説明

脱穀機

【課題】揺動選別体により比重選別される穀粒等を効率良く選別風により風選別すること。
【解決手段】搬入された穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀された穀粒を選別する選別部とを備えると共に、選別部は、前後方向に揺動して比重選別を行う揺動選別体と、選別風を送風して風選別を行う唐箕とを具備する脱穀機において、揺動選別体の前部下方に唐箕を配設し、同唐箕の上部後方に選別風を上方へ案内する選別風上方案内体を配設する一方、揺動選別体に選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を後方へ案内する選別風後方案内体を配設しているため、同選別風後方案内体により揺動選別体の前部から後方に向けて選別風を堅実に案内することができる。ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀部と選別部とを備えた脱穀機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀機の一形態として、搬入された穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀された穀粒を選別する選別部とを備えると共に、選別部は、前後方向に揺動して比重選別を行う揺動選別体と、選別風を送風して風選別を行う唐箕とを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、唐箕は揺動選別体の前下方に配設して、同唐箕から揺動選別体に向けて(前下方から後上方に向けて)アンダースローの選別風を送風するようにしている。また、揺動選別体にはフィードパンと、同フィードパンの後下方に配置したチャフシーブと、同チャフシーブの下方に配置したグレンシーブとを配設している。
【0004】
ここで、唐箕の後方位置には複数の選別風案内体を配置して、これらの選別風案内体を介して選別風をフィードパンとチャフシーブの間や、チャフシーブとグレンシーブとの間に導くようにしている。
【特許文献1】特開2000−139183公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記脱穀機では複数の選別風案内体を唐箕の後方位置に配置しているために、同唐箕から選別風をチャフシーブの上面に沿わせて後方へ送風させることで風選別効率を向上させることが困難であった。また、上記脱穀機では一定の風路に一定の風圧の選別風が送風されるだけであるため、風選別効率を確保するためには所定の風量を送風する大型の唐箕を必要としていた。そのため、唐箕を小型化して、脱穀機自体をコンパクト化することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)請求項1記載の本発明に係る脱穀機は、搬入された穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀された穀粒を選別する選別部とを備えると共に、選別部は、前後方向に揺動して比重選別を行う揺動選別体と、選別風を送風して風選別を行う唐箕とを具備する脱穀機において、揺動選別体の前部下方に唐箕を配設し、同唐箕の上部後方に選別風を上方へ案内する選別風上方案内体を配設する一方、揺動選別体に選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を後方へ案内する選別風後方案内体を配設したことを特徴とする。
【0007】
(2)請求項2記載の本発明に係る脱穀機は、請求項1に記載の脱穀機であって、揺動選別体にはフィードパンと、同フィードパンの後下方に配置したチャフシーブと、同チャフシーブの下方に配置したグレンシーブとを配設し、フィードパンの下方かつチャフシーブの前方に選別風後方案内体を配置すると共に、同選別風後方案内体は、選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を、フィードパンとチャフシーブの間を通して同チャフシーブの上方へ導く上側流路と、チャフシーブとグレンシーブとの間に導く下側流路とに分岐させて案内するようにしたことを特徴とする。
【0008】
