脱穀扱胴
【課題】回転支軸と一体回転自在な支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆を備えた脱穀扱胴において、特別な補強部材を付加せずとも脱穀反力に耐えやすく、かつ製作容易な状態で得る。
【解決手段】回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視での形状が回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように成形した第1補強リブ42と、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視での形状が回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように成形した第2補強リブ43とを、第1補強リブ42と第2補強リブ43が回転支軸31の半径方向に連なって並ぶ状態で支持プレート39に一体成形して設けてある。
【解決手段】回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視での形状が回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように成形した第1補強リブ42と、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視での形状が回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように成形した第2補強リブ43とを、第1補強リブ42と第2補強リブ43が回転支軸31の半径方向に連なって並ぶ状態で支持プレート39に一体成形して設けてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した脱穀扱胴として、従来、たとえば特許文献1に記載されたものがあった。特許文献1に記載されたものでは、掻き込み胴部としての掻込部、支持プレートとして第1プレート、第2プレート、第3プレート、扱歯支持杆としての扱胴フレームを備えている。第3プレートには、内周側部位と外周側部位とが扱胴前後方向に位置ずれするように、内周側部位と外周側部位の間に設けた曲げ成形部が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263913号公報(図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した扱歯支持杆を備える脱穀扱胴にあっては、扱歯支持杆が湾曲する歪みを発生させる脱穀反力を受けることにより、そして扱歯支持杆どうしの間が開放した構造になるなどにより、強い脱穀反力を受けると、扱歯支持杆の歪みが発生しやすくなっていた。扱歯支持杆の歪みが大きくなると、回転支軸に影響して回転支軸にも同様の湾曲歪みが発生して、回転支軸とその支持点との間にこじれが発生する。上記した従来の後支持プレートの如き支持プレートを採用することにより、扱歯支持杆を歪みにくいよう強固に支持させるには、図18に示す如く支持プレート39に補強部材80,81を付加する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、特別な補強部材を付加せずとも脱穀反力に耐えやすく、かつ製作容易な脱穀扱胴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴において、
前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第1補強リブと、前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第2補強リブとを、前記第1補強リブと前記第2補強リブが前記回転支軸の半径方向に連なって並ぶ状態で前記支持プレートに一体成形して設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、支持プレートを曲げ成形すれば、支持プレートに第1補強リブ及び第2補強リブを設け、支持プレートに扱歯支持杆を脱穀反力に抗して強固に支持する支持強度を備えさせることができ、扱歯支持杆が比較的強い脱穀反力を受けても、扱歯支持杆や回転支軸に歪みが発生しにくい。
支持プレートは回転支軸の軸芯まわりに回転しながら扱歯支持杆からの応力を受けることから、回転支軸に対して受網側に位置する扱歯支持杆から支持プレートが受ける応力の方向と、回転支軸に対して受網側とは反対側に位置する受歯支持杆から支持プレートが受ける応力の方向とが異なることがある。第1補強リブが回転支軸前方向きに膨出し、第2補強リブが回転支軸後方向きに膨出していることにより、支持プレートは、扱歯支持杆から受ける応力の方向の変化にかかわらず、扱歯支持杆を変形しにくいように強固に支持する。
回転支軸の半径方向に沿う補強リブを支持プレートにこれの曲げ成形によって設ける場合、補強リブの成形に起因する歪みの発生により、支持プレートの外周形状を円形などの所定形状に確保しにくい。本第1発明の構成によると、第1及び第2補強リブは、回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が回転支軸の軸芯を中心とした円形であるから、第1及び第2補強リブを設けるための支持プレートの曲げ成形をあまり高精度で行なわなくとも、支持プレートの外周形状を所定形状に確保できる。
また、第1及び第2補強リブは、回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きあるいは回転支軸後方向きの膨出した形状で、かつ回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が回転支軸の軸芯を中心とした円形のものだから、扱歯支持杆が極めて強い脱穀反力を受けた場合、支持プレートが第1及び第2補強リブの部位で弾性変形して回転支軸への荷重の伝達を緩和するようにできる。
【0008】
従って、比較的強い脱穀反力を受ける場合でも、扱歯支持杆の支持プレートによる支持が強固に行なわれ、扱歯支持杆や回転支軸などの歪みや脱穀扱胴の回転不良が発生しにくくて脱穀処理を精度よく行わせることができる。そして、第1及び第2補強リブを支持プレートに一体成形するだけで済ませて特別な補強部材を不要にして、かつ第1及び第2補強リブを成形する支持プレートの曲げ成形を比較的容易に行なって安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明は、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを、前記支持プレートの内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心に対して支持プレート内周側に偏倚する配置状態で成形してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、支持プレートが第1及び第2補強リブの部位で弾性変形して回転支軸への荷重の伝達を緩和するのに、回転支軸により近い部位で弾性変形して荷重伝達の緩和を効果的に行なうようにできる。
【0011】
従って、強い脱穀反力を受ける場合でも、回転支軸の歪みが発生しにくくてスムーズに駆動される脱穀扱胴を得ることができる。
【0012】
本第3発明は、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを形成した前記支持プレートを、前記回転支軸の後端部に設け、
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート外周側に位置する前記支持プレートの外周側部位が、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート内周側に位置する前記支持プレートの内周側部位より回転支軸後方側に位置するように、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを成形してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、回転支軸を回転自在に支持するように扱室の後壁に設ける支持ボスを、後壁から支持プレートの内周側部位の極力近くの箇所まで至るように後壁から極力長く突出するものにしても、支持プレートの外周側部位を後壁に極力近付けて位置させることができる。
【0014】
従って、回転支軸を極力長い支持ボスによって有利に支持させながら、例えば支持プレートと後壁の間に塵埃が入り込むことを防止する巻き込み防止手段を支持プレートの外周部と後壁にわたって設ける場合、扱胴前後方向での長さが比較的短いコンパクトなものに済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】脱穀扱胴を示す側面図である。
