノ酸、例えばアラニン、グリシンおよびベタイン、ならびにペプチドおよびタンパク質、例えばアルブミンを含む、他の添加剤を含むことができる。
【0070】
組成物は、例えば、様々なさらなる溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進添加剤、制御放出添加剤および1つまたは複数の不活性の添加剤(例えば、デンプン、ポリオール、造粒添加剤、微結晶性セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊添加剤などが含まれる)などを含むことができる。所望により、開示される組成物の錠剤投薬量は、標準の水性または非水性の技術によってコーティングされてもよい。組成物は、例えば、固化防止添加剤、保存剤、甘味添加剤、着色剤、着香剤、乾燥剤、可塑剤、色素などを含むこともできる。
【0071】
適する崩壊剤には、例えば、寒天、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポビドン、ポラクリリンカリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴムおよびその混合物が含まれる。
【0072】
適する潤滑剤には、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、サイロイドシリカゲル(AEROSIL 200、W.R.Grace Co.、Baltimore、MD、USA)、合成石英の凝固エアゾール(Evonik Degussa Co.、Plano、TX、USA)、発熱性二酸化ケイ素(CAB−O−SIL、Cabot Co.、Boston、MA、USA)およびその混合物が含まれる。
【0073】
適する流動促進剤には、例えば、ロイシン、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクおよび第三リン酸カルシウムが含まれる。
【0074】
適する固化防止添加剤には、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、タルクおよびその混合物が含まれる。
【0075】
例えばペプチド組成物のための保存剤として用いることができる、適する抗微生物性添加剤には、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、セチルピリジニウム塩化物、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール(thimersol)、タイム(thymo)およびその混合物が含まれる。
【0076】
適する抗酸化剤には、例えば、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、ビタミンE、没食子酸プロピル、アスコルビン酸およびその塩またはエステル、トコフェロールおよびそのエステル、アルファ−リポ酸ならびにβ−カロテンが含まれる。
【0077】
適するコーティング添加剤には、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、医薬用釉薬、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、ショ糖、二酸化チタン、カルナバワックス、微結晶性ワックスおよびその混合物が含まれる。適する保護コーティングには、Aquacoat(例えば、Aquacoatエチルセルロース水性分散液、15%w/w、FMCバイオポリマー、ECD−30)、Eudragit(例えば、Eudragit E PO PE−EL、Roehm Pharma Polymers)およびOpadry(例えばOpadry AMB分散液、20%w/w、Colorcon)が含まれる。
【0078】
特定の実施形態では、ペプチド組成物のための適する添加剤には、ショ糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、クロスポピドンまたはBHAの1つまたは複数が含まれる。
【0079】
本発明の組成物は、それらに限定されないが、L−ヒスチジン、Pluronic(登録商標)、Poloxamers(Lutrol(登録商標)およびPoloxamer 188など)、アスコルビン酸、グルタチオン、透過性強化剤(例えば、脂質、コール酸ナトリウム、アシルカルニチン、サリチレート、混合胆汁酸塩、脂肪酸ミセル、キレート化剤、脂肪酸、界面活性剤、中鎖グリセリド)、プロテアーゼインヒビター(例えば、大豆トリプシンインヒビター、有機酸)、pH低下剤、および生物学的利用能の促進に有効な吸収強化剤(米国特許第6086918号および米国特許第5912014号に記載のものを含むがこれらに限定されない)、咀嚼錠のための材料(ブドウ糖、フルクトース、ラクトース一水和物、ラクトースおよびアスパルテーム、ラクトースおよびセルロース、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、微結晶性セルロースおよびグアーガム、ソルビトール結晶など);非経口投与薬(マンニトールおよびポビドンなど);可塑剤(セバシン酸ジブチル、コーティングのための可塑剤、ポリビニルアセテートフタレートなど);粉末潤滑剤(ベヘン酸グリセリルなど);軟質ゼラチンカプセル(ソルビトール特殊溶液など);コーティングための球(糖球など);球状化剤(ベヘン酸グリセリルおよび微結晶性セルロースなど);懸濁/ゲル化剤(カラゲナン、ゲランゴム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、グリコール酸デンプンナトリウム、キサンタンガムなど);甘味料(アスパルテーム、アスパルテームおよびラクトース、ブドウ糖、フルクトース、蜂蜜、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、糖蜜、ソルビトール結晶、ソルビトール特殊溶液、ショ糖など);湿式造粒剤(炭酸カルシウム、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、マルトデキストリン、マンニトール、微結晶性セルロース、ポビドン、デンプンなど)、キャラメル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、チェリークリーム着香剤およびチェリー着香剤、クエン酸無水物、クエン酸、粉砂糖、D&Cレッド33号、D&Cイエロー10号アルミニウムレーキ、エデト酸二ナトリウム、エチルアルコール15%、FD&Cイエロー6号アルミニウムレーキ、FD&Cブルー1号アルミニウムレーキ、FD&Cブルー1号、FD&Cブルー2号アルミニウムレーキ、FD&Cグリーン3号、FD&Cレッド40号、FD&Cイエロー6号アルミニウムレーキ、FD&Cイエロー6号、FD&Cイエロー10号、グリセロールパルミトステアレート、モノステアリン酸グリセリン、インジゴカルミン、レシチン、マニトール、メチルおよびプロピルパラベン、グリチルリジン酸一アンモニウム、天然および人工のオレンジ着香剤、医薬用釉薬、poloxamer 188、ポリデキストロース、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリビドン、アルファ化コーンスターチ、アルファ化デンプン、赤色酸化鉄、サッカリンナトリウム、ナトリウムカルボキシメチルエーテル、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、イチゴ着香剤、合成黒色酸化鉄、合成赤色酸化鉄、二酸化チタンならびに白蝋を含む、他の賦形剤、作用物質およびそのカテゴリーを含むこともできる。
【0080】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチド、およびMg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+、その組合せおよび/または立体障害型一級アミンから選択される1つまたは複数の安定化剤を含む薬学的組成物が提供される。さらなる実施形態では、作用物質はMg2+、Ca2+またはZn2+またはその組合せである。一部の実施形態では、それらに限定されないが、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムとしてカチオンが提供される。さらなる実施形態では、カチオンは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化マンガン、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたは塩化アルミニウムとして提供される。他の実施形態では、カチオンは、塩化カルシウム、塩化マグネシウムまたは酢酸亜鉛として提供される。
【0081】
別の実施形態では、安定化剤は立体障害型一級アミンである。さらなる実施形態では、立体障害型一級アミンは、アミノ酸である。さらなる実施形態では、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸である。さらなる実施形態では、天然に存在するアミノ酸は、ヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、トレオニン、イソロイシン、トリプトファン、グリシンおよびバリンからなる群から選択され、さらに、天然に存在するアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニンまたはメチオニンである。別の実施形態では、立体障害型一級アミンは、天然に存在しないアミノ酸(例えば、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸)である。さらなる実施形態では、立体障害型一級アミンは、シクロヘキシルアミン、2−メチルブチルアミンまたはキトサンなどの重合アミンである。別の実施形態では、組成物で1つまたは複数の立体障害型一級アミンを用いることができる。
【0082】
場合によっては、立体障害型一級アミンは、式:
【0083】
【化7】

