説明

脂質療法用のオメガ−3脂肪酸類及び異常脂質血症薬剤

【課題】異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の混合物製品、特に例えば単位用量であるオメガ−3脂肪酸類及び異常脂質血症薬剤の濃縮量の単独投与を与える混合物製品の提供。
【解決手段】脂質治療用組成物は、HMG CoA阻害剤から選ばれる異常脂質血症薬剤と、オメガ−3脂肪酸を含有する溶媒系とを含有する固定用量形態を含む。溶媒系は、オメガ−3脂肪酸の他に、溶媒系の全質量に対して50w/w%未満の可溶化剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高トリグリセリド血症、冠状動脈性心臓病(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症及び関連症状の治療、並びに心血管性及び血管性イベントの予防若しくは低減のために、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の混合物の単独投与又は単位用量を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトにおいて、コレステロール及びトリグリセリドは、血流中のリポタンパク質複合体の一部であり、超遠心分離によって、高密度リポタンパク質(HDL)、中密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL)画分に分離できる。コレステロール及びトリグリセリドは肝臓で合成され、VLDL内に取り込まれて、血漿へ放出される。総コレステロール(総−C)、LDL−C、及びアポリポタンパク質B(LDL−Cに対する膜複合体)のレベルが高いと、ヒトアテローム性動脈硬化が促進され、HDL−C及びその輸送複合体であるアポリポタンパク質Aのレベルの低下は、アテローム性動脈硬化の発生に関わる。さらに、ヒトにおける心血管系による罹患率及び死亡率は、総−C及びLDL−Cのレベルに伴って直接的に変動し、HDL−Cのレベルと逆に変動する可能性がある。加えて、研究者は高トリグリセリド血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症及び関連症状の重要な指標であることを発見した。実際、最近、非−LDLコレステロールの低減がNCEP ATP IIIにおける治療対象として特定された。
【0003】
異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類のような薬剤は、一般に「心血管性イベント」と分類される高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症の予後心筋梗塞(MI)及び成体内在的高脂血症を治療するために使用されてきた。
【0004】
異常脂質血症薬剤としては、一般に、HMGCoA阻害剤(スタチン)、コレステロール吸収阻害剤、ナイアシン及びニコチンアミド等の誘導体、フィブレート、胆汁酸抑制剤、MTP阻害剤、LXRアゴニスト及び/又はアンタゴニスト、並びにPPARアゴニスト及び/又はアンタゴニストが挙げられる。
【0005】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤であるスタチンは、高脂血症及び関節硬化症等を治療するために使用されてきた。
【0006】
典型的には、スタチン単独投与は特に患者が許容可能なLDL−Cレベルにない場合に、コレステロールレベルに対処するために使用されてきた。スタチンは、体内でのコレステロール生成率を制御する酵素HMG−CoAレダクターゼを阻害する。スタチンは、コレステロール生成を遅め、血中に既に存在するLDL−コレステロールを除去する肝臓の能力を増加することによって、コレステロールを低減する。従って、スタチンの主要な効能は、LDL−コレステロールレベルを低減することである。スタチンはCHDのリスクを約3分の1にまで減少させることが示されている。しかし、スタチンのTG−HDL軸への効果はおだやかなものにすぎない。
【0007】
エゼチミブ及びMD−0727といったコレステロール吸収阻害剤は、コレステロールの腸内吸収を選択的に阻害する脂質低減化合物の1クラスである。エゼチミブは小腸の刷子縁に作用し、胆汁中及び食事中のコレステロールが小腸から腸細胞への吸収されるのを低減する。
【0008】
トルセトラピブのようなコレステリルエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤は、とりわけ、コレステロールをHDL型からLDL型へと移動するCETP分子を阻害する。従って、この分子を阻害すれば、確実にHDLコレステロールレベルが上昇する。
【0009】
ナイアシン(ニコチン酸又は3−ピリジンカルボン酸)は以前、高脂血症及びアテローム性動脈硬化症を治療するために使用されてきた。ナイアシンは、総コレステロール、LDL−C、及びトリグリセリドを低減し、HDL−Cを増加させることが知られている。ナイアシン療法は、VLDL−C及びLDL−C画分の主要タンパク質成分であるアポリポタンパク質B(Apo B)の血清レベルを低減することも知られている。しかし、ナイアシン療法からの各脂質及びリポタンパク質応答の度合いは、潜在的な脂質異常の重度及びタイプによって影響される。
【0010】
フェノフィブレート、ベザフィブレート、クロフィブレート及びゲムフィブロジルなどのフィブレート類は、PPAR−αアゴニストであり、トリグリセリドに富むリポタンパク質を低減し、HDLを増加させてアテローム原性密度LDLを低下させるために患者で使用される。フィブレート類は概して、かかる患者に経口投与される。
【0011】
フェノフィブレート、すなわち2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸、1−メチルエチルエステルは、血中トリグリセリド及びコレステロールレベルを低下させるその効力から、医薬有効成分として長年知られている。フェノフィブレートは水への可溶性が非常に低く、消化管でのフェノフィブレートの吸収は限られている。1日当たり40〜300mgのフェノフィブレートを用いた治療で、コレステロール血症を20〜25%低減させること、及びトリグリセリド血症を40〜50%低減させることが可能になる。
【0012】
コレスチラミン、コレスチポール、及びコレセベラムといった胆汁酸抑制剤は、胆汁酸に結合し、消化系からの再吸収を阻害し、コレステロールレベルを低減する薬剤の1クラスである。胆汁酸抑制剤の通常の効能は、LDL−コレステロールを約10〜20%低減することである。抑制剤を少量投与すると、LDL−コレステロールを有効に低減できる。
【0013】
インプリタピドのようなMTP阻害剤は、コレステロール及びトリグリセリドの分泌を阻害することが知られている。
【0014】
肝臓X受容体(LXR)は、特定のオキシステロールリガンドに応答して脂質代謝に関与する遺伝子発現を調節する「コレステロールセンサ」である(Repa et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 16: 459−481(2000))。LXRアゴニスト及びアンタゴニストは、異常脂質血症及びアテローム性動脈硬化症の治療剤としての可能性がある。
【0015】
チアゾリジンジオン類(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン)などのPPAR−γアゴニスト類は、アテローム性動脈硬化及び心血管性のリスクの代用マーカーを向上させることが示されている。例えば、チアゾリジンジオン類は、C−反応性タンパク質及び頚動脈内膜・中膜厚を減少させる。テサグリタザル、ナビグリタザル及びムラグリタザルなどの非チアゾリジンジオン類は、二重α/γPPARアゴニストである。これらの化合物は、グルコース、インスリン、トリグリセリド及び遊離脂肪酸類を低下させるのに使用される。
【0016】
メタグリダセンなどの部分的PPAR−γアゴニスト/アンタゴニストは、II型糖尿病の治療に使用される。
【0017】