【図5】図3のV−V断面矢視図である。
【図6】図3のVI−VI断面矢視図である。
【図7】後支持プレートを示す縦断側面図である。
【図8】横スクリューコンベヤを示す縦断正面図である。
【図9】走行装置を示す縦断正面図である。
【図10】別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図11】比較構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図12】さらに別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図13】さらに別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図14】(a),(b),(c)は、機体フレームを構成する第1フレーム材と第2フレーム材の連結構造を示す説明図である。
【図15】別の実施構造を備えたコンバインの全体を示す側面図である。
【図16】別の実施構造を備えたコンバインの分草具カバーが装着された状態を示す正面図である。
【図17】分草具カバーを示す斜視図である。
【図18】比較構造を示す支持プレートの縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る脱穀扱胴をコンバインの脱穀装置に装備した場合について説明する。
図1は、コンバインの全体を示す側面図である。図2は、コンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ搭乗型の運転部2が装備された自走機体と、自走機体の機体フレーム3の後部側に機体横方向に並べて設けられた脱穀装置4と穀粒タンク5と、脱穀装置4の前部から走行機体前方側に上下揺動自在に延出された刈取り部6とを備えて構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なうものである。
すなわち、刈取り部6は、脱穀装置4の前部に上下揺動自在に連結されたフィーダ10を備え、このフィーダ10が昇降シリンダ11によって上下に揺動操作されることにより、刈取り部6の前端部に位置する左右一対の分草体12,12が地面近くに下降した下降作業状態と、左右一対の分草体12,12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部6を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部6は、左右一対の分草体12,12によってこれらの間に導入した刈取対象の植立穀稈の穂先側を回転リール13によって横送りオーガ14の上方に掻き込み、掻き込み処理中の植立穀稈をバリカン形の刈取装置15によって刈取り処理し、刈取り穀稈を横送りオーガ14によって刈取りフレーム16の床板に沿わせてフィーダ10の前方に横送り搬送し、フィーダ10の前方に到達した刈取り穀稈を、横送りオーガ14に装備された掻き込みアーム17によってフィーダ10の搬送始端部に送り込む。フィーダ10は、搬送始端部に送り込まれた刈取り穀稈を、株元から穂先までの全体にわたり、搬送筒の内部に位置する無端回動コンベヤ10aによって搬送筒の底板に沿わせて後方に搬送して脱穀装置4に送り込む。脱穀装置4は、送り込まれた刈取り穀稈を脱穀処理し、塵埃と選別処理した脱穀粒を脱穀装置4と穀粒タンク5の間に位置する揚穀装置7に供給する。穀粒タンク5は、揚穀装置7によって脱穀粒が送り込まれ、送り込まれた脱穀粒を貯留していく。穀粒タンク5に貯留された脱穀粒は、穀粒タンク5の後側に位置する縦スクリューコンベヤ8、及び縦スクリューコンベヤ8の上端部から延出する横スクリューコンベヤ9によって搬出されるようになっている。
【0018】
脱穀装置4について説明する。
図3は、脱穀装置4を示す縦断側面図である。この図に示すように、脱穀装置4は、脱穀機体20の上部内に形成された扱室21を有した脱穀部4Aと、扱室21の下方に位置する揺動選別装置22を有した選別部4Bとを備えて構成してある。
【0019】
脱穀部4Aは、扱室21に脱穀機体前後向きの軸芯Pまわりに回転駆動自在に設けられた脱穀扱胴23を備え、フィーダ10によって脱穀機体20の前端部に位置する投入口24に送り込まれた刈取り穀稈を、脱穀扱胴23の前端部に位置する掻き込み胴部23Aによって脱穀扱胴23の掻き込み胴部23Aより後側に位置する脱穀処理部23Bに掻き込み、脱穀処理部23Bに掻き込んだ刈取り穀稈を脱穀処理部23Bによって扱室21の後方側に搬送しながら、脱穀処理部23Bと受網25とによって脱穀処理し、脱穀粒を受網25から落下させ、脱穀排ワラを扱室21の後部に位置する送塵口26から扱室21の後方下方に排出する。
【0020】
選別部4Bは、受網25から落下した脱穀粒及び脱穀粒と共に落下したワラ屑などを、揺動選別装置22によって受け止め、揺動選別装置22による揺動選別と、唐箕27によって脱穀機体後方向きに供給される選別風による風選別とによって穀粒と塵埃とに選別処理し、一番処理物を一番スクリューコンベヤ28に落下させ、二番処理物を二番スクリューコンベヤ29に落下させ、塵埃を送塵口26からの脱穀排ワラ及び選別風と共に脱穀機体20の後部に位置する排出口20aから脱穀機体20の後方側に排出する。一番スクリューコンベヤ28は、一番処理物を脱穀機体20の横外側に搬送して揚穀装置7に供給する。二番スクリューコンベヤ29は、二番処理物を脱穀機体20の横外側に搬送して還元搬送装置(図示せず)に供給する。
【0021】
脱穀扱胴23について説明する。
図3,4に示すように、脱穀扱胴23は、扱室21を形成する脱穀機体20の前壁20bの外側に取り付けられた扱胴駆動ケース30と扱室21を形成する脱穀機体20の後壁20cとに軸芯Pまわりに回転自在に支持される回転支軸31と、回転支軸31の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部23Aと、掻き込み胴部23Aの脱穀扱胴後方側に脱穀扱胴周方向に並んで位置する複数本の扱歯支持杆32を有した脱穀作用部23Bとを備えて構成してある。
【0022】
回転支軸31は、回転支軸31の本体を構成する円形の鋼管材と、回転支軸31の後端部に連結軸部31aを形成するように鋼管材の後端部に一体回転自在に連結された軸部材とを備え構成してある。回転支軸31の後端側の連結軸部31aは、扱室21の後壁21cに軸受け部材を取付けて形成された支持ボス33に回転自在に内嵌されている。
【0023】
掻き込み胴部23Aは、外周面が掻き込み胴部前端側ほど小径になる円錐面に形成された掻き込み胴34と、この掻き込み胴34の外周面に一体回転自在に設けられた螺旋板で成る掻き込み羽根35とを備えて構成してある。掻き込み胴34の後端部は、回転支軸31の前部に一体回転自在に連結された前部の支持プレート36の外周部に連結されている。図4,5に示すように、掻き込み胴34の内周面に、複数個のウエイト部材37を掻き込み胴34の周方向に等間隔を隔てて分散するよう配置して一体回転自在に取付けてある。ウエイト部材37は、脱穀扱胴23の脱穀負荷による回転数の低下を抑制するように脱穀扱胴23の回転慣性力を増大させる。
【0024】
脱穀処理部23Bを構成する複数本の扱歯支持杆32は、回転支軸31の前部と中間部と後端部とに分散配置して一体回転自在に連結された前部の支持プレート36と中間部の支持プレート38と後部の支持プレート39の外周部にわたって各支持プレート36,38,39の周方向に等間隔を隔てて分散する配置で連結されている。前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38及び後部の支持プレート39は、外周形状が円形に形成された鋼板によって構成されている。各扱歯支持杆32は、円形の鋼管材によって構成され、鋼管材の所定箇所に取り付けられた連結片32aと前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39とを連結ボルト40によって締め付け連結することによって前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39に連結されている。各扱歯支持杆32は、これの軸芯方向に並ぶ複数箇所から脱穀扱胴23の外側に向かって突設された丸棒材で成る扱歯41を備えている。
【0025】
図4,6,7に示すように、後部の支持プレート39に、扱歯支持杆32を支持する強度が増大するよう後部の支持プレート39の剛性を高める第1補強リブ42及び第2補強リブ43を設けてある。
【0026】