(3)請求項3記載の本発明に係る脱穀機は、請求項2に記載の脱穀機であって、選別風後方案内体は、揺動選別体と一体的に前後方向に揺動して、上側流路と下側流路の始端側流路径を交互に拡縮して、上側流路と下側流路に導かれる選別風の風圧が交互に変更されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(1)請求項1の本発明では、搬入された穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀された穀粒を選別する選別部とを備えると共に、選別部は、前後方向に揺動して比重選別を行う揺動選別体と、選別風を送風して風選別を行う唐箕とを具備する脱穀機において、揺動選別体の前部下方に唐箕を配設し、同唐箕の上部後方に選別風を上方へ案内する選別風上方案内体を配設する一方、揺動選別体に選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を後方へ案内する選別風後方案内体を配設している。
【0010】
このように、揺動選別体に選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を後方へ案内する選別風後方案内体を配設しているため、同選別風後方案内体により揺動選別体の前部から後方に向けて選別風を堅実に案内することができる。その結果、揺動選別体により比重選別される穀粒等を効率良く選別風により風選別することができる。
【0011】
(2)請求項2の本発明では、請求項1に記載の脱穀機であって、揺動選別体にはフィードパンと、同フィードパンの後下方に配置したチャフシーブと、同チャフシーブの下方に配置したグレンシーブとを配設し、フィードパンの下方かつチャフシーブの前方に選別風後方案内体を配置すると共に、同選別風後方案内体は、選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を、フィードパンとチャフシーブの間を通して同チャフシーブの上方へ導く上側流路と、チャフシーブとグレンシーブとの間に導く下側流路とに分岐させて案内するようにしている。
【0012】
このように、選別風後方案内体で選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風をチャフシーブの上方へ導く上側流路と、チャフシーブとグレンシーブとの間に導く下側流路とに分岐させて案内するようにしているため、チャフシーブによる比重選別効果と選別風による風選別効果との相乗効果で選別効率を向上させることができる。
【0013】
(3)請求項3の本発明では、請求項2に記載の脱穀機であって、選別風後方案内体は、揺動選別体と一体的に前後方向に揺動して、上側流路と下側流路の始端側流路径を交互に拡縮して、上側流路と下側流路に導かれる選別風の風圧が交互に変更されるようにしている。
【0014】
このように、揺動選別体の前後揺動動作に連動して上側流路と下側流路に導かれる選別風の風圧が交互に変更されるようにしているため、選別風の風圧に間欠的な強弱を生起することができて、風選別効果の高い強い選別風が交互に得られる。その結果、チャフシーブによる比重選別効果と選別風による風選別効果との相乗効果で選別効率をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づき詳説する。図1は本発明にかかる脱穀機としての脱穀部を搭載したコンバインCの側面図であり、図2は脱穀部と排塵処理部と選別部の断面側面説明図である。
【0016】
コンバインCは、図1に示すように、左右一対のクローラ式の走行部2,2上に機体フレーム1を配設し、同機体フレーム1の左側前端部に昇降機構11を介して穀稈を刈り取る刈取部3を昇降回動自在に取り付けている。刈取部3には、刈り取った穀稈を搬送する搬送機構12を配置している。搬送機構12の後方位置である機体フレーム1の左側前部には、搬送された穀稈を脱穀する脱穀部5を配設している。脱穀部5の後方位置には、脱穀された穀稈を排塵処理する排塵処理部6を配設している。これら脱穀部5と排塵処理部6との下方位置には、脱穀された穀粒を一番穀粒と二番穀粒に選別する選別部7を配設している。機体フレーム1の右側前部には運転部8と原動機部(図示せず)を上下に位置させて配設して、これら運転部8と原動機部の後方位置に穀粒貯留部10を配設している。13は穀粒貯留部10に連動連設した穀粒搬出部、14は機体フレーム1の後部に配設した排藁処理部である。なお、駆動機部は他の各部を駆動するようにしている。
【0017】
このようにして、コンバインCでは、刈取部3で刈り取られた穀稈は、搬送機構12によって脱穀部5へ搬送されて脱穀され、排塵処理部6にて排塵処理されて、排藁は排藁処理部14で排藁処理される。また、脱穀された穀粒や排塵処理された穀粒は選別部7で一番穀粒と二番穀粒に選別される。選別部7にて選別された一番穀粒は、穀粒貯留部10に搬送されて貯留され、その後、穀粒搬出部13によって搬出される。選別部7にて選別された二番穀粒は、再度選別処理される。脱穀された穀稈、すなわち排藁は排藁処理部14でせん断等されて排藁処理される。
【0018】