を有し、式中、R、RおよびRは、H、C(O)OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルキルチオエーテル、C〜Cカルボン酸アルキル、C〜Cアルキルカルボキシルアミドおよびアルキルアリールから独立して選択され、任意の基がハロゲンまたはアミノによって単独でまたは多重に置換されてもよく、R、RおよびRの2つ以下がHである。別の実施形態では、R、RおよびRの1つしかHでない。
【0084】
他の実施形態では、薬学的に許容されるキャリア、ペプチド、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+から選択されるカチオン、またはその混合物、および立体障害型一級アミンを含む薬学的組成物が提供される。一実施形態では、カチオンはMg2+、Ca2+またはZn2+またはその混合物である。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される結合剤および/または薬学的に許容される流動促進剤、潤滑剤、または流動促進剤および潤滑剤として作用する添加剤および/または抗酸化剤をさらに含む。一部の実施形態では、薬学的組成物はキャリアに塗布される。一部の実施形態では、キャリアは充填剤である。
【0085】
一部の場合、キャリアに塗布される水溶液中のカチオン:立体障害型一級アミン:ペプチドのモル比は、5〜100:5〜50:1である。一部の場合、カチオン:立体障害型一級アミンのモル比は、2:1以上(例えば、5:1と2:1との間)であってよい。したがって、一部の場合、キャリアに塗布されるカチオン:立体障害型一級アミン:ペプチドのモル比は、100:50:1、100:30:1、80:40:1、80:30:1、80:20:1、60:30:1、60:20:1、50:30:1、50:20:1、40:20:1、20:20:1、10:10:1、10:5:1または5:10:1である。キャリアに塗布されるGC−Cアゴニストペプチド溶液に結合剤、例えばメチルセルロースが存在する場合、それは0.5%〜2.5重量%(例えば、0.7%〜1.7%または0.7%〜1%または1.5%または0.7%)で存在することができる。
【0086】
保管の間、GC−C受容体アゴニストポリペプチドの酸化生成物の形成を抑制するために、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaおよびAl3+から選択されるカチオンが有用であることが分かっている。保管の間、GC−C受容体アゴニストポリペプチドのホルムアルデヒドイミンアダクト(「ホルムアルデヒドイミン生成物」)の形成を抑制するために、立体障害型一級アミンが有用であることも分かっている。したがって、Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+から選択されるカチオン−例えば、Zn2+、Mg2+およびCa2+から選択される二価のカチオン−および/または立体障害型一級アミン、例えばアミノ酸を含むGC−C受容体アゴニストポリペプチド製剤は、薬剤の製造、保存および流通のために十分な貯蔵寿命(クロマトグラフィーによる純度および/または重量/重量アッセイによって測定される)を有する。さらに、立体障害型アミンだけの存在は、保管中のリナクロチドの加水分解生成物の形成を増加させることができるが、立体障害型一級アミンおよびカチオンの組合せ、例えばそれに限定されないがロイシンおよびCa2+の組合せは、保管中のGC−C受容体アゴニストポリペプチドの加水分解生成物ならびにGC−C受容体アゴニストポリペプチドの酸化生成物の形成を抑制し、重量/重量アッセイおよび/またはクロマトグラフィーによる純度によって判定されるさらにより大きな全体的安定性をもたらす。
【0087】
さらなる実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される結合剤もしくは添加剤、および/または薬学的に許容される流動促進剤、潤滑剤、または流動促進剤および潤滑剤として作用する添加剤、ならびに/または抗酸化剤をさらに含む。
【0088】
本発明による適する薬学的組成物は、使用目的によって様々な最終濃度を与えるために、活性化合物(複数可)の量を無菌水溶液などの許容される医薬用希釈剤または賦形剤と一緒に一般に含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences(18版、Mack Publishing Company、1995年)によって例示されるように、調製技術は一般に当技術分野で周知である。
【0089】
胃腸障害の処置のために、本明細書に記載されるペプチドは、好ましくは経口的に、例えば所定量の有効成分を含む錠剤、カプセル、小袋、ペレット、ゲル、ペースト、シロップ、ボーラス、舐剤、スラリー、粉末、凍結乾燥粉末、粒剤として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、水中油型の液体乳濁液もしくは油中水型の液体乳濁液として、リポソーム製剤を通して(例えば欧州特許第736299号を参照)、またはなんらかの他の形で投与される。経口投与される組成物は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑性、界面活性または分散性の作用物質、着香剤および湿潤剤を含むことができる。錠剤などの経口投与される製剤は、任意選択でコーティングすることまたは刻みを付けることができ、その中の有効成分の徐放、遅延放出または制御放出を提供するように製剤化することができる。ペプチドは、それに限定されないが本明細書に記載される作用物質を含む、胃腸障害を処置するために用いられる他の作用物質と同時投与されてもよい。
【0090】
別の態様では、適する薬学的組成物は、1つまたは複数の他の治療薬を含むことができる。そのような治療薬には、それらに限定されないが、鎮痛剤;プロトンポンプインヒビター、酸ポンプアンタゴニスト、H2受容体アンタゴニストを含む抗分泌剤;PDE5インヒビター;GABA−Bアンタゴニスト;胆汁酸隔離剤(bile acid sequestrant);運動促進剤(prokinetic agent)および作動促進剤(promotility agent);抗うつ薬;抗生物質;制吐剤;および粘膜保護剤が含まれる。
【0091】
処置の方法
本発明の一部の実施形態では、胃腸障害のための処置方法が提供される。
【0092】
一部の実施形態では、胃腸障害は上部GI障害である。さらなる実施形態では、障害はGP、術後胃イレウス、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、セリアック病、粘膜炎または十二指腸もしくは胃の潰瘍である。
【0093】
一部の実施形態では、胃腸障害はGPである。さらなる実施形態では、GPは特発性、糖尿病性または術後のGPである。
【0094】
一部の実施形態では、胃腸障害は術後胃イレウスである。
【0095】
一部の実施形態では、胃腸障害は機能性食道障害である。
【0096】
一部の実施形態では、機能性食道障害は、機能性胸やけ、食道起源と推定される機能性胸痛、機能性嚥下障害または食道球(globus)である。
【0097】
一部の実施形態では、胃腸障害は機能性胃十二指腸障害である。
【0098】
一部の実施形態では、機能性胃十二指腸障害は、FD、おくび障害、吐き気もしくは嘔吐障害、または反芻症候群である。さらなる実施形態では、機能性胃十二指腸障害は、FDである。一部の実施形態では、FDは、食後愁訴症候群(postprandial distress syndrome)または上腹部痛症候群である。一部の実施形態では、おくび障害は、空気嚥下または特徴付けられていない過度のおくび(unspecified excessive belching)である。一部の実施形態では、吐き気もしくは嘔吐障害は、慢性特発性の吐き気、機能性嘔吐または周期性嘔吐症候群である。
【0099】
一部の実施形態では、胃腸障害は胃食道逆流性疾患(GERD)である。
【0100】
一部の実施形態では、胃腸障害はセリアック病である。
【0101】
一部の実施形態では、胃腸障害は粘膜炎である。
【0102】
一部の実施形態では、胃腸障害は十二指腸または胃潰瘍である。
【0103】
本明細書に記載されるペプチドおよびアゴニストは、上部胃腸障害に関連する内臓痛、または本明細書に記載される別の障害に関連する疼痛の処置、予防または減少のために単独で、または併用療法で用いることができる。
【0104】
本明細書に記載されるGC−C受容体アゴニストは、他の作用物質と併用投与することができる。例えば、ペプチドは鎮痛性のペプチドまたは化合物と投与することができる。鎮痛性のペプチドまたは化合物は本明細書に記載されるペプチドと共有結合させることができ、またはそれは併用療法で本明細書に記載されるペプチドと一緒にもしくは逐次的に投与される別個の作用物質であってもよい。本明細書に記載されるGC−C受容体アゴニストは、抗うつ薬、作動促進もしくは運動促進剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプインヒビター、酸遮断薬(例えば、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト)、酸ポンプアンタゴニスト、PDE5インヒビター、GABA−Bアゴニスト、胆汁酸隔離剤および粘膜保護剤を含む、上部GI障害を処置するために用いられる他の作用物質と併用投与されてもよい。