第1補強リブ42は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視で回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように後部の支持プレート39のプレス成形による曲げ成形によって後部の支持プレート39に一体成形してある。第2補強リブ43は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視で回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように後部の支持プレート39のプレス成形による曲げ成形によって後部の支持プレート39に一体成形してある。第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きあるいは回転支軸後方向きに凸の湾曲形状となるように成形してある。第1補強リブ42及び第2補強リブ43の膨出頂部42a,43aは、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が円弧形状となるように、かつ第2補強リブ43の膨出頂部43aの円弧形の半径43rが第1補強リブ42の膨出頂部42aの円弧形の半径42rより大となるように形成されている。
【0027】
第1補強リブ42と第2補強リブ43は、第1補強リブ42が第2補強リブ43より後部の支持プレート39の外周側に位置する状態で、かつ第1補強リブ42の支持プレート内周側の端と第2補強リブ43の後部の支持プレート外周側の端とで連なり合う状態で回転支軸31の半径方向に並んでいる。第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心39cに対して支持プレート内周側に偏倚している。
【0028】
すなわち、第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、扱歯支持杆32が受ける強い脱穀反力のために弾性変形して回転支軸31に伝わる荷重を緩和するのに、回転支軸31に極力近い位置で弾性変形して回転支軸31に対する荷重伝達を効果的に緩和する。
【0029】
第1補強リブ42及び第2補強リブ43より支持プレート外周側に位置する後部の支持プレート39の外周側部位39Aが、第1補強リブ42及び第2補強リブ43より支持プレート内周側に位置する後部の支持プレート39の内周側部位39Bより回転支軸後方側に位置するように、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を形成してある。
【0030】
すなわち、後部の支持プレート39の内周側部位39Bと後壁20cの間隔を極力大にして、支持ボス33のうちの後壁20cから後部の支持プレート39に向かって延出する部位の延出長さを極力長くしながら、後部の支持プレート39の外周側部位39Aと後壁20cの間隔を極力小にして、脱穀扱胴23と後壁20cとにわたって設ける巻き込み防止手段50の脱穀機体前後方向での長さを極力短くすませている。
【0031】
脱穀扱胴23は、内部に扱室21に連通する内部空間を形成し、脱穀扱胴23の周囲の処理物と内部空間に入り込んだ処理物とを攪拌しながら、扱歯支持杆32及び扱歯41の打撃による扱き処理を施すことになるが、上述したように第1補強リブ42、第2補強リブ43を形成することで、脱穀扱胴23の内部空間に入り込んだ処理物の流動を阻害したり、処理物の内部空間から扱室21への移動を阻害したりすることを防止しながら補強できる。
【0032】
図7に示すように、巻き込み防止手段50は、脱穀扱胴23の後端部に一体回転自在に設けた扱胴側の環状の巻き込み防止片51と、扱胴側の巻き込み防止片51の内側に扱胴側の巻き込み防止片51との若干の隙間を持って入り込むように配置して後壁20cの内面側に固定した機体側の環状の巻き込み防止片52とを備えて構成してある。扱胴側の巻き込み防止片51は、後支持プレート39の外周側に後部の支持プレート39の全周にわたって設けた折り曲げ端部によって構成してある。
【0033】
図8は、横スクリューコンベヤ9を示す縦断正面図である。この図に示すように、横スクリューコンベヤ9を構成する搬送筒9aは、ロール成形機によって円筒形に成形された曲げ板金によって構成してあり、横スクリューコンベヤ9の製作費をシームレス鋼管の採用より安価にしている。板金の曲げ方向での両端部は、溶接によって連結されている。搬送筒9aは、溶接箇所9bが搬送穀粒に触れにくいように搬送筒9aの上端部に位置する組み付け姿勢で組み付けられている。
【0034】
図9は、走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、ゴム製のクローラベルト55に埋設された芯金56に、クローラベルト55からその内周側に突出する芯金突起56aを設けてある。接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。内側輪体部59のクローラベルト55に支持作用する輪体周部の機体横方向幅が外側輪体部58の機体横方向幅より大となるように、芯金係入凹部57aを接地転輪57の機体横方向での中心に対して機体横外側に偏倚させてある。
【0035】
穀粒タンク5に貯留された脱穀粒の重量による走行機体の重量増大が発生した場合、走行機体の機体フレーム3とトラックフレーム60とを連結する連結フレーム61の歪みによって接地転輪57の支軸62が地面に対して機体横外側ほど高い配置高さに位置するよう傾斜した外上がり傾斜の状態になることがある。図11に示すように、外側輪体部58と内側輪体部59の輪体周部の機体横方向幅が同じ又はほぼ同じである接地輪体57の場合、支軸62が外上がり傾斜の状態になると、接地転輪57に掛かる接地荷重が外側輪体部58と内側輪体部59とに分散し、外側輪体部58及び内側輪体部59の芯金係入凹部側の角部58a,59aのクローラベルト55に対するくい込みによるクローラベルト55の早期損傷が発生しやすくなる。これに対し、図9に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、接地転輪57に掛かる接地荷重が内側輪体部59の幅広の周面部に分散してかつ連続して掛かり、内側輪体部59の芯金係入凹部側の角部59aやこれとは反対側の角部59bのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0036】
図10は、別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。外側輪体部58のクローラベルト55に支持作用する輪体周部の機体横方向幅が内側輪体部59の機体横方向幅より大となるように、芯金係入凹部57aを接地転輪57の機体横方向での中心に対して機体横内側に偏倚させて配備してある。
【0037】
従って、図10に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、接地転輪57に掛かる接地荷重が外側輪体部58の幅広の周面部に分散してかつ連続して掛かり、外側輪体部58の芯金係入凹部側の角部58aやこれとは反対側の角部58bのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0038】
図12は、さらに別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、さらに別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。内側輪体部59は、受ける接地荷重の大きさによってボス部57bに対して傾動するように、ボス部57bの外径に比して大きな取り付け孔59aでボス部57bに外嵌するとともにクッション材の一例としてのクッションゴム63を介してボス部57bに一体回転自在に支持されている。
【0039】
従って、図12に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、支軸62の傾斜がクッションゴム63によって吸収されて内側輪体部59が支軸62に対して傾動し、内側輪体部59の周面部に接地荷重が分散して均一に掛かり、内側輪体部59の角部のクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0040】
図13は、さらに別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、さらに別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59と、芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58とを備えて構成してある。接地転輪体57を、一対のベアリング64,64を介して支軸62によって支持するように構成し、支軸62のベアリング間での中心が接地輪体57のボス部57bの機体横方向での中心に対して機体横外側に偏倚するように一対のベアリング64,64を配置してある。支軸62のトラックフレーム60に連結される基端側部62aと一対のベアリング64,64が取り付けられる先端側部62bとの間に、設定荷重以上の接地荷重を受けることによって弾性変形自在な柔構造部62cを設けてある。