脱穀部5は、図2に示すように、扱室20の前・後壁20a,20b間に前後方向に軸線を向けた扱胴軸21を介して扱胴22を軸架している。そして、扱胴22は扱室20の左側部に偏倚させて軸架して、前壁20aの下部に前後方向及び左側方を開口して前記搬送機構12と連通する穀稈搬入口23を形成する一方、後壁20bの下部に前後方向及び左側方を開口して排塵処理部6と連通する排稈搬出口24を形成している。扱室20の左側壁にはフィードチェーン25(図1参照)を架設状に配設している。
【0019】
このようにして、フィードチェーン25により搬送機構12から受け継いだ穀稈は、穀稈搬入口23を通して扱室20内を移送させることで脱穀処理し、排稈搬出口24を通して搬出した後、排塵処理部6→排藁処理部14まで移送させるようにしている。
【0020】
扱胴22は、図2に示すように、前後方向に軸線を向けた円筒状の周壁部26と前・後端壁部27,28とで形成しており、周壁部26は大部分を占める扱胴本体としての大径部26aと後端部に位置する段付き小径の小径部26bとから形成している。29aは大径部26aに突設した扱歯、29bは小径部26bに突設した扱歯である。そして、大径部26aの扱歯29aと小径部26bの扱歯29bの各先端の回転軌跡は略同一となすべく、小径部26bの扱歯29bの突出長を長目に形成している。
【0021】
前記大径部26aの前・後部の直下方位置には、前・後部受網支持壁30,31を前後対向状態に配設している。両前・後部受網支持壁30,31は、長手端面が上下に位置する薄肉の板状体を、大径部26aの周面に沿わせて左右幅方向に円弧状に伸延させて形成して、扱室20を形成する左・右側壁間に架設している。そして、前部受網支持壁30の後面の上下方向の中途部と後部受網支持壁31の前面の上下方向の中途部間に、受網32を扱胴22の周面に沿った円弧状に湾曲させて着脱自在に張設している。このようにして、穀稈の穂先部が扱胴22の周壁部26と受網32との間で後方に移送される間に、回転する扱胴22の扱歯29a,29bで脱穀されるようにしている。扱胴22は正面視にて時計廻りに回転される。
【0022】
排塵処理部6は、図2に示すように、扱室20の送塵口33の後方斜め上に吸引排塵ファン34を配設している。35は吸引排塵ファン34の上方を被覆するファンカバー、36は吸引排塵ファン34の後方に配置した排出路形成体、37は排出路形成体36により形成されて機外に連通する排出路である。なお、吸引排塵ファン34は図2において時計廻りに回転する。このようにして、吸引排塵ファン34により送塵口33から排出される排塵を吸引すると共に、排出路37を通して機外へ排出するようにしている。
【0023】
選別部7は、図2に示すように、上部には楕円揺動機構39を介して揺動選別体38を揺動自在、すなわち、前後方向に横長の楕円運動をさせることで前後方向に大きく、そして、上下方向に小さく揺動運動するように配設している。揺動選別体38は、脱穀部5の扱室20の下方位置から吸引排塵ファン34の下方位置まで伸延させて形成している。そして、揺動選別体38は、上下方向に開口して四角形枠状に形成した選別体本体60の前部にフィードパン61を張設し、その後方にチャフシーブ62を設け、その下方にグレンシーブ63を配設している。また、揺動選別体38の始端側下方には圧風ファンである唐箕64を設け、同唐箕64の後方で前記グレンシーブ63の下方には一番螺旋コンベア65を軸装した一番樋66を横設している。
【0024】
揺動選別体38の後下方には、チャフシーブ62、グレンシーブ63、一番樋66により選別回収されなかった選別不充分なワラ屑等に混じった穀粒を選別回収するための二番螺旋コンベア67を軸装した二番樋68が配設している。69は選別ストローラックである。
【0025】
チャフシーブ62は、図3に示すように、左右方向に伸延する四角形板状に形成した多数のチャフシーブ形成片62aを前後方向に一定の間隔を開けて配置して形成している。そして、選別体本体60に支軸62bを介して各チャフシーブ形成片62aの中途部を左右方向の軸線廻りに枢支すると共に、連結片62cを介して各チャフシーブ形成片62aの下端部を一体的に連結している。
【0026】
このようにして、連結片62cを前後方向に摺動させることで、前後方向に隣接するチャフシーブ形成片62a,62a同士の間に上下方向に連通状態に形成される開口部70の開口量を調節することができるようにしている。ここで、開口量は、チャフシーブ形成片62aが略鉛直に起立すると大となり、略水平に横臥すると小となる。
【0027】
また、唐箕64は、左側方が開口して左右方向に横長のケーシング体71内にファン軸72を介してファン73を回転自在に軸架して、同ファン73を回転させることでケーシング体71の左側開口部から吸気して後上方の揺動選別体38に向けて選別風を送風するようにしている。なお、ファン73は図2〜図4において反時計廻りに回転されて回転軌跡Kを形成する。