【0105】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるペプチドと用いることができる有用な鎮痛剤には、Caチャネル遮断薬(例えば、ジコノチド)、5HT受容体アンタゴニスト(例えば、5HT3、5HT4および5HT1受容体アンタゴニスト)、5HT4アゴニスト(例えば、テガセロド(Zelnorm(登録商標))、モサプリド、メトクロプラミド、ザコプリド、シサプリド、レンザプリド、BIMU1およびBIMU8などのベンゾイミダゾロン誘導体およびリレキサプリド)、5HT1アゴニスト(例えば、スマトリプタンおよびブスピロン)、オピオイド受容体アゴニスト(例えば、ロペラミド、フェドトジン、エンケファリンペンタペプチド、モルヒネ、ジフェニルオキシレート、フラケファミド、トリメブチンおよびフェンタニル)、CCK受容体アゴニスト(例えば、ロキシグルミドおよびデキスロキシグルミド)、NK1受容体アンタゴニスト(例えば、アプレピタント、ボホピタント、エズロピタント、R−673(Hoffmann−La Roche Ltd)、SR−48968およびSR−14033、(Sanofi Synthelabo)、CP−122,721(Pfizer,Inc.)、GW679769(Glaxo Smith Kline)およびTAK−637(Takeda/Abbot))、NK2受容体アンタゴニスト(例えば、ネパズタント、サレズタント、GW597599(Glaxo Smith Kline)、SR−144190(Sanofi−Synthelabo)およびUK−290795(Pfizer Inc))、NK3受容体アンタゴニスト(例えば、オサネタント(SR−142801;Sanofi−Synthelabo)、SR−241586およびタルネタント)、ノルエピネフリン−セロトニン再取込みインヒビター(NSRI)(例えば、ミルナシプラン)、バニロイドおよびカンナバノイド受容体アゴニスト、シアロルフィンおよびシアロルフィン関連のペプチドが含まれる。様々なクラスの鎮痛剤が文献に記載されている。
【0106】
一部の実施形態では、1つまたは複数の他の治療薬を本明細書に記載されるペプチドと併用してもよい。そのような治療薬には、抗うつ薬、作動促進もしくは運動促進剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプインヒビター、酸遮断薬(例えば、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト)、酸ポンプアンタゴニスト、PDE5インヒビター、GABA−Bアゴニスト、胆汁酸隔離剤および粘膜保護剤が含まれる。
【0107】
抗うつ薬の非限定例には、アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、デシプラミン(Norpramin(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、アモキサピン(Asendin(登録商標))、ノルトリプチリンなどの三環系抗うつ薬;パロキセチン(Paxil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))およびシトラロプラム(Celexa(登録商標))などの選択的セロトニン再取込みインヒビター(SSRI);ならびにドキセピン(Sinequan(登録商標))およびトラゾドン(Desyrel(登録商標))などの他の作用物質が含まれる。
【0108】
作動促進および運動促進剤の非限定例には、イトプリド、オクトレオチド、ベタネコール、メトクロプラミド(Reglan(登録商標))、ドンペリドン(Motilium(登録商標))、エリスロマイシン(およびその誘導体)およびシサプリド(Propulsid(登録商標))が含まれる。制吐剤の例にはプロクロルペラジンが含まれるが、これに限定されない。
【0109】
用いることができる抗生物質の例には、アモキシシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾールまたはクラリスロマイシンなどの、Heliobacter pyloriによる感染を処置するために用いることができるものが含まれる。エリスロマイシンおよびその誘導体などの他の抗生物質を、本明細書に記載されるペプチドと併用することもできる。
【0110】
プロトンポンプインヒビターの非限定例には、オメプラゾール(Prilosec(登録商標))、エゾメプラゾール(Nexium(登録商標))、ランソプラゾール(Prevacid(登録商標))、パントプラゾール(Protonix(登録商標))およびラベプラゾール(Aciphex(登録商標))が含まれる。H2受容体遮断薬の非限定例には、シメチジン、ラニチジン、ファモチジンおよびニザチジンが含まれる。酸ポンプアンタゴニストの非限定例には、レバプラザン、CS−526(J. Pharmacol. Exp. Ther.(2007年)323巻:308〜317頁)、PF−03716556(J. Pharmacol. Exp. Ther.(2009年)328巻(2号):671〜9頁)、およびYH1885(Drug Metab. Dispos.(2001年)29巻(1号):54〜9頁)が含まれる。
【0111】
PDE5インヒビターの非限定例には、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィルクエン酸塩、タダラフィル、バルデナフィルおよびウデナフィルが含まれる。GABA−Bアゴニストには、バクロフェンおよびXP19986(CASレジストリ番号847353−30−4)が含まれるが、これらに限定されない。胆汁酸隔離剤の非限定例には、GT102−279、コレスチラミン、コレセベラム、塩酸コレセベラム、ウルソデオキシコール酸、コレスチポール、コレスチラン、セベラマー、エピクロロヒドリンで架橋されるポリジアリルアミン、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体、およびN−(シクロアルキル)アルキルアミンが含まれる。粘膜保護剤の非限定例には、スクラルフェート(Carafate)、テプレノン、ポラプレ亜鉛、セトラキサートおよび次サリチル酸(subsalicyclate)ビスマスが含まれる。
【0112】
それぞれは別々に製剤化、投与される2つ以上の作用物質、例えば本明細書に記載されるGC−C受容体アゴニストおよび別の治療的なペプチドもしくは化合物を投与することによって、または単一の製剤の2つ以上の作用物質を投与することによって併用療法を達成することができる。他の組合せも、併用療法に包含される。例えば、2つの作用物質を一緒に製剤化し、第三の作用物質を含む別個の製剤と併用投与されてもよい。併用療法での2つ以上の作用物質は同時に投与されてもよいが、それらが同時投与される必要はない。例えば、第一の作用物質(または作用物質の組合せ)の投与は、数分、数時間、数日または数週、第二の作用物質(または作用物質の組合せ)の投与に先行することができる。したがって、2つ以上の作用物質は、互いに数分以内に、または互いに1、2、3、6、9、12、15、18もしくは24時間以内に、または互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内に、または互いに2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10週以内に投与することができる。場合によっては、さらにより長い間隔は可能である。多くの場合、併用療法で用いられる2つ以上の作用物質が患者の体内に同時に存在することが望ましいが、これはそうである必要はない。
【0113】
投薬量
成人ヒトのための用量範囲は、本明細書に記載されるGC−Cペプチドアゴニストの一般に経口で5μg〜100mg/日であってよい。別々の単位で提供される錠剤、カプセルまたは他の提示形は、そのような投薬量で、または同量の複数回投与で有効な本明細書に記載される化合物の量を便利に含むことができ、例えば、単位は25μg〜2mgまたは約100μg〜1mgを含む。患者に処方される化合物の正確な量は、担当医師の責任である。しかし、使用される用量は、患者の年齢および性別、処置される正確な障害およびその重症度を含むいくつかの因子に依存する。
【0114】
様々な実施形態では、投薬単位は、1日の任意の時間に食物と一緒に、1日の任意の時間に食物と別に、一晩の絶食後に食物と一緒に(例えば朝食と一緒に)、低脂肪軽食の後の就寝時刻に投与される。特定の一実施形態では、投薬単位は食物消費(例えば、食事)の前か後に投与される。さらなる実施形態では、投薬単位は、食物消費の約15分〜1時間前に投与される。様々な実施形態では、投薬単位は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回または1日に6回投与される。特定の実施形態では、投薬単位および日用量は同等である。
【0115】
本発明の併用療法の実施形態では、投薬単位中の2つ以上の有効成分の各々の正確な量は、各構成成分の所望の投薬量に依存する。したがって、特定の投与計画(例えば、投与のための特定数の単位および特定のタイミングを規定する投与計画)によって投与されるとき、患者が単一の構成成分だけで処置される場合に投与されるであろうのと同じ各構成成分の投薬量を送達する投薬単位を作製することが有用なことがある。他の状況では、患者が単一の構成成分だけで処置される場合に投与されるであろうそれ未満の1つまたは複数の構成成分の投薬量を送達する投薬単位を作製することが望ましいかもしれない。最後に、患者が単一の構成成分だけで処置される場合に投与されるであろうそれを超える1つまたは複数の構成成分の投薬量を送達する投薬単位を作製することが望ましいかもしれない。
【0116】
薬学的組成物は、有効成分および本明細書に記載される賦形剤を含むさらなる成分を含むことができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、投薬単位の1つまたは複数の治療薬は、徐放型または制御放出製剤で存在することができ、追加の治療薬は徐放型製剤で存在することができない。例えば、本明細書に記載されるペプチドまたはアゴニストは、制御放出または徐放型製剤であることができるかできない別の作用物質と同じ投薬単位中に、制御放出製剤または徐放型製剤で存在することができる。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載される作用物質の1つまたは複数の即時放出、および1つまたは複数の他の作用物質の制御放出を提供することが望ましいかもしれない。
【0117】
本発明は、その特定の例示的な実施形態に関して記載された。しかし、上記の例示的な実施形態のそれら以外の特定の形で本発明を具現化することができることは、当業者に容易に明らかになる。これは、本発明の精神を逸脱しない範囲で実行することができる。例示的な実施形態は単に例証を示すだけであり、いかなる形であれ限定するものとみなすべきでない。本発明の範囲は、前の記載によるよりは、添付の請求項およびそれらの同等物によって定義される。