【0041】
従って、図13に示すように、穀粒タンク5に貯留された脱穀粒の重量による走行機体の重量増大が発生した場合、走行機体の機体フレーム3とトラックフレーム60とを連結する連結フレーム61の歪みによって支軸62の基端側部62aが地面に対して機体横外側ほど高い配置高さに位置するよう傾斜した外上がり傾斜の状態になることがあっても、支軸62の柔構造部62cの変形によって支軸62の先端側部62bが水平又はほぼ水平姿勢となり、内側輪体部59及び外側輪体部58の周面部に接地荷重が分散して均一に掛かり、内側輪体部59及び外側輪体部58の角部59a,58aのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制され、クローラベルト55の角部59a,58aのくい込みによる早期損傷が生じない。
【0042】
図14は、走行機体の機体フレーム3を構成する第1フレーム材66と第2フレーム材67の連結構造を示す説明図である。図14(a),(b),(c)に示す連結構造では、板金材で成る第1フレーム材66と板金材で成る第2フレーム材67とを溶接によって連結し、矢印で示す方向の荷重Wが掛かっても第1フレーム材66と第2フレーム材67とを連結する溶接箇所68における応力集中を発生しにくくしてある。
【0043】
すなわち、図14(a)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、設定箇所67pに対して溶接箇所68とは反対側に位置する第2フレーム材67の部位の第1フレーム材66に沿う方向での大きさH1を、溶接箇所68と設定箇所67pとの間に位置する第2フレーム材67の部位の第1フレーム材66に沿う方向での大きさH2よりも小に設定してある。すなわち、設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性に比して低く設定してある。
【0044】
図14(b)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、第2フレーム材67の設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性よりも低くする切り欠き部69を第2フレーム材67に設けてある。
【0045】
図14(c)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、第2フレーム材67の設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性よりも低くする貫通孔70を第2フレーム材67に設けてある。
【0046】
図15は、別の実施構造を備えたコンバインの全体を示す側面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えたコンバインでは、6条の植立穀稈に作用する分草具75及び引起し装置76、刈取装置77からの刈取り穀稈を機体後方向きに搬送して脱穀フィードチェーン4aに供給する供給装置78を刈取り部6に備えられ、刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン4aによって挟持搬送し、搬送される刈取り穀稈の穂先側を扱室に供給して脱穀処理する脱穀装置4を装備されている。このコンバインでは、分草具75の先端部を覆う脱着自在な分草具カバー79を装備されている。
【0047】
図17は、分草具カバー79を示す斜視図である。この図に示すように、分草具カバー79は、機体横方向に長い底板部79aと、底板部79aの前端から後方上方向きに延出する機体横方向に長い上板部79bとを備えて構成してある。分草具カバー79は、アルミ合金素材の押し出し成形によって全体にわたって一体成形されている。
【0048】
図16は、分草具カバー79が装着された状態での刈取り部6を示す正面図である。この図及び図15に示すように、分草具カバー79は、各分草具75の先端部が底板部79aと上板部79bの間に入り込むように全ての分草具75にわたって装着されることにより、使用状態になる。
【0049】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が湾曲形状となるように形成した例を示したが、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が折れ曲がり形状となるように形成してもよい。また、第1補強リブ42と第2補強リブ43の一方を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が湾曲形状となるように形成し、他方を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が折れ曲がり形状となるように形成して実施してもよい。
【0050】
(2)上記した実施例では、第1補強リブ42が第2補強リブ43よりも後部の支持プレート39の半径方向での外側に位置する例を示したが、第1補強リブ42が第2補強リブ43よりも後部の支持プレート39の半径方向での内側に位置する構成を採用して実施してもよい。
【0051】
(3)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート39の半径方向での中心39cに対して支持プレート内周側に偏倚させて形成した例を示したが、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート39の半径方向での中心39cに対して支持プレート外周側に偏倚させて形成する構成、あるいは第1補強リブ42と第2補強リブ43の一方が後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との半径方向での中心39cに位置する構成を採用して実施してもよい。第1補強リブ42及び第2補強リブ43を前支持プレート36に設ける場合も同様である。
【0052】
(4)上記した実施例では、後部の支持プレート39の外周側部位39Aが内周側部位39Bより回転支軸後方側に位置する例を示したが、外周側部位39Aが内周側部位39Bより回転支軸前方側に位置する構成、あるいは外周側部位39Aの回転支軸31の軸芯方向での位置と内周側部位39Bの回転支軸31の軸芯方向での位置とが同一になる構成を採用して実施してもよい。
【0053】
(5)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を後部の支持プレート39に設け、前部の支持プレート36及び中間部の支持プレート38に設けない例を示したが、前部の支持プレート36に設けて、中間部及び後部の支持プレート38,39に設けずに、あるいは、中間部の支持プレート38に設けて、前部及び後部の支持プレート36,39に設けずに、あるいは、前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39のうちの二つの支持プレートに設けて、残る一つの支持プレートに設けずに、あるいは、前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39の全ての支持プレートに設けて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、自脱型のコンバイン用の脱穀装置の他、定置用の脱穀装置に装備される脱穀扱胴にも利用できる。
【符号の説明】
【0055】
23A 掻き込み胴部
31 回転支軸
32 扱歯支持杆
39 支持プレート
39A 外周側部位
39B 内周側部位
39c 中心
42 第1補強リブ
43 第2補強リブ
P 軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した脱穀扱胴として、従来、たとえば特許文献1に記載されたものがあった。特許文献1に記載されたものでは、掻き込み胴部としての掻込部、支持プレートとして第1プレート、第2プレート、第3プレート、扱歯支持杆としての扱胴フレームを備えている。第3プレートには、内周側部位と外周側部位とが扱胴前後方向に位置ずれするように、内周側部位と外周側部位の間に設けた曲げ成形部が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−263913号公報(図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した扱歯支持杆を備える脱穀扱胴にあっては、扱歯支持杆が湾曲する歪みを発生させる脱穀反力を受けることにより、そして扱歯支持杆どうしの間が開放した構造になるなどにより、強い脱穀反力を受けると、扱歯支持杆の歪みが発生しやすくなっていた。扱歯支持杆の歪みが大きくなると、回転支軸に影響して回転支軸にも同様の湾曲歪みが発生して、回転支軸とその支持点との間にこじれが発生する。上記した従来の後支持プレートの如き支持プレートを採用することにより、扱歯支持杆を歪みにくいよう強固に支持させるには、図18に示す如く支持プレート39に補強部材80,81を付加する必要があった。