一般に魚油とも称されるマリンオイルは、脂質代謝を調節することが見出されている、エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)という2種のオメガ−3脂肪酸類の良好な供給源である。オメガ−3脂肪酸類は、心血管性疾患、特に、軽い高血圧、高トリグリセリド血症に対する危険因子や、凝固因子VlIリン脂質複合体活性に対して有益な効果を有することが見出されている。オメガ−3脂肪酸類は、血清トリグリセリドを低下させ、血清HDL−コレステロールを増加させ、収縮期及び拡張期血圧並びに脈拍数を低下させ、また血液凝固因子Vll−リン脂質複合体の活性を低下させる。さらに、オメガ−3脂肪酸類は、深刻な副作用を何ら引き起こすことなく、良好な耐容性を示すようである。
【0018】
オメガ−3脂肪酸のかかる一形態は、DHA及びEPAを含有する魚油由来のオメガ−3、長鎖、多価不飽和脂肪酸の濃縮物であって、Omacor(登録商標)の商標の下で販売されている。オメガ−3脂肪酸のかかる形態は、例えば、米国特許第5502077号、第5656667号及び第5698594号に記載されており、各々を引用して本願に援用する。
【0019】
混合型異脂肪血症又は高コレステロール血症の被験者は、190mg/dlを超えるLDLコレステロールの血中レベル、及び200mg/dl以上のトリグリセリドレベルを示すことが多い。食事制限及び単回投与計画の使用は必ずしも、トリグリセリドの同時増加の有無を問わず混合型異脂肪血症又は高コレステロール血症の被験者で目標値に到達させるのに充分適切に、LDLコレステロール及びトリグリセリドを低減させるとは限らない。これらの被験者では、異常脂質血症薬剤とオメガ−3脂肪酸類の相補的併用療法が望ましいかもしれない。
【0020】
魚油及びスタチン療法の効果を試験する研究は既になされてきた。ある研究によって、魚油及びロバスタチンが血漿LDLコレステロール及びVLDLコレステロールを増加させることが発見された(Saify et al., Pakistan J. of Pharm. Sci. (2003) 16(2): 1−8)。Nakamura et al.は純EPA及びスタチンの高脂血症患者への効能を調査した。2.07 mmol/l(約182mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有し、プラバスタチン5〜20mg/日、又はシンバスタチン5mg/日で既に処理した患者を、純EPAエチルエステル900又は1800mg/日(>90%)で3月間更に処理した。ベースライン単独投与に比べて有意に減少したトリグリセリドレベルと、有意に増加したHDL−Cレベルの併用療法が報告されている。LDL−Cレベルは報告されていない(Nakamura et al., Int. J. Clin. Lab Res. 29: 22− 25 (1999))。
【0021】
Davidson et al.は、複合型高脂血症の患者における魚油及びシンバスタチンの効能を調査した。274.7mg/dl〜336.8mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン及びプラセボ、魚油(SuperEPA(登録商標)1200)及びプラセボ7.2g/日、又はシンバスタチン及びSuperEPA(登録商標)の混合物を10mg/日で12週間処理した。この研究で用いた魚油7.2g中のオメガ−3脂肪酸類含量は3.6gであり、EPA/DHA比は1.5である。併用療法は、魚油単独に比べてHDL−Cレベルを有意に上昇させることが示された。加えて、トリグリセリド及び非−HDL−Cレベルは併用療法によって有意に低減した。しかし、非−HDL−Cレベルの低減は、シンバスタチン単独に比べて併用療法で小さいことが報告された(Davidson et al., Am J Cardiol (1997) 80: 797−798)。
【0022】
Hong et al.は、冠状動脈性心臓病及び混合型異常脂質血症の患者における魚油及びシンバスタチンの効能を調査した。292.8mg/dl〜269.5mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン10〜20mg/日で、6〜12週間処理した。その後、患者を、シンバスタチン及びプラセボ、又はシンバスタチン及び3g/日魚油(Meilekang(登録商標))で処理した。併用治療は、ベースライン及びプラセボに比べて、有意にトリグリセリドレベルを低減した。更に、併用治療は、ベースラインに比べてHDL−Cレベルを数的に上昇させ、LDL−Cレベルを数的に低減する。しかし、HDL−Cレベル及びLDL−Cレベルの変化は統計的に有意ではなかった(Hong et al., Chin. Med. Sci. J. 19:145− 49 (2004))。
【0023】
Contacos et al.は、混合型高脂血症の患者への魚油及びプラバスタチンの効能を調査した。4.6〜5.5mmol/l(404〜483mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、まず6週間、プラバスタチン40mg/日、魚油(Himega(登録商標)、オメガ−3脂肪酸類3gを含有し、EPA/DHA比が2:1である)6g/日、又はプラセボで処理した。その後、全患者を更に12週間にわたりプラバスタチン及び魚油で処理した。最初のプラバスタチン処理はLDL−Cレベルを有意に低減した。プラバスタチン及び魚油の併用治療も、トリグリセリド及びLDL−Cレベルを有意に低減した。しかし、プラバスタチン単独投与に魚油を加えても、LDL−Cレベルが数的に増加するのみで、統計的に有意なものではなかった。魚油単独処理は、トリグリセリドレベルを有意に低減したが、LDL−Cレベルを増加させた。この群への併用治療は、魚油単独に比べLDL−Cレベルを有意に低減したが、ベースラインに比べ有意ではなかった(Contacos et al., Arterioscl. Thromb. 13:1755−62 (1993))。
【0024】
Singerは、複合型高脂血症の患者への魚油及びフラバスタチンの効能を調査した。258mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、まず2月間フラバスタチン40mg/日で処理し、その後、魚油(18%EPA及び12%DHA)3g/日で更に2月間処理した。その後、患者をフラバスタチン療法単独に最後2月間維持した。フラバスタチン単独投与は、トリグリセリド及びLDL−Cレベルを有意に低減し、HDL−Cレベルを有意に増加させることが示された。併用療法は、フラバスタチン単独に比べ、トリグリセリド及びLDL−Cレベルを有意に低減し、その結果、トリグリセリド及びLDL−Cレベルを更に数的に低減した。併用治療でのHDL−Cレベルの増加は統計的には有意ではなかったが、併用療法は単独投与に比べてHDL−Cレベルを数的に増加させた(Singer, Prost. Leukotr. Ess. Fatty Acids 72:379−80 (2005))。
【0025】
Liu et al.は、高脂血症の患者への魚油及びシンバスタチンの効能を調査した。1.54〜1.75mmol/l(約136〜154mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン10mg/日、魚油(Eskimo−3)9.2g/日、又はシンバスタチン及びEskimo−3の混合物で、12週間にわたって処理した。魚油は、EPA18%、DHA12%、及び総オメガ−3脂肪酸類38%を含有していた。併用治療は、ベースラインに比べてトリグリセリド及びLDL−Cレベルを有意に低減し、HDL−Cレベルを有意に増加させ、シンバスタチン単独に比べてトリグリセリドレベルを有意に低減した(Liu et al., Nutrition Research 23 (2003) 1027− 1034)。
【0026】
更なる研究によって、腎臓移植後の異常脂質血症時には、夕食後に低用量のプラバスタチン及び魚油の併用治療を行うことが、腎臓移植後の脂質プロファイルを変化するのにより有効であると結論づけられた(Grekas et al., Nephron (2001) 88: 329−333)。ある論文では、1日当たりスタチン及び3〜7mg魚油を組み合わせる等の、異常脂質血症に対する薬剤併用療法が要約されている。この研究では、併用療法が、トリグリセリド、総コレステロール、及びアポリポタンパク質Eレベルの低下を、スタチン単独で処理した患者に比べて更に増強し得ることが示唆される(Alaswad et al., Curr. Atheroscler. Rep. (1999) 1:44−49)。別の研究では、食事中の魚油及びロバスタチンを組み合わせることで、超低密度リポタンパク質(VLDL)及び低密度リポタンパク質(LDL)の双方が低減することが発見された(Huff et al., Arterosclerosis and Thrombosis, 12(8): 901−910 (August 1992))。