【実施例】
【0118】
本明細書に記載されるGC−Cアゴニストペプチドまたは薬学的に許容されるその塩は、American Peptide Company(Sunnyvale、CA)による固相化学合成および自然な折畳み(空気酸化)によって調製した。ペプチドおよびそれらの配列は下に示す(ここで、アミノ酸配列は標準的な1文字コードであり、「pS」はホスホセリンである)。
【0119】
【化8】

(実施例1):ペプチド基質に対するアルカリ性および酸性ホスファターゼの影響
アルカリホスファターゼ反応のために、ペプチド原液を0.1Mトリス− HCl pH8に1mg/mLで調製し、アッセイを行うまで−20℃で保存した。酸性ホスファターゼ反応のために、ペプチド原液を50mMリン酸ナトリウムpH6に1mg/mLで調製し、アッセイを行うまで−20℃で保存した。
【0120】
アルカリホスファターゼ反応
子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)は、New England BioLabs、Ipswich、MAから得た。カタログ番号M0290S。CIP反応溶液は、緩衝液(50mM KCl、10mMトリス−HCl pH8、1mM MgCl、50%グリセロール)による0.5単位/μLへの希釈によって調製した。アルカリホスファターゼ反応溶液は、以下を含む20μLの量で組み立てた:
2μL 10×CIP緩衝液(1M NaCl、500mMトリス− HCl pH8、100mM MgCl
2μLペプチド原液(1mg/mL)
12μL H
4μLアルカリホスファターゼ(0、0.5または2単位)。
【0121】
反応溶液を静かに混合し、37℃で90分間インキュベートした。これらの反応溶液を、分析まで−20℃で保存した。分析のために、反応溶液を7.5μLのCIP処理ペプチドから50μLに0.1%ギ酸水溶液で希釈し、最終濃度は10μMであった。次に20μLの最終溶液を、下の表1に示す条件でLCMSによって分析した。
【0122】
酵素活性のために、ペプチドの代わりに10mM p−ニトロフェニルリン酸を含む対照反応液を組み立てた。インキュベーションの後、反応液を0.1mLの100mMホウ酸塩緩衝液pH9で希釈し、p−ニトロフェノールの出現を監視するために、405nmの吸光度で読みとった。
【0123】
酸性ホスファターゼ反応
ジャガイモ酸性ホスファターゼ(PoAP)をSigma、St.Louis、MSから得、カタログ番号P1146、ヒト前立腺の酸性ホスファターゼ(HuPrAP)をMP Biochemicals、Solon、OHから得た、カタログ番号153872。50mM酢酸ナトリウムpH5、0.2mM MgClを用いて、酸性ホスファターゼを溶解して0.5単位AP/μLを含む溶液を提供した。酸性ホスファターゼ反応液は、以下を含む20μLの量で組み立てた:
2μLの10×酸性ホスファターゼ緩衝液(500mM酢酸ナトリウムpH5、2mM MgCl
2μLペプチド原液(1mg/mL)
12μL H
4μL酸性ホスファターゼ(0.5または2単位)。
【0124】
反応溶液を静かに混合し、37℃で90分間インキュベートした。反応溶液は、後の分析のために−20℃で保存した。分析のために、7.5μLの酸性ホスファターゼ反応液を0.1%ギ酸水溶液で50μLに希釈し、最終濃度は10μMであった。20μLの最終反応液を、下の表1に示す条件でLCMSによって分析した。酵素活性のための対照反応液を組み立て、ペプチドの代わりに10mMのp−ニトロフェニルリン酸に希釈した。インキュベーションの後、反応液を0.1mLの100mMホウ酸塩緩衝液pH9で希釈し、p−ニトロフェノールの出現を監視するために、405nmの吸光度で読みとった。
【0125】
【表1】

アッセイのために用いた条件下で、0.5単位の子ウシ腸アルカリホスファターゼ(pH8)、および0.5単位のジャガイモ酸性ホスファターゼまたはヒト前立腺の酸性ホスファターゼ(pH5)が、p−ニトロフェニルリン酸を効率的に加水分解したことを表2および3は示す。
【0126】
ホスファターゼ処理へのペプチド1およびペプチド2の感受性は、LC−MSによって反応生成物を分析することによって評価した。pH8で子ウシ腸アルカリホスファターゼがペプチド1およびペプチド2を効率的に脱リン酸化したことを表2および3は示す。アルカリホスファターゼと対照的に、ジャガイモ酸性およびヒト前立腺酸性ホスファターゼは、それらがp−ニトロフェニルリン酸を効率的に加水分解した条件下で、ペプチド1の脱リン酸化は非常に非効率的であった(表2)。ヒト前立腺酸性ホスファターゼは、ペプチド2の脱リン酸化でも非常に非効率的であった(表3)。
【0127】
別の対照として、ペプチド3を子ウシ腸アルカリホスファターゼの有り無しで処理し、生じた反応液をLC−MSによって分析した。ペプチド3は、CIP処理の影響を受けなかった(データ示さず)。
【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

(実施例2):GC−C活性の分析のためのT84細胞でのcGMP蓄積
cGMPアッセイのために、4.5×10細胞/mLのT84細胞を、24穴組織培養プレートで一晩増殖させた。その翌日に、血清を含まない1mLのDMEM+20mM MES(pH5)またはDMEM+50mM炭酸水素ナトリウム(pH8)でT84細胞を2回洗浄した。2回目の洗浄の後、いかなるホスホジエステラーゼ活性も妨げるために、pH5またはpH8の緩衝液中で細胞を450μLの1mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)と37℃で10分間インキュベートした。次にペプチドを10×濃度までpH5またはpH8緩衝液で希釈した。50μLのペプチド溶液をT84細胞で500μLの最終容量まで希釈し、各ペプチド濃度を1×にした。各ペプチドについて11ポイントの曲線解析を実行し、各アッセイで、最終ペプチド濃度を10000、3000、1000、300、100、30、10、3、1、0.3、0.1nMで試験した。
【0130】
cGMPの内因性レベルを判定するために用いられるペプチド対照はなかった。ペプチドは、37℃で30分間インキュベートされた。30分後に上清を除去し、細胞を0.1M HClで溶解した。細胞は、氷上で30分間溶解された。30分後に溶解物をピペットでとり、96穴HPLCプレートに入れ、あらゆる細胞片を除去するために、10,000×gで10分間遠心回転させた。前の遠心回転からの上清を取り出し、新しい96穴HPLCプレートに入れた。より良いクロマトグラフィーのために試料を中和するために、試料を等量の1M酢酸アンモニウム(pH7)で希釈した。0.1M HClで2×cGMP標準曲線を調製し、次に等量の1M酢酸アンモニウムで希釈し、以下の最終濃度1024、512、256、128、64、32、16、8、4、2、1nMを与えた。
【0131】
cGMP濃度は、表4のLC/MS条件および計算された標準曲線を用いて各試料から決定された。GraphPad Prismソフトウェアで生成された濃度反応曲線から、EC50値が計算された。
【0132】
【表4】

pH5においてヒトT84細胞でcGMP合成を刺激するペプチド1およびペプチド2およびそれらの脱リン酸化型の能力は、細胞をペプチドとインキュベートし、その後、蓄積された細胞内cGMPをLC−MSによって測定することによって試験された。ペプチド1およびペプチド2が、pH5でcGMP合成を刺激することにおいてペプチド3のそれに類似した能力を有することを、表5は示す。しかし、脱リン酸化されたペプチド1およびペプチド2は、T84アッセイでペプチド3より能力が低かった。
【0133】
【表5】

ペプチド5およびペプチド6へのT84細胞のcGMP応答も、上記のものと同様に2反復で測定された。ペプチド5のpH5のEC50は14.7nMで、ペプチド6のpH5のEC50は39.2nMであった。
【0134】
(実施例3):T84細胞への競合的ラジオリガンド結合
アメリカ基準株保存機構(ATCC;Manassas、VA)からの完全なヒトT84細胞を競合的ラジオリガンド結合実験のために用いた。T84細胞は、ダルベッコの改変イーグル培地:ハムのF−12 50/50培地(DMEM/F12)+5%ウシ胎児血清(FBS)で、60〜70%集密度までT−150プラスチックフラスコで単層で増殖させた。細胞スクレーパーによる弱い掻きとりによって細胞を収穫し、4℃での10分間の2000gでの遠心によって細胞を収集した。リン酸緩衝食塩水(PBS)に静かに再懸濁し、上記のような遠心によってそれらを収集することによって細胞を2回洗浄した。
【0135】
100マイクログラム(100μg)のNTFYCCELCCNPACAGCY(エンテロトキシンSTp;Bachem H−6248)を0.5mLの水に溶解することによって[125I]−STpラジオリガンドを調製し、(Marchanolis, J.J.、「An enzymic method for the trace iodination of immunoglobulins and other proteins」、Biochem. J.1969年、113巻、299〜305頁)に挙げられているラクトペルオキシダーゼ法を用いるヨウ素化のために、Perkin−ElmerのLife and Analytical Sciences(N.Billerica、MA)に送った。Perkin−Elmerは、10mM酢酸アンモニウムpH5.8で事前に平衡させたWatersのC−18μBondapakカラム(25cm)を用いて、HPLCによって標識トレーサを精製した。0〜25%アセトニトリルの勾配を60分間でカラムに適用し、続いてさらに20分間、25%アセトニトリルで定組成溶離させた。この方法は、2つのモノヨード化形を互いから、および非標識の前駆体から分離した。64分後に溶出し第四チロシンのヨウ素化に対応した第二のモノヨード化ピーク(ピーク2)を、標識トレーサとしてアッセイで用いた。標識トレーサは、2200Ci/mmolの比活性を有した。到着後、トレーサを小分けして−20℃で保存した。
【0136】