【0005】
本発明の目的は、特別な補強部材を付加せずとも脱穀反力に耐えやすく、かつ製作容易な脱穀扱胴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴において、
前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第1補強リブと、前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第2補強リブとを、前記第1補強リブと前記第2補強リブが前記回転支軸の半径方向に連なって並ぶ状態で前記支持プレートに一体成形して設けてある。
【0007】
本第1発明の構成によると、支持プレートを曲げ成形すれば、支持プレートに第1補強リブ及び第2補強リブを設け、支持プレートに扱歯支持杆を脱穀反力に抗して強固に支持する支持強度を備えさせることができ、扱歯支持杆が比較的強い脱穀反力を受けても、扱歯支持杆や回転支軸に歪みが発生しにくい。
支持プレートは回転支軸の軸芯まわりに回転しながら扱歯支持杆からの応力を受けることから、回転支軸に対して受網側に位置する扱歯支持杆から支持プレートが受ける応力の方向と、回転支軸に対して受網側とは反対側に位置する受歯支持杆から支持プレートが受ける応力の方向とが異なることがある。第1補強リブが回転支軸前方向きに膨出し、第2補強リブが回転支軸後方向きに膨出していることにより、支持プレートは、扱歯支持杆から受ける応力の方向の変化にかかわらず、扱歯支持杆を変形しにくいように強固に支持する。
回転支軸の半径方向に沿う補強リブを支持プレートにこれの曲げ成形によって設ける場合、補強リブの成形に起因する歪みの発生により、支持プレートの外周形状を円形などの所定形状に確保しにくい。本第1発明の構成によると、第1及び第2補強リブは、回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が回転支軸の軸芯を中心とした円形であるから、第1及び第2補強リブを設けるための支持プレートの曲げ成形をあまり高精度で行なわなくとも、支持プレートの外周形状を所定形状に確保できる。
また、第1及び第2補強リブは、回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きあるいは回転支軸後方向きの膨出した形状で、かつ回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が回転支軸の軸芯を中心とした円形のものだから、扱歯支持杆が極めて強い脱穀反力を受けた場合、支持プレートが第1及び第2補強リブの部位で弾性変形して回転支軸への荷重の伝達を緩和するようにできる。
【0008】
従って、比較的強い脱穀反力を受ける場合でも、扱歯支持杆の支持プレートによる支持が強固に行なわれ、扱歯支持杆や回転支軸などの歪みや脱穀扱胴の回転不良が発生しにくくて脱穀処理を精度よく行わせることができる。そして、第1及び第2補強リブを支持プレートに一体成形するだけで済ませて特別な補強部材を不要にして、かつ第1及び第2補強リブを成形する支持プレートの曲げ成形を比較的容易に行なって安価に得ることができる。
【0009】
本第2発明は、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを、前記支持プレートの内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心に対して支持プレート内周側に偏倚する配置状態で成形してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、支持プレートが第1及び第2補強リブの部位で弾性変形して回転支軸への荷重の伝達を緩和するのに、回転支軸により近い部位で弾性変形して荷重伝達の緩和を効果的に行なうようにできる。
【0011】
従って、強い脱穀反力を受ける場合でも、回転支軸の歪みが発生しにくくてスムーズに駆動される脱穀扱胴を得ることができる。
【0012】
本第3発明は、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを形成した前記支持プレートを、前記回転支軸の後端部に設け、
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート外周側に位置する前記支持プレートの外周側部位が、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート内周側に位置する前記支持プレートの内周側部位より回転支軸後方側に位置するように、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを成形してある。
【0013】
本第3発明の構成によると、回転支軸を回転自在に支持するように扱室の後壁に設ける支持ボスを、後壁から支持プレートの内周側部位の極力近くの箇所まで至るように後壁から極力長く突出するものにしても、支持プレートの外周側部位を後壁に極力近付けて位置させることができる。
【0014】
従って、回転支軸を極力長い支持ボスによって有利に支持させながら、例えば支持プレートと後壁の間に塵埃が入り込むことを防止する巻き込み防止手段を支持プレートの外周部と後壁にわたって設ける場合、扱胴前後方向での長さが比較的短いコンパクトなものに済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの全体を示す側面図である。
【図2】コンバインの全体を示す平面図である。
【図3】脱穀装置を示す縦断側面図である。
【図4】脱穀扱胴を示す側面図である。
【図5】図3のV−V断面矢視図である。
【図6】図3のVI−VI断面矢視図である。
【図7】後支持プレートを示す縦断側面図である。
【図8】横スクリューコンベヤを示す縦断正面図である。
【図9】走行装置を示す縦断正面図である。
【図10】別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図11】比較構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図12】さらに別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図13】さらに別の実施構造を備えた走行装置を示す縦断正面図である。
【図14】(a),(b),(c)は、機体フレームを構成する第1フレーム材と第2フレーム材の連結構造を示す説明図である。
【図15】別の実施構造を備えたコンバインの全体を示す側面図である。
【図16】別の実施構造を備えたコンバインの分草具カバーが装着された状態を示す正面図である。
【図17】分草具カバーを示す斜視図である。
【図18】比較構造を示す支持プレートの縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明に係る脱穀扱胴をコンバインの脱穀装置に装備した場合について説明する。
図1は、コンバインの全体を示す側面図である。図2は、コンバインの全体を示す平面図である。これらの図に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1,1によって自走するように構成され、かつ搭乗型の運転部2が装備された自走機体と、自走機体の機体フレーム3の後部側に機体横方向に並べて設けられた脱穀装置4と穀粒タンク5と、脱穀装置4の前部から走行機体前方側に上下揺動自在に延出された刈取り部6とを備えて構成してある。
【0017】
このコンバインは、稲、麦などの収穫作業を行なうものである。