【0027】
別の研究では、オメガ−3脂肪酸類と組み合わせたスタチンの効果を試験し、オメガ−3脂肪酸類に富む食事によって、シンバスタチンのコレステロール低減効果が増強し、シンバスタチンの空腹時インスリン上昇効果が阻害され、β−カロテン及びユビキノール−10の血清レベルは低減しなかった(JuIa et al., JAMA 287 (5) 598−605(February 6, 2002))。別の研究では、EPA及びDHAを用いてチオバルビツール酸−マロンジアルデヒド複合体(TBA−MDA)が増加すること、及びスタチン(例えばシンバスタチン)がこの結果に影響を与えないことが示された(Grundt et al., Eur. J of Clin. Nutr. (2003) 57: 793−800)。
【0028】
米国特許第6,720,001号では、薬剤、水相、油相、及び乳化剤を有する多機能薬剤の輸送用の安定化医薬水中油エマルジョンが開示されている。スタチンは可能性のある多機能薬剤リスト中に記載され、魚油は油相の7任意成分の1つとして記載されている。更に、米国特許出願公開第2002/0077317号ではスタチン及び多価不飽和脂肪酸(PUFAs)(EPA及びDHA)の組成物が記載される一方、米国特許出願公開第2003/0170643号では、魚油をスタチン(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フラバスタチン、及びセリバスタチン)と組み合わせて用いることによってER後分泌前タンパク質分解(PERPP)を刺激することでapoB及び/又はapoB含有リポタンパク質及び/又はアテロームリポタンパク質成分の血漿濃度を低減する治療薬を投与することによって、患者を治療する方法が記載されている。
【0029】
研究では、スタチン及び濃縮オメガ−3脂肪酸類、具体的にはOmacor(登録商標) オメガ−3酸の効能も調査されている。例えば、Hansen et al.は、魚油濃縮物(6g/日Omacor(登録商標)オメガ−3酸)と組み合わせたロバスタチン(40mg/日)の、高コレステロール血症の患者における効能を調査した。1.66mmol/l(約146mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、6g/日Omacor(登録商標)で6週間処理し、続いて更に6週間にわたりロバスタチン40mg/日で処理し、最後に6週間、Omacor(登録商標)及びロバスタチンの混合物で処理した。ロバスタチン単独投与では、HDL−Cレベルの有意な増加と、トリグリセリド及びLDL−Cレベルの有意な低下がもたらされた。併用療法後、トリグリセリド及びLDL−Cレベルは更に有意に低下した(Hansen et al., Arteriosclerosis and Thrombosis 14(2): 223−229 (February 1994))。
【0030】
Nordoy et al.は、高脂血症の患者へのアトルバスタチン及びオメガ−3脂肪酸類の効能を調査した。3.84mmol/l(約337mg/dl)又は4.22 mmol/l(約371mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、アトルバスタチン10mg/日で5週間にわたり処理した。その後更に5週間、アトルバスタチン処理を2g/日のOmacor(登録商標)又はプラセボで補った。アトルバスタチン単独投与は、ベースラインに比べて、HDL−Cレベルを有意に増加させ、トリグリセリド及びLDL−Cレベルを有意に低減した。併用療法は、アトルバスタチン単独に比べ、HDL−Cレベルを更に増加させた。トリグリセリド及びLDL−Cレベルは、アトルバスタチン単独投与に比べ、併用療法で更にわずかに数的に低減した。しかし、この減少は有意でなく、トリグリセリド及びLDL−Cレベルの数的減少は「アトルバスタチン+プラセボ」群によって経験する減少に比べて小さい。この研究では、オメガ−3脂肪酸類をスタチン(例えば、アトルバスタチン)処理に加えることが、脂肪酸が更にHDL−Cを増加させ、最大血圧を低減するため、複合型高脂血症治療の有効な代替策であると結論づけられた(Nordoy et al., Nutr. Metah. Cardiovasc. Dis. (2001) 11:7−16)。
【0031】
Salvi et al.は、家族性高コレステロール血症の患者へのOmacor(登録商標)及びシンバスタチンの効能を調査した。1.355mmol/l(約119mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有し、シンバスタチン20〜40mg/日で既に処理した患者を、Omacor(登録商標)6g/日で4週間にわたり更に処理した。併用療法が、2週間後のトリグリセリド及びLDL−Cレベルを、ベースライン単独投与に比べて有意に低減することが示された(Salvi et al., Curr. Ther. Res. 53: 717−21 (1993))。更に別の研究では、既成のCHD及びMb型高脂血症に罹患し、既にシンバスタチンを服用した被験者の治療におけるオメガ−3脂肪酸類(2日ごとに1回、Omacor(登録商標)オメガ−3酸 2g)の効能が調査されている。この研究では、Omacor(登録商標)オメガ−3酸がシンバスタチンを服用する患者における血清トリグリセリドレベルの低減に有効であると結論づけられている(Bhatnagar et al., Eur. Heart J Supplements (2001) 4 (Suppl. D): D53−D58)。
【0032】
Chan et al.は、絶食状態にある異常脂質血症に罹患した肥満でインスリン抵抗性の男性への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(4 Omacor(登録商標)オメガ−3酸、夜に経口カプセル、4g/日)の併用治療の効能を研究した。1.7〜2.0mmol/l(約150〜170mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、アトルバスタチン及びプラセボ40mg/日、Omacor(登録商標)及びプラセボ4g/日、アトルバスタチン及びOmacorの混合物、又はプラセボ混合物で6週間にわたり処理した。併用療法は、プラセボ群に比べ、トリグリセリド、非−HDL−C及びLDL−Cレベルを有意に低減し、HDL−Cを有意に増加させた(Chan et al., Diabetes, 51:2377−2386 (Aug. 2002))。別の論文では、異常脂質血症及びインスリン抵抗性を有する肥満男性への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(夜にOmacor(登録商標)オメガ−3酸を4g/日)の効用が調査された。処理群には、プラセボ、アトルバスタチン、Omacor(登録商標)オメガ−3酸、又はそれらの混合物を夜に投与した。この論文では、スタチン及び魚油の併用療法が肥満男性における異常脂質血症を正常化する最適方法であり得ると結論づけられた(Chan et al., Eur. J of Clin. Invest. (2002) 32: 429− 436)。別の論文では、異常脂質血症に罹患した肥満人における血漿高感度C反応性タンパク質濃度への、アトルバスタチン(40mg/日)及び魚油(夜にOmacor(登録商標)オメガ−3酸4g/日)の効能が調査された。この論文では、魚油を補給しても血漿hs−CRPに影響を与えないが、魚油をスタチンに加えると、血漿トリグリセリドの低減及びHDL−Cの増加を促進することによって脂質調節効果を更に最適化し得ると結論づけられた(Chan et al., Clinical Chemistry (2002) 48(6): 877−883)。
【0033】
Nordoy et al.は、複合型高脂血症の患者への、オメガ−3脂肪酸類(Omacor(登録商標)オメガ−3酸 4g/日にて3.6g/日)及びシンバスタチン (20mg/日)の効能を調査した。この論文では、脂肪酸による補給が止血危険因子を低減し、食後高脂血症を有意に低減すると結論づけられた(Nordoy et al., Arterioscler. Thromb. Vase. Biol. (2000) 20:259−265)。