結合反応液は、以下を含む0.2mLで2反復で組み立てた:2.5×10のT84細胞(0.25mgタンパク質)、200,000cpmの[125I]−STp(41fmol、200pM)、0.1〜3,000nMの競合体、および0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)。結合アッセイは、DMEM/20mMの2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)中で、pH5.0で実行した。pH8.0の結合アッセイは、DMEM/20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)/50mM炭酸水素ナトリウムで実行した。対照反応は、競合体(全体)または細胞を含まなかった。
【0137】
緩衝溶液を先ず調製し、次にプロテアーゼのないBSAを0.5%まで加えた。ラジオリガンドを、0.001μCi/μLの最終濃度まで加えた。50mMリン酸ナトリウムpH6.0に1mg/mLにペプチドを溶解することによって、競合体ペプチドの保存溶液を調製した。分析証明書で提供されるペプチド分子量から、濃度を計算した。結合反応(20×競合体)で試験されるペプチドの最終濃度の20倍を含んでいる競合体希釈溶液を、pH6.0の50mMリン酸ナトリウムで作製した。
【0138】
結合反応液は、以下の順序で組み立てられた:
i.緩衝溶液中のラジオリガンドおよびBSA
ii.20×競合体の10μL
iii.T84細胞
結合反応液を静かに混合し、37℃で1時間インキュベートした。真空濾過を用いて結合反応液を2.5cmワットマンGF/Cグラスファイバーフィルター(PBS中の1%ポリビニルピロリドンで前処理される)に加えることによって、遊離のラジオリガンドからの膜結合体の分離を実行した。フィルターを5mLの氷冷PBS緩衝液で2回リンスし、捕捉されたラジオリガンドの測定をシンチレーションカウンターで行った。過剰な競合体(1μM)を含んだ反応液からの結合した放射能を、各試料の結合した放射能から引くことによって特異的な結合の判定を行った。競合的ラジオリガンド結合曲線の生成は、GraphPad Prism(GraphPadソフトウェア、SanDiego、CA)を用いて行い、非線形回帰でデータを分析して、50%ラジオリガンド結合をもたらした競合体の濃度(IC50)を計算した。各競合体の見かけの解離平衡定数(K)は、(ChengおよびPrusoff、(1973年)Biochem. Pharmacol.22巻(23号)3099〜3108頁)の方法を用いて、IC50値、およびラジオリガンドの解離定数の前に決定された推定値、K約15nMから得られた。アッセイで用いられた200pMのラジオリガンド濃度は、その解離定数と比較して非常に小さく、計算されたIC50値およびK値(表5)は実質的に同一であった。
【0139】
【表6】

ペプチド1およびペプチド2が、pH5での結合においてペプチド3のそれに類似した能力を有することを、表6は示す。しかし、脱リン酸化されたペプチド1およびペプチド2は、結合アッセイでGC−Cに対してペプチド3よりも低い親和性を有する。
【0140】
(実施例4):マウスでの胃腸管輸送
アッセイの目的は、マウスでグアニル酸シクラーゼCアゴニストペプチドのin vivoでの胃腸管輸送に及ぼす影響を試験することであった。経口投与されたグアニル酸シクラーゼCアゴニストは、マウスで炭食事の進行距離の百分率を増加させることが実証された。
【0141】
アッセイのために、重さ25〜30gの雌CD−1マウス(1群につきn=10)を一晩絶食させ、水は無制限に与えた。活性炭(20g;100メッシュ;Sigmaカタログ番号242276)を200mLのアラビアゴムに懸濁させ(100mg/mL)、少なくとも1時間撹拌した。試験ペプチドは、20mMトリスpH6.9のビヒクルで調製された。
【0142】
試験ペプチドおよびビヒクルは、経口栄養法によって200μL用量で投与した。試験ペプチドの投与から7分後に、200μLの炭/アラビアゴム懸濁液を経口栄養法によって投与した。15分後に、CO過剰投与によってマウスを屠殺した。胃腸管を、食道から盲腸まで取り出した。小腸の全長を、幽門接合部から回腸盲腸接合部まで測定した。炭の進行距離を、幽門接合部から炭先端まで測定した。進行距離(%)は、(炭進行距離/小腸の全長)x100で判定した。データをGraphPad Prismソフトウェアプログラムに入力し、その後ボンフェローニ多重比較検定を用いてANOVAによって分析した。GraphPad Prismソフトウェアパッケージを用いて、データのプロットおよびED50も判定した。
【0143】
GI輸送に対するペプチド4、ペプチド1、ペプチド2、ペプチド1の脱リン酸化形およびペプチド2の脱リン酸化形の急性用量の用量依存的効果を、雌CDマウスで判定した。小腸の全長の百分率で表される、7分後の炭先端の進行距離を用いて、ED50値を計算した(表7)。
【0144】
【表7】

マウスの上部GI輸送モデルで経口投与された場合、ペプチド1およびペプチド2の脱リン酸化形は、それらのそれぞれのペプチドと比較して低い能力を示したことを、表7は示す。
【0145】
(実施例5):ラット腸ループでの液分泌
本明細書に記載されるGC−Cアゴニストペプチドを野生型ラットの単離されたループに直接的に注射することによって、分泌に及ぼすGC−Cアゴニストペプチドの影響を研究した。
【0146】
ラットの小腸で3つのループを外科的に結紮することによって、ループを隔離した。結紮ループの形成方法は、(Londonら、1997年、Am J Physiol、G93〜105頁)に記載されたものに類似していた。ループは1〜3cmの長さで大体に集中させた。ループに、ペプチド/GC−Cアゴニスト(0.1〜5μg)またはビヒクル(20mMトリス、pH7.5もしくはクレブスリンゲル、10mMグルコース、HEPES緩衝液(KRGH))の200μlを注射した。最高90分の回復時間の後、ループを切り取った。その中に含まれる液の除去の前後に、各ループについて重量を記録した。各ループの長さも記録した。分泌に及ぼす本明細書に記載されるGC−Cアゴニストペプチドの影響を判定するために、各ループの重さ対長さの比(W/L)を計算した。ループ液の容積も測定した。
【0147】
ラットの結紮された十二指腸ループでの液分泌の増加、pH上昇および重炭酸塩分泌の増加を示すデータを、図2および表8に示す。結紮されたラット十二指腸ループでの液蓄積の誘導に関して、ペプチド2がペプチド4のそれに類似した能力を有することを図2は示す。表8は、1ループにつき2.5μgのペプチドを用いた、結紮されたラット十二指腸ループでの結果を提供する。
【0148】
【表8】

(実施例6)マウス空腸ループ液でのin vitro代謝
この試験の目的は、マウス空腸ループ液でのリン酸化ペプチドの安定性を判定することであった。ペプチド2、脱リン酸化ペプチド2(デホスホペプチド2)、ペプチド3および同位体標識ペプチド2を試験で用いた。同位体標識ペプチド2は、13C、15N標識アラニンおよびロイシンで(すなわち、配列CCpS[1315N]LCCNP[1315N]ACTGCで)合成された。
【0149】
各ペプチドは、American Peptide Company,Inc.によって合成され、−20℃で乾燥保存された。マウス腸ループ液アッセイを行う直前に、非標識ペプチドの各々のための1mg/mL溶液を、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(トリス−HCl)、pH8で調製した。13C、15N標識ペプチド2の500ng/mL溶液を0.1%ギ酸水溶液で調製し、アッセイ後LC−MS/MS分析のために空腸試料を希釈するために利用した。
【0150】
in vitroでペプチド2、デホスホペプチド2およびペプチド3の代謝を研究するために、マウスの小腸で結紮したループから抽出されたマウス空腸液中でペプチドをインキュベートした。液を収集するために、水を自由摂取させながらマウスを一晩絶食させた。手術のために次にそれらをイソフルラン(isofluorane)で麻酔し、開腹して小腸を露出させた。胃の幽門括約筋から7cmのところから始まる縫合で、長さ3〜4cmの空腸ループを作製した。ループが形成されると、それらに200μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)緩衝液(10mM、pH7.4)を注射した。動物の腹壁および皮膚を次に縫合し、動物を30分間回復させた。回復の後、動物を屠殺し、次にループを切り取り、中の液を回収して使用まで−80℃で保存した。
【0151】
各ペプチドについて、1mg/mLペプチド保存溶液の25μLを、1Mトリス−HClの25μLおよび500mMトリス−HCl、1M塩化ナトリウム(NaCl)、0.1mM塩化マグネシウム(MgCl)を含む10×の子ウシ腸のホスファターゼ(CIP)緩衝液、pH8の25μLに加えた。マウス空腸ループ液の175μLまたは対照反応のための1Mトリス−HCl pH8緩衝液の175μLを加えることによって、反応を開始した。各ペプチドの最終濃度は、100μg/mLであった。プレートシェーカーの上で反応液を連続的に混合し、37℃に維持した。マウス腸のループ液を加えてから0、2、5、10、20、30、60、90および120分後に25μLの一定量をとり、25μLの4℃の12%トリクロロ酢酸に加えて反応を停止させた。希釈目的のために、0.1%ギ酸水溶液のさらなる200μLをこれらの反応液に加えた。次に、各試料の20μLをとり、内部標準13C、15N標識ペプチド2の500ng/mLを含む0.1%ギ酸水溶液の480μLにそれを加えることによって、これらの試料をさらに希釈した。
【0152】
試料中のペプチド2、デホスホペプチド2およびペプチド3の濃度は、LC−MS/MSで測定した。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを備えたApplied Biosystems/MDS SCIEX API 4000トリプル四重極質量分析計を用いて、全ての試料を分析した。多重反応監視(MRM)モードで質量分析計を操作し、分解能は1.2Daに設定した。各化合物の機器およびクロマトグラフィーのパラメータを、表9に要約する。