すなわち、刈取り部6は、脱穀装置4の前部に上下揺動自在に連結されたフィーダ10を備え、このフィーダ10が昇降シリンダ11によって上下に揺動操作されることにより、刈取り部6の前端部に位置する左右一対の分草体12,12が地面近くに下降した下降作業状態と、左右一対の分草体12,12が地面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。刈取り部6を下降作業状態にして走行機体を走行させると、刈取り部6は、左右一対の分草体12,12によってこれらの間に導入した刈取対象の植立穀稈の穂先側を回転リール13によって横送りオーガ14の上方に掻き込み、掻き込み処理中の植立穀稈をバリカン形の刈取装置15によって刈取り処理し、刈取り穀稈を横送りオーガ14によって刈取りフレーム16の床板に沿わせてフィーダ10の前方に横送り搬送し、フィーダ10の前方に到達した刈取り穀稈を、横送りオーガ14に装備された掻き込みアーム17によってフィーダ10の搬送始端部に送り込む。フィーダ10は、搬送始端部に送り込まれた刈取り穀稈を、株元から穂先までの全体にわたり、搬送筒の内部に位置する無端回動コンベヤ10aによって搬送筒の底板に沿わせて後方に搬送して脱穀装置4に送り込む。脱穀装置4は、送り込まれた刈取り穀稈を脱穀処理し、塵埃と選別処理した脱穀粒を脱穀装置4と穀粒タンク5の間に位置する揚穀装置7に供給する。穀粒タンク5は、揚穀装置7によって脱穀粒が送り込まれ、送り込まれた脱穀粒を貯留していく。穀粒タンク5に貯留された脱穀粒は、穀粒タンク5の後側に位置する縦スクリューコンベヤ8、及び縦スクリューコンベヤ8の上端部から延出する横スクリューコンベヤ9によって搬出されるようになっている。
【0018】
脱穀装置4について説明する。
図3は、脱穀装置4を示す縦断側面図である。この図に示すように、脱穀装置4は、脱穀機体20の上部内に形成された扱室21を有した脱穀部4Aと、扱室21の下方に位置する揺動選別装置22を有した選別部4Bとを備えて構成してある。
【0019】
脱穀部4Aは、扱室21に脱穀機体前後向きの軸芯Pまわりに回転駆動自在に設けられた脱穀扱胴23を備え、フィーダ10によって脱穀機体20の前端部に位置する投入口24に送り込まれた刈取り穀稈を、脱穀扱胴23の前端部に位置する掻き込み胴部23Aによって脱穀扱胴23の掻き込み胴部23Aより後側に位置する脱穀処理部23Bに掻き込み、脱穀処理部23Bに掻き込んだ刈取り穀稈を脱穀処理部23Bによって扱室21の後方側に搬送しながら、脱穀処理部23Bと受網25とによって脱穀処理し、脱穀粒を受網25から落下させ、脱穀排ワラを扱室21の後部に位置する送塵口26から扱室21の後方下方に排出する。
【0020】
選別部4Bは、受網25から落下した脱穀粒及び脱穀粒と共に落下したワラ屑などを、揺動選別装置22によって受け止め、揺動選別装置22による揺動選別と、唐箕27によって脱穀機体後方向きに供給される選別風による風選別とによって穀粒と塵埃とに選別処理し、一番処理物を一番スクリューコンベヤ28に落下させ、二番処理物を二番スクリューコンベヤ29に落下させ、塵埃を送塵口26からの脱穀排ワラ及び選別風と共に脱穀機体20の後部に位置する排出口20aから脱穀機体20の後方側に排出する。一番スクリューコンベヤ28は、一番処理物を脱穀機体20の横外側に搬送して揚穀装置7に供給する。二番スクリューコンベヤ29は、二番処理物を脱穀機体20の横外側に搬送して還元搬送装置(図示せず)に供給する。
【0021】
脱穀扱胴23について説明する。
図3,4に示すように、脱穀扱胴23は、扱室21を形成する脱穀機体20の前壁20bの外側に取り付けられた扱胴駆動ケース30と扱室21を形成する脱穀機体20の後壁20cとに軸芯Pまわりに回転自在に支持される回転支軸31と、回転支軸31の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部23Aと、掻き込み胴部23Aの脱穀扱胴後方側に脱穀扱胴周方向に並んで位置する複数本の扱歯支持杆32を有した脱穀作用部23Bとを備えて構成してある。
【0022】
回転支軸31は、回転支軸31の本体を構成する円形の鋼管材と、回転支軸31の後端部に連結軸部31aを形成するように鋼管材の後端部に一体回転自在に連結された軸部材とを備え構成してある。回転支軸31の後端側の連結軸部31aは、扱室21の後壁21cに軸受け部材を取付けて形成された支持ボス33に回転自在に内嵌されている。
【0023】
掻き込み胴部23Aは、外周面が掻き込み胴部前端側ほど小径になる円錐面に形成された掻き込み胴34と、この掻き込み胴34の外周面に一体回転自在に設けられた螺旋板で成る掻き込み羽根35とを備えて構成してある。掻き込み胴34の後端部は、回転支軸31の前部に一体回転自在に連結された前部の支持プレート36の外周部に連結されている。図4,5に示すように、掻き込み胴34の内周面に、複数個のウエイト部材37を掻き込み胴34の周方向に等間隔を隔てて分散するよう配置して一体回転自在に取付けてある。ウエイト部材37は、脱穀扱胴23の脱穀負荷による回転数の低下を抑制するように脱穀扱胴23の回転慣性力を増大させる。
【0024】
脱穀処理部23Bを構成する複数本の扱歯支持杆32は、回転支軸31の前部と中間部と後端部とに分散配置して一体回転自在に連結された前部の支持プレート36と中間部の支持プレート38と後部の支持プレート39の外周部にわたって各支持プレート36,38,39の周方向に等間隔を隔てて分散する配置で連結されている。前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38及び後部の支持プレート39は、外周形状が円形に形成された鋼板によって構成されている。各扱歯支持杆32は、円形の鋼管材によって構成され、鋼管材の所定箇所に取り付けられた連結片32aと前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39とを連結ボルト40によって締め付け連結することによって前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39に連結されている。各扱歯支持杆32は、これの軸芯方向に並ぶ複数箇所から脱穀扱胴23の外側に向かって突設された丸棒材で成る扱歯41を備えている。
【0025】
図4,6,7に示すように、後部の支持プレート39に、扱歯支持杆32を支持する強度が増大するよう後部の支持プレート39の剛性を高める第1補強リブ42及び第2補強リブ43を設けてある。
【0026】
第1補強リブ42は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視で回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように後部の支持プレート39のプレス成形による曲げ成形によって後部の支持プレート39に一体成形してある。第2補強リブ43は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ回転支軸31の軸芯Pに沿った方向視で回転支軸31の軸芯Pを中心とした円形となるように後部の支持プレート39のプレス成形による曲げ成形によって後部の支持プレート39に一体成形してある。第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きあるいは回転支軸後方向きに凸の湾曲形状となるように成形してある。第1補強リブ42及び第2補強リブ43の膨出頂部42a,43aは、回転支軸31の半径方向に沿った断面での形状が円弧形状となるように、かつ第2補強リブ43の膨出頂部43aの円弧形の半径43rが第1補強リブ42の膨出頂部42aの円弧形の半径42rより大となるように形成されている。
【0027】
第1補強リブ42と第2補強リブ43は、第1補強リブ42が第2補強リブ43より後部の支持プレート39の外周側に位置する状態で、かつ第1補強リブ42の支持プレート内周側の端と第2補強リブ43の後部の支持プレート外周側の端とで連なり合う状態で回転支軸31の半径方向に並んでいる。第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心39cに対して支持プレート内周側に偏倚している。
【0028】
すなわち、第1補強リブ42及び第2補強リブ43は、扱歯支持杆32が受ける強い脱穀反力のために弾性変形して回転支軸31に伝わる荷重を緩和するのに、回転支軸31に極力近い位置で弾性変形して回転支軸31に対する荷重伝達を効果的に緩和する。
【0029】
第1補強リブ42及び第2補強リブ43より支持プレート外周側に位置する後部の支持プレート39の外周側部位39Aが、第1補強リブ42及び第2補強リブ43より支持プレート内周側に位置する後部の支持プレート39の内周側部位39Bより回転支軸後方側に位置するように、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を形成してある。
【0030】
すなわち、後部の支持プレート39の内周側部位39Bと後壁20cの間隔を極力大にして、支持ボス33のうちの後壁20cから後部の支持プレート39に向かって延出する部位の延出長さを極力長くしながら、後部の支持プレート39の外周側部位39Aと後壁20cの間隔を極力小にして、脱穀扱胴23と後壁20cとにわたって設ける巻き込み防止手段50の脱穀機体前後方向での長さを極力短くすませている。
【0031】