【0034】
Nordoy et al.は、高脂血症の患者におけるシンバスタチン及びオメガ−3脂肪酸類処理の効能及び安全性も調査した(Nordoy et al., J. of Internal Medicine, 243:163−170 (1998))。2.76mmol/l(約243mg/dl)又は3.03mmol/l(約266mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、シンバスタチン又はプラセボ20mg/日で5週間処理し、次に全患者を更に5週間かけてシンバスタチン20mg/日で処理した。その後、患者をOmacor(登録商標)又はプラセボ4g/日で更に5週間処理した。オメガ−3脂肪酸類をシンバスタチンと共に投与すると、血清総コレステロールの穏やかな反応、及びトリグリセロールレベルの低減がもたらされた。Omacor(登録商標)の添加によって、ベースライン単独投与に比べ、HDL−Cレベルはわずかに低減し、LDL−Cレベルはわずかに増加した。
【0035】
Durrington et al.は、既成の冠状動脈性心臓病及び持続性高トリグリセリド血症に罹患した患者における、Omacor(登録商標)オメガ−3酸及びシンバスタチンの混合物の有効性、安全性、及び耐容性を試験した。2.3mmol/l超の平均ベースライントリグリセリドレベルを有する患者(平均的患者血清トリグリセリドレベルは4.6mmol/lであった)を、二重盲検試験にてシンバスタチン10〜40mg/日及びOmacor(登録商標)2g/日又はプラセボで24週間にわたり処理し、その後、両群に一般試験にてOmacor(登録商標)を更に24週間投与した。併用療法は、ベースライン単独投与に比べ、12週間以内にトリグリセリドレベルを有意に低減した。特に、シンバスタチン及びOmacor(登録商標)オメガ−3酸を投与した患者における血清トリグリセリドレベルは、20〜30%低減した。更に、これら患者におけるVLDLコレステロールレベルは30〜40%低減した。LDL−Cレベルは、ベースライン単独投与に比べ、12及び24週間で数的(統計的に有意ではない)減少が見られたものの、たった48週間後に有意に低減した(Durrington et al., Heart, 85:544−548 (2001))。
【0036】
米国特許第6096338号、米国特許第6267985号、米国特許第6667064号、米国特許第6720001号、米国特許出願公開第2003/0082215号、米国特許出願公開第2004/0052824号、国際公開第99/29300号及び国際公開第2001/021154号では、フェノフィブレートなどの有効成分と共に消化性油又はトリグリセリドを含有する組成物、担体系及び水中油型エマルジョンが開示される。
【0037】
米国特許第6284268号明細書は、オメガ−3脂肪酸油及び水溶性の低い治療剤を含有する水中油型ミクロエマルジョンを形成できる自己乳化型前濃縮(preconcentrate)医薬組成物に関する。’268特許の製剤は、自己乳化型組成物を得るために大量の界面活性剤などの可溶化剤(一般的に、溶媒系の質量に対して50質量/質量%を超える)を用いている。例えば、処方19では、284mgの魚油(魚油を含め、溶媒系の質量に対して約23質量/質量%)、663mgの界面活性剤系(溶媒系の質量に対して約55質量/質量%)、273mgの親水性溶媒系(溶媒系の質量に対して約22質量/質量%)、及び100mgのフェノフィブレートを含有する自己乳化型前濃縮製品が開示されている。’268特許には、界面活性剤及び/又は親水性溶媒などの大量の可溶化剤を使用しない、主に魚油を基剤とする溶媒系を含むフェノフィブレート製剤は開示されていない。また、被験者への自己乳化型前濃縮フェノフィブレート製品の投与に関しても、’268特許に何ら開示されていない。むしろ、’268特許は開示された自己乳化型組成物の可溶化特性を例証するためにフェノフィブレートを用いている。
【0038】
過去に、特定の魚油とゲムフィブロジル又はクロフィブレートとの併用が、高脂血症及び高リポ蛋白血症の治療に何らかの相乗作用をもたらすことは示されていない。Saify et al., Pakistan J. of Pharm. Sci. (2003) 16(2):1−8;Pennacchiotti et al., Lipids (2001) 26(2):121−127;Wysynski et al., Human and Experimental Toxicology (1993) 12:337−340を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
当分野には、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の混合物製品、特に例えば単位用量であるオメガ−3脂肪酸類及び異常脂質血症薬剤の濃縮量の単独投与を与える混合物製品に対する未だ満足されないニーズが存在する。また、単独投与又は単位用量製品の投与方法に対する未だ満足されないニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、冠状動脈性心臓病、血管疾患、及び関連する障害、イベント、及び/又は症状の有効な治療効果を与えることができる単位用量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の投与を提供することで、当分野におけるこれらのニーズ等を満足する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症、及び関連症状の治療、並びに心血管性及び血管性イベントの予防若しくは低減において、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の混合物を使用する方法を提供する。
【0042】
好ましい実施形態では、本発明は、被験者における血中脂質の治療方法であって、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸を前記被験者に投与することを含み、前記被験者は200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有し、前記被験者への投与後、異常脂質血症薬剤単独での処理に比べ、LDL−Cが増加することなく、前記被験者の前記トリグリセリドレベル及び非−HDL−Cレベルが低減する方法を包含する。
【0043】
本発明に係るいくつかの実施形態は、被験者における血中脂質の治療方法であって、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸を前記被験者に投与することを含み、異常脂質血症薬剤単独での処理に比べ、前記被験者におけるHDL−Cレベルが増加し、前記被験者におけるLDL−Cレベルが低減する方法を包含する。
【0044】
別の実施形態では、前記異常脂質血症薬剤及び前記オメガ−3脂肪酸を、異常脂質血症薬剤及び前記オメガ−3脂肪酸類を含有する混合物製品のような単一医薬組成物として、例えば単位用量で投与する。
【0045】
好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、米国特許第5502077号、第5656667号、及び第5698594号に記載されるように、Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類を含有する。他の好ましい実施形態では、医薬組成物は、その組成物の総脂肪酸含有量に対して40質量%以上の濃度で存在するオメガ−3脂肪酸類を含む。
【0046】
さらに別の好ましい実施形態では、オメガ−3脂肪酸類は、その組成物の総脂肪酸含有量に対して50質量%以上のEPA及びDHAを含み、EPA及びDHAは、EPA:DHAの質量比が99:1〜1:99、好ましくは1:2〜2:1である。
【0047】
本発明の変形例では、前記異常脂質血症薬剤はスタチンであり、特に限定されないが、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、及びフラバスタチンが挙げられる。好ましい実施形態では、オメガ−3脂肪酸類と組み合わせて用いられる前記スタチンはシンバスタチンである。