【0153】
【表9】

Analystバージョン1.4.2ソフトウェア(Applied Biosystems/MDS SCIEX)を用いて、LC−MS/MSデータを処理した。各ペプチドの残留百分率を計算するために、ピーク面積比(内部標準ピーク面積に対する分析物のピーク面積の比)を用いた。
【0154】
図3は、37℃のマウス空腸液および対照反応液(1Mトリス−HCl)での120分間のインキュベーションの間に測定された、9時点でのペプチド2およびデホスホペプチド2およびペプチド3の残留百分率を示す。マウス空腸ループ液でのインキュベーションの後、ペプチド2の5.3%だけが120分後に残っていた。代謝産物、デホスホペプチド2がこの反応で形成され、最初の20分間に濃度が上昇し、その後残り時間に緩やかな減少を示した。対照反応では、ペプチド2は代謝されず、デホスホペプチド2は形成されなかった。マウス空腸液でのインキュベーションの後、デホスホペプチド2の5.6%だけが120分後に残っていた。対照的に、デホスホペプチド2は対照反応では代謝されなかった。ペプチド3はマウス空腸液で速やかに代謝され、90分後に検出されなかった。対照反応では、ペプチド3は代謝されなかった。
【0155】
ペプチド2、その代謝産物デホスホペプチド2およびペプチド3は、マウス空腸ループ液で代謝された。ペプチド2が37℃のマウス空腸ループ液中でインキュベートされたとき、デホスホペプチド2の形成が観察された。デホスホペプチド2およびペプチド3は、マウス腸液でペプチド2よりも速く分解された。
【0156】
(実施例7):ストレプトゾトシン(Strepozotocin)(STZ)によって誘導された糖尿病ラットでの液体胃内容物排出
ストレプトゾトシン(STZ)によって誘導された糖尿病ラットでの液体胃内容物排出(LGE)に及ぼす経口栄養法によって投与されるペプチド2および3の影響を調査した。体重約300gの成体雄ラット(Sprague−Dawley;n=60)(Taconicによって供給される)を、室温(22℃)および光(12:12時間の明暗周期)の制御条件下で飼育し、食物および水を自由に摂取させた。1週間の順化期間の後、I型糖尿病を誘導するためのSTZプロトコルを開始した。
【0157】
STZ実験群(n=50)の動物でI型糖尿病を誘導するために、クエン酸緩衝液に含まれるSTZ(20mg/kg)の腹腔内注射の日ごとの処方を、5日間投与した。対照群は、同じ注射計画表にわたって等量のビヒクル(n=10)を受けた。全ての動物は、糖尿病を発症し/注射から回復するために、9週を与えられた。血糖レベルは、0日目のSTZ注射から5日後(すなわち、6日目)、ならびに1、2および10週後(すなわち、10週目の初め−実験日)に監視した。血液が心臓から直接的にとられた液体胃内容物排出(LGE)実験の日(10週目の初め)以外は、血液試料は尾静脈からとられた。
【0158】
LGE法は6群(n=10/群)を含み、その5群は糖尿病であり、1群は糖尿病でなかった。LGE実験の前に、食物は一晩控えられたが、水は胃内容物排出法を開始する2時間前に中止された。
【0159】
ペプチド3およびペプチド2は、0.1mg/mlフェノールレッドを含む20%ショ糖溶液のビヒクルで別々に溶解された。用いた化合物の薬剤用量(mg/kgで)は、0.1(ペプチド2および3)、0.3および1.0(ペプチド2だけ)であった。LGEに対するそれらの影響を試験するために、次に18ゲージ栄養針(長さ6cm)によって0.5ml容量の薬剤溶液を糖尿病動物または対照動物の胃に送達した。糖尿病の実験群の各動物は、鉄木化合物(ペプチド2または3)の単一の薬剤用量を受けた。非糖尿病群では、動物は類似した容量のビヒクル溶液だけを投与された。全ての動物は胃内容物排出が起こるために次に15分間与えられ、その後、それらはイソフルランで安楽死させた。
【0160】
安楽死の後、開腹を通して胃を引き寄せ、各動物で下部食道括約筋および幽門括約筋のところで結紮した。次に、横隔膜での切開を通して心臓を露出させ、血液試料をとり、グルコースレベルをグルコメーターで調査した。次に胃を動物から切り取り、95%エタノールを含む10ml管で一晩保存した。次に、組織をホモジナイズし、遠心分離し(40,000gで30分間を2回)、分光光度計(BioMate 3、Thermospectronic,Inc.)で410nm波長での吸光度について上清を試験した。直ちに屠殺した動物の胃へのショ糖/フェノールレッド溶液の投与に由来する「ゼロ値」と結果を比較し、各群の「保持百分率」を判定するためにその胃を取り出した。
【0161】
15分時点で屠殺した動物で保持される液体の百分率平均(±SEM)に関して、データを分析した。統計的有意性は、ANOVAおよびStudent−Newman−Keuls比較事後検定を用いて判定した。統計的有意性は、P<0.05で確立された。
【0162】
STZ糖尿病動物および対照動物の空腹時グルコースレベルは、胃内容物排出実験当日に>300mg/dLであった。STZ糖尿病動物の全重量は、実験当日の非糖尿病動物よりかなり少なかった(平均約150g)。両動物群は、STZによる処置時に約300gで開始した;無処置動物は、LGE処置の前の10週間に平均して130g増えたが、STZ糖尿病動物は絶食(平均約280g)まで一定の重量(約300g)にとどまった。
【0163】
STZによって誘導された糖尿病のラット(9週齢)のLGEに及ぼすペプチド2および3の影響を判定するために実験を行った。ペプチド3の1つの用量(0.1mg/kg)およびペプチド2の3つの用量を評価した。データ(図4)は、以下を示す。
【0164】
STZによって誘導された糖尿病ラットは、対照ラットと比較して15分間のビヒクル投与の後の液体食事の胃内容物排出の有意な遅れを示す(対照の45.34+7.1%と比較して88.24+7.12%の滞留)。
【0165】
Student−Newman−Keuls多重比較事後検定によって計算されるように、STZ糖尿病動物と対照との間のこの有意差は、ペプチド2およびペプチド3を投与された糖尿病動物にも拡張する。ペプチド2の場合、ビヒクル溶液だけを受けた糖尿病動物と比較して、より高い2つの用量(0.3および1.0mg/kg)はLGEを有意に強化した。
【0166】
本試験の結果は、非糖尿病対照と比較してSTZによって誘導された糖尿病動物(ビヒクルを与えられた)でLGEの速度の有意な遅れがあったことを示す。さらに、事後の多重比較検定(Student−Newman−Keuls)を使用する一元配置分散分析法(ANOVA)データは、ペプチド3(0.1mg/kg)またはペプチド2(0.3もしくは1.0mg/kg)を受けたものと比較して、ビヒクル溶液を経口投与されたSTZ糖尿病動物の間で統計的有意差がLGEに存在したことを示す。しかし、ビヒクル溶液だけを受けた非糖尿病対照との比較では、これらの前記の差は明らかでなかった。
【0167】
非糖尿病対照レベルのそれらへLGEを回復させることにおいて、試験用量(0.1mg/kg)でペプチド3が効果的であったことをこれらの観察は実証する。同様に、経口投与された用量0.3および1.0mg/kgのペプチド2は、STZによって誘導された糖尿病動物でLGEを正常な対照のそれらへ回復させた。最も低い用量(0.1mg/kg)で、ペプチド2はLGEを正常な対照のそれらへ統計学的に有意に回復させなかったが、保持される液体の百分率の減少への視覚的傾向を結果は示した。
【0168】
他の実施形態
本開示で参照される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的および個々に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる特許または刊行物のいずれかでの用語の意味が、この開示で用いられる用語の意味と対立するならば、この開示での用語の意味が支配するものとする。さらに、上記の議論は、本発明の例示的な実施形態を開示および記載するだけである。当業者は、以下の請求項で定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そのような議論から、ならびに添付の図面および請求項から、そこに様々な変更、改変および変形を加えることが可能なことを容易に認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドは、
アミノ酸配列:
Xaa Xaa Xaa Xaa Cys Xaa Xaa Xaa Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Xaa14 Gly15 Xaa16 Xaa17を含み、ここで、
Xaaは、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、D−Glu、γ−カルボキシル化Glu、α−アミノスベリン酸(Asu)、α−アミノアジピン酸(Aad)、α−アミノピメリン酸(Apm)であるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaaは、P−Ser、P−Thr、P−ホモ−Ser、4−ヒドロキシバリンホスフェート、P−ホモ−Thr、P−CysまたはP−Tyrであり、
Xaaは、Tyr、Leu、PheまたはIleであり、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaa14は、Thr、AlaまたはPheであり、
Xaa16は、CysまたはD−Cysであり、ならびに
Xaa17は、Tyr、D−Tyrであるか、または存在せず、
ここで、
Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
Xaaが存在せず、Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
XaaおよびXaaの両方が存在しない場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよい、
ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