【0028】
すなわち、ケーシング体71は、図3にも示すように、唐箕64の前方を被覆する前部ケーシング片74と、唐箕64の上方を被覆する上部ケーシング片75と、唐箕64の下方を被覆する下部ケーシング片76とから形成して、後方に送風口83を形成している。上部ケーシング片75の後端縁部75aは、ファン73の回転軌跡Kの後端部上方に位置させて、同後端縁部75aを下方へ延設して前部選別風上方案内体75bを形成している。下部ケーシング片76は、後端縁部を後上方へ伸延させて選別風後方案内体76aとなし、同選別風後方案内体76aを前記一番樋66の前端縁部に連設している。
【0029】
ファン73の後上方位置には後部選別風上方案内体77を配設し、同後部選別風上方案内体77の後下方位置には選別風後方分流案内体78を配設している。後部選別風上方案内体77は、略鉛直面となした前面部77aと後下方への下り面となした上面部77bと後上方への上り面となした下面部77cとから側面視三角形状で左右方向に伸延する筒状に形成している。そして、後部選別風上方案内体77の前面部77aと前部選別風上方案内体75bとを前後に略平行状態に対向させて、ファン73から上方へ向けて送風される選別風の流路となる上方流路Ruが形成されるようにしている。
【0030】
選別風後方分流案内体78は板状に形成して選別風後方案内体76aに平行させて配置している。そして、後部選別風上方案内体77の下面部77cと選別風後方分流案内体78との間には、後上方のチャフシーブ62に向けて送風される選別風の流路となる後方流路Rbが形成されるようにしている。また、選別風後方分流案内体78と選別風後方案内体76aとの間には、一番樋流路Rtが形成されるようにしている。
【0031】
しかも、前記した選別体本体60には選別風後方案内体79を配設して、同選別風後方案内体79により前・後部選別風上方案内体75b,77を介して上方へ案内された選別風を2つの選別風に分岐させて後方へ案内するようにしている。すなわち、選別風後方案内体79は、フィードパン61の中途部下方位置でかつチャフシーブ62の前方位置において、選別体本体60の左右側部間に左右方向に伸延する支軸80を横架して、同支軸80に前低後高の傾斜板状に形成した前面案内体形成片79aの下端縁部を固設し、同前面案内体形成片79aの上端縁部より前記チャフシーブ形成片62aの下端縁部に向けて下り傾斜板状に伸延する上面案内体形成片79bを形成して、側面視「へ」の字状となしている。60aは選別体本体60の前壁内面部であり、前壁内面部60aは前低後高の傾斜面に形成して、上方へ案内された選別風をフィードパン61の下面に沿わせて後方へ案内するようにしている。81は選別体本体60の前面部から上部ケーシング片75の上面に垂下した前部遮蔽体、82は選別体本体60の下面中途部から後部選別風上方案内体77の上面部77bに垂下した後部遮蔽体であり、これら前・後部遮蔽体81,82は、弾性ゴム等の可撓性素材により成形して、前後方向に揺動・変形しながらも前後空間を遮蔽するようにしている。
【0032】
そして、図4の風路概念図に示すように、選別風後方案内体79は上側流路Ru1と下側流路Ru2とに分岐させて案内するようにしている。上側流路Ru1は選別風後方案内体79の上面側に沿わせて選別風を案内して、フィードパン61とチャフシーブ62の間を通して同チャフシーブ62の上方へ導く流路である。下側流路Ru2は選別風後方案内体79の下面側に沿わせて選別風を案内して、チャフシーブ62とグレンシーブ63との間に導く流路である。また、選別風後方案内体79は、上方流路Ruの終端部において、揺動選別体38と一体的に前後方向に揺動幅Wだけ揺動して、上方流路Ruの終端部で分岐されて形成される上側流路Ru1と下側流路Ru2の始端側流路径を交互に拡縮して、上側流路Ru1と下側流路Ru2に導かれる選別風の風圧が交互に変更されるようにしている。Wuは上方流路Ruに沿って流れる上方選別風、Wu1は上側流路Ru1に沿って流れる上側分岐選別風、Wu2は下側流路Ru2に沿って流れる下側分岐選別風、Wbは後方流路Rbに沿って流れる後方選別風、Wtは一番樋流路Rtに沿って流れる一番樋選別風である。Wu3は下側分岐選別風Wu2からチャフシーブ形成片62a,62a間を流通する上方流通選別風、Wb1は後方選別風Wbからグレンシーブ63中を流通する後方流通選別風である。
【0033】
このようにして、図4に示すように、本実施形態ではファン73により生起される選別風を送風口83を通して上方及び後上方へ圧送することができる。この際、揺動選別体38に選別風後方案内体79を配設して、前・後部選別風上方案内体75b,77を介して上方へ案内された上方選別風Wuを上記選別風後方案内体79により後方へ案内するようにしているため、揺動選別体38の前部から後方に向けて上方選別風Wuを堅実に案内することができる。その結果、揺動選別体38により比重選別される穀粒等を効率良く上方選別風Wuにより風選別することができる。