脱穀扱胴23は、内部に扱室21に連通する内部空間を形成し、脱穀扱胴23の周囲の処理物と内部空間に入り込んだ処理物とを攪拌しながら、扱歯支持杆32及び扱歯41の打撃による扱き処理を施すことになるが、上述したように第1補強リブ42、第2補強リブ43を形成することで、脱穀扱胴23の内部空間に入り込んだ処理物の流動を阻害したり、処理物の内部空間から扱室21への移動を阻害したりすることを防止しながら補強できる。
【0032】
図7に示すように、巻き込み防止手段50は、脱穀扱胴23の後端部に一体回転自在に設けた扱胴側の環状の巻き込み防止片51と、扱胴側の巻き込み防止片51の内側に扱胴側の巻き込み防止片51との若干の隙間を持って入り込むように配置して後壁20cの内面側に固定した機体側の環状の巻き込み防止片52とを備えて構成してある。扱胴側の巻き込み防止片51は、後支持プレート39の外周側に後部の支持プレート39の全周にわたって設けた折り曲げ端部によって構成してある。
【0033】
図8は、横スクリューコンベヤ9を示す縦断正面図である。この図に示すように、横スクリューコンベヤ9を構成する搬送筒9aは、ロール成形機によって円筒形に成形された曲げ板金によって構成してあり、横スクリューコンベヤ9の製作費をシームレス鋼管の採用より安価にしている。板金の曲げ方向での両端部は、溶接によって連結されている。搬送筒9aは、溶接箇所9bが搬送穀粒に触れにくいように搬送筒9aの上端部に位置する組み付け姿勢で組み付けられている。
【0034】
図9は、走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、ゴム製のクローラベルト55に埋設された芯金56に、クローラベルト55からその内周側に突出する芯金突起56aを設けてある。接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。内側輪体部59のクローラベルト55に支持作用する輪体周部の機体横方向幅が外側輪体部58の機体横方向幅より大となるように、芯金係入凹部57aを接地転輪57の機体横方向での中心に対して機体横外側に偏倚させてある。
【0035】
穀粒タンク5に貯留された脱穀粒の重量による走行機体の重量増大が発生した場合、走行機体の機体フレーム3とトラックフレーム60とを連結する連結フレーム61の歪みによって接地転輪57の支軸62が地面に対して機体横外側ほど高い配置高さに位置するよう傾斜した外上がり傾斜の状態になることがある。図11に示すように、外側輪体部58と内側輪体部59の輪体周部の機体横方向幅が同じ又はほぼ同じである接地輪体57の場合、支軸62が外上がり傾斜の状態になると、接地転輪57に掛かる接地荷重が外側輪体部58と内側輪体部59とに分散し、外側輪体部58及び内側輪体部59の芯金係入凹部側の角部58a,59aのクローラベルト55に対するくい込みによるクローラベルト55の早期損傷が発生しやすくなる。これに対し、図9に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、接地転輪57に掛かる接地荷重が内側輪体部59の幅広の周面部に分散してかつ連続して掛かり、内側輪体部59の芯金係入凹部側の角部59aやこれとは反対側の角部59bのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0036】
図10は、別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。外側輪体部58のクローラベルト55に支持作用する輪体周部の機体横方向幅が内側輪体部59の機体横方向幅より大となるように、芯金係入凹部57aを接地転輪57の機体横方向での中心に対して機体横内側に偏倚させて配備してある。
【0037】
従って、図10に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、接地転輪57に掛かる接地荷重が外側輪体部58の幅広の周面部に分散してかつ連続して掛かり、外側輪体部58の芯金係入凹部側の角部58aやこれとは反対側の角部58bのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0038】
図12は、さらに別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、さらに別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金突起56aが係入する芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58と、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59とを備えて構成してある。内側輪体部59は、受ける接地荷重の大きさによってボス部57bに対して傾動するように、ボス部57bの外径に比して大きな取り付け孔59aでボス部57bに外嵌するとともにクッション材の一例としてのクッションゴム63を介してボス部57bに一体回転自在に支持されている。
【0039】
従って、図12に示すように、支軸62が外上がり傾斜の状態になっても、支軸62の傾斜がクッションゴム63によって吸収されて内側輪体部59が支軸62に対して傾動し、内側輪体部59の周面部に接地荷重が分散して均一に掛かり、内側輪体部59の角部のクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制される。
【0040】
図13は、さらに別の実施構造を備えた走行装置1を示す縦断正面図である。この図に示すように、さらに別の実施構造を備えた走行装置1では、接地転輪57を、芯金係入凹部57aに対して機体横内側に位置する内側輪体部59と、芯金係入凹部57aに対して機体横外側に位置する外側輪体部58とを備えて構成してある。接地転輪体57を、一対のベアリング64,64を介して支軸62によって支持するように構成し、支軸62のベアリング間での中心が接地輪体57のボス部57bの機体横方向での中心に対して機体横外側に偏倚するように一対のベアリング64,64を配置してある。支軸62のトラックフレーム60に連結される基端側部62aと一対のベアリング64,64が取り付けられる先端側部62bとの間に、設定荷重以上の接地荷重を受けることによって弾性変形自在な柔構造部62cを設けてある。
【0041】
従って、図13に示すように、穀粒タンク5に貯留された脱穀粒の重量による走行機体の重量増大が発生した場合、走行機体の機体フレーム3とトラックフレーム60とを連結する連結フレーム61の歪みによって支軸62の基端側部62aが地面に対して機体横外側ほど高い配置高さに位置するよう傾斜した外上がり傾斜の状態になることがあっても、支軸62の柔構造部62cの変形によって支軸62の先端側部62bが水平又はほぼ水平姿勢となり、内側輪体部59及び外側輪体部58の周面部に接地荷重が分散して均一に掛かり、内側輪体部59及び外側輪体部58の角部59a,58aのクローラベルト55に対する強いくい込みが抑制され、クローラベルト55の角部59a,58aのくい込みによる早期損傷が生じない。
【0042】
図14は、走行機体の機体フレーム3を構成する第1フレーム材66と第2フレーム材67の連結構造を示す説明図である。図14(a),(b),(c)に示す連結構造では、板金材で成る第1フレーム材66と板金材で成る第2フレーム材67とを溶接によって連結し、矢印で示す方向の荷重Wが掛かっても第1フレーム材66と第2フレーム材67とを連結する溶接箇所68における応力集中を発生しにくくしてある。
【0043】
すなわち、図14(a)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、設定箇所67pに対して溶接箇所68とは反対側に位置する第2フレーム材67の部位の第1フレーム材66に沿う方向での大きさH1を、溶接箇所68と設定箇所67pとの間に位置する第2フレーム材67の部位の第1フレーム材66に沿う方向での大きさH2よりも小に設定してある。すなわち、設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性に比して低く設定してある。
【0044】
図14(b)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、第2フレーム材67の設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性よりも低くする切り欠き部69を第2フレーム材67に設けてある。
【0045】
図14(c)に示す連結構造では、溶接箇所68から少し離れた第2フレーム材67の設定箇所67pが溶接箇所68よりも応力集中を発生させやすい箇所になるように、第2フレーム材67の設定箇所67pでの剛性を溶接箇所68での剛性よりも低くする貫通孔70を第2フレーム材67に設けてある。
【0046】