XaaおよびXaaの両方が存在しない、請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
XaaがAspまたはGluであり、Xaaが存在しない、請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
XaaがAspまたはGluであり、XaaがAspまたはGluである、請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
XaaがTyrまたはLeuである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
Xaa14がThrである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
Xaa17がTyrであるか、または存在しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
XaaがAsn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、GluまたはD−Gluである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
XaaがAsp、D−Asp、GluまたはD−Gluである、請求項8に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
XaaがP−SerまたはP−Thrである、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
XaaがP−Serである、請求項10に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
Xaa、XaaおよびXaaが存在しない、請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
XaaがTyrまたはLeuである、請求項12に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
Xaa14がThrである、請求項12または13のいずれかに記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
Xaa17がTyrであるか、または存在しない、請求項12〜14のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
XaaがP−Serである、請求項12〜15のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
請求項16に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドがアミノ酸配列:
Cys Cys P−Ser Xaa Cys Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Thr14 Gly15 Cys16 Xaa17を含み、XaaがTyrまたはLeuである、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
請求項1に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドがアミノ酸配列:
【化9】

を含む、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドが50、40、30または20個以下のアミノ酸を含む、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
請求項19に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドが19、18、17、16、15または14個以下のアミノ酸を含む、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項21】
アミノ酸配列:
Xaa Xaa Xaa Xaa Cys Xaa Xaa Cys Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Xaa14 Gly15 Cys16 Xaa17からなるペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、ここで、
Xaaは、Asn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、D−Glu、γ−カルボキシル化Glu、α−アミノスベリン酸(Asu)、α−アミノアジピン酸(Aad)、α−アミノピメリン酸(Apm)であるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、Asp、γ−カルボキシル化Asp、Glu、γ−カルボキシル化Glu、Asu、Aad、Apmであるか、または存在せず、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaaは、P−Ser、P−Thr、P−ホモ−Ser、4−ヒドロキシバリンホスフェート、P−ホモ−Thr、P−CysまたはP−Tyrであり、
Xaaは、Tyr、Leu、PheまたはIleであり、
Xaaは、CysまたはD−Cysであり、
Xaa14は、Thr、AlaまたはPheであり、
Xaa16は、CysまたはD−Cysであり、ならびに
Xaa17は、Tyr、D−Tyrであるか、または存在せず、
ここで、
Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
Xaaが存在せず、Xaaが存在する場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよく、
XaaおよびXaaの両方が存在しない場合、Xaaはそのアミノ基上でメチル、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸またはオクタン二酸によって修飾されてもよい、
ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
XaaおよびXaaの両方が存在しない、請求項21に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
XaaがAspまたはGluであり、Xaaが存在しない、請求項21に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項24】
XaaがAspまたはGluであり、XaaがAspまたはGluである、請求項21に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
XaaがTyrまたはLeuである、請求項21〜24のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項26】
Xaa14がThrである、請求項21〜25のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項27】
Xaa17がTyrであるか、または存在しない、請求項21〜26のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項28】
XaaがAsn、D−Asn、Gln、D−Gln、Pro、Ala、β−Ala、D−Ala、Val、D−Val、Gly、Thr、D−Thr、Asp、D−Asp、GluまたはD−Gluである、請求項21〜27のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項29】
XaaがAsp、D−Asp、GluまたはD−Gluである、請求項28に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項30】
XaaがP−SerまたはP−Thrである、請求項21〜29のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項31】
XaaがP−Serである、請求項30に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項32】
Xaa、XaaおよびXaaが存在しない、請求項21に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項33】
XaaがTyrまたはLeuである、請求項32に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項34】
Xaa14がThrである、請求項32または33のいずれかに記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項35】
Xaa17がTyrであるか、または存在しない、請求項32〜34のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項36】
XaaがP−Serである、請求項32〜35のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項37】
請求項36に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドがアミノ酸配列:
Cys Cys P−Ser Xaa Cys Cys Asn10 Pro11 Ala12 Cys13 Thr14 Gly15 Cys16 Xaa17からなり、XaaがTyrまたはLeuである、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項38】
請求項32に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩であって、該ペプチドがアミノ酸配列:
【化10】

からなる、ペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項39】