【0048】
本発明の一態様では、前記混合物製品は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症、及び関連症状の治療、並びに心血管性及び血管性イベントの予防若しくは低減において用いられる。本発明の更に別の実施形態は、高トリグリセリド血症の治療、トリグリセリド及び高血圧の低減の方法であって、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の併用投与を含む方法である。
【0049】
例えば、本発明の方法及び組成物は、治療すべき被験者のLDL−Cレベルを低減するために使用されてよい。別の実施形態では、前記被験者のトリグリセリドレベルを低減してもよい。例えば、前記被験者のトリグリセリドレベルは、ベースラインに比べて10%以上、好ましくは約10%〜約65%、約15%〜約55%、又は約20%〜約50%低減し得る。別の実施形態では、前記被験者の非−HDL−Cレベルを低減してもよい。例えば、前記被験者の非−HDL−Cレベルは、ベースラインに比べて10%以上、好ましくは約15%〜約65%、約25%〜約60%、又は約30%〜約55%低減し得る。
【0050】
本発明の更に別の好ましい実施形態では、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸の混合物の第1投与前における被験者の血清中トリグリセリドレベルは約200〜約499mg/dlである。
【0051】
本発明は、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸の、本明細書で示唆するあらゆる治療方法で有用な医薬品の製造のための使用も包含する。
【0052】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の試験及び本発明の実施による教示に基づいて、当業者であれば自明であろう。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症、及び関連症状の治療、並びに心血管性及び血管性イベントの予防若しくは低減のための異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類、好ましくは濃縮オメガ−3脂肪酸類の使用、並びに1種以上の異常脂質血症薬剤及び1種以上のオメガ−3脂肪酸類を含有する混合物製品又は単位用量に関する。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明は、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症、及び関連症状の治療、並びに心血管性及び血管性イベントの予防若しくは低減のための新規混合物製品を提供し、前記混合物製品を被験者に投与することを含む。好ましい実施形態では、前記投与はオメガ−3脂肪酸類(好ましくはOmacor(登録商標)オメガ−3酸)及び異常脂質血症薬剤を含み、前記オメガ−3脂肪酸類は、例えば、単一固定用量の医薬組成物又は同時に投与される別々の組成物として、前記異常脂質血症薬剤と同時に投与する。
【0055】
他の実施形態では、与薬はオメガ−3脂肪酸類及び異常脂質血症薬剤を含み、オメガ−3脂肪酸類は、異常脂質血症薬剤の投与と別に投与するが、その療法は同時に実施する。例えば、オメガ−3脂肪酸類を毎日摂取しつつ、前記異常脂質血症薬剤は週1回投与してもよい。本開示の利点を享受する当業者であれば、オメガ−3脂肪酸類と、異常脂質血症薬剤の正確な投薬量並びに投与のスケジュールは、例えば、投与経路及び症状の重篤さなど、数多くの因子によって変わるであろうことを理解するであろう。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明は、被験者における血中脂質の治療方法であって、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸を前記被験者に投与することを含み、前記被験者は200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有し、前記被験者への投与後、前記異常脂質血症薬剤単独処理に比べ、LDL−Cが増加することなく、前記被験者のトリグリセリドレベル及び非−HDL−Cレベルが低減する方法を包含する。
【0057】
別の実施形態では、本発明は、被験者における血中脂質の治療方法であって、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸を被験者群に投与することを含み、前記被験者群は200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有し、前記被験者群への投与後、LDL−Cが異常脂質血症薬剤単独処理した対照群に比べ統計的に有意な量増加することなく、前記被験者群のトリグリセリドレベル及び非−HDL−Cレベルが前記異常脂質血症薬剤単独処理した対照群に比べ統計的に有意な量低減する方法を包含する。
【0058】
本発明に係る更に別の実施形態は、被験者における血中脂質の治療方法であって、有効量の異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸を前記被験者に投与することを含み、異常脂質血症薬剤単独処理に比べ、前記被験者におけるHDL−Cレベルが増加し、前記被験者におけるLDL−Cレベルが低減する方法を包含する。好ましくは、前記HDL−Cレベルは、5%以上、好ましくは約5%〜約30%、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上で増加する。
【0059】
「異常脂質血症薬剤単独処理に比べ」という句は、同一被験者での治療、又は異なる治療群に属する比較可能な被験者(つまり、特定の血中タンパク質、コレステロール、又はトリグリセリドレベルに関して同一クラスの被験者)の治療を指し得る。
【0060】
本発明は、一般的に安全と認識されている量で既知又は今後周知になる異常脂質血症薬剤を組み込んでよい。好ましい異常脂質血症薬剤としては、スタチン等のHMG CoA阻害剤、エゼチミブ、ナイアシン、及びニコチンアミド等の誘導体等のコレステロール吸収阻害剤、トルセトラピブ等のCETP阻害剤、フェノフィブレート、ベザフィブレート、クロフィブレート、及びゲムフィブロジル等のフィブレート、コレスチラミン、コレスチポール、及びコレセベラム等の胆汁酸抑制剤、WO第00/38725号パンフレット、及びScience、282、23 October 1998、pp. 751−754(援用によって本明細書の一部をなす)に開示されるようなMTP阻害剤、LXRアゴニスト及び/又はアンタゴニスト、並びにチアゾリジンジオン類、非−チアゾリジンジオン類、及びメタグリダセン等のPPARアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、PPAR−α、PPAR−γ、PPAR−δ、PPAR−α/γ、PPAR−γ/δ、PPAR−α/δ、及びPPAR−α/γ/δアゴニスト、アンタゴニスト並びに半アゴニスト及び/又はアンタゴニスト)が挙げられる。現在、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、及びシンバスタチンの6種のスタチンが利用できる。7番目のスタチンであるセリバスタチンは、現在米国市場から消去された。しかし、当業者であれば、もしセリバスタチンが最終的に安全且つ有効であると確定した場合、セリバスタチンを本発明のいくつかの実施形態と組み合わせて用いてもよいことに想到できる。
【0061】
一般に、異常脂質血症薬剤の効果は用量依存性であり、すなわち、用量が多いほど、治療効果が高くなる。しかし、各異常脂質血症薬剤の効果は異なっているため、異常脂質血症薬剤の治療効果のレベルは必ずしも、他の異常脂質血症薬剤の治療効果のレベルと直接的に相関するとは限らない。しかし、当業者であれば経験と症状の重篤さに基づいて、特定の被験者に与えるべき正確な投薬量を理解するはずである。
【0062】