【0034】
そして、上方選別風Wuは、選別風後方案内体79によりチャフシーブ62の上方へ導く上側流路Ru1に沿って流れる上側分岐選別風Wu1と、チャフシーブ62とグレンシーブ63との間に導く下側流路Ru2に沿って流れる下側分岐選別風Wu2とに分岐されるようにしているため、チャフシーブ62による比重選別効果と上・下側分岐選別風Wu1,Wu2とによる風選別効果との相乗効果で選別効率を向上させることができる。
【0035】
しかも、揺動選別体38が前後方向に揺動幅Wだけ揺動動作するのに連動して同揺動選別体38に一体的に設けた選別風後方案内体79も前後方向に揺動幅Wだけ揺動動作するため、同選別風後方案内体79の前後進退動作に連動して上方流路Ruの終端部で分岐されて形成される上側流路Ru1と下側流路Ru2の始端側流路径が交互に拡縮される。すなわち、図4(b)に示すように、選別風後方案内体79が前方に進出した際には上側流路Ru1の始端側流路径が縮径されると共に、下側流路Ru2の始端側流路径が拡径される。そして、図4(a)に示すように、選別風後方案内体79が後方に後退した際には上側流路Ru1の始端側流路径が拡径されると共に、下側流路Ru2の始端側流路径が縮径される。このように、上側流路Ru1と下側流路Ru2の始端側流路径が交互に拡縮されることで、上側流路Ru1に導かれる上側分岐選別風Wu1と下側流路Ru2に導かれる下側分岐選別風Wu2の風圧が交互に変更される。その結果、これら上・下側分岐選別風Wu1,Wu2の風圧に間欠的な強弱を生起することができて、これら上・下側分岐選別風Wu1,Wu2を風選別効果の高い脈流となすことができる。そのため、風選別効果の高い強い選別風が交互に得られる。そして、前後方向に横長の楕円運動をさせることで前後方向に大きく、かつ、上下方向に小さく揺動運動する揺動選別体38のチャフシーブ62による比重選別効果と、強い選別風が交互に生起される上・下側分岐選別風Wu1,Wu2による高い風選別効果との相乗効果で選別効率をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明かかる脱穀機としての脱穀部を搭載したコンバインの側面図。
【図2】脱穀部と排塵処理部と選別部の断面側面説明図。
【図3】選別部の側面説明図。
【図4】選別風路説明図。
【符号の説明】
【0037】
C コンバイン
5 脱穀部
6 排塵処理部
7 選別部
37 吸引排塵ファン
38 揺動選別体
64 唐箕
Ru 上方流路
Rb 後方流路
Ru1 上側流路
Ru2 下側流路
W 揺動幅
Wu 上方選別風
Wu1 上側分岐選別風
Ru1 上側流路
下Wu2 側分岐選別風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された穀稈を脱穀する脱穀部と、同脱穀部により脱穀された穀粒を選別する選別部とを備えると共に、選別部は、前後方向に揺動して比重選別を行う揺動選別体と、選別風を送風して風選別を行う唐箕とを具備する脱穀機において、
揺動選別体の前部下方に唐箕を配設し、同唐箕の上部後方に選別風を上方へ案内する選別風上方案内体を配設する一方、揺動選別体に選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を後方へ案内する選別風後方案内体を配設したことを特徴とする脱穀機。
【請求項2】
揺動選別体にはフィードパンと、同フィードパンの後下方に配置したチャフシーブと、同チャフシーブの下方に配置したグレンシーブとを配設し、フィードパンの下方かつチャフシーブの前方に選別風後方案内体を配置すると共に、
同選別風後方案内体は、選別風上方案内体を介して上方へ案内された選別風を、フィードパンとチャフシーブの間を通して同チャフシーブの上方へ導く上側流路と、チャフシーブとグレンシーブとの間に導く下側流路とに分岐させて案内するようにしたことを特徴とする請求項1記載の脱穀機。
【請求項3】
選別風後方案内体は、揺動選別体と一体的に前後方向に揺動して、上側流路と下側流路の始端側流路径を交互に拡縮して、上側流路と下側流路に導かれる選別風の風圧が交互に変更されるようにしたことを特徴とする請求項2記載の脱穀機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−148463(P2010−148463A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331470(P2008−331470)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】