単離されているものである、請求項1〜38のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項40】
精製されているものである、請求項39に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項41】
請求項1〜40のいずれか一項に記載のペプチドまたは薬学的に許容されるその塩を含む薬学的組成物。
【請求項42】
薬学的に許容されるキャリア、請求項1〜40のいずれか一項に記載のペプチド、および(i)Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaもしくはAl3+から選択されるカチオン、または(ii)立体障害型一級アミンから選択される1つまたは複数の作用物質を含む薬学的組成物。
【請求項43】
前記作用物質がMg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+である、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+が、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムとして提供される、請求項42または43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記作用物質が立体障害型一級アミンである、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記立体障害型一級アミンがアミノ酸である、請求項45に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
前記アミノ酸が天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、またはアミノ酸誘導体である、請求項46に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
前記天然に存在するアミノ酸がヒスチジン、フェニルアラニン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、チロシン、トレオニン、イソロイシン、トリプトファンもしくはバリンであり、前記天然に存在しないアミノ酸が1−アミノシクロヘキサンカルボン酸、ランタニンもしくはテアニンである、請求項47に記載の薬学的組成物。
【請求項49】
前記立体障害型一級アミンが式:
【化11】

を有し、ここで、R、RおよびRが、H、C(O)OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルエーテル、C〜Cアルキルチオエーテル、C〜Cカルボン酸アルキル、C〜Cアルキルカルボキシルアミドおよびアルキルアリールから独立して選択され、ここで、任意の基がハロゲンまたはアミノによって単独でまたは多重に置換されてよく、ここで、R、RおよびRの1つ以下がHである、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項50】
前記立体障害型一級アミンがシクロヘキシルアミンまたは2−メチルブチルアミンである、請求項49に記載の薬学的組成物。
【請求項51】
前記立体障害型一級アミンが重合アミンである、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項52】
前記重合アミンがキトサンである、請求項51に記載の薬学的組成物。
【請求項53】
Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+をさらに含むものである、請求項45〜52のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項54】
前記Mg2+、Ca2+、Zn2+、Mn2+、K、NaまたはAl3+が、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸マンガン、塩化マンガン、リン酸マンガン、硫酸マンガン、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムとして提供される、請求項50に記載の薬学的組成物。
【請求項55】
抗酸化剤をさらに含む、請求項42〜54のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項56】
前記抗酸化剤がBHA、ビタミンEまたは没食子酸プロピルである、請求項55に記載の薬学的組成物。
【請求項57】
薬学的に許容される結合剤または添加剤をさらに含む、請求項42〜56のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項58】
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、デンプン、マルトデキストリンまたはセルロースエーテルから選択される、請求項57に記載の薬学的組成物。
【請求項59】
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤がポリビニルアルコールである、請求項58に記載の薬学的組成物。
【請求項60】
前記薬学的に許容される結合剤または添加剤がセルロースエーテルである、請求項59に記載の薬学的組成物。
【請求項61】
前記セルロースエーテルがメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、請求項60に記載の薬学的組成物。
【請求項62】
薬学的に許容される充填剤をさらに含む、請求項42〜61のいずれかに記載の薬学的組成物。
【請求項63】
前記薬学的に許容される充填剤が、セルロース、イソマルト、マンニトール、ラクトースまたは第二リン酸カルシウムである、請求項62に記載の薬学的組成物。
【請求項64】
前記セルロースが微細セルロースおよび微結晶性セルロースから選択される、請求項63に記載の薬学的組成物。
【請求項65】
追加の治療薬をさらに含む、請求項41〜64のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項66】
前記追加の治療薬が、鎮痛剤、抗うつ薬、作動促進剤もしくは運動促進剤、制吐剤、抗生物質、プロトンポンプインヒビター、酸遮断薬、PDE5インヒビター、酸ポンプアンタゴニスト、GABA−Bアゴニスト、胆汁酸隔離剤または粘膜保護剤の1つまたは複数から選択される、請求項65に記載の薬学的組成物。
【請求項67】
請求項41〜67のいずれか一項に記載の薬学的組成物を含む投薬単位。
【請求項68】
カプセルまたは錠剤である、請求項67に記載の投薬単位。
【請求項69】
請求項69に記載の投薬単位であって、該投薬単位の各々が5μg〜1mgの前記ペプチドを含む、投薬単位。
【請求項70】
請求項41〜69のいずれか一項に記載の薬学的組成物を投与する工程を含む、胃腸障害を処置するための方法。
【請求項71】
前記胃腸障害が、胃不全麻痺、術後胃イレウス、機能性食道障害、機能性胃十二指腸障害、胃食道逆流性疾患(GERD)、セリアック病、粘膜炎または十二指腸潰瘍もしくは胃潰瘍である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記胃腸障害が胃不全麻痺である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記胃不全麻痺が特発性、糖尿病性または術後の胃不全麻痺である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記胃腸障害が術後胃イレウスである、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記胃腸障害が機能性食道障害である、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
前記機能性食道障害が、機能性胸やけ、食道起源と推定される機能性胸痛、機能性嚥下障害または食道球である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記胃腸障害が機能性胃十二指腸障害である、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
前記機能性胃十二指腸障害が、機能性消化不良、おくび障害、吐き気もしくは嘔吐障害、または反芻症候群である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記機能性消化不良が食後愁訴症候群または上腹部痛症候群である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記おくび障害が空気嚥下または特徴付けられていない過度のおくびである、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記吐き気もしくは嘔吐障害が、慢性特発性の吐き気、機能性嘔吐または周期性嘔吐症候群である、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記胃腸障害が胃食道逆流性疾患(GERD)である、請求項71に記載の方法。
【請求項83】
前記胃腸障害が十二指腸潰瘍または胃潰瘍である、請求項71に記載の方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510182(P2013−510182A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538087(P2012−538087)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/056042
【国際公開番号】WO2011/057272
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511039371)アイロンウッド ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】