本明細書で用いる場合、「オメガ−3脂肪酸類」という用語は、天然若しくは合成オメガ−3脂肪酸類、又はその薬学的に許容できるエステル、誘導体、コンジュゲート(例えば、Zaloga et al.、米国特許出願公開第2004/0254357号、及びHorrobin et al.、米国特許第6,245,811号を参照されたい(各々、引用することにより本願に援用する))、前駆体若しくは塩及びそれらの混合物を包含する。オメガ−3脂肪酸油の例としては、特に限定されないが、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びα−リノレン酸等のオメガ−3多価不飽和、長鎖脂肪酸、モノ、ジ−、及びトリグリセリド等のオメガ−3脂肪酸類のグリセロールエステル、並びに脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸エチルエステル等のオメガ−3脂肪酸類の第1級、第2級、又は第3級アルコールエステルが挙げられる。好ましいオメガ−3脂肪酸油は、EPA又はDHAなどの長鎖脂肪酸類、それらのトリグリセリド、それらのエチルエステル、及びそれらの混合物である。オメガ−3脂肪酸類又はそれらのエステル、誘導体、コンジュゲート、前駆体、塩及びそれらの混合物は、それらの純品にて、又は魚油、好ましくは精製魚油濃縮物などの油の成分としての何れかにて使用できる。本発明での使用に適したオメガ−3脂肪酸類の市販品の例としては、lncrオメガF2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525、及びE5015(Croda International PLC、Yorkshire、England)、PAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EE、及びEPAX7010EE(Pronova Biocare a.s.、1327 Lysaker、Norway)が挙げられる。
【0063】
好適な組成物は、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号、及び第5,698,694号に列挙されるオメガ−3脂肪酸類を含み、これら文献は援用によって本明細書の一部をなす。
【0064】
別の好適な組成物は、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更により好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上、更には90質量%以上の濃度で存在するオメガ−3脂肪酸類を含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸類は50質量%以上のEPA及びDHAを含有し、より好ましくは60質量%以上、更により好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80%以上、例えば約84質量%である。好ましくは、オメガ−3脂肪酸類は約5〜約100質量%、より好ましくは約25〜約75質量%、更により好ましくは約40〜約55質量%、最も好ましくは約46質量%のEPAを含有する。好ましくは、オメガ−3脂肪酸類は約5〜約100質量%、より好ましくは約25〜約75質量%、更により好ましくは約30〜約60質量%、最も好ましくは約38質量%のDHAを含有する。以上示した百分率はすべて、別途に示さない限り組成物中の総脂肪酸含有量に対する質量に基づく。
【0065】
EPA:DHA比は、99:1〜1:99であってもよく、好ましくは4:1〜1:4、より好ましくは3:1〜1:3、最も好ましくは2:1〜1:2である。オメガ−3脂肪酸類は、純粋なEPA又は純粋なDHAを含んでもよい。
【0066】
オメガ−3脂肪酸組成物は、αトコフェロールなどの化学的酸化防止剤、大豆油及び部分的に水素添加した植物油などの油類、並びに精留ヤシ油、レシチン及びその混合物などの滑沢剤を適宜含む。
【0067】
オメガ−3脂肪酸類の最も好ましい形態は、Omacor(登録商標)オメガ−3酸(K85EE, Pronova Biocare A.S., Lysaker, Norway)であり、好ましくは以下の特性を有する(用量形態当たり)。
【0068】
【表1】

【0069】
異常脂質血症薬剤と濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用製品は、当分野で周知の、カプセル剤、錠剤、飲料に分散できる散剤、若しくは別の固体経口服用形態、液剤、軟質ゲルカプセル剤、又はカプセル剤中の経口液剤などのその他好都合な服用形態にて投与されるとよい。いくつかの実施形態では、カプセル剤は硬質ゼラチンを含む。併用製品は、注射又は注入に好適な液剤に収容されてもよい。
【0070】
本発明の有効成分は、1種以上の非活性医薬成分(本明細書中、概して「賦形剤」としても知られる)と組み合わせて投与してもよい。非活性成分は、例えば、有効成分を安全、至便、及びそうでなくとも使用に容認できる、適用可能且つ有効な製剤へと可溶化、懸濁、濃化、希釈、懸濁、安定化、保存、保護、着色、着香、及び成形するのに役立つ。非活性成分としては、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、ラクトース一水和物、レシチン、微結晶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、二酸化チタン及びキサンタムゴムが挙げられる。
【0071】
賦形剤としては、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセロール及び長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシ化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグリセライド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプラート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートといった界面活性剤、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールといった助溶剤、及びココナツ、オリーブまたは紅花油といった油が挙げられる。界面活性剤、共溶媒、油類又はそれらの組み合わせの使用は、製薬技術において一般的に知られており、当業者が理解するであろうように、何れの好適な界面活性剤も、本発明及びその実施形態に関連して使用してよい。
【0072】
異常脂質血症薬剤と濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用製品では、オメガ−3脂肪酸油中の異常脂質血症薬剤の溶解性が役立つ。よって、併用製品は、界面活性剤などの可溶化剤、共溶媒、油類又はそれらの組み合わせを多量に必要としない。好ましくは、有効成分は、多量な可溶化剤(オメガ−3脂肪酸油以外)を用いずに投与され、実質的に溶解している(すなわち、10%未満、好ましくは5%未満しか溶媒系中に溶けずに残っていない)。好ましい実施形態では、仮に存在するとしても、オメガ−3脂肪酸油以外の可溶化剤は、服用形態(単数種又は複数種)中の溶媒系の総質量に対して50質量/質量%未満、好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、より一層好ましくは20%未満、さらにより好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、溶媒系は、オメガ−3脂肪酸油以外の可溶化剤を全く含有しない。本明細書で用いる場合、「溶媒系」にはオメガ−3脂肪酸油が含まれる。他の好ましい実施形態では、他の可溶化剤に対するオメガ−3脂肪酸油の質量比は、0.5対1以上、より好ましくは1対1以上、より一層好ましくは5対1以上、最も好ましくは10対1以上である。
【0073】
他の好ましい実施形態では、仮に存在するとしても、溶媒系で使用する親水性溶媒の量は、服用形態(単数種又は複数種)中の溶媒系の総質量に対して20質量/質量%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。特定の実施形態では、溶媒系に用いられる親水性溶媒の量は、1〜10質量/質量%の間である。
【0074】
好ましい実施形態では、オメガ−3脂肪酸油は、服用形態(単数種又は複数種)中の溶媒系の総質量に対して30質量/質量%以上、より好ましくは40%以上、より一層好ましくは50%以上、最も好ましくは60%以上の量で存在する。特定の実施形態では、その量は70%以上、80%以上又は90%以上とすることができる。