図15は、別の実施構造を備えたコンバインの全体を示す側面図である。この図に示すように、別の実施構造を備えたコンバインでは、6条の植立穀稈に作用する分草具75及び引起し装置76、刈取装置77からの刈取り穀稈を機体後方向きに搬送して脱穀フィードチェーン4aに供給する供給装置78を刈取り部6に備えられ、刈取り穀稈の株元側を脱穀フィードチェーン4aによって挟持搬送し、搬送される刈取り穀稈の穂先側を扱室に供給して脱穀処理する脱穀装置4を装備されている。このコンバインでは、分草具75の先端部を覆う脱着自在な分草具カバー79を装備されている。
【0047】
図17は、分草具カバー79を示す斜視図である。この図に示すように、分草具カバー79は、機体横方向に長い底板部79aと、底板部79aの前端から後方上方向きに延出する機体横方向に長い上板部79bとを備えて構成してある。分草具カバー79は、アルミ合金素材の押し出し成形によって全体にわたって一体成形されている。
【0048】
図16は、分草具カバー79が装着された状態での刈取り部6を示す正面図である。この図及び図15に示すように、分草具カバー79は、各分草具75の先端部が底板部79aと上板部79bの間に入り込むように全ての分草具75にわたって装着されることにより、使用状態になる。
【0049】
〔別実施例〕
(1)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が湾曲形状となるように形成した例を示したが、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が折れ曲がり形状となるように形成してもよい。また、第1補強リブ42と第2補強リブ43の一方を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が湾曲形状となるように形成し、他方を、回転支軸31の半径方向に沿う断面での形状が折れ曲がり形状となるように形成して実施してもよい。
【0050】
(2)上記した実施例では、第1補強リブ42が第2補強リブ43よりも後部の支持プレート39の半径方向での外側に位置する例を示したが、第1補強リブ42が第2補強リブ43よりも後部の支持プレート39の半径方向での内側に位置する構成を採用して実施してもよい。
【0051】
(3)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート39の半径方向での中心39cに対して支持プレート内周側に偏倚させて形成した例を示したが、後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との支持プレート39の半径方向での中心39cに対して支持プレート外周側に偏倚させて形成する構成、あるいは第1補強リブ42と第2補強リブ43の一方が後部の支持プレート39の内周側端と外周側端との半径方向での中心39cに位置する構成を採用して実施してもよい。第1補強リブ42及び第2補強リブ43を前支持プレート36に設ける場合も同様である。
【0052】
(4)上記した実施例では、後部の支持プレート39の外周側部位39Aが内周側部位39Bより回転支軸後方側に位置する例を示したが、外周側部位39Aが内周側部位39Bより回転支軸前方側に位置する構成、あるいは外周側部位39Aの回転支軸31の軸芯方向での位置と内周側部位39Bの回転支軸31の軸芯方向での位置とが同一になる構成を採用して実施してもよい。
【0053】
(5)上記した実施例では、第1補強リブ42及び第2補強リブ43を後部の支持プレート39に設け、前部の支持プレート36及び中間部の支持プレート38に設けない例を示したが、前部の支持プレート36に設けて、中間部及び後部の支持プレート38,39に設けずに、あるいは、中間部の支持プレート38に設けて、前部及び後部の支持プレート36,39に設けずに、あるいは、前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39のうちの二つの支持プレートに設けて、残る一つの支持プレートに設けずに、あるいは、前部の支持プレート36、中間部の支持プレート38、後部の支持プレート39の全ての支持プレートに設けて実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、自脱型のコンバイン用の脱穀装置の他、定置用の脱穀装置に装備される脱穀扱胴にも利用できる。
【符号の説明】
【0055】
23A 掻き込み胴部
31 回転支軸
32 扱歯支持杆
39 支持プレート
39A 外周側部位
39B 内周側部位
39c 中心
42 第1補強リブ
43 第2補強リブ
P 軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴であって、
前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第1補強リブと、前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第2補強リブとを、前記第1補強リブと前記第2補強リブが前記回転支軸の半径方向に連なって並ぶ状態で前記支持プレートに一体成形して設けてある脱穀扱胴。
【請求項2】
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを、前記支持プレートの内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心に対して支持プレート内周側に偏倚する配置状態で成形してある請求項1記載の脱穀扱胴。
【請求項3】
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを形成した前記支持プレートを、前記回転支軸の後端部に設け、
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート外周側に位置する前記支持プレートの外周側部位が、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート内周側に位置する前記支持プレートの内周側部位より回転支軸後方側に位置するように、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを成形してある請求項1又は2記載の脱穀扱胴。
【請求項1】
回転支軸の前部に一体回転自在に連結された掻き込み胴部と、前記回転支軸に一体回転自在に連結された支持プレートと、前記支持プレートの周方向に分散配置して前記支持プレートに連結された複数本の扱歯支持杆とを備えた脱穀扱胴であって、
前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸前方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第1補強リブと、前記回転支軸の半径方向に沿った断面での形状が回転支軸後方向きに膨出した形状となるように、かつ前記回転支軸の軸芯に沿った方向視での形状が前記回転支軸の軸芯を中心とした円形となるように成形した第2補強リブとを、前記第1補強リブと前記第2補強リブが前記回転支軸の半径方向に連なって並ぶ状態で前記支持プレートに一体成形して設けてある脱穀扱胴。
【請求項2】
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを、前記支持プレートの内周側端と外周側端との支持プレート半径方向での中心に対して支持プレート内周側に偏倚する配置状態で成形してある請求項1記載の脱穀扱胴。
【請求項3】
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを形成した前記支持プレートを、前記回転支軸の後端部に設け、
前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート外周側に位置する前記支持プレートの外周側部位が、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブより支持プレート内周側に位置する前記支持プレートの内周側部位より回転支軸後方側に位置するように、前記第1補強リブ及び前記第2補強リブを成形してある請求項1又は2記載の脱穀扱胴。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−170407(P2012−170407A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36276(P2011−36276)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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