【0075】
服用形態は、1カ月以上、好ましくは6カ月以上、より好ましくは1年以上、最も好ましくは2年間以上、室温(約23℃〜27℃)で安定である。出願人が意図する「安定」という用語の意味は、可溶化異常脂質血症薬剤がかなりの程度、例えば10%未満、好ましくは5%未満の量、溶液から出てこないことである。
【0076】
濃縮オメガ−3脂肪酸類は、約0.1g〜約10g、より好ましくは約0.5g〜約8g、最も好ましくは約0.75g〜約4gの1日量で投与できる。
【0077】
異常脂質血症薬剤は、単回投与する製品として従来の最高強度用量より多く、あるいはそれ以下の量で投与してもよい。例えば、異常脂質血症薬剤は、単回投与する製品として従来の最高強度用量の10〜100%、好ましくは約25〜100%、最も好ましくは約50〜80%の量を投与してよい。本発明の一実施形態では、スタチンは、オメガ−3脂肪酸1g当たり約0.5mg〜80mg、より好ましくは約1mg〜約40mg、最も好ましくは約5mg〜約20mgで存在する。毎日投与は、約2mg〜約320mg、好ましくは約4mg〜約160mgであってよい。
【0078】
本発明のいくつかの変形例では、異常脂質血症薬剤及びオメガ−3脂肪酸類の混合物が単独投与又は単位用量中に処方される。好ましい実施形態では、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、及びシンバスタチンからなる群から選択されたスタチンが使用される。
【0079】
Bristol−Myers Squibb, Princeton, NJによって製造され、Pravachol(登録商標)として市場で知られるプラバスタチンは親水性である。プラバスタチンは、食べ物なし、つまり空腹時で最も吸収される。プラバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類と併用投与した場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類の一用量当たり、好ましくは2.5〜80mg、好ましくは5〜60mg、より好ましくは10〜40mgである。一変形例では、プラバスタチンを用いた混合物製品は就寝時近傍(例えば午後10時)に摂取される。
【0080】
Merck, Whitehouse Station, NJによってMevacor(登録商標)の名の下で販売されているロバスタチンは、疎水性である。プラバスタチンとは異なり、ロバスタチンは食事とともに摂取されるべきであるため、いくつかの実施形態では濃縮オメガ−3脂肪酸類及びロバスタチンの混合物製品が食べ物とともに摂取されるべきである。ロバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用投与される場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類一用量当たり、好ましくは2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0081】
Merck, Whitehouse Station, NJ によってZocor(登録商標)の名の下で販売されているシンバスタチンは、疎水性である。シンバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用投与される場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類一用量当たり、1〜80mg/日、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0082】
Pfizer, New York, NY, によってLipitor(登録商標)の名の下で販売されているアトルバスタチンは、疎水性であり、合成スタチンとして知られている。アトルバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用投与される場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類一用量当たり、2.5〜100mg、好ましくは5〜80mg、より好ましくは10〜40mgである。
【0083】
Novartis, New York, NY によってLescol(登録商標)の名の下で販売されているフラバスタチンは、親水性であり、合成スタチンとして知られている。フラバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用投与される場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類一用量当たり、5〜160mg、好ましくは10〜120mg、より好ましくは20〜80mgである。
【0084】
ロスバスタチンは、Astra Zeneca, Wilmington, DE によってCrestor(登録商標)の名の下で販売されている。ロスバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸類の併用投与される場合、濃縮オメガ−3脂肪酸類一用量当たり、1〜80mg、好ましくは2〜60mg、より好ましくは5〜40mgである。
【0085】
異常脂質血症薬剤と濃縮オメガ−3脂肪酸類の毎日の投与は、1〜10回の投薬量で一緒に投与でき、好ましい投与回数は1日に1〜4回、最も好ましい投与回数は1日に1〜2回である。投与は、好ましくは経口投与であるが、異常脂質血症薬剤と濃縮オメガ−3脂肪酸類の単位投薬量を提供する他の投与形態を用いてもよい。
【0086】
一実施形態では、本発明の医薬組成物によって、従来の最高強度用量で投与した一方又は双方で、従来技術の製剤と比較して有効成分の効力を向上させることが可能になる。別の実施形態では、本発明の医薬組成物によって、従来技術の製剤に比較して、異常脂質血症薬剤及び/又はオメガ−3脂肪酸類の投薬量を低減し、各有効成分の効力はなおも維持するか、又はさらに改善することが可能になる。
【0087】
異常脂質血症薬剤と濃縮オメガ−3脂肪酸類の本発明の組み合わせで、2種の薬物のみの場合に期待される何らかの併用又は追加的効果よりも強い効果が得られるようになるかもしれない。さらに、その2種の薬物の併用又は追加的効果は、被験者の血中の脂質パラメータの初期レベルに依存するかもしれない。例えば、被験者のトリグリセリドレベルは通常、150mg/dL未満であれば正常とされ、約150〜199mg/dL内であれば高値側のボーダーライン、約200〜499mg/dL内であれば高値、500mg/dL以上であれば非常に高値とされる。いかなる所定の脂質パラメータに対しても、48週未満、好ましくは24週以内、より好ましくは12週以内、最も好ましくは6週、4週又は2週以内で、「非常に高値」のレベルを「高値」又は「高値側のボーダーライン」に低減するのに本発明を使用してよい。48週未満、好ましくは24週以内、より好ましくは12週以内、最も好ましくは6週、4週又は2週以内で、「高値」のレベルを「高値側のボーダーライン」又は「正常」に低減するのに本発明を使用してもよい。
【0088】
よって、前記2種の有効成分の併用治療は、本発明の新規併用製品と別々に、又はそれによって、当該2種の有効成分の標準投薬量での効力の増大、若しくは投薬量を低減した場合の効力の維持を引き起こす。薬剤又は他の有効成分の生物学的利用能又は有効性を改良することで、毎日の投与量を適切に低減できることは、実際に広く認められている。低投薬量及び賦形剤(例えば、界面活性剤)の低減の結果、何らかの望ましくない副作用も低減されるかもしれない。
【0089】
異常脂質血症薬剤及び濃縮オメガ−3脂肪酸類の混合物の単独投与を利用することで、異常脂質血症薬剤及び濃縮オメガ−3脂肪酸類の効能が向上することによって従来技術の制限を克服し、オメガ−3脂肪酸類及び異常脂質血症薬剤の複数回投与よりも、より有効且つより少量の賦形剤での治療を行うことができる。
【0090】
異常脂質血症薬剤及び濃縮オメガ−3脂肪酸類の混合物の投与は、医薬及び薬学の従来技術に対して大きく有利且つ有益な結果をもたらす。併用治療及び混合物製品によって効能が増加したことで、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症、及び関連症状の薬学治療、心血管性及び血管性イベントの予防若しく低減を、新規且つより有効なものとすることができる。
【実施例】
【0091】
様々なベースラインTGレベル)の患者の脂質パラメータ(つまり、トリグリセリドレベル(TG)、総コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、及び超低密度リポタンパク質(VLDL))へのOmacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類4g/日の効能を評価した。Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類は経口投与用の液体充填ゲルカプセルとして販売されていた。Omacor(登録商標)のカプセル1g当たりにはオメガ−3脂肪酸類のエチルエステル900mg以上が収容され、主にエイコサペンタエン酸(EPA)(約465mg)及びドコサヘキサエン酸(DHA)(約375mg)が収容されている。表1に示されるように、Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類の有効性は、治療患者のベースラインTGレベルに依存する。
【0092】
表1 Omacor(登録商標)の単独投与後の患者における脂質パラメータ変化率(%)
【表2】

【0093】
Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類をシンバスタチンと共投与した効果を、20名の患者について評価した。患者をまずシンバスタチン40mgで処理し、200〜499mg/dLのベースライントリグリセリドレベルを確立した。ベースライントリグリセリドレベルを確立した後、患者をOmacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類4g/日及びシンバスタチン40mgの混合物で8週間にわたり処理した。
【0094】
表2及び3に示されるように、Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類及びシンバスタチンの混合物の投与によって、治療患者の血清中のトリグリセリド、総コレステロール、非−LDLコレステロール、及びLDLコレステロールが、ベースライン(シンバスタチン単独処理)に比べて低減した。更に、Omacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸類及びシンバスタチンの混合物の投与によって、治療患者におけるHDLコレステロールレベルが、プラセボに比べて増加した。驚くべきことに、Omacor(登録商標)単独処理に比べ、LDLコレステロールレベルが増加することなく、非−LDLコレステロールレベルが低減した。
【0095】
表2 TGレベル200〜499mg/dLの患者の4週間後における脂質パラメータのメジアンベースライン及びベースラインからの変化率(%)
【表3】

【0096】
表3 TGレベル200〜499mg/dLの患者の8週間後における脂質パラメータのメジアンベースライン及びベースラインからの変化率(%)
【表4】

【0097】
以下の製剤は、本発明に従って調製し得る。
【0098】
製剤1:
【表5】

【0099】
製剤2:
【表6】

【0100】
製剤3:
【表7】

【0101】
製剤4:
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
HMG CoA阻害剤から選ばれる異常脂質血症薬剤と、オメガ−3脂肪酸を含有する溶媒系とを含有する固定用量形態を含む脂質治療用組成物であって、
前記溶媒系は、オメガ−3脂肪酸の他に、溶媒系の全質量に対して50w/w%未満の可溶化剤を含む組成物。
【請求項2】
前記HMG CoA阻害剤は、アトルバスタチン、ロスバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、及びシンバスタチンからなる群より選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記HMG CoA阻害剤はシンバスタチンを含有する請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記HMG CoA阻害剤はロスバスタチンを含有する請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記溶媒系は、オメガ−3脂肪酸の他に、溶媒系の全質量に対して25w/w%未満の可溶化剤を含む請求項1から4いずれか記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒系は、オメガ−3脂肪酸の他に、溶媒系の全質量に対して10w/w%未満の可溶化剤を含む請求項1から5いずれか記載の組成物。
【請求項7】
前記溶媒系は、オメガ−3脂肪酸の他に可溶化剤を含まない請求項1から6いずれか記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒系は、溶媒系の全質量に対して10w/w%未満の親水性溶媒を含む請求項1から7いずれか記載の組成物。
【請求項9】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して40質量%以上の濃度で存在する請求項1から8いずれか記載の組成物。
【請求項10】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して80質量%以上の濃度で存在する請求項1から8いずれか記載の組成物。
【請求項11】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して50質量%以上のEPA及びDHAを含有する請求項1から10いずれか記載の組成物。
【請求項12】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して80質量%以上のEPA及びDHAを含有する請求項1から10いずれか記載の組成物。
【請求項13】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して約5質量%以上約95質量%のEPAを含有する請求項1から12いずれか記載の組成物。
【請求項14】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して約40質量%以上約55質量%のEPAを含有する請求項1から12いずれか記載の組成物。
【請求項15】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して約5質量%以上約95質量%のDHAを含有する請求項1から14いずれか記載の組成物。
【請求項16】
前記オメガ−3脂肪酸類は、前記組成物の全脂肪酸含量に対して約30質量%以上約60質量%のDHAを含有する請求項1から14いずれか記載の組成物。
【請求項17】
前記オメガ−3脂肪酸類は、オメガ−3ポリ不飽和、長鎖脂肪酸、オメガ−3脂肪酸類のグリセロールエステル、オメガ−3脂肪酸類と第1級、第2級又は第3級アルコールとのエステル、又はその混合物を含有する請求項1から16いずれか記載の組成物。
【請求項18】
前記オメガ−3脂肪酸類は、EPA及びDHAを含有し、EPA:DHAの比が4:1〜1:4である請求項1から17いずれか記載の組成物。
【請求項19】
前記オメガ−3脂肪酸類は、EPA及びDHAを含有し、EPA:DHAの比が2:1〜1:2である請求項1から17いずれか記載の組成物。
【請求項20】
前記固定用量形態は、カプセルの形態である請求項1から19いずれか記載の組成物。

【公開番号】特開2012−176987(P2012−176987A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136691(P2012−136691)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2007−544405(P2007−544405)の分割
【原出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(507185428)レリアント